JP2010239679A - コイル線、ステータおよび回転電機 - Google Patents

コイル線、ステータおよび回転電機 Download PDF

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Abstract

【課題】コイル線の占積率の向上を図ると共に、渦電流損の低減を図ることができるコイル線、ステータおよび回転電機を提供する。
【解決手段】コイル190は、複数のスロットが形成されたステータコアに装着され、複数の前記スロット内を通るように延びるコイル線であって、互いに拘束された複数の素線200によって形成される。
【選択図】図8

Description

本発明は、コイル線、ステータおよび回転電機に関し、特に、複数の素線から形成されたコイル線、このコイル線を備えたステータおよび回転電機に関する。
従来から各種のコイル線、ステータおよび回転電機が提案されており、特に、近年、スロット内におけるコイル線の占積率の向上を図るためのコイル線、このコイル線を有するステータおよび回転電機が提案されている。
たとえば、特開2009−11148号公報および特開2009−11152号公報に記載されたステータは、周方向に複数のスロットが形成されたステータコアと、断面形状が略矩形状の線材により形成されたステータ巻線とを備えている。
特開2009−17632号公報に記載されたステータは、ステータコアと、連続波巻形状に形成されたステータコイルを備える。このステータコイルの断面は、矩形状とされている。
特開2009−11148号公報 特開2009−11152号公報 特開2009−17632号公報
上記従来のステータにおいては、断面形状が矩形形状のステータ巻線が採用されている。各ステータ巻線は、複数のスロットに亘って延びている。そして、各ステータ巻線は1本の素線によって構成されている。ステータ巻線の周方向の幅は、スロットの周方向の幅より僅かに小さい程度となっている。
ここで、ステータ巻線の外部からステータ巻線を貫通するような磁束が生じると、ステータ巻線に渦電流が生じ、渦電流損が生じる。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、コイル線の占積率の向上を図ると共に、渦電流損の低減を図ることができるコイル線、ステータおよび回転電機を提供することである。
本発明に係るコイル線は、回転電機のステータコアに設けられるコイル線であって、少なくとも一部が互いに拘束された複数の素線によって形成される。
好ましくは、上記素線同士を拘束する複数の拘束部をさらに備え、該拘束部は、素線の延在方向に間隔をあけて設けられる。
好ましくは、上記素線の延在方向に対して垂直な方向における素線の断面形状は六角形形状とされる。
本発明に係るステータは、複数のスロットが形成され、環状に形成されたステータコアと、上記コイル線とを備える。好ましくは、上記コイル線は、スロットからステータコアの中心線方向に配列する端面上に引き出される。そして、上記スロット内における素線の径方向の配列数と、ステータコアの端面上における素線の径方向の配列数とを異ならせる。
好ましくは、上記コイル線は、スロット内にステータコアの径方向に複数配列される。好ましくは、上記素線は、スロット内において、ステータコアの径方向に複数配列され、スロット内において、コイル線のステータコアの径方向の長さは、ステータコアの周方向の長さよりも長くなるように形成される。そして、上記素線は、ステータコアの端面上において、ステータコアの中心軸線方向に複数配列され、ステータコアの端面上において、コイル線のステータコアの中心軸線方向の長さは、ステータコアの径方向の長さよりも長く形成される。
好ましくは、上記スロット内において、素線のステータコアの周方向の幅は、スロットの周方向の幅の半分よりも小さくなるように形成される。
好ましくは、上記コイル線は、スロット内に挿入された挿入部と、ステータコアの端面上に引き出された引出部と、挿入部と引出部とを接続する接続部とを含み、コイル線は、挿入部に位置する素線同士を拘束する挿入部用拘束部と、引出部に位置する素線同士を拘束する引出部用拘束部とを含む。そして、上記接続部は、挿入部用拘束部および引出部拘束部から外方に露出させられる。
