JP2010247863A - 結束バンド - Google Patents

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Abstract

【課題】
配線・配管材の結束と、構造物の壁面に対する配線・配管材の支持との双方を可能にした結束バンドの提供である。
【解決手段】
バックルB1 と、当該バックルB1 に連結されるバンド体D1 とから成る結束バンドT1 であって、前記バックルB1 は、平板状に形成されて、前記バンド体D1 の他端部が表面側から挿入可能なバンド体挿入部6と、当該バンド体挿入部6から挿入されたバンド体D1 の他端部を掛け回して前記バックルB1 の外部に引出し可能にするためのバンド体掛け回し部2と、当該バックルB1 を構造物の壁面等の固定面に釘、ビス等の固定具により固定可能にするための固定孔7とを備え、前記バックルB1 は、前記固定面に固定された状態で、前記バンド体挿入部6から挿入されたバンド体D1 の他端部が、前記バンド体掛け回し部2と前記固定面との間に形成される掛け回し空間10を通過して、当該バックルB1 の先端側又は表面側から引き出されるように当該バックルB1 に挿通された構成とする。
【選択図】 図11

Description

本発明は、配線・配管材の結束と、構造物の壁面等の固定面に対する配線・配管材の支持との双方を可能にした配線・配管材の結束バンドに関するものである。なお、本明細書において「掛け回す」とは、バックルに形成された棒状の掛け回し部材にバンド体を反転状態で巻き付けて引っ掛けることをいう。
例えば、建設現場において仮設電源用のケーブルをループ状に巻回して運搬したり、或いは現場において発生する当該ケーブルの余長部を束ねるには、結束具が必要となる。一方、構造物の壁面等に沿って配線・配管材を配線・配管する場合には、当該配線・配管材を所定長毎に壁面等に保持固定させる必要がある。このように、配線・配管材に関しては、非使用時における結束と、使用時における壁面等に対する保持固定とが必要となるが、従来は、それぞれ個別の結束具、或いは保持具が使用されていた。
例えば、特許文献1に開示の結束具は、束ねられた線材を結束できるのみで、例えば1本或いは結束状態の線材を壁面に固定可能とする機能は備えていない。一方、特許文献2に開示の結束具は、バンド部の長手方向の一端部にロック部が連結され、当該ロック部に自動車のシャーシ等に設けられた穴に係止させるためのクリップ部が一体に形成された構成である。よって、バンド部とロック部により、束ねられた線材を結束した状態で、クリップ部を介して前記シャーシ等の穴に係止固定できる。特に、特許文献2の結束具のロック部は、ブロック状であるために、露出部に使用された場合には、スペースを占有すると共に、見栄えも悪い。しかも、特許文献2の結束具は、当該結束具を固定するシャーシ等の取付部材が前記クリップ部に対応した板厚を有する板状であること、及び板状をした当該取付部材に係止用の穴が明けられていることが必要であるため、構造物の壁面等には固定できない。
特開2003−319805号公報 特開平6−191551号公報
本発明は、配線・配管材の結束と、構造物の壁面等の固定面に対する配線・配管材の支持との双方を可能にした結束バンドの提供を課題としている。
上記課題を解決するための請求項1の発明は、バックルの基端側にバンド体が一体に連結され、当該バンド体の他端部が前記バックルに挿通されると共に、抜脱防止手段によって配線・配管材の結束状態では当該バックルに対して抜脱しないように当該バックルの他端側に連結される結束バンドであって、前記バックルは、平板状に形成されて、前記バンド体の他端部が表面側から挿入可能なバンド体挿入部と、当該バンド体挿入部から挿入されたバンド体の他端部を掛け回して前記バックルの外部に引出し可能にするためのバンド体掛け回し部と、当該バックルを構造物の壁面等の固定面に釘、ビス等の固定具により固定可能にするための固定孔とを備え、前記バックルは、前記固定面に固定された状態で、前記バンド体挿入部から挿入されたバンド体の他端部が、前記バンド体掛け回し部と前記固定面との間に形成される掛け回し空間を通過して、当該バックルの先端側又は表面側から引き出されるように当該バックルに挿通されることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、束ねられた配線・配管材を単に結束する場合には、当該束ねられた配線・配管材の外周に結束バンドのバンド体を巻き付けて、当該バンド体の他端部(自由端部)を、バックルの表面側からバンド体挿入部を通してバックル内部に挿入させて、バックルに設けられたバンド体掛け回し部に掛け回すことにより、抜脱防止手段によりバンド体の他端部の抜脱を防止すればよい。そして、複数本の配線・配管材が結束された状態では、結束バンドを構成するバックルが板状であって、当該バックルの部分が大きく突出しないので、結束された配線・配管材の取扱い時において当該バックルの部分が周辺の物品に引っ掛かったりする不具合がないと共に、バックルが薄いために、配線・配管材の結束状態の見栄えもよい。
