JP2010237419A - 反射防止体 - Google Patents

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頼成 石井
Morimichi Ito
盛通 伊藤
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Abstract

【課題】大気圧下において低コストで作製でき、量産性に優れ、広い波長範囲と入射角範囲をカバーし、また、機械的強度に優れた反射防止体を提供すること。
【解決手段】この発明の反射防止体は、光反射を防止すべき基材3上に、基材3側から順に設けられた中間層2と低屈折率層1とを備える。低屈折率層1上に存在する光入射側媒体80の屈折率をn、低屈折率層1の屈折率をn、中間層2の屈折率をn、基材3の屈折率をn、低屈折率層1の厚みをd、中間層2の厚みをd、反射を防止すべき光の中心波長をλとしたとき、次式(1)から(5)までが成り立つ。
>n>n>n …(1)
=n+0.8*(n−n) …(2)
=(n*n0.5 …(3)
=λ/(4*n) …(4)
=λ/(4*n) …(5)
【選択図】図1A

Description

この発明は反射防止体に関し、より詳しくは、撮像装置用レンズ、ディスプレイ装置および太陽電池等の光学機器に設けられる反射防止体に関する。
液晶ディスプレイやCRTディスプレイなど各種のディスプレイ装置、例えば家庭用テレビ受像機の画面(前面ガラス)に外光や室内の照明などが映り込み、フレネル反射により反射されて人の目に入ると、本来のテレビ映像の視認性が著しく低下することがある。また、カメラ等撮像装置用のレンズにおいても、フレネル反射はフレアやゴーストの原因となる。また、太陽電池においては、フレネル反射は変換効率の低下に繋がる。このため、これらの光学機器では、可視光域を含む広い光波長域でフレネル反射を防止する必要がある。
フレネル反射を防止するための反射防止技術として、従来から、誘電体多層膜を設ける技術と、微細凹凸からなる反射防止構造を設ける技術(例えば、特許文献1(特開2002−267815号公報)参照。)とが知られている。
前者の誘電体多層膜を設ける場合は、広帯域の波長に対して反射率を小さくしようとすると、積層する誘電体膜の層数を増加させる必要がある。例えば、350nm〜750nmのほぼ可視光域をカバーする場合、約6層の高屈折率層と低屈折率層を交互に積層する必要がある。積層には真空装置を使用するため、層数が多いほど高コストになる。また、上記誘電体多層膜の材料としては、屈折率の選択に問題がある樹脂材料を避けて、無機材料が用いられる。しかし、無機材料を樹脂基材上に形成すると、線膨張率の違い等によって機械的強度に問題が生ずる。
後者の特許文献1(特開2002−267815号公報)の反射防止構造は、透明性成形品の表面に、光透過性材料から成る微細凹凸を光の波長以下のピッチで形成することによって、光の屈折率が厚み方向に変化するようにしたものである(モスアイ構造と呼ばれる)。この反射防止構造においては、例えば波形あるいは鋸歯状の無数の微細凹凸が表面に形成されていることによって、凹凸の最表面では透明性素材の存在割合が限りなく0%に近いものとなって、実質的に空気の屈折率である1.0に等しくなる一方、凹凸の最底部では逆に空気の存在割合が限りなく0%に近いものとなって素材の屈折率と等しくなり、また、中間部ではその断面における透明性素材の占める断面積に応じた中間的な屈折率となる。この結果、光の屈折率が当該反射防止構造の厚み方向に、空気の屈折率から透明性素材の屈折率の間で連続的に変化するようになることから、誘電体多層膜よりも優れた反射防止性能を発揮するものとなる。しかしながら、このように微細凹凸構造で反射率を低減する場合、微細凹凸の作製可能な高さである200nm程度では、可視光域の一部の波長で、1%弱の反射が見られる。また、入射角が大きくなった場合に反射率が高くなるという問題がある。また、表面の磨耗が生じる等の機械的強度が弱いという問題がある。
特開2002−267815号公報
そこで、この発明の課題は、大気圧下において低コストで作製でき、量産性に優れ、広い波長範囲と入射角範囲をカバーし、また、機械的強度に優れた反射防止体を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の反射防止体は、
光反射を防止すべき基材上に、上記基材側から順に設けられた中間層と低屈折率層とを備え、
上記低屈折率層上に存在する光入射側媒体の屈折率をn、上記低屈折率層の屈折率をn、上記中間層の屈折率をn、上記基材の屈折率をn、上記低屈折率層の厚みをd、上記中間層の厚みをd、反射を防止すべき光の中心波長をλとしたとき、次式(1)から(5)までが成り立つことを特徴とする。
>n>n>n …(1)
=n+0.8*(n−n) …(2)
=(n*n0.5 …(3)
=λ/(4*n) …(4)
=λ/(4*n) …(5)
本明細書で、或る層が複数種類の要素からなる場合は、その層の「屈折率」は等価屈折率を意味する。
また、*は積を表す記号である。
