JP2010246341A - 回転電機における固定子及び該固定子の製造方法 - Google Patents
回転電機における固定子及び該固定子の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010246341A JP2010246341A JP2009095156A JP2009095156A JP2010246341A JP 2010246341 A JP2010246341 A JP 2010246341A JP 2009095156 A JP2009095156 A JP 2009095156A JP 2009095156 A JP2009095156 A JP 2009095156A JP 2010246341 A JP2010246341 A JP 2010246341A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- coil
- stator core
- teeth
- stator
- coils
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Iron Core Of Rotating Electric Machines (AREA)
- Manufacture Of Motors, Generators (AREA)
Abstract
【課題】固定ティースと分割ティースとを備える分布巻の固定子において、分割ティースをステータコアに装着する際のアウターコイル及びインナーコイルの変形を防止することができる回転電機の固定子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ステータコア11の周方向においてアウターコイル30U,30V,30Wの外側でアウターコイル30U,30V,30Wに隣り合うティースと、ステータコア11の周方向においてインナーコイル40U,40V,40Wの外側でインナーコイル40U,40V,40Wに隣り合うティースとが分割ティース13によって形成されている。また、ステータコア11の周方向においてインナーコイル40U,40V,40Wの内側でインナーコイル40U,40V,40Wに隣り合うティースが固定ティース12によって形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】ステータコア11の周方向においてアウターコイル30U,30V,30Wの外側でアウターコイル30U,30V,30Wに隣り合うティースと、ステータコア11の周方向においてインナーコイル40U,40V,40Wの外側でインナーコイル40U,40V,40Wに隣り合うティースとが分割ティース13によって形成されている。また、ステータコア11の周方向においてインナーコイル40U,40V,40Wの内側でインナーコイル40U,40V,40Wに隣り合うティースが固定ティース12によって形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、インナーコイルとアウターコイルを備える回転電機における固定子及び該固定子の製造方法に関する。
回転電機の固定子において、ステータコアのティースに対するコイルの巻装方法としては、1つのティースにコイルが直接巻装されるようにスロットにコイルを組み込む集中巻と、コイルを組み込むスロットの間に他のスロットが位置し、そのスロットをコイルエンドの渡り部が跨るようにコイルをスロットに組み込む分布巻とがある。上記集中巻の固定子を備えた回転電機は、ティースがステータコアに一体化されている状態では隣り合うティースの干渉があるため、1つのティースへのコイルの巻装が困難であるという欠点があった。
このため、集中巻の固定子を備えた回転電機としては、ティースをステータコアに対し着脱可能にし、ステータコアに対するコイルの組み込みを容易にしたものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の電動機又は発電機(回転電機)の固定子においては、予め別体磁極子(ティース)をコア本体(ステータコア)から取り外しておく。そして、まず、コア本体と一体の一体磁極子(ティース)に巻線を巻回してコイルを巻装し、その後、予めボビン巻きした巻線を別体磁極子に挿入し、この別体磁極子をコア本体に取り付ける。その結果、隣り合うティースの干渉を受けることなく、磁極子に対するコイルの装着が容易に行える。
一方、分布巻の固定子において、コイルはコイルエンドの渡り部がスロットを跨るようにスロットに組み込まれる。このとき、コイルをステータコアに組付ける作業性を向上させるため、コイルを大きめのサイズに整形することがあり、コイルエンドが大きくなってしまうという欠点があった。
このため、分布巻の固定子における上記欠点を解消したものとして、例えば特許文献2の電動機がある。特許文献2の電動機における固定子は、複数の極歯(ティース)を備えた固定子鉄心(ステータコア)と、追加極歯(ティース)と、固定子鉄心の極歯と追加極歯とに渡って巻回された巻線(コイル)と、を備える。そして、固定子鉄心の極歯に対する巻回寸法より大きめの寸法に製作した巻線(コイル)を、スロットに挿入した後に、追加極歯をコイルエンドに差し込む。これにより、コイルエンドの長さに余裕を持たせる必要がなくなりコイルエンドが短縮される。
ところが、特許文献2に開示の分布巻の固定子においては、巻線を固定子鉄心に設ける際、追加極歯をコイルエンドに差し込む。このため、この追加極歯の差し込みの際、すなわち、追加極歯を固定子鉄心に設ける際に、巻線が変形して巻線に応力が発生し、その応力によって巻線が損傷を受けたりして回転電機の性能が低下してしまう。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、固定ティースと分割ティースとを備える分布巻の固定子において、分割ティースをステータコアに装着する際のアウターコイル及びインナーコイルの変形を防止することができる回転電機の固定子及びその製造方法を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、環状のステータコアの内周にティースが複数配列されており、アウターコイルが前記複数のティース間のスロットに組み込まれているとともに、インナーコイルが前記複数のティース間のスロットに組み込まれており、前記アウターコイルのコイルエンドに前記ステータコアの軸方向に延びる一対の起立部と、該起立部を連結し前記ステータコアの半径方向において前記インナーコイルのコイルエンドよりも外側に配置される渡り部とが形成されるとともに、前記インナーコイルのコイルエンドに前記アウターコイルのコイルエンドの起立部を跨ぐ渡り部が形成されている回転電機における固定子において、前記ティースが、前記ステータコアに対し一体成形された固定ティースと、前記ステータコアに対し装着可能な分割ティースとからなり、前記ステータコアの周方向における前記アウターコイルの外側で該アウターコイルに隣り合うティースと、前記ステータコアの周方向における前記インナーコイルの外側で該インナーコイルに隣り合うティースとが前記分割ティースによって形成されるとともに、前記ステータコアの周方向における前記インナーコイルの内側で該インナーコイルに隣り合うティースが前記固定ティースによって形成されていることを要旨とする。