本発明に係るステータは、他の局面では、環状に形成され、内周面に複数のスロットが形成されたステータコアと、スロット内に挿入されたコイル線とを備える。そして、上記コイル線は、第1位相の電力が供給される第1コイル線と、第2位相の電力が供給される第2コイル線とを含む。さらに、上記スロットは、第1コイル線が挿入される第1スロットと、該第1スロットに対して周方向に間隔を空けて形成され、第2コイル線が挿入される第2スロットと、第2スロットに対して第1スロットと反対側に位置する第3スロットと、第3スロットに対して、第2スロットと反対側に位置する第4スロットとを含む。さらに、上記第1コイルは、第1スロットに挿入される第1挿入部と、ステータコアの端面に引き出された第1引出部と、第3スロットに挿入された第3挿入部とを含む。そして、上記第2コイルは、第2スロットに挿入された第2挿入部と、ステータコアの端面に引き出された第2引出部と、第4スロットに挿入された第4挿入部とを含み、第1引出部は、ステータコアの周方向に延び、第2引出部よりステータコアの径方向に隣り合う位置を通るように設けられる。本発明に係る回転電機は、上記ステータを備える。
本発明に係るコイル線、ステータおよび回転電機によれば、ステータコアに装着したときの占積率の向上を図ることができると共に、渦電流損の低減を図ることができる。
本発明の実施の形態1に係る回転電機100の断面図である。 ステータ140の斜視図である。 回転中心軸線O方向からステータ140を平面視したときの平面図である。 ステータ140の内周面の展開図である。 ステータコア141の端面142における展開図である。 スロット172内における各コイル線の挿入状態を示す模式図である。 ステータコア141の端面143における展開図である。 端面142上を延びる第1U相コイル190の断面図である。 スロット172内における第1U相コイル190の断面図である。 コイルの変形例を示す断面図である。 コイルの変形例を示す断面図である。 第1U相コイル190および第2U相コイル191の一部を示す斜視図である。 第1U相コイル190の一部を詳細に示す斜視図である。 コイルの巻回状態を模式的に示す模式図である。 コイルの製造工程の第1工程を示す斜視図である。 各素線の断面を示す断面図である。 コイルの製造工程の第2工程を示す斜視図である。 ステータの製造工程を示す斜視図である。 他のコイルを製造する工程を示す斜視図である。 他のコイルを製造する素線の断面図である。
本発明に係るコイル線、ステータおよび回転電機について、図1から図20を用いて説明する。
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。また、以下に複数の実施の形態が存在する場合、特に記載がある場合を除き、各々の実施の形態の特徴部分を適宜組合わせることは、当初から予定されている。
図1は、本発明の実施の形態1に係る回転電機100の断面図である。この図1に示すように、回転電機100は、回転中心軸線Oを中心に回転可能に設けられた回転シャフト110と、この回転シャフト110に固定されたロータ120と、ロータ120の外周を取り囲むように設けられた環状のステータ140とを備えている。
ロータ120は、複数の電磁鋼板を積層することで形成されたロータコア125と、このロータコア125に形成された磁石挿入孔126内に挿入された複数の永久磁石123と、ロータコア125の端面に設けられたエンドプレート122とを備えている。なお、永久磁石123は、磁石挿入孔126内に充填された樹脂124によって固定されている。
ステータ140は、回転中心軸線Oを中心に環状に形成されたステータコア141と、このステータコア141に装着されたU相コイル181,V相コイル182,W相コイル183とを備えている。
ステータコア141は、環状に配列する分割ステータコアと、この分割ステータコアの外周に設けられた環状の固定部材とを備える。各分割ステータコアは、周方向に延びる分割ヨーク部と、この分割ヨーク部から突出するように形成されたステータティース171とを備えている。そして、複数の分割ステータコアが環状に配列することで、環状のヨーク部170が形成され、各ステータティース171がヨーク部170の内周面から径方向に突出するように配置されている。
図2は、ステータ140の斜視図であり、図3は、回転中心軸線O方向からステータ140を平面視したときの平面図である。
これら図2および図3に示すように、ステータコア141には、複数のステータティース171が間隔をあけて形成されており、ステータコア141の内周面には、周方向に間隔をあけて複数のスロット172が形成されている。
U相コイル181は、複数のスロット172に亘って延びており、V相コイル182およびW相コイル183も同様に複数のスロット172に亘って延びている。なお、本実施の形態に係るステータ140のコイルは、波巻きとされている。
