JP2010238870A - 電磁波シールド性カバーレイフィルム、フレキシブルプリント配線板の製造方法、及びフレキシブルプリント配線板。 - Google Patents

電磁波シールド性カバーレイフィルム、フレキシブルプリント配線板の製造方法、及びフレキシブルプリント配線板。 Download PDF

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英宣 小林
Takahiro Matsuzawa
孝洋 松沢
Yuji Nishiyama
祐司 西山
Akifumi Kuwabara
章史 桑原
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Abstract

【課題】電磁波シールド性接着シートとカバーレイフィルムを一体化した電磁波シールド性カバーレイフィルム、および薄膜で屈曲性に優れたフレキシブルプリント配線板を低コストで製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】ポリウレタンポリイミド樹脂組成物、またはポリウレタンポリウレア樹脂組成物から形成される絶縁性樹脂層(A)と、導電層(B)と、絶縁性接着剤層(C)とが順次積層されてなる電磁波シールド性カバーレイフィルム、およびフレキシブルプリント配線板の製造方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、繰り返し屈曲を受けるフレキシブルプリント配線板に用いられ、電気回路から発生する電磁ノイズを遮蔽する用途に好適に用いられる電磁波シールド性カバーレイフィルム、及びフレキシブルプリント配線板の製造方法に関する。
ベースフィルム基材上に信号配線とグラウンド配線を形成し、前記配線面にカバーレイフィルムを積層してなるフレキシブルプリント配線板は、屈曲性を有することから、近年のOA機器、通信機器、携帯電話などの更なる高性能化、小型化の要請に応えるべく、その狭く複雑な構造からなる筐体内部に電子回路を組み込むために多用されている。そうした電子回路のダウンサイズ化・高周波化に伴い、そこから発生する不要な電磁ノイズに対する対策がますます重要になってきている。そこで、フレキシブルプリント配線板に、電子回路から発生する電磁ノイズを遮蔽する電磁波シールド性接着フィルムを貼着することが従来よりおこなわれている。
この電磁波シールド性接着フィルム自体には、電磁波シールド性に加えて、貼り合わせたフレキシブルプリント配線板全体の耐屈曲性を損なわないよう、薄さと優れた耐屈曲性が要求される。そのため、電磁波シールド性接着フィルムとしては、厚さの薄い基材フィルム上に導電層を設けてなる基本的構造を有するものが広く知られている。
従来の電磁波シールド性接着フィルムとしては、カバーフィルムの片面に、導電性接着剤層及び必要に応じて金属薄膜層からなるシールド層を有し、他方の面に接着剤層と離型性補強フィルムとが順次積層されてなる補強シールドフィルムが知られている(特許文献1参照)。
また、導電性接着剤層及び/または金属薄膜を有するシールド層と芳香族ポリアミド樹脂からなるベースフィルムを有するシールドフィルムが知られている(特許文献2参照)。
また、セパレートフィルムの片面に樹脂をコーティングしてカバーフィルムを形成し、前記カバーフィルムの表面に金属薄膜層と接着剤層とで構成されるシールド層を設けてなるシールド性接着フィルムが知られている(特許文献3参照)。
これらの、従来の電磁波シールド性接着フィルムは、カバーレイが圧着されたフレキシブルプリント配線板の片面、または両面に別途積層されるものである。したがって、前記電磁波シールド性接着フィルムを積層した分、フレキシブルプリント配線板が厚くなり、近年、特に携帯電話用のフレキシブルプリント配線板に求められる薄膜化・高屈曲化の要求に応えられなくなった。更に、電磁波シールド性接着フィルムを積層する工程が別途必要なため、製造工程が増え、結果としてフレキシブルプリント配線板の製造コストが増加してしまう問題が生じた。
これらの問題を解決する手段として、ポリイミドに代表されるエンジニアリングプラスチックに、導電層、接着剤層を順次積層したカバーレイフィルムが提案されている(特許文献4参照)。しかし、上記エンジニアリングプラスチックでは、近年、益々厳しくなっている耐屈曲性の要求に応えることができない。
特開2003−298285号公報 特開2004−273577号公報 特開2004−95566号公報 特開2002−361770号公報
本発明は、電磁波シールド性接着シートとカバーレイフィルムを一体化した電磁波シールド性カバーレイフィルム、および薄膜で屈曲性に優れたフレキシブルプリント配線板を低コストで製造できる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決するため、鋭意検討の結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の第1の発明は、絶縁性樹脂層(A)と、導電層(B)と、絶縁性接着剤層(C)とが順次積層されてなる電磁波シールド性カバーレイフィルムに関する。
第2の発明は、絶縁性樹脂層(A)が、ポリウレタンポリイミド樹脂組成物(I)、または、ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)からなり、前記ポリウレタンポリイミド樹脂組成物(I)が、ポリマーポリオール(a1)及びジイソシアネート化合物(a2)を反応させて得られる末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a3)と、四塩基酸無水物(a4)を反応させて末端酸無水物基含有樹脂(a5)を生成し、さらに、前記末端酸無水物基含有樹脂(a5)及び鎖延長剤(a6)を反応させて得られるポリウレタンポリイミド樹脂(D)と、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(E)とを含有することを特徴とし、また、前記ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)が、カルボキシル基を有するジオール化合物(b1)、数平均分子量500〜8000の(b1)以外のポリオール(b2)及びジイソシアネート化合物(b3)を反応させて得られる末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(b4)と、ポリアミノ化合物(b5)とを反応させて得られるポリウレタンポリウレア樹脂(F)と、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(E)とを含有することを特徴とする第1の発明の電磁波シールド性カバーレイフィルムに関する。
第3の発明は、導電層(B)が、金属箔、金属蒸着膜、金属スパッタ膜及び導電性フィラーからなる群から選択される1種以上の導電性物質を含むことを特徴とする第1または2の発明の電磁波シールド性カバーレイフィルムに関する。
第4の発明は、第1〜3の発明のいずれかの電磁波シールド性カバーレイフィルムに貫通穴を形成し、その絶縁性接着剤層(C)面をフレキシブルプリント配線板用配線回路の配線回路面へ重ね合わせ、加熱して絶縁性樹脂層(A)、導電層(B)及び絶縁性接着剤層(C)を硬化し、さらに前記貫通穴の内部において、導電層(B)と配線回路とを電気的に接続することを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造方法に関する。
第5の発明は、第1〜3の発明のいずれかの電磁波シールド性カバーレイフィルムの絶縁性接着剤層(C)面をフレキシブルプリント配線板用配線回路の配線回路面へ重ね合わせ、加熱して絶縁性樹脂層(A)、導電層(B)及び絶縁性接着剤層(C)を硬化し、前記電磁波シールド性カバーレイフィルムを積層したフレキシブルプリント配線板に貫通穴を形成し、さらに前記貫通穴の内部において、導電層(B)と配線回路とを電気的に接続することを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造方法に関する。
第6の発明は、導電層(B)と配線回路とを、導電性ペースト、導電性バンプ及びメッキ処理からなる群より選択されるいずれかを用いて電気的に接続することを特徴とする第4または5の発明のフレキシブルプリント配線板の製造方法に関する。
第7の発明は、上記第4〜6発明の製造方法により製造されてなるフレキシブルプリント配線板に関する。
本発明の電磁波シールド性カバーレイフィルムは、絶縁性樹脂層と導電層と絶縁性接着剤層を一体として有している。これを用いて製造したフレキシブルプリント配線板は薄膜化と製造コストの低減が可能となり、更に、優れた屈曲性を得ることができた。
本発明の電磁波シールド性カバーレイフィルムは、絶縁性樹脂層(A)と導電層(B)と絶縁性接着剤層(C)とが順次積層されてなるものである。そして、絶縁性樹脂層(A)と絶縁性接着剤層(C)(場合によっては導電層(B)も)は、層中に硬化成分が未反応状態で存在する、いわゆる半硬化状態にある。そして電磁波シールド性カバーレイフィルムをフレキシブルプリント配線板用配線回路の配線回路面へ重ね合わせた後に、各層の硬化成分が加熱により硬化することでフレキシブルプリント配線板を製造できる。
