JP2010243193A - 衛星信号受信装置付き電子時計およびその受信制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】GPS付き腕時計は、衛星信号を受信する受信手段、受信制御手段、計時手段、外部操作部材を備える。受信制御手段は、GPS衛星から送信される衛星信号を受信して時刻を修正する時刻情報修正手段と、3個以上の位置情報衛星から送信される衛星信号を受信して測位処理を行う測位処理手段と、時刻情報修正手段で衛星信号を受信した際に、その受信時刻および受信した位置情報衛星の情報が記憶された衛星配置テーブルを作成する衛星配置テーブル作成手段606と、外部操作で測位処理手段が作動された際に、位置情報衛星をサーチする順序を衛星配置テーブルにおいて測位処理手段の作動時刻に受信時刻が近い位置情報衛星順に設定する測位サーチ順序設定手段607とを備える。
【選択図】図6
Description
また、GPS衛星には、原子時計が備えられている。このため、GPS衛星は、極めて正確な時刻情報(GPS時刻、衛星時刻情報)を有している。
このため、GPS衛星からの信号(航法メッセージ)を受信して時刻情報を取得して表示する電子時計が提案されている(特許文献1参照)。
そして、前記アラートテーブルは、装置の設置当初に、8分間の繰り返し受信動作を、数時間(理想的には1日程度)行うことで作成している。すなわち、各受信動作で捕捉できたGPS衛星の衛星信号を受信してドップラー周波数や航法データを収集し、受信時刻に対応させてアラートテーブルに記憶している。
しかしながら、例えば、システムリセット直後のように、各衛星の軌道情報データであるアルマナックデータを保持していない状態から測位のための受信を開始するコールドスタート時には、すべての衛星をサーチして受信できる衛星を検索して捕捉するため、TTFF(Time To First Fix)が長くなる。このため、測位時のTTFFを短縮することが求められている。
従って、アルマナックデータを保持していないコールドスタートでの測位受信時であっても、受信できる可能性の高い衛星からサーチできるので、衛星を捕捉するまでの時間も短くでき、TTFF(Time To First Fix)を短縮することができる。
また、衛星配置テーブルを参照してサーチ順を設定するのは、測位受信時のみであり、時刻情報を受信する際にはサーチ順を設定していない。このため、衛星配置テーブルが十分に作成されていない状態でも時刻情報の受信処理は問題無く実行できる。
従って、衛星配置テーブルのデータが十分に揃っていない場合に、測位処理手段の作動時刻に近い受信時刻(例えば時間差が6時間以内となる受信時刻)の位置情報衛星のデータが蓄積されておらず、最も近い受信時刻が6時間以上の場合には、それらの位置情報衛星はサーチ対象とせず、他の位置情報衛星をサーチ対象とすることで、位置情報衛星を捕捉できる可能性を向上でき、サーチ処理時間も短縮できる。
この受信回数を1日で行うことも可能ではあるが、電力消費が大きく、かつ、受信結果が受信環境、例えば、時計が受信し難い室内に配置されているか否かなどに大きく左右されてしまう。
また、複数の日に分散して受信処理を行えば、様々な受信環境の状態で受信処理を行うことができ、受信できる確率も向上できる。
そして、一旦、衛星配置テーブルを作成した後は、利用場所が数百キロ以上大きく変化しなければ、各位置情報衛星はほぼ同じ時刻に受信可能となるため、衛星配置テーブルも頻繁に更新する必要はない。従って、作成時には1日7回の受信を7日間行った場合でも、その後の衛星信号の受信は、1日1回程度で十分である。その場合、例えば、毎日、30分ずつずらして受信することで、48日間ですべての設定時刻で受信処理を行って、衛星配置テーブルのデータも更新できる。
また、1日1回でも受信を行って衛星配置テーブルを更新すれば、仮に機器の保守や軌道修正等で衛星が利用できない状態になるなど、衛星状態が変化してもその状況も含めて最新の状態に更新できる。
本発明では、時差設定手段が操作されて時差が修正された場合には、前回、衛星配置テーブルを作成した地域から大きく移動していることが予測されるため、衛星配置テーブルのデータをリセットし、再度、その移動先において衛星信号を受信して衛星配置テーブルを再度作成している。このため、移動先において、その場所には適さない衛星配置テーブルを利用することがなく、その移動先に適した衛星配置テーブルを再度作成することで、移動先においても位置情報衛星の捕捉処理を効率的に行うことができる。
