JP2010240695A - 金型冷却用パイプ - Google Patents
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Abstract
【課題】金型冷却用パイプの外周に整流体を螺旋状に巻き付けてスパイラル流路を形成した場合の冷却効率を更に向上させる。
【解決手段】入子ピン20の冷却穴20aと金型冷却用パイプ10の整流体10cとの間に隙間を設け、整流体10cにより形成されたスパイラル流路に加えて、隙間により形成された隙間流路にも冷却水を流すようにすることにより、冷却穴20aと冷却水との接触面積を増やし、従来よりも多くの面積で熱交換を行うことができるようにする。また、隙間流路に冷却水を流すことにより、冷却穴20aの側壁と整流体10cとで挟まれた部分において冷却水が滞留しないようにするとともに、冷却穴20aの側壁と冷却水との接面に生ずる境膜を薄くし、熱交換の効率性を向上させることができるようにする。
【選択図】図2
【解決手段】入子ピン20の冷却穴20aと金型冷却用パイプ10の整流体10cとの間に隙間を設け、整流体10cにより形成されたスパイラル流路に加えて、隙間により形成された隙間流路にも冷却水を流すようにすることにより、冷却穴20aと冷却水との接触面積を増やし、従来よりも多くの面積で熱交換を行うことができるようにする。また、隙間流路に冷却水を流すことにより、冷却穴20aの側壁と整流体10cとで挟まれた部分において冷却水が滞留しないようにするとともに、冷却穴20aの側壁と冷却水との接面に生ずる境膜を薄くし、熱交換の効率性を向上させることができるようにする。
【選択図】図2
Description
本発明は金型冷却用パイプに関し、特に、射出成形金型およびダイカスト鋳造金型(以下、これらを成形金型という)に使用される水穴を有する細長い入子ピンの水穴に挿入して当該入子ピンを内側から冷却するためのパイプに用いて好適なものである。
成形金型には種々のものがあるが、その中の1つに、成形品と同一形状の凹空間部(キャビティ)と凸形状の(コア)とで形づくられるコア形状の部品として、小径で細長いピン形状の部品を用いた成形金型が存在する。このピン形状の部品は、入子ピン(または居抜きピン)と称される。入子ピンの内部には、冷却用の小径の穴(以下、冷却穴という)が設けられている。この種の成形金型は、入子ピンの冷却穴に流した冷却水と、入子ピンの外部にあるキャビティに導入された溶融樹脂との間で熱交換することにより、溶融樹脂を冷却するように成されている。ここで、入子ピンの内部に冷却水を供給するための部材として、金型冷却用パイプが用いられる。
図6は、噴流式による従来の金型冷却用パイプおよび入子ピンを備えた冷却機構の構成を示す図である。図6において、100は溶融樹脂から作られる成形品(製品)である。101は固定側型板(キャビティプレートとも呼ばれる)であり、金型を構成する雌型の主要部分である。この固定側型板101は、成形品100の外観形状と同一形状を成す凹形の空間部(キャビティ)を有している。また、固定側型板101は、冷却水の流路101aを有している。固定側型板101は、流路101aに供給される冷却水によって冷却され、成形品100をその外面(表面)から冷却する。
102は可動側型板(コアプレートとも呼ばれる)であり、金型を構成する雄型の主要部分である。この可動側型板102は、入子ピン20を有している。入子ピン20は、成形品100の内面(裏面)を形成するためのコア部品であり、その内部に成形品100の裏面を冷却するための凹状の冷却穴20aを有している。また、可動側型板102は、冷却水の流路102aを有している。可動側型板102は、流路102aに供給される冷却水によって冷却され、入子ピン20を外側から冷却する。
103は可動側受板であり、入子ピン20の内側に冷却水を供給する際の冷却水往路となる水穴103aおよび冷却水復路となる水穴103bと、金型冷却用パイプ10の口金10aが挿入される穴103cとを有している。また、可動側受板103は、入子ピン20に供給する冷却水の水漏れ防止のためのOリング用穴103dを有している。
金型冷却用パイプ10は、自身を可動側受板103に固定するためのパイプ口金10aと、パイプ本体10bとから成る。パイプ口金10aとパイプ本体10bとの接合部は一体構造となっている。パイプ口金10aには、入子ピン20の内側に供給する冷却水の往路となる穴10d,10eと、冷却水の復路となる切り欠き部10hとが設けられている。パイプ本体10bの内部10fは冷却水の流路なっており、パイプ口金10aに設けられた穴10eと連結している。