絶縁性樹脂層(A)は、導電層(B)の絶縁被覆に加えて、物理的、化学的なストレスからフレキシブルプリント配線板を保護する役割を担うものであり、優れた屈曲性が必要である。この様な観点から、絶縁性樹脂層(A)を構成する材料としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられるが、ポリウレタンポリイミド樹脂組成物(I)、またはポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)が好ましい。ポリウレタンポリイミド樹脂組成物(I)は、ポリウレタンポリイミド樹脂(D)と2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(E)とを含有し、ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)は、ポリウレタンポリウレア樹脂(F)と2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(E)とを含有することが好ましい。
絶縁性樹脂層(A)に、ポリウレタンポリイミド樹脂組成物(I)、及びポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)を用いると一般的な電磁波シールド性接着フィルムに使用されるポリイミドフィルムに比べ、弾性率が低く、柔軟で、優れた屈曲性を有するばかりでなく、実用充分な耐熱性、耐湿熱性を有した絶縁性樹脂層(A)を得ることができるため好ましい。
ポリウレタンポリイミド樹脂組成物(I)を構成するポリウレタンポリイミド樹脂(D)は、ポリマーポリオール(a1)と、ジイソシアネート化合物(a2)とを反応させて末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a3)を作製し、得られる末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a3)のイソシアネート基1.0モルに対し、四塩基酸無水物(a4)中の酸無水物基を好ましくは1.0モル〜4.0モル、より好ましくは1.05モル〜3.50モルの割合で反応させることで末端酸無水物基含有樹脂(a5)を作製し、さらに、得られる末端酸無水物基含有樹脂(a5)の酸無水物基1.0モルに対し、鎖延長剤(a6)中の酸無水物基と反応しうる官能基を0.05モル〜0.99モル、好ましくは0.1モル〜0.95モルの割合で反応させて得ることができる。
ここで、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a3)のイソシアネート基1.0モルに対し、四塩基酸無水物(a4)中の酸無水物基を反応させる割合が1.0モル未満の場合、最終的にポリマー末端に残存する無水物基がほぼ無くなり、鎖延長剤(a6)との反応が困難になる恐れがある。また、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a3)のイソシアネート基1.0モルに対し、四塩基酸無水物(a4)中の酸無水物基を反応させる割合が4.0モルより多い場合、残存の遊離四塩基酸無水物(a4)の量が多くなり、鎖延長剤(a6)を反応させる際に副反応が多く起こり、硬化後の塗膜が脆くなり耐屈曲性が低下する場合や、吸湿性が高くなって耐熱性に悪影響を及ぼす恐れがある。
また、末端酸無水物基含有樹脂(a5)の酸無水物基1.0モルに対し、鎖延長剤(a6)の官能基を反応させる割合が0.05モル未満の場合、変性の割合が少なくなりすぎて鎖延長の効果、すなわち、高分子量化及び主鎖への架橋性官能基導入の効果が得られにくい。また、0.99モルより多い場合、最終的に得られるポリウレタンポリイミド樹脂(D)の末端の酸無水物基の量が少なくなりすぎて、耐熱性が低下する傾向がある。
本発明で用いられるポリマーポリオール(a1)は、重合度2以上の繰り返し単位を有し、かつ、水酸基を2個含有する化合物であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量が、好ましくは500〜50000の化合物である。各種のポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリブタジエングリコール類等が使用できる。
ポリエーテルポリオール類としては、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体等が挙げられる。
ポリエステルポリオール類としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、もしくはダイマージオール等の飽和または不飽和の低分子ジオール類とアジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、もしくはセバシン酸等のジカルボン酸類、またはこれらの無水物類を反応させて得られるポリエステルポリオール類や、n−ブチルグリシジルエーテル、又は2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、バーサティック酸グリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類と上記のジカルボン酸類の無水物類とをアルコール類などの水酸基含有化合物の存在下で反応させて得られるポリエステルポリオール類、または環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類が挙げられる。
ポリカーボネートポリオール類としては、例えば、1)グリコールまたはビスフェノールと炭酸エステルとの反応生成物、あるいは2)グリコールまたはビスフェノールにアルカリの存在下でホスゲンを反応させて得られる反応生成物等が使用できる。
上記1)または2)の場合に用いられるグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3,3'−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、2,2,8,10−テトラオキソスピロ〔5.5〕ウンデカンが挙げられる。
また、上記1)または2)の場合に用いられるビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類や、これらのビスフェノール類にエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させた化合物等が挙げられる。
また、上記1)の場合に用いられる炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。これらポリマーポリオール(a1)は、単独で使用しても良いし、複数を併用しても良い。
本発明で用いられるジイソシアネート化合物(a2)としては、例えば、炭素数4〜50の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等を挙げることができる。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えばω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート[別名:イソホロンジイソシアネート]、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
更に、本発明において、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a3)を合成する際、所望成分としてアミン化合物(a7)を反応させることが好ましい。これにより、得られるポリウレタンポリイミド樹脂にウレア結合を導入することができ、ポリウレタンポリイミド樹脂組成物(I)の凝集力、耐熱性を著しく向上することができる。
アミン化合物(a7)としては、例えば、プロピルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、アニリン等のモノアミン化合物、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリアミノプロパン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン等の脂肪族ポリアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン等の脂環式ポリアミン、及びフェニレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ポリアミンが挙げられる。