これによれば、ステータコアの周方向におけるアウターコイルの外側で該アウターコイルに隣り合う位置に分割ティースが装着され、その分割ティースと、ステータコアの周方向に隣り合う固定ティースとの間に区画されたスロットにアウターコイルが組み込まれる。また、ステータコアの周方向におけるインナーコイルの外側で該インナーコイルに隣り合う位置に分割ティースが装着され、その分割ティースと、ステータコアの周方向に隣り合う固定ティースとの間に区画されたスロットにインナーコイルが組み込まれる。このため、分割ティースをステータコアに装着する際、分割ティースがアウターコイル及びインナーコイルに向けて直接差し込まれたり、アウターコイル及びインナーコイルを押圧したりすることがなく、分割ティースをステータコアに取着する際のアウターコイル及びインナーコイルの変形を防止することができる。
また、前記アウターコイルのコイルエンドに形成された渡り部と、前記インナーコイルのコイルエンドに形成された渡り部の両方が跨るティースが前記固定ティースによって形成されていてもよい。これによれば、例えば、全てのティースをステータコアに対して装着可能な分割ティースとする場合と比べると、ステータコアに分割ティースを装着するのに要する時間を短縮し、かつ部品点数を減らして固定子の製造コストを抑えることができる。
また、前記アウターコイルのコイルエンドに形成された渡り部は、前記分割ティースの前記ステータコアへの装着部よりも前記ステータコアの半径方向における外側に配置されていてもよい。
これによれば、分割ティースをステータコアに装着する際、アウターコイルのコイルエンドに形成された渡り部が、分割ティース装着の邪魔になることがない。
また、前記アウターコイルのコイルエンドに形成された渡り部、及び前記インナーコイルのコイルエンドに形成された渡り部それぞれは、前記アウターコイル及びインナーコイルを前記ステータコアに組付ける前に予め整形されていてもよい。
また、前記アウターコイルのコイルエンドに形成された渡り部、及び前記インナーコイルのコイルエンドに形成された渡り部それぞれは、前記アウターコイル及びインナーコイルを前記ステータコアに組付ける前に予め整形されていてもよい。
これによれば、アウターコイルをステータコアに組付けた後に、アウターコイルのコイルエンドに渡り部を整形する必要がない。アウターコイルをステータコアに組付けた後に渡り部を整形すると、その整形の際、ステータコアの分割ティースや固定ティースが邪魔になる。よって、アウターコイルをステータコアに組付ける前に、アウターコイルのコイルエンドに渡り部を整形することで、渡り部の整形を容易に行うことができる。
また、前記分割ティースにおける基端側には係止凹部が形成されるとともに、前記ステータコアの内周には係止凸部が形成されていてもよい。
これによれば、アウターコイルの渡り部は、ステータコアの半径方向においてインナーコイルの渡り部よりも外側に配置される。そして、アウターコイルの渡り部は、ステータコアの半径方向において、ステータコアの内周面よりも外周面寄りに配置される。このとき、係止凸部は、ステータコアの内周面より突設されているため、例えば、ステータコアの内周面に分割ティースを装着する部位が凹設されている場合と比べてアウターコイルの渡り部を、ステータコアの半径方向に沿って外周面寄りに後退させる量を少なくすることができる。その結果として、アウターコイルのコイルエンドがステータコアの端面に突出する量を少なくし、アウターコイルのコイルエンドのステータコアからの端面からの突出高さを小さくすることができる。
これによれば、アウターコイルの渡り部は、ステータコアの半径方向においてインナーコイルの渡り部よりも外側に配置される。そして、アウターコイルの渡り部は、ステータコアの半径方向において、ステータコアの内周面よりも外周面寄りに配置される。このとき、係止凸部は、ステータコアの内周面より突設されているため、例えば、ステータコアの内周面に分割ティースを装着する部位が凹設されている場合と比べてアウターコイルの渡り部を、ステータコアの半径方向に沿って外周面寄りに後退させる量を少なくすることができる。その結果として、アウターコイルのコイルエンドがステータコアの端面に突出する量を少なくし、アウターコイルのコイルエンドのステータコアからの端面からの突出高さを小さくすることができる。
また、請求項6に記載の発明は、環状のステータコアの内周にティースが複数配列されており、アウターコイルが前記複数のティース間のスロットに組み込まれているとともに、インナーコイルが前記複数のティース間のスロットに組み込まれており、前記アウターコイルのコイルエンドに前記ステータコアの軸方向に延びる一対の起立部と、該起立部を連結し前記ステータコアの半径方向における前記インナーコイルのコイルエンドよりも外側に配置される渡り部とが形成されるとともに、前記インナーコイルのコイルエンドに前記アウターコイルのコイルエンドの起立部を跨ぐ渡り部が形成され、前記ティースが、前記ステータコアに対し一体成形された固定ティースと、前記ステータコアに対し装着可能な分割ティースとからなる回転電機における固定子の製造方法において、前記アウターコイル及びインナーコイルを環状に整形し、前記アウターコイルを前記ステータコアの半径方向に沿って移動させてステータコアに組付け、前記ステータコアの軸方向に沿って前記分割ティースを移動させながら、該分割ティースを、前記ステータコアの周方向における前記アウターコイルの外側で該アウターコイルに隣り合う位置に装着し、前記インナーコイルを前記ステータコアの半径方向に沿って移動させて該インナーコイルを、前記ステータコアの周方向における前記インナーコイルの内側に前記固定ティースが隣り合うように該固定ティースに組付け、前記ステータコアの軸方向に沿って前記分割ティースを移動させながら、該分割ティースを、前記ステータコアの周方向における前記インナーコイルの外側で該インナーコイルに隣り合う位置に装着することを要旨とする。
これによれば、固定子の製造の際、分割ティースは、ステータコアの周方向におけるアウターコイルの外側で該アウターコイルに隣り合う位置に装着され、ステータコアの周方向におけるインナーコイルの外側で該インナーコイルに隣り合う位置に装着される。このため、分割ティースをステータコアに装着する際、分割ティースがアウターコイル及びインナーコイルに向けて直接差し込まれたり、押圧したりすることがなく、分割ティースをステータコアに装着する際に、アウターコイル及びインナーコイルが変形することを防止することができる。
また、前記アウターコイルを環状に整形する際に、前記アウターコイルのコイルエンドに前記渡り部を整形してもよい。これによれば、アウターコイルをステータコアに組付けた後に、アウターコイルのコイルエンドに渡り部を整形する必要がない。アウターコイルをステータコアに組付けた後に渡り部を整形すると、その整形の際、ステータコアの分割ティースや固定ティースが邪魔になる。よって、アウターコイルをステータコアに組付ける前に、アウターコイルのコイルエンドに渡り部を整形することで、渡り部の整形を容易に行うことができる。
本発明によれば、固定ティースと分割ティースとを備える分布巻の固定子において、分割ティースをステータコアに装着する際のアウターコイル及びインナーコイルの変形を防止することができる。
以下、本発明の回転電機の固定子を具体化した一実施形態を図1〜図7にしたがって説明する。
図2に示すように、回転電機Mは、固定子10と、この固定子10の内側に配設された回転子15とからなる。図1及び図2に示すように、固定子10は、環状のステータコア11と、ステータコア11の内周に複数配列された固定ティース12及び分割ティース13と、スロット14に組み込まれたアウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wとからなる。本実施形態では、固定ティース12と分割ティース13の各個数は12個であり、スロット14の個数は24個である。スロット14は、ステータコア11の周方向に等ピッチで配列されている。