一方、構造物の壁面等の固定面に沿って配線・配管される配線・配管材を所定長毎に保持して当該固定面に固定する場合には、平板状のバックルに形成された固定孔に釘、ビス等の固定具を挿通して、当該バックルを前記壁面等に固定すると、バックルのバンド体掛け回し部の背面と固定面との間には、バンド体を挿通可能な掛け回し空間が形成される。この状態で、構造物の固定面と配線・配管材との間で前記バックルが挟まれるようにして、当該配線・配管材を固定面に沿って配置し、この状態で、当該配線・配管材に巻き付けたバンド体の他端部を、前記バックルの表面側からバンド体挿入部を通してバックル内部に挿入して、前記掛け回し空間を通してバックル外部に引き出すことにより、当該バンド体の他端部は、前記バンド体掛け回し部に掛け回される。そして、抜脱防止手段によりバンド体の他端部の抜脱を防止すると、構造物の固定面と配線・配管材との間で平板状のバックルが挟まれた状態で、請求項1の発明に係る結束バンドを介して固定面に配線・配管材が支持される。バックルの背面側には、当該バックルを固定面に固定した状態で、固定面との間に薄帯状のバンド体が通過可能な掛け回し空間が形成可能な凹状部が形成されるが、当該凹状部の固定面に対して垂直な方向の寸法(深さ)は、薄帯状のバンド体の厚さよりも僅かに大きければよいので、当該寸法(深さ)は小さくなり、ひいてはバックルを薄くできる。このように、構造物の固定面と配線・配管材との間に配置されたバックルは厚さの小さい平板状にできるので、構造物の固定面に対して配線・配管材を支持する際にバックルが障害とならない(当該バックルの部分で配線・配管材が大きく手前側に浮き上がることはない)。バックルが厚さの小さい平板状であることは、結束バンドを本来の結束具として使用する場合においても、バックルが大きく出っ張らなくなって、障害とならない利点かある。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記抜脱防止手段は、バンド体の一面に形成されたファスナー面であって、前記バンド体掛け回し部に掛け回して反転させることにより、当該バンド体の他端部は、前記ファスナー面が内側となるように二枚重ね状態にして互いに引っ掛けることにより、バックルに抜脱しないように連結されることを特徴としている。
請求項2の発明によれば、バンド体の一面がファスナー面となっているため、バックルのバンド体掛け回し部に掛け回されて反転されたバンド体の他端部を二枚重ねにして当該バンド体の他の部分にファスナーを介して互いに引っ掛かる。よって、配線・配管材の周長に対応した任意の位置で、バンド体の他端部が残りの部分に引っ掛けられて、バンド体が抜脱しなくなる。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記バンド体掛け回し部は、バックルの先端側に形成され、前記固定面にバックルを固定した状態で、当該バンド体の他端部は、当該バンド体掛け回し部の背面側と前記固定面との間に形成された掛け回し空間を通ってそのまま前記バックルの先端側に引き出される構成であることを特徴としている。
請求項3の発明によれば、構造物の壁面等の固定面に沿って配線・配管された配線・配管材を支持するには、固定孔を利用して前記壁面等にバックルを固定した後に、当該バックルの手前側に配置された配線・配管に対してバンド体を巻き付けた状態で、当該バンド体の先端部をバックルのバンド体挿入部に挿入した後に、バンド体掛け回し部の背面側の掛け回し空間を通ってそのままバックルの先端側に引き出すと、前記バンド体の先端部はバックルから抜け出る。その後に、バンド体に張力を加えて配線・配管材に対してしっかり巻き付けた状態で、抜脱防止手段によりバンド体の先端部の抜脱を防止すると、請求項3の発明に係る結束バンドを介して構造物の固定面に配線・配管材が支持固定される。このように、バックルの前面側から内部に挿通されたバンド体の先端部は、そのままバンド体掛け回し部の背面側の掛け回し空間を通って当該バックルの先端側に抜け出るので、換言すると、バックルの前面側から内部に挿通されたバンド体の先端部は、90°以下のわん曲角度でもって、バックルのバンド体掛け回し部の背面側を通して外部に抜け出すことが可能であるので、バックルに対するバンド体の挿通作業が容易となる。
また、請求項4の発明は、バックルの基端側にバンド体が一体に連結され、当該バンド体の他端部が前記バックルに挿通されると共に、抜脱防止手段によって配線・配管材の結束状態では当該バックルに対して抜脱しないように当該バックルの他端側に連結される結束バンドであって、前記バックルは、平板状に形成されて、前記バンド体の他端部が表面側から挿入可能なバンド体挿入部と、当該バンド体挿入部の内側面となる部分に形成されたバンド体係止部と、前記バックルを構造物の壁面等の固定面に釘、ビス等の固定具により固定可能にするための固定孔とを備え、前記バックルは、前記固定面に固定された状態で、前記バンド体挿入部から挿入されたバンド体の他端部が、前記固定面との間で形成された引き出し空間を通過して、当該バックルの先端側又は表面側から引き出されることにより、前記バンド体は前記バンド体係止部に係止されることを特徴としている。
請求項4の発明は、請求項1の発明に対して以下の作用が異なり、配線・配管材の結束時、或いは構造物の固定面に対する配線・配管材の支持固定時における基本的な作用は請求項1の発明と同一である。即ち、前記バンド体挿入部から挿入されたバンド体の他端部が、前記固定面との間で形成された引き出し空間を通過して、当該バックルの先端側又は表面側から引き出されることにより、前記バンド体は前記バンド体係止部に係止される構成であるので、バンド体の他端側をバックルの内部に挿入する操作のみにより、バンド体はバンド体係止部に係止されて、バックルに挿通されたバンド体が抜脱しなくなって、バックルに対してバンド体が緩まないように固定される。従って、配線・配管材を結束したり、構造物の固定面に支持したりする際に、配線・配管材の周長に対応するベルト長を確保して、緩まない状態にする作業が容易となる。
また、請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記抜脱防止手段は、前記バックルに形成された係止部である係止爪と、前記バンド体の一面に縦断面で鋸刃状となるように長手方向に形成されて、前記係止爪と係止可能な被係止爪とから成り、当該バンド体の他端部を前記引き出し空間から引き出すことにより、バックルの係止爪とバンド体の被係止爪とが互いに係止する構成であることを特徴としている。
