JP2010238920A - リアクトル - Google Patents

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Katsushi Kozuka
勝司 狐塚
Shinichi Okamoto
真一 岡本
Kazuo Kato
和生 加藤
Koji Aoki
孝司 青木
Koji Okamoto
幸司 岡本
Akio Sugiura
昭夫 杉浦
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Abstract

【課題】磁気特性を維持しながら、絶縁皮膜及びコアにおけるクラックの発生、絶縁皮膜とコアとの剥離を抑制することができる、耐久性に優れたリアクトルを提供すること。
【解決手段】リアクトル1は、導体線111を巻回してなると共に通電により磁束を発生するコイル11と、コイル11の内側及び外側に配設され、電気絶縁性の樹脂中に磁性粉末を分散させた磁性粉末混合樹脂からなるコア13とを備えている。コイル11の表面110は、電気絶縁性の樹脂からなる絶縁皮膜12により覆われている。絶縁皮膜12の弾性率をA、コア13の弾性率をBとした場合、弾性率比A/Bは、0.000005〜0.1である。
【選択図】図1

Description

本発明は、電力変換装置等に用いられるリアクトルに関する。
従来から、導体線を巻回してなると共に通電により磁束を発生するコイルと、該コイルの内側及び外側に配設され、電気絶縁性の樹脂中に磁性粉末を分散させた磁性粉末混合樹脂からなるコアとを備えた、電力変換装置等に用いられるリアクトルが知られている。
このようなリアクトルとしては、高電圧が作用するコイルの絶縁保護のために、コイルの表面を絶縁皮膜で覆っているものがある(特許文献1参照)。
特開2006−4957号公報
しかしながら、従来のリアクトルでは、コイルの表面を覆う絶縁皮膜として、絶縁性、膜厚管理等の観点からエポキシ樹脂等の弾性率の高い樹脂を用いていた。また、コイルの内側及び外側に配設されるコアにおいても、耐熱性の確保、磁性粉末の磁歪による微振動低減のために、エポキシ、アクリル等の弾性率の高い樹脂を用いていた。また、コア全体としても、このような弾性率の高い樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなるため、弾性率の高いものとなっていた。
そのため、コイルへの通電により、コイルが発熱して熱膨張及び熱収縮を繰り返すと、コイルの表面を覆う絶縁皮膜やコイルの周囲に配設されるコアに大きな応力が繰り返し発生し、絶縁皮膜やコアにクラックが発生することがあった。これにより、クラックが磁束を分断し、リアクトル内において十分な磁束を形成することができず、所望の磁気特性を得ることができない場合があった。
また、温度変化の大きい環境下で使用した場合には、その温度変化(冷熱サイクル)によって各部に生じる熱膨張及び熱収縮の度合いが異なることにより応力が発生する。この応力によって絶縁皮膜とコアとが剥離し、リアクトルに不具合が生じることがあった。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、磁気特性を維持しながら、絶縁皮膜及びコアにおけるクラックの発生、絶縁皮膜とコアとの剥離を抑制することができる、耐久性に優れたリアクトルを提供しようとするものである。
本発明は、導体線を巻回してなると共に通電により磁束を発生するコイルと、該コイルの内側及び外側に配設され、電気絶縁性の樹脂中に磁性粉末を分散させた磁性粉末混合樹脂からなるコアとを備えたリアクトルであって、
上記コイルの表面は、電気絶縁性の樹脂からなる絶縁皮膜により覆われており、
該絶縁皮膜の弾性率をA、上記コアの弾性率をBとした場合、弾性率比A/Bは、0.000005〜0.1であることを特徴とするリアクトルにある(請求項1)。
本発明のリアクトルにおいて、上記コイルの表面は、上記絶縁皮膜により覆われている。そして、該絶縁皮膜の弾性率Aと上記コアの弾性率Bとの比である弾性率比A/Bは、0.000005〜0.1である。