図2に示すように、回転電機Mは、固定子10と、この固定子10の内側に配設された回転子15とからなる。図1及び図2に示すように、固定子10は、環状のステータコア11と、ステータコア11の内周に複数配列された固定ティース12及び分割ティース13と、スロット14に組み込まれたアウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wとからなる。本実施形態では、固定ティース12と分割ティース13の各個数は12個であり、スロット14の個数は24個である。スロット14は、ステータコア11の周方向に等ピッチで配列されている。
図2及び図3(a)に示すように、ステータコア11は、磁性体(鋼板)製の複数枚のコア板を積層して構成されている。ステータコア11の内周面には、複数の固定ティース12が一体成形されている。固定ティース12は、ステータコア11の半径方向に沿ってステータコア11の内周面からステータコア11の中心軸Pに向けて延びるように形成されている。また、固定ティース12は、基端側(ステータコア11の内周面側)から先端側(ステータコア11の中心軸P側)に向かうに従い徐々に先細になるように形成され、さらに、固定ティース12は、ステータコア11の軸方向全体に亘って延びるように形成されている。
固定ティース12の先端部には、鍔部12aが、ステータコア11の周方向に沿って延びるように固定ティース12の両側面から突設されている。固定ティース12の先端面、及び鍔部12aは、円弧状に延びるように形成されている。そして、図2に示すように、固定ティース12の鍔部12aは、ステータコア11の中心軸Pを中心とし、全ての固定ティース12の先端面を通過する円の円周に沿って延びるように形成されている。また、固定ティース12において、ステータコア11の周方向に隣り合う固定ティース12同士で対向する側面は、スロット14を形成する平坦面状の形成面12bである。
ステータコア11の内周面において、ステータコア11の周方向に隣り合う固定ティース12同士の中間位置には、装着部としての係止凸部11aがステータコア11の軸方向全体に亘って延びるように突設されている。係止凸部11aはステータコア11の内周面からステータコア11の中心軸P(中央部)に向かうに従い徐々に拡幅するテーパ状に形成されるとともに、ステータコア11の軸方向全体に亘って延びるように形成されている。
図1及び図2に示すように、ステータコア11において、ステータコア11の周方向に隣り合う固定ティース12の間には分割ティース13が装着されている。図3(b)に示すように、この分割ティース13は、矩形板状をなすとともに、基端側(ステータコア11の内周面側)から先端側(ステータコア11の中心軸P側)に向かうに従い徐々に先細になるように形成されている。ステータコア11の軸方向に沿った分割ティース13の長さは、ステータコア11の軸方向への長さと同じになっている。
分割ティース13の先端部には、鍔部13aが、ステータコア11の周方向に沿って延びるように分割ティース13の両側面から突設されている。分割ティース13先端面、及び鍔部13aは、円弧状に延びるように形成されている。そして、分割ティース13の鍔部13aは、ステータコア11の中心軸Pを中心とし、全ての分割ティース13の先端面を通過する円の円周に沿って延びるように形成されている。また、分割ティース13において、ステータコア11の周方向に隣り合う固定ティース12に対向する側面は、スロット14を形成する平坦面状の形成面13bである。図3(b)に示すように、分割ティース13の基端面には、係止凹部13cがステータコア11の軸方向全体に亘って延びるように凹設されている。この係止凹部13cは、分割ティース13の基端面への開口から係止凹部13cの奥へ向かうに従い徐々に拡幅するテーパ状に形成されている。
そして、図1及び図2に示すように、分割ティース13の係止凹部13c内に、ステータコア11の係止凸部11aを嵌合させることにより、分割ティース13がステータコア11に装着されている。この装着状態では、係止凹部13cに対する係止凸部11aの係止により、分割ティース13がステータコア11の半径方向に沿ってステータコア11の中心軸Pへ向けて移動することが防止されている。また、ステータコア11に分割ティース13が装着されることにより、ステータコア11の周方向に隣り合う固定ティース12と分割ティース13との間には、固定ティース12の鍔部12a及び形成面12bと、分割ティース13の鍔部13a及び形成面13bと、から平面視矩形状のスロット14が区画されている。また、固定ティース12の鍔部12aと、分割ティース13の鍔部13aとの間にはギャップGが形成される。
アウターコイル30U,30V,30Wは、固定ティース12に対し分布巻によって巻装されている。アウターコイル30U,30V,30Wとしては、U相のアウターコイル30U、V相のアウターコイル30V、及びW相のアウターコイル30Wそれぞれを2つずつ備え、アウターコイル30U,30V,30Wが同一円周上に配置されている。アウターコイル30U,30V,30Wそれぞれは、2個のスロット14に跨る状態で、かつ1個の分割ティース13を間に挟んだ2個の固定ティース12に跨るように、2個の固定ティース12に組付けられている。また、同一スロット14内に異なる相のコイルが挿入されることはない。
一対のアウターコイル30Uは、24個のスロット14のうちの8個に間隔をおいて計4個のスロット14に挿入されている。アウターコイル30V及びアウターコイル30Wそれぞれについても上記したアウターコイル30Uと同様な配置となっている。また、アウターコイル30U,30V,30Wそれぞれは、断面が長方形の均一な幅のコイル線(平角線)よりなるとともに絶縁被覆されている。図4(a)に示すように、アウターコイル30U,30V,30W(図4(a)ではアウターコイル30Uのみを図示)それぞれは、スロット14内に挿入される一対の挿入部37と、ステータコア11の軸方向の両端面から突出するコイルエンド31を有する。
アウターコイル30U,30V,30Wのコイルエンド31(以下、アウターコイルエンド31と記載する)は、一対のアウター起立部31aを備える。このアウター起立部31aは、各挿入部37からステータコア11の軸方向に沿って延びた後、ステータコア11の半径方向に沿ってステータコア11の外側に向けて延びるように形成されている。また、アウターコイルエンド31は、アウター渡り部31bを備え、このアウター渡り部31bは一対のアウター起立部31aの先端を連結しステータコア11の周方向へ延びるように形成されている。そして、アウターコイルエンド31は、一対のアウター起立部31aとアウター渡り部31bとにより平面視コ字状に形成されている。
図1及び図2に示すように、アウターコイル30U,30V,30Wは、アウター渡り部31bがステータコア11の外周面に沿って延びるように所定の形状に整形されている。また、アウターコイル30U,30V,30Wがステータコア11に組付けられた状態では、アウター渡り部31bは、ステータコア11の半径方向においてステータコア11の内周面よりも外周面寄りに配置されている。なお、挿入部37をスロット14に組み込んだ状態のとき、ステータコア11の軸方向の両端面から突出する部位がアウターコイルエンド31となっている。また、各挿入部37には合成樹脂製の絶縁シート32が巻装されている。
