JP2010238964A - パワーモジュール用基板、パワーモジュール用基板の製造方法及びパワーモジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム又はアルミニウム合金の板材からなる金属層13と、この金属層13の一方の面に配設されたセラミックス基板と、このセラミックス基板の上に配設され、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる回路層と、を備え、金属層13は、セラミックス基板よりも面積が大きく設定されており、金属層13には、前記一方の面側部分において、アルミニウムの母相中に第2相が分散した硬化層31と、アルミニウムの単一相からなる軟質層32と、が設けられていることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
この金属板は回路層として形成され、その金属板の上には、はんだ材を介してパワー素子の半導体チップが搭載される。
ここで、セラミックス基板は、回路層と金属層との間の絶縁性を確保するとともに、パワーモジュール用基板全体の剛性を確保する役割を有している。
また、アルミニウムの単一相からなる軟質層を有しているので、熱サイクル負荷時や接合時において発生する熱応力をこの軟質層によって吸収することができる。
この場合、金属層の上に、複数のセラミックス基板が配設され、このセラミックス基板の上に回路層が形成されていることから、セラミックス基板自体が分割されて比較的面積が小さくすることができ、セラミックス基板の反りや割れを抑えることが可能となる。よって、複数の回路層が形成された大型のパワーモジュール用基板を構成することが可能となる。
この場合、金属層が純度99.9%以上のアルミニウムで構成されていることから、金属層の変形抵抗が小さく、アルミニウムとセラミックス基板との熱膨張係数の差に起因する熱応力(ひずみ)を金属層で効率的に吸収することが可能となり、セラミックス基板の反りや割れを確実に抑えることができる。
なお、純度99.9%以上のアルミニウムによって金属層を構成した場合には剛性が低くなるが、金属層の一方の面側に硬化層を形成することによって、金属層全体の剛性を確保することができる。
この場合、前記金属層の面積が、4000mm2以上とされているので、例えば複数のセラミックス基板を金属層上に配設することが可能となる。また、前記金属層の面積が、10000mm2以下とされているので、硬化層によって金属層の剛性を確保することができる。
この場合、前記セラミックス基板の面積が、100mm2以上とされているので、セラミックス基板の上に回路層を形成することができる。また、前記セラミックス基板の面積が、2000mm2以下とされているので、セラミックス基板の反りや割れを確実に抑制することができる。
この場合、金属層が冷却器の天板部としても役割を有することから、金属層の一方の面に配設されたセラミックス基板及び回路層を効率的に冷却することが可能となる。よって、回路層上に配設される電子部品から発生する熱を冷却器によって効率的に冷却することができ、電子部品が高集積、高密度に配設されたパワーモジュールユニットに適用することができる。
この構成のパワーモジュールによれば、高集積、高密度のパワーモジュールユニットを構成することが可能となる。
このパワーモジュール1は、回路層12が配設されたパワーモジュール用基板10と、回路層12の表面にはんだ層2を介して接合された半導体チップ3と、を備えている。ここで、はんだ層2は、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材とされている。なお、本実施形態では、回路層12とはんだ層2との間にNiメッキ層(図示なし)が設けられている。
また、セラミックス基板11の面積(一方の面の面積)は、100mm2以上2000mm2以下とされている。
硬化層31においては、図4に示すように、アルミニウムの母相35中に第2相36が分散されている。本実施形態では、ろう材箔25に含有されたSiが濃縮してなる第2相36が分散されている。
図5に示すように、純度99.9%以上のアルミニウム板23の一方の面の上に、厚さ10μm以上100μm以下(本実施形態では50μm)のAl−Si系のろう材箔25を、アルミニウム板23の一方の面の全面を覆うように配置する。ここで、本実施形態では、Al―7.5wt%Si合金からなるろう材箔25を用いている。
そして、このろう材箔25が配置されたアルミニウム板23の上に、2つのセラミックス基板11が積層され、このセラミックス基板11の一方の面に、回路層12となる金属板22が、5μm以上50μm以下(本実施形態では14μm)のろう材箔24を介して積層され、積層体20が形成される(積層工程)。
そして、カーボン板51、51を互いに近接する方向に押圧することにより、積層体20をその積層方向に加圧(圧力0.5〜5kgf/cm2)する。
この溶融工程によって、ろう材箔24、25が溶融し、アルミニウム板23とセラミックス基板11との界面、セラミックス基板11と金属板22との界面に、それぞれ溶融アルミニウム層が形成されることになる。また、図6に示すように、アルミニウム板23の一方の面全体に溶融アルミニウム層28が形成される。
ここで、金属層13の一方の面上に配設されたろう材箔25が溶融・凝固することにより、金属層13の一方の面近傍には、ろう材箔25に含まれたSiの濃度が高い部分が生じることになり、このSi濃度が高い部分において、Si元素が濃縮した第2相36が晶出し、硬化層31が形成されることになる。なお、硬化層31における第2相36のサイズ、分布は、ろう材箔25におけるSiの含有量、溶融工程における加熱温度、凝固工程における冷却速度によって調整されることになる。
さらに、セラミックス基板11の面積が、100mm2以上2000mm2以下とされているので、セラミックス基板11の上に回路層12を確実に形成することができるとともに、セラミックス基板11に負荷される熱応力を抑制でき、反りや割れを確実に抑制することができる。
