JP2010244598A - 磁気ディスク製造方法およびスタンパユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性向上に適したBPM型磁気ディスク製造方法と当該方法に使用できるスタンパユニットを提供する。
【解決手段】磁気ディスク製造方法は第1・第2工程を含む。第1工程では、製造目的のBPMにおける複数のサーボ領域の第1磁性部に対応したパターン形状の凹部を転写面に伴う第1スタンパと磁性膜5の間に第1樹脂を介在させて第1スタンパを第1樹脂に押し付ける。これにより、第1磁性部に対応したパターン形状を有する複数のマスク11Aを磁性膜5上に設ける。第2工程では、ユーザデータ領域の第2磁性部に対応したパターン形状の凹部32を転写面30aに伴う第2スタンパ30と磁性膜5の間に第2樹脂13を介在させて第2スタンパ30を第2樹脂13に押し付ける。第2工程では、当該過程を経て、第2磁性部に対応したパターン形状を有するマスク13Aを磁性膜5上に設けることをサーボ領域形成予定箇所間毎に行う。
【選択図】図6

Description

本発明は、いわゆるビットパターンドメディア型の磁気ディスクの製造方法、および、BPM型磁気ディスク製造方法に使用するためのスタンパに関する。
近年、ハードディスク等の磁気記録装置の大容量化にともない磁気記録媒体の記録密度の向上が進められている。記録密度の向上を図るのに適した磁気記録媒体として、ビットパターンドメディア(BPM)が知られている。BPMは、パターニングされた磁性部を記録層に有する。パターニングされた磁性部には、サーボ領域におけるサーボパターンや、ユーザデータを記録するための磁気ビット群が含まれる。BPMについては、下記の特許文献1,2に記載されている。
特開平3−22211号公報 特開2005−108361号公報
本発明は、生産性を高めるのに適したビットパターンド(BPM)型磁気ディスク製造方法、および、そのような方法に使用することのできるスタンパユニットを提供することを、目的とする。
本発明の一の側面によると、複数の第1磁性部を含むサーボ領域、および、複数の第2磁性部を含むユーザデータ領域が、記録層においてディスク周方向に交互に配された磁気ディスクを製造するための方法が提供される。本磁気ディスク製造方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程とを含む。第1工程では、複数のサーボ領域の複数の第1磁性部に対応したパターン形状の凹部を第1転写面に有する第1スタンパの当該第1転写面と、磁性膜との間に、第1樹脂材料を介在させたうえで、当該第1スタンパを当該第1樹脂材料に押し付ける。第1工程では、このような過程を経て、それぞれが複数の第1磁性部に対応したパターン形状を有する複数の第1樹脂マスクパターンを、磁性膜上に形成する。第2工程では、一のユーザデータ領域の複数の第2磁性部に対応したパターン形状の凹部を第2転写面に有する第2スタンパの当該第2転写面と、磁性膜との間に、第2樹脂材料を介在させたうえで、当該第2スタンパを当該第2樹脂材料に押し付ける。第2工程では、このような過程を経て、複数の第2磁性部に対応したパターン形状を有する第2樹脂マスクパターンを磁性膜上に形成することを、磁性膜におけるサーボ領域形成予定箇所間ごとに行って、複数の第2樹脂マスクパターンを形成する。第3工程では、複数の第1樹脂マスクパターンおよび複数の第2樹脂マスクパターンの側から磁性膜に対してエッチング処理を施すことにより、当該磁性膜から、各サーボ領域の複数の第1磁性部および各ユーザデータ領域の複数の第2磁性部をパターン形成する。
本方法によると、BPM型磁気ディスクの製造にあたり、使用するスタンパについて長時間を要して作製するのを回避することができる。このような本方法は、BPM型磁気ディスクの生産性を高めるのに適する。
本発明に係る磁気ディスク製造方法によって製造することのできる磁気ディスクの平面図である。 図1に示す磁気ディスクの部分拡大平面図である。 図2の線III−IIIに沿った断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る磁気ディスク製造方法における一部の工程を表す。 図4の後に続く工程を表す。 図5の後に続く工程を表す。 図6の後に続く工程を表す。 図7の後に続く工程を表す。 第1の実施形態における第1スタンパの平面図である。 第1の実施形態における第1スタンパの作製方法を表す。 第1の実施形態における第2スタンパの平面図であり、(a)は第2スタンパがディスク形状を有する場合を表し、(b)は第2スタンパがセクタ形状を有する場合を表す。 第1の実施形態における第2スタンパの作製方法における一部の工程を表す。 図12の後に続く工程を表す。 本発明の第2の実施形態に係る磁気ディスク製造方法における一部の工程を表す。 図14の後に続く工程を表す。 図15の後に続く工程を表す。 第2の実施形態におけるワーキングスタンパの作製方法における一部の工程を表す。 図17の後に続く工程を表す。 図18の後に続く工程を表す。 図19の後に続く工程を表す。 図20の後に続く工程を表す。 本発明に係る磁気ディスク製造方法によって製造することのできる磁気ディスクの変形例の一部省略部分拡大平面図であり、図1に示す磁気ディスクにとっての図2に相当する。
図1から図3は、本発明に係る磁気ディスク製造方法によって製造することのできる磁気ディスクX1を表す。図1は、磁気ディスクX1の平面図である。図2は、磁気ディスクX1の部分拡大平面図である。図3は、図2の線III−IIIに沿った断面図である。
磁気ディスクX1は、図3に示すように、ディスク基板1、記録層2、軟磁性層3、および保護層4(図1および図2では省略)を含む積層構造を有する、情報記録と情報再生とが可能なBPMである。
ディスク基板1は、主に、磁気ディスクX1の剛性を確保するための部位であり、例えば、アルミニウム合金、ガラス、シリコン、またはポリカーボネート樹脂よりなる。
記録層2は、図1に示すように磁気ディスクX1の周方向D1において交互に配された、サーボ領域R1およびユーザデータ領域R2を含む。また、記録層2は、図2および図3に示すように、サーボ領域R1に含まれて相互に離隔する複数の磁性部2aと、ユーザデータ領域R2に含まれて相互に離隔する複数の磁性部2bと、ユーザデータ領域R2に含まれて相互に離隔する複数の磁性部2cとを含む。磁性部2a,2b,2cのそれぞれは、例えば硬磁性材料よりなり、垂直磁気異方性を有する。磁性部2a,2b,2cのための硬磁性材料としては、例えばCoPt、CoPtCr、またはSmCoを採用することができる。加えて、記録層2は、磁性部2a,2b,2c間に介在する非磁性部2dを含む。非磁性部2dは、例えばSiN、C、またはSiO2などの非磁性材料よりなる。非磁性部2dの存在により、磁性部2a,2b,2c間の磁気的相互作用が充分に抑制される。記録層2の厚さは例えば10〜30nmである。このような記録層2には、磁気ディスクX1の図1に示す回転中心Aを共通中心として同心円状に配された複数のトラック(図示略)が設定されている。
サーボ領域R1における複数の磁性部2aは、サーボ情報を形成するためのものであり、磁気ディスクX1について読取りを実行するための装置の具備する再生素子(MR素子やGMR素子など)が検出可能な磁界を発生している。サーボ情報には、例えばトラック情報、セクタ情報、および、トラッキング制御用の振幅信号等が含まれる。図2および図3には、サーボ情報の一部たる振幅信号の一部をなす複数の磁性部2aを示す。ディスクの径方向D2において、各磁性部2aは、トラック幅に相当する長さや、複数のトラックにわたる長さを有する。各サーボ領域R1では、所定のサーボ情報が保持される。
ユーザデータ領域R2における複数の磁性部2bは、ユーザデータが書き換え可能に記録されるものである。各磁性部2bは、図2に示すようにドット状の単一の記録セル(磁気ビット)であり、磁気ディスクX1について読取りを実行するための装置の具備する再生素子が検出可能な磁界を発生している。各磁性部2bの直径は、例えば10〜30nmである。各ユーザデータ領域R2では、各磁性部2bが所定方向に磁化されて、磁気ディスクX1の周方向D1に一列に並ぶ磁性部2bにおいて所定のユーザデータが書き換え可能に記録されている。一列に並ぶ磁性部2bは、一定のピッチで配されている。