冷却水は、可動側受板103に設けられた水穴103aより入り、パイプ口金10aに設けられた穴10d,10eを通って、パイプ本体10bの内部流路10fを上方向に流動する。そして、内部流路10fを通った冷却水は、パイプ先端10gより入子ピン20の内部に形成された冷却穴20aの奥側に噴出する。冷却穴20aの奥側に噴出した冷却水は、金型冷却用パイプ10の外周面と入子ピン20の内周面(冷却穴20aの側壁)とで仕切られた冷却穴20aの部分を流路として下方に流動し、パイプ口金10aの切り欠き部10hを通って、可動側受板103の水穴103bから金型外へ排出される。
金型冷却用パイプ10の外周面と入子ピン20の内周面との間に形成された冷却穴20aの細い流路を冷却水が流れている間に、冷却水が冷却穴20aの側壁と接触し、入子ピン20が内側から冷却される。そして、冷却された入子ピン20によって成形品100が裏面から冷却される。
成形金型では、固定側型板101の凹状の空間と可動側型板102の凸状の入子ピン20とで形成された成形品100と同等の空間(キャビティ)内に、熱で溶かした溶融樹脂を流し込み、溶融樹脂を冷却して固化することによって成形品100を作る。したがって、成形品100の成形には溶融樹脂の冷却工程が重要な意義を持ち、入子ピン20の冷却効率が成形品100の成形時間を決める一要因となる。
溶融樹脂の表面側は、固定側型板101に加工された水穴101aに流れる冷却水によって冷却される。固定側型板101は、その質量が大きいので熱容量も大きく、溶融樹脂から受ける熱量でも温度変化は少ない。そのため、固定側型板101は水穴101aに流れる冷却水によって常時最適温度に保たれており、成形品100の表側を容易に冷却することができる。
可動側型板102についても同様に、冷却水を流すための水穴102aが加工されている。また、可動側型板102は、その質量が大きく熱容量も大きいので、固定側型板101と同様に温度変化は少ない。そのため、可動側型板102は水穴102aに流れる冷却水によって常時最適温度に保たれており、入子ピン20を外側から冷却することができる。
ただし、入子ピン20は質量が小さく、熱容量も小さい。また、仮に入子ピン20に冷却穴20aが無い場合には、溶融樹脂を固化する際に入子ピン20が溶融樹脂から奪った熱量の放熱は、離型時における大気中への放熱および可動側型板102への熱伝導だけで行われる。そのため、可動側型板102の水穴102aに流れる冷却水によって入子ピン20を冷却しても、入子ピン20が溶融樹脂より受ける熱量より放熱量の方が小さい場合が多く、その場合は入子ピン20の温度は上昇してしまう。その結果、溶融樹脂を固化するために多くの時間がかかり、成形効率が落ちてしまう。そこで、入子ピン20に冷却穴20aを加工し、冷却穴20aに冷却水を流して入子ピン20の温度上昇を抑えるように成されている。
以上のように、入子ピン20を用いる成形金型では、入子ピン20の内部(冷却穴20a)に金型冷却用パイプ10を挿入して、金型冷却用パイプ10から入子ピン20の冷却穴20aに冷却水を噴流し、冷却穴20aと冷却水とを接触させて入子ピン20の冷却を行っていた。しかし、この種の冷却機構では、金型冷却用パイプ10から噴流した冷却水の流れに偏りが生じ、入子ピン20の冷却穴20aと冷却水との接触面が不均一となり、十分な接触面積を確保できない。また、冷却穴20a内での冷却水の滞留時間が短いために、冷却穴20aで十分な熱交換がなされないまま冷却水が排出されてしまう。そのため、冷却効果が不十分であった。
このような問題を解決するために、図7に示すように、金型冷却用パイプ10の外周にワイヤ等の整流体11を螺旋状に巻き付ける。そして、整流体11が入子ピン20の内壁(冷却穴20aの側壁)に接するように、金型冷却用パイプ10を入子ピン20に嵌挿することによってスパイラル流路を形成し、そのスパイラル流路に沿わせて冷却水を流すようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
この特許文献1,2に記載の技術によれば、入子ピン20の内部における冷却水の流れは、図8において矢印300aで示すようになる。これにより、入子ピン20の冷却穴20aと冷却水との接触面が均一となって十分な接触面積を確保できるとともに、入子ピン20の内部における冷却水の滞留時間を長くすることができる。そのため、冷却効率が向上する。
