JP2010242040A - 籾殻燻燃器と燻炭を着火源とする着火方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】農業や野菜等の園芸に好適な籾殻燻炭の製造に使用する燻燃器と、燻燃器内籾殻の着火方法を提供する。
【解決手段】籾殻燻燃器本体1の下部に引出し可能な空気吸入孔の付いた引き出し式底板5を設け、また底板の下部に引き出し式燻炭受け皿7を設けた。また燻燃器本体1と煙突3の間に、邪魔板4を有するタール除去器2を設けた。この燻燃器を使用し燻燃を行ない、燻燃終了後に底板を引き出し、燻燃器内の籾殻燻炭を落下回収する。籾殻燻炭はそのまま袋詰めし窒息消火させる。また燻炭受け皿に回収された高温の燻炭は別の燻燃器の籾殻層の上部に載置し、着火材として使用する。
【選択図】図1

Description

本発明は農業や野菜等の園芸に好適な籾殻燻炭の製造に使用する燻燃器と、燻燃器内籾
殻の着火方法に関するものである。
籾殻は燻炭とすることで多孔質性となり農作物に甚だ優れた土壌構造を形成することが
できる。この籾殻燻炭は育苗において優れた特性を有していることは昔から知られていた
がその製造が意外に困難なため期待されたほど利用はされてこなかった。従来から使用さ
れているタンク状の籾殻燻燃器は、その底部は密閉されており上蓋方式となっている。上
蓋には煙突が接続されている。改良されたものは空気の吸入量を調節できるように煙突が
任意の角度でセットできる仕組みになっている。燻燃器の側面上部に着火口があり着火確
認用の覗き窓兼用となっている。この着火口は着火を確認後は閉められる。燻燃器の下部
には空気取入口が設けられ、燃焼用空気を吸入するが、籾殻燃焼が完了すると空気取入口
の蓋を閉じて窒息消火により燻炭化する構造になっている。燻燃器の内部は穴付き円板で
上下に仕切られ、円板の下部は空気室、円板の上部は籾殻用空間となる。燻燃器は燻炭製
品の取り出しを容易にするために2点支持脚で宙吊りに設置する。燻炭の取り出しにあた
っては煙突を取り外し後、上蓋をはずし、燻燃器本体を反転させ、燻炭を取り出している。
また、籾殻燻炭製造と同時に煙突から液化した籾酢を回収する。
次に従来から行なわれている籾殻燻炭の製造方法と消火方法を述べる。
燻燃器の上蓋を取り外し、穴付き円板とその受台を燻燃器内にセットする。燻燃器の上
部から籾殻を投入する。投入後、籾殻の表面部に灯油を噴霧する。上蓋と煙突を取り付け
後着火口から点火具で点火し、籾殻を着火する。燻燃の終了は通常燻燃器の下部の空気吸
入口のピンチコックが作動し吸入口の蓋が閉じられることで完了する。
煙突と上蓋を取り外し、燻燃器本体を反転させて燻炭を落下させ取り出す。取り出した
燻炭は完全に消火していないので散水して冷却し製品化する。
これまでに出願された籾殻の燻燃装置の主なものとしては、特許文献1から4がある。
文献1は、筒型燃焼炉の上部から点火して下方からの空気により逐次下方に着火燻燃状態
を継続させ、燃焼が最下部に至った時点で、空気を遮断しその後はその保有熱によって炭
化を完了させるものである。この場合未燃焼物の周囲は常に新鮮な空気であるため容易に
着火し、しかも燃焼気体の通過する部分は高温ではあるが燃焼気体がすでに大部分の酸素
を消費したものであるためそれ以上の燃焼は抑制され、燻燃を継続させることができる。
燃焼が最下部に至った時点より下部から灰化が行なわれ始めるが、この時に流入空気を遮
断し、いわゆるケシツボ状態にすることで灰化は防止され、炉内の熱によって下部の炭化
を完了させることができる。文献2は、文献1の燻炭の製造時に、内容物が炭化されると
自動的に空気取入れ口を遮断することで窯内の燃焼を中止して常に燻燃の状態を監視する
必要を無くしたものである。文献3は煙突を傾斜角度調節により空気の吸入量および木酢
の採取量の調節を可能にしたものである。また文献4は燻燃器の中央部に給気筒を設けて
燃焼を均一化させ、木酢液を効率よく得ようとするものである。
特開昭58−1780号 実開昭62−170745号 特開平3−258895号 特開平9−78071号