すなわち、本発明では、上記絶縁皮膜の弾性率を上記コアよりもある程度小さくし、上記絶縁皮膜に適度な柔軟性を持たせている。
そのため、上記コイルへの通電によって該コイルが発熱し、熱膨張及び熱収縮を繰り返して応力が発生しても、また温度変化の大きい環境下で使用し、その温度変化によって各部に生じる熱膨張及び熱収縮の度合いが異なることにより応力が発生しても、その応力を上記絶縁皮膜によって緩和・吸収することができる。これにより、上記絶縁皮膜及び上記コアに作用する応力を低減することができ、上記絶縁皮膜及び上記コアにおけるクラックの発生を抑制すると共に、上記絶縁皮膜と上記コアとの剥離を抑制することができる。その結果、耐久性を向上させることができる。
また、本発明は、上記弾性率比を上記特定の範囲に調整することにより、上記の効果をより有効に発揮できることを見い出したことにも大きな特徴がある。つまり、上記絶縁皮膜の弾性率と上記コアの弾性率とをある一定の範囲において適正化することで、上記コイルに発生した応力が上記コアに伝わる前に、その間に位置する上記絶縁皮膜によって効果的に緩和・吸収することができる。これにより、上記絶縁皮膜及び上記コアに作用する応力を低減する効果、クラック・剥離の発生を抑制する効果を十分に得ることができる。
また、上記リアクトルには、一定の磁気特性が要求され、これには上記コアを構成する上記磁性粉末混合樹脂中の磁性粉末が大きく影響する。そのため、必要量の磁性粉末を添加し、磁気特性を十分に発揮することができる上記コアとしながら、上記絶縁皮膜と上記コアとの上記弾性率比を上記特定の範囲とすれば、上記リアクトルとして要求される磁気特性を十分に確保しながら、上記の効果を容易に得ることができる。
このように、本発明によれば、磁気特性を維持しながら、絶縁皮膜及びコアにおけるクラックの発生、絶縁皮膜とコアとの剥離を抑制することができる、耐久性に優れたリアクトルを提供することができる。
実施例1における、リアクトルの構造を示す縦断面図。 実施例1における、リアクトルの構造を示す横断面図。 実施例1における、(a)〜(c)リアクトルを製造する工程を示す説明図。
本発明において、上記リアクトルは、例えば、DC−DCコンバータ、インバータ等の電力変換装置に用いられる。また、上記リアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車等に搭載される車両用のリアクトルとして用いることができる。
上記コイルを構成する上記導体線としては、例えば、銅、アルミニウム、金、銀等を用いることができる。
上記コアを構成する上記磁性粉末混合樹脂は、上述のとおり、電気絶縁性の樹脂中に磁性粉末を分散させてなる。
上記樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂等を用いることができる。
上記磁性粉末としては、例えば、フェライト粉末、鉄粉、珪素合金鉄粉等を用いることができる。
また、上記弾性率比A/Bは、上述のごとく、0.000005〜0.1である。
上記弾性率比A/Bが0.000005未満の場合には、上記コアの注型時において、該コアの重量によって上記コイル表面の上記絶縁皮膜が変形し、膜厚を十分に確保することができず、最終的に絶縁不良となるおそれがある。一方、0.1を超える場合には、上記コイルの発熱によって生じる応力を上記絶縁皮膜によって十分に緩和・吸収することができず、上記絶縁皮膜及び上記コアにクラックが生じ、最終的に絶縁不良となるおそれがある。
したがって、上記弾性率比A/Bは、0.000007〜0.01であることがより好ましい(請求項2)。さらに、0.00001〜0.005であることがより一層好ましい。
また、上記絶縁皮膜の弾性率Aは、0.5〜800MPaであることが好ましい(請求項3)。
上記絶縁皮膜の弾性率Aが0.5MPa未満の場合には、上記絶縁皮膜の強度を十分に確保することができず、変形等が生じて最終的に絶縁不良となるおそれがある。一方、800MPaを超える場合には、上記コイルの発熱によって生じる応力を上記絶縁皮膜によって十分に緩和・吸収することができず、上記絶縁皮膜及び上記コアにクラックが生じ、最終的に絶縁不良となるおそれがある。