しかしながら、図7のように、金型冷却用パイプ10に巻き付けた整流体11が冷却穴20aの側壁と勘合していると、冷却水の流路が狭まって水の抵抗で流れが悪くなる部分が生じる。図8において、符号300b,300cで示す部分が、流路が狭まって水の流れが悪くなるところである。すなわち、整流体11と冷却穴20aの側壁とが接する部分の近傍300b,300cは水の流れる断面積が小さく、水の粘性の抵抗が大きいので、水の流れが悪くなる。整流体11と冷却穴20aとの接点にごく近いところでは、水が流れない部分もできてくる。
水の流れが悪い部分では、入子ピン20の熱を冷却水が奪っても、冷却水はその部分で滞留してしまう。そのため、入子ピン20の熱が冷却水を通して入子ピン20に外に排出されにくい状態となる。また、水が流れない部分では、入子ピン20の冷却穴20aの表面と冷却水との間に境膜が形成される。境膜は伝熱係数が非常に悪いので、冷却穴20aと冷却水との熱交換が行われにくくなる。これらのため、冷却の効率が不足するという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、金型冷却用パイプの外周に整流体を螺旋状に巻き付けてスパイラル流路を形成した場合の冷却効率を更に向上させることを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明の金型冷却用パイプでは、パイプ本体の外周に整流体を螺旋状に巻き付けて形成した一体構造の最大外径を、パイプ本体が挿入される入子ピンの冷却穴の直径より小さい寸法となるように構成している。小さい寸法とは、冷却液が流れる程度以上の間隔を有する寸法とする。
上記のように構成した本発明によれば、入子ピンの内部に形成された冷却穴の側壁と整流体との間には、パイプ本体および整流体を含む一体構造の最大外径と冷却穴の直径との差分に相当する幅の隙間が生じる。そのため、パイプ本体から冷却穴に噴流した冷却液は、整流体で形成されるスパイラル流路に加えて、冷却穴の側壁と整流体との間に生じた隙間にも流れることとなる。これにより、冷却穴の側壁と整流体とが近接する部分においても冷却液の流れは停滞せず、冷却液の流れが悪くなる部分が無くなる。したがって、入子ピンから熱を奪った冷却液がその場で滞留することなく金型外部へ排出され、入子ピンと冷却液との間の熱交換が効率的に行われる。
また、本発明によれば、整流体により仕切られたスパイラル流路では冷却液が層流に近い形で斜めに流れるのに対し、冷却穴の側壁と整流体との間に生じた隙間ではスパイラル流路とは異なる方向に冷却液が流れる。そのため、スパイラル流路を流れる冷却液の流れと、隙間を流れる冷却液の流れとが交差し、冷却液の流れに乱れが生じる。この冷却液の流れの乱れにより、冷却液が攪拌され、入子ピンの冷却穴と冷却液とが接する面に生ずる境膜が薄くなる。境膜が薄くなることで、伝熱係数が向上する。
以上のことから、本発明によれば、金型冷却用パイプの外周に整流体を螺旋状に巻き付けてスパイラル流路を形成した冷却機構に関して、従来よりも冷却効率を更に向上させることができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による金型冷却用パイプの構成例を示す図である。図2は、本実施形態による金型冷却用パイプを適用した成形金型の冷却機構の一構成例を示す図である。なお、図2において、図7に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
図1および図2に示すように、本実施形態の金型冷却用パイプ10は、成形金型が備える入子ピン20に形成された断面形状が円形の冷却穴20aに挿入する金型冷却用パイプであって、自身を可動側受板103に固定するためのパイプ口金10aと、パイプ本体10bと、パイプ本体10bの外周に螺旋状に巻き付けたワイヤ等の整流体10cとから成る。パイプ口金10aとパイプ本体10bとの接合部は一体構造となっている。また、パイプ本体10bとその外周に巻き付けた整流体10cもロー付け等で一体構造となっている。
本実施形態では、パイプ本体10bと整流体10cとの一体構造を、整流体10cを含む金型冷却用パイプ10の最大外径(パイプ本体10bの外径+整流体10cの外径)が冷却穴20aの直径より小さくなる寸法に構成している。このような寸法とすることにより、冷却穴20aの側壁と整流体10cとの間には隙間が生じる。そのため、パイプ本体10bから冷却穴20aに噴流した冷却水は、整流体10cで形成されるスパイラル流路に加えて、上述の隙間にも流れる。具体的には、金型冷却用パイプ10の最大外径と冷却穴20aの直径との差が0.2ミリ以上となるように構成するのが好ましい。0.2ミリというのは、冷却水が隙間をスムーズに流れる最小幅を意味する。以下、この隙間により形成された冷却水の流路を隙間流路と称する。