炭化方法としては空気遮断型の加熱炭化法と通気燃焼型(炭焼き)があるが、空気遮断型は大掛かりな設備になりまた長時間の加熱と冷却が必要になり、さらに発火の危険が伴う。そこで一般的には通気燃焼型の炭化いわゆる炭焼きが行われているが、炭焼き法では燃焼部で生じた水蒸気、木酢、タール等が燃焼素材に接触して液化し、つまり液化現象を起こし部分的に通気および加熱を妨げ、部分的に燃焼が進み過ぎて灰になったり、逆に未燃焼の部分が生じ易い問題点があった。また、従来の炭焼きでは連続的に製造はできず、1バッチ毎に点火作業が必要であった。点火作業は、昔は木片や紙等を燃やして籾殻層の上部に置くことで点火していたが、現在は灯油等を籾殻層の上部に噴霧後、ライター等で点火する方法が一般的であるが、着火が難しい。着火を目視で確認後も煙突から出る煙と燻燃器側面上部の温度を確認する必要があり、この確認作業に30分程度の時間を要する。着火しても最上層部が全面に渡り均一に点火されないこと及び籾殻層は急激な温度が上昇するため燃焼が不均一になり易い。このため窯の中心部と周辺部で偏って燃焼したりする問題点があった。また点火時爆発混合気を生成する安全面の問題や、着火確認する際に顔面を火傷することもあった。籾殻等を燻燃器に入れて燻燃をする際に特に重要なことは、燻燃器の中心部と周辺部で温度分布ができないようにできるだけ同じ温度を維持したまま、上層、中層、下層と燃焼層が移動させることである。しかるに従来の燻燃器は、点火時から最上層部を均一に加熱することができず、また1バッチ毎危険な点火作業が必要である等の問題点があった。
また従来の燻燃器は燻炭取り出しのため2本の支柱脚に宙吊りにセットする必要があるが、二人作業となる。さらに燻燃器内部に鉄筋でできた底板や受台の取り付け作業も面倒で困難である。
燻燃が完了すると燻炭を取り出すが、この際に最下部の高温の燻炭も同時に排出されるので散水して消火する必要があり、安全上燻炭の袋詰めは翌日となる。
以上のように従来の燻燃器を使用した燻炭製造は多くの問題点があった。
本発明は、初回に一回着火すればその後は着火作業が不要となるとともに、燻燃が極めて良好に行われ、均一な燻燃が可能な燻燃器の提供とその着火方法を提供するものである。
つまり本発明の籾殻燻燃器は、煙突を上部に有し、燻燃器の底板が多数の空気孔を持ち取外し可能であり、底板の下部に取り外し可能な燻炭受け皿を有することを特徴とし、さらに邪魔板を内蔵するタール除去器を燻燃器本体と煙突間に有することを特徴とする。
また、本発明の燻燃器では、燻炭受け皿で回収した高温燻炭を、再度別の燻燃器内の籾
殻層の表面上部に載置して籾殻を着火することが可能であり、一方燻撚器から取り出した
燻炭はそのまま樹脂製の容器に入れ窒息消火をすることができる。
本発明の燻燃器をさらに詳しく説明する。燻燃器本体は200Lのドラム缶に相当する大きさの円筒形を基本としている。燻燃器本体上部には、直径が約30cm程度の開口部を設け、内部に邪魔板を内蔵する円筒体をこの開口部に設置する。円筒体の上部は密閉されているが、底部と側面上部は開口されており、底部は燻燃器本体と、側面上部は煙突と連通している。従って、燻燃器で発生した排煙はこの円筒体、つまりタール除去器を通過し、内蔵された邪魔板で排煙に同伴するタールを除去する、除去されたタールは燻燃器の籾殻層に落下する。
タール除去器を通過した排煙は煙突から大気に排出されるが、液化したものは籾酢として回収する。
また燻燃器の下部にある引き出し式底板は約5から10mm程度の空気穴を多数有する金属板で、底板載置用ブラケットに載置されており、ブラケット上をスライドさせることで取外しが可能である。その引き出し式底板の下には燻炭受け皿があり、底板を引き出すと燻炭が落下する構造になっている。なお、底板載置用ブラケットは複数のブロックに載せられており燻燃器を空中に支持するとともに、燻炭受け皿を収容する空間を確保している。燻燃は底板の空気穴から空気を吸入しながら籾殻上層部から中層部、下層部と移動して進行する。燻燃の完了は、燻燃器の下部側面に開けた孔に差し込んだ割り箸等の木片が燃えて落下することが目安となる。燻燃が完了すると引き出し式底板を引き出し、最下層の高温の籾殻層を燻炭受け皿に落下させ、着火用燻炭として保管する。残りの籾殻燻炭は燻燃器下部から落下させ、そのまま袋詰めする。落下する燻炭は比較的低温であり窒息消火できる。