ユーザデータ領域R2における複数の磁性部2cは、同期用信号を保持するためのものであり、磁気ディスクX1について読取りを実行するための装置の具備する再生素子が検出可能な磁界を発生している。各磁性部2cは、磁気ディスクX1の径方向D2に延びる。各ユーザデータ領域R2では、当該ユーザデータ領域R2に対応付けられているサーボ領域R1の側において、磁気ディスクX1の周方向D1に連なる磁性部2cに同期用信号が保持される。BPMたる磁気ディスクX1では、各トラックの各セクタのユーザデータ領域R2にてユーザデータが記録される一列の磁性部2bは、上述のように一定のピッチで配されている。磁気ディスクX1への情報記録時には、回転する磁気ディスクX1の記録面に所定の記録素子を対向させつつユーザデータ領域R2に磁界を印加するところ、記録素子の直下に各磁性部2bが至るタイミングと記録素子の磁界発生タイミングを同期させる必要がある。そのため、BPMたる磁気ディスクX1の各セクタのサーボ領域R1のサーボ情報形成位置とユーザデータ領域R2の磁性部2b群との間には、当該同期を実現するための信号を保持させるための磁性部2cが設けられるのである。当該同期信号は、記録素子による各ユーザデータ領域R2への情報記録の前に、再生素子によって読み取られる。
軟磁性層3は、磁気ディスクX1への書込み時等に保護層4に対向する記録ヘッドからの磁束を再び当該記録ヘッドに環流させる磁路を効率よく形成するためのものである。このような軟磁性層3は、高透磁率を有して大きな飽和磁化を有するとともに小さな保磁力を有する軟磁性材料よりなる。磁気ディスクX1への書込み時には、記録ヘッドによる記録磁界の印加によって、ユーザデータ領域R2にて選択された所定の磁性部2bが所定方向に磁化される。軟磁性層3が存在することにより、磁性部2bを磁化反転させるのに必要な実効的な記録磁界を低減させることが可能である。軟磁性層3のための軟磁性材料としては、例えば、FeC、FeNi、FeCoB、FeCoSiC、またはFeCo−AlOを採用することができる。
保護層4は、記録層2や軟磁性層3を外界から物理的および化学的に保護するための部位であり、例えば、SiN、SiO2、またはダイアモンドライクカーボン(DLC)よりなる。保護層4の厚さは、例えば1〜5nmである。保護層4の露出面は、磁気ディスクX1の記録面をなす。
以上のような記録層2、軟磁性層3、および保護層4を含む積層構造を磁気ディスクX1はディスク基板1の両面上に有する。また、記録層2、軟磁性層3、および保護層4を含む積層構造中には、必要に応じて他の層が含まれてもよい。
図4から図8は、第1の実施形態に係る磁気ディスク製造方法を表す。本方法は、上述の磁気ディスクX1を製造するための一の方法である。図4から図8では、磁気ディスクX1や後述の各スタンパ等における複数の所定箇所の断面をモデル化して一連続断面としたうえで、磁気ディスクX1の製造過程を表す。
本方法では、まず、図4(a)に示すように、ディスク基板1上に、軟磁性層3、および磁性膜5を順次形成する。軟磁性層3の形成においては、例えばスパッタリング法により、軟磁性層3に関して上述した軟磁性材料をディスク基板1上に成膜する。磁性膜5の形成においては、例えばスパッタリング法により、磁性部2a,2b,2cに関して上述した磁性材料を軟磁性層3上に成膜する。
次に、図4(b)に示すように、磁性膜5上に複数の樹脂膜11を形成する。樹脂膜11は、磁性膜5における各サーボ領域形成予定箇所上に形成する。樹脂膜11の形成においては、例えば、インクジェット法により、紫外線硬化型の樹脂材料のドロップレットを、磁性膜5におけるサーボ領域形成予定箇所上に滴下し整列させて形成する。滴下されるドロップレットの直径は、例えば10〜90μmである。
次に、図4(c)および図5(a)に示すように、第1スタンパ20を使用して第1インプリント工程を行う。第1スタンパ20は、転写面20aを有し、転写面20aにおけるサーボ領域対応領域R1’ごとに複数の凹部21を有する。図9は、第1スタンパ20の転写面20a側の平面図である。図9では、第1スタンパ20のサーボ領域対応領域R1’について斜線ハッチングを付して表す。凹部21(図9では図示略)は、磁気ディスクX1の記録層2の全てのサーボ領域R1における上述の複数の磁性部2aに対応するパターン形状を有する。凹部21の深さは、上述の記録層2ないし磁性部2aの厚さに応じて決定され、例えば10〜30nmである。また、第1スタンパ20は、本実施形態では光透過性の材料よりなる。
第1インプリント工程では、このような第1スタンパ20の転写面20aを樹脂膜11に押し付ける。第1スタンパ20を樹脂膜11に押し付けた状態で、第1スタンパ20の側から樹脂膜11に対して紫外線を照射して樹脂膜11を硬化させる。このような第1インプリント工程によって、転写面20aの凹凸形状が樹脂膜11に転写されて、樹脂マスク11Aが形成される。樹脂マスク11Aには、第1スタンパ20の凹部21に応じて形成された凸部11aが含まれる。また、第1インプリント工程では、図5(a)に示すように、第1スタンパ20は磁性膜5に至らず、磁性膜5と第1スタンパ20との間に樹脂材料(部分11b)が残存するのが好ましい。第1スタンパ20が磁性膜5に至ると、形成される樹脂マスク11Aと磁性膜5との接触面積が低下するなどして、第1スタンパ20の取り外し時に樹脂マスク11Aが磁性膜5から剥離しやすくなってしまう。そのような剥離が生じないように、第1スタンパ20と磁性膜5との間に樹脂材料が意図的に残されるのが好ましいのである。
図10は、第1スタンパ20の作製方法の一例を表す。図10では、第1スタンパ20における複数の所定箇所の断面をモデル化して一連続断面としたうえで、第1スタンパ20の作製過程を表す。
本方法では、まず、図10(a)に示すように、スピンコーティング法によってディスク状の基板20’上にレジスト膜12を形成する。レジスト膜12はポジ型の感光性を有する。レジスト膜12のためのレジスト材料としては、例えば、ZEP520A(日本ゼオン製)を用いることができる。基板20’は、光透過性を有し、例えば石英基板である。
次に、図10(b)に示すように、レジスト膜12に対してフォトリソ法によって開口部12aを形成する。具体的には、所定の電子線描画装置を使用して行う露光処理によって所定パターン(潜像)をレジスト膜12に露光形成した後、所定の現像液を使用してレジスト膜12に現像処理を施す。現像処理の後、必要に応じてリンス処理および乾燥処理を行う。開口部12aは、磁気ディスクX1の記録層2の全てのサーボ領域R1における上述の複数の磁性部2aに対応するパターン形状を有する。
次に、図10(c)に示すように、レジスト膜12側から基板20’に対して異方性ドライエッチング処理を施して、基板20’において上述の凹部21を形成する。
この後、図10(d)に示すように、基板20’上のレジスト膜12の残渣を例えば酸素プラズマアッシングによって除去する。以上のようにして、第1スタンパ20を作製することができる。
磁気ディスクX1の製造においては、第1スタンパ20を使用して行う上述の第1インプリント工程の後、図5(b)に示すように、第1スタンパ20を樹脂マスク11Aから取り外す。
次に、磁性膜5上に樹脂膜13を形成した後、図6(a)および図6(b)に示すように、第2スタンパ30を使用して、一のユーザデータ領域形成予定箇所(即ち、サーボ領域形成予定箇所間)にて第2インプリント工程を行う。樹脂膜13については、磁性膜5における各ユーザデータ領域形成予定箇所上に形成する。樹脂膜13の形成においては、例えば、インクジェット法により、紫外線硬化型の樹脂材料のドロップレットを、磁性膜5におけるユーザデータ領域形成予定箇所上に滴下し整列させて形成する。滴下されるドロップレットの直径は、例えば10〜90μmである。一方、第2スタンパ30は、転写面30aおよび退避部30bを有し、転写面30aにおいて、複数の凹部31、複数の凹部32、およびを複数の凹部33を有する。図11は、第2スタンパ30の転写面30a側の平面図である。第2スタンパ30は、図11(a)に示すようにディスク形状を有してもよいし、図11(b)に示すようにセクタ形状を有してもよい。図11では、第2スタンパ30の転写面30aについて斜線ハッチングを付して表す。凹部31(図11では図示略)は、磁気ディスクX1の記録層2の一のサーボ領域R1における上述の複数の磁性部2aのうち、ユーザデータ領域R2に近接して配置された複数の磁性部2aに対応するパターン形状を有する。凹部31は位置合わせ用凹部である。凹部32は(図11では図示略)は、磁気ディスクX1の記録層2の一のユーザデータ領域R2における上述の複数の磁性部2bに対応するパターン形状を有する。凹部33は(図11では図示略)は、磁気ディスクX1の記録層2の一のユーザデータ領域R2における上述の複数の磁性部2cに対応するパターン形状を有する。凹部31,32,33の深さは、上述の記録層2ないし磁性部2a,2b,2cの厚さに応じて決定され、例えば10〜30nmである。また、第2スタンパ30は、本実施形態では光透過性の材料よりなる。
