JP2010247481A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 光学的に優れた特性を持ち、かつ、帯電による問題が防止されたポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 帯電防止剤およびガラス転移点が50℃以下であるアクリル系樹脂を含有する塗布液を、フィルムの片面に塗布した後、延伸して形成される塗布層を有するポリエステルフィルムであり、前記塗布液中で、帯電防止剤は溶解しており、アクリル系樹脂は、平均粒径が塗布層の厚さの1.5倍以下の状態で塗布液中に分散するかまたは溶解しており、かつ塗布層の厚さが70〜130nmの範囲であることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学特性を向上させ、また各種の上塗り剤に対する密着性の優れた塗布層を有するポリエステルフィルムに関するものである。
二軸延伸ポリエステルフィルムは、透明性、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、電気的特性などに優れ、さまざまな分野で使用されている。特に近年、偏光板や位相差板やそれに準じた積層体等の光学部材の表面保護フィルムや、コンピュータやテレビなどの液晶ディスプレイ等に用いられるレンズシート等の光学フィルムの基材などに用いられることが増えている。
かかる用途では、ポリエステルフィルム越しに他の部材の表面を検査するために使用される。また、フィルムを透過してきた光が製品の品質向上に寄与するために使用される。
しかし二軸延伸ポリエステルフィルムは、面方向に極めて高い屈折率を持っており、それゆえ空気との界面で光線の反射率が高い、あるいは透過光量が少ないという特性があり、これは光学用途に用いた場合などに問題となる場合がある。例えばPMMAやトリアセチルセルロースなどのシートの屈折率は1.5程度であり、空気界面での可視光線の反射率として4%程度であるのに対し、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの屈折率は1.65程度あり、反射率として6%程度にも達する。
この課題を解決するために、例えば特許文献1ではフィルムの片面に機能層を設け、その反対の面に反射防止コートを設ける手法が提案されている。この反射防止コートとしては、特許文献2で開示されているようなものを適用することも考えられる。
しかしかかる手法は、加工工程数の増加から、歩留りの低下やコストアップを招き、工業的な実用性に欠ける面がある。
また一方で、ポリエステルフィルムは、プラスチックフィルム共通の問題として、静電気が発生して帯電しやすいと言う特徴がある。そのためフィルム加工時あるいは加工製品の走行性不良や、周囲の埃等を引きつけるという問題を起こす。
この問題の解決のために、例えば特許文献3では、導電性金属酸化物微粒子による帯電防止層を設け、さらにその上に低屈折率の層を設けることを開示しているが、この手法も前述のような加工工程数の増加による問題をはらんでいる。また、金属微粒子を含む塗布層は、材料自体が光を吸収するため、フィルムに色が付いたり、光線の透過率の低下を招いたりする。
特開平2001−21706号公報 特開平11−305007号公報 特開2008−3122号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、光学的に優れた特性を持ち、かつ、帯電による問題が防止されたポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に関して鋭意検討を重ねた結果、特定の種類の化合物を含有する塗布層を特定の厚さ範囲において設けることにより、上記課題が解決されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、帯電防止剤およびガラス転移点が50℃以下であるアクリル系樹脂を含有する塗布液を、フィルムの片面に塗布した後、延伸して形成される塗布層を有するポリエステルフィルムであり、前記塗布液中で、帯電防止剤は溶解しており、アクリル系樹脂は、平均粒径が塗布層の厚さの1.5倍以下の状態で塗布液中に分散するかまたは溶解しており、かつ塗布層の厚さが70〜130nmの範囲であることを特徴とする積層ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、光学的に優れた特性を持ち、かつ、帯電による問題が防止されたポリエステルフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層ポリエステルフィルムの基材フィルムは、ポリエステルからなるものである。かかるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸のようなジカルボン酸またはそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのようなグリコールとを溶融重縮合させて製造されるポリエステルである。これらの酸成分とグリコール成分とからなるポリエステルは、通常行われている方法を任意に使用して製造することができる。
