JP2010247217A - 鋳造装置の予熱方法および予熱装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一部の堰入れ子7・7・・・に対してキャビティ10側から熱風を吹き込み、熱風を吹き込んだ堰入れ子7・7・・・の溶湯通路7b・7b・・・から湯口入れ子8内部を通じて熱風が吹き込まれない堰入れ子7・7・・・の溶湯通路7b・7b・・・まで熱風を循環させることにより、複数の堰入れ子7・7・・・と湯口入れ子8とを予熱し、熱風が吹き込まれない前記堰入れ子7・7・・・の溶湯通路7b・7b・・・では、熱風が溶湯通路7b・7b・・・の内周面に沿って流れるように熱風の流通経路を規制する。
【選択図】図2
Description
より詳しくは、鋳造装置における金型のキャビティ内へ金属溶湯を供給するための溶湯供給経路となる堰入れ子、および湯口入れ子について、短時間で効果的に予熱することができる鋳造装置の予熱方法、および予熱装置についての技術に関する。
しかし、このような手法を用いる場合、鋳造金型の各部位が所定の温度域に到達するまでの鋳造サイクルは、いわゆる「捨て打ち工程」となり、製品の歩留まりを悪化させる要因となっていた。
そこで、「捨て打ち工程」を行うことなく鋳造金型を予熱するための技術として、以下の「特許文献1」や「特許文献2」に示されるような、ガスバーナーを用いた金型の予熱装置が知られている。
また、前記「特許文献2」では、ガスバーナーのノズルから一定距離を隔てた下方側において、中央部に小孔を穿孔する耐熱鋼製円盤を配置し、該耐熱鋼製円盤に反射した輻射熱により鋳造金型の上部を加熱する一方、前記小孔を貫通した火焔により鋳造金型の湯口を加熱するとともに、前記耐熱鋼製円盤と鋳造金型との間から上昇する火焔流により鋳造金型の下部を加熱する技術が開示されている。
しかし、これらガスバーナーによる予熱装置を用いる場合、鋳造金型の表面については比較的容易に予熱を行うことができるものの、とりわけ高温に加熱する必要のある部位、つまり鋳造金型のキャビティ内へ金属溶湯を供給するための溶湯供給経路である堰入れ子、および湯口入れ子については、所定の温度域にまで予熱するのに非常に長い時間を要するものとなっていた。
このような状態で、ガスバーナー2・2・・・を着火すれば、該ガスバーナー2・2・・・より噴き出される火焔は、堰入れ子7・7・・・における溶湯通路7bの上部(入口付近)で跳ね返され、また、該火焔による熱風も堰入れ子7・7・・・の内部(湯口入れ子8側)にまで十分に吹き込まれないこととなる。その結果、堰入れ子7・7・・・は比較的短時間で予熱されるものの、湯口入れ子8については、所定の温度域にまで上昇するのに長時間を要していた。
その結果、ガスバーナー2・2・・・の設けられた堰入れ子7・7・・・と、ガスバーナー2の設けられない堰入れ子7と、の間では温度差が生じ、全ての堰入れ子7・7・・・を均一に予熱することが困難であった。
即ち、本発明における鋳造装置の予熱方法、および予熱装置を用いることで、該鋳造装置における金型(鋳造金型)のキャビティ内へ金属溶湯を供給するための溶湯供給経路となる堰入れ子、および湯口入れ子について、短時間で効果的に予熱することができる。
従って、加熱手段が配置されているか否かに係わらず、全ての堰入れ子に対して均一に予熱することが可能となり、鋳造金型の堰入れ子、および湯口入れ子を短時間で効果的に予熱することができるのである。
まず、本発明に係る予熱装置1によって予熱が行われる、金型(鋳造金型)6、堰入れ子7・7・・・、および湯口入れ子8などを備える鋳造装置20の全体的な構成について、図1および図2を用いて説明する。なお、便宜上、図1および図2の上下方向を鋳造金型6の上下方向とし、且つ矢印Aの方向を前方と規定して、以下説明する。
