JP2010248822A - 建物構築方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、新築建物30を既存建物10と同じ位置に構築する建物構築方法である。新築建物30を、下から順に区分される下側構造部32、設備フロア33、上側構造部34と、これら3つの構造部32〜34の側面に設けられて鉛直方向に延びる設備コア35と、を含んで構成する。建物構築方法は、既存建物10の側面に沿って設備コア35を構築するとともに、既存建物10を覆うように設備フロア33を構築する工程と、上側構造部34を設備フロア33上に下層から構築する作業と、既存建物10を上層から解体しつつ、この解体した空間に下側構造部32を構築する作業とを並行して行う工程と、を備える。
【選択図】図2
Description
しかしながら、工事を開始するまでにテナントの業務を停止させなければならず、また、テナントを2度移転させることになるので、移転に伴うテナント側の負担が増大する、という問題があった。
これらの建物構築方法では、既存建物に隣接してあるいは既存建物を貫通して第1の構造部を新築し、この第1の構造部に支持させて既設建物の上に第2の構造部を新築する。次に、既存建物を完全に解体し、その後、この既存建物が存在していた空間に、第3の構造部を新築する。
これらの提案によれば、工事を開始してもテナントの業務を停止する必要がなく、また、テナントの一時的な移転先を確保する必要がないので、移転に伴うテナント側の負担を軽減できる。
また、既存建物を上層から順番に解体しつつ、この既存建物が存在していた空間に下側構造部を順番に構築した。よって、下側構造部を構築する際に、まだ解体していない既存建物の一部を支保工として利用できるので、コストを低減できる。
また、給排水設備とは、例えば、トイレや給湯設備である。
また、エレベータを利用して既存建物から鉛直方向に移動するだけで、容易に上側構造部に移転できるから、テナントをより容易に移転でき、移転費用をさらに低減できる。
本発明は、既存建物10を解体して、この既存建物10と同じ位置に新築建物30を構築するものである。
既存建物10は、平面視で矩形状であり、地下1階、地上4階建てである。この既存建物10は、既存基礎11と、その上に設けられた既存構造部12と、を備える。
既存構造部12は、地下1階および地上1階から4階までの5フロアで構成される。
既存建物10の屋上階には、キュービクルやクーリングタワーなどの設備機器122が設けられている。
新築建物30は、地下1階、地上11階建てである。この新築建物30は、基礎31と、その上に設けられた下側構造部32と、この下側構造部32の上に設けられた水平構造部としての設備フロア33と、この設備フロア33の上に設けられた上側構造部34と、これら下側構造部32、設備フロア33、および上側構造部34の一側面に亘って設けられて鉛直方向に延びる鉛直構造部としての設備コア35と、を備える。
下側構造部32は、既存建物10の存在していた位置に構築され、設備フロア33は、既存建物10を覆うように構築される。
設備フロア33は6階に相当し、この設備フロア33には、各種の設備機器が設置されている。
新築建物30には、1階から11階まで鉛直方向に延びるサブシャフト331が2箇所に設けられる。設備フロア33の設備機器の配管や配線は、メインの設備配管・配線の他に、下側構造部32、上側構造部34の24時間対応などの特殊用途をまかなうものであり、このサブシャフト331を通して、各階まで延びている。
設備コア35には、2つの鉛直移動手段としての非常階段351、2基の鉛直移動手段としての高層用エレベータ352、2基の鉛直移動手段としての低層用エレベータ353、エレベータホール354、給排水設備としてのトイレ355、給排水設備としての給湯室356などが設けられる。なお、1階の設備コア35には、防災センターが設けられる。なお、設備コア35に非常用エレベータを設けてもよい。
低層用エレベータ353は、機械室がないタイプである。
設備コア35の既存建物10側には、2つの通路357が設けられる(図6参照)。
水平フレーム43は、各階の床の高さに設けられており、鉛直フレーム41、42同士を矩形枠状に連結する。これら水平フレーム43は、新築建物30の外周側の梁となる。
ステップS1では、図4に示すように、新築建物30の基礎31を施工する。
具体的には、まず、敷地の外周に沿って仮囲い20を設置する。ここで、既存建物10の図4中上側を、既存建物10を使用するテナント関係者の出入口21とする。一方、既存建物10の図4中右側にパネルゲート22を設けて、工事関係者や工事車両の出入口23とする。これにより、テナント関係者の動線が工事関係者の動線と交わらないので、テナント関係者は工事の進行と関係なく既存建物10を使用できる。
また、新築建物30に対応するため、ガス、電力、給排水、通信回線などの引込インフラ設備の容量を増大させる。
したがって、この状態では、既存建物10の全フロアが使用中となっている。
まず、既存建物10の屋上階の設備機器122の上面を足場板などで覆って、これら設備機器122を保護する。さらに、テナント関係者の出入口21に屋根211を設けて、テナント関係者の安全を確保する。また、既存建物10の近傍に揚重クレーン28を設置し、さらに、設備コア35および構造体フレーム40を囲むように設備フロア33までの高さの足場29を設ける。なお、図5、図7、図8、および図11では、設備コア35の周囲の足場のみを示し、構造体フレーム40の周囲の足場の表示を省略する。