また、上記コアの弾性率Bは、10000MPa以上であることが好ましい(請求項4)。
上記コアの弾性率Bが10000MPa未満の場合には、上記コイルへの通電により、上記コア中の上記磁性粉末の磁歪による微振動及びこれに伴う上記リアクトル全体の振動を十分に抑制することができないおそれがある。また、上記コアによって上記コイルを十分に保持(ホールド)することができないおそれがある。
一方、上記コアの弾性率Bが高くなると、該コア中の上記磁性粉末の含有量が増大し、磁気特性が低下するおそれがある。また、上記コアの注型性が悪化するおそれがある。したがって、上記コアの弾性率Bは、25000MPa以下であることが好ましい。
また、上記コアにおける上記樹脂の軟化点又はガラス転移点は、70℃以上であることが好ましい(請求項5)。
上記コアの軟化点又はガラス転移点が70℃未満の場合には、上記コアの耐熱性を十分に確保することができないおそれがある。そのため、上記コア中の上記樹脂が熱によって軟化し、該コア中の上記磁性粉末の磁歪による微振動及びこれに伴う上記リアクトル全体の振動を十分に抑制することができないおそれがある。また、上記コアによって上記コイルを十分に保持(ホールド)することができないおそれがある。
また、上記コアにおける上記磁性粉末の含有率は、40体積%以上であることが好ましい(請求項6)。
上記コアにおける上記磁性粉末の含有率が40体積%未満の場合には、上記リアクトルの磁気特性を十分に確保することができないおそれがある。一方、上記磁性粉末の含有率が高くなると、上記コアを形成する際に、上記磁性粉末混合樹脂の粘度が上昇し、注型性が悪化するおそれがある。また、樹脂分の減少による硬化物(コア)の脆性化が生じるおそれがある。
したがって、上記コアにおける上記磁性粉末の含有率は、磁気特性を確保すると共に注型性の悪化及び硬化物の脆性化を防止するため、50〜70体積%であることがより好ましい(請求項7)。
また、上記絶縁皮膜は、エポキシ、ポリエステル、シリコーン又はウレタンのいずれかの樹脂からなることが好ましい(請求項8)。
この場合には、上記絶縁皮膜によって上記コイル表面の絶縁保護を十分に図ることができる。
また、上記絶縁皮膜の厚みは、300〜700μmであることが好ましい。
上記絶縁皮膜の厚みが300μm未満である場合には、絶縁性を十分に確保することができないおそれがある。一方、700μmを超える場合には、均一な膜厚管理が困難となるおそれがある。
また、上記絶縁皮膜を構成する樹脂と上記コアにおける樹脂とは、上記本発明の効果を得ることができる範囲で多種多様に組み合わせることができる。
また、例えば、上記絶縁皮膜としてシリコーン樹脂を用いた場合、上記コアとの密着性が不足する場合がある。このような場合には、上記絶縁皮膜の表面にプライマーを塗布しておき、上記コアとの密着性を十分に確保しておくことが好ましい。上記絶縁皮膜と上記コアとの密着性が不足すると、温度変化の大きい環境下で使用した際に、その温度変化(冷熱サイクル)によって各部に生じる熱膨張及び熱収縮の度合いが異なることにより応力が発生し、この応力によって上記絶縁皮膜と上記コアとが剥離するおそれがあるからである。
なお、上記プライマーとしては、アミノプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等に代表されるシランカップリング剤、又はそれらの縮合物を酢酸エチル、メチルエチルケトン等の溶剤に希釈した溶液で、マトリックス形成樹脂としてポリウレタン等の熱可塑性樹脂が混合されたものが挙げられる。具体的には、信越化学工業製のプライマーNo.4、プライマーU、プライマーD2、プライマーT、プライマーC等を用いることができる。
(実施例1)
本発明の実施例にかかるリアクトルについて、図を用いて説明する。
本例のリアクトル1は、図1、図2に示すごとく、導体線111を巻回してなると共に通電により磁束を発生するコイル11と、コイル11の内側及び外側に配設され、電気絶縁性の樹脂(コア用樹脂)中に磁性粉末を分散させた磁性粉末混合樹脂からなるコア13とを備えている。