本発明によれば、時刻情報修正手段による衛星信号の受信処理時には、概略の軌道情報(アルマナック)を取得しないため、時刻情報のみを受信すればよく、受信時間を短縮できて、消費電力も低減できる。このため、仮に1日に複数回、時刻情報の受信処理を行っても、消費電力の低下を抑えることができる。
これに対し、本発明では、所定数、例えば、4個の位置情報衛星の情報のみを衛星配置テーブルに記憶している。したがって、時刻情報修正手段での受信時の処理時間を短縮でき、電力消費量も抑えることができる。
なお、測位処理手段で測位処理を行う場合、3個以上、通常は4個の位置情報衛星からの衛星信号を受信する必要があるため、衛星配置テーブルに1〜2個の位置情報衛星の情報しか記憶されていない場合に比べて、3個あるいは4個の情報が記憶されていれば、測位処理時の衛星サーチ処理を効率的に行うことができる。
このため、例えば、利用者がその電子時計を腕時計などとして装着してランニングした場合に測位操作を行えば、ランニング時の移動距離と時間とを測定できるため、ランニング中に、走行距離、速度、ペースなどを測定して表示することができる。このため、利用者は、自分のランニング状態等を常に把握でき、適切なトレーニングを行うことができる。
また、電源電圧が設定値以下に低下すれば測位処理を中止するため、電源電圧の低下によるシステムダウンを未然に防止できる。
さらに、位置情報衛星を捕捉できない場合や、軌道情報データを取得できない場合、あるいは、測位計算を行うことができなかった場合は、予め設定されたタイムアウト時間になるまで、前記測位サーチ順序設定手段によって設定された順序で位置情報衛星をサーチしている。したがって、利用者が測位操作を行った場合に、できる限り測位処理を行って移動距離などを測定することができる。また、衛星捕捉、軌道情報データの取得、測位計算のいずれかが行えない場合に、タイムアウト時間(例えば2〜3分)になれば、衛星のサーチ処理も中止するため、位置情報衛星からの衛星信号を受信できない環境で、誤って測位操作を行った場合でも、無駄な受信処理を継続することを防止できる。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1は、本発明に係る衛星信号受信装置付き電子時計であるGPS付き腕時計1を示す概略図であり、図2は、図1の概略断面図である。また、図3は、GPS付き腕時計1の主なハードウェア構成等を示す概略図である。
図1に示すように、GPS付き腕時計1は、文字板2および指針3からなる時刻表示部を備える。文字板2の一部には開口が形成され、LCD表示パネル等からなるディスプレイ4が組み込まれている。
ディスプレイ4はLCD表示パネル等で構成されている。
そして、GPS付き腕時計1は、地球の上空を所定の軌道で周回している複数のGPS衛星5からの衛星信号を受信して衛星時刻情報を取得し、内部時刻情報を修正したり、測位情報や、ランニング時などの走行距離、速度、ペースなどの各種情報をディスプレイ4に表示できるように構成されている。
なお、GPS衛星5は、本発明における位置情報衛星の一例であり、地球の上空に複数存在している。現在は約30個のGPS衛星5が周回している。
一方、ボタン7が短い時間押されると、GPS付き腕時計1は文字板2及び指針3により直前の受信モードにおける受信結果を表示する。例えば、測時モードで受信成功の場合には、秒針が5秒位置に移動し、測位モードで受信成功の場合には、秒針が10秒位置に移動する。また、受信失敗の場合には秒針が20秒位置に移動する。
なお、これらの秒針による指示は受信中も行われる。すなわち、測時モードで受信中は秒針が5秒位置に移動し、測位モードで受信中は秒針が10秒位置に移動する。また、GPS衛星5が捕捉できない場合は秒針が20秒位置に移動する。
次に、GPS付き腕時計1の内部構造について説明する。
図2に示すように、GPS付き腕時計1は、ステンレス鋼(SUS)、チタン等の金属で構成された外装ケース17を備えている。
外装ケース17は、略円筒状に形成され、表面側の開口にはベゼル16を介して表面ガラス160が取り付けられている。ベゼル16は、衛星信号の受信性能を向上させるためにセラミック等の非金属材料で構成される。外装ケース17の裏面側の開口には裏蓋26が取り付けられている。
ステップモーターは、モーターコイル19、図示略のステーター、ローターなどからなる時計用に用いられる一般的なものである。このステップモーターは歯車を介して指針3を駆動する。
このため、文字板2および表面ガラス160は、GPS衛星5から送信される衛星信号である電波を通す材料で構成されている。例えば、文字板2はプラスチックで構成されている。また、ベゼル16は、前記衛星信号の受信性能を向上させるために、セラミックス製とされている。