次に、本発明の四塩基酸無水物(a4)について説明する。本発明で用いる四塩基酸無水物(a4)は、好ましくは、分子内にカルボン酸無水物基を2個以上有し、炭素数が8〜50の化合物であり、例えば、無水ピロメリット酸、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’ ,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、デカホドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物)スルホン、ビシクロ−(2,2,2)−オクト(7)−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。中でも、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族四塩基酸無水物は、本発明においてイソシアネート基との反応性や最終的に得られる樹脂の耐熱性に優れているため特に好ましい。これらの四塩基酸無水物(a4)は、一種のみを単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a3)中のイソシアネート基と四塩基酸無水物(a4)中の酸無水物基とを反応させる際の反応条件は特に限定されるものではなく、公知の条件で行うことができる。例えば、反応が完了した末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a3)が入った反応容器に、四塩基酸無水物(a4)、及び追加溶剤を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら60〜100℃で0.5〜5時間加熱する。その後、触媒を加えて120〜150℃に昇温し、2〜6時間攪拌することで、末端酸無水物基含有樹脂(a4)が得られる。
本発明は、前記末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a3)と四塩基酸無水物(a4)との反応で得られる末端酸無水物基含有樹脂(a5)を、鎖延長剤(a6)を用いて鎖延長することが好ましい。
本発明で言う、鎖延長剤(a6)とは、前記末端酸無水物基含有樹脂(a5)中の酸無水物基と反応することで樹脂を高分子量化させるとともに、主鎖中にカルボキシル基を生成させることができる化合物のことである。末端酸無水物基含有樹脂(a5)中の酸無水物基と反応しうる官能基としては、水酸基、1級または2級のアミノ基、チオール基、エポキシ基、及びオキセタン基が挙げられる。また、アジリジニル基、ビニルエーテル基、及びカルボジイミド基は、末端酸無水物基含有樹脂(a5)中の酸無水物基を水で開環することにより生成するカルボキシル基と反応させることができるので、これらの官能基を有する化合物も鎖延長剤(a6)として用いることができる。これらの官能基のうち、水酸基、1級または2級のアミノ基、チオール基、ビニルエーテル基、及びカルボジイミド基は、鎖延長剤(a6)中に2個以上有することが必要であるが、エポキシ基、及びオキセタン基は、酸無水物基と反応することで水酸基が生成し、この水酸基が末端酸無水物基含有樹脂(a5)中の酸無水物基とさらに反応するため、鎖延長剤(a6)中に少なくとも1個有すればよい。また、アジリジニル基も酸無水物基が開環したカルボキシル基と反応することでアミノ基が生成するので前記同様鎖延長剤(a6)中に少なくとも1個有すればよい。本発明の鎖延長剤(a6)としては、これらの官能基を複数種併有する化合物も含まれる。
鎖延長剤(a6)としては、具体的には、エポキシ基含有化合物、オキセタン基含有化合物、水酸基を2個以上含有する化合物、1級または2級のアミノ基を2個以上含有する化合物、アジリジニル基含有化合物、カルボジイミド基を2個以上含有する化合物、ビニルエーテル基を2個以上含有する化合物、及びチオール基を2個以上含有する化合物が挙げられる。
本発明において、鎖延長剤(a6)を用いて鎖延長することで、末端酸無水物基含有樹脂(a5)の高分子量化、主鎖への架橋性官能基の導入、分岐等の構造変性を施すことができる。これらの構造変性により得られる絶縁性樹脂層(A)の加工安定性が向上し、更に、柔軟性を保持したまま耐熱性が向上する。これらの鎖延長剤は、一種のみを単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
末端酸無水物基含有樹脂(a5)中の酸無水物基と、鎖延長剤(a6)中の官能基とを反応させる際の反応条件は特に限定されるものではなく、公知の条件で行うことができる。例えば、末端酸無水物基含有樹脂(a5)に鎖延長剤(a6)を加え、窒素雰囲気下、100〜160℃に加熱しながら0.5〜10時間攪拌することで、本発明のポリウレタンポリイミド樹脂(I)を得ることができる。
本発明のポリウレタンポリイミド樹脂(D)の酸価は、1〜150mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは5〜100mgKOH/gである。酸価が1mgKOH/g未満では硬化性が不足し、塗膜の耐性が不足する恐れがある。また、酸価が150mgKOH/gを超えると塗膜の硬度が高くなり、充分な屈曲性が得られない場合がある。
本発明のポリウレタンポリイミド樹脂(D)の重量平均分子量は、5000〜500000であることが好ましく、より好ましくは、10000〜300000である。重量平均分子量が5000未満では、耐熱性及び屈曲性が劣る傾向にあり、また、重量平均分子量が500000を超えると、良好な塗工適性が得られない恐れがある。
また、ポリウレタンポリイミド樹脂組成物(I)に含有されるエポキシ樹脂(E)は、2個以上のエポキシ基を有する樹脂であり、液状であっても固形状であってもよい。
エポキシ樹脂(E)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、スピロ環型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テルペン型エポキシ樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンなどのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、α−ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち優れた耐熱性を発現することから、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、またはテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
本発明において、エポキシ樹脂(E)の使用量は、ポリウレタンポリイミド樹脂100重量部に対して、0.5重量部〜100重量部の割合で加えることが好ましく、1重量部〜80重量部の割合で加えることがより好ましい。本発明ではエポキシ樹脂(E)を使用することで、絶縁性樹脂層(A)を適切な架橋密度にすることにでき、物性をより一層向上させることができる。エポキシ樹脂(E)の使用量が0.5重量部よりも少ないと、加熱硬化後の絶縁性樹脂層(A)の架橋密度が低くなり過ぎ、耐熱性が不充分となる場合がある。また、使用量が100重量部よりも多いと、加熱硬化後の架橋密度が高くなり過ぎ、屈曲性が低下する恐れがある。
次に本発明のポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)について説明する。
ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)を構成するポリウレタンポリウレア樹脂(F)は、カルボキシル基を有するジオール(b1)と数平均分子量500〜8000の(b1)以外のポリマーポリオール(b2)及びジイソシアネート化合物(b3)を反応させて得られる末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(b4)と、ポリアミノ化合物(b5)とを反応させて得られる。
カルボキシル基を有するジオール化合物(b1)としては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールペンタン酸等のジメチロールアルカン酸や、ジヒドロキシコハク酸、ジヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。特に反応性、溶解性点から、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸が好ましい。
数平均分子量500〜8000である、(b1)以外のポリオール(b2)[以下、ポリオール(b2)という]は、一般にポリウレタン樹脂を構成するポリオール成分として知られている、カルボキシル基を有するジオール化合物(b1)以外のポリオールである。前記ポリオール(b2)の数平均分子量(Mn)は、得られるポリウレタンポリウレア樹脂(F)の耐熱性や溶解性等を考慮して適宜決定されるが、好ましくは1000〜5000である。Mnが500未満であると、得られるポリウレタンポリウレア樹脂(F)中のウレタン結合が多くなり過ぎ、ポリマー骨格の柔軟性が低下して屈曲性が低下する傾向があり、また、Mnが8000を越えると、ジオール化合物(b1)由来のカルボキシル基の、ポリウレタンポリウレア樹脂(F)中における数が減少する。その結果、エポキシ樹脂(E)との反応点が減少するため、得られるポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)の耐熱性が低下する傾向にある。