請求項5の発明によれば、バンド体の一面には、バンド体挿入部の内側面に形成されたバンド体係止部に係止する被係止部が長手方向に沿って形成されているので、バックルの係止部に対するバンド体の係止状態が一層確実となって、配線・配管材を結束したり、構造物の固定面に支持固定したりする際において、バンド体が緩むのを一層確実に防止できる。
また、請求項6の発明は、請求項4又は5の発明において、前記バンド体係止部が形成された係止部形成部は、バックルの先端側に形成されて、前記固定面にバックルを固定した状態で、当該バンド体の他端部は、前記係止部形成部の背面と前記固定面とで形成された引き出し空間を通通過して、前記バックルの先端側に引き出される構成であることを特徴としている。
請求項6の発明の作用効果は、バックルの表面側から内部に挿通されたバンド体を、係止部形成部の背面と構造物の固定面との間に形成された引き出し空間を通してバックルの先端側に引き出すのみで、バンド体が抜脱されなくなる基本的作用を除いて、請求項3の発明の作用効果と同一である。
本発明によれば、同一の結束バンドにより、配線・配管材を結束できるのみならず、バックルに設けられた固定孔の利用により、構造物の壁面等の固定面に配線・配管材を保持固定することもできる。特に、後者の場合には、バックルの固定孔を利用して当該バックルを構造物の固定面に固定した状態で、バックルのバンド体掛け回し部又はバンド体係止部を形成している部分と、壁面等の固定面との間には、当該バックルの表面側から内部に挿通されたバンド体の先端部を通過させられる掛け回し空間又は引き出し空間が形成されるので、バックルの手前側に配置された配線・配管材に巻き付けられて、バックルの内部に挿通されたバンド体の先端部を外部に引き出す操作を容易に行える利点がある。
実施例1の結束バンドT1 の斜視図である。 (a)は、結束バンドT1 を構成するバックルB1 の部分の拡大平面図であり、(b),(c)は、それぞれ(a)のU1 −U1 線及びU2 −U2 線の各断面図である。 (a),(b)は、それぞれバックルB1 を表面側及び裏面側から見た斜視図である。 図3(b)のV−V線断面図である。 複数本のケーブルC1 を結束バンドT1 を用いて結束した状態の斜視図である。 建設現場で使用されるケーブルC2 の非使用時において、ループ状に束ねられた当該ケーブルC2 が結束バンドT1 により結束された状態の斜視図である。 ケーブルC2 の使用時において当該ケーブルC2 の余長部C2aを直線状に束ねて、結束バンドT1 により結束された状態の斜視図である。 壁面W1 に沿って配線されたケーブルC3 が結束バンドT1 によりポイント的に支持固定された状態の斜視図である。 壁面W1 に結束バンドT1 のバックルB1 が固定された状態の斜視図である。 壁面W1 に配線されたケーブルC3 をバンド体D1 で保持するために、当該バンド体D1 の他端部をバックルB1 のバンド体掛け回し部2に掛け回している状態の断面図である。 壁面W1 に配線されたケーブルC3 が結束バンドT1 によりポイント的に保持固定された状態の断面図である。 (a),(b)は、それぞれ吊下げ保持具Eを異なる方向から見た斜視図である。 作業者のベルト60に通した吊下げ保持具Eに多数の結束バンドT1 を吊り下げて保持した状態の斜視図である。 (a)は、実施例2の結束バンドT2 のバックルB2 の部分の平面図であり、(b)は、(a)のX−X線断面図である。 実施例3の結束バンドT3 の斜視図である。 (a)は、結束バンドT3 のバックルB3 の部分の平面図であり、(b)は、(a)のY−Y線断面図である。
以下、複数の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。
図1〜図4には、実施例1の配線・配管材の結束バンドT1 が示されている。図1は、結束バンドT1 の斜視図であり、図2(a)は、結束バンドT1 を構成するバックルB1 の部分の拡大平面図であり、同(b),(c)は、それぞれ同(a)のU1 −U1 線及びU2 −U2 線の各断面図であり、図3(a),(b)は、それぞれバックルB1 を表面側及び裏面側から見た斜視図であり、図4は、図3(b)のV−V線断面図である。結束バンドT1 は、構造物の壁面、天井面等に固定可能な所定厚さの板状をしたバックルB1 と、当該バックルB1 に一端部が連結されたバンド体D1 とから成る。
バックルB1 は、樹脂の射出成形品であって、表面側及び裏面側の双方が平面状の板状をなしていると共に、全体が矩形枠状をしたバックル本体1を備え、当該バックル本体1におけるバンド体D1 の長手方向の両端部は、バックル本体1の全体形状である矩形枠の対向辺をそれぞれ形成していて、それぞれ当該バックル本体1内に挿通されたバンド体D1 の他端側(非連結側)を掛け回すためのバンド体掛け回し部2、及び折り返されて二枚重ねとなったバンド体D1 の一端部を上側から挟持するように支持する上側バンド体支持部3となっている。バックル本体1の全体形状である矩形枠の対向辺を形成するバンド体掛け回し部2及び上側バンド体支持部3は、各上面がバックル本体1の全体の上面と同一平面となっているが、各板厚は、バックル本体1の全体厚(L3)に対してほぼ半分、或いは半分よりも小さくなっている。従って、掛け回し部2及び上側バンド体支持部3の下側の面は、バックル本体1の下面に対して大きく板厚方向にずれている。掛け回し部2がバックル本体1の下面に対して大きく板厚方向にずれていることにより、当該バックル本体1を壁面等に固定すると、掛け回し部2と壁面等の固定面との間に空間部が形成され、当該空間部は、前記掛け回し部2に対してバンド体D1 の掛け回しを可能にするための掛け回し空間10として機能する。