コイル11の表面110は、電気絶縁性の樹脂(絶縁皮膜用樹脂)からなる絶縁皮膜12により覆われている。そして、絶縁皮膜12の弾性率をA、コア13の弾性率をBとした場合、弾性率比A/Bは、0.000005〜0.1である。
以下、これを詳説する。
本例のリアクトル1は、例えば、DC−DCコンバータ、インバータ等の電気変換装置に用いられるものである。
図1、図2に示すごとく、リアクトル1は、放熱性に優れたアルミニウムからなる収納ケース14内に、コイル11及びコア13を収納して構成されている。
同図に示すごとく、収納ケース14は、円板状の底面部141と、その周縁部から立設された筒状の側面部142とを有している。また、収納ケース14には、底面部141のほぼ中央から収納ケース14の開口部143に向かって突出した放熱柱144が配設されている。この放熱柱144は、コイル11の内側の熱を外部へと放出するためのものである。
同図に示すごとく、コイル11は、銅からなる平角状の導体線111を巻回して円筒状に形成されており、収納ケース14内の放熱柱143の周囲を取り囲むように配設されている。また、円筒状のコイル11の表面110全体は、絶縁皮膜12により被覆されている。
本例では、絶縁皮膜12としては、ウレタン樹脂を用いている。また、絶縁皮膜12の厚みは、700μmである。また、絶縁皮膜12の弾性率Aは、50MPaである。
同図に示すごとく、コア13は、収納ケース14内において、コイル11の内側及び外側に充填されるように配設されている。コア13は、コア用樹脂中に磁性粉末を分散させた磁性粉末混合樹脂からなる。
本例では、コア用樹脂としては、エポキシ樹脂を用いている。また、コア用樹脂中に分散させる磁性粉末としては、珪素合金鉄粉を用いている。また、コア13における磁性粉末の含有率は、60体積%である。また、コア13の弾性率Bは、22.5GPaである。
そして、リアクトル1において、絶縁皮膜12の弾性率をA、コア13の弾性率をBとした場合、絶縁皮膜12の弾性率Aは、コア13の弾性率Bに比べて小さく、両者の比である弾性率比A/Bは、0.000005〜0.1の範囲内である。本例では、弾性率比A/Bは、0.002である。
次に、本例のリアクトル1の製造方法について簡単に説明する。
リアクトル1を製造するに当たっては、まず、図3(a)に示すごとく、一本の平角状の導体線111をエッジワイズ加工により、同心円状の螺旋を描くように巻回する。これにより、図3(b)に示すごとく、円筒状のコイル11を形成する。具体的には、巻回する前の直線状の導体線111における軸方向に直交する断面の幅方向がコイル11の径方向となるように、導体線111を巻回してコイル11を形成する。
次いで、図示を省略したが、液体状の絶縁皮膜用樹脂にコイル11を浸漬させ、コイル11の表面110全体に絶縁皮膜用樹脂を塗布する。その後、絶縁皮膜用樹脂を熱硬化させる。これにより、コイル11の表面110全体に、絶縁皮膜12を形成する。
このとき、液体状の絶縁皮膜用樹脂の粘度を50Pa・s以下に調整することにより、絶縁皮膜用樹脂を均一に塗布することができる。
次いで、図3(c)に示すごとく、絶縁皮膜12に覆われたコイル11を収納ケース14の放熱柱144を取り囲むようにして、スペーサ等を介して収納ケース14内に配置する。そして、コイル11の内側及び外側に、予めコア用樹脂と磁性粉末とを混合して作製した磁性粉末混合樹脂130を充填する。このとき、コイル11を埋没させるように、磁性粉末混合樹脂130を収納ケース14内に充填する。その後、磁性粉末混合樹脂130を熱硬化させ、コア13を形成する。
以上により、リアクトル1を作製する。
次に、本例のリアクトル1における作用効果について説明する。
本例のリアクトル1において、コイル11の表面110は、絶縁皮膜12により覆われている。そして、絶縁皮膜12の弾性率Aとコア13の弾性率Bとの比である弾性率比A/Bは、0.000005〜0.1である。すなわち、本例では、絶縁皮膜12の弾性率をコア13よりもある程度小さくし、絶縁皮膜12に適度な柔軟性を持たせている。
