JP2010248325A - シート状発光体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蛍光性シリコンナノ粒子が透明樹脂内に分散されてシート状に成型されたシート状発光体で、該シート状発光体の透明樹脂がシリコーン系樹脂。シート状発光体は、少なくとも長手方向に手指にて圧縮することで、湾曲変形する柔軟性を有し、又、前記シート状発光体において、シリコンナノ粒子の直径が3.0nm〜2.5nmで赤色発光、シリコンナノ粒子の直径が2.4nm〜2.3nmで橙色発光或いはシリコンナノ粒子の直径が2.2nm〜2.0nmで緑色発光、或いは、シリコンナノ粒子の直径が1.9nm〜1.5nmで青色発光する。
【選択図】図10
Description
一方、前記のような発光中心元素を用いずに発光させるシリコンナノ粒子が注目を集めている。
当該シリコンナノ粒子は、紫外光から可視光までの光を照射することで粒子の大きさに依存した可視領域(青色〜赤色)発光を得ることができる。
発明2は、発明1にシート状発光体において、前記透明樹脂がシリコーン系樹脂であることを特徴とする。
発明3は、発明1又は2にシート状発光体において、少なくとも長手方向に手指にて圧縮することで、湾曲変形する柔軟性を有していることを特徴とする。
発明4は、発明1又は3にシート状発光体において、前記シリコンナノ粒子の直径が3.0nm〜2.5nmで、赤色発光することを特徴とする。
発明5は、発明1又は3にシート状発光体において、前記シリコンナノ粒子の直径が2.4nm〜2.3nmで、橙色発光することを特徴とする。
発明6は、発明1又は3にシート状発光体において、前記シリコンナノ粒子の直径が2.2nm〜2.0nmで、緑色発光することを特徴とする。
発明7は、発明1又は3にシート状発光体において、前記シリコンナノ粒子の直径が1.9nm〜1.5nmで、青色発光することを特徴とする。
なお、シリコンナノ粒子が大気中などの酸化環境下において保存された場合、数分の間に発光強度は低下し、しかも発光色が変色する欠点があった。しかし、本発明により、シリコンナノ粒子は透明樹脂により包まれてしまうので、発光強度の不安定性を一掃することができた。
本発明では、この粒子の発光能力を発現させながら、シート状にすることが重要で、そのバインダー材である樹脂は、粒子が発光する光のみならず、これを励起する励起源を透過し得る透明性を有するものである。
必要とする透明性の度合いはシートの厚さにより、より高い透明性が要求されることとなる。
また、高い透明性を維持する観点からシリコンナノ粒子との親和性を有するものが望ましい。
本実施例では、シリコーン樹脂をバインダー材として使用したが、これ以外にも前記シリコンナノ粒子と親和性があり、かつ透明性のある樹脂であれば問題はない。
また、この樹脂が柔軟性を有していれば、機械構造的な自由度も増すことになるので利用上は好ましいものである。しかし、硬質であっても、発光性能に何ら問題を有するものではないのは当然である。
このようにして得られたシリコンナノ粒子の分散液を超遠心分離装置により繰り返し分離することで、0.1nmレベルで分級することができた。
その結果、所望の色を高い純度で高輝度に発光させることができるに至ったものである。
以下の実施例では、遠心分離の遠心力と処理時間とを同じにして繰り返したが、要求される分級制度などにより、適宜変更することは容易に類するできることである。
また、遠心分離を行うに当たりその粒子の分散濃度を調整することによっても、分級精度を調整することは可能である。
まず、高周波スパッタリング法と1100℃、60分間での熱処理の併用により、基板4上に所定のサイズをしたシリコンナノ粒子2を多数含有した酸化ケイ素膜5を形成する(図6(A))。高周波スパッタリング法は、シリコンナノ粒子の製造過程において、概ねのサイズに制御されたナノ粒子を生成することが可能である。
本実施例では、可視領域での発光を得ることができる1.5nm〜3.0nmの範囲内のサイズをしたシリコンナノ粒子を生成した。
次に、ヒーターを備え、純水を収容する恒温水槽内に、フッ酸水溶液6を収容するテフロン容器を設置する(図6(B))。このとき、フッ酸水溶液6の濃度は20〜40%である。また、ヒーターの設定温度は40℃である。そして、テフロン容器内に、前記シリコンナノ粒子2含有酸化ケイ素膜5を載置する基板1を浸漬し、フッ酸水溶液処理を行う(図6(B))。