即ち、図2(b),(c)及び図3(b)に示されるように、バックルB1 の背面側の掛け回し部2の部分は、凹状に形成されているが、前記掛け回し空間10の壁面W1 に対して垂直な方向の寸法(凹状の部分の深さ)は、薄帯状のバンド体D1 を通過させられる寸法であればよいので、当該バンド体D1 の厚さよりも僅かに大きな寸法であればよい。従って、掛け回し部2の背面側に形成された凹状の部分の深さは浅くできて、結果として、バックルB1 を薄い板状にできる。このため、後述のように、結束バンドT1 を本来の結束具として使用する場合には、当該バックルB1 が表面側に露出しても、大きな突出物となって周辺物品に引っ掛かったりしなくなると共に、当該バックルB1 が目立たないために、結束された配線・配管材の見栄えもよくなる。一方、壁面等に配線・配管材を配線・配管する際に、結束バンドT1 を当該配線・配管材の支持具として使用する場合においても、バックルB1 が薄いために、当該バックルB1 の上に配線・配管材が配置されても、当該配線・配管材が手前側に大きく膨出しなくなって、配線・配管状態の見栄えがよくなる。なお、実施例1の平面形状が矩形状のバックル本体1の〔縦(L1 )×横(L2 )×厚さ(L3 )〕=(33×32.5×6.6mm)であって、バックル本体1が薄いことが分かる。
また、矩形枠状のバックル本体1の他の対向辺を構成する一対の側板部4は、当該バックル本体1の全体厚(L3)と同一の高さを有していて、各側板部4の上面、及び下面は、バックル本体1の上面及び下面と一致している(図3及び図4参照)。一対の側板部4の間には、前記掛け回し部2との間に所定の間隔をおいて固定孔形成部5が掛け渡されている。その結果、掛け回し部2と固定孔形成部5との間の空間部は、バンド体D1 の他端部をバックルB1 内に挿入可能にするためのバンド体挿入部6となっている。固定孔形成部5の長手方向(バンド体D1 の長手方向と直交する方向)の中央部には、バックルB1 を構造物の壁面、天井面等に固定するための釘、ビス等の固定具を挿通するための固定孔7が貫通して形成されている。固定孔7の表側の端部には、釘Nの頭部Naを収容するための頭部収容部7aが形成されている。なお、一対の側板部4の間に掛け渡された固定孔形成部5の固定孔7が形成されている部分を除く残りの部分は、その上下両面にそれぞれ凹部8,9が形成されている。
バンド体挿入部6を通してバックルB1 内に挿通されたバンド体D1 の先端部を掛け回すための掛け回し部2の断面は矩形状であるが、各コーナー部は、バンド体D1 との接触による損傷をなくすためにアール面取りされている。また、結束バンドT1 を用いてケーブルを結束する場合には、バックル本体1の表面側が当該ケーブルに密着して、その背面側が露出するために、バックル本体1を構成する一対の側板部4の掛け回し部2に接続する側の下端面は、取り扱い時において周辺物品との引っ掛かり等を防止するためにわん曲面に形成されている。
一対の側板部4における上側バンド体支持部3と固定孔形成部5との間であって、バックル本体1の上面よりも僅かに下がった部分には、バンド体巻掛け部11が掛け渡された形態で設けられていて、当該バンド体巻掛け部11の前後の空間部は、いずれもバンド体巻掛け空間部12,13となっている。また、バックル本体1の裏面側(下面側)には、固定孔形成部5からバンド体連結側の端面に至る間の下面開口を閉塞して、前記バンド体巻掛け部11に巻き掛けられて二枚重ねとなったバンド体D1 を下面側から支持するための矩形状の下側バンド体支持板部14が一方の側板部4にヒンジ連結部15を中心にして回動可能に連結されている。当該ヒンジ連結部15は、バックル本体1の射出成形時において、直線状の連結部を残存させることにより成形される。ヒンジ連結部15におけるヒンジ連結部15と対向する辺部には、係止凹部16が形成され、他方の側板部4の内側面における下側バンド体支持板部14の係止凹部16に対応する部分には、当該係止凹部16と係止可能な係止凸部17が突設されている。そして、図2に示されるように、バンド体D1 の一端部をバンド体巻掛け部11に巻き掛けて反転させることにより二枚重ねとなった部分は、上側バンド体支持部3と下側バンド体支持板部14との間で挟持されることにより、バックル本体1の基端側にバンド体D1 の一端部が連結される。また、上側バンド体支持部3の裏面(下面)には、バンド体D1 の幅方向に沿って突条18が形成されており、バンド体D1 が上側バンド体支持部3と下側バンド体支持板部14との間で挟持された状態で、前記突条18がバンド体D1 内に喰い込むことにより、バックル本体1に対してバンド体D1 が素抜けるのを防止している。なお、図2及び図3において、19は、バックルB1 を射出成形する際に、前記係止凸部17を成形するためのスライド型(図示せず)により形成された切欠き凹部を示す。
一方、帯状のバンド体D1 は、基布21の一面のみが全長に亘ってファスナー面21aとなっている。バックルB1 に対するバンド体D1 の表裏の関係は、当該バックルB1 にバンド体D1 を連結した状態で、バックルB1 の裏面側にファスナー面21aが配置されるようになっている。なお、バックルB1 にバンド体D1 の一端部を折り返して二枚重ねにして、バンド体巻掛け部11に巻き掛けて連結する際には、バンド体D1 のファスナー面21aが内側に配置されるため、バンド体D1 におけるバックル本体1に連結される二枚重ねの部分は、ファスナー面21aを介して引っ掛かることにより互いに取着し合っている。