そのため、コイル11への通電によってコイル11が発熱し、熱膨張及び熱収縮を繰り返して応力が発生しても、また温度変化の大きい環境下で使用し、その温度変化によって各部に生じる熱膨張及び熱収縮の度合いが異なることにより応力が発生しても、その応力を絶縁皮膜12によって緩和・吸収することができる。これにより、絶縁皮膜12及びコア13に作用する応力を低減することができ、コア13等におけるクラックの発生を抑制すると共に絶縁皮膜12とコア13との剥離を抑制することができる。その結果、耐久性を向上させることができる。
また、本例は、上記弾性率比を上記特定の範囲に調整することにより、上記の効果をより有効に発揮できることを見い出したことにも大きな特徴がある。つまり、絶縁皮膜12の弾性率とコア13の弾性率とをある一定の範囲において適正化することで、コイル11に発生した応力がコア13に伝わる前に、その間に位置する絶縁皮膜12によって効果的に緩和・吸収することができる。これにより、絶縁皮膜12及びコア13に作用する応力を低減する効果、クラック・剥離の発生を抑制する効果を十分に得ることができる。
また、リアクトル1には、一定の磁気特性が要求され、これにはコア13を構成する磁性粉末混合樹脂中の磁性粉末が大きく影響する。そのため、必要量の磁性粉末を添加し、磁気特性を十分に発揮することができるコア13としながら、絶縁皮膜12とコア13との上記弾性率比を上記特定の範囲とすれば、リアクトル1として要求される磁気特性を十分に確保しながら、上記の効果を容易に得ることができる。
また、本例では、コア13の弾性率Bは、10000MPa以上である。そのため、コイル11への通電時において、コア13中の磁性粉末の磁歪による微振動及びこれに伴うリアクトル1全体の振動を十分に抑制することができる。また、コア13によってコイル11を十分に保持(ホールド)することができる。
また、コア13におけるコア用樹脂のガラス転移点は、70℃以上である。そのため、コアの耐熱性を十分に確保することができる。これにより、コア13中のコア用樹脂が熱によって軟化することを防止し、コア13中の磁性粉末の磁歪による微振動及びこれに伴うリアクトル1全体の振動を十分に抑制することができる。また、使用中、コア13によってコイル11を十分に保持(ホールド)することができる。
また、コア13における磁性粉末の含有率は、40体積%以上であり、50〜70体積%の範囲内である。そのため、リアクトル1の磁気特性を十分に確保することができる。また、コア13を形成する際の注型性の悪化及び硬化物(コア13)の脆性化を防止することができる。
このように、本例によれば、磁気特性を維持しながら、絶縁皮膜12及びコア13におけるクラックの発生、絶縁皮膜12とコア13との剥離を抑制することができる、耐久性に優れたリアクトル1を提供することができる。
(実施例2)
本例は、本発明のリアクトルの効果を示すため、冷熱サイクル試験を行い、絶縁性、耐クラック性を評価した例である。
本例では、表1に示すごとく、弾性率比A/Bの異なる複数のリアクトル(試料A〜試料H)を準備した。試料Aは、従来のリアクトルである。また、試料Cは、実施例1のリアクトルである。
また、試料A〜試料Hのリアクトルにおける絶縁皮膜の弾性率A(MPa)、コアの弾性率B(MPa)、絶縁皮膜及びコアを構成する樹脂、コアにおける樹脂のガラス転移点Tg(℃)、コアにおける磁性粉末含有率(%)は、表1に示したとおりである。
また、試料F〜試料Hのリアクトルは、絶縁皮膜を構成する樹脂としてシリコーン樹脂を用いているため、絶縁皮膜とコアとの密着性を確保するために、絶縁皮膜の表面にプライマーを塗布してある。プライマーとしては、信越化学工業製のプライマーCを用いた。
その他、試料A〜試料Hのリアクトルの基本的な構成は、実施例1のリアクトルと同様である。
そして、準備したリアクトル(試料A〜試料H)に対して冷熱サイクル試験を行い、絶縁性及び耐クラック性の評価を行った。
冷熱サイクル試験は、2通りの方法で行った。1つは、氷点下の所定温度T1(−20℃以下)の庫内でリアクトル全体を均一に冷却した後、コイルに通電し、コイルを発熱させ、所定温度T2まで加熱する。このとき、ΔT(=T2−T1)が150℃以上となるようにする。そして、通電を止め、庫内で再びリアクトル全体を均一に冷却させる。この作業を1サイクルとして繰り返し行った。これを冷熱サイクルaとする。