例えば、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとの間でエステル交換反応をさせるか、あるいは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接エステル化させるかして、実質的に芳香族ジカルボン酸のビスグリコールエステル、またはその低重合体を形成させ、次いでこれを減圧下、加熱して重縮合させる方法が採用される。その目的に応じ、脂肪族ジカルボン酸を共重合しても構わない。
本発明のポリエステルとしては、代表的には、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられるが、その他に上記の酸成分やグリコール成分を共重合したポリエステルであってもよく、必要に応じて他の成分や添加剤を含有していてもよい。
本発明におけるポリエステルフィルムには、フィルムの走行性を確保したり、キズが入ることを防いだりする等の目的で粒子を含有させることができる。このような粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化アルミニウム、酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、さらに、ポリエステル製造工程時の析出粒子等を用いることができる。
用いる粒子の粒径や含有量はフィルムの用途や目的に応じて選択されるが、平均粒径に関しては、通常は0.01〜5.0μmの範囲である。平均粒径が5.0μmを超えるとフィルムの表面粗度が粗くなりすぎたり、粒子がフィルム表面から脱落しやすくなったりする。平均粒径が0.01μm未満では、表面粗度が小さすぎて、十分な易滑性が得られない場合がある。粒子含有量については、ポリエステルに対し、通常0.0003〜1.0重量%、好ましくは0.0005〜0.5重量%の範囲である。粒子含有量が0.0003重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、1.0重量%を超えて添加する場合には、フィルムの透明性が不十分な場合がある。なおフィルムの透明性、平滑性などを特に確保したい場合には、実質的に粒子を含有しない構成とすることもできる。また、適宜、各種安定剤、潤滑剤、帯電防止剤等をフィルム中に加えることもできる。
本発明のフィルムの製膜方法としては、通常知られている製膜法を採用でき、特に制限はない。例えば、まず溶融押出によって得られたシートを、ロール延伸法により、70〜145℃で2〜6倍に延伸して、一軸延伸ポリエステルフィルムを得、次いで、テンター内で先の延伸方向とは直角方向に80〜160℃で2〜6倍に延伸し、さらに、150〜250℃で1〜600秒間熱処理を行うことでフィルムが得られる。さらにこの際、熱処理のゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムは、単層または多層構造である。多層構造の場合は、表層と内層、あるいは両表層や各層を目的に応じ異なるポリエステルとすることができる。
本発明の塗布層は、フィルムの製膜中に塗布層を設ける、いわゆるインラインコーティング、特に塗布後に延伸を行う塗布延伸法により設けられる。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから二軸延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸シート、その後に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルムの何れかにコーティングする。特に塗布延伸法としては、一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。
かかる方法によれば、製膜と塗布層塗設を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、コーティング後に延伸を行うために、薄膜で均一なコーティングとなるために塗布層の特性が安定する。また、二軸延伸される前のポリエステルフィルム上を、まず塗布層を構成する樹脂層で被覆し、その後フィルムと塗布層を同時に延伸することで、基材フィルムと塗布層が強固に密着することになる。また、ポリエステルフィルムの二軸延伸は、テンタークリップによりフィルム端部を把持しつつ横方向に延伸することで、フィルムが長手/横手方向に拘束されており、熱固定において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかける事ができる。それゆえ、コーティング後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、塗布層の造膜性が向上し、また塗布層とポリエステルフィルムが強固に密着する。塗布層を設けたポリエステルフィルムとして、塗布層の均一性、造膜性の向上および塗布層とフィルムの密着は好ましい特性を生む場合が多い。