前記鋳造金型6は上型金型6Aや横型金型6B・6B・・・や下型金型6Cなど、複数の金型に分割して構成される。また、これら金型群6A・6B・・・は、下型金型6Cの上方に横型金型6B・6B・・・を配置し、さらに横型金型6B・6B・・・の上方に上型金型6Aを配置して構成されており、下型金型6Cを基準として、上型金型6Aが上下方向へ移動可能に、横型金型6B・6B・・・が水平方向へ移動可能にそれぞれ構成されている。
また、横型金型6B・6B・・・は、下型金型6Cの上方、且つ上型金型6Aの下方において、複数の金型に分割して構成され、図示せぬ案内ガイド等によって水平面(上型金型6Aの移動方向に対して直行する平面)上を、下型金型6Cを中心とする平面視放射状に各々スライド移動可能に設けられる。
さらに、下型金型6Cは、これら上型金型6Aや横型金型6B・6B・・・の下方において、例えば、鋳造装置20に設けられる固定テーブル21の上面に、ボルト等を介して着脱可能に固設されている。
各堰入れ子7は、図4(b)に示すように、上下方向に貫通する溶湯通路7bを備えた筒状部材からなる。溶湯通路7bの上部7aは上方に向かって徐々に拡径するテーパ状に形成され、上部7aの下方に連設される下部は下方へ向かって拡径するテーパ状に形成されている。つまり、各堰入れ子7の溶湯通路7bの全体形状は、下端から上下方向の途中部までが上方に向かって釣鐘状に一旦縮径され、前記途中部から上端までが上方に向かって徐々に拡径されるような形状となっている。
前記湯口入れ子8は略半球形状に形成された凹部を有する碗状の部材からなり、その底面中央部には貫通孔8aが穿孔されている。そして、湯口入れ子8は、例えば鋳造装置20に設けられる固定テーブル21の上面において、上方に開口するようにして固設されることで、前記貫通孔8aが鋳造装置20の外部より金属溶湯を注ぎ込む供給管22と連通されるようになっている。
そして、湯口入れ子8を固定テーブル21に固設した状態で、さらに湯口入れ子8の上方から下型金型6Cを固定テーブル21に固設することで、下型金型6Cに設けられる全ての堰入れ子7・7・・・が湯口入れ子8の上部と連通されるようになっている。
次に、本発明の一実施例に係る鋳造装置20の予熱装置1の構成について、図1乃至図4を用いて説明する。なお、便宜上、図3(b)、および図4(b)の上下方向を加熱ピース3の上下方向とし、且つ図3、および図4に示す矢印Aの方向を前方と規定して、以下説明する。
ガスバーナー2・2・・・は、一種の加熱手段として設けられるものであり、複数の堰入れ子7・7・・・のうち、一部の堰入れ子7・7・・・の近傍(図1における上方側)に配設されるとともに、図示しないが鋳造金型6を構成する上型金型6Aや横型金型6B・6B・・・や下型金型6Cなどに対して各々配設されている。
前記供給管5はガスバーナー2・2・・・に対して、燃料として必要なガスや空気を供給するためのものであり、主に延出する管状の中空部材により形成される。
また、供給管5の一端部は封止されるとともに、他端部では図示せぬガスや空気の供給源と、混合器を介して連通されている。
加熱ピース3は、堰入れ子7の溶湯通路7b内に挿入される流通規制手段であり、ガスバーナー2・2・・・が近設されていない堰入れ子7・7・・・のうち、少なくとも一つの堰入れ子7・7・・・に対して各々設けられ、ガスバーナー2・2・・・によって堰入れ子7・7・・・内部に吹き込まれた熱風が、再び元の堰入れ子7・7・・・(熱風を噴き込んだ堰入れ子7・7・・・)を介して外部に噴き出すことなく、湯口入れ子8まで十分到達するように、熱風の流れを規制するためのものである。
前記基部材31は下方に向かって徐々に縮径する略コーン状(略円錐状)の中実部材からなり、該基部材31の下端部31bは半球面状にまるみを帯びた形状にて形成されている。
前記突起片32・32・・・は略矩形状の板部材からなり、平面視にて基部材31の外周面に周方向に等間隔をなして配置され、該基部材31の半径方向に向かって突出するようにして溶着されている。