もう1つは、恒温槽にリアクトルを入れ、その恒温槽内の温度を上記所定温度範囲(T1〜T2)において加熱及び冷却する。この作業を1サイクルとして繰り返し行った。これを冷熱サイクルbとする。
絶縁性は、冷熱サイクルを所定回数行ったリアクトルに2611Vの電圧を1分間印加した時の漏れ電流量を測定することにより評価した。そして、10mA以下の場合には合格(○)、10mAを超える場合には不合格(×)とした。
耐クラック性は、冷熱サイクルを所定回数行ったリアクトルをファインカッターでカットし、顕微鏡、SEM等で断面精査を実施することにより評価した。そして、クラックが発生していない場合には合格(○)、クラックが発生している場合には不合格(×)とした。
Figure 2010238920
評価結果を表1に示す。
同表からわかるように、従来品であり、弾性率比A/Bが0.1を超える試料Aは、冷熱サイクルa及び冷熱サイクルbにおいて、繰り返し数が100サイクル以下の段階で絶縁性及び耐クラック性を確保することができない結果となった。また、弾性率比A/Bが0.000005未満である試料Hは、初期破壊を起こし、絶縁性及び耐クラック性を全く確保することができない結果となった。
一方、本発明品であり、弾性率比A/Bが0.1〜0.000005の範囲内にある試料B〜試料Gは、冷熱サイクルa及び冷熱サイクルbのいずれの場合においても、繰り返し数が200サイクルを超えても絶縁性及び耐クラック性を十分に確保することができる結果となった。
すなわち、本発明のリアクトルは、弾性率比A/Bを上記特定の適正な範囲に調整することにより、コイルの発熱によって生じる応力、また温度変化によって生じる応力を絶縁皮膜によって十分に緩和・吸収することができることがわかった。そして、絶縁皮膜及びコアにおけるクラックの発生、絶縁皮膜とコアとの剥離を抑制することができる、耐久性に優れたものであることがわかった。
1 リアクトル
11 コイル
110 表面(コイルの表面)
111 導体線
12 絶縁皮膜
13 コア

Claims (8)

  1. 導体線を巻回してなると共に通電により磁束を発生するコイルと、該コイルの内側及び外側に配設され、電気絶縁性の樹脂中に磁性粉末を分散させた磁性粉末混合樹脂からなるコアとを備えたリアクトルであって、
    上記コイルの表面は、電気絶縁性の樹脂からなる絶縁皮膜により覆われており、
    該絶縁皮膜の弾性率をA、上記コアの弾性率をBとした場合、弾性率比A/Bは、0.000005〜0.1であることを特徴とするリアクトル。
  2. 請求項1において、上記弾性率比A/Bは、0.000007〜0.01であることを特徴とするリアクトル。
  3. 請求項1又は2において、上記絶縁皮膜の弾性率Aは、0.5〜800MPaであることを特徴とするリアクトル。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、上記コアの弾性率Bは、10000MPa以上であることを特徴とするリアクトル。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、上記コアにおける上記樹脂の軟化点又はガラス転移点は、70℃以上であることを特徴とするリアクトル。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において、上記コアにおける上記磁性粉末の含有率は、40体積%以上であることを特徴とするリアクトル。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項において、上記コアにおける上記磁性粉末の含有率は、50〜70体積%以上であることを特徴とするリアクトル。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項において、上記絶縁皮膜は、エポキシ、ポリエステル、シリコーン又はウレタンのいずれかの樹脂からなることを特徴とするリアクトル。
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