第2インプリント工程では、転写面30aの凹部31を磁性膜5上の樹脂マスク11Aの一部の凸部11aに対して位置合わせしつつ、第2スタンパ30の転写面30aを樹脂膜13に押し付ける。
位置合わせにおいては、例えば、まず、第2インプリント工程の前に、位置合わせ装置たるアライナーを使用して、位置合わせ対象たる第2スタンパ30の凹部31および樹脂マスク11Aの所定の凸部11aを観察して凹部31および凸部11aの相対位置関係を計測する。次に、この計測結果に基づいて、凹部31および凸部11aの位置座標が一致することとなる終着予定座標を導出する。次に、この導出結果に基づき、X座標およびY座標について凹部31および凸部11aが一致するように、第2スタンパ30および樹脂マスク11Aを伴うディスク基板1側をX方向およびY方向(図6にて紙面垂直方向)に必要に応じて変位させる。その後、Z方向において、第2スタンパ30および樹脂マスク11Aを伴うディスク基板1側のそれぞれを、必要量変位させ、凹部31に凸部11aを嵌め合せる。
このように、樹脂マスク11Aの一部の凸部11aに対して凹部31を位置合わせしつつ第2スタンパ30の転写面30aを樹脂膜13に押し付けた後、この状態で、第2スタンパ30の側から樹脂膜13に対して紫外線を照射して樹脂膜13を硬化させる。このような第2インプリント工程によって、転写面30aの凹凸形状が樹脂膜13に転写されて、樹脂マスク13Aが形成される。樹脂マスク13Aには、第2スタンパ30の凹部32に応じて形成された凸部13aおよび凹部33に応じて形成された凸部13bが含まれる。また、第2インプリント工程では、図6(b)に示すように、第2スタンパ30は磁性膜5に至らず、磁性膜5と第2スタンパ30との間に樹脂材料(部分13c)が残存するのが好ましい。第2スタンパ30が磁性膜5に至ると、形成される樹脂マスク13Aと磁性膜5との接触面積が低下するなどして、第2スタンパ30の取り外し時に樹脂マスク13Aが磁性膜5から剥離しやすくなってしまう。そのような剥離が生じないように、第2スタンパ30と磁性膜5との間に樹脂材料が意図的に残されるのが好ましいのである。
図12は、第2スタンパ30の作製方法の一例を表す。図12では、第2スタンパ30における複数の所定箇所の断面をモデル化して一連続断面としたうえで、第2スタンパ30の作製過程を表す。
本方法では、まず、図12(a)に示すように、スピンコーティング法によってディスク状の基板30’上にレジスト膜14を形成する。レジスト膜14はネガ型の感光性を有する。レジスト膜14のためのレジスト材料としては、例えば、TEBN−1(トクヤマ製)を用いることができる。基板30’は、光透過性を有し、例えば石英基板である。
次に、図12(b)に示すように、フォトリソ法によってレジスト膜14をパターニングして、部位14a,14b,14cを形成する。具体的には、所定の電子線描画装置を使用して行う露光処理によって所定パターン(潜像)をレジスト膜14に露光形成した後、所定の現像液を使用してレジスト膜14に現像処理を施す。現像処理の後、必要に応じてリンス処理および乾燥処理を行う。部位14aは上述の磁性部2aに対応したパターン形状を有する。部位14bは上述の磁性部2bに対応したパターン形状を有する。部位14cは上述の磁性部2cに対応したパターン形状を有する。
次に、図12(c)に示すように、部位14a,14b,14cを覆うようにして基板30’上にマスク材料15を成膜する。マスク材料15は例えばCrであり、マスク材料15の成膜手法としては例えばスパッタリング法を採用することができる。
次に、図13(a)に示すように、所定の剥離液を作用させるなどして部位14a,14b,14cを除去し、部位14a,14b,14c上のマスク材料15についてリフトオフする。これにより、マスクパターン15Aが形成される。マスクパターン15Aは、上述の磁性部2aに対応したパターン形状の開口部15a、上述の磁性部2bに対応したパターン形状の開口部15b、上述の磁性部2cに対応したパターン形状の開口部15cを有する。
次に、図13(b)に示すように、マスクパターン15A側から基板30’に対して異方性ドライエッチング処理を施して、基板30’において上述の凹部31,32,33を形成する。
次に、基板30’上のマスクパターン15Aの残渣を例えばウエットエッチングによって除去した後、図13(c)に示すように、基板30’において退避部30bを形成する。退避部30bの形成においては、凹部31,32,33を覆うパターン形状を有するレジストパターンを基板30’上に形成した後、当該レジストパターンをマスクとして利用して、基板30’に対してドライエッチング処理またはサンドブラスト処理を施す。以上のようにして、一の転写面30aを有する第2スタンパ30を作製することができる。
磁気ディスクX1の製造においては、第2スタンパ30を使用して行う上述の第2インプリント工程の後、図7(a)に示すように、第2スタンパ30を樹脂マスク13Aから取り外す。
次に、図7(b)に示すように、他の一のユーザデータ領域形成予定箇所(即ち、他の一のサーボ領域形成予定箇所間)にて、更に第2インプリント工程を行って樹脂マスク13Aを形成する。樹脂マスク13Aを形成する当該更なる第2インプリント工程については、具体的には、図6を参照して上述したのと同様である。第1の実施形態たる本方法では、第2スタンパ30を使用して行う第2インプリント工程を、磁性膜5におけるユーザデータ領域形成予定箇所(即ち、他の一のサーボ領域形成予定箇所間)ごとに行い、磁性膜5上にセクタ数に応じた複数の樹脂マスク13Aを形成する。
セクタごとに樹脂マスク13Aを形成した後、次に、図7(c)に示すように、樹脂マスク11A,13Aの部分11b,13cを除去する。例えば酸素プラズマ処理を施すことによって、樹脂マスク11A,13Aの部分11b,13cを除去することができる。
次に、樹脂マスク11A,13Aの側から、磁性膜5に対して異方性ドライエッチングを施すことにより、図8(a)に示すように、上述の磁性部2a,2b,2cをパターン形成する(磁性部パターニング工程)。この後、例えば酸素プラズマアッシングによって樹脂マスク11A,13Aの残渣を除去する。
次に、図8(b)に示すように非磁性部2dを形成する。具体的には、磁性部2a,2b,2c間の隙間を充填しつつ磁性部2a,2b,2cを覆うように、非磁性部2dに関して上述した非磁性材料を堆積させた後、過剰分を例えば研磨除去して磁性部2aa,2b,2cを露出させる。本工程にて、記録層2が形成されることとなる。
次に、図8(c)に示すように保護層4を形成する。保護層4の形成においては、例えばスパッタリング法により、保護層4に関して上述した材料を記録層2上に成膜する。以上のようにして、磁気ディスクX1を適切に製造することができる。