回路基板25には、後述するようにGPSアンテナ11で受信した信号を処理する受信回路(GPS受信部)30や、前記指針3を駆動するステップモーター等の制御を行う制御部41などの各種回路素子(ICなど)が取り付けられている。GPS受信部30や制御部41は、電池24から供給される電力で駆動される。
ここで、このGPS付き腕時計1の回路構成の詳細を説明する前に、GPS衛星5から送信される衛星信号である航法メッセージについて、説明する。なお、航法メッセージは、50bpsのデータとして衛星の電波に変調されている。
図4(A)〜図4(C)は、航法メッセージの構成について説明するための図である。
図4(A)に示すように、航法メッセージは、全ビット数1500ビットのメインフレームを1単位とするデータとして構成される。メインフレームは、それぞれ300ビットの5つのサブフレーム1〜5に分割されている。1つのサブフレームのデータは、各GPS衛星5から6秒で送信される。従って、1つのメインフレームのデータは、各GPS衛星5から30秒で送信される。
このため、測時モードの受信とは、捕捉衛星数は少なくとも1つであり、1個のZカウントデータを取得する受信所要時間は長くても6秒であり、取得できる情報はZカウントデータ(時刻情報)であり、前記エフェメリスパラメータやアルマナックパラメータは受信しない処理を意味する。
受信所要時間は、6秒で1個のZカウントデータを取得でき、受信データの検証のために、2〜3個のZカウントデータを取得する場合でも12〜18秒という短時間で受信を完了できる。
このため、測位モードの受信とは、捕捉衛星数は少なくとも3個であり、受信所要時間は約30秒〜1分であり、取得できる情報はZカウントデータ(時刻情報)およびエフェメリスパラメータであり、アルマナックパラメータは受信しない処理を意味する。
なお、測時モードにおいて、GPSの週番号データはサブフレーム1に含まれているので、日付情報まで取得したい場合はサブフレーム1が送信される毎分0秒か30秒に自動受信処理を開始できるように受信開始時刻を設定すると、最短所要時間で時刻情報と日付情報を受信できる。
また、測時モードでは、所定時刻の自動受信処理に加えて、所定の条件を検出した場合にも自動的に受信する処理を設けてもよい。ここで、所定の条件とは、例えば、時刻情報を受信しやすい屋外に移動したことを検出できた場合に、測時モードでの自動受信を行うものなどである。屋外に移動したことは、例えば、ソーラーパネルを備えていれば、ソーラーパネルの発電量によって検出することができる。なお、測時モードの受信は、通常は1日に1回行えば良いため、所定の条件の自動受信処理は、所定時刻での自動受信処理で受信に失敗した場合のみ、1日1回の受信を確保するために行えばよい。
次に、GPS付き腕時計1の回路構成に関して説明する。図3に示すように、GPS付き腕時計1は、GPSアンテナ11と、GPS受信部30と、表示制御部40と、電源供給装置90を含んで構成されている。
なお、GPS付き腕時計1は、少なくとも1つのGPS衛星5からの衛星信号を受信してGPS時刻情報に基づいて内部時刻情報の修正を行う測時モードと、複数のGPS衛星5からの衛星信号を受信して測位計算を行う測位モードを実行可能に構成されている。
[GPS受信部の構成]
GPS受信部30は、SAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)フィルター31と、RF(Radio Frequency:無線周波数)部50と、ベースバンド部60を含んで構成されている。SAWフィルター31は、GPSアンテナ11が受信した信号から衛星信号を抽出する処理を行う。すなわち、SAWフィルター31は、1.5GHz帯の信号を通過させるバンドパスフィルターとして構成される。
温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)65は、温度に関係なくほぼ一定の周波数の基準クロック信号を生成する。
ベースバンド部60は、測時モード又は測位モードに設定されると、RF部50のADC57が変換したデジタル信号(中間周波数帯の信号)からベースバンド信号を復調する処理を行う。
ここで、GPSシステムでは、すべてのGPS衛星5が異なるC/Aコードを用いて同一周波数の衛星信号を送信するCDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用している。従って、ローカルコードの発生順序を制御することで、衛星のサーチ順序を制御してGPS衛星5を検索することができる。
表示制御部40は、制御部(CPU)41、指針3の駆動回路42、ディスプレイ4のLCD駆動回路43を含んで構成されている。
