JP2010248378A - 難燃性樹脂組成物及び絶縁電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐寒性及び耐摩耗性の優れた難燃性樹脂組成物及び絶縁電線を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂からなる第1の樹脂と、官能基を含む変性剤により変性されているポリオレフィン系樹脂からなる第2の樹脂と、難燃剤とを少なくとも含有し、第2の樹脂が弾性率が1000MPa以上であり、官能基結合率(質量%)が70%以上である難燃性樹脂組成物を、導体の周囲に押し出し成形して絶縁体層を形成して絶縁電線を得た。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性樹脂組成物及び該難燃性樹脂組成物を用いた絶縁電線に関するものであり、特に自動車、電気・電子機器等に好適に使用される難燃性樹脂組成物及び絶縁電線に関するものである。
自動車、電子・電気機器等に使用される部材や絶縁材料には、機械特性、難燃性、耐熱性、耐寒性等の種々の特性が要求されている。従来、その材料としてポリ塩化ビニル化合物や、分子中に臭素原子や塩素原子を含むハロゲン系難燃剤を配合したコンパウンドが主として使用されてきた。
上記従来の材料は、廃棄の際に焼却処理を行うと多量の腐食性ガスが発生する虞がある。このため、腐食性ガスの発生する虞のないノンハロゲン難燃材料が提案されている(例えば特許文献1参照)。また特許文献2〜4等に見られるように、ノンハロゲン難燃樹脂組成物として、表面処理を施した水酸化マグネシウムを難燃剤として用いた組成物が公知である
特開2004−83612号公報 特許第3339154号公報 特許第3636675号公報 特開2004−189905号公報
従来提案されているノンハロゲン難燃樹脂組成物としては、水酸化マグネシウムを充填したポリオレフィン系樹脂が一般的に使用されている。しかしながら、上記従来の難燃樹脂組成物は、耐寒性、耐摩耗性を十分備えていないという問題があった。
本発明の解決しようとする課題は、上記問題点を解決しようとするものであり、耐寒性及び耐摩耗性の優れた難燃性樹脂組成物及び絶縁電線を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の難燃性樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂からなる第1の樹脂と、官能基を含む変性剤により変性されているポリオレフィン系樹脂からなる第2の樹脂と、難燃剤とを少なくとも含有する難燃性樹脂組成物であって、前記第2の樹脂は、弾性率が1000MPa以上であり、該第2の樹脂中の全官能基量に対する樹脂に結合している変性剤の官能基量の割合で表される官能基結合率(質量%)が、70%以上であることを要旨とするものである。
本発明の難燃性樹脂組成物において、前記第2の樹脂は、該第2の樹脂の全質量に対する前記全官能基量の割合で表される変性率(質量%)が0.1〜10%の範囲であることが好ましい。
また、前記難燃剤は、水酸化マグネシウムを主成分とするものであることが好ましい。
また、前記第1の樹脂は、未変性のポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。
また、前記第2の樹脂は、官能基を有するポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。
また、前記官能基は、カルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルケニル環状イミノエーテル基、及びシラン基から選択される少なくとも1種以上であることが好ましい。
また、前記第2の樹脂が、組成物中の前記第2の樹脂を除く成分100質量部に対し、10〜30質量部配合されていることが好ましい。
また本発明の絶縁電線は、上記の難燃性樹脂組成物を用いた絶縁体層が導体の周囲に形成されていることを要旨とするものである。