この場合、用いる塗布液は、取扱い上、作業環境上、安全上の理由から水溶液または水分散液であることが望ましいが、水を主たる媒体としており、本発明の要旨を越えない範囲であれば、有機溶剤を含有していてもよい。
帯電防止剤としては、ノニオン性のもの、アニオン性、カチオン性、両性のイオン性のもの、あるいはいわゆる導電性化合物などがあるが、本発明においては、水溶性のものであることが必須で、特に、アニオン性またはカチオン性の官能基を有する高分子化合物が好ましい。これら水溶性のアニオン性高分子あるいはカチオン性化合物を用いることで、得られる塗布層は連続性に優れ、透明性の優れた物となる。
アニオン性の官能基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、あるいはそれらの塩などが挙げられる。カチオン性の官能基としては、4級アンモニウム基などが挙げられる。本発明では例えば、これらの官能基と不飽和性二重結合を有する単量体を成分として含む重合体を用いることができる。特に本発明では、塗布液の安定性や、得られる塗布層の均一性、外観の面から、4級アンモニウム塩を含有する高分子化合物が好ましく用いられる。また特に、4級アンモニウム塩基が高分子骨格内にある化合物は、耐熱性に優れ、非常に良好な帯電防止性能が得られるためより好ましい。また、その他の複数の成分を共重合していても構わない。
帯電防止剤の具体的な例としては、例えば下記式(1)および(2)で示される構成要素を繰返し単位として有する帯電防止性高分子化合物などは、帯電防止性能やその耐熱性、得られる塗布層の透明性、耐久性が優れたものとなる。
Figure 2010247481
上記式中、RおよびRはそれぞれ、水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基、Xは1価の陰イオンである。
Figure 2010247481
上記式中、Rは水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基、Rは−O−または−NH−、Rは炭素数が1〜6のアルキレン基である。
また本発明では、塗布層はアクリル系樹脂を含有する。本発明で言うアクリル系樹脂とは、アクリル系、メタアクリル系のモノマーに代表されるような、炭素−炭素二重結合を持つ重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体いずれでも差し支えない。
また、本発明で用いるアクリル系樹脂は、ガラス転移点が50℃以下である。ガラス転移点が50℃を超える場合、塗布延伸法によって設けられた塗膜の透明性が劣る場合がある。ここで言うガラス転移点の測定は、アクリル樹脂の乾燥皮膜を作成し、動的粘弾性測定を行い、E’’が最大となる温度を指す。
さらに本発明では、アクリル系樹脂が、塗布液の中で、最終的に得られる塗布層の厚さの1.5倍以下の平均粒径で分散しているか溶解している必要がある。樹脂の平均粒径がこの範囲を超える場合、やはり得られる塗布層の透明性が劣る場合がある。ここで述べる平均粒径は、塗布液をマイクロトラックUPA(日機装社製)にて、個数平均の50%平均径を測定することで得られる。
アクリル系樹脂の重合方法は種々公知のものが適用できるが、特に、モノマーを乳化剤の存在下に乳化重合する方法が好ましく、特に、この乳化剤は反応性乳化剤であることが、塗布液の安定性や、得られる塗布層の均一性、外観の面から好ましい。
また塗布層には、その他に熱硬化性の架橋剤を含有すると、得られる塗布層の耐久性が向上して好ましい。特に、帯電防止剤やアクリル系樹脂と反応可能な架橋剤であると、効果がより高い。かかる架橋剤としては種々公知のものが適用でき、例えばアミノ樹脂系、イソシアネート系、オキサゾリン系、エポキシ系、グリオキサール系などが挙げられる。他のポリマー骨格に反応性基を持たせた、ポリマー型架橋反応性化合物も含まれる。本発明において特に好ましい様態としては、アミノ樹脂系の架橋剤を例示することができる。アミノ樹脂系の架橋剤としては、例えばアルキロール化したメラミン系、ベンゾグアナミン系、尿素系などがある。特に、アミノ基をメチロール化し、さらにそのメチロール基の一部をメチル化したものが、水溶性で取扱いがよく、反応性も高いことから好適に使用できる。