この第2の実施形態であるパワーモジュール用基板110においては、図7に示すように、金属層113の他方の面側に、冷却器用部材である放熱フィン162が設けられており、金属層113が冷却器160の天板部161として利用されているのである。
また、図8に示すように、硬化層131においては、アルミニウムの母相135中に、第2相としてMg2Siからなる析出物粒子136が分散されている。
図9に示すように、純度99.9%以上のアルミニウム板123の一方の面の上に、厚さ5μm以上50μm以下(本実施形態では25μm)のAl−Si−Mg系のろう材箔125を、アルミニウム板123の一方の面の全面を覆うように配置する。
さらに、セラミックス基板111が積層されない部分に、ろう材箔125の上にさらにろう材箔126を重ねて配置する。このろう材箔125とろう材箔126との合計厚さは100μm以下に設定されており、本実施形態では、50μmとされている。このようにして積層体120が形成される(積層工程)。
そして、カーボン板51、51を互いに近接する方向に押圧することにより、積層体120をその積層方向に加圧(圧力0.5〜5kgf/cm2)する。
この溶融工程によって、ろう材箔124、125が溶融し、アルミニウム板123とセラミックス基板111との界面、セラミックス基板111と金属板122との界面に、それぞれ溶融アルミニウム層が形成されることになる。また、アルミニウム板123の一方の面においても溶融アルミニウム層が形成される。
ここで、金属層113の一方の面上に配設されたろう材箔125が溶融・凝固することにより、金属層113の一方の面近傍には、ろう材箔125に含まれたSi、Mgの濃度が高い部分が生じることになる。
ここで、MgとSiとが反応し、第2相として金属間化合物Mg2Siを形成することになる。このMg2Siは、アルミニウムの母相135中に固溶することなく、析出物粒子136として分散され、硬化層131が形成されることになる。なお、硬化層131における析出物粒子136(第2相)のサイズ、分布は、ろう材箔125におけるSi、Mgの含有量、溶融工程における加熱温度、凝固工程における冷却速度によって調整されることになる。
このようにして、ひとつの金属層113(面積4000mm2以上10000mm2以下)の上に、複数(2つ)のセラミックス基板111が配設され、このセラミックス基板111のそれぞれに回路層112が形成されたパワーモジュール用基板110が製造される。
例えば、硬化層を構成する第2相を、Si濃縮相又はMg2Siからなる析出物粒子として説明したが、これに限定されることはない。
さらに、セラミックス基板の厚さ、材質、回路層の厚さ、材質については、本実施形態に限定されることはなく、適宜設計変更してもよい。
2 半導体チップ(電子部品)
10、110 パワーモジュール用基板
11、111 セラミックス基板
12、112 回路層
13、113 金属層
23、123 アルミニウム板
25、125 ろう材箔
126 ろう材箔
31、131 硬化層
32 軟質層
35、135 母相
36 第2相
136 析出物粒子(第2相)
160 冷却器
161 天板部
162 放熱フィン
Claims (8)
- アルミニウム又はアルミニウム合金の板材からなる金属層と、この金属層の一方の面に配設されたセラミックス基板と、このセラミックス基板の上に配設され、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる回路層と、を備え、
前記金属層は、前記セラミックス基板よりも面積が大きく設定されており、
前記金属層には、前記一方の面側部分において、アルミニウムの母相中に第2相が分散されてなる硬化層と、アルミニウムの単一相からなる軟質層と、が設けられていることを特徴とするパワーモジュール用基板。 - 前記セラミックス基板が、前記金属層の一方の面に複数配設され、これら複数のセラミックス基板に回路層がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール用基板。
- 前記金属層は、前記セラミックス基板に純度99.9%以上のアルミニウムの板材を接合することで構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパワーモジュール用基板。
- 前記金属層の面積が、4000mm2以上10000mm2以下とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板。
- 前記セラミックス基板の面積が、100mm2以上2000mm2以下とされていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板。
- 前記金属層が、冷却器の天板部とされることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板。
- 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板を製造するパワーモジュール用基板の製造方法であって、
前記金属層となるアルミニウム板の一方の面の全面に、前記第2相を構成する元素を含有したアルミ合金からなるろう材を配設し、このろう材の上に前記セラミックス基板を積層し、このセラミックス基板上に回路層となる金属板を積層して、積層体を形成する積層工程と、
前記積層体を積層方向に加圧するとともに加熱し、前記アルミニウム板の一方の面に溶融アルミニウム層を形成する溶融工程と、
冷却によって前記溶融アルミニウム層を凝固させる凝固工程と、を有し、
前記溶融工程及び前記凝固工程により、前記金属層の一方の面側部分に前記第2相が分散した硬化層を形成することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。 - 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のパワーモジュール用基板と、前記回路層上に搭載される電子部品と、を備えたことを特徴とするパワーモジュール。
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