つまり、後述のとおり、加熱ピース3は堰入れ子7の溶湯通路7b内に、上方側(キャビティ10側)から下方に向かって挿入され、その結果、基部材31と、堰入れ子7における溶湯通路7bの内周面との間に間隙11(図4を参照)を形成するが、前記間隙11の形状、および断面積は、加熱ピース3の設けられる堰入れ子7を予熱するのに必要な熱風の流量により決定されるものである。
前記掛止部材33は丸棒部材を逆U字状に屈曲して形成され、その両端部を基部材31の上側の端部31a中央部に埋没させて、該基部材31に固設されている。
一方、上述のガスバーナー2・2・・・に設けられる供給管5の中途部にも、前記掛止部材33と同様の形状からなる掛止部材34(図1を参照)が固設されている。
従って、堰入れ子7・7・・・、および湯口入れ子8の予熱作業の終了後、ガスバーナー2・2・・・を堰入れ子7・7・・・近傍より離すべく、前記供給管5を上方へと持ち上げれば、前記連結部材4を介して加熱ピース3も上方へと引き抜かれ、高温に熱せられた加熱ピース3を、堰入れ子7から容易に脱着することができるのである。
その結果、基部材31の側面部と、堰入れ子7の内側面部と、の間に間隙11(図4を参照)が形成され、該間隙11を介して、湯口入れ子8内部にまで到達した熱風は、外部(鋳造金型6のキャビティ10側)に噴き出すこととなる。
次に予熱装置1を用いた鋳造金型6の予熱方法について、図1乃至図4を用いて説明する。
ここで、図4(b)に示すように、加熱ピース3は堰入れ子7の上方より、該堰入れ子7の溶湯通路7b内に徐々に進入するようにして挿入され、基部材31のほぼ全体が溶湯通路7b内に収まると、複数の突起片32・32・・・に設けられる切欠部の上面部32b・32b・・・が、堰入れ子7の上端部と当接される。
つまり、図4(b)に示すように、加熱ピース3の基部材31は、複数の突起片32・32・・・を介して、堰入れ子7の溶湯通路7b内における平面視中央部に配置され、前記基部材31の外周面と、前記堰入れ子7の溶湯通路7bの内周面との間に間隙11が形成されることとなる。
換言すれば、堰入れ子7に加熱ピース3を挿入することで、該堰入れ子7の流通経路となる溶湯通路7bの断面積は、前記間隙11の面積にまで狭められることとなる。
ここで、ガスバーナー2・2・・・が設けられる堰入れ子7・7・・・は、加熱ピース3が未挿着である堰入れ子7・7・・・に限られ、図1に示すように、チップ(ノズル)2a・2a・・・の噴き出し口より噴き出す火焔の方向が、これら堰入れ子7・7・・・の溶湯通路7bに向くようにして、これらガスバーナー2・2・・・は堰入れ子7・7・・・の上方に配置される。
そして、ガスバーナー2・2・・・より噴き出された熱風は、堰入れ子7・7・・・の溶湯通路7b・7b・・・を通じて、該堰入れ子7・7・・・の内部に各々吹き込まれ、さらに湯口入れ子8の内部へ侵入して、加熱ピース3が挿着される堰入れ子7の溶湯通路7b内へと循環する(図2における矢印a1)。
その後、前記熱風は、基部材31の外周面と、堰入れ子7における溶湯通路7bの内周面との間に形成される間隙11を介して、湯口入れ子8および堰入れ子7・7・・・の内部空間から外部(鋳造金型6のキャビティ10側)に噴き出されることとなる(図2における矢印a2)。
つまり、前記間隙11は、堰入れ子7における溶湯通路7bの内周面に沿って形成されており、加熱ピース3が挿設される堰入れ子7の溶湯通路7bを通過する熱風は、溶湯通路7bの内周面に沿って流れることとなる。
これにより、当該堰入れ子7は、溶湯通路7b内(より詳細には溶湯通路7b内の間隙11)を通過する熱風により、該溶湯通路7bの内周面を通じて直接加熱され、さらに前記溶湯通路7b内を通過する熱風により加熱された加熱ピース3から放射される輻射熱によっても加熱される。