制御部41は、ハードウェアとしては、RTC(リアルタイムクロック)45、記憶部46を含んで構成されている。
RTC45は、水晶振動子から出力される基準信号を用いて、内部時刻情報を計時している。
記憶部46は、後述するように、GPS受信部30から出力される時刻データや測位データを記憶する。また、記憶部46には、測位情報に対応する時差データも記憶され、RTC45で計時されている内部時刻情報および時差データにより、現在地のローカルタイムを算出できるようにされている。
時刻情報修正手段411は、時刻情報(時刻データ)の受信処理を行って内部時刻を修正する処理を行う。
測位処理手段412は、測位操作が行われた際に、測位データの受信処理を行う。
表示制御手段413は、駆動回路42やLCD駆動回路43を介して指針3やディスプレイ4の表示を制御する処理を行う。
電圧検出制御手段414は、後述する電圧検出回路93の動作を制御して二次電池24の電圧検出処理を行う。
すなわち、ベースバンド部60は、図6に示すように、衛星検索手段601、受信レベル取得手段602、衛星情報取得手段603、測位計算手段604、時刻計算手段605、衛星配置テーブル作成手段606、測位サーチ順序設定手段607として機能する。
従って、本発明の受信制御手段は、GPS受信部30のベースバンド部60および表示制御部40の制御部41によって構成されている。
受信レベル取得手段602は、受信した衛星信号の受信レベルを取得する。具体的には、信号強度に対応したSNRデータを取得する。
衛星情報取得手段603は、受信した衛星信号の情報を取得する。具体的には、受信した衛星信号の衛星番号、ドップラー周波数に対応した周波数オフセットデータ、C/Aコード相関のためのコードフェーズに対応した疑似距離データを取得する。
時刻計算手段605は、受信した衛星信号から取得したZカウントにより現在時刻を算出する処理を行う。この時刻計算手段605で算出された時刻データも、制御部41に出力される。
測位サーチ順序設定手段607は、測位処理時に、フラッシュメモリー66に記憶される衛星配置テーブル660を参照し、GPS衛星5をサーチする順番を設定する。
電源供給装置90は、充電用コイル22、充電制御回路28、二次電池24、第1レギュレーター91、第2レギュレーター92、電圧検出回路93を含んで構成されている。
充電用コイル22は、充電制御回路28を通じて二次電池24に電力を供給して二次電池24を充電する。
電圧検出回路93は、二次電池24の電圧をモニターし、制御部41に出力する。従って、制御部41は、二次電池24の電圧を把握して受信処理を制御できる。
次に、本実施形態において位置情報衛星の具体例であるGPS衛星の軌道に関し、説明する。図7は、全31個のGPS衛星(G01〜G31)が上空に現れる時間帯を示している(ある都市の2009年1月1日の例)。なお、図7において、太い実線部分は、仰角が10度以上のGPS衛星を捕捉対象とした場合、つまり仰角マスクを10度に設定した場合に、各GPS衛星を受信可能な時間帯を示している。
この図から分かるように、仰角マスク10度の設定では、常時4〜8個程度のGPS衛星は捕捉可能である。そして、GPS衛星はほぼ24時間毎に同じ軌道を通るため、1時間毎もしくは30分毎に測時の受信を行えば衛星配置テーブル660を作成できる。
ここで、仰角が高い場合は、GPS衛星とGPS付き腕時計1の距離が近いので擬似距離データは小さくなる。また、信号が強いのでSNRは大きくなり、相対的な速度は小さくなるので周波数シフトは小さくなる。また、仰角が低く衛星がこれから昇ってくる場合は、GPS衛星との距離が大きいので擬似距離データは大きくなり、SNRは小さくなって、ドップラー周波数は高くなる。一方、GPS衛星がこれから沈んでいく場合は、擬似距離データは大きく、SNRも小さくなって、ドップラー周波数は低くなる。
従って、これらのSNR、ドップラー周波数、擬似距離データを、衛星配置テーブル660に衛星情報として記憶しておき、測時処理時にこれらのデータを読み取れば、アルマナックを取得しなくとも簡易的に衛星軌道を予測することができる。
次に、本実施形態において、記憶部46に記憶されて時刻情報修正手段411による自動受信が行われる時刻が記憶された初期受信時刻テーブル461と,更新受信時刻テーブル462について説明する。
なお、後述するように、初期受信時刻テーブル461は、衛星配置テーブル660を作成する際に用いられるものであり、更新受信時刻テーブル462は、衛星配置テーブル660の作成後に用いられるものである。