図4は、ステータ140の内周面の展開図であり、図5は、ステータコア141の端面142における展開図である。図6は、スロット172内における各コイル線の挿入状態を示す模式図である。図7は、ステータコア141の端面143における展開図である。
ここで、図4に示すように、U相コイル181は、第1U相コイル190と、第1U相コイル190が挿入されたスロットにと隣り合うスロットに挿入された第2U相コイル191とを備えている。さらに、V相コイル182は、第1V相コイル192と、この第1V相コイル192が挿入されたスロットと隣り合うスロットに挿入された第2V相コイル193とを備えている。W相コイル183は、第1W相コイル194と、この第1W相コイル194が挿入されたスロットと隣り合うスロット内に挿入された第2W相コイル195とを備えている。
ここで、第1U相コイル190は、複数のスロット172内を通るように延びている。具体的には、第1U相コイル190は、1つのスロット172内をとおり、その後、スロット172から端面142,143上に引き出される。そして、第1U相コイル190は、端面142,143上を周方向に延び、他のスロット172内に挿入される。この第1U相コイル190は、このように引き回された後、第2U相コイル191に接続されている。そして、第2U相コイル191も、第1U相コイル190と同様に引き回されている。このように、U相コイル181は、ステータコア141を2周するように延びている。
また、第1V相コイル192および第2V相コイル193も同様に引き回され、第1V相コイル192の一端が第2V相コイル193の一端に接続されている。これにより、V相コイル182は、ステータコア141を2周するように引き回されている。
同様に、第1W相コイル194および第2W相コイル195も同様に引き回され、第1W相コイル194の一端が第2W相コイル195の端部に接続され、W相コイル183は、ステータコア141を2周するように引き回されている。
そして、各U相コイル181、V相コイル182およびW相コイル183は、互いに拘束された複数の素線と、各素線を拘束する拘束部とから構成されている。
これにより、各コイルを構成するコイル線は、コイル線の幅方向に複数に分割されており、各コイル線の周面には、大きな渦電流が生じる程度の連続した領域がない。このため、外部から磁束がコイル線内に入り込んだとしても、コイル線に大きな渦電流が生じることを抑制することができ、渦電流損を低減することができる。
ロータ120が高速回転するときには、多くの漏れ磁束がコイル線を通過する一方で、本実施の形態に係るコイル線によれば、大きな渦電流損が生じることを抑制することができる。
図8は、端面142上を延びる第1U相コイル190の断面図であり、特に、第1U相コイル190の延在方向に対して垂直な断面における断面図である。
この図8に示すように、第1U相コイル190は、複数の素線200と、この複数の素線200を互いに固定する拘束部201とを備えている。
各素線200は、銅線等の導線230と、導線230の外周面を被覆する絶縁皮膜231とを備えている。そして、拘束部201は、絶縁性を有する自己融着材(自己融着線)等から形成されている。
この図8に示す例においては、素線200は、ステータコア141の回転中心軸線O方向に複数配列している。換言ずれば、第1U相コイル190の外周面のうち、ステータコア141の径方向に配列する側面は、回転中心軸線O方向に複数に分割されている。このため、この側面から磁束が第1U相コイル190内に入り込んだとしても、大きな渦電流が生じ難くなっている。
さらに、この図8に示す例においては、素線200は、ステータコア141の径方向に複数配列している。このため、第1U相コイル190の外周面のうち、回転中心軸線O方向に配列する端面は、ステータコア141の径方向に分割されている。このため、この端面から磁束が第1U相コイル190内に入り込んだとしても、大きな渦電流が生じることが抑制されている。
図9は、スロット172内における第1U相コイル190の断面図である。この図9に示すように、複数の第1U相コイル190がスロット172内に挿入されている。そして、各第1U相コイル190は、互い独立となっている。その一方で、各第1U相コイル190は、複数の素線200によって構成されている。
ここで、第1U相コイル190のうち、スロット172内に位置する部分においても、素線200は、ステータコア141の周方向に複数配列すると共に、ステータコア141の径方向に複数配列している。
このため、第1U相コイル190の外周面のうち、ステータコア141の周方向に配列する側面から磁束が入り込んだり、ステータコア141の径方向に配列する側面から磁束が入り込んだとしても、大きな渦電流が生じることを抑制することができる。なお、素線200の周方向の幅は、スロット172の周方向の幅の半分の幅よりも小さく、素線200をスロット172の周方向に複数配列させることができる。