その結果、ガスバーナー2・2・・・によって、湯口入れ子8内部にまで噴き込まれた熱風の大部分が、加熱ピース3の挿着される堰入れ子7における溶湯通路7bの内周面と接触しながら外部(鋳造金型6のキャビティ10側)に噴き出すこととなる。
従って、ガスバーナー2・2・・・が配置されているか否かに係わらず、全ての堰入れ子7・7・・・を均一に予熱することが可能となるとともに、鋳造金型6の堰入れ子7・7・・・、および湯口入れ子8を短時間で効果的に予熱することができるのである。
つまり、供給管5を上方へ持ち上げることで、連結部材4を介して加熱ピース3も上方へと容易に引き抜かれることとなるのである。
2 ガスバーナー(加熱手段)
3 加熱ピース(流通規制手段)
4 連結部材
5 供給管
6 鋳造金型
7 堰入れ子
7b 溶湯通路
8 湯口入れ子
10 キャビティ
11 間隙
20 鋳造装置
Claims (7)
- 金型内に形成されるキャビティと、
前記キャビティ内に溶湯を注ぎ込むための湯口入れ子と、
前記金型に設けられ、前記湯口入れ子に供給された溶湯を前記キャビティに案内する溶湯通路を有する複数の堰入れ子とを備えた鋳造装置の予熱方法であって、
前記複数の堰入れ子のうち、一部の堰入れ子に対して前記キャビティ側から熱風を吹き込み、
熱風を吹き込んだ堰入れ子の溶湯通路から前記湯口入れ子内部を通じて熱風が吹き込まれない堰入れ子の溶湯通路まで熱風を循環させることにより、前記複数の堰入れ子と湯口入れ子とを予熱し、
熱風が吹き込まれない前記堰入れ子のうち、少なくとも一つの堰入れ子の溶湯通路においては、熱風が該溶湯通路の内周面に沿って流れるように、熱風の流通経路を規制する、
ことを特徴とする鋳造装置の予熱方法。 - 前記各堰入れ子は、熱風が吹き込まれる状態、または熱風の流通経路を規制される状態の何れかの状態にある、
ことを特徴とする請求項1に記載の鋳造装置の予熱方法。 - 前記堰入れ子における熱風の流通経路の規制は、
前記堰入れ子の溶湯通路内に、金属部材からなる流通規制手段を、前記溶湯通路の内周面から所定距離だけ離間した状態で挿入することにより行う、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鋳造装置の予熱方法。 - 金型内に形成されるキャビティと、
前記キャビティ内に溶湯を注ぎ込むための湯口入れ子と、
前記金型に設けられ、前記湯口入れ子に供給された溶湯を前記キャビティに案内する溶湯通路を有する複数の堰入れ子とを備えた鋳造装置の予熱装置であって、
前記複数の堰入れ子のうち、一部の堰入れ子に対して前記キャビティ側から熱風を吹き込む加熱手段と、
熱風が吹き込まれない前記堰入れ子のうち、少なくとも一つの堰入れ子の溶湯通路内に、前記溶湯通路の内周面から所定距離だけ離間した状態で挿入される流通規制手段とを備え、
前記流通規制手段により、当該溶湯通路内を流通する熱風の熱風経路を、流通規制手段と溶湯通路の内周面との間で規制する、
ことを特徴とする鋳造装置の予熱装置。 - 前記各堰入れ子には、加熱手段または前記流通規制手段の何れかが設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載の鋳造装置の予熱装置。 - 前記流通規制手段は金属部材にて形成され、
前記堰入れ子の溶湯通路を流通する熱風により加熱されることで、堰入れ子を予熱するために十分な輻射熱を輻射する、
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の鋳造装置の予熱装置。 - 前記流通規制手段は連結部材を介して、前記加熱手段と連結される、
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の金型の予熱装置。
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