ポリオール(b2)としては、ポリウレタンポリイミド樹脂組成物(I)を構成するポリマーポリオール(a1)で記載した各種のポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリブタジエングリコール類等が使用できる。これらポリオール(b2)は、単独で用いても、2種類以上併用してもよい。
更に、得られるポリウレタンポリウレア樹脂(F)の性能が失われない範囲内で、カルボキシル基を有するジオール化合物(b1)と、ポリオール(b2)及びジイソシアネート化合物(b3)とを反応させる際に、カルボキシル基を有するジオール化合物(b1)以外の低分子ジオール類を併用しても良い。併用可能な低分子ジオール類としては、たとえば、ポリオール(b2)の製造に用いられる各種低分子ジオール等が挙げられる。
末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(b4)を合成する際に、カルボキシル基を有するジオール化合物(b1)と、ポリオール(b2)とは、ポリオール(b2)1モルに対して、カルボキシル基を有するジオール化合物(b1)0.1モル〜4.0モルとなる比率で用いることが好ましく、0.2モル〜3.0モルとなる比率で用いることがより好ましい。ポリオール(b2)1モルに対するポリオール(b1)の使用量が0.1モルより少ないと、エポキシ樹脂(E)と架橋可能なカルボキシル基が少なくなり、耐熱性が低下する傾向にある。また、4.0モルより多いと屈曲性が低下する傾向にある。
ジイソシアネート化合物(b3)としては、ポリウレタンポリイミド樹脂組成物(I)を構成するジイソシアネート化合物(a2)で記載した芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族イソシアネート、またはこれらの混合物を使用することができる。
末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(b4)は、カルボキシル基を有するジオール化合物(b1)と、ポリオール(b2)及びジイソシアネート化合物(b3)とを反応させることにより得られる。末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(b4)を合成する際の条件は、イソシアネート基が過剰になるようにする他にとくに限定はないが、イソシアネート基/水酸基の当量比が1.2/1〜3/1の範囲内になるような割合で、カルボキシル基を有するジオール化合物(b1)と、ポリオール(b2)及びジイソシアネート化合物(b3)とを反応させることが好ましい。また、反応温度は通常常温〜120℃であるが、更に製造時間、副反応の制御の面から好ましくは60〜100℃である。
ポリウレタンポリウレア樹脂(F)は、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(b4)と、ポリアミノ化合物(b5)とを反応させて得られる。
ポリアミノ化合物(b5)としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジアミンの他、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等の水酸基を有するアミン類も使用することができる。なかでも、イソホロンジアミンが好適に使用される。
末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(b4)とポリアミノ化合物(b5)とを反応させてポリウレタンポリウレア樹脂(F)を合成するときには、分子量を調整する為に反応停止剤を併用することができる。反応停止剤としては、ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類、ジエタノールアミン等のジアルカノールアミン類や、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類が使用できる。
末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(b4)、ポリアミノ化合物(b5)及び必要に応じて反応停止剤を反応させる際の条件は、とくに限定はないが、ウレタンプレポリマー(b4)が有するイソシアネート基に対する、ポリアミノ化合物(b5)及び反応停止剤中のアミノ基の合計の当量比が0.5〜1.3の範囲内であることが好ましい。当量比が0.5未満の場合には、耐熱性が不十分になりやすく、1.3より多い場合には、ポリアミノ化合物(b5)及び/または反応停止剤が未反応のまま残存し、臭気が残りやすくなる。
ポリウレタンポリウレア樹脂(F)の重量平均分子量は、5000〜100000の範囲にあることが好ましい。重量平均分子量が5000に満たない場合には、耐熱性が劣る傾向にあり、重量平均分子量が100000を越える場合には、良好な塗工適性が得られない恐れがある。
また、ポリウレタンウレア樹脂組成物(II)に含有されるエポキシ樹脂(E)は、2個以上のエポキシ基を有する樹脂であり、液状であっても固形状であってもよい。エポキシ樹脂(E)としては、ポリウレタンポリイミド樹脂組成物(I)に用いるエポキシ樹脂(E)と同様のものが使用できる。
本発明で用いられるポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)において、エポキシ樹脂(E)の使用量は、ポリウレタンポリウレア樹脂(F)100重量部に対して、3〜200重量部であることが好ましく、5〜100重量部であることがより好ましい。エポキシ樹脂(E)を使用することにより、絶縁性樹脂層(A)を適切な架橋密度にすることで、物性をより一層向上させることができる。使用量が3重量部より少ないと、耐熱性が低くなる傾向がある。一方、使用量が200重量部より多いと、屈曲性が低下する傾向がある。
ポリウレタンポリイミド樹脂組成物(I)、及びポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)には、耐熱性や屈曲性等の性能を損なわない範囲で、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、ユリア系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂などの各種樹脂類、及び難燃剤、着色剤、酸化防止剤、滑剤などを含有させることができる。
本発明において絶縁性樹脂層(A)は、優れた絶縁性が要求される用途では、ポリウレタンポリイミド樹脂組成物(I)を用いることがより好ましく、より厳しい屈曲性が求められる用途では、ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)を用いることがより好ましい。
次に、本発明の導電層(B)について説明する。
導電層(B)は、金属箔、金属蒸着膜、金属スパッタ膜及び導電性フィラーからなる群から選択される1種以上の導電性物質を含むことが好ましい。導電層(B)は、フレキシブルプリント配線板の信号配線から発生する電磁ノイズをシールドする役割を担い、一般的に、導電性が高いほど電磁波シールド機能が優れる。
導電層(B)を構成する金属箔とは、電気分解等により製造される電解金属や金属を圧延して薄い板状にすることにより製造できる。本発明において金属箔としては、アルミニウム箔、銅箔、銀箔、金箔などが挙げられる。
また、導電層(B)を構成する金属蒸着膜とは、真空条件下で金属を加熱し、気化あるは昇華させ、目的となる基材表面に形成された金属薄膜である。金属蒸着法として物理蒸着・化学蒸着のどちらも含まれる。本発明において金属蒸着膜としては、アルミニウム蒸着膜、銅蒸着膜、銀蒸着膜、金蒸着膜などが挙げられる。
更に、導電層(B)を構成する金属スパッタ膜とは、真空条件下で金属に、高電圧でイオン化した希ガス元素や窒素元素を衝突させ金属原子を発生させ、発生した金属原子が目的となる基材表面に形成する金属薄膜である。本発明において金属スパッタ膜としては、アルミニウムスパッタ膜、銅スパッタ膜、銀スパッタ膜、金スパッタ膜などが挙げられる。
続いて、導電層(B)を構成する導電性フィラーとは、金属フィラー、カーボンフィラー及びそれらの混合物が挙げられる。本発明において金属フィラーとしては、銀、銅、ニッケル等の金属粉、ハンダ等の合金粉、銀メッキされた銅粉、金属メッキされたガラス繊維やカーボンフィラーなどが挙げられる。これら導電性フィラーは、バインダー樹脂に分散させた状態で塗布・乾燥して用いられる。更に、前記導電性フィラーには、粒子径が0.001μ〜0.5μの金属微粒子も含まれる。これらの金属微粒子は、分散液として基材フィルムに上に塗布・乾燥させた後、比較的低温で焼結し金属薄膜を形成することが出来る。電磁波シールド機能、耐屈曲性、製造コストの面から、銀蒸着膜、銀フィラー、銀微粒子などが特に好適に用いられる。