図9に示すように、スロット172内においては、ステータコア141の周方向に配列する素線200の数は、ステータコア141の径方向に配列する素線200の数よりも少ない。このため、第1U相コイル190の周方向の幅が小さく抑えられており、ステータコア141の円周長さの低減が図られている。
その一方で、図8に示すように、第1U相コイル190のうち、端面142上に位置する部分では、ステータコア141の径方向に配列する素線200の数は、回転中心軸線O方向に配列する素線200の数よりも少ない。このため、端面142上においては、第1U相コイル190の径方向の幅が小さく抑えられており、各第1U相コイル190は、径方向に間隔を空けて配列している。そして、各第1U相コイル190間には、第1V相コイル192等が配置されている。
このように、第1U相コイル190のうち、スロット172内に位置する部分において、素線200が径方向の配列する数は、端面142上において、素線200が径方向に配列する数よりも多くなっている。
これにより、ステータコア141の周方向の長さを低減することができると共に、ステータコア141の端面上において、各相コイル線をステータコア141の径方向に配列させることができ、ステータコア141の小型化が図られている。
ここで、上記図8および図9に示す例においては、各素線200として断面形状が方形形状の素線200が採用されているが、より好ましくは、図10および図11に示すように、断面形状が六角形形状の素線を採用する。
この図10および図11に示すように、断面形状が六角形状の素線200を採用した場合には、素線200間の隙間を低減することができ、コイル線の占積率の向上を図ることができる。この図10および図11に示す素線は、断面形状が円形の素線をプレスすることで形成することができる。ここで、断面形状が方形形状の銅線を製造するのは困難である一方で、断面形状が円形形状の銅線を製造するのは比較的容易であるため、素線200の導線230として銅線を採用する場合には、安価で素線200を製造することができる。
図12は、第1U相コイル190および第2U相コイル191の一部を示す斜視図である。なお、この図11は、ステータに装着された状態の第1U相コイル190および第2U相コイル191の一部を示す。
図12および上記図4に示すように、第1U相コイル190は、端面142上に配置され、周方向に延びる引出部190aと、引出部190aの一端に接続され、スロット内に挿入される挿入部190bと、引出部190aの他端に接続され、スロット内に挿入される挿入部190dと、挿入部190bに接続され、端面143上に配置された引出部190cとを備えている。なお、ステータコア141の端面142と、ステータコア141の端面143とは、回転中心軸線O方向に配列している。
同様に、第2U相コイル191は、端面142上に配置され、周方向に延びる引出部191aと、引出部191aの一端に接続され、スロット内に挿入された挿入部191bと、この挿入部190bに接続され、端面143上に配置された引出部191cと、引出部191aの他端に接続された挿入部191dとを備えている。
図13は、第1U相コイル190の一部を詳細に示す斜視図である。この図13に示すように、第1U相コイル190は、引出部190aと挿入部190dと接続する湾曲部190fと、引出部190aと挿入部190bとを接続する湾曲部190eとを備えている。
ここで、湾曲部190eでは、引出部190a側から挿入部190bに向うにしたがって湾曲している。さらに、湾曲部190eでは、引出部190a側から挿入部190bに向うにしたがって、径方向に配列する素線200の数が多くなる。
なお、湾曲部190fにおいても、引出部190a側から挿入部190d側に向うにしたがって、同様に素線200の配列状態および延在方向が変化する。
ここで、湾曲部190eおよび湾曲部190fにおいては、素線200は、引出部拘束部210および挿入部拘束部211によって被覆されておらず、外方に露出している。
このため、たとえば、各相コイルのコイルエンド部を油冷する場合には、この湾曲部190eおよび湾曲部190fは良好に冷却される。
なお、上記図12および図13を用いて、第1U相コイル190の構成について説明したが、他の第2U相コイル191、第1V相コイル192、第2V相コイル193、第1W相コイル194、および第2W相コイル195も、第1U相コイル190と同様に構成されている。