インナーコイル40U,40V,40Wは、固定ティース12に対し分布巻によって巻装されている。インナーコイル40U,40V,40Wとしては、U相のインナーコイル40U、V相のインナーコイル40V、及びW相のインナーコイル40Wをそれぞれを2つずつ備え、インナーコイル40U,40V,40Wが同一円周上に配置されている。各相のインナーコイル40U,40V,40Wは、それぞれ2個のスロット14に跨る状態で、かつ1個の分割ティース13を間に挟んだ2個の固定ティース12に跨るように、2個の固定ティース12に組付けられている。また、同一スロット14内に異なる相のコイルが挿入されることはない。
一対のインナーコイル40Uは、24個のスロット14のうちの8個に間隔をおいて計4個のスロット14に挿入されている。インナーコイル40V及びインナーコイル40Wそれぞれについても上記したインナーコイル40Uと同様な配置となっている。各相のインナーコイル40U,40V,40Wは、断面が長方形の均一な幅のコイル線(平角線)よりなる。また、各相のインナーコイル40U,40V,40Wは絶縁被覆されている。図4(b)に示すように、各相のインナーコイル40U,40V,40W(図4(b)ではインナーコイル40Uのみ図示)は、スロット14内に挿入される一対の挿入部47と、ステータコア11の軸方向の両端面から突出するコイルエンド41を有している。インナーコイル40U,40V,40Wに形成されたコイルエンド41(以下、インナーコイルエンド41と記載する)は、各挿入部47からステータコア11の軸方向に延びる一対のインナー起立部41aを備える。また、インナーコイルエンド41は、これら一対のインナー起立部41aの先端を連結するようにステータコア11の周方向へ延びるインナー渡り部41bを備える。そして、インナーコイルエンド41は、一対のインナー起立部41aと、インナー渡り部41bとにより正面視コ字状に形成されている。各挿入部47には合成樹脂製の絶縁シート32が巻装されている。
図1及び図2に示すように、スロット14にアウターコイル30U,30V,30Wと、インナーコイル40U,40V,40Wが組み込まれた状態では、アウター渡り部31bそれぞれは、ステータコア11の半径方向においてインナー渡り部41よりも外側に配置されている。アウターコイル30U,30V,30Wがスロット14に組み込まれた状態では、ステータコア11の周方向におけるアウター起立部31aの内側であり、アウター起立部31aに対しステータコア11の周方向に隣り合うティースは固定ティース12によって形成されている。また、アウターコイル30U,30V,30Wがスロット14に組み込まれた状態では、ステータコア11の周方向におけるアウター起立部31aの外側であり、アウター起立部31aに対しステータコア11の周方向に隣り合うティースは分割ティース13によって形成されている。
一方、インナー渡り部41それぞれは、ステータコア11の周方向に隣り合う2つのアウターコイル30のアウター起立部31aを跨いでいる。さらに、インナーコイル40U,40V,40Wがスロット14に組み込まれた状態では、ステータコア11の周方向におけるインナー起立部41aの内側であり、インナー起立部41aに対しステータコア11の周方向に隣り合うティースは固定ティース12によって形成されている。また、インナーコイル40U,40V,40Wがスロット14に組み込まれた状態では、ステータコア11の周方向におけるインナー起立部41aの外側であり、インナー起立部41aに対しステータコア11の周方向に隣り合うティースは分割ティース13によって形成されている。また、アウター渡り部31bとインナー渡り部41bの両方が跨るティースは、固定ティース12によって形成されている。なお、アウターコイル30U,30V,30Wは、インナーコイル40U,40V,40Wより先にステータコア11に組み込まれるコイルのことである。
次に、固定子10の製造方法について説明する。
まず、分割ティース13がステータコア11から取り外された状態において、図5(a)に示すように、1つの係止凸部11aを間に挟んだ2個の(対となる)固定ティース12に対し、各アウターコイル30U,30V,30Wを組付ける。このとき、各アウターコイル30U,30V,30Wをステータコア11の半径方向に沿って移動させ、ステータコア11の周方向におけるアウターコイル30U,30V,30Wの内側に一対の固定ティース12が挿入されるように、各アウターコイル30U,30V,30Wを一対の固定ティース12の外側に組付ける。そして、ステータコア11の周方向においてU相、V相、W相それぞれ2つずつのアウターコイル30U,30V,30Wを、U相、V相、W相の順番で配置されるように固定ティース12に組付け、ステータコア11に組付ける。
まず、分割ティース13がステータコア11から取り外された状態において、図5(a)に示すように、1つの係止凸部11aを間に挟んだ2個の(対となる)固定ティース12に対し、各アウターコイル30U,30V,30Wを組付ける。このとき、各アウターコイル30U,30V,30Wをステータコア11の半径方向に沿って移動させ、ステータコア11の周方向におけるアウターコイル30U,30V,30Wの内側に一対の固定ティース12が挿入されるように、各アウターコイル30U,30V,30Wを一対の固定ティース12の外側に組付ける。そして、ステータコア11の周方向においてU相、V相、W相それぞれ2つずつのアウターコイル30U,30V,30Wを、U相、V相、W相の順番で配置されるように固定ティース12に組付け、ステータコア11に組付ける。
この組付状態において、ステータコア11の周方向に隣り合うU相のアウターコイル30UとV相のアウターコイル30Vとの間、V相のアウターコイル30VとW相のアウターコイル30Wとの間、W相のアウターコイル30WとU相のアウターコイル30Uとの間それぞれには、分割ティース13を挿入可能とする隙間が形成される。
次に、図5(b)に示すように、ステータコア11の周方向におけるアウターコイル30U,30V,30Wの外側、すなわち、隣り合うアウターコイル30U,30V,30W同士の間の隙間に、分割ティース13を挿入するとともに、ステータコア11に分割ティース13を装着する。このとき、ステータコア11の係止凸部11aを分割ティース13の係止凹部13cに嵌合することで分割ティース13の装着が行われる。また、このとき、分割ティース13を、ステータコア11の軸方向に沿って移動させて係止凹部13cの内側に係止凸部11aを嵌合する。
すると、ステータコア11に分割ティース13が装着されるとともに、ステータコア11の周方向に隣り合う固定ティース12と分割ティース13との間にスロット14が区画される。区画されたスロット14にはアウターコイル30U,30V,30Wの挿入部37が挿入されている。さらに、固定ティース12の鍔部12aと、分割ティース13の鍔部13aとの間に所定のギャップGが形成される。
アウターコイルエンド31は、アウター起立部31aが、挿入部37からステータコア11の軸方向に沿って延びた後、ステータコア11の半径方向に沿ってステータコア11の外周側へ延び、アウター渡り部31bがステータコア11の内周面及び係止凸部11aよりもステータコア11の半径方向外側に配置されている。このため、一対のアウター起立部31a同士の間に間隙が形成されており、係止凸部11aがステータコア11の軸方向の両端面に臨む状態になっている。このため、一対のアウター起立部31a同士の間から一対の固定ティース12の間に、ステータコア11の軸方向に沿って移動させる分割ティース13を挿入可能であり、ステータコア11の半径方向に沿って移動させるインナーコイル40U,40V,40Wを挿入可能になっている。