次に本発明の絶縁性接着剤層(C)について説明する。
絶縁性接着剤層(C)は、本発明の電磁波シールド性カバーレイフィルムを、配線が形成された配線基板に接着する役割を担うとともに、導電層(B)と配線基板の配線を絶縁保護する役割を担う。
絶縁性接着剤層(C)に用いられる接着剤としては、必要な接着力と絶縁性を有することが必要である。絶縁性接着剤層(C)に用いられる接着剤の例としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、及びそれらの混合物などが挙げられる。本発明におけるアクリル樹脂とは、アクリル酸エステル、または/及びメタアクリル酸エステルの共重合体を主骨格に有する樹脂を指す。また、本発明におけるウレタン樹脂とは、水酸基を有するモノマーまたはオリゴマーと、ジイソシアネート化合物を反応させて得られる共重合体を主骨格にする樹脂を指す。更に、本発明におけるエポキシ樹脂とは、ジオール化合物とエピクロロヒドリンの共重合体からなるエポキシ基を有する化合物であり、前記化合物とアミンや酸無水物に代表される硬化剤を混合・加熱硬化し、高分子量化した樹脂も含まれる。続いて、本発明におけるポリエステル樹脂とは、多価カルボン酸とポリアルコールを重縮合反応させエステル基を形成することにより高分子量化した樹脂を指す。絶縁性接着剤層(C)に求められる絶縁性・耐屈曲性を考慮すると、絶縁性樹脂層(A)で詳細に説明したポリウレタンポリイミド樹脂組成物(I)、またはポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)からなる接着剤が特に好適に用いられる。
次に、本発明の電磁波シールド性カバーレイフィルムの製造方法について説明するが、製造方法はこれに限定されるものではない。
電磁波シールド性カバーレイフィルムの製造方法の第1の例としては、剥離性フィルム1の片面に樹脂組成物を塗布・乾燥し絶縁性樹脂層(A)を形成する工程、前記絶縁性樹脂層(A)上に導電層(B)を金属蒸着や金属スパッタにより形成する工程、前記導電層(B)上に絶縁性接着剤を塗布・乾燥し絶縁性接着剤層(C)を形成する工程、前記絶縁性接着剤層(C)上に剥離性フィルム2を重ね合わせる工程である。
電磁波シールド性カバーレイフィルムの製造方法の第2の例としては、剥離性フィルム1の片面に樹脂組成物を塗布・乾燥し絶縁性樹脂層(A)を形成する工程、前記絶縁性樹脂層(A)上に導電層(B)を金属蒸着や金属スパッタにより形成する工程、剥離性フィルム2の片面に絶縁性接着剤を塗布・乾燥することによって絶縁性接着剤層(C)を形成する工程、前記導電層(B)と絶縁性接着剤層(C)を重ね合わせる工程である。
電磁波シールド性カバーレイフィルムの製造方法の第3の例としては、剥離性フィルム1の片面に樹脂組成物を塗布・乾燥し絶縁性樹脂層(A)を形成する工程、剥離フィルム2の片面に絶縁性接着剤を塗布・乾燥し絶縁性接着剤層(C)を形成する工程、前記絶縁性接着剤層(C)上に導電層(B)を金属蒸着や金属スパッタにより形成する工程、絶縁性樹脂層(A)と導電層(B)を重ね合わせる工程である。
電磁波シールド性カバーレイフィルムの製造方法の第4の例としては、剥離性フィルム2の片面に絶縁性接着剤を塗布・乾燥し絶縁性接着剤層(C)を形成する工程、前記絶縁性接着剤層(C)上に導電層(B)を金属蒸着や金属スパッタにより形成する工程、前記導電層(B)上に樹脂組成物を塗布・乾燥することにより絶縁性樹脂層(A)を形成する工程、前記絶縁性樹脂層(A)上に剥離性フィルム1を重ね合わせる工程である。
電磁波シールド性カバーレイフィルムの製造方法の第5の例としては、剥離性フィルム1の片面に樹脂組成物を塗布・乾燥し絶縁性樹脂層(A)を形成する工程、前記絶縁性樹脂層(A)上に導電性フィラーを含有した樹脂組成物を塗布・乾燥し導電層(B)を形成する工程、前記導電層(B)上に絶縁性接着剤塗布・乾燥し絶縁性接着剤層(C)を形成する工程、前記絶縁性接着剤層(C)上に剥離性フィルム2を重ね合わせる工程である。
電磁波シールド性カバーレイフィルムの製造方法の第6の例としては、剥離性フィルム1の片面に樹脂組成物を塗布・乾燥し絶縁性樹脂層(A)を形成する工程、前記絶縁性樹脂層(A)上に導電性フィラーを含有した樹脂組成物を塗布・乾燥し導電層(B)を形成する工程、剥離性フィルム2の片面に絶縁性接着剤を塗布・乾燥し絶縁性接着剤層(C)を形成する工程、前記導電層(B)と絶縁性接着剤層(C)を重ね合わせる工程である。
電磁波シールド性カバーレイフィルムの製造方法の第7の例としては、剥離性フィルム1の片面に樹脂組成物を塗布・乾燥し絶縁性樹脂層(A)を形成する工程、剥離フィルム2の片面に絶縁性接着剤を塗布・乾燥し絶縁性接着剤層(C)を形成する工程、前記絶縁性接着剤層(C)上に導電性フィラーを含有した樹脂組成物を塗布・乾燥し導電層(B)を形成する工程、前記絶縁性樹脂層(A)と導電層(B)を重ね合わせる工程である。
電磁波シールド性カバーレイフィルムの製造方法の第8の例としては、剥離性フィルム2の片面に絶縁性接着剤を塗布・乾燥し絶縁性接着剤層(C)を形成する工程、前記絶縁性接着剤層(C)上に導電性フィラーを含有した樹脂組成物を塗布・乾燥し導電層(B)を形成する工程、前記導電層(B)上に樹脂組成物からなる絶縁性樹脂層(A)を形成する工程、前記絶縁性樹脂層(A)上に剥離性フィルム1を重ね合わせる工程である。
本発明における剥離性フィルムとは、片面あるいは両面に離型処理をしたフィルムや、片面あるいは両面に粘着剤を塗布したフィルムである。剥離性フィルムは、前記電磁波シールド性カバーレイフィルムの絶縁性樹脂層(A)や絶縁性接着剤層(C)の、導電層(B)に触れていない片面に積層され、異物の付着や汚染を防ぎ、且つ、非常に薄い電磁波シールド性カバーレイフィルムの取り扱い性向上、及び外形加工時の台紙などの役割を担う。
剥離性フィルムの基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリブテン、軟質ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル等のプラスチックシート等、グラシン紙、上質紙、クラフト紙、コート紙等の紙類、各種の不織布、合成紙、金属箔や、これらを組み合わせた複合フィルムなどが挙げられる。
離型処理方法としては、離型剤をフィルムの片面あるいは両面に塗布したり、物理的にマット化処理する方法がある。離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の炭化水素系樹脂、高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸石鹸、ワックス、動植物油脂、マイカ、タルク、シリコーン系界面活性剤、シリコーンオイル、シリコーン樹脂、フッ素系界面活性剤、フッ素樹脂、フッ素含有シリコーン樹脂などが用いられる。
離型剤の塗布方法としては、従来公知の方式、例えば、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、スプレーコート方式、バーコート方式、スピンコート方式、ディップコート方式等により行うことができる。
本発明の電磁波シールド性カバーレイフィルムに使用される絶縁性樹脂層(A)、導電層(B)、絶縁性接着剤層(C)を構成する樹脂組成物を塗布・乾燥して形成する場合に用いられる塗布方法としては、従来公知の方式、例えば、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、スプレーコート方式、バーコート方式、スピンコート方式、ディップコート方式等により行うことができる。
本発明の電磁波シールド性カバーレイフィルムは、前記電磁波シールド性カバーレイフィルムに形成した貫通穴内を、導電性ペースト、導電性バンプ及びメッキ処理からなる群より選択されるいずれかを用いて導電層(B)とグラウンド配線とを電気的に接続させることで、フレキシブルプリント配線板に電磁波シールド機能を付与する。
本発明において導電性ペーストとは、導電性フィラーをバインダー樹脂に分散したものを指す。前記導電性フィラーとは、金属フィラー、カーボンフィラー及びそれらの混合物が好ましい。前記金属フィラーとしては、銀、銅、ニッケル等の金属粉、ハンダ等の合金粉、銀メッキされた銅粉、金属メッキされたガラス繊維やカーボンフィラーなどが挙げられる。前記バインダー樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、及びこれらの混合物などが挙げられる。
また、本発明で好適に用いられる導電性バンプとは、円錐状や円錐台状の金属である。導電性バンプを形成する金属としては、アルミニウム、銅、銀、金などやこれらの合金が挙げられる。これら導電性バンプの製造方法の例としては、金属箔をエッチングする方法、剥離可能なベース基材上にメッキ法によりバンプを形成する方法などが挙げられる。