本発明の燻燃器を使用することにより、燻燃器の着火が2回目以降は不要となるとともに籾殻の燃焼が全面に極めて均一に行われる。従って得られる籾殻燻炭は未燃部分や完全燃焼部分がなく極めて品質に優れた製品が得られる。
また、点火時の顔面の火傷や爆発の危険性もなくなる。さらに燻燃器を宙吊りにして反転させ燻炭を取り出す作業や複数作業員も不要となる。取り出した燻炭を水で消火する作業も必要がない。高温の最下部の燻炭は着火用に除去されるので、残りの比較的低温の燻炭はそのまま袋詰めすれば自動的に窒息消火する。
本発明による籾殻燻炭の製造方法を図に基づいて説明する。
図1のように籾殻燻燃器をセットする。ブロック8に燻燃器1を載置し、引き出し式底板と燻炭受け皿を挿入する。タール除去器2をはずし、燻燃器上部開口部から原料の籾殻を投入する。着火用籾殻は初回だけは地面上で籾殻を積み上げ着火して作製する。着火用籾殻を燻燃器上部の開口部から投入し、原料の籾殻の上部に約5cm程度の厚みになるように均一に敷き詰める。この操作により籾殻の上層部が満遍なく着火燃焼を開始する。タール除去器2と煙突3を燻燃器1に取り付け、燻燃を開始する。着火材が籾殻であり、灯油や木材ではないので燃焼が極めて均一で良好である。またタール除去器を通過する排煙は内蔵された邪魔板4によりタールが除去されるので、黒煙が殆ど発生しない。燻燃の進行は燻燃器側面の温度を測定することで確認できる。煙突の側管からは液化した籾酢が回収できる。燻燃が完了したかどうかは、下部側面の孔に差し込んだ割り箸が燃えて落下することで判断できる。燻燃が完了した段階で、引き出し式底板5を引き出し、燻燃器最下部の高温の籾殻を燻炭受け皿7に落下させ、すぐに燻炭受け皿を引き出し、地上で保管する。この間、受け皿の籾殻は燃焼が続いている。燻炭受け皿を引き出すと同時に、燻燃器下部から籾殻燻炭が落下するのでビニール袋等に袋詰めする。この時の籾殻燻炭はあまり熱くないのでそのまま袋詰めでき、窒息消火することができる。
二回目以降は、燻炭受け皿で採取した高温の籾殻を着火材として利用できる。二回目以降の操作は、着火材が異なること以外は初回と同じである。このように本発明の燻燃器を利用することで、作業が極めて容易となり、一回毎の点火作業もないため危険性もほとんど無くなった。また、排煙も黒煙がない無色透明であり、製造される籾酢および籾殻燻炭は極めて均一な製品となる。
本発明の籾殻燻燃器は、農業や野菜などの園芸に好適な籾殻燻炭の製造に広範に利用可能である。また籾殻酢は、土壌殺菌剤、野菜栽培の消毒剤、防臭剤として利用できる。
籾殻燻燃器の組立図 引き出し式底板 燻炭受け皿
1 燻燃器本体
2 タール除去器
3 煙突
4 邪魔板
5 引き出し式底板
6 底板載置用ブラケット
7 燻炭受け皿
8 ブロック
9 籾殻燻燃室
10 空気孔

Claims (4)

  1. 煙突を有する籾殻燻燃器において、燻燃器の底板が多数の空気孔を持ち取外し可能であり、底板の下部に取り外し可能な燻炭受け皿を有することを特徴とする籾殻燻燃器
  2. 邪魔板を内蔵するタール除去器を燻燃器本体と煙突間に有することを特徴とする請求項1記載の籾殻燻燃器
  3. 燻炭受け皿で回収した籾殻燻炭を、再度別の燻燃器の籾殻層の表面上部に載置して籾殻
    を着火することを特徴とする燻燃器内籾殻の着火方法
  4. 燻燃器から取り出した燻炭をそのまま樹脂製の容器に入れ窒息消火をすることを特徴とする燻炭の消火方法
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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH03258895A (ja) * 1990-03-08 1991-11-19 Kouran Sangyo Kk 燻炭・木酢の製造装置および方法
JPH0577236U (ja) * 1992-03-24 1993-10-22 敏雄 熊谷 燻炭製造機における木酢採取装置
JP2000144147A (ja) * 1998-11-16 2000-05-26 Kumagai Noki:Kk 燻炭・木酢の製造装置

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