上述の磁気ディスク製造方法では、図8(a)を参照して上述した磁性部パターニング工程にて使用するエッチングマスクは、複数の樹脂マスク11Aおよび複数の樹脂マスク13Aである。複数の樹脂マスク11Aについては、第1スタンパ20を使用して行う一度のインプリント工程を経て形成する。各樹脂マスク13Aについては、第2スタンパ30を使用して行う一度のインプリント工程を経て形成する。樹脂マスク13Aを形成するためのインプリント工程は、複数回行う。その回数は、製造目的の磁気ディスクX1の記録層2に設けられるセクタ数に対応する。原盤たる第1スタンパ20は、図10を参照して上述したようにして作製され、その転写面20aに、記録層2に設けられる全てのサーボ領域R1に含まれる複数の磁性部2aに対応するパターン形状の凹部21を有する。一方、原盤たる第2スタンパ30は、図12から図13を参照して上述したようにして作製され、その転写面30aに凹部31,32,33を有する。上述のように、凹部31は位置合わせ用凹部である。凹部32は、磁気ディスクX1の記録層2の一のユーザデータ領域R2における上述の複数の磁性部2bに対応するパターン形状を有する。凹部33は、磁気ディスクX1の記録層2の一のユーザデータ領域R2における上述の複数の磁性部2cに対応するパターン形状を有する。したがって、本方法では、ユーザデータ領域R2に含まれる磁性部2bの形成にあたり、製造目的の磁気ディスクX1の全ユーザデータ領域R2の全磁性部2bのパターン形状に対応するパターン形状を含む樹脂マスクパターンを一括的に形成する必要がない。即ち、本方法では、磁気ディスクX1の全ユーザデータ領域R2の磁性部2bのパターン形状に対応するパターン形状を一括して含む樹脂マスクパターンを形成するための、電子線描画装置を使用して行う露光処理(長時間を要する処理)を行う必要がない。記録層2に設けられるセクタ数をnとする。すると、電子線描画装置による露光処理量につき、本方法の第2スタンパ30を作製する場合は、一の樹脂マスクパターンにおいて全ユーザデータ領域R2の磁性部2bのパターン形状に対応するパターンを形成する場合の、1/nである。セクタ数nが190ならば、電子線描画装置による露光処理量につき、本方法の第2スタンパ30を作製する場合は、一の樹脂マスクパターンにおいて全ユーザデータ領域R2の磁性部2bのパターン形状に対応するパターンを形成する場合の、1/190である。したがって、本方法によると、BPM型磁気ディスクX1の製造にあたり、使用するスタンパについて長時間を要して作製するのを回避することができる。このような本方法は、BPM型磁気ディスクX1の生産性を高めるのに適する。
また、本方法によると、原盤たる第1スタンパ20を作製するための上述の過程および原盤たる第2スタンパ30を作製するための上述の過程のそれぞれにおいて、電子線描画装置による露光処理条件を最適化することが可能である。BPM型磁気ディスクX1では、サーボ領域R1に形成されるべき磁性部2aのパターンの細密度と、ユーザデータ領域R2に形成されるべき磁性部2b(磁気ビット)の細密度とは、相当程度に異なる。原盤製造過程において電子線描画装置を使用して行う上述の露光処理では、磁性部パターンの細密度に応じて最適な電子線強度条件が異なるところ、電子線描画装置においては、露光処理の途中で電子線強度を変化させるのは困難である。そのため、サーボ領域用の露光処理とユーザデータ領域用の露光処理とを一の露光処理にて一括して行う従来の技術では、サーボ領域用の露光処理条件とユーザデータ領域用の露光処理条件とについて共に最適化するのは困難である。これに対し、本方法によると、使用する原盤たる第1および第2スタンパ20,30は、電子線描画装置による別個の露光処理を経て作製されるものであるので、各露光処理について異なる電子線強度条件を採用することが可能である。当該各露光処理について異なる電子線強度条件を採用することが可能なことは、ユーザデータ領域R2における磁性部2bの細密度の向上、ひいてはBPM型磁気ディスクX1の高記録密度化を図るうえで、好適である。
加えて、本方法は、各ユーザデータ領域R2の磁性部2b(磁気ビット)群に対して位置精度よく同期信号(各ユーザデータ領域R2の磁性部2c群がなす)を形成するのに好適である。第2スタンパ30における凹部32,33のパターン形状は、図12(b)を参照して上述した部分14b,14cのパターン形状が反映されたものである。部分14b,14cのパターン形状は、電子線描画装置を使用して行う露光処理によって形成された潜像パターンが反映されたものである。この潜像パターンの形状および位置については、電子線描画装置の露光処理において相当程度に高い精度を実現することができる。そのため、部分14b,14cのパターン形状、第2スタンパ30における凹部32,33のパターン形状、ひいては、凹部32,33のパターン形状に対応したパターンで形成される磁性部2b,2cは、位置精度よく形成される。すなわち、本方法は、各ユーザデータ領域R2の磁性部2b(磁気ビット)群に対して位置精度よく同期信号(各ユーザデータ領域R2の磁性部2c群がなす)を形成するのに好適なのである。
更に加えて、本方法は、ユーザデータ領域R2の複数の磁性部2bおよび複数の磁性部2cについて、サーボ領域R1の複数の磁性部2aに対して位置精度よく形成するのに好適である。本方法では、図6を参照して上述した第2インプリント工程を、図7(b)を参照して上述したように、磁性膜5におけるユーザデータ領域形成予定箇所ごとに行うことによって、必要な全ての樹脂マスク13Aを形成する。各樹脂マスク13Aの形成の際、図6を参照して上述したように、第2スタンパ30の凹部31と磁性膜5上の樹脂マスク11Aの所定の凸部11aとを利用して、第2スタンパ30と樹脂マスク11Aを伴うディスク基板1側とを位置合わせすることができる。そのため、本方法によると、磁性膜5上において、樹脂マスク11Aに対して樹脂マスク13Aを位置精度よく形成することができる。記録層2における磁性部2a,2b,2cは、これら樹脂マスク11A,13Aをエッチングマスクとして使用してパターン形成される。したがって、本方法は、ユーザデータ領域R2の複数の磁性部2bおよび複数の磁性部2cについて、サーボ領域R1の複数の磁性部2aに対して位置精度よく形成するのに好適なのである。
図14から図16は、第2の実施形態に係る磁気ディスク製造方法を表す。本方法は、上述の磁気ディスクX1を製造するための一の方法である。図14から図16では、磁気ディスクX1や後述の各スタンパ等における複数の所定箇所の断面をモデル化して一連続断面としたうえで、磁気ディスクX1の製造過程を表す。
本方法では、まず、図14(a)に示すように、ディスク基板1上に、軟磁性層3、および磁性膜5を順次形成する。軟磁性層3および磁性膜5の形成については、第1の実施形態に関して上述したのと同様である。
次に、図14(b)に示すように、磁性膜5上に樹脂膜16を形成する。樹脂膜16の形成においては、スピンコーティング法により、例えば紫外線硬化型の樹脂材料を磁性膜5上に成膜する。
次に、図14(c)および図15(a)に示すように、ワーキングスタンパ40を使用してインプリント工程を行う。ワーキングスタンパ40は、ディスク形状を有して、転写面40aを有する。転写面40aには、ディスク形状のワーキングスタンパ40の周方向にサーボ領域対応領域R1”およびユーザデータ領域対応領域R2”が交互に設けられている。転写面40aにおける各サーボ領域対応領域R1”には、複数の凹部41が設けられている。凹部41は、磁気ディスクX1の記録層2の各サーボ領域R1における上述の複数の磁性部2aに対応するパターン形状を有する。転写面40aにおける各ユーザデータ領域対応領域R2”には、複数の凹部42および複数の凹部43が設けられている。凹部42は、磁気ディスクX1の記録層2の各ユーザデータ領域R2における上述の複数の磁性部2bに対応するパターン形状を有する。凹部43は、磁気ディスクX1の記録層2の各ユーザデータ領域R2における上述の複数の磁性部2cに対応するパターン形状を有する。凹部41,42,43の深さは、上述の記録層2ないし磁性部2a,2b,2cの厚さに応じて決定され、例えば10〜30nmである。また、ワーキングスタンパ40は、本実施形態では光透過性の材料よりなる。
本方法における上述のインプリント工程では、このようなワーキングスタンパ40の転写面40aを樹脂膜16に押し付ける。ワーキングスタンパ40を樹脂膜16に押し付けた状態で、ワーキングスタンパ40の側から樹脂膜16に対して紫外線を照射して樹脂膜16を硬化させる。このようなインプリント工程によって、転写面40aの凹凸形状が樹脂膜16に転写されて、樹脂マスク16Aが形成される。樹脂マスク16Aには、ワーキングスタンパ40の凹部41,42,43に応じて形成された凸部16a,16b,16cが含まれる。また、当該インプリント工程では、図15(a)に示すように、ワーキングスタンパ40は磁性膜5に至らず、磁性膜5とワーキングスタンパ40との間に樹脂材料(部分16d)が残存するのが好ましい。ワーキングスタンパ40が磁性膜5に至ると、形成される樹脂マスク16Aと磁性膜5との接触面積が低下するなどして、ワーキングスタンパ40の取り外し時に樹脂マスク16Aが磁性膜5から剥離しやすくなってしまう。そのような剥離が生じないように、ワーキングスタンパ40と磁性膜5との間に樹脂材料が意図的に残されるのが好ましいのである。