ここで、上記図5および図12において、第1U相コイル190の引出部190aと、第2U相コイル191の引出部191aとは、回転中心軸線O方向から平面視すると、互いに重なり合っている。
このため、図5に示すように、回転中心軸線O方向から端面142を平面視した際に、第1U相コイル190と、第2U相コイル191とが占める面積を小さく抑えることができる。なお、端面142側では、第1U相コイル190は、第2U相コイル191の内側に配置されている。
そして、図7および図12に示すように、回転中心軸線O方向から端面143を平面視すると、第1U相コイル190の引出部190cと、第2U相コイル191の引出部191cとが回転中心軸線O方向に重なりあっている。そして、端面143側では、第1U相コイル190が第2U相コイル191の内側に位置しており、第1U相コイル190は、第2U相コイル191によって覆われている。これにより、端面143側においても、第1U相コイル190および第2U相コイル191の設置面積が小さく抑えられている。
すなわち、U相コイル181は、端面142および端面143のいずれにおいても、設置面積の低減が図られている。
図5および図7に示すように、第1U相コイル190および第2U相コイル191は、ステータコア141の径方向に複数配列している。その一方で、端面142および端面143上においては、U相コイル181は、ステータコア141の径方向に間隔をあけて設けられており、V相コイル182が、U相コイル181間に配置されている。ここで、V相コイル182およびW相コイル183も、U相コイル181と同様に構成されており、ステータコア141の径方向に間隔をあけて複数配列している。
そして、V相コイル182は、W相コイル183間をとおるように配置され、W相コイル183は、U相コイル181間を通るように配置されている。
ここで、上記の図4および図5に示すように、スロット172aには、第1U相コイル190の挿入部190bが挿入され、スロット172aから周方向Pに間隔を空けて位置するスロット172b内に第1V相コイル192の挿入部192bが挿入されている。
そして、スロット172bに対してスロット172aと反対側に位置するスロット172cに第1U相コイル190の挿入部190dが挿入されている。さらに、スロット172cに対してスロット172bと反対側に位置するスロット172bに第1V相コイル192の挿入部192dが挿入されている。
そして、第1U相コイル190の引出部190aは、周方向Pに延び、第1V相コイル192の引出部192aに向けて延びている。ここで、図5に示すように、引出部190aは、その中央部で、この引出部190aに対して周方向Pに隣り合う引出部192aの径方向外方側を通るように屈曲している。その後、引出部190aは、引出部192a間を周方向Pに延びている。
このように、引出部190aが屈曲し、引出部192aの径方向外方側をとおり、引出部190aと引出部192aとを回転中心軸線O方向に配列させないことで、ステータ140の回転中心軸線O方向の高さを低く抑えられている。なお、同様に、引出部192aは、引出部194aの背面側をとおり、引出部194aは引出部190aの背面側を通るように形成されている。
なお、本実施の形態に係るステータ140においては、各引出部は、周方向Pに隣り合う他の引出部の径方向外方側を通るように引き回されているが、径方向内方側を通るように引き回されてもよい。
なお、本実施の形態に係るステータ140各相コイルは、図14に示すように波巻とされているが、各相コイルを分布巻および集中巻としてもよい。
上記のように構成された各相コイルおよびステータ140の製造方法について、図15から図20を用いて説明する。
図15は、コイルの製造工程の第1工程を示す斜視図である。この図15に示すように、複数の素線300を準備する。図16は、各素線の断面を示す断面図である。この図15および図16に示すように、断面形状が方形形状の複数の素線300を準備する。
素線300は、断面方形形状の導線230と、この導線230の周面に被覆された絶縁皮膜231と、絶縁皮膜231の外周面に被覆された自己融着層213とを備えている。
そして、寄り合わせられた素線300の束に、素線300の束の長手方向に間隔をあけてプレス加工を施す。そして、このプレス加工が施された部分を加熱し、当該部分の自己融着層213を融解させる。
その後、素線300の束を冷却することで、一旦融解した自己融着層213が固まり、引出部拘束部210および挿入部拘束部211が形成され、図17に示すコイル線500を得ることができる。