更に、本発明で好適に用いられるメッキ処理とは、金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応、または、電気分解により層状に金属を析出させることを指す。本発明で用いられるメッキ処理に好適に用いられる金属としては、銅、銀、金、錫、ニッケル、鉛などやこれらの合金が挙げられる。
最後に本発明の電磁波シールド性カバーレイフィルムを使用したフレキシブルプリント配線板の製造方法について具体的態様を説明する。
本発明の電磁波シール性カバーレイフィルムを使用したフレキシブルプリント配線板の第1の態様としては、ポリイミドフィルムに代表されるベース基材フィルムの片面に、銅箔が積層されてなる銅張り積層板の銅箔をエッチングすることで、ベース基材フィルム上に信号配線とグラウンド配線を形成する。次に、電磁波シールド性カバーレイフィルムに貫通穴を形成し、絶縁性接着剤層(C)側に積層された剥離性フィルムを剥がし、絶縁性接着剤層(C)を露出させる。続いて前記絶縁性接着剤層(C)面を前記グラウンド配線上に貫通穴が重なる様に重ね合わせ、加熱圧着し、絶縁性樹脂層(A)、導電層(B)、及び絶縁性接着剤層(C)を加熱硬化させる。最後に、前記貫通穴内部に導電性ペーストを充填・加熱硬化させ、電磁波シールド性カバーレイフィルムの導電層(B)とグラウンド配線を電気的に接続させ、フレキシブルプリント配線板を製造することができる。
本発明の電磁波シールド性カバーレイフィルムを使用したフレキシブルプリント配線板の第2の態様としては、ポリイミドフィルムに代表されるベース基材フィルムの片面に、銅箔が積層されてなる銅張り積層板の銅箔をエッチングすることで、ベース基材フィルム上に信号配線とグラウンド配線を形成する。次に、電磁波シールド性カバーレイフィルムに貫通穴を形成し、絶縁性接着剤層(C)側に積層された剥離性フィルムを剥がし、絶縁性接着剤層(C)を露出させる。続いて、前記絶縁性接着剤層(C)面を前記グラウンド配線上に貫通穴が重なる様に重ね合わせ、加熱圧着し、絶縁性樹脂層(A)、導電層(B)、及び絶縁性接着剤層(C)を加熱硬化させる。最後に電解メッキ法により、前記貫通穴内部に金メッキを施し、電磁波シールド性カバーレイフィルムとグラウンド配線を電気的に接続させ、フレキシブルプリント配線板を製造することができる。
本発明の電磁波シールド性カバーレイフィルムを使用したフレキシブルプリント配線板の第3の態様としては、ポリイミドフィルムに代表されるベース基材フィルムの片面に、銅箔が積層されてなる銅張り積層板の銅箔をエッチングすることで、ベース基材フィルム上に信号配線とグラウンド配線を形成する。次に、電磁波シールド性カバーレイフィルムに貫通穴を形成し、絶縁性接着剤層(C)側に積層された剥離性フィルムを剥がし、絶縁性接着剤層(C)を露出させる。続いて、前記絶縁性接着剤層(C)面を前記グラウンド配線上に貫通穴が重なる様に重ね合わせ、加熱圧着し、絶縁性樹脂層(A)、導電層(B)、及び絶縁性接着剤層(C)を加熱硬化させる。最後に、ポリエステルフィルムの片面に、銅バンプを、前記貫通穴に重なる様に圧着させ、電磁波シールド性カバーレイフィルムとグラウンド配線を電気的に接続させ、フレキシブルプリント配線板を製造することができる。
本発明の電磁波シールド性カバーレイフィルムを使用したフレキシブルプリント配線板の第4の態様としては、ポリイミドフィルムに代表されるベース基材フィルムの片面に、銅箔が積層されてなる銅張り積層板の銅箔をエッチングすることで、ベース基材フィルム上に信号配線とグラウンド配線を形成する。次に、電磁波シールド性カバーレイフィルムの絶縁性接着剤層(C)側に積層された剥離性フィルムを剥がし、絶縁性接着剤層(C)を露出させ、前記ベース基材フィルム上の配線面と絶縁性接着剤層(C)面を重ね合わせ、加熱圧着し、絶縁性樹脂層(A)、導電層(B)、及び絶縁性接着剤層(C)を加熱硬化させる。続いて、グラウンド配線部分にドリルで貫通穴を形成する。最後に、前記貫通穴内部に導電性ペーストを充填・加熱硬化させ、電磁波シールド性カバーレイフィルムの導電層(B)とグラウンド配線を電気的に接続させ、フレキシブルプリント配線板を製造することができる。
本発明の電磁波シールド性カバーレイフィルムを使用したフレキシブルプリント配線板の第5の態様としては、ポリイミドフィルムに代表されるベース基材フィルムの片面に、銅箔が積層されてなる銅張り積層板の銅箔をエッチングすることで、ベース基材フィルム上に信号配線とグラウンド配線を形成する。次に、電磁波シールド性カバーレイフィルムの絶縁性接着剤層(C)側に積層された剥離性フィルムを剥がし、絶縁性接着剤層(C)を露出させ、前記ベース基材フィルム上の配線面と絶縁性接着剤層(C)面を重ね合わせ、加熱圧着し、絶縁性樹脂層(A)、導電層(B)、及び絶縁性接着剤層(C)を加熱硬化させる。続いて、グラウンド配線部分にドリルで貫通穴を形成する。最後に、電界メッキ法により、前記貫通穴内部に金メッキを施し、電磁波シールド性カバーレイフィルムとグラウンド配線を電気的に接続させ、フレキシブルプリント配線板を製造することができる。
本発明の電磁波シールド性カバーレイフィルムを使用したフレキシブルプリント配線板の第6の態様としては、ポリイミドフィルムに代表されるベース基材フィルムの片面に、銅箔が積層されている銅張り積層板の銅箔をエッチングすることで、ベース基材フィルム上に信号配線とグラウンド配線を形成する。次に、電磁波シールド性カバーレイフィルムの絶縁性接着剤層(C)側に積層された剥離性フィルムを剥がし、絶縁性接着剤層(C)を露出させ、前記ベース基材フィルム上の配線面と絶縁性接着剤層(C)面を重ね合わせ、加熱圧着し、絶縁性樹脂層(A)、導電層(B)、及び絶縁性接着剤層(C)を加熱硬化させる。続いて、グラウンド配線部分にドリルで貫通穴を形成する。最後に、ポリエステルフィルムの片面に、無電界メッキ法により形成した銅バンプを、前記貫通穴に重なる様に圧着させ、電磁波シールド性カバーレイフィルムとグラウンド配線を電気的に接続させ、フレキシブルプリント配線板を製造することができる。
本発明の電磁波シールド性カバーレイフィルムは、上述の片面フレキシブルプリント配線板以外に、両面フレキシブルプリント配線板、リジッドプリント配線板にも適用できる。
以下、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。実施例及び比較例において、「部」及び「%」とあるのは、「重量部」及び「重量%」をそれぞれ意味するものとする。
実施例中に記載した樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量は、GPC測定で求めたポリスチレン換算の重量平均分子量、及び数平均分子量であり、GPC測定の条件は、以下のとおりである。
装置:Shodex GPC System−21(昭和電工製)
カラム:Shodex KF−802、KF−803L、KF−805L
(昭和電工製)の合計3本を連結して使用。
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/min
温度:40℃
試料濃度:0.3重量%
試料注入量:100μl
<ポリウレタンポリイミド樹脂(D)の合成>
(合成例1)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた反応容器に、3−メチル−1と5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールから得られるMw=2000のポリカーボネートジオール270部、イソホロンジイソシアネート51部、トルエン220部を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら60℃まで昇温し、均一に溶解させた。続いて、これに触媒としてジブチル錫ジラウレート0.16部を投入し、100℃で3時間反応させ、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを得た。次に、シクロヘキサノン380部、無水ピロメリット酸29部を投入し、90℃で1時間攪拌後、ジメチルベンジルアミン3.5部を添加して135℃に昇温し、4時間反応させた。その後120℃に降温してEX−731(ナガセデナコール「EX−731」:ナガセケムテックス株式会社製)3.5部を添加し、120℃のまま6時間攪拌しMw=63000、酸価35mgKOH/gのポリウレタンポリイミド樹脂溶液を得た。これにシクロヘキサノンを加えて、不揮発分35%であるポリウレタンポリイミド樹脂(D)溶液を得た。
<ポリウレタンポリウレア樹脂(F)の合成>
(合成例2)