本方法においては、ワーキングスタンパ40を使用して行う上述のインプリント工程の後、図15(b)に示すように、ワーキングスタンパ40を樹脂マスク16Aから取り外す。
次に、図15(c)に示すように、樹脂マスク16Aの部分16dを除去する。例えば酸素プラズマ処理を施すことによって、樹脂マスク16Aの部分16dを除去することができる。
次に、樹脂マスク16Aの側から、磁性膜5に対して異方性ドライエッチングを施すことにより、図16(a)に示すように、上述の磁性部2a,2b,2cをパターン形成する(磁性部パターニング工程)。この後、例えば酸素プラズマアッシングによって樹脂マスク16Aの残渣を除去する。
次に、図16(b)に示すように非磁性部2dを形成する。具体的には、磁性部2a,2b,2c間の隙間を充填しつつ磁性部2a,2b,2cを覆うように、非磁性部2dに関して上述した非磁性材料を堆積させた後、過剰分を例えば研磨除去して磁性部2aa,2b,2cを露出させる。本工程にて、記録層2が形成されることとなる。
次に、図16(c)に示すように保護層4を形成する。保護層4の形成においては、例えばスパッタリング法により、保護層4に関して上述した材料を記録層2上に成膜する。以上のようにして、磁気ディスクX1を適切に製造することができる。
図17から図21は、上述のワーキングスタンパ40の作製方法の一例を表す。図17から図21では、ワーキングスタンパ40や後述の各スタンパ等における複数の所定箇所の断面をモデル化して一連続断面としたうえで、ワーキングスタンパ40の作製過程を表す。
本方法では、まず、図17(a)に示すように、基板40’上に複数の樹脂膜11を形成する。樹脂膜11の形成においては、例えば、インクジェット法により、紫外線硬化型の樹脂材料のドロップレットを、基板40’におけるサーボ領域対応領域R1”上に滴下し整列させて形成する。滴下されるドロップレットの直径は、例えば10〜90μmである。基板40’は、光透過性を有し、例えば石英基板である。
次に、図17(b)および図18(a)に示すように、上述の第1スタンパ20を使用して第1インプリント工程を行う。第1スタンパ20は、転写面20aを有し、転写面20aにおけるサーボ領域対応領域R1’ごとに複数の凹部21を有する。第1スタンパ20の構成および作製方法は、第1の実施形態に関して上述したとおりである。
第1インプリント工程では、第1スタンパ20の転写面20aを樹脂膜11に押し付ける。第1スタンパ20を樹脂膜11に押し付けた状態で、第1スタンパ20の側から樹脂膜11に対して紫外線を照射して樹脂膜11を硬化させる。このような第1インプリント工程によって、転写面20aの凹凸形状が樹脂膜11に転写されて、樹脂マスク11Aが形成される。樹脂マスク11Aには、第1スタンパ20の凹部21に応じて形成された凸部11aが含まれる。また、第1インプリント工程では、図18(a)に示すように、第1スタンパ20は基板40’に至らず、基板40’と第1スタンパ20との間に樹脂材料(部分11b)が残存するのが好ましい。第1スタンパ20が基板40’に至ると、形成される樹脂マスク11Aと基板40’との接触面積が低下するなどして、第1スタンパ20の取り外し時に樹脂マスク11Aが基板40’から剥離しやすくなってしまう。そのような剥離が生じないように、第1スタンパ20と基板40’との間に樹脂材料が意図的に残されるのが好ましいのである。
ワーキングスタンパ40の作製においては、第1スタンパ20を使用して行う上述の第1インプリント工程の後、図18(b)に示すように、第1スタンパ20を樹脂マスク11Aから取り外す。
次に、基板40’上に樹脂膜13を形成した後、図19(a)および図19(b)に示すように、第2スタンパ30を使用して、一のユーザデータ領域対応領域R2”(即ち、サーボ領域対応領域R1”間)にて第2インプリント工程を行う。樹脂膜13については、基板40’における各ユーザデータ領域対応領域R2”上に形成する。樹脂膜13の形成においては、例えば、インクジェット法により、紫外線硬化型の樹脂材料のドロップレットを、基板40’におけるサーボ領域対応領域R2”上に滴下し整列させて形成する。滴下されるドロップレットの直径は、例えば10〜90μmである。一方、第2スタンパ30は、転写面30aおよび退避部30bを有し、転写面30aにおいて、複数の凹部31、複数の凹部32、およびを複数の凹部33を有する。第2スタンパ30の構成および作製方法は、第1の実施形態に関して上述したとおりである。例えば、凹部31は位置合わせ用凹部である。凹部32は、磁気ディスクX1の記録層2の一のユーザデータ領域R2における上述の複数の磁性部2bに対応するパターン形状を有する。凹部33は、磁気ディスクX1の記録層2の一のユーザデータ領域R2における上述の複数の磁性部2cに対応するパターン形状を有する。
第2インプリント工程では、転写面30aの凹部31を基板40’上の樹脂マスク11Aの一部の凸部11aに対して位置合わせしつつ、第2スタンパ30の転写面30aを樹脂膜13に押し付ける。
位置合わせにおいては、例えば、まず、インプリント工程の前に、位置合わせ装置たるアライナーを使用して、位置合わせ対象たる第2スタンパ30の凹部31および樹脂マスク11Aの所定の凸部11aを観察して凹部31および凸部11aの相対位置関係を計測する。次に、この計測結果に基づいて、凹部31および凸部11aの位置座標が一致することとなる終着予定座標を導出する。次に、この導出結果に基づき、X座標およびY座標について凹部31および凸部11aが一致するように、第2スタンパ30および樹脂マスク11Aを伴う基板40’側をX方向およびY方向(図19にて紙面垂直方向)に必要に応じて変位させる。その後、Z方向において、第2スタンパ30および樹脂マスク11Aを伴う基板40’側のそれぞれを、必要量変位させ、凹部31に凸部11aを嵌め合せる。
このように、樹脂マスク11Aの一部の凸部11aに対して凹部31を位置合わせしつつ第2スタンパ30の転写面30aを樹脂膜13に押し付けた後、この状態で、第2スタンパ30の側から樹脂膜13に対して紫外線を照射して樹脂膜13を硬化させる。このような第2インプリント工程によって、転写面30aの凹凸形状が樹脂膜13に転写されて、樹脂マスク13Aが形成される。樹脂マスク13Aには、第2スタンパ30の凹部32に応じて形成された凸部13aおよび凹部33に応じて形成された凸部13bが含まれる。また、第2インプリント工程では、図19(b)に示すように、第2スタンパ30は基板40’に至らず、基板40’と第2スタンパ30との間に樹脂材料(部分13c)が残存するのが好ましい。第2スタンパ30が基板40’に至ると、形成される樹脂マスク13Aと基板40’との接触面積が低下するなどして、第2スタンパ30の取り外し時に樹脂マスク13Aが基板40’から剥離しやすくなってしまう。そのような剥離が生じないように、第2スタンパ30と基板40’との間に樹脂材料が意図的に残されるのが好ましいのである。
ワーキングスタンパ40の作製においては、第2スタンパ30を使用して行う上述の第2インプリント工程の後、図20(a)に示すように、第2スタンパ30を樹脂マスク13Aから取り外す。
次に、図20(b)に示すように、他の一のユーザデータ領域対応領域R2”(即ち、他の一のサーボ領域対応領域R1”間)にて、更に第2インプリント工程を行って樹脂マスク13Aを形成する。樹脂マスク13Aを形成する当該更なる第2インプリント工程については、具体的には、図19を参照して上述したのと同様である。本方法では、第2スタンパ30を使用して行う第2インプリント工程を、基板40’におけるユーザデータ領域対応領域R2”ごとに行い、基板40’上に、製造目的の磁気ディスクX1の記録層2におけるセクタ数に応じた複数の樹脂マスク13Aを形成する。
複数の樹脂マスク13Aを形成した後、次に、図20(c)に示すように、樹脂マスク11A,13Aを覆うようにスピンオングラス(SOG)膜17を形成する。SOG膜17の形成手法としては、例えばスピンコーティング法を採用することができる。
次に、SOG膜17にエッチング処理を施すことによって、図21(a)に示すように樹脂マスク11A,13Aを露出させる。本工程におけるエッチング手法としては、例えば、CF4やCHF3などのフッ素系ガスをエッチングガスとして使用して行うドライエッチングを採用することができる。