この図17に示すコイル線500においては、複数の素線200が引出部拘束部210および挿入部拘束部211によって拘束されており、各引出部拘束部210および挿入部拘束部211は、コイル線500の延在方向に間隔をあけて形成されている。そして、各素線200のうち、挿入部拘束部211および引出部拘束部210間に位置する部分は外方に露出している。なお、各引出部拘束部210内において、奥行き方向(紙面の前面側から背面側に向う方向)の素線200の配列数は、各および挿入部拘束部211内において、奥行き方向の素線200の配列数とより少なくなっている。
そして、コイル線500に曲げ加工などを施して、上記の第1U相コイル190、第2U相コイル191、第1V相コイル192、第2V相コイル193、第1W相コイル194、および第2W相コイル195を製作し、製作された各コイルを組み合わせることで、コイルユニット350を製作する。
ここで、たとえば、コイル線500から第1U相コイル190を製作する際には、露出部196を屈曲させて、湾曲部190e,190fを形成する。これにより、第1U相コイル190を製作することができる。
ここで、露出部196を屈曲させる際には、露出部196に位置する各素線200が曲げられる。素線200の幅は、スロット172の幅の半分以下とされているので、素線200の曲げ部分の外径側の変形量が小さく抑えられている。このため、曲げ部分において、自己融着層213が引き伸ばされる長さは小さく抑えられている。このため、素線200が曲げられたとしても、当該曲げ部分の外径側の自己融着層213に割れ等が生じ難く、素線200の絶縁性能の低下が抑制されている。
引出部拘束部210におけるコイル線500の幅を幅tとし、コイル線500の厚さを厚さwとする。
そして、幅t、厚さwの一般の平角線を用いて、第1U相コイル190を作製した場合と、本実施の形態に係るコイル線500を用いて、第1U相コイル190を製作した場合とを比較する。
一般の平角線から第1U相コイル190を製作する際には、平角線のうち、湾曲部190e,190fとなる部分を捻ると共に、湾曲させる必要がある。平角線を湾曲させる際には、外径側が引き伸ばされる。
ここで、コイル線500を形成する素線200の幅は、平角線の幅tよりも遥かに小さいものとなっている。このため、コイル線500の露出部196を湾曲させる際に、各素線200の絶縁皮膜231が引き伸ばされる引き伸ばし量は、平角線を湾曲させる際に、平角線の表面に形成された絶縁皮膜が引き伸ばされる引き伸ばし量よりも遥かに小さくなっている。
このため、本実施の形態に係るコイル線500によれば、一般的な平角線と比較すると、遥かに絶縁性を確保し易くなっている。
特に、回転電機100の駆動時のおける分担電圧が大きい湾曲部190e,190fの絶縁性を確保することができ、回転電機100自体の信頼性の向上を図ることができる。
そして、図18に示すように、製作されたコイルユニット350の外周面側から分割ステータコア141aを挿入し、ステータ140を製作する。
このようにして構成されたステータ140においては、U相コイル181、V相コイル182、W相コイル183の湾曲部は、複数の素線200が外方に露出している。特に、この湾曲部においては、各素線200は拘束されていない。このため、湾曲部の表面積は大きく、当該部分にオイル等の冷媒を吹き付けることで、各コイルを効率よく冷却することができる。
また、各コイルのコイルエンドを樹脂でモールドする場合でも、各素線200間に樹脂が入り込み、樹脂とコイルとの接触面積を向上させることができる。これにより、コイルからの熱をモールド樹脂に良好に伝達することができ、各コイルの温度上昇を抑制することができる。
ここで、上記図15〜図18に示す例においては、断面形状が方形形状の素線300を用いてコイルを製作する場合について説明したが、採用される素線300としては、断面方形形状のものに限られない。
ここで、図19および図20を用いて、コイル線の製造方法の他の例について説明する。図19に示すように、略同一方向に延びる複数の素線300を準備する。図20は、上記図19に示された複数の素線300の断面図である。この図20に示す例においては、素線300は、断面円形形状とされている。
具体的には、この素線300は、断面円形形状の導線230と、この導線230の周面を被覆する絶縁皮膜231と、この絶縁皮膜231上に形成された自己融着層213とを備えている。
このような断面円形形状の素線300を複数より合わせた状態で、素線300の束の長手方向に間隔をあけて、プレス加工を施す。さらに、プレス加工を施した部分を加熱して、拘束部201を形成する。このように、断面円形形状の素線300にプレス加工を施すことで、素線は、図10に示すような断面六角形状となる。