次に、図5〜図7を参照して、上記した結束バンドT1 を用いて給電用のケーブルC1 を結束する場合について説明する。図5は、パイプシャフト(図示せず)内に配置される複数本のケーブルC1 を結束バンドT1 を用いて結束した状態の斜視図であって、複数本のケーブルC1 の外周の長手方向に沿って所定間隔をおいた複数の部分にバンド体D1 を巻き付けて、当該バンド体D1 の他端部をバックルB1 のバンド体挿入部6を通して掛け回し部2に掛け回した後に、当該バンド体D1 の余長部を、複数本のケーブルC1 の外周に巻き付けられているバンド体D1 に重ね合わせて、ファスナー面21aを互いに引っ掛けて取着させると、複数本のケーブルC1 が結束バンドT1 により結束される。バックルB1 が板状であるために、複数本のケーブルC1 を結束した状態において大きく突出しないので、結束された複数本のケーブルC1 を取り扱う際に、バックルB1 が障害にならない。
また、図6及び図7は、それぞれ建設現場で使用されるケーブルC2 の非使用時において、ループ状に束ねられた当該ケーブルC2 が結束バンドT1 により結束された状態、及び使用時においてケーブルC2 の余長部C2aを直線状に束ねて結束バンドT1 により結束された状態の斜視図である。いずれの状態においても、ループ状、或いは直線状に束ねられたケーブルC2 を結束バンドT1 により結束する操作は、上記した通りである。
いずれの結束状態においても、バックルB1 が板状であるために、当該バックルB1 が複数本のケーブルC1 ,C2 の外周面に密着した状態で、表面側に大きく突出しないので、結束状態のケーブルC1 ,C2 を取り扱う際に、バックルB1 が周辺の物品に引っ掛かったり、或いは作業者の身体の一部を引っ掛けて怪我をする恐れがないと共に、結束状態の複数本のケーブルC1 ,C2 の見栄えも良好である。
次に、図8〜図11を参照して、上記した結束バンドT1 を用いて、構造物の壁面・天井面等に沿って配線されるケーブルC3 をポイント的に当該壁面・天井面等に支持固定する場合について説明する。図8は、壁面W1 に沿って配線されたケーブルC3 が結束バンドT1 によりポイント的に支持固定された状態の斜視図であり、図9は、壁面W1 に結束バンドT1 のバックルB1 が固定された状態の斜視図であり、図10は、壁面W1 に配線されたケーブルC3 をバンド体D1 で保持するために、当該バンド体D1 の他端部をバックルB1 の掛け回し部2に掛け回している状態の断面図であり、図11は、壁面W1 に配線されたケーブルC3 が結束バンドT1 によりポイント的に保持固定された状態の断面図である。図8に示されるように、壁面W1 どうし、或いは壁面W1 と天井面W2 とで形成される各入隅部に沿って壁面W1 にケーブルC3 が配線される場合があり、この場合には、配線方向に沿って所定間隔をおいてポイント的にケーブルC3 を保持固定する必要があり、ケーブルC1 ,C2 の結束が可能である同一の結束バンドT1 を用いて、ケーブルC3 を保持固定できる。
まず、図8に示されるように、壁面W1 におけるケーブルC3 の配線位置に沿って所定間隔をおいて結束バンドT1 のバックルB1 を釘Nを用いて固定しておく。即ち、結束バンドT1 を構成するバックルB1 のバックル本体1に設けられた固定孔7に釘Nを挿通して、当該釘Nを壁面W1 に打ち込むと、釘Nの頭部Naは、バックル本体1に形成された固定孔7の手前側の端部の頭部収容部7aに収容される結果、釘Nは、バックル本体1の表面から一切突出しない。これにより、バックル本体1の裏面(下面)が壁面W1 に密着して、バックル本体1の掛け回し部2と当該壁面W1 との間に、当該掛け回し部2にバンド体D1 の掛け回しを可能にするための掛け回し空間10が形成される(図9参照)。当該掛け回し空間10は、バックル本体1におけるバンド体D1 の長手方向に沿って当該バンド体D1 の連結側と反対の端部に形成されるので、バックル本体1の表面側からバンド体挿入部6を通して、当該バックル本体1の内部に挿通されたバンド体D1 は、90°或いはこれよりも僅かに大きなわん曲角度を形成して、前記掛け回し空間10を通ってそのままバックル本体1の先端側から引き出される。特に、バンド体挿入部6から挿入されたバンド体D1 の他端部(先端部)は、バックルB1 の表面側においてバンド体D1 を押し込むようにすると、当該バンド体D1 の他端部(先端部)は、掛け回し空間10を通って壁面W1 を滑るようにして、バックル本体1の側方に送り出すことが可能であるので、掛け回し部2にバンド体D1 の他端部を掛け回す初期操作が容易である。
次に、壁面W1 に固定された各バックルB1 は、ケーブルC3 の配線位置となっているので、当該各バックルB1 の固定位置に沿ってケーブルC3 を配線し、その後に、バンド体D1 の他端部をバックル本体1のバンド体挿入部6を通して、当該バックル本体1の内部に挿通させ、前記掛け回し空間10を通してバックル本体1の側方に引き出す。その後に、当該バンド体D1 の余長部を反転させることにより二枚重ねにして、内側に配置されたファスナー面21aを互いに密着させると、ケーブルC3 を保持しているバンド体D1 と、当該バンド体D1 の余長部D1aは、互いに引っ掛かることにより取着されて一体となる。これにより、ケーブルの結束ができる結束バンドT1 により、壁面W1 に沿って配線されるケーブルC3 をポイント的に保持固定することも可能となる。なお、結束バンドT1 は、束ねられた複数本のケーブルC1 ,C2 の結束を主たる機能としているために、バンド体D1 は、複数本のケーブルの結束が可能な長さを有しているため、壁面W1 に配線されたケーブルC3 を保持すると、余長部D1aが相当に長くなることがあるが、この場合には、当該余長部D1aの不要部分は切断除去すればよい。
また、構造物の壁面W1 とケーブルC3 との間に配置されたバックルB1 は平板状であるので、結束バンドT1 のバックルB1 を壁面W1 に固定した後に、壁面W1 に対してケーブルC3 を配線する際にバックルが障害とならない。また、ケーブルC3 が配線されて、当該ケーブルC3 が結束バンドT1 によりポイント的に支持された状態において、板状のバックルB1 はケーブルC1 の背面側に隠れると共に、ケーブルC3 における結束部分が手前側に大きく浮き上がることもないので、配線状態の見栄えもよい。