次に、図6(a)に示すように、ステータコア11に装着された1つの分割ティース13を挟んだ2個の(対となる)固定ティース12に対し各インナーコイル40U,40V,40Wを組付ける。すなわち、インナー渡り部41b、及びアウター渡り部31bの両方が跨る固定ティース12に対し各インナーコイル40U,40V,40Wを組付ける。
各インナーコイル40U,40V,40Wは、ステータコア11の半径方向に沿ってステータコア11の内側から外側に向けて移動させる。そして、ステータコア11の周方向における各インナーコイル40U,40V,40Wの内側に一対の固定ティース12が挿入されるように、一対の固定ティース12の外側にインナーコイル40U,40V,40Wを組付ける。このとき、アウター渡り部31bがステータコア11の内周面よりも半径方向外側に配置され、ステータコア11の周方向に隣り合う一対のアウター起立部31a同士の間に間隙が形成されている。このため、アウター起立部31a及びアウター渡り部31bが、インナーコイル40U,40V,40Wの固定ティース12に対する組付けの妨げになることがない。そして、各インナーコイル40U,40V,40Wの挿入部37が、ステータコア11の周方向に隣り合う固定ティース12間の間隙に収容されるとともに、インナー渡り部41bが、ステータコア11の周方向に隣り合うアウター起立部31aを跨ぎ、かつインナー渡り部41bがアウター渡り部31bよりも半径方向内側に配置される。
そして、U相、V相、W相それぞれ2つずつのインナーコイル40U,40V,40Wを、U相、V相、W相の順番で周方向に沿って配置されるように固定ティース12に組付ける。この組付状態において、ステータコア11の周方向に隣り合うU相のインナーコイル40UとV相のインナーコイル40Vとの間、V相のインナーコイル40VとW相のインナーコイル40Wとの間、W相のインナーコイル40WとU相のインナーコイル40Uとの間それぞれには、分割ティース13を挿入可能とする隙間が形成される。
次に、図6(b)に示すように、ステータコア11の周方向におけるインナーコイル40U,40V,40Wの外側、すなわち、ステータコア11の周方向に隣り合うインナーコイル40U,40V,40W同士の間の隙間に、分割ティース13を挿入するとともに、ステータコア11に分割ティース13を装着する。このとき、アウター渡り部31bがステータコア11の内周面よりも半径方向外側に配置されるとともに、アウター渡り部31bが係止凸部11aよりもステータコア11の半径方向外側に配置されている。そして、ステータコア11の周方向に隣り合う固定ティース12間は、一対のアウター起立部31a同士の間から開口しているため、アウター渡り部31bが分割ティース13の挿入の妨げになることがない。
そして、分割ティース13と固定ティース12とでインナーコイル40U,40V,40Wを挟み込むように分割ティース13をステータコア11に装着する。このとき、ステータコア11の係止凸部11aを分割ティース13の係止凹部13cに嵌合することで分割ティース13のステータコア11への装着が行われ、具体的には、分割ティース13を、ステータコア11の軸方向に沿って移動させて係止凹部13cの内側に係止凸部11aを嵌合する。
すると、ステータコア11に分割ティース13が装着されるとともに、ステータコア11の周方向に隣り合う固定ティース12と分割ティース13との間にスロット14が区画される。区画されたスロット14にはインナーコイル40U,40V,40Wの挿入部47が挿入されている。さらに、固定ティース12の鍔部12aと、分割ティース13の鍔部13aとの間に所定のギャップGが形成され、固定子10が製造される。
図7は、上記方法により製造された固定子10におけるアウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wの配線図を示す。インバータ50のU相の端子51に接続される一対のアウターコイル30UのU相挿入部(図7のみ37Uで示す)は、U相のスロット(図7のみ14Uoで示す)の群に通されている。インバータ50のV相の端子52に接続される一対のアウターコイル30VのV相挿入部(図7のみ37Vで示す)は、V相のスロット(図7のみ14Voで示す)の群に通されている。インバータ50のW相の端子53に接続される一対のアウターコイル30WのW相挿入部(図7のみ37Wで示す)は、W相のスロット(図7のみ14Woで示す)の群に通されている。
インバータ50のU相の端子51に接続される一対のインナーコイル40UのU相挿入部(図7のみ47Uで示す)は、U相のスロット(図7のみ14Uiで示す)の群に通されている。インバータ50のV相の端子52に接続される一対のインナーコイル40VのV相挿入部(図7のみ47Vで示す)は、V相のスロット(図7のみ14Viで示す)の群に通されている。インバータ50のW相の端子53に接続される一対のインナーコイル40WのW相挿入部(図7のみ47Wで示す)は、W相のスロット(図7のみ14Wiで示す)の群に通されている。
符号N1は、アウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wのコイル線33,34,43の終端を結線した中性点であり、符号N2は、アウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wのコイル線35,36,44の終端を結線した中性点である。そして、回転電機Mは、3相8極24スロットの回転電機である。回転子15は、インバータ50を介したアウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wへの通電によって回転する。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)固定ティース12にアウターコイル30U、30V,30Wを組付けた後、ステータコア11の周方向におけるアウターコイル30U,30V,30Wの外側で該アウターコイル30U,30V,30Wに隣り合う位置に分割ティース13を装着してアウターコイル30U,30V,30Wをスロット14に組み込んだ。また、固定ティース12にインナーコイル40U,40V,40Wを組付けた後、ステータコア11の周方向におけるインナーコイル40U,40V,40Wの外側で該インナーコイル40U,40V,40Wに隣り合う位置に分割ティース13を装着してインナーコイル40U,40V,40Wをスロット14に組み込んだ。よって、分割ティース13がアウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wに向けて直接差し込まれたり、押圧したりすることがなく、分割ティース13をステータコア11に装着する際の、アウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wの変形を防止できる。また、全てのティースが一体成形されたステータコアのスロットにコイルを組み込む場合と異なり、アウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wをスロット14に組み込むことによるアウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wの変形を防止できる。よって、分布巻の固定子10であっても、その製造時に、アウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wのコイル線が損傷を受けたりすることを防止することができ、固定子10の製造に伴う回転電機Mの性能低下を防止することができる。