また、塗布層の厚さは、最終的に得られるフィルム上の皮膜厚さとして、70〜130nmの範囲である。二軸延伸ポリエステルフィルムは高い屈折率のため、通常は入射光が多く反射し、光学特性の低下を招く。しかし本発明においては、帯電防止性の塗布層を、ある特定の成分構成とするとともに、特定の厚さ領域とすることで、同時に反射光を減ずる機能を持たせることで、きわめて容易に、また工業的に実用可能な方法として、光学特性を向上させることができる。塗布層の厚さが70〜130nmの範囲を外れた場合、反射光の低減効果が劣る。
塗布層を設けるための塗布液中には、必要に応じて上記述べた成分以外を含むことができる。例えば、界面活性剤、その他のバインダー、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等である。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
ポリエステルフィルムに塗布液を塗布する方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような塗布技術を用いることができる。具体的には、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、カレンダコーター、押出コーター等のような技術が挙げられる。
なお、塗布剤のフィルムへの塗布性、接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理やコロナ放電処理、プラズマ処理等を施してもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における評価方法は下記のとおりである。
(1)ガラス転移点(Tg)
アクリル樹脂の溶液もしくは水分散液を、乾燥後の膜厚が500μmになるように、テフロン(登録商標)製のシャーレ内で乾燥させ皮膜を得る。乾燥条件は、室温で1週間乾燥させた後、120℃で10分間さらに乾燥させる。得られた皮膜を幅5mmに切り出し、アイティー計測制御(株)製動的粘弾性測定装置(DVA−200型)にチャック間20mmとなるように測定装置にセットし、−100℃から200℃まで、10℃/分の速度で昇温させながら、周波数10Hzで測定する。E’’が最大となる点をTgとした。
(2)塗布層厚み
包埋樹脂でフィルムを固定し断面をミクロトームで切断し、2%オスミウム酸で60℃、2時間染色して試料を調整した。得られた試料を、透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM2010)で観察し、塗布層の厚みを測定した。
(3)透明性
JIS−K7136に準じて、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−2000によりフィルムのヘーズを測定し、塗布層を設けていないフィルムと塗布層を設けたフィルムのヘーズの差を計算し、塗布層を設けることによるヘーズの上昇を求めた。塗布層を設けていないフィルムに対して、塗布層を設けることによるヘーズの上昇が小さいほど、塗布層の透明性が優れるといえる。特に、本方法においてヘーズの差が0.5%以下であれば透明性に優れ、0.2%以下であれば特に優れているといえる。一方、0.5%を超える場合は透明性がやや劣り、1.0%を超える場合は特に透明性に劣るといえる。
(4)帯電防止性
日本ヒューレット・パッカード社製高抵抗測定器:HP4339Bおよび測定電極:HP16008Bを使用し、23℃,50%RHの測定雰囲気でサンプルを30分間調湿後、表面固有抵抗値を測定した。表面固有抵抗が低いほど、帯電防止性が良好であるといえる。表面固有抵抗が1×1012Ω以下であれば帯電防止性としては問題のないレベルと言え、1×1010Ω以下であれば、極めて良好な帯電防止性であると言える。
(5)塗布外観
幅1000mmの試料フィルムを、長手方向に10m程度、塗布層が設けられた面にハロゲンライトにて光を当て、目視にて塗布層を観察、ムラ状に見える外観を以下の基準に従って判断した。
○:ムラ状に見える模様がほとんど確認されず、良好である
×:ムラ状に見える模様が確認され、良好ではない
なお上記では、長尺サンプルについてムラを確認しているが、例えばA4サイズ程度の大きさのフィルムであっても、上記と同様な方法にて、ムラの良否を判断することが可能である。
(6)光学特性
フィルムの塗布層とは反対の面にアクリル系粘着剤 コーポニールN−2233(日本合成化学製)を厚さ10μmになるように塗布し、検査対象ポリエステルフィルムに貼付して試料を作成した。検査対象ポリエステルフィルムは、表面に、微細な傷の入っているものを選定し、傷と反対の面を粘着剤との貼り付け面とした。なお、傷の大きさを、走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS−3000(オリンパス製)によって計測したところ、長さ500μm、幅30μm、深さ0.5μmであった。得られた試料のフィルム塗布層面側から、ハロゲンライトにて光を当て、目視にて検査対象ポリエステルフィルムの傷を検査し、以下の基準に従って判断した。