本発明の難燃性樹脂組成物は、官能基を含む変性剤により変性されているポリオレフィン系樹脂からなる第2の樹脂が、弾性率が1000MPa以上であり、該第2の樹脂中の全官能基量に対する前記ポリオレフィン系樹脂に結合している官能基量の割合で表される官能基結合率(質量%)が、70%以上である構成を採用したことにより、該樹脂組成物を絶縁被膜として用いた場合、耐寒性及び耐摩耗性の優れた絶縁電線が得られる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明の難燃性樹脂組成物は、少なくとも、(a)ポリオレフィン系樹脂からなる第1の樹脂と、(b)官能基を含む変性剤により変性されているポリオレフィン系樹脂(単に官能基を有するポリオレフィン系樹脂ということもある)からなる第2の樹脂と、(c)難燃剤とを少なくとも含有している。
本発明の難燃性樹脂組成物には、上記成分以外に、耐摩耗性及び耐寒性に悪影響を与えない範囲で、必要に応じ(d)他の添加剤を適宜加えることができる。他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤等が挙げられる。
(a)ポリオレフィン系樹脂からなる第1の樹脂(以下、単に第1の樹脂ということもある)は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のオレフィンの単独重合体又は共重合体が用いられる。第1の樹脂はポリプロピレン系樹脂が好ましい。ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体であっても良いし、他のモノマーとの共重合体であってもよい。共重合体の場合は、プロピレン成分を50質量%以上含有してればよいが、プロピレン成分を60質量%以上含有しているのが好ましい。
第1の樹脂は、極性基等の官能基を含むポリオレフィン系樹脂であっても良いが、官能基を有さない未変性ポリオレフィン系樹脂を用いるのが好ましく、更に好ましくは未変性のポリプロピレン系樹脂である。更に第1の樹脂として、未変性ポリプロピレン系樹脂を用いる場合、メルトフローレート(MFR)が0.1〜20g/minの範囲であるのが好ましい。また第1の樹脂として、未変性ポリプロピレン系樹脂を用いる場合、弾性率が500〜4000MPaの範囲であるのが好ましい。
(b)官能基を有するポリオレフィン系樹脂からなる第2の樹脂(以下、単に第2の樹脂ということもある)は、弾性率が1000MPa以上のものが用いられる。弾性率が1000MPa未満では、組成物から形成される絶縁被膜において、十分な耐摩耗性及び耐寒性が得られない。また柔軟性樹脂の弾性率の上限は4000MPaが好ましい。柔軟性樹脂の弾性率が、4000MPaを超えると低温における巻きつけ試験で絶縁被覆に亀裂が入る虞がある。第2の樹脂の好ましい弾性率の範囲は、1500〜3500MPaである。
第2の樹脂は官能基を有するポリオレフィン系樹脂からなる。この「官能基を有するポリオレフィン系樹脂」とは、ポリオレフィン系樹脂の主鎖に、官能基を分子中に含む変性剤がグラフト重合や共重合等により反応して、ポリオレフィン系樹脂に官能基を含む変性剤成分が結合している変性ポリオレフィン系樹脂のことである。そして変性ポリオレフィン系樹脂は、官能基を含む変性剤が、全てポリオレフィン系樹脂と反応して樹脂と結合しているものではなく、未反応の変性剤が遊離した状態で存在している。第2の樹脂には、未反応の変性剤が含有されている。
上記の変性ポリオレフィン系樹脂から、該樹脂中に含まれている未反応の官能基を有する変性剤を除去することは可能であるが、製造コストが上昇するため、通常は未反応の変性剤を除去することは行われていなかった。そのため、従来この種の難燃性組成物に用いられていた変性ポリオレフィン系樹脂には、未反応の変性剤が含まれていた。しかしながら、本発明者が検討したところ、難燃性組成物から絶縁体層を形成した場合に、変性ポリオレフィン系樹脂からなる第2の樹脂中には未反応で遊離している官能基を有する変性剤の量が多くなると、難燃性組成物から絶縁体層を形成した絶縁電線の耐寒性及び耐摩耗性に悪影響を与えることが判った。
そこで第2の樹脂中に遊離している官能基を有する変性剤の量を検討したところ、第2の樹脂中の官能基の全質量(全官能基量)に対する前記ポリオレフィン系樹脂と反応して結合している変性剤の官能基の質量(結合官能基量)の割合で表される官能基結合率(質量%)が70%以上であれば、遊離している官能基を有する変性剤の量が少なくなるので、耐寒性及び耐摩耗性に優れた絶縁電線が得られることが判明した。尚、上記のポリオレフィン系樹脂と反応して結合した変性剤の官能基量は、第2の樹脂中に含まれる全官能基量から遊離している変性剤の官能基量(遊離官能器量)を差し引いた量に相当する。