ここで、壁面W1 におけるケーブルC3 の配線位置に多数の結束バンドT1 のバックルB1 を所定間隔をおいて固定する際には、作業者は、多数の結束バンドT1 を保持しておく必要がある。この作業を行う際に、図12及び図13に示される吊下げ保持具Eに多数の結束バンドT1 を吊り下げて、作業者のベルト通し孔50に通しておくと、多数の結束バンドT1 の保持、及び取出しの各作業が容易となる。図12(a),(b)は、それぞれ吊下げ保持具Eを異なる方向から見た斜視図であり、図13は、作業者のベルト60に通した吊下げ保持具Eに多数の結束バンドT1 を吊り下げて保持した状態の斜視図である。
吊下げ保持具Eは、ベルト通し孔50を備えた金具取付け体51と、当該金具取付け体51の下端部に回動可能に連結された保持金具52とで構成される。金具取付け体51の表側の上下の各端部には、それぞれ突出部53,54が設けられていて、下方の突出部53の下面には、金具支持部55が設けられ、当該金具支持部55に、保持金具52の下端の回動支点部56が回動可能に連結されている。保持金具52は、1本の番線を長手方向の中央部で所定の間隔をおいてそれぞれ直角に折り曲げられ、直角に折り曲げられた各部分を所定間隔をおいて互いに平行となるようにU字状にわん曲させたものであって、U字状にわん曲された部分のわん曲方向に沿った一端部は、それぞれ元の番線の両端部が存在していて、当該両端部は更に内側に直角に折り曲げられて前記回動支点部56として機能すると共に、U字状にわん曲された部分のわん曲方向に沿った他端部(番線の長手方向の中央部)は、上方の突出部54の上面に設けられた係止突起部57に解除可能に係止される被係止部58となっている。従って、図12(a)で2点鎖線で示されるように、金具取付け体51の係止突起部57と保持金具52の被係止部58との係止を解除して、回動支点部56を支点にして保持金具52の被係止部58が金具取付け体51から離間する方向に回動させ、この状態において、結束バンドT1 のバックルB1 に設けられたバンド体挿入部6に保持金具52の被係止部58の部分を相対的に挿通させて、保持金具52に多数の結束バンドT1 を吊下げ保持させておく。
そして、金具取付け体51のベルト通し孔50を利用して、吊下げ保持具Eを作業者のベルト60に吊り下げて作業を行う。作業者は、結束バンドT1 を必要とする都度、金具取付け体51の係止突起部57と保持金具52の被係止部58との係止を解除して、1ないし複数本の結束バンドT1 を取り出した後に、再度、金具取付け体51の係止突起部57と保持金具52の被係止部58とを係止させておく。これにより、結束バンドT1 の紛失、及び当該結束バンドT1 を探す手間がなくなると共に、結束バンドT1 の取り出しが容易であるために、ケーブルC3 の配線作業の能率が高められる。なお、図12(b)において、59は、金具取付け体51の下端部の裏面側に設けられて、配線作業に必要な工具類を紐を介して吊り下げておくためのフックを示す。
次に、図14を参照して、実施例2の結束バンドT2 について説明する。図14(a)は、結束バンドT2 のバックルB2 の部分の平面図であり、同(b)は、同(a)のX−X線断面図である。実施例2の結束バンドT2 を説明するに際して、その基本構成、及びその使用方法は、実施例1の結束バンドT1 と同一であるので、同一部分には同一符号を付し、重複説明を避けて当該結束バンドT1 と異なる部分についてのみ説明する。
結束バンドT2 の掛け回し部2’は、バックル本体1’におけるバンド体D1 の長手方向に沿って当該バンド体D1 の基端側と反対側の端部である先端側ではなくて、当該端部に一対の側板部4を連結するように設けられた連結側板部22との間に所定の間隔をおいて設けられている。その結果、掛け回し部2’と固定孔形成部5との間には、バンド体D1 をバックル本体1’の内部に挿通させるためのバンド体挿入部6が形成されていると共に、当該掛け回し部2’と前記連結側板部22との間には、バンド体挿入部6を通してバックル本体1’内に挿通されたバンド体D1 をバックル本体1’から外部に引き出すためのバンド体引出し部23が形成されている。掛け回し部2’の背面側には、バックルB2 を壁面W1 等に釘Nを用いて固定した状態で、当該壁面W1 との間に、前記掛け回し部2’にバンド体D1 を掛け回し可能とする掛け回し空間10’が形成されている。断面視において連結側板部22のコーナー部における引出し用のバンド体引出し部23に臨む部分は、バックル本体1’内に挿入されたバンド体D1 をバックル本体1’内から引き出す際に、当該引き出しの当初においてバックル本体1’内のバンド体D1 が、押出し力により抜け出すのを容易にするために大きくアール面取りされている。他の構成は、実施例1の結束バンドT1 と同一である。
よって、結束バンドT2 をケーブルの結束用として使用する場合、及びバックルB2 を壁面W1 等に固定して、当該壁面W1 等にケーブルをポイント的に支持する場合のいずれにおいても、バンド体挿入部6からバックル本体1’内に挿通されたバンド体D1 は、バンド体引出し部23を通ることにより掛け回し部2’に掛け回されて、複数本のケーブルの結束、或いは壁面W1 等に配線されたケーブルのポイント的支持ができる。