次に、図21(b)に示すように、SOG膜17をマスクとして利用して、SOG膜17の側から樹脂マスク11A,13Aに対して異方性エッチング処理を施す。本工程におけるエッチング手法としては、酸素プラズマエッチングを採用することができる。SOG膜17は酸素プラズマによっては有意な浸食を受けない。本工程にて、樹脂マスク11A,13Aの一部とSOG膜17の一部と含むマスクパターン18が形成されることとなる。
次に、図21(c)に示すように、マスクパターン18をマスクとして利用して、マスクパターン18の側から基板40’に対して異方性ドライエッチング処理を施して、上述の凹部41,42,43を形成する(ワーキングスタンパ凹部パターニング工程)。
この後、図21(d)に示すように、マスクパターン18の残渣を除去する。以上のようにして、上述のワーキングスタンパ40を適切に作製することができる。
本ワーキングスタンパ作製方法では、製造目的の磁気ディスクX1の記録層2の磁性部2a〜2cに対応したパターン形状の凹部2a〜2cを転写面20a,30aに有する第1及び第2スタンパ20,30を原盤として使用してワーキングスタンパ40を作製した。当該方法では、原盤たる第1および第2スタンパ20,30の転写面20a,30aの凹凸形状が反転せずに転写された凹凸形状を転写面40a(凹部41,42,43を伴う)に有するワーキングスタンパ40が作製される。これに代えて、記録層2の磁性部2a〜2cに対応したパターン形状の凸部を転写面20a,30aに有する第1及び第2スタンパ20,30を原盤として作製した上で、当該第1及び第2スタンパ20,30を使用してワーキングスタンパ40を作製してもよい。このような方法によると、原盤たる当該第1及び第2スタンパ20,30の転写面20a,30aの凹凸形状が反転して転写された凹凸形状を転写面40a(凹部41,42,43を伴う)に有するワーキングスタンパ40が作製される。当該代替方法の第1インプリント工程では、磁性部2aに対応したパターン形状の凸部を転写面20aに有する第1スタンパ20が使用され、磁性部2aに対応したパターン形状の凹部を有する樹脂マスク11Aが形成される。当該代替方法の第2インプリント工程では、磁性部2b,2cに対応したパターン形状の凸部を転写面30aに有する第2スタンパ30が使用され、磁性部2b,2cに対応したパターン形状の凹部を有する樹脂マスク13Aが形成される。そして、当該代替方法のワーキングスタンパ凹部パターニング工程では、これら樹脂マスク11A,13Aをマスクとして利用して基板40’に対してエッチング処理を施すことによって上述の凹部41,42,43を形成する。このようにして作製したワーキングスタンパ40も、磁気ディスクX1の製造過程の図14(c)および図15(a)を参照して上述したインプリント工程にて使用することが可能である。
第2の実施形態に係る以上の磁気ディスク製造方法では、図21(c)を参照して上述した工程にてエッチングマスクとして使用するマスクパターン18は、複数の樹脂マスク11Aおよび複数の樹脂マスク13Aを利用して形成されたものである。マスクパターン18は、基板40’上の複数の樹脂マスク11Aおよび複数の樹脂マスク13Aの例えば図20(b)に示す凸パターン(凸部11a,13a,13b)が反転したパターン形状を有する。マスクパターン18を形成するのに利用する複数の樹脂マスク11Aについては、原盤たる第1スタンパ20を使用して行う一度のインプリント工程を経て形成する。マスクパターン18を形成するのに利用する各樹脂マスク13Aについては、原盤たる第2スタンパ30を使用して行う一度のインプリント工程を経て形成する。樹脂マスク13Aを形成するためのインプリント工程は、複数回行う。その回数は、製造目的の磁気ディスクX1の記録層2に設けられるセクタ数に対応する。原盤たる第1スタンパ20は、図10を参照して上述したようにして作製され、その転写面20aに、記録層2に設けられる全てのサーボ領域R1に含まれる複数の磁性部2aに対応するパターン形状の凹部21を有する。一方、原盤たる第2スタンパ30は、図12から図13を参照して上述したようにして作成され、その転写面30aに凹部31,32,33を有する。上述のように、凹部31は位置合わせ用凹部である。凹部32は、磁気ディスクX1の記録層2の一のユーザデータ領域R2における上述の複数の磁性部2bに対応するパターン形状を有する。凹部33は、磁気ディスクX1の記録層2の一のユーザデータ領域R2における上述の複数の磁性部2cに対応するパターン形状を有する。したがって、本方法では、磁気ディスクX1の全ユーザデータ領域R2の磁性部2bのパターン形状に対応するパターン形状を一括して含む樹脂マスクパターンを形成するための、電子線描画装置を使用して行う露光処理(長時間を要する処理)を行う必要がない。記録層2に設けられるセクタ数をnとする。すると、電子線描画装置による露光処理量につき、本方法の第2スタンパ30を作製する場合は、一の樹脂マスクパターンにおいて全ユーザデータ領域R2の磁性部2bのパターン形状に対応するパターンを形成する場合の、1/nである。セクタ数nが190ならば、電子線描画装置による露光処理量につき、本方法の第2スタンパ30を作製する場合は、一の樹脂マスクパターンにおいて全ユーザデータ領域R2の磁性部2bのパターン形状に対応するパターンを形成する場合の、1/190である。したがって、本方法によると、BPM型磁気ディスクX1の製造にあたり、使用するワーキングスタンパ40について長時間を要して作製するのを回避することができる。このような本方法は、BPM型磁気ディスクX1の生産性を高めるのに適する。
また、本方法では、第1の実施形態に関して上述したのと同様に、原盤たる第1スタンパ20を作製するための過程および原盤たる第2スタンパ30を作製するための過程のそれぞれにおいて、電子線描画装置による露光処理条件を最適化することが可能である。本方法では、第1の実施形態に関して上述したのと同様に、原盤たる第1および第2スタンパ20,30は、電子線描画装置による別個の露光処理を経て作製されるものであるため、各露光処理について異なる電子線強度条件を採用することが可能である。当該各露光処理について異なる電子線強度条件を採用することが可能なことは、ユーザデータ領域R2における磁性部2bの細密度の向上、ひいてはBPM型磁気ディスクX1の高記録密度化を図るうえで、好適である。
加えて、本方法は、各ユーザデータ領域R2の磁性部2b(磁気ビット)群に対して位置精度よく同期信号(各ユーザデータ領域R2の磁性部2c群がなす)を形成するのに好適である。第2スタンパ30における凹部32,33のパターン形状は、図12(b)を参照して上述した部分14b,14cのパターン形状が反映されたものである。部分14b,14cのパターン形状は、電子線描画装置を使用して行う露光処理によって形成された潜像パターンが反映されたものである。この潜像パターンの形状および位置については、電子線描画装置の露光処理において相当程度に高い精度を実現することができる。そのため、部分14b,14cのパターン形状、第2スタンパ30における凹部32,33のパターン形状、ひいては、凹部32,33のパターン形状に対応したパターンで形成される磁性部2b,2cは、位置精度よく形成される。すなわち、本方法は、各ユーザデータ領域R2の磁性部2b(磁気ビット)群に対して位置精度よく同期信号(各ユーザデータ領域R2の磁性部2c群がなす)を形成するのに好適なのである。
更に加えて、本方法は、ユーザデータ領域R2の複数の磁性部2bおよび複数の磁性部2cについて、サーボ領域R1の複数の磁性部2aに対して位置精度よく形成するのに好適である。本方法では、図19を参照して上述した第2インプリント工程を、図20(b)を参照して上述したように、基板40’におけるユーザデータ領域対応領域R2”ごとに行うことによって、必要な全ての樹脂マスク13Aを形成する。各樹脂マスク13Aを形成する際、図19を参照して上述したように、第2スタンパ30における凹部31と基板40’上の樹脂マスク11Aの所定の凸部11aとを利用して、第2スタンパ30と樹脂マスク11Aを伴う基板40’を位置合わせすることができる。そのため、本方法によると、基板40’上において樹脂マスク11Aに対して樹脂マスク13Aを位置精度よく形成することができる。記録層2における磁性部2a,2b,2cは、これら樹脂マスク11A,13Aの凸パターンが反転したパターン形状を有するマスクパターン18をエッチングマスクとして使用してパターン形成される。したがって、本方法は、ユーザデータ領域R2の複数の磁性部2bおよび複数の磁性部2cについて、サーボ領域R1の複数の磁性部2aに対して位置精度よく形成するのに好適なのである。