日曜日は、土曜日に対して1回目が30分ずれており、その1回目から3時間半間隔で6回の受信を行うように設定されている。従って、1週間で7回×6日+6回×1日=48回の受信を行うように設定されている。
次に、本実施形態において、GPS受信部30のフラッシュメモリー66に記憶される衛星配置テーブル660について説明する。
衛星配置テーブル660は、衛星情報取得手段603で取得された衛星情報が受信時刻毎に記憶されるものである。ここで、受信時刻は、前記初期受信時刻テーブル461に記載したように、0:00から30分間隔であるため、衛星配置テーブル660の完成時には48個の受信時刻が存在することになる。
また、受信衛星1〜4は、その受信時刻に複数の位置情報衛星からの衛星信号を受信した場合に、信号レベル(SNR)が高い位置情報衛星の順で受信衛星1から4まで記憶している。従って、受信した衛星信号が3個の場合には、受信衛星1〜3のみに記憶され、2個の場合には受信衛星1〜2のみに記憶され、1個の場合には受信衛星1のみに記憶される。
以下、本実施形態のGPS付き腕時計1における受信処理の手順について説明する。
まず、時刻情報修正手段411による自動測時処理について、図12のフローチャートも参照して説明する。
GPS付き腕時計1の時刻情報修正手段411は、まず、衛星配置テーブル660が未完成であるか否かを確認する(ステップ1、以下ステップを「S」と略す)。
ここで、時刻情報修正手段411は、衛星配置テーブル660が未完成の場合は初期受信時刻テーブル461を参照し(S2)、完成済みの場合は更新受信時刻テーブル462を参照する(S3)。
例えば、時刻情報修正手段411は、システムリセット後や、時差変更操作で衛星配置テーブル660がリセットされた場合には、初期受信時刻テーブル461を参照し、内部時刻から現在の曜日を把握し、その曜日に設定された各受信時刻になったか否かを判断する。
S4で受信時刻になっていなければ、時刻情報修正手段411は、S4の判断処理を繰り返し実行する。
一方、S4で受信時刻になった場合は、時刻情報修正手段411は、ベースバンド部60に受信開始を指示する制御信号を出力して測時モードでの受信処理を開始する(S5)。
ここで、初期受信時刻テーブル461を参照してS5の受信処理を行う場合は、1日に数回の定時受信を行い、衛星情報およびZカウントの取得を試みることになる。
一方、衛星配置テーブル660が完成した場合は、更新受信時刻テーブル462を参照してS5の受信処理を行うため、1日に1度、受信処理が行われる。これは、1日に1度、受信に成功してZカウントを取得できれば、その日は、それ以上、受信を行う必要は無いからである。すなわち、RTC45の精度から、1日に1度の時刻修正を行えば、1日に1秒以上ずれることはないからである。
そして、衛星検索手段601は、衛星を捕捉できたかを判断する(S7)。衛星検索手段601は、S7で捕捉できていないと判断した場合、S5の受信開始からの経過時間が所定のタイムアウト時間(例えば、1〜2分)になったか否かを判断する(S8)。
一方、衛星検索手段601はS8でタイムアウトになっていない場合には、S6の衛星サーチ処理から再度実行する。
この所定の受信時間(30秒から1分間程度)の間、受信処理を継続することで、複数の衛星信号(衛星データ)が受信される。
S12で取得できていた場合、時刻計算手段605は、取得したZカウントの整合を確認する(S13)。具体的には、時刻計算手段605は、最初のZカウントを取得した時点では、そのZカウントを制御部41のRTC45の時刻データと比較し、その差が所定値以内であるか否かで整合がとれているかを確認する(S13)。S13では、比較した時刻の差があまりにも大きい場合(例えば、5秒以上の差がある場合)には、整合が取れていないと判定する。
そして、S12,13でそれぞれ「No」と判断された場合、衛星情報取得手段603はS10で所定時間が経過した後、最良条件の衛星が選択された後の経過時間が所定のタイムアウト時間(例えば30秒)を経過したか否かを判断する(S14)。
そして、時刻計算手段605は、複数のZカウントを取得した場合には、複数のZカウント同士で整合が取れている場合、つまり6秒間隔のデータとなっている場合には、取得したZカウント(時刻データ)の整合が取れていると判断する(S13)。
一方、S13で整合が取れていることが確認できれば、衛星情報取得手段603は受信を終了し(S15)、時刻計算手段605は時刻データを制御部41に出力し、制御部41の時刻情報修正手段411は取得した時刻データに基づいて時刻情報を修正する(S16)。時刻が修正されると、表示制御手段413は駆動回路42を介して指針3の表示を修正する。