壁面W1 等に配線されたケーブルをポイント的に支持する場合には、図14(b)に示されるように、バックル本体1’を壁面W1 等に釘Nを用いて固定すると、バックル本体1’の掛け回し部2’の背面と前記壁面W1 等との間に、掛け回し空間10’が形成されるので、当該掛け回し空間10’の存在により、バンド体挿入部6からバックル本体1’内に挿通されたバンド体D1 は、掛け回し空間10を通ってバンド体引出し部23からバックル本体1’の外部に抜け出ることにより、当該バンド体D1 は掛け回し部2’に支障なく掛け回される。そして、二枚重ねとなったバンド体D1 の他端部を重ね合わせると、内側面に形成された各ファスナー面21aが互いに引っ掛かって、当該バンド体D1 の他端部は、抜脱不能となる。
ここで、実施例1,2では、バックルB1 ,B2 の内部を通って掛け回し部2,2’に掛け回されて外部に引き出されたバンド体D1 の他端部が抜脱するのを防止する手段として、バンド体D1 の基布21の一方の面に形成されたファスナー面21aが用られている。しかし、特に、実施例2のように、バンド体D1 がほぼ反転して掛け回し部2’に掛け回される場合には、当該バンド体D1 の大きなわん曲又は屈曲と、前記掛け回し部2’とバンド体D1 との摩擦抵抗との相乗により、当該バンド体D1 の抜脱を防止することも可能である。更に、バックル内を通って外部に引き出されたバンド体の他端部を二枚重ねにする場合には、当該二枚重ねの部分をクリップ状をした留め具により一体化することにより、バンド体D1 の抜脱を防止することも可能である。
次に、図15及び図16を参照して、実施例3の結束バンドT3 について説明する。図15は、結束バンドT3 の斜視図であり、図16(a)は、結束バンドT3 のバックルB3 の部分の平面図であり、同(b)は、同(a)のY−Y線断面図である。実施例3の結束バンドT3 は、矩形板状のバックルB3 と、当該バックルB3 に一体に連結されたバンド体D3 とが、樹脂の射出成形により一体に形成されたものであって、前記した各実施例1,2に対して大きく異なる部分は、結束バンドT1 ,T2 に対してバンド体D3 の非連結側をバックルB3 に連結する構成である。
バックルB3 は、バックル本体1”におけるバンド体D3 の長手方向に沿ってバンド体D3 の非連結側にバンド体挿入部6”が幅方向(バンド体D3 の幅方向と同一方向)に形成されることにより、バックル本体1”におけるバンド体D3 の長手方向に沿ってバンド体D3 の非連結側に係止部形成部26が形成されている。当該係止部形成部26の背面には、結束バンドT3 を壁面W1 等に固定した場合に、当該壁面W1 との間に引き出し空間27が形成される。バックル本体1”の幅方向の中央部には、固定孔7が前記バンド体挿入部6”に近接して設けられている。
バンド体D3 の背面側であって、しかも幅方向の中央部には、縦断面が変則鋸刃状をした被係止部31がほぼ全長に亘って設けられている。変則鋸刃状の被係止部31を構成する単一の刃面32a,32bの形状は、一方の刃面32aがバンド体B3 の裏面に対してほぼ垂直となった直角三角形状である。被係止部31は、長手方向の両端部を除く全ての部分に連続して形成されている。バックル本体1”の係止部形成部26の内側面には、バンド体D3 の被係止部31が係止可能なバンド体係止部33が突出して形成されている。バンド体係止部33は、係止部形成部26に対して弾性変形可能となって一体に形成されていて、当該バンド体係止部33の先端面には、バンド体D3 の被係止部31の刃面32a,32bに対応する刃面が形成されている。また、バンド体挿入部6”を形成する対向内側面のうち前記バンド体係止部33と対向する側の内側面34の下半部は、当該バンド体挿入部6”から内部に挿通されるバンド体D3 の先端部の挿通案内を行えるようにわん曲して形成された挿通案内面となっている。
このため、ケーブルを結束する場合、及び壁面W1 等においてケーブルをポイント的に支持する場合のいずれにおいても、バンド体D3 の非連結側の先端部をバンド体挿入部6”から内部に挿通すると、当該バンド体D3 の先端部は、挿通案内面34に案内されることによりわん曲されて、バックル本体1”から抜け出ると共に、当該バンド体D3 は、その被係止部31と、バックル本体1”のバンド体係止部33とが係止しながら抜け出ることにより、抜け出し方向のみにバンド体D3 を引き出すことが可能であって、前記した被係止部31及びバンド体係止部33を構成する単一の刃の各刃面32a,32bの形状により、バックル本体1”から抜け出たバンド体D3 が抜脱されること(戻されること)はないので、常にロック状態となる。
また、壁面W1 等においてケーブルをポイント的に支持する場合においても、掛け回し部2”の背面と壁面W1 等との間には、バンド体D3 の引き出し空間27が形成されるので、バンド体挿入部6”から挿入されたバンド体D3 を引き出し空間27を通過させて、バックルB3 の先端側に引き出す操作をスムーズに行える。
実施例3の変形例として、バンド体D3 によりケーブルを結束した状態で内側となる部分に被係止部31が形成され、これに対応してバンド体挿入部6”における固定孔7が形成された側の内側面に、前記被係止部31と係止されるバンド体係止部33を形成することも可能である。更に、バンド体D3 の先端部は、バックルB3 の先端側からではなくて、実施例2のように表面側に引き出すようにすることも可能である。
実施例3の更に別の変形例としては、実施例2と同3とを組み合わせた形態も考えられる。即ち、図14(b)に示されるように、バンド体D1 の先端部をバックルB2 の表面側から挿入して、バンド体引出し部23から当該バックルB2 の表面側に引き出す構成において、バンド体D1 に形成された被係止部(バンド体D3 の被係止部31に相当する部分)と、掛け回し部2’の外周に形成された係止部とを係止させると、バンド体D1 を掛け回し部2’に掛け回した状態において、バンド体D1 の被係止部と掛け回し部2’の係止部との相互係止と、バンド体D1 自体が大きくわん曲されて掛け回し部2’に掛け回されていること自体との相乗によって、バンド体D1 の抜脱を一層確実に防止できる。