この処理の際、時間は10分である。上記フッ酸水溶液処理においては、テフロン容器内のフッ酸水溶液6が酸化ケイ素膜5を表面から徐々に溶解していく。
その結果、シリコンナノ粒子2のほとんどはフッ酸水溶液6中に単一粒子状で分散されるが、わずかなシリコンナノ粒子2が基板4上に残留した状態になる。そこで、次に、フッ酸水溶液処理後のテフロン容器を、純水を収容する超音波洗浄器内に載置して、超音波処理を施し、基板4上に残留しているシリコンナノ粒子2を完全に剥離させる(図6(C))。この処理により、基板4から全てのシリコンナノ粒子2を単一粒子状で剥離させることができる。
そして、テフロン容器から基板1を取り出し、フッ酸水溶液6内にエタノールなどの有機溶媒7を添加しながらフッ酸水溶液6を従来公知の有機溶媒7に置換させ、超音波処理を施すことで有機溶媒7中にシリコンナノ粒子2を一様に分散させたエタノール分散液を得た。
この際、超音波処理で分散不可能になるシリコンナノ粒子2の含有量は、50mg/mlであるから、これより少ない濃度にする必要がある。最後に、シリコンナノ粒子2をマイクロピペットで抽出し、容器に入れ保存する(図6(D))。
また、シリコンナノ粒子2を保存した分散液を超遠心処理することで、サイズの分級を行うことが可能である。
この処理の際、回転数は10000rpmとし、時間は60分である。超遠心処理により、サイズの大きな(重量の重い)シリコンナノ粒子2(2.3nm〜3.0nm)はプラスティック容器の底に沈殿し、サイズの小さな(重量の軽い)シリコンナノ粒子2(1.5nm〜2.2nm)は有機溶媒7中に分散される。
そこで、1.5nm〜2.2nmのサイズをしたシリコンナノ粒子2が分散している有機溶媒7をプラスティック容器から排出し、再度、超遠心処理を施す。
これにより、1.5nm〜1.9nmのサイズをしたシリコンナノ粒子2は有機溶媒7中に分散され、2.0nm〜2.2nmのサイズをしたシリコンナノ粒子2はプラスティック容器の底に沈殿される。一方、2.3nm〜3.0nmのサイズをしたシリコンナノ粒子2が沈殿しているプラスティック容器に有機溶媒5を入れ、再度、超遠心処理を施す。これにより、2.3nm〜2.4nmのサイズをしたシリコンナノ粒子は有機溶媒中に分散され、2.5nm〜3.0nmのサイズをしたシリコンナノ粒子2はプラスティック容器の底に沈殿される。このように、超遠心処理を数回繰り返し行うことで、種々のサイズに分級させることができる。
また、この溶液内に分散されているシリコンナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真を図8に示す。図8中の○印の部分がシリコンナノ粒子2である。フッ酸水溶液処理と超音波処理を行ったシリコンナノ粒子2は、単一粒子状で存在しており、しかも、球形で存在していることがわかる。また、その後、超遠心処理を行うことで、シリコンナノ粒子2のサイズは、1.5nm〜1.9nm(図8(a))に、2.0nm〜2.2nm(図8(b))、2.3nm〜2.4nm(図8(c))、2.5nm〜3.0nm(図8(d))にそれぞれ分級されていた。
図1に、製造プロセスを示す。
シート状発光体をかたどるために、容器内にポリマー系樹脂材料1を添加する(図1(A))。このポリマー系樹脂材料1には、フレキシブルかつ伸縮可能な機能性を付加させるために、Sylgard 184 Silicone elastomer base(東レ・ダウコーニング株式会社製シリコーンエラストマー材の商品名、可視光透過率90〜95%、融点:120℃、軟化点:−40℃、ガラス転移点:−100℃〜−120℃、以下S184と記す。)を使用した。この材料は、加熱処理することで溶けだし、常温でゴム弾性を示すポリマー材料である。
また、ポリマー系樹脂材料1の一回の使用量は、4gである。この使用量は、作製後の有機シートのサイズに関係する。