攪拌機、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、アジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールとから得られるMn=981であるジオール390部、ジメチロールブタン酸16部、イソホロンジイソシアネート158部、及びトルエン40部を仕込み、窒素雰囲気下90℃で3時間反応させた。これに、トルエン300部を加えて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。次に、イソホロンジアミン29部、ジ−n−ブチルアミン3部、2−プロパノール342部、及びトルエン576部を混合したものに、得られたウレタンプレポリマーの溶液814部を添加し、70℃で3時間反応させ、Mw=43,000、酸価10mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂の溶液を得た。これに、トルエン144部、2−プロパノール72部を加えて、不揮発分30%であるポリウレタンポリウレア樹脂(F)溶液を得た。
(実施例1)
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に剥離処理を施した剥離性フィルム1(以下、単に剥離性フィルム1という)の剥離処理面に、合成例1で得られたポリウレタンポリイミド樹脂溶液の樹脂分100部に対して、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「EP1031S」、以下1031Sという)20部を加えて得たポリウレタンポリイミド樹脂組成物を塗布・乾燥し、乾燥膜厚10μmの絶縁性樹脂層(A)を得た。次いで、前記絶縁性樹脂層(A)上に、厚さ0.1μmの銀薄膜を真空蒸着により形成し、絶縁性基材層(A)と導電層(B)の積層物を得た。続いて、合成例1で得られたポリウレタンポリイミド樹脂溶液の樹脂分100部に対して、1031Sを20部加えて得た接着剤を塗布・乾燥し、乾燥膜厚25μmの絶縁性接着剤層(C)を得た。次いで、前記絶縁性接着剤層(C)上に、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に剥離処理を施した剥離性フィルム(以下、単に剥離性フィルム2という)の剥離処理面を重ね合わせ電磁波シールド性カバーレイフィルムを作製した。
(実施例2)
剥離性フィルム1の剥離処理面に、合成例1で得られたポリウレタンポリイミド樹脂溶液の樹脂分100部に対して、1031Sを20部加えて得たポリウレタンポリイミド樹脂組成物を塗布・乾燥し、乾燥膜厚10μmの絶縁性樹脂層(A)を得た。次いで、前記絶縁性樹脂層(A)上に、厚さ0.1μmの銀薄膜を真空蒸着により形成し、絶縁性基材層(A)と導電層(B)の積層物を得た。続いて、合成例2で得られたポリウレタンポリウレア樹脂溶液の樹脂分100部に対して、1031Sを20部加えて得た接着剤を塗布・乾燥し、乾燥膜厚25μmの絶縁性接着剤層(C)を得た。次いで、前記絶縁性接着剤層(C)上に、剥離性フィルム2の剥離処理面を重ね合わせ電磁波シールド性カバーレイフィルムを作製した。
(実施例3)
剥離性フィルム1の剥離処理面に、合成例2で得られたポリウレタンポリウレア樹脂溶液の樹脂分100部に対して、1031Sを20部加えて得たポリウレタンポリウレア樹脂組成物を塗布・乾燥し、乾燥膜厚10μmの絶縁性樹脂層(A)を得た。次いで、前記絶縁性樹脂層(A)上に、厚さ0.1μmの銀薄膜を真空蒸着により形成し、絶縁性基材層(A)と導電層(B)の積層物を得た。続いて、合成例1で得られたポリウレタンポリイミド樹脂溶液の樹脂分100部に対して、1031Sを20部加えて得た絶縁性接着剤を塗布・乾燥し、乾燥膜厚25μmの絶縁性接着剤層(C)を得た。次いで、前記絶縁性接着剤層(C)上に、剥離性フィルム2の剥離処理面を重ね合わせ電磁波シールド性カバーレイフィルムを作製した。
(実施例4)
剥離性フィルム1の剥離処理面に、合成例2で得られたポリウレタンポリウレア樹脂溶液の樹脂分100部に対して、1031Sを20部加えて得たポリウレタンポリウレア樹脂組成物を塗布・乾燥し、乾燥膜厚10μmの絶縁性樹脂層(A)を得た。次いで、前記絶縁性樹脂層(A)上に、厚さ0.1μmの銀薄膜を真空蒸着により形成し、絶縁性基材層(A)と導電層(B)の積層物を得た。続いて、合成例2で得られたポリウレタンポリイミド樹脂溶液の樹脂分100部に対して、1031Sを20部加えて得た接着剤を塗布・乾燥し、乾燥膜厚25μmの絶縁性接着剤層(C)を得た。次いで、前記絶縁性接着剤層(C)上に、剥離性フィルム2の剥離処理面を重ね合わせ電磁波シールド性カバーレイフィルムを作製した。
(実施例5)
剥離性フィルム1の剥離処理面に、合成例1得られたポリウレタンポリイミド樹脂溶液の樹脂分100部に対して、1031Sを20部加えて得たポリウレタンポリイミド樹脂組成物を塗布・乾燥し、乾燥膜厚10μmの絶縁性樹脂層(A)を得た。次いで、前記絶縁性樹脂層(A)上に、合成例2で得られたポリウレタンポリウレア樹脂溶液の樹脂分100部に対して、銀フィラー(福田金属工業社製「ナノメルトAG−XF301」、以下AG−XF301という)150部、1031Sを10部加えて得た樹脂組成物を塗布・乾燥し、乾燥膜厚5μmの導電層(B)を得た。続いて、次いで、剥離性フィルム2の剥離処理面上に、合成例1で得られたポリウレタンポリイミド樹脂100部に、1031Sを20部加えて得た接着剤を塗布・乾燥し、乾燥膜厚25μmの絶縁性接着剤層(C)を得た。次いで、前記導電層(B)と絶縁性接着剤層(C)を重ね合わせ電磁波シールド性カバーレイフィルムを作製した。
(実施例6)
剥離性フィルム1の剥離処理面に、合成例1得られたポリウレタンポリイミド樹脂溶液の樹脂分100部に対して、1031Sを20部加えて得たポリウレタンポリイミド樹脂組成物を塗布・乾燥し、乾燥膜厚10μmの絶縁性樹脂層(A)を得た。次いで、前記絶縁性樹脂層(A)上に、合成例2で得られたポリウレタンポリウレア樹脂100部に対して、AG−XF301を150部、1031Sを10部加えて得た樹脂組成物を塗布・乾燥し、乾燥膜厚5μmの導電層(B)を得た。続いて、次いで、剥離性フィルム2の剥離処理面上に、合成例2で得られたポリウレタンポリウレア樹脂溶液の樹脂分100部に、1031Sを20部加えて得た接着剤を塗布・乾燥し、乾燥膜厚25μmの絶縁性接着剤層(C)を得た。次いで、前記導電層(B)と絶縁性接着剤層(C)を重ね合わせ電磁波シールド性カバーレイフィルムを作製した。
(実施例7)
剥離性フィルム1の剥離処理面に、合成例2得られたポリウレタンポリウレア樹脂溶液の樹脂分100部に対して、1031Sを20部加えて得たポリウレタンポリウレア樹脂組成物を塗布・乾燥し、乾燥膜厚10μmの絶縁性樹脂層(A)を得た。次いで、前記絶縁性樹脂層(A)上に、合成例2で得られたポリウレタンポリウレア樹脂溶液の樹脂分100部に対して、AG−XF301を150部、1031Sを10部加えて得た樹脂組成物を塗布・乾燥し、乾燥膜厚5μmの導電層(B)を得た。続いて、次いで、剥離性フィルム2の剥離処理面上に、合成例1で得られたポリウレタンポリイミド樹脂100部に、1031Sを20部加えて得た接着剤を塗布・乾燥し、乾燥膜厚25μmの絶縁性接着剤層(C)を得た。次いで、前記導電層(B)と絶縁性接着剤層(C)を重ね合わせ電磁波シールド性カバーレイフィルムを作製した。
(実施例8)
剥離性フィルム1の剥離処理面に、合成例2得られたポリウレタンポリウレア樹脂溶液の樹脂分100部に対して、1031Sを20部加えて得たポリウレタンポリウレア樹脂組成物を塗布・乾燥し、乾燥膜厚10μmの絶縁性樹脂層(A)を得た。次いで、前記絶縁性樹脂層(A)上に、合成例2で得られたポリウレタンポリウレア樹脂溶液の樹脂分100部に対して、AG−XF301を150部、1031Sを10部加えて得た樹脂組成物を塗布・乾燥し、乾燥膜厚5μmの導電層(B)を得た。続いて、次いで、剥離性フィルム2の剥離処理面上に、合成例2で得られたポリウレタンポリウレア樹脂100部に、1031Sを20部加えて得た接着剤を塗布・乾燥し、乾燥膜厚25μmの絶縁性接着剤層(C)を得た。次いで、前記導電層(B)と絶縁性接着剤層(C)を重ね合わせ電磁波シールド性カバーレイフィルムを作製した。
(比較例1)
厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン製「カプトン100H」)の片面に、合成例1で得られたポリウレタンポリイミド樹脂溶液の樹脂分100部に、1031Sを20部加えて得られた接着剤を塗布・乾燥し、乾燥厚み25μmの接着剤層を形成した。次いで、前記絶縁性接着剤層の表面に、剥離フィルム2を重ね合わせ、ポリイミドフィルム/絶縁性接着剤層/剥離性フィルム2の構成のカバーレイフィルムを得た。
前記カバーレイフィルムのポリイミドフィルム面に、市販の電磁波シールド性接着性フィルム(タツタシステム・エレクトニクス製「SF−PC1000」)から保護フィルムを剥がして露出させた導電性接着剤層面を、150℃、0.1MPa、2M/分の加熱ロールラミネーターを用いて貼り合せ、カバーレイフィルムと電磁波シールド性接着性フィルムの積層物を作製した。
(比較例2)
厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン製「カプトン100H」)の片面に、厚み0.1μmの銀薄膜層を真空蒸着により形成した。次いで、合成例1で得られたポリウレタンポリイミド樹脂溶液の樹脂分100部に、1031Sを20部加えて得られた接着剤を塗布・乾燥し、乾燥厚み25μmの絶縁性接着剤層を形成した。更に、前記絶縁性接着剤層上に、剥離性フィルム2の剥離処理面を重ね合わせ、ポリイミドフィルム/銀薄膜層/絶縁性接着剤層/剥離性フィルム2の構成からなるカバーレイフィルムを作製した。