(1)固定ティース12にアウターコイル30U、30V,30Wを組付けた後、ステータコア11の周方向におけるアウターコイル30U,30V,30Wの外側で該アウターコイル30U,30V,30Wに隣り合う位置に分割ティース13を装着してアウターコイル30U,30V,30Wをスロット14に組み込んだ。また、固定ティース12にインナーコイル40U,40V,40Wを組付けた後、ステータコア11の周方向におけるインナーコイル40U,40V,40Wの外側で該インナーコイル40U,40V,40Wに隣り合う位置に分割ティース13を装着してインナーコイル40U,40V,40Wをスロット14に組み込んだ。よって、分割ティース13がアウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wに向けて直接差し込まれたり、押圧したりすることがなく、分割ティース13をステータコア11に装着する際の、アウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wの変形を防止できる。また、全てのティースが一体成形されたステータコアのスロットにコイルを組み込む場合と異なり、アウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wをスロット14に組み込むことによるアウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wの変形を防止できる。よって、分布巻の固定子10であっても、その製造時に、アウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wのコイル線が損傷を受けたりすることを防止することができ、固定子10の製造に伴う回転電機Mの性能低下を防止することができる。
(2)ステータコア11の内周に配列されるティースは、ステータコア11に一体成形された固定ティース12と、ステータコア11に装着可能な分割ティース13とからなり、全てのティースのうちの半分が固定ティース12となっている。よって、例えば、全てのティースを分割ティース13とする場合と比べると、ステータコア11に全てのティースを装着するのに要する時間を短縮し、部品点数を減らして固定子10の製造コストを抑えることができる。さらに、全てのティースを分割ティース13とする場合と比べると、分割ティース13とステータコア11との装着箇所のギャップによる鉄損増加を少なくすることができるとともに、ステータコア11の周方向に隣り合うティース間のギャップGのバラツキを抑えることができる。その結果として、トルクリップルが大きくなることを防止することができる。加えて、全てのティースを分割ティース13とする場合は、全ての分割ティース13をステータコア11に装着する際に発生する塑性変形量が大きくなるが、本実施形態では、全てのティースのうち半分のみが分割ティース13であるため、分割ティース13を装着する際の塑性変形量を減らして電磁気特性の劣化を抑えることができる。
(3)アウターコイル30U,30V,30Wがステータコア11に組付けられた状態において、アウター渡り部31bは、係止凸部11aよりもステータコア11の半径方向外側に配置される。このため、アウターコイル30U,30V,30Wがステータコア11に組付けられても、係止凸部11aは、一対のアウター起立部31aの間からステータコア11の軸方向における端面に臨んでいる。よって、分割ティース13の係止凹部13cをステータコア11の係止凸部11aに嵌合する際、アウター渡り部31bが、分割ティース13装着の邪魔になることがない。
(4)アウターコイル30U,30V,30Wをステータコア11に組付けた後、分割ティース13は、アウターコイルエンド31の内側を通過させてステータコア11に装着される。このため、アウターコイルエンド31が分割ティース13のステータコア11への装着の妨げとならないためには、アウター渡り部31bは、分割ティース13の係止凹部13cとステータコア11の係止凸部11aとの嵌合部よりもステータコア11の半径方向外側に配置される必要がある。このとき、係止凸部11aは、ステータコア11の内周面よりステータコア11の中心軸Pに向けて突設されているため、例えば、ステータコア11の内周面に分割ティース13と嵌合させる部位が凹設されている場合と比べてアウター渡り部31bを、ステータコア11の半径方向外側に後退させる量を少なくすることができる。その結果として、アウターコイルエンド31のステータコア11からの突出量を少なくし、アウターコイルエンド31のステータコア11からの突出高さを小さくすることができる。よって、アウターコイルエンド31の抵抗値を小さくして回転電機Mの性能低下を防止することができる。
(5)アウターコイルエンド31は、アウター渡り部31bがインナー渡り部41bよりもステータコア11の半径方向外側に配置されるように、アウター起立部31aが挿入部37からステータコア11の半径方向に延びるように予め所定の形状に整形されている。このため、インナーコイル40U,40V,40Wをステータコア11に組付けたとき、コイルエンド31,41同士が干渉することがない。よって、分布巻の固定子10であっても、その製造時に、アウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wのコイル線が損傷を受けたりすることを防止することができ、固定子10の製造に伴う回転電機Mの性能低下を防止することができる。
(6)アウターコイルエンド31は、アウター渡り部31bがインナー渡り部41bよりもステータコア11の半径方向外側に配置されるように、アウター起立部31aが挿入部37からステータコア11の半径方向に延びるように予め整形されている。また、インナーコイルエンド41は、アウター起立部31aを跨ぐようにインナー渡り部41bが予め整形されている。ここで、アウターコイル30U,30V,30W及びインナーコイル40U,40V,40Wをステータコア11に組付けた後、アウターコイルエンド31及びインナーコイルエンド41を上記形状に整形すると、その整形の際、固定ティース12や分割ティース13が邪魔になる。よって、アウターコイルエンド31及びインナーコイルエンド41を上記形状に予め整形しておくことで、アウターコイルエンド31及びインナーコイルエンド41を正確かつ容易に行うことができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 固定ティース12と分割ティース13の合計個数及びスロット14の個数は24個でなく、36個でもよい。この場合、固定ティース12及び分割ティース13はそれぞれ18個ずつ設けられる。また、U相のアウターコイル30U、V相のアウターコイル30V、W相のアウターコイル30Wはそれぞれ3個ずつ設けられるとともに、U相のインナーコイル40U、V相のインナーコイル40V、W相のインナーコイル40Wはそれぞれ3個ずつ設けられ、合計18個のコイルが用いられる。