金型冷却用パイプ10の寸法に関して、さらに好ましくは、金型冷却用パイプ10の最大外径と冷却穴20aの直径との差が0.2ミリ以上で、かつ、以下の式を満たすように構成するのが好ましい。
(冷却穴20aの断面積)−(金型冷却用パイプ10の最大外径を直径とする円の面積)≦(パイプ本体10bの内径を直径とする円の面積)
この式は、冷却水の復路となるスパイラル流路および隙間流路のうち、隙間流路の断面積が冷却水の往路となるパイプ本体10bの内径の断面積以下となるようにすることを意味する。
(冷却穴20aの断面積)−(金型冷却用パイプ10の最大外径を直径とする円の面積)≦(パイプ本体10bの内径を直径とする円の面積)
この式は、冷却水の復路となるスパイラル流路および隙間流路のうち、隙間流路の断面積が冷却水の往路となるパイプ本体10bの内径の断面積以下となるようにすることを意味する。
図3は、本実施形態による金型冷却用パイプ10の寸法を説明するための図である。図3に示すように、冷却穴20aの直径をr1、金型冷却用パイプ10の最大外径をr2、パイプ本体10bの内径をr3、冷却穴20aの側壁と整流体10cとの間に生じる隙間の幅をΔとする。この場合、金型冷却用パイプ10の寸法は、次の(式1)および(式2)の双方を満たすように設定する。
Δ=(r1−r2)/2≧0.2mm ・・・(式1)
πr1 2/4−πr2 2/4≦πr3 2/4 ・・・(式2)
Δ=(r1−r2)/2≧0.2mm ・・・(式1)
πr1 2/4−πr2 2/4≦πr3 2/4 ・・・(式2)
この(式1)および(式2)の双方を満たすような寸法に金型冷却用パイプ10を構成することにより、冷却水の復路において、スパイラル流路と隙間流路とに対して冷却水を確実に分流することができる。また、πr1 2/4−πr2 2/4<πr3 2/4とした場合には、スパイラル流路に流れる冷却水の流量を隙間流路に流れる冷却水の流量よりも多くすることができる。
ここで、上記のように構成した本実施形態による冷却機構における冷却水の流れについて説明する。図4は、本実施形態による冷却水の流れを示す模式図である。冷却水は、図2に示した可動側受板103に設けられた水穴103aより入り、パイプ口金10aに設けられた穴10d,10eを通って、パイプ本体10bの内部流路10fを上方向に流動する。そして、内部流路10fを通った冷却水は、パイプ先端10gより入子ピン20の内部に形成された冷却穴20aの奥側に噴出する。
図4に示すように、冷却穴20aの奥側に噴出した冷却水は、その一部が、入子ピン20の冷却穴20aと金型冷却用パイプ10のパイプ本体10bと整流体10cとで仕切られたスパイラル流路を流れ200aのように流れる。スパイラル流路では、冷却水は層流に近い形で斜めに流れる。また、冷却水の一部は、冷却穴20aの側壁と整流体10cとの間に形成された隙間流路を流れ200bのように流れる。隙間流路では、冷却水はスパイラル流路での流れ200aとは異なる方向(上方から下方)に流れる。
この隙間流路における冷却水の流れ200bがあることにより、冷却水は冷却穴20aの全面に接する。これにより、図7のように冷却穴20aの側壁と整流体11とが接していてその接点部分で冷却水が冷却穴20aに接することのできなかった従来技術に比べて、冷却穴20aと冷却水との接触面積を多くすることができ、冷却効率を高めることができる。
また、隙間流路での冷却水の流れ200bはスパイラル流路での冷却水の流れ200aと交差し、その交差した場所に渦200cを作る。この渦200cは、スパイラル流路での冷却水の流れ200aに影響を及ぼし、当該流れ200aに乱れを生じさせる。この渦200cと、スパイラル流路での冷却水の乱れた流れ200aとにより、入子ピン20の冷却穴20aの側壁と冷却水との間にできる境膜が薄くなる。ここで、渦200cと乱れた流れ200aは冷却穴20aの側壁の近くで起きるので、境膜を薄くする現象を促進する。境膜が薄くなることにより、伝熱係数が向上し、入子ピン20の冷却効率を高めることができる。
また、渦200cは、スパイラル流路を流れる冷却水を攪拌する。この攪拌により、スパイラル流路を流れる冷却水の温度が均一となることにより下がり、冷却効率を向上させながら冷却水が流れるようになる。冷却水は、図2の上方から下方に向かって、図4に示すような流れを繰り返して入子ピン20を冷却しながら流れ、パイプ口金10aの切り欠き部10hを通って、可動側受板103の水穴103bから金型外へ排出される。