官能基結合率(質量%)が70%未満になると、第2の樹脂中の遊離官能基量が多くなり、未反応の変性剤が第2の樹脂中に含有される割合が多くなる。未反応の変性剤は、組成物から形成される被膜に対して可塑化効果を与えることになる。そのため未反応の変性剤の含有量が多くなると、耐摩耗性が低下するものと考えられる。また、官能基結合率(質量%)が高くなるほど、遊離官能基量が少なくなり、未反応の変性剤が少なくなり耐摩耗性が向上する。このような理由から、第2の樹脂における官能基結合率は、好ましくは80〜100%の範囲である。
また上記第2の樹脂における変性剤の使用量は、該第2の樹脂の全質量に対する前記全官能基量の割合として表される変性率(質量%)として、0.1〜10%の範囲であることが好ましい。上記変性率が〜0.1%未満では、官能基の効果が十分発揮されず、また変性率が10%を超えると、導体への接着性が高くなりすぎて、導体から絶縁材料をうまく皮剥ぎできなくなる虞がある。
上記の第2の樹脂の官能基結合率は、まず所定の測定法により第2の樹脂の全官能基量(=遊離官能基量+結合官能基量)を測定する。また変性剤と第2の樹脂の溶解度が異なる溶媒を用いて、遊離の変性剤を除去して、遊離官能基量(或いは結合官能基量)を測定する。全官能基量と遊離官能基量(或いは結合官能基剤量)から、計算により官能基結合率(%)を求める。上記の官能基量の測定法は、変性剤の官能基の種類等に応じて、滴定法や機器分析法等の分析方法を適宜用いる。例えば変性剤が無水マレイン酸の場合、滴定法を用いることができる。
第2の樹脂はポリオレフィン系樹脂に、官能基を導入することで得られる。例えば、ポリプロピレン系樹脂に官能基を導入する方法としては、官能基を有する変性剤をポリプロピレン樹脂にグラフト重合して、グラフト変性プロピレン重合体とする方法や、上記官能基を有する変性剤とプロピレン系化合物とを共重合させてプロピレン共重合体とする方法等が挙げられる。
第2の樹脂において、官能基結合率を70%以上にする手段として、例えば、未反応のポリオレフィン系樹脂と変性剤を反応させて第2の樹脂を製造する際に、樹脂成分100質量部に対して、重合開始剤を0.1質量部以上、変性剤を0.1質量部以上用いて反応させる方法が挙げられる。
上記第2の樹脂に用いられるポリオレフィン系樹脂は、第1の樹脂と同様にポリプロピレン系樹脂を用いるのが好ましい。
上記の官能基を含む変性剤に用いられる官能基としては、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルケニル環状イミノエーテル基、及びシラン基から選択される1種以上の官能基が用いられる。これらの官能基は、単独で導入しても複数導入しても何れでもよい。官能基を有するポリオレフィン系樹脂を用いることで、難燃性樹脂組成物から絶縁電線の絶縁体層を形成した際に、絶縁体層と導体との密着性を向上させることができる。
上記官能基としてカルボキシル基や酸無水物基を導入する変性剤としては、具体的には、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等のα、β−不飽和ジカルボン酸、又はこれらの無水物、アクリル酸、メタクリル酸、フラン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ペンテン酸等の不飽和モノカルボン酸等が挙げられる。
上記官能基としてエポキシ基を導入する変性剤としては、具体的には、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、α−クロロアクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸等のグリシジルエステル類、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルオキシエチルビニルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、p−グリシジルスチレン等が挙げられる。