(比較例3)
厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン製「カプトン100H」)の片面に、厚み0.1μmの銀薄膜層を真空蒸着により形成した。次いで、合成例2で得られたポリウレタンポリイミド樹脂溶液の樹脂分100部に、1031Sを20部加えて得られた接着剤を塗布・乾燥し、乾燥厚み25μmの絶縁性接着剤層を形成した。更に、前記絶縁性接着剤層上に、剥離性フィルム2の剥離処理面を重ね合わせ、ポリイミドフィルム/銀薄膜層/絶縁性接着剤層/剥離性フィルム2の構成からなるカバーレイフィルムを作製した。
各実施例、及び各比較例で得られた電磁波シールド性カバーレイフィルムについて、電磁波シールド性、耐屈曲性、絶縁性を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
(電磁波シールド性の評価)
150mm角の電磁波シールド性カバーレイフィルム、及び比較例1で示したカバーレイフィルムと電磁波シールド性接着性フィルムの積層物の四辺の端から10mmの位置に3mmφの貫通穴を、各辺に10個ずつ均等に形成した後、前記電磁波シールド性カバーレイフィルムから剥離性フィルム2を、及び比較例1で示したカバーレイフィルムと電磁波シールド性接着性フィルムの積層物のカバーレイフィルムの剥離性フィルム2を剥がし、露出した絶縁性接着剤層(C)を、厚み25μmのポリイミドフィルム上に、厚み12μmの銅箔が積層された銅張り積層板の銅箔面上に、150℃、1MPa、60minの条件で圧着し、絶縁性樹脂層(A)、導電層(B)、及び絶縁性接着剤層(C)を硬化させた。次に、前記貫通穴内部に、銀ペースト(アサヒ化学研究所製「LS−411MK」)を充填し、剥離フィルム1を除去した後、150℃、30min乾燥した。
上記方法により作製した試料を用いて、スペクトラムアナライザーを備えた電磁波シールド性測定機(ADVANTEST製「TR 17301」)により、1GHz時の電磁波シールド性を評価した。評価基準は以下の通り。
◎:50dB以上
○:40dB以上50dB未満
△:30dB以上40dB未満
×:30dB未満
(耐屈曲性の評価)
幅60mm、長さ120mmの電磁波シールド性カバーレイフィルムから剥離性フィルム2を、及び比較例1で示したカバーレイフィルムと電磁波シールド性接着性フィルムの積層物からカバーレイフィルムの剥離性フィルム2を剥がし、露出した絶縁性接着剤層(C)を、厚み25μmのポリイミドフィルム上に、厚み12μmの銅箔からなる配線パターン(ライン/スペース=1mm/1mm)が形成された配線板の配線面に、150℃、1MPa、60minの条件で圧着し、絶縁性樹脂層(A)、導電層(B)、及び絶縁性接着剤層(C)を硬化させた。
剥離フィルム1を除去し、曲率半径1.14mm、荷重500g、速度180回/minの条件でMIT屈曲試験機にかけ、回路パターンが断線するまでの回数により耐屈曲性を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:50000回以上
○:30000回以上500000回未満
△:10000回以上30000回未満
×:10000回未満
(絶縁性の評価)
幅20mm、長さ40mmの電磁波シールド性カバーレイフィルムから剥離性フィルム2を、及び比較例1で示したカバーレイフィルムと電磁波シールド性接着性フィルムの積層物のカバーレイフィルムの剥離性フィルム2を剥がし、露出した絶縁性接着剤層(C)を、厚み25μmのポリイミドフィルム上に、厚み12μmの銅箔からなる櫛型配線パターン(ライン/スペース=0.1mm/0.1mm)が形成された配線板の配線面に、150℃、1MPa、60minの条件で圧着し、絶縁性樹脂層(A)、導電層(B)、及び絶縁性接着剤層(C)を硬化させた。
剥離フィルム1を除去した後、マイグレーション測定機(IMV製「MIG8600B」)を用いて、前記配線板に電圧50Vを印加し、85℃85%RH環境下、1000時間の櫛型配線パターンの抵抗値を連続的に測定し、リークタッチの回数、及び1000時間後の抵抗値により絶縁性を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:リークタッチなし、及び1000時間後の抵抗値が108Ω以上
○:リークタッチなし、1000時間後の抵抗値が107Ω以上108Ω未満
△:リークタッチ1回以下、1000時間後の抵抗値が107Ω以上108Ω未満
×:リークタッチ2回以上、1000時間後の抵抗値が107Ω未満
Figure 2010238870
表1に示すように、絶縁性樹脂層(A)と、導電層(B)と、絶縁性接着剤層(C)とを積層した実施例1〜実施例8の電磁波シールド性カバーレイフィルムは、電磁波シールド性、耐屈曲性、及び絶縁性が良好であったのに対し、比較例1〜比較例3の電磁波シールド性接着性フィルム等は、耐屈曲性が不良であり、全てが良好となるものは得られなかった。
以上より本発明の電磁波シールド性カバーレイフィルムを用いてフレキシブルプリント配線板を製造することで薄膜化と工程簡略化による製造コストの低減が可能になると同時に優れた屈曲性も得られた。

Claims (7)

  1. 絶縁性樹脂層(A)と、導電層(B)と、絶縁性接着剤層(C)とが順次積層されてなる電磁波シールド性カバーレイフィルム。
  2. 絶縁性樹脂層(A)が、ポリウレタンポリイミド樹脂組成物(I)、または、ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)から形成されるものであって、
    前記ポリウレタンポリイミド樹脂組成物(I)が、ポリマーポリオール(a1)及びジイソシアネート化合物(a2)を反応させて得られる末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a3)と、四塩基酸無水物(a4)を反応させて末端酸無水物基含有樹脂(a5)を生成し、さらに、前記末端酸無水物基含有樹脂(a5)及び鎖延長剤(a6)を反応させて得られるポリウレタンポリイミド樹脂(D)と、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(E)とを含有してなり、
    また、前記ポリウレタンポリウレア樹脂組成物(II)が、カルボキシル基を有するジオール化合物(b1)、数平均分子量500〜8000の(b1)以外のポリマーポリオール(b2)及びジイソシアネート化合物(b3)を反応させて得られる末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(b4)と、ポリアミノ化合物(b5)とを反応させて得られるポリウレタンポリウレア樹脂(F)と、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(E)とを含有してなることを特徴とする請求項1記載の電磁波シールド性カバーレイフィルム。
  3. 導電層(B)が、金属箔、金属蒸着膜、金属スパッタ膜及び導電性フィラーからなる群から選択される1種以上の導電性物質を含むことを特徴とする請求項1または2記載の電磁波シールド性カバーレイフィルム。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の電磁波シールド性カバーレイフィルムに貫通穴を形成し、その絶縁性接着剤層(C)面をフレキシブルプリント配線板用配線回路の配線回路面へ重ね合わせ、加熱して絶縁性樹脂層(A)、導電層(B)及び絶縁性接着剤層(C)を硬化し、さらに前記貫通穴の内部において、導電層(B)と配線回路とを電気的に接続することを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造方法。
  5. 請求項1〜3いずれか記載の電磁波シールド性カバーレイフィルムの絶縁性接着剤層(C)面をフレキシブルプリント配線板用配線回路の配線回路面へ重ね合わせ、加熱して絶縁性樹脂層(A)、導電層(B)及び絶縁性接着剤層(C)を硬化し、前記電磁波シールド性カバーレイフィルムを積層したフレキシブルプリント配線板に貫通穴を形成し、さらに前記貫通穴の内部において、導電層(B)と配線回路とを電気的に接続することを特徴とするフレキシブルプリント配線板の製造方法。
  6. 導電層(B)と配線回路とを、導電性ペースト、導電性バンプ及びメッキ処理からなる群より選択されるいずれかを用いて電気的に接続することを特徴とする請求項4記載または5記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
  7. 請求項4〜6いずれか記載の製造方法により製造されてなるフレキシブルプリント配線板。
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