一方、衛星配置テーブル660のすべての受信時刻のデータが蓄積された後は、S1で「No」と判定されるため、S3で更新受信時刻テーブル462を参照し、その受信時刻にS4〜S16の処理を行う。すなわち、1日に1回の受信が行われる。
次に、利用者がボタン7等を操作して測位操作が行われた場合の処理に関し、図13に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、測位処理手段412は、測位操作があるか否かを判断し(S21)、測位操作があれば、ベースバンド部60に対して制御信号を出力して測位モードでの受信処理を開始する(S22)。このように本実施形態の測位処理手段412は、ユーザーによる測位操作が行われた場合のみ動作し、自動的に測位処理を実行することはない。すなわち、測位処理は、複数の衛星を捕捉して測位データを受信する必要があり、周囲に障害物が無く受信環境が良好な場所でないと実行できない。そして、自動的に測位処理を実行すると、受信環境が良好ではない場所で処理を行い、無駄な受信処理を実行してしまう可能性がある。このため、本実施形態では、ユーザーが良好な受信環境と判断した場合に受信処理を行うことができるように、ユーザーが手動操作で測位処理を実行した場合のみ受信処理を行い、無駄な受信処理を防止している。
そして、衛星検索手段601は、設定された衛星サーチ順に基づき、衛星サーチ処理を行う(S24)。具体的には、例えば31個のGPS衛星5が存在する場合、まず、衛星検索手段601は、サーチ順が1番目の衛星番号SVのC/Aコードと同一のパターンのローカルコードを発生させる。次に、衛星検索手段601は、ベースバンド信号に含まれるC/Aコードとローカルコードの相関値を計算する。ベースバンド信号に含まれるC/Aコードとローカルコードが同じコードであれば相関値は所定のタイミングでピークを持つが、異なるコードであれば相関値はピークをもたず常にほぼゼロとなる。
衛星検索手段601は、このような衛星サーチ処理を、前記測位サーチ順序設定手段607で設定された順序で行い、サーチ順の各衛星を捕捉する。
S25で「Yes」と判断された場合は、衛星情報取得手段603は、捕捉した衛星信号から衛星軌道データ(エフェメリス)を取得できたかを判断する(S26)。
S26で「Yes」と判断された場合は、測位計算手段604は、取得した衛星軌道データに基づいて測位計算を行い、測位計算を完了したかを判断する(S27)。
一方、衛星検索手段601は、S28でタイムアウトではないと判定された場合は、衛星サーチ処理S24に戻り、サーチ済みの衛星以外の他の衛星のサーチを行う。すなわち、測位サーチ順序設定手段607は、測位操作時刻に最も近い受信時刻の衛星の次のサーチ順として、受信時刻が2番目に近い衛星の中で1番目の衛星番号以外の衛星を設定し、その次には受信時刻が3番目に近い衛星の中で未サーチの衛星を設定する。このため、衛星検索手段601は受信時刻が近い衛星から順次サーチを行うことになる。
なお、受信時刻が1番目の4つの衛星のなかで、例えば2つの衛星信号の衛星軌道データを取得できている場合には、受信時刻が2番目の衛星の中で残り2つの衛星軌道データを取得すればよい。すなわち、衛星サーチ処理は、測位計算に必要な数の衛星軌道データを取得できるまで順次行えばよい。
制御部41は、利用者によって受信終了の操作が行われたかを確認する(S31)。ここで、終了操作が行われていれば、受信を終了する(S29)。
ここで、所定電圧未満に低下した場合には、そのまま受信処理を継続するとシステムダウンを生じさせるため、制御部41は受信を終了する(S29)。
一方、電源電圧が所定電圧以上であれば、受信終了操作が行われるまで、S25〜S32の処理を繰り返す。
従って、制御部41は逐次測位データが入力されるため、GPS付き腕時計1を装着している利用者の移動距離が分かり、その移動にかかった時間もRTC45の内部時刻を計時することで把握できる。このため、例えば、ランニング中の移動距離や時間が測定でき、それらのデータを元に、走行距離、速度、ペースなどを測定してディスプレイ4に表示することができる。このため、利用者は、自分のランニング状態等を常に把握でき、適切なトレーニングを行うことができる。
本実施形態によれば、時刻情報を取得する測時処理時に、受信できた衛星番号やSNR等の衛星情報を衛星配置テーブル660に記憶し、測位処理時には、衛星配置テーブル660を参照し、測位処理時に近い受信時刻に受信できた衛星番号を元にサーチ順を設定しているので、アルマナックデータを備えていないコールドスタート時であっても、その時点で受信できる可能性が高いGPS衛星5をサーチすることができる。このため、測位に必要な衛星信号を捕捉するまでの時間TTFFを短縮でき、測位情報を短時間で取得することができる。このため、測位処理時の電力消費も低減でき、腕時計のような電池駆動の時計においても持続時間を長くすることができる。