○ 固定ティース12と分割ティース13の合計個数及びスロット14の個数は24個でなく、36個でもよい。この場合、固定ティース12及び分割ティース13はそれぞれ18個ずつ設けられる。また、U相のアウターコイル30U、V相のアウターコイル30V、W相のアウターコイル30Wはそれぞれ3個ずつ設けられるとともに、U相のインナーコイル40U、V相のインナーコイル40V、W相のインナーコイル40Wはそれぞれ3個ずつ設けられ、合計18個のコイルが用いられる。
○ 固定ティース12と分割ティース13の合計個数及びスロット14の個数は24個でなく、48個でもよい。図8は、固定子10を模式的に示す図である。図8に示す固定子10においては、アウターコイル30は16個設けられるとともに、インナーコイル40は8個設けられ、合計24個のコイルが用いられる。なお、アウターコイル30は、インナーコイルより先にステータコア11に組付けられるコイルである。また、アウター渡り部31bと、インナー渡り部41bの両方が跨るティースが固定ティース12になっており、固定ティース12が24個、分割ティース13が24個設けられている。
この場合、8個のアウターコイル(以下、第1のアウターコイル301とする)を、4つのスロット14を挟んだ一対の固定ティース12に組付け、次に、ステータコア11の周方向における各第1のアウターコイル301の外側に分割ティース13を装着する。次に、第1のアウターコイル301群よりもステータコア11の半径方向内側に、8個のアウターコイル(以下、第2のアウターコイル302とする)を、第1のアウターコイル301群が組付けられた固定ティース12に対し、反時計方向に分割ティース13を挿入する空間を挟んで隣り合う固定ティース12に組付ける。そして、ステータコア11の周方向における第2のアウターコイル302の外側に分割ティース13を装着する。
次に、第2のアウターコイル302群よりもステータコア11の半径方向内側に、8個のインナーコイル40を、第2のアウターコイル302群が組付けられた固定ティース12に対し、反時計方向に分割ティース13を挿入する空間を挟んで隣り合う固定ティース12に組付ける。そして、ステータコア11の周方向におけるインナーコイル40の外側に分割ティース13を装着する。その結果、固定子10が製造される。
○ 固定ティース12と分割ティース13の合計個数及びスロット14の個数は24個でなく、48個でもよい。図9は、固定子10を模式的に示す図である。図9に示す固定子10においては、アウターコイル30は18個設けられ、インナーコイル40は6個設けられる。なお、アウターコイル30は、インナーコイル40より先にステータコア11に組付けられるコイルである。また、アウターコイル30のアウター渡り部31bと、インナーコイル40のインナー渡り部41bの両方が跨るティースが固定ティース12になっており、固定ティース12が12個、分割ティース13が36個設けられている。
この場合、まず、ステータコア11に対し、6個のアウターコイル(以下、第1のアウターコイル301とする)を組付け、次に、ステータコア11の周方向における第1のアウターコイル301の外側に分割ティース13を装着する。このとき、第1のアウターコイル301群を組付けるための分割ティース13は、各固定ティース12との間に2つのスロット14が区画される位置に装着される。また、対となる分割ティース13は、両分割ティース13の間に6個のスロット14が形成されるようにステータコア11に装着される。
次に、第1のアウターコイル301群よりもステータコア11の半径方向内側であり、かつ周方向の内側に、6個のアウターコイル(以下、第2のアウターコイル302とする)を組付ける。次に、第1のアウターコイル301群が組付けられた分割ティース13に対し、ステータコア11の周方向に隣り合う位置に分割ティース13を装着し、ステータコア11の周方向における第2のアウターコイル302の外側に分割ティース13を装着する。
次に、第2のアウターコイル302群よりもステータコア11の半径方向内側に、6個のアウターコイル(以下、第3のアウターコイル303とする)を組付け、次に、ステータコア11の周方向における第3のアウターコイル303の外側に分割ティース13を装着する。このとき、第3のアウターコイル303を組付けるための分割ティース13は、各固定ティース12との間に2つのスロット14が区画される位置に装着される。また、対となる分割ティース13は、両分割ティース13の間に6個のスロット14が形成されるようにステータコア11に装着される。
次に、第3のアウターコイル303群よりもステータコア11の半径方向内側に、6個のインナーコイル40を、固定ティース12に組付け、ステータコア11の周方向におけるインナーコイル40の外側に分割ティース13を装着する。その結果、固定子10が製造される。
○ 分割ティース13の係止凹部13cと、ステータコア11の係止凸部11aとは、分割ティース13がステータコア11の半径方向に沿って移動不能であれば、適宜形状は変更してもよい。
○ 固定ティース12の鍔部12aを分割ティース13の鍔部13aより小さくしたり、完全に鍔部12aを無くしてもよい。また、固定ティース12の鍔部12aを固定ティース12に対し分離可能な構造としてもよい。
○ アウターコイルエンド31は、アウターコイル30U,30V,30Wをスロット14に組み込んだ後に整形してもよい。
○ 分割ティース13は、ステータコア11に装着した後、ステータコア11から分離不能に装着されてもよい。
○ 分割ティース13は、ステータコア11に装着した後、ステータコア11から分離不能に装着されてもよい。
○ コイルの挿入方法として、一対の挿入部を同時にスロットに挿入するのではなく、一方の挿入部を最初にスロットに配置して、その後に、コイルを回動させるようにして他方の挿入部をスロットに挿入するようにしてもよい。この方法の方が、コイルを組付けた後の、コイルとティースとの隙間をより小さくすることができる。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)全てのティースのうち半分が前記固定ティースである請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の回転電機における固定子。
(1)全てのティースのうち半分が前記固定ティースである請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の回転電機における固定子。
M…回転電機、10…固定子、11…ステータコア、11a…装着部としての係止凸部、12…ティースとしての固定ティース、13…ティースとしての分割ティース、13c…係止凹部、14…スロット、30(30U,30V,30W,301,302,303)…アウターコイル、31…アウターコイルのコイルエンドとしてのアウターコイルエンド、31a…アウターコイルのコイルエンドに形成されたアウター起立部、31b…アウターコイルのコイルエンドに形成されたアウター渡り部、40(40U,40V,40W)…インナーコイル、41…インナーコイルのコイルエンドとしてのインナーコイルエンド、41b…インナーコイルのコイルエンドに形成されたインナー渡り部。
Claims (7)
- 環状のステータコアの内周にティースが複数配列されており、アウターコイルが前記複数のティース間のスロットに組み込まれているとともに、インナーコイルが前記複数のティース間のスロットに組み込まれており、前記アウターコイルのコイルエンドに前記ステータコアの軸方向に延びる一対の起立部と、該起立部を連結し前記ステータコアの半径方向において前記インナーコイルのコイルエンドよりも外側に配置される渡り部とが形成されるとともに、前記インナーコイルのコイルエンドに前記アウターコイルのコイルエンドの起立部を跨ぐ渡り部が形成されている回転電機における固定子において、