また、本発明に係る結束バンドは、複数本の配線・配管材を結束するという基本用途の他に、構造物の壁面等の固定面にバックルに形成された固定孔を利用して当該バックルを固定した状態で、固定面に対して配線・配管材をポイント的に支持する用途もある点に特徴が存在する。そして、後者の用途の場合には、図8で示される例では、2本のケーブルC3 をバンド体D1 により結束した状態で、当該結束状態のバンド体D1 を壁面W1 に支持しているが、1本のケーブルC3 のみを壁面W1 に沿って配線する場合においても、全く同様に本発明に係る結束バンドT1 の使用により、壁面W1 に沿って配線される1本のケーブルC3 をポイント的に支持することも当然に可能である。このようにケーブルが1本の場合には、バンド体D1 の機能は「結束」ではなくて、「支持」のみであり、このような使用例も、本発明に係る結束バンドの一使用例と言える。
また、結束バンドを構成するバックルを壁面等に固定する固定具は、釘の他にビスの場合もある。更に、上記各実施例では、バックルは、1本の釘により壁面等に固定される例であるが、バックルが大きくなった場合には、2箇所で支持することもある。
また、本発明に係る結束バンドは、構造物の壁面、天井面のみならず、床面にケーブルを配線する際において、当該ケーブルを結束状態で支持することも可能である。
なお、上記においては、結束、或いは壁面等にポイント的に支持する対象の配線材として、電力線としてのケーブルを挙げたが、信号線の場合もあり、更に、配管材を結束、或いは壁面において支持することもでき、当該配管材としては、給水管、給湯管、ガス管、排水管等が挙げられる。
1 〜B3 :バックル
1 〜C3 :ケーブル(配線・配管材)
1 ,D3 :バンド体
1a:バンド体の余長部
N:釘(固定具)
1 〜T3 :結束バンド
1 :壁面(固定面)
2 :天井面(固定面)
1,1',1" :バックル本体
2,2’:バンド体掛け回し部
6,6" :バンド体挿入部
7:固定孔
10,10’:掛け回し空間
21a:ファスナー面(抜脱防止部材)
26:係止部形成部
27:引き出し空間
31:バンド体の被係止部
33:バックルのバンド体係止部

Claims (6)

  1. バックルの基端側にバンド体が一体に連結され、当該バンド体の他端部が前記バックルに挿通されると共に、抜脱防止手段によって配線・配管材の結束状態では当該バックルに対して抜脱しないように当該バックルの他端側に連結される結束バンドであって、
    前記バックルは、平板状に形成されて、前記バンド体の他端部が表面側から挿入可能なバンド体挿入部と、当該バンド体挿入部から挿入されたバンド体の他端部を掛け回して前記バックルの外部に引出し可能にするためのバンド体掛け回し部と、当該バックルを構造物の壁面等の固定面に釘、ビス等の固定具により固定可能にするための固定孔とを備え、
    前記バックルは、前記固定面に固定された状態で、前記バンド体挿入部から挿入されたバンド体の他端部が、前記バンド体掛け回し部と前記固定面との間に形成される掛け回し空間を通過して、当該バックルの先端側又は表面側から引き出されるように当該バックルに挿通されることを特徴とする結束バンド。
  2. 前記抜脱防止手段は、バンド体の一面に形成されたファスナー面であって、前記バンド体掛け回し部に掛け回して反転させることにより、当該バンド体の他端部は、前記ファスナー面が内側となるように二枚重ね状態にして互いに引っ掛けることにより、バックルに抜脱しないように連結されることを特徴とする請求項1に記載の結束バンド。
  3. 前記バンド体掛け回し部は、バックルの先端側に形成され、前記固定面にバックルを固定した状態で、当該バンド体の他端部は、当該バンド体掛け回し部の背面側と前記固定面との間に形成された掛け回し空間を通ってそのまま前記バックルの先端側に引き出される構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の結束バンド。
  4. バックルの基端側にバンド体が一体に連結され、当該バンド体の他端部が前記バックルに挿通されると共に、抜脱防止手段によって配線・配管材の結束状態では当該バックルに対して抜脱しないように当該バックルの他端側に連結される結束バンドであって、
    前記バックルは、平板状に形成されて、前記バンド体の他端部が表面側から挿入可能なバンド体挿入部と、当該バンド体挿入部の内側面となる部分に形成されたバンド体係止部と、前記バックルを構造物の壁面等の固定面に釘、ビス等の固定具により固定可能にするための固定孔とを備え、
    前記バックルは、前記固定面に固定された状態で、前記バンド体挿入部から挿入されたバンド体の他端部が、前記固定面との間で形成された引き出し空間を通過して、当該バックルの先端側又は表面側から引き出されることにより、前記バンド体は前記バンド体係止部に係止されることを特徴とする結束バンド。
  5. 前記抜脱防止手段は、前記バックルに形成された係止部である係止爪と、前記バンド体の一面に縦断面で鋸刃状となるように長手方向に形成されて、前記係止爪と係止可能な被係止爪とから成り、当該バンド体の他端部を前記引き出し空間から引き出すことにより、バックルの係止爪とバンド体の被係止爪とが互いに係止する構成であることを特徴とする請求項4に記載の結束バンド。
  6. 前記バンド体係止部が形成された係止部形成部は、バックルの先端側に形成されて、前記固定面にバックルを固定した状態で、当該バンド体の他端部は、当該係止部形成部の背面と前記固定面とで形成された引き出し空間を通過して、前記バックルの先端側に引き出される構成であることを特徴とする請求項4又は5に記載の結束バンド。
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