さらに、測時処理時には測位サーチ順序設定手段607でサーチ順を設定していなくても時刻情報を短時間で受信することができる。すなわち、測時処理は1個のGPS衛星5を捕捉すれば良いため、サーチ時間も短くでき、かつ、Zカウントは6秒毎に送信されるため、1個でも衛星を捕捉できれば、時刻情報は最長でも30秒程度の短時間で受信できる。
また、7日以上の日数で衛星配置テーブル660を作成する場合に比べて、短期間で作成できる。すなわち、本実施形態では、1日での電力消費と、衛星配置テーブル660の作成期間とのバランスを考慮しているので、衛星配置テーブル660を効率的に作成できる。
また、時計としての精度は、通常のクオーツ時計では、日差±0.5秒程度であるため、時刻情報の受信は1日1回で十分であり、この場合、時刻精度も十分に維持できる。
なお、本発明は前記各実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、前記測位サーチ順序設定手段607は、前記衛星配置テーブル660に記憶されている受信時刻およびその受信時刻で受信した位置情報衛星のデータの中で、前記測位処理手段412の作動時刻に対する時間差が設定時間以上の受信時刻の位置情報衛星はサーチ対象としないようにしてもよい。
このようにすれば、特に、衛星配置テーブル660のデータが十分に揃っていない場合に、測位処理手段412の作動時刻に近い受信時刻(例えば時間差が6時間以内となる受信時刻)の位置情報衛星のデータが蓄積されておらず、最も近い受信時刻が6時間以上の場合に、それらの位置情報衛星はサーチ対象とせず、他の位置情報衛星をサーチ対象とすることで、位置情報衛星を捕捉できる可能性を向上でき、サーチ処理時間も短縮できる。
また、初期受信時刻テーブル461は、1日に7回受信するようにしていたが、8回以上受信するようにしてもよいし、6回以下の受信回数としてもよい。
さらに、更新受信時刻テーブル462は、1日に1回の受信としていたが、2回以上の受信に設定してもよい。
また、初期受信時刻テーブル461や更新受信時刻テーブル462で設定された時刻での測時処理に失敗した場合に、1日に1回の受信を確保するため、屋外に移動したことを検出して測時処理を自動的に行うようにしてもよい。屋外に移動したことを検出する方法としては、例えば、GPS付き腕時計1にソーラーパネルを設置し、その発電量の変化によって屋外であるかを判断する方法などが利用できる。
また、衛星配置テーブル660には4個の衛星情報を記憶していたが、5個以上の衛星情報を記憶しても良い。
Claims (10)
- 位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信手段と、
前記受信手段を制御して受信処理を行う受信制御手段と、
時刻を計時する計時手段と、
外部操作部材とを備え、
前記受信制御手段は、
少なくとも1つの位置情報衛星を捕捉し、その位置情報衛星から送信される衛星信号を受信し、その衛星信号に含まれる時刻情報を取得して前記計時手段で計時される時刻を修正する時刻情報修正手段と、
3個以上の位置情報衛星を捕捉し、それらの位置情報衛星から送信される衛星信号を受信し、その衛星信号に含まれる位置情報を取得して測位処理を行う測位処理手段と、
前記時刻情報修正手段で衛星信号を受信した際に、その受信時刻、および、受信した位置情報衛星の情報が記憶された衛星配置テーブルを作成する衛星配置テーブル作成手段と、
前記外部操作部材の操作によって前記測位処理手段が作動された際に、位置情報衛星をサーチする順序を、前記衛星配置テーブルにおいて、測位処理手段の作動時刻に受信時刻が近い位置情報衛星の順序に設定する測位サーチ順序設定手段と
を備える
ことを特徴とする衛星信号受信装置付き電子時計。 - 請求項1に記載の衛星信号受信装置付き電子時計において、
前記測位サーチ順序設定手段は、前記衛星配置テーブルに記憶されている受信時刻およびその受信時刻で受信した位置情報衛星のデータの中で、前記測位処理手段の作動時刻に対する受信時刻の時間差が設定時間以上の位置情報衛星はサーチ対象としない
ことを特徴とする衛星信号受信装置付き電子時計。 - 請求項1または請求項2に記載の衛星信号受信装置付き電子時計において、
前記衛星配置テーブル作成手段は、
1日を一定間隔で区切った所定時刻毎に受信時刻を設定し、