次に、ポリマー系樹脂材料1に、単一粒子状態(パウダー形態)にある直径約1.9nmから約3.0nmの範囲で制御したシリコンナノ粒子2を添加し、撹拌装置(アズワン株式会社製撹拌機REXIM(P−1))を用いて撹拌する(図1(B))。このとき、シリコンナノ粒子2がポリマー系樹脂材料1内に一様に分散するよう十分に撹拌する。目安として、回転数は1000rpm、時間は10分である。また、添加するシリコンナノ粒子2の直径は、発光色に直接依存し、作製後の有機シートの蛍光色に関係している。さらに、ポリマー系樹脂材料1に対するシリコンナノ粒子2の添加量は、0.5mg/gである。この添加量は、発光輝度に直接依存し、本発明では最低0.1mg/gの添加量にて発光を肉眼で確認できた。その後、硬化剤3をマイクロピペットにて添加する(図1(C))。この硬化剤3には、Sylgard 184 Silicone elastomer curing agent(東レ・ダウコーニング株式会社製シリコーンエラストマー硬化剤の商品名、以下S184CAと記す。)を使用した。
また、硬化剤3の添加量は、シリコンナノ粒子2を混ぜ込んだポリマー系樹脂材料1の全質量の10分の1の量である。最後に、ポリマー系樹脂材料1を硬化させるために、シリコンナノ粒子2含有ポリマー系樹脂材料1の入った容器を低温恒温器(ヤマト科学株式会社製スタビリティ低温恒温器(IU400))内に挿入する(図1(D))。処理中の温度は、60℃に設定し、時間は、120分である。硬化したシリコンナノ粒子2含有ポリマー系樹脂材料1は、容器から取り出し、常温にて保存する。
図2は、実験番号1のシリコンナノ粒子含有有機シートの写真の一例である。作製した有機シートは、無色透明であった(図2(a))。この有機シートは自由自在に形状を変えることが可能である(図2(b))。また、有機シートのサイズは、3.5cm×6cmであり、このサイズは、数メートルオーダーまで作製することが可能である。
図3は、実験番号1の発光体の透過率スペクトルを示した。透過率は、紫外(350nm)から赤外(1000nm)の領域において95%の透過率を示した。
他の発光体においても同様な透過率を有しており、ナノ粒子の有無にかかわらず、透過率に変化はなかった。このことは、シリコンナノ粒子2の高い屈折率(4.2)が関与しており、シリコンナノ粒子がポリマー系樹脂材料内に一様に分散されていることを示している。
図4は、実験番号1の発光体の発光写真である。有機シートに紫外光から可視光までの光を直接照射することで、室内照明下において肉眼ではっきりと認識することができる輝度で赤色発光を確認できた(図4(a))。また、有機シートは形状を変形させても高輝度の赤色発光を得ることができた(図4(b))。この赤色発光は、ポリマー系樹脂材料1に約3.0nmの直径をしたシリコンナノ粒子2を添加したときの発光色である。図5は、実験番号1の発光体の発光スペクトルを示す。図4の発光写真に示した赤色発光は、630nmにピーク波長を示していた。
フレキシブルかつ伸縮可能な有機シートに可視領域で発光するシリコンナノ粒子を添加することで、大気、酸・アルカリ溶液などの環境下にて長期間安定した高輝度の発光を実現した。
2 シリコンナノ粒子
3 硬化剤
4 基板
5 酸化ケイ素膜
6 フッ酸水溶液
7 有機溶媒
Claims (7)
- 全面から蛍光を発するシート状発光体であって、蛍光性シリコンナノ粒子が透明樹脂内に分散されてシート状に成型されてなることを特徴とするシート状発光体。
- 請求項1に記載のシート状発光体において、前記透明樹脂がシリコーン系樹脂であることを特徴とするシート状発光体。
- 請求項1又は2に記載のシート状発光体において、少なくとも長手方向に手指にて圧縮することで、湾曲変形する柔軟性を有していることを特徴とするシート状発光体。
- 請求項1又は3に記載のシート状発光体において、前記シリコンナノ粒子の直径が3.0nm〜2.5nmで、赤色発光することを特徴とするシート状発光体。
- 請求項1又は3に記載のシート状発光体において、前記シリコンナノ粒子の直径が2.4nm〜2.3nmで、橙色発光することを特徴とするシート状発光体。
- 請求項1又は3に記載のシート状発光体において、前記シリコンナノ粒子の直径が2.2nm〜2.0nmで、緑色発光することを特徴とするシート状発光体。
- 請求項1又は3に記載のシート状発光体において、前記シリコンナノ粒子の直径が1.9nm〜1.5nmで、青色発光することを特徴とするシート状発光体。
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