以上詳しく説明したように、本実施形態では、入子ピン20の冷却穴20aと金型冷却用パイプ10の整流体10cとの間に隙間を設け、隙間流路に冷却水を流すようにしている。これにより、入子ピン20の冷却穴20aと冷却水との接触面積を増やし、従来よりも多くの面積で熱交換を行うことができる。また、隙間流路に冷却水を流すことにより、入子ピン20の冷却穴20aの側壁と整流体10cとで挟まれた部分において、入子ピン20から熱を奪った冷却水が滞留しないようにすることができる。さらに、隙間流路での冷却水の流れにより、冷却穴20aの側壁と冷却水との接面に生ずる境膜を薄くして伝熱効率を上げることができるとともに、冷却水を攪拌して冷却水の温度を下げることができる。以上のことから、本実施形態によれば、金型冷却用パイプ10の外周に整流体10cを螺旋状に巻き付けてスパイラル流路を形成した場合の冷却効率を、従来よりも向上させることができる。
なお、図2に示すように金型冷却用パイプ10は、パイプ本体10bの底部に形成されたパイプ口金10aだけで支持されている。そのため、金型冷却用パイプ10が曲がって支持されることにより、冷却穴20aの側壁と整流体10cとが接触してしまうことも考えられる。しかしその場合でも、整流体10cが冷却穴20aの側壁に接する部分は1点であり、当該1点において接触があっても冷却穴20aの側壁と整流体10cとの間の隙間が完全に無くなってしまう訳ではない。冷却穴20aの側壁と整流体10cとが全く接触しないときに比べて冷却効率は落ちるものの、図7のように冷却穴20aの側壁に対して整流体11が全て摺接しているときに比べて冷却効率は向上している。
ただし、冷却穴20aの側壁と整流体10cとは全く接触しない方がより好ましい。そこで、図5に示すように、パイプ本体10bの外周部分に加えて、冷却水が噴出するパイプ先端10gよりも突出した部分に至る長さに整流体10cを形成し、整流体10cにおいてパイプ先端10gよりも突出した部分(例えば、整流体10cの先端部分)と、パイプ本体10bの底部に形成されたパイプ口金10aとの2点でパイプ本体10bを支持するようにしてもよい。
すなわち、冷却穴20aの奥側に位置する整流体10cの先端部分を、あえて冷却穴20aの側壁に接する寸法となるようにピッチ円径を広げて形成する。そして、このように形成した整流体10cの先端部分を冷却穴20aの側壁に接触させるとともに、パイプ口金10aを可動側受板103の穴103cに挿入することにより、整流体10cの先端部分とパイプ口金10aとの両支点で金型冷却用パイプ10を保持する。
なお、上記実施形態では、冷却液の一例として水を用いているが、本発明はこれに限定されない。その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
10 金型冷却用パイプ
10a パイプ口金
10b パイプ本体
10c 整流体
20 入子ピン
20a 冷却穴
10a パイプ口金
10b パイプ本体
10c 整流体
20 入子ピン
20a 冷却穴
Claims (4)
- 成形金型が備える入子ピンに形成された断面形状が円形の冷却穴に挿入し、パイプ本体の先端より上記冷却穴の内部に冷却液を噴流するための金型冷却用パイプであって、
上記パイプ本体の外周に整流体を螺旋状に巻き付けた状態にて上記パイプ本体と上記整流体とを一体構造とし、当該一体構造を、上記整流体を含む最大外径が上記冷却穴の直径より小さくなる寸法に構成したことを特徴とする金型冷却用パイプ。 - 上記一体構造の最大外径と上記冷却穴の直径との差が0.2ミリ以上となるように上記一体構造を構成したことを特徴とする請求項1に記載の金型冷却用パイプ。
- 上記一体構造の最大外径と上記冷却穴の直径との差が0.2ミリ以上で、かつ、上記冷却穴の断面積から上記一体構造の最大外径を直径とする円の面積を引いた値が上記パイプ本体の内径を直径とする円の面積以下となるように、上記一体構造を構成したことを特徴とする請求項1に記載の金型冷却用パイプ。
- 上記パイプ本体の外周部分に加えて上記先端よりも突出した部分に至る長さに上記整流体を形成し、上記整流体において上記先端よりも突出した部分と、上記パイプ本体の底部に形成された口金との2点で上記パイプ本体を上記冷却穴内にて支持するようにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の金型冷却用パイプ。
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