上記官能基としてヒドロキシル基を導入する変性剤としては、具体的には、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記官能基としてアミノ基を導入する変性剤としては、具体的には、アミノエチル(メタ)アクリレート、プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、フェニルアミノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記官能基としてアルケニル環状イミノエーテル基を導入する変性剤としては、具体的には、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−イソプロペニル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン等が挙げられる。
上記官能基としてシラン基を導入する変性剤としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセチルシラン、ビニルトリクロロシラン等の不飽和シラン化合物が挙げられる。
難燃性組成物中における上記第2の樹脂の添加量は、難燃性樹脂組成物中における該第2の樹脂を除く成分100質量部に対し、10〜30質量部であるのが好ましい。上記第2の樹脂の添加量が10質量部未満では、絶縁電線の絶縁体層とした場合に十分な耐摩耗性が得られない虞がある。また上記第2の樹脂の添加量が30質量部を超えると、絶縁電線の絶縁体層とした場合に耐寒性が低下する虞がある。
(c)難燃剤としては、水酸化マグネシウムを主成分とするものを用いるのが好ましい。例えば水酸化マグネシウムは、合成水酸化マグネシウム、天然鉱物を粉砕した天然水酸化マグネシウム等が挙げられる。
難燃剤の粒径は、平均粒径で0.1〜20μm、好ましくは0.2〜10μm、更に好ましくは0.5〜5μmである。難燃剤の平均粒径が0.1μm未満では、二次凝集が起り易く、機械的特性が低下する。また難燃剤の平均粒径が20μmを超えると、絶縁電線の絶縁体層に用いた場合に、絶縁体層の外観不良となる虞がある。
難燃剤の添加量は、樹脂成分(第1の樹脂+第2の樹脂)100質量部に対し、通常、30〜250質量部添加される。好ましい難燃剤の添加量は、樹脂成分100質量部に対し、50〜200質量部であり、更に好ましくは60〜180質量部である。
また難燃剤は、上記水酸化マグネシウム等の表面が表面処理剤により表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィンの単独重合体、若しくは相互共重合体、或いはそれらの混合物等が用いられる。また上記の表面処理剤は変性されていてもよい。
難燃剤の表面処理剤の変性は、例えば、不飽和カルボン酸やその誘導体等を変性剤として用い、上記のαオレフィン重合体等の重合体にカルボキシル基(酸)を導入して酸変性する方法が挙げられる。上記変性剤としては具体的には、不飽和カルボン酸としてはマレイン酸、フマル酸等が挙げられ、その誘導体としては無水マレイン酸(MAH)、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル等が挙げられる。変性剤としては、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましい。またこれらの変性剤は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。表面処理剤に酸を導入する酸変性方法としては、グラフト重合や直接法等が挙げられる。また、酸変性量としては、変性剤の使用量として、通常、重合体に対して0.1〜20質量%程度であり、好ましくは0.2〜10質量%、更に好ましくは0.2〜5質量%である。
難燃剤を表面処理剤で処理する際の表面処理方法は特に限定されず、各種処理方法を用いることができる。難燃剤の表面処理方法としては、例えば、難燃剤の粉砕と同時に行う方法や、予め粉砕した難燃剤と表面処理剤を混合して後から処理する方法が挙げられる。また、処理方法としては、溶媒を用いた湿式処理方法、溶媒を用いない乾式処理方法のいずれでもよい。
難燃剤の湿式処理に用いられる溶媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素等が用いられる。また、難燃剤の表面処理は、難燃性樹脂組成物の調製時に、難燃剤と樹脂等に表面処理剤を加えて組成物を混練する際に同時に処理を行う方法でもよい。