断面円形形状の銅線を製作する場合の方が、断面方形形状の銅線を製作する場合よりも簡易に製作することができることができる。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。さらに、上記数値などは、例示であり、上記数値および範囲にかぎられない。
本発明は、コイル線、ステータおよび回転電機に適用することができ、特に、複数の素線から形成されたコイル線、このコイル線を備えたステータおよび回転電機に好適である。
100 回転電機、110 回転シャフト、120 ロータ、122 エンドプレート、123 永久磁石、140 ステータ、141 ステータコア、142,143 端面、170 ヨーク部、171 ステータティース、172 スロット。

Claims (11)

  1. 回転電機のステータコアに設けられるコイル線であって、
    互いに拘束された複数の素線によって形成された、コイル線。
  2. 前記素線同士を拘束する複数の拘束部をさらに備え、該拘束部は、前記素線の延在方向に間隔をあけて設けられた、コイル線。
  3. 前記素線の延在方向に対して垂直な方向における前記素線の断面形状は六角形形状とされた、請求項1または請求項2に記載のコイル線。
  4. 複数のスロットが形成された環状の前記ステータコアと、
    請求項1から請求項3のいずれかに記載されたコイル線とを備えた、ステータ。
  5. 前記コイル線は、前記スロットから前記ステータコアの中心線方向に配列する端面上に引き出され、
    前記スロット内における前記素線の径方向の配列数と、前記ステータコアの端面上における前記素線の径方向の配列数とを異ならせた、請求項4に記載のステータ。
  6. 前記コイル線は、前記スロット内に前記ステータコアの径方向に複数配列された、請求項5に記載のステータ。
  7. 前記素線は、前記スロット内において、前記ステータコアの径方向に複数配列され、前記スロット内において、前記コイル線の前記ステータコアの径方向の長さは、前記ステータコアの周方向の長さよりも長くなるように形成され、
    前記素線は、前記ステータコアの端面上において、前記ステータコアの中心軸線方向に複数配列され、前記ステータコアの端面上において、前記コイル線の前記ステータコアの中心軸線方向の長さは、前記ステータコアの径方向の長さよりも長く形成された、請求項5または請求項6に記載のステータ。
  8. 前記スロット内において、前記素線の前記ステータコアの周方向の幅は、前記スロットの周方向の幅の半分よりも小さくなるように形成された、請求項4から請求項7のいずれかに記載のステータ。
  9. 前記コイル線は、前記スロット内に挿入された挿入部と、前記ステータコアの前記端面上に引き出された引出部と、前記挿入部と前記引出部とを接続する接続部とを含み、
    前記コイル線は、前記挿入部に位置する前記素線同士を拘束する挿入部用拘束部と、前記引出部に位置する前記素線同士を拘束する引出部用拘束部とを含み、
    前記接続部は、前記挿入部用拘束部および前記引出部拘束部から外方に露出させられた、請求項4から請求項8のいずれかに記載のステータ。
  10. 環状に形成され、内周面に複数のスロットが形成されたステータコアと、
    前記スロット内に挿入されたコイル線と、
    を備え、
    前記コイル線は、第1位相の電力が供給される第1コイル線と、前記第2位相の電力が供給される第2コイル線とを含み、
    前記スロットは、前記第1コイル線が挿入される第1スロットと、該第1スロットに対して周方向に間隔を空けて形成され、前記第2コイル線が挿入される第2スロットと、前記第2スロットに対して前記第1スロットと反対側に位置する第3スロットと、前記第3スロットに対して、前記第2スロットと反対側に位置する第4スロットとを含み、
    前記第1コイルは、前記第1スロットに挿入される第1挿入部と、前記ステータコアの端面に引き出された第1引出部と、前記第3スロットに挿入された第3挿入部とを含み、
    前記第2コイルは、前記第2スロットに挿入された第2挿入部と、前記ステータコアの前記端面に引き出された第2引出部と、前記第4スロットに挿入された第4挿入部とを含み、
    前記第1引出部は、前記ステータコアの周方向に延び、前記第2引出部より前記ステータコアの径方向に隣り合う位置を通るように設けられた、ステータ。
  11. 請求項4から請求項10のいずれかに記載されたステータを備えた回転電機。
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