ここで、図6に示すように、1階から5階までの設備コア35の既存建物10側の壁面に、新築建物30の梁やスラブに接続するためのジョイント部359Aや梁・スラブ受け359Bを設ける。
また、設備フロア33の角部には、上下に貫通する駄目開口332を設ける。
具体的には、まず、図7中矢印で示すように、1階から5階までの設備コア35の設備配管を水平に延長するとともに、設備フロア33からサブシャフト331を通して設備配管を下方に延長し、既存建物10の各階の設備に接続する。
このように設備系統を切り替えると、地下1階および屋上階の設備機器121、122が不要となるため、これら設備機器121、122を撤去する。また、既存建物10の外壁貫通処理を行い、テナント関係者が設備コア35を使用できるようにする。
また、設備コア35および設備フロア33の漏水を防止するため、設備フロア33の上の7階の床面で仮防水処理を行う。
次に、図8中矢印で示すように、既存建物10の3階、4階のテナントを、上側構造部34に移転させる。
よって、この状態では、新築建物30の7階〜9階、および、既存建物10の1階、2階が使用中となる。
具体的には、既存建物10の3階の床面に仮防水処理を行い、その後、この3階にサポート52を設置して重機用に4階の床を補強する。
次に、騒音および振動を防止するため、ワイヤーソウで切断し、複数のブロックに分割する。このとき、3階の床面には仮防水処理が施されているので、切断作業の際に水が排出されても、既存建物10の1階、2階が漏水するのを防止できる。
続いて、この分割したブロックをミニ重機51で1階まで下ろし、その後、圧砕して解体する。なお、地下1階は空きスペースとなっているので、地下1階を解体材の再生処理工場として利用する。
なお、4階立上りおよび5階の床を構築した後、5階の立上りを構築しておく。
次に、既存建物10の1階、2階のテナントを、上側構造部34の10階、11階に移転させる。
よって、この状態では、新築建物30の7階〜11階が使用中である。
次に、既存建物10の3階の床上に型枠支保工を設置して、既存建物10の3階、4階が存在していた空間に、下側構造部32の3階立上りおよび4階の床を構築する。
次に、既存建物10の2階の床上に型枠支保工を設置して、既存建物10の2階、3階が存在していた空間に、下側構造部32の2階立上りおよび3階の床を構築する。
次に、既存建物10の1階の床上に型枠支保工を設置して、既存建物10の1階、2階が存在していた空間に、下側構造部32の1階立上りおよび2階の床を構築する。
(1)上側構造部34を下層から順番に構築し、この構築した上側構造部34に、既存建物10を上層から順番にテナント関係者、什器、備品を移転させる。すると、既存建物10が上層から順番に空室となるので、この空室となった層から順番に解体する。したがって、建替工事を開始しても既存建物10を使用できるので、テナントの一時的な移転先を設ける必要がなく、移転に伴うテナント側の負担を軽減できる。
また、既存建物10を上層から解体しつつ、この既存建物10が存在していた空間に下側構造部32を順番に構築した。よって、下側構造部32を構築する際に、まだ解体していない既存建物10の一部を支保工として利用できる。
また、高層用エレベータ352を利用して、既存建物10から鉛直方向に移動するだけで、容易に上側構造部34に移転できるから、テナントをより容易に移転でき、移転費用をさらに低減できる。
例えば、本実施形態では、設備フロア33を1つ設けたが、建物の規模が大きくなる場合には、設備フロアを複数設けてもよい。
また、設備コアを複数設けた場合には、工事用に仮設使用してもよい。
また、既存建物10を構造体フレーム40と連結してもよい。
11 既存基礎
12 既存構造部
30 新築建物
31 基礎
32 下側構造部
33 設備フロア(水平構造部)
34 上側構造部
35、35A、35B、35C 設備コア(鉛直構造部)
40 構造体フレーム
41、42 鉛直フレーム
43 水平フレーム
111 杭
112 フーチン
113 基礎梁
121、122 設備機器
311 杭
312 基礎梁
331 サブシャフト
351 非常階段(鉛直移動手段)
352 高層用エレベータ(鉛直移動手段)
353 低層用エレベータ(鉛直移動手段)
354 エレベータホール
355 トイレ(給排水設備)
356 給湯室(給排水設備)
359A ジョイント部
359B スラブ受け
Claims (3)
- 新築建物を既存建物と同じ位置に構築する建物構築方法であって、
新築建物を、下から順に区分される下側構造部、水平構造部、上側構造部と、これら3つの構造部の側面に設けられて鉛直方向に延びる鉛直構造部と、を含んで構成し、
前記既存建物の側面に沿って前記鉛直構造部を構築するとともに、前記既存建物を覆うように水平構造部を構築する工程と、
前記上側構造部を前記水平構造部上に下層から構築する作業と、前記既存建物を上層から解体しつつ、当該解体した空間に前記下側構造部を構築する作業とを並行して行う工程と、を備えることを特徴とする建物構築方法。 - 請求項1に記載の建物構築方法において、
前記水平構造部に、既存建物、下側構造部、および上側構造部にエネルギを供給する設備機器を設けることを特徴とする建物構築方法。 - 請求項1または2に記載の建物構築方法において、
前記鉛直構造部は、鉛直移動手段および給排水設備を備えることを特徴とする建物構築方法。
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