上記難燃性樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。難燃性樹脂組成物は、例えば、バンバリミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸混練押出機、ロール等の通常の混練機で、第1の樹脂、第2の樹脂、難燃剤、添加剤等の各成分を溶融混練して、均一に分散することで得られる。
難燃性樹脂組成物は、自動車、電子・電気機器に使用される部材や絶縁材料に利用することができ、特に絶縁電線の絶縁体層の形成材料として好適に用いられる。
本発明の絶縁電線は、通常の絶縁電線の製造に用いられる電線押出成形機等を用いて、上記の難燃性樹脂組成物を導体の周囲に押し出して導体を被覆することで、難燃性樹脂組成物を用いた絶縁体層が導体の周囲に形成されているものである。絶縁電線に用いられる導体は、通常の絶縁電線に使用されるものが利用できる。また絶縁電線の導体の径や絶縁体層の厚み等は、特に限定されず、絶縁電線の用途などに応じて適宜決めることができる。絶縁体層は、単層であっても、2層以上の複数層から構成しても、いずれでもよい。
以下、本発明の実施例、比較例を示す。
実施例1
第1の樹脂として官能基が導入されていない未変性のポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、商品名「EC7」、弾性率1200MPa、MFR0.5)40質量部、第2の樹脂として無水マレイン酸変性プロピレンA(弾性率2100MPa、官能基結合率88%)10質量部、難燃剤として水酸化マグネシウム(協和化学社製、商品名「キスマ5A」)49質量部、酸化防止剤(チバスペシャリテーケミカルズ社製、商品名「イルガノックス1010」)1質量部を、二軸混練機を用いて200℃で混合した後、ペレタイーザにてペレット状に成形して難燃性樹脂組成物のペレットを得た。このペレットを押出し成形機を用いて、軟銅線を7本撚り合わせた軟銅より線の導体(断面積:0.5mm)の外周に0.2mm厚で押し出して、難燃性樹脂組成物からなる絶縁体層により導体が被覆された絶縁電線を得た。
実施例2
実施例1の第2の樹脂の無水マレイン酸変性プロピレンAを無水マレイン酸変性プロピレンB(弾性率2100MPa、官能基結合率95%)に変えた以外は、実施例1と同様にして絶縁電線を製造した。
実施例3
実施例1の第2の樹脂の無水マレイン酸変性プロピレンAを無水マレイン酸変性プロピレンC(弾性率2100MPa、官能基結合率85%)に変えた以外は、実施例1と同様にして絶縁電線を製造した。
実施例4
実施例1の第2の樹脂の無水マレイン酸変性プロピレンAを無水マレイン酸変性プロピレンD(弾性率2100MPa、官能基結合率72%)に変えた以外は、実施例1と同様にして絶縁電線を製造した。
実施例5
実施例1の第2の樹脂の無水マレイン酸変性プロピレンAをアクリル酸変性プロピレンA(弾性率2100MPa、官能基結合率80%)に変えた以外は、実施例1と同様にして絶縁電線を製造した。
実施例6
実施例1の第2の樹脂の無水マレイン酸変性プロピレンAの配合量を10質量部から20質量部とし、ポリプロピレン樹脂の配合量を40質量部から30質量部とした以外は、実施例1と同様にして絶縁電線を製造した。
比較例1
実施例1の第2の樹脂の無水マレイン酸変性プロピレンAを無水マレイン酸変性プロピレンE(弾性率2100MPa、官能基結合率65%)に変えた以外は、実施例1と同様にして絶縁電線を製造した。
比較例2
実施例1の第2の樹脂の無水マレイン酸変性プロピレンAを無水マレイン酸変性プロピレンF(弾性率2100MPa、官能基結合率55%)に変えた以外は、実施例1と同様にして絶縁電線を製造した。
比較例3
実施例1の第2の樹脂の無水マレイン酸変性プロピレンAを無水マレイン酸変性プロピレンG(弾性率2100MPa、官能基結合率45%)に変えた以外は、実施例1と同様にして絶縁電線を製造した。
比較例4
実施例1の第2の樹脂の無水マレイン酸変性プロピレンAをアクリル酸変性プロピレンB(弾性率2100MPa、官能基結合率50%)に変えた以外は、実施例1と同様にして絶縁電線を製造した。
比較例5
実施例1の第2の樹脂の無水マレイン酸変性プロピレンAを無水マレイン酸変性プロピレンH(弾性率800MPa、官能基結合率72%)に変えた以外は、実施例1と同様にして絶縁電線を製造した。