前記時刻情報修正手段を作動させて衛星信号を受信する処理は、1日に1回以上かつ前記設定された受信時刻の数未満とし、複数の日数で前記すべての受信時刻における衛星信号の受信処理を行って前記衛星配置テーブルを作成する
ことを特徴とする衛星信号受信装置付き電子時計。 - 請求項3に記載の衛星信号受信装置付き電子時計において、
前記衛星配置テーブル作成手段は、
前記設定されたすべての受信時刻で受信できた位置情報衛星の情報が記憶されて衛星配置テーブルが完成した後は、前記時刻情報修正手段による衛星信号の受信サイクルを、衛星配置テーブルの作成処理時の受信サイクルに比べて長い期間に変更する
ことを特徴とする衛星信号受信装置付き電子時計。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の衛星信号受信装置付き電子時計において、
前記外部操作部材の操作によって、前記計時手段で計時している時刻の時差を設定する時差設定手段を備え、
前記衛星配置テーブル作成手段は、
前記時差設定手段によって時差が修正された場合には、衛星配置テーブルのデータをリセットし、前記時刻情報修正手段を作動させて衛星信号を受信し、その受信時刻、および、受信した位置情報衛星の情報が記憶された衛星配置テーブルを再度作成する
ことを特徴とする衛星信号受信装置付き電子時計。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の衛星信号受信装置付き電子時計において、
前記時刻情報修正手段は、位置情報衛星の概略の軌道情報は受信しないことを特徴とする衛星信号受信装置付き電子時計。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の衛星信号受信装置付き電子時計において、
前記衛星配置テーブル作成手段は、
衛星配置テーブルに、受信時刻、衛星番号、ドップラー周波数に対応した周波数オフセットデータ、信号強度に対応したSNRデータ、C/Aコード相関のためのコードフェーズに対応した疑似距離データを記憶する
ことを特徴とする衛星信号受信装置付き電子時計。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載の衛星信号受信装置付き電子時計において、
前記衛星配置テーブル作成手段は、
時刻情報修正手段を作動させて衛星信号を受信した際に、複数の位置情報衛星からの衛星信号を受信した場合には、受信信号の条件が良い所定数の位置情報衛星の情報を前記衛星配置テーブルに記憶する
ことを特徴とする衛星信号受信装置付き電子時計。 - 請求項1から請求項8のいずれかに記載の衛星信号受信装置付き電子時計において、
前記測位処理手段は、
前記測位サーチ順序設定手段によって設定された順序で位置情報衛星をサーチして位置情報衛星を捕捉できた場合には、捕捉した位置情報衛星の衛星信号から衛星軌道データを取得する処理と、測位計算を行う処理とを、利用者が外部操作部材によって受信完了操作を行うまで、または、電源電圧が設定電圧以下に低下するまで繰り返し実行し、
前記位置情報衛星を捕捉できない場合、軌道情報データを取得できない場合、測位計算を行うことができなかった場合のいずれかの場合は、予め設定されたタイムアウト時間になるまで、前記測位サーチ順序設定手段によって設定された順序で位置情報衛星をサーチして衛星を捕捉する
ことを特徴とする衛星信号受信装置付き電子時計。 - 位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信手段と、
前記受信手段を制御して受信処理を行う受信制御手段と、
時刻を計時する計時手段と、
外部操作部材とを備えた衛星信号受信装置付き電子時計の受信制御方法であって、
少なくとも1つの位置情報衛星を捕捉し、その位置情報衛星から送信される衛星信号を受信し、その衛星信号に含まれる時刻情報を取得して前記計時手段で計時される時刻を修正する時刻修正工程と、
3個以上の位置情報衛星を捕捉し、それらの位置情報衛星から送信される衛星信号を受信し、その衛星信号に含まれる位置情報を取得して測位処理を行う測位処理工程と、
前記時刻修正工程により衛星信号を受信した際に、その受信時刻、および、受信した位置情報衛星の情報が記憶された衛星配置テーブルを作成する衛星配置テーブル作成工程と、
前記外部操作部材の操作によって前記測位処理工程が実行された際に、位置情報衛星をサーチする順序を、前記衛星配置テーブルにおいて、測位処理手段の作動時刻に最も受信時刻が近い位置情報衛星の順序に設定する測位サーチ順序設定工程と、
を備えることを特徴とする衛星信号受信装置付き電子時計の受信制御方法。
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