図22は、本発明に係る磁気ディスク製造方法によって製造することのできる磁気ディスクX1の変形例たる磁気ディスクX2の一部省略拡大平面図であり、磁気ディスクX1にとっての図2に相当する。
磁気ディスクX2は、情報記録と情報再生とを実行可能なBPMであり、サーボ領域R1にて、トラッキング制御用に、位相変化を連続的に表現する図22に示す位相信号を上述の振幅信号の代わりに有する点において、上述の磁気ディスクX1と異なる。すなわち、磁気ディスクX2の記録層2におけるサーボ領域R1に含まれる複数の磁性部2aは、位相信号をなすためのパターン形状を有する。
磁気ディスクX2も、上述の第1の実施形態たる磁気ディスク製造方法や、第2の実施形態たる磁気ディスク製造方法と同様の手法によって、製造することが可能である。そして、磁気ディスクX2を製造するに際しても、第1の実施形態たる磁気ディスク製造方法や、第2の実施形態たる磁気ディスク製造方法に関して上述した技術的利点を、享受することが可能である。
以上のように、本発明の第1の側面によると磁気ディスク製造方法が提供され、本発明の第2の側面によるとスタンパユニットが提供される。
本発明の第1の側面に係る磁気ディスク製造方法では、磁性部パターニング工程にてエッチングマスクとして使用するマスクパターンは、複数の第1樹脂マスクパターンおよび複数の第2樹脂マスクパターンを含む。複数の第1樹脂マスクパターンについては、第1スタンパを使用して行う一度のインプリント工程を経て形成する(第1工程)。各第2樹脂マスクパターンについては、第2スタンパを使用して行う一度のインプリント工程を経て形成する。第2樹脂マスクパターンを形成するためのインプリント工程は、複数回行う(第2工程)。その回数は、製造目的の磁気ディスクの記録層に設けられるセクタ数に対応する。第1スタンパの原盤または原盤たる第1スタンパの作製においては、例えば、基材上に樹脂材料が成膜され、当該樹脂膜に電子線描画装置を使用して行う露光処理とその後の現像処理とが施されて、基材上に樹脂マスクパターンが形成される。この樹脂マスクパターンは、記録層において形成されるべき各サーボ領域の複数の第1磁性部のパターン形状と同じパターン形状を有するか、或は、各サーボ領域の複数の第1磁性部のパターン形状を反転させたパターン形状を有する。一方、第2スタンパの原盤または原盤たる第2スタンパの作製においては、例えば、基材上に樹脂材料が成膜され、当該樹脂膜に電子線描画装置を使用して行う露光処理とその後の現像処理とが施されて、基材上に樹脂マスクパターンが形成される。この樹脂マスクパターンは、一のユーザデータ領域の複数の第2磁性部のパターン形状と同じパターン形状を有するか、或は、当該一のユーザデータ領域の複数の第2磁性部のパターン形状を反転させたパターン形状を有する。したがって、本方法では、ユーザデータ領域に含まれる第2磁性部の形成にあたり、製造目的の磁気ディスクの全ユーザデータ領域の全第2磁性部のパターン形状に対応するパターン形状を含む樹脂マスクパターンを一括的に形成する必要がない。即ち、本方法では、製造目的の磁気ディスクの全ユーザデータ領域の第2磁性部のパターン形状に対応するパターン形状を一括的に含む樹脂マスクパターンを形成するための、電子線描画装置による露光処理(長時間を要する処理)を行う必要がない。記録層に設けられるセクタ数をnとすると、電子線描画装置による露光処理量につき、本方法の第2スタンパを作製する場合は、一の樹脂マスクパターンにおいて全ユーザデータ領域の第2磁性部のパターン形状に対応するパターンを形成する場合の、1/nである。セクタ数nが190ならば、電子線描画装置による露光処理量につき、本方法の第2スタンパを作製する場合は、一の樹脂マスクパターンにおいて全ユーザデータ領域の第2磁性部のパターン形状に対応するパターンを形成する場合の、1/190である。したがって、本方法によると、BPM型磁気ディスクの製造にあたり、使用するスタンパについて長時間を要して作製するのを回避することができる。このような本方法は、BPM型磁気ディスクの生産性を高めるのに適する。
加えて、本方法によると、第1スタンパの原盤または原盤たる第1スタンパを作製する上述の過程および第2スタンパの原盤または原盤たる第2スタンパを作製する上述の過程のそれぞれにおいて、電子線描画装置による露光処理条件を最適化することが可能である。BPM型磁気ディスクでは、サーボ領域に形成されるべき磁性部のパターンの細密度と、ユーザデータ領域に形成されるべき磁性部(磁気ビット)の細密度とは、相当程度に異なる。原盤製造過程において電子線描画装置を使用して行う上述の露光処理では、磁性部パターンの細密度に応じて最適な電子線強度条件が異なるところ、電子線描画装置においては、露光処理の途中で電子線強度を変化させるのは困難である。そのため、サーボ領域用の露光処理とユーザデータ領域用の露光処理とを一の露光処理にて一括して行う従来の技術では、サーボ領域用の露光処理条件とユーザデータ領域用の露光処理条件とについて共に最適化するのは困難である。これに対し、本方法によると、使用する第1および第2スタンパの原盤(又は、原盤たる第1および第2スタンパ)は、電子線描画装置による別個の露光処理を経て作製されるものであるので、各露光処理について異なる電子線強度条件を採用することが可能である。当該各露光処理について異なる電子線強度条件を採用することが可能なことは、ユーザデータ領域における第2磁性部の細密度の向上、ひいてはBPM型磁気ディスクの高記録密度化を図るうえで、好適である。
本発明の第2の側面に係るスタンパユニットを使用すると、本発明の第1の側面に係る磁気ディスク製造方法を適切に行うことができる。
以下の比較例のBPM製造方法は、BPMについて高い生産性を得るのに困難性を有する。
比較例のBPM製造方法においては、例えば、記録層の磁性部へとパターニングされることとなる磁性膜上にレジスト材料が成膜された後、スタンパを使用して行うインプリント法によって当該レジスト膜からレジストパターンが形成される。スタンパは、記録層において形成すべき磁性部に対応するパターン形状を有する凹部を表面に伴う転写面を有する。インプリント法では、スタンパの転写面がレジスト膜に押し付けられた後、レジスト材料が硬化されて前記のレジストパターンが形成される。レジスト材料が硬化した後、スタンパはレジストパターンから取り外される。レジストパターンは、記録層において形成すべき磁性部に対応するパターン形状を有し、サーボ領域に形成されるべきサーボパターンをなす磁性部に対応する部位や、ユーザデータ領域に形成されるべき前記の磁気ビット群に対応するビットパターン部を含む。このように磁性膜上にレジストパターンが形成された後、レジストパターンをマスクとして利用して当該レジストパターンの側から磁性膜に対して異方性ドライエッチングが施されることにより、磁性部がパターン形成される。この後、磁性部間に介在する非磁性部が形成される。これにより、所定のパターンを有する磁性部を含む記録層が形成されることとなる。記録層の形成の後、記録層上に保護層が形成される。比較例たるBPM製造方法では、以上のようにしてBPMは製造される。
比較例のBPM製造方法における上述の製造過程では、表面に凹凸パターンを有する原盤が上記スタンパとして使用されるか、或は、このような原盤の凹凸パターンがインプリント法によって転写された例えば樹脂性のスタンパが上記スタンパとして使用される。スタンパの原盤または原盤たるスタンパの作製においては、まず、例えば石英基板上にレジスト材料が成膜される。次に、当該レジスト膜の全体にわたって、電子線描画装置を使用して行う露光処理と、その後の現像処理とが施されて、石英基板上にレジストパターンが形成される。このレジストパターンは、記録層において形成されるべき全ての磁性部のパターン形状と同じパターン形状を有するか、或は、当該全ての磁性部のパターン形状を反転させたパターン形状を有する。次に、当該レジストパターンがマスクとして利用されて石英基板に異方性エッチング処理が施され、石英基板表面に凹凸パターンが形成される。このような原盤作製過程における電子線描画装置による露光処理には長時間を要し、従って、原盤の作製には長時間を要することが知られている。原盤に形成すべき凹凸パターンが微細であるほど、露光処理は長時間化し、原盤の作製は長時間化する(例えば数カ月にわたる)。比較例のBPM製造方法では、製造にあたってこのような原盤を作製する必要がある。そのため、比較例のBPM製造方法は、BPMについて高い生産性を得るのに困難性を有するのである。