前記ティースが、前記ステータコアに対し一体成形された固定ティースと、前記ステータコアに対し装着可能な分割ティースとからなり、前記ステータコアの周方向における前記アウターコイルの外側で該アウターコイルに隣り合うティースと、前記ステータコアの周方向における前記インナーコイルの外側で該インナーコイルに隣り合うティースとが前記分割ティースによって形成されるとともに、前記ステータコアの周方向における前記インナーコイルの内側で該インナーコイルに隣り合うティースが前記固定ティースによって形成されている回転電機における固定子。 - 前記アウターコイルのコイルエンドに形成された渡り部と、前記インナーコイルのコイルエンドに形成された渡り部の両方が跨るティースが前記固定ティースによって形成されている請求項1に記載の回転電機における固定子。
- 前記アウターコイルのコイルエンドに形成された渡り部は、前記分割ティースの前記ステータコアへの装着部よりも前記ステータコアの半径方向外側に配置されている請求項1又は請求項2に記載の回転電機における固定子。
- 前記アウターコイルのコイルエンドに形成された渡り部、及び前記インナーコイルのコイルエンドに形成された渡り部それぞれは、前記アウターコイル及びインナーコイルを前記ステータコアに組付ける前に予め整形されている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の回転電機における固定子。
- 前記分割ティースにおける基端側には係止凹部が形成されるとともに、前記ステータコアの内周には係止凸部が形成されている請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の回転電機における固定子。
- 環状のステータコアの内周にティースが複数配列されており、アウターコイルが前記複数のティース間のスロットに組み込まれているとともに、インナーコイルが前記複数のティース間のスロットに組み込まれており、前記アウターコイルのコイルエンドに前記ステータコアの軸方向に延びる一対の起立部と、該起立部を連結し前記ステータコアの半径方向における前記インナーコイルのコイルエンドよりも外側に配置される渡り部とが形成されるとともに、前記インナーコイルのコイルエンドに前記アウターコイルのコイルエンドの起立部を跨ぐ渡り部が形成され、前記ティースが、前記ステータコアに対し一体成形された固定ティースと、前記ステータコアに対し装着可能な分割ティースとからなる回転電機における固定子の製造方法において、
前記アウターコイル及びインナーコイルを環状に整形し、
前記アウターコイルを前記ステータコアの半径方向に沿って移動させてステータコアに組付け、
前記ステータコアの軸方向に沿って前記分割ティースを移動させながら、該分割ティースを、前記ステータコアの周方向における前記アウターコイルの外側で該アウターコイルに隣り合う位置に装着し、
前記インナーコイルを前記ステータコアの半径方向に沿って移動させて該インナーコイルを、前記ステータコアの周方向における前記インナーコイルの内側に前記固定ティースが隣り合うように該固定ティースに組付け、
前記ステータコアの軸方向に沿って前記分割ティースを移動させながら、該分割ティースを、前記ステータコアの周方向における前記インナーコイルの外側で該インナーコイルに隣り合う位置に装着することを特徴とする回転電機における固定子の製造方法。 - 前記アウターコイルを環状に整形する際に、前記アウターコイルのコイルエンドに前記渡り部を整形する請求項6に記載の回転電機における固定子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009095156A JP2010246341A (ja) | 2009-04-09 | 2009-04-09 | 回転電機における固定子及び該固定子の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009095156A JP2010246341A (ja) | 2009-04-09 | 2009-04-09 | 回転電機における固定子及び該固定子の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010246341A true JP2010246341A (ja) | 2010-10-28 |
Family
ID=43098753
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009095156A Pending JP2010246341A (ja) | 2009-04-09 | 2009-04-09 | 回転電機における固定子及び該固定子の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010246341A (ja) |
-
2009
- 2009-04-09 JP JP2009095156A patent/JP2010246341A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5446406B2 (ja) | 電機における固定子 | |
JP6033582B2 (ja) | ステータおよびステータの製造方法 | |
JP5309897B2 (ja) | 回転電機 | |
JP5917109B2 (ja) | 端部絶縁部材、固定子および回転機 | |
KR20120041127A (ko) | 고정자, 브러시리스 모터 및 이의 제조방법 | |
EP2597755A1 (en) | Insulator, motor, and method for manufacturing stator comprising insulator and coil | |
JP5617313B2 (ja) | 回転電気機械の組み立て方法 | |
US8590137B2 (en) | Method of manufacturing a stator | |
JP2010246343A5 (ja) | ||
JP5272906B2 (ja) | 電機における固定子 | |
JP2016208745A (ja) | 回転電機、回転電機の製造方法、固定子コイル、コイル樹脂構造体 | |
JP2012095488A (ja) | 回転電機用ロータ、およびこれを用いた回転電機 | |
JP5359463B2 (ja) | ステータおよび回転電機 | |
JP6040680B2 (ja) | 複数相のステータコイルの接続構造 | |
JP2009118636A (ja) | 回転電機および回転電機の製造方法 | |
JP2010246342A (ja) | 電機における固定子 | |
JP2014187856A (ja) | ステータコアの絶縁構造及びステータの組付方法 | |
JP4818401B2 (ja) | モータ | |
JP2010246341A (ja) | 回転電機における固定子及び該固定子の製造方法 | |
TW201742356A (zh) | 軸向間隙型旋轉電機 | |
JP6776958B2 (ja) | ステータの製造方法 | |
JP5376028B1 (ja) | ステータ及び回転電機 | |
KR102339538B1 (ko) | 스테이터 및 이를 갖춘 모터 | |
CN108781006B (zh) | 旋转电机、旋转电机的制造方法 | |
JP2020124057A (ja) | 回転電機のインシュレータ |