○:視認性よく、検査対象の傷を確認できる
×:表面からの光の反射が強い、もしくは、塗布層の外観が悪く、検査対象の傷を確認し難い
以下の実施例、比較例中で使用したポリエステル原料は次のとおりである。
(ポリエステル1):実質的に粒子を含有しない、極限粘度0.66のポリエチレンテレフタレート
(ポリエステル2):平均粒径1.6μmの非晶質シリカを0.3重量%含有する、極限粘度0.61のポリエチレンテレフタレート
また、塗布組成物としては以下を用いた。
(E1):下記式(1−1)の構成単位と、下記式(2−1)の構成単位とを重量比率で95/5の比率で共重合した、数平均分子量20000の高分子化合物
Figure 2010247481
Figure 2010247481
(A1):アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルを反応性乳化剤存在下に共重合したアクリル樹脂である、日本カーバイド工業製 ニカゾールY8571B(ガラス転移点=50℃、酸価=25mgKOH)
(A2):アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、N−メチロールアクリルアミドの乳化重合したアクリル樹脂である、ロームアンドハース製 プライマル HA−16(ガラス転移点=38℃)
(A3):アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルの乳化重合したアクリル樹脂である、日信化学製 ビニブラン GW20(ガラス転移点=60℃)
(C1):メトキシメチロールメラミンであるベッカミン J−101(大日本インキ化学工業製)
(C2):オキサゾリン基がアクリル系樹脂にブランチされたポリマー型架橋剤であるエポクロス WS−500(日本触媒製)
(T1):架橋触媒 キャタリストO(大日本インキ化学工業製)
(S1):界面活性剤サーフィノール465(エアープロダクツ製)
比較例1:
ポリエステル1とポリエステル2とを重量比で90/10でブレンドしたものをA層、ポリエステル1のみのものをB層の原料として、二台のベント式二軸押出機にそれぞれを供給し、285℃に加熱溶融し、A層を二分配して再外層(表層)、B層を中間層とする二種三層(A/B/A)の層構成で共押出し、静電密着法を用いて表面温度40〜50℃の鏡面冷却ドラムに密着させながら冷却固化させて、未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作成した。このフィルムを85℃の加熱ロール群を通過させながら長手方向に3.7倍延伸し、一軸配向フィルムとした。次いでこのフィルムをテンター延伸機に導き、100℃で幅方向に4.0倍延伸し、さらに230℃で熱処理を施した後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、フィルム厚みが38μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。このフィルムの特性を、表2に示す。
実施例1:
比較例1と同様の工程において得られた一軸配向フィルムの片面に、表1に示すとおりの塗布液を塗布した。次いでこのフィルムをテンター延伸機に導き、その熱を利用して塗布組成物の乾燥を行いつつ、比較例1と同様の工程によって、フィルム厚みが38μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの上に塗布層を設けた積層ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を、表2に示す。
実施例2、比較例2〜4:
実施例1と同様の工程において、塗布液を表1に示すように変更し、フィルム厚みが38μmの基材フィルムの上に塗布層を設けた積層ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの特性を、表2に示す。
Figure 2010247481
Figure 2010247481
本発明のフィルムは、優れた光学特性および帯電防止性を必要とする用途における二軸延伸ポリエステルフィルムとして、好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 帯電防止剤およびガラス転移点が50℃以下であるアクリル系樹脂を含有する塗布液を、フィルムの片面に塗布した後、延伸して形成される塗布層を有するポリエステルフィルムであり、前記塗布液中で、帯電防止剤は溶解しており、アクリル系樹脂は、平均粒径が塗布層の厚さの1.5倍以下の状態で塗布液中に分散するかまたは溶解しており、かつ塗布層の厚さが70〜130nmの範囲であることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
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