X1,X2 磁気ディスク
R1 サーボ領域
R2 ユーザデータ領域
R1’,R1” サーボ領域対応領域
R2’,R2” ユーザデータ領域対応領域
1 ディスク基板
2 記録層
2a,2b,2c 磁性部
2d 非磁性部
3 軟磁性層
4 保護層
5 磁性膜
11,13 樹脂材料
11A,13A,16A 樹脂マスク
16 樹脂膜
17 SOG膜
18 マスクパターン
20 第1スタンパ
20a,30a,40a 転写面
21,31,32,33,41,42,43 凹部
30 第2スタンパ
40 ワーキングスタンパ

Claims (9)

  1. 複数の第1磁性部を含むサーボ領域、および、複数の第2磁性部を含むユーザデータ領域が、記録層においてディスク周方向に交互に配された磁気ディスクを製造するための方法であって、
    複数のサーボ領域の複数の第1磁性部に対応したパターン形状の凹部を第1転写面に有する第1スタンパの当該第1転写面と磁性膜との間に第1樹脂材料を介在させたうえで当該第1スタンパを当該第1樹脂材料に押し付ける過程を経て、それぞれが前記複数の第1磁性部に対応したパターン形状を有する複数の第1樹脂マスクパターンを前記磁性膜上に形成する第1工程と、
    一のユーザデータ領域の複数の第2磁性部に対応したパターン形状の凹部を第2転写面に有する第2スタンパの当該第2転写面と前記磁性膜との間に第2樹脂材料を介在させたうえで当該第2スタンパを当該第2樹脂材料に押し付ける過程を経て、前記複数の第2磁性部に対応したパターン形状を有する第2樹脂マスクパターンを前記磁性膜上に形成することを、前記磁性膜におけるサーボ領域形成予定箇所間ごとに行って、複数の前記第2樹脂マスクパターンを形成する第2工程と、
    前記複数の第1樹脂マスクパターンおよび前記複数の第2樹脂マスクパターンの側から前記磁性膜に対してエッチング処理を施すことにより、当該磁性膜から、各サーボ領域の複数の第1磁性部および各ユーザデータ領域の複数の第2磁性部をパターン形成する第3工程と、を含む磁気ディスク製造方法。
  2. 前記磁気ディスクは、一組のサーボ領域およびユーザデータ領域ごとに、前記複数の第1磁性部と前記複数の第2磁性部との間に同期信号用の複数の第3磁性部を有し、
    前記第2スタンパは、同期信号用の前記複数の第3磁性部に対応したパターン形状の凹部を前記第2転写面に有し、
    前記第2工程では、前記第2スタンパの前記第2転写面と前記磁性膜との間に前記第2樹脂材料を介在させたうえで当該第2スタンパを当該第2樹脂材料に押し付ける過程を経て、前記複数の第2磁性部および前記複数の第3磁性部に対応したパターン形状を有する第2樹脂マスクパターンを前記磁性膜上に形成することを、前記磁性膜におけるサーボ領域形成予定箇所間ごとに行って、複数の前記第2樹脂マスクパターンを形成する、請求項1に記載の磁気ディスク製造方法。
  3. 前記第2スタンパは、前記サーボ領域の前記複数の第1磁性部のうちの一部の第1磁性部に対応したパターン形状の位置合わせ用凹部を前記第2転写面に有し、
    前記第2工程では、前記第1樹脂マスクパターンにおいて前記一部の第1磁性部に対応するパターン形状を有する部位を、前記第2スタンパにおける前記位置合わせ用凹部に嵌め合せる、請求項1または2に記載の磁気ディスク製造方法。
  4. 複数の第1磁性部を含むサーボ領域、および、複数の第2磁性部を含むユーザデータ領域が、記録層においてディスク周方向に交互に配された磁気ディスクを製造するための方法であって、
    複数のサーボ領域の複数の第1磁性部に対応したパターン形状の第1凹部、および、複数のユーザデータ領域の複数の第2磁性部に対応したパターン形状の第2凹部、を転写面に有するワーキングスタンパの当該転写面と磁性膜との間に樹脂材料を介在させたうえで当該ワーキングスタンパを当該樹脂材料に押し付ける過程を経て、各複数のサーボ領域の複数の第1磁性部および各ユーザデータ領域の複数の第2磁性部に対応したパターン形状を有する樹脂マスクパターンを前記磁性膜上に形成するインプリント工程と、
    前記樹脂マスクパターンの側から前記磁性膜に対してエッチング処理を施すことにより、当該磁性膜から、各サーボ領域の複数の第1磁性部および各ユーザデータ領域の複数の第2磁性部をパターン形成するパターニング工程と、を含み、
    前記ワーキングスタンパは、
    複数のサーボ領域の複数の第1磁性部に対応した凹凸パターンを第1転写面に有する第1スタンパの当該第1転写面と基材との間に第1樹脂材料を介在させたうえで当該第1スタンパを当該第1樹脂材料に押し付ける過程を経て、それぞれが前記複数の第1磁性部に対応した凹凸パターンを有する複数の第1樹脂マスクパターンを前記基材上に形成する第1工程と、
    一のユーザデータ領域の複数の第2磁性部に対応した凹凸パターンを第2転写面に有する第2スタンパの当該第2転写面と前記基材との間に第2樹脂材料を介在させたうえで当該第2スタンパを当該第2樹脂材料に押し付ける過程を経て、前記複数の第2磁性部に対応した凹凸パターンを有する第2樹脂マスクパターンを前記基材上に形成することを、前記基材におけるサーボ領域対応領域間ごとに行って、複数の前記第2樹脂マスクパターンを形成する第2工程と、
    前記複数の第1樹脂マスクパターンおよび前記複数の第2樹脂マスクパターンを含む樹脂マスクパターンをマスクとして利用して、或は、当該樹脂マスクパターンの凹凸パターンが反転した凹凸パターンを有するマスクパターンを形成したうえで当該マスクパターンをマスクとして利用して、前記基材に対してエッチング処理を施すことにより、当該基材において、各サーボ領域の複数の第1磁性部および各ユーザデータ領域の複数の第2磁性部に対応するパターン形状の凹部を形成する第3工程とを経て作製される、磁気ディスク製造方法。
  5. 前記磁気ディスクは、一組のサーボ領域およびユーザデータ領域ごとに、前記複数の第1磁性部と前記複数の第2磁性部との間に同期信号用の複数の第3磁性部を有し、
    前記第2スタンパは、同期信号用の前記複数の第3磁性部に対応した凹凸パターンを前記第2転写面に有し、
    前記第2工程では、前記第2スタンパの前記第2転写面と前記基材との間に前記第2樹脂材料を介在させたうえで当該第2スタンパを当該第2樹脂材料に押し付ける過程を経て、前記複数の第2磁性部および前記複数の第3磁性部に対応した凹凸パターンを有する第2樹脂マスクパターンを前記基材上に形成することを、前記基材におけるサーボ領域対応領域間ごとに行って、複数の前記第2樹脂マスクパターンを形成する、請求項4に記載の磁気ディスク製造方法。
  6. 前記第2スタンパは、前記サーボ領域の前記複数の第1磁性部のうちの一部の第1磁性部に対応した凹凸パターンを有する位置合わせ用凹凸部を前記第2転写面に有し、
    前記第2工程では、前記第1樹脂マスクパターンにおいて前記一部の第1磁性部に対応する凹凸パターンを有する部位を、前記第2スタンパにおける前記位置合わせ用凹凸部に合致させる、請求項4または5に記載の磁気ディスク製造方法。
  7. 複数の第1磁性部を含むサーボ領域、および、複数の第2磁性部を含むユーザデータ領域が、記録層においてディスク周方向に交互に配された磁気ディスクを製造するのに使用するためのスタンパであって、
    複数のサーボ領域の複数の第1磁性部に対応した凹凸パターンを第1転写面に有する第1スタンパと、
    一のユーザデータ領域の複数の第2磁性部に対応した凹凸パターンを第2転写面に有する第2スタンパと、を備えるスタンパユニット。
  8. 前記磁気ディスクは、一組のサーボ領域およびユーザデータ領域ごとに、前記複数の第1磁性部と前記複数の第2磁性部との間に同期信号用の複数の第3磁性部を有し、
    前記第2スタンパは、同期信号用の複数の第3磁性部に対応した凹凸パターンを前記第2転写面に有する、請求項7に記載のスタンパユニット。
  9. 前記第2スタンパは、前記サーボ領域の前記複数の第1磁性部のうちの一部の第1磁性部に対応した凹凸パターンを有する位置合わせ用凹凸部を前記第2転写面に有する、請求項7または8に記載のスタンパユニット。
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