実施例及び比較例において第2の樹脂として用いた無水マレイン酸変性プロピレンA〜Hと、アクリル酸変性プロピレンA〜Bは、変性剤として無水マレイン酸又はアクリル酸を用い、変性剤とプロピレンを混合し開始剤を加えてグラフト共重合させて製造した。第2の樹脂の官能基結合率は、反応温度、変性剤の添加量、開始剤の添加量等を調節することで調整した。グラフト共重合の際、反応温度を高くして、変性剤と開始剤の添加量を多くすると、官能基結合率は高くなる。
また上記の第2の樹脂の官能基結合率は、下記の滴定法により測定した。全マレイン酸量又は全アクリル酸の量は、製造した樹脂をナトリウムアルコラートで滴定して測定した。グラフトしているマレイン酸又はアクリル酸の量は、製造した樹脂を加熱して乾燥して未反応の酸成分を揮発させた後に、ナトリウムアルコラートで滴定して測定した。
実施例及び比較例で得られた絶縁電線を用いて、耐寒性試験及び耐摩耗性試験を行った。試験の結果を表1及び表2に示す。耐寒性試験方法及び耐摩耗性試験方法は下記の通りである。
〔耐寒性試験方法〕
JIS C3055に準拠して行った。すなわち、実施例、比較例の絶縁電線を38mmの長さに切断し試験片とし、試験片を耐寒性試験機に装着し、所定の温度まで冷却し、打撃具で打撃して、試験片の打撃後の状態を観察した。5本の試験片を用いて、5本の試験片が全て割れた温度を耐寒温度とした。
〔耐摩耗性試験方法〕
社団法人自動車技術規格「JASO D611−94」に準拠して、ブレード往復法により試験を行った。すなわち、実施例、比較例の絶縁電線を750mmの長さに切り出して試験片とした。そして、23±5℃の室温下で試験片の被覆材(絶縁体層)に対し軸方向に10mm以上の長さでブレードを毎分50回の速さで往復させ、導体に接するまでの往復回数を測定した。この際、ブレードにかかる加重は、7Nとした。回数については200回以上のものを合格とし、200回未満のものを不合格とした。
Figure 2010248378
Figure 2010248378
表1に示すように、実施例1〜6は全て耐寒性が良好であり、耐摩耗性が合格であった。比較例1〜5は全て耐摩耗性が不合格であった。

Claims (8)

  1. ポリオレフィン系樹脂からなる第1の樹脂と、官能基を含む変性剤により変性されているポリオレフィン系樹脂からなる第2の樹脂と、難燃剤とを少なくとも含有する難燃性樹脂組成物であって、前記第2の樹脂は、弾性率が1000MPa以上であり、該第2の樹脂中の全官能基量に対する樹脂に結合している変性剤の官能基量の割合で表される官能基結合率(質量%)が、70%以上であることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 前記第2の樹脂は、該第2の樹脂の全質量に対する前記全官能基量の割合で表される変性率(質量%)が0.1〜10%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 前記難燃剤は、水酸化マグネシウムを主成分とするものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 前記第1の樹脂は、未変性のポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 前記第2の樹脂は、官能基を有するポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 前記官能基は、カルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルケニル環状イミノエーテル基、及びシラン基から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 前記第2の樹脂が、組成物中の前記第2の樹脂を除く成分100質量部に対し、10〜30質量部配合されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載の難燃性樹脂組成物を用いた絶縁体層が、導体の周囲に形成されていることを特徴とする絶縁電線。
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