この発明の反射防止体によれば、中間層と低屈折率層との2層という製造容易な少ない層数で、広い波長範囲と広い入射角範囲での反射防止が可能となる。例えば、コンパクトデジタルカメラや携帯電話用カメラに使用されるレンズ、液晶ディスプレイ等表示素子においては、可視光域全域で、また広い入射角範囲で反射を低減できる。また、太陽電池においても、太陽光スペクトルと例えばシリコン等の分光感度で決まる高変換効率の波長範囲で反射を防止でき、変換効率の向上が可能となる。また、基材の材料としては、石英のような屈折率の低いものから、シリコンのような屈折率の高いものまで、殆どの光学材料に適用できる。また、この反射防止体は、大気圧下において低コストで作製でき、量産性に優れる。
一実施形態の反射防止体では、
上記低屈折率層は、上記波長λ以下のサイズをもつ複数の光透過体を、隣り合う上記光透過体同士の間に上記波長λ以下のサイズの空間をあけて、層状に配置して構成され、
上記空間が上記光入射側媒体と同じ媒体で満たされていることを特徴とする。
上記低屈折率層の屈折率nをそれ自体で実現する材料が存在しない場合がある。ここで、この一実施形態の反射防止体では、上記低屈折率層の屈折率nは、等価屈折率の原理によって、上記光透過体の屈折率と上記空間を満たす上記媒体の屈折率nとを合成したものとなる。したがって、上記低屈折率層の屈折率nをそれ自体で実現する材料が存在しない場合であっても、上記低屈折率層は人工的に作製され得る。
一実施形態の反射防止体では、
上記中間層は、上記波長λ以下のサイズをもつ複数の光透過体を、隣り合う上記光透過体同士の間に上記波長λ以下のサイズの空間をあけて、層状に配置して構成され、
上記空間が上記光入射側媒体と同じ媒体で満たされていることを特徴とする。
上記中間層の屈折率nをそれ自体で実現する材料が存在しない場合がある。ここで、この一実施形態の反射防止体では、上記中間層の屈折率nは、等価屈折率の原理によって、上記光透過体の屈折率と上記空間を満たす上記媒体の屈折率nとを合成したものとなる。したがって、上記中間層の屈折率nをそれ自体で実現する材料が存在しない場合であっても、上記中間層は人工的に作製され得る。
一実施形態の反射防止体では、上記光透過体は実質的に球状の粒子からなることを特徴とする。
この一実施形態の反射防止体では、上記低屈折率層または上記中間層を形成するために、ナノ粒子のスプレー塗布やナノインプリント等のように、大気圧下において実施可能な低コストの製法を適用できる。したがって、この発明の反射防止体は量産性に優れる。
一実施形態の反射防止体では、
上記低屈折率層と上記中間層は、上記基材の表面に設けられた同一の光透過性材料からなり、
上記低屈折率層と上記中間層の屈折率n,nは、上記光透過性材料の表面に形成された、反射を防止すべき光の最短波長以下の面方向ピッチをもつ凹凸構造によって等価的に規定されていることを特徴とする。
この一実施形態の反射防止体では、上記低屈折率層と上記中間層の屈折率n,nを所望の値に容易に設定できる。上記低屈折率層と上記中間層を形成するために、ナノインプリント等のように大気圧下において実施可能な低コストの製法を適用できる。上記低屈折率層と上記中間層を1回の処理で形成することもできる。したがって、この発明の反射防止体は量産性に優れる。
一実施形態の反射防止体では、上記凹凸構造は、上記光透過性材料の表面から上記低屈折率層と上記中間層との境界に相当する深さまで形成された第1凹部と、上記第1凹部の底面から深さ方向に形成された第2凹部とを有することを特徴とする。
本明細書で、「面方向」とは上記基板の表面に沿った方向を意味する。「深さ方向」は、面方向に対して垂直な方向である。
この一実施形態の反射防止体では、上記低屈折率層と上記中間層の屈折率n,nを所望の値にさらに容易に設定できる。
一実施形態の反射防止体では、上記光透過性材料は上記基材の一部からなることを特徴とする。
この一実施形態の反射防止体では、ハードコート材や防汚材を基材として採用し、その基材の表面を加工することによって、上記基材の表面に上記低屈折率層と上記中間層を形成できる。そのようにした場合、反射防止と、耐掻傷性等の機械的強度や防汚性若しくはその両方を同時に実現することが可能となる。
一実施形態の反射防止体では、それぞれ上記基材の屈折率が1.5、上記中間層の屈折率が1.4、上記低屈折率層の屈折率が1.2であることを特徴とする。
この一実施形態の反射防止体は、広い波長範囲と入射角範囲で反射率を低く抑えることができる。
以上より明らかなように、この発明の反射防止体は、大気圧下において低コストで作製でき、量産性に優れ、広い波長範囲と入射角範囲をカバーし、また、機械的強度に優れる。
本発明の一実施形態の反射防止体の基本的な構成を示す断面図である。 図1Aの反射防止体の構成を具体化した例を示す断面図である。 図1Aの反射防止体の構成を具体化した別の例を示す断面図である。 図1Aの反射防止体と従来の反射防止構造との間で、反射率の波長依存性をシミュレーションにより比較した結果を示すグラフである。 上記反射防止体とモスアイ構造との間で、反射率の入射角度依存性を比較した結果を示すグラフである。 上記反射防止体の反射率の波長依存性を、低屈折率層の屈折率をパラメータとして示すグラフである。 上記反射防止体の反射率の波長依存性を、中間層の屈折率をパラメータとして示すグラフである。 シリコン結晶系太陽電池の半導体表面に適用するように設定された上記反射防止体と通常シリコンに使用される屈折率2.1の単層反射防止膜との間で、反射率の波長依存性を比較した結果を示すグラフである。 サイン波状モスアイ構造の反射率の凹凸膜厚依存性を、入射光の波長をパラメータとして求めた計算結果を示す図である。 上記反射防止体の反射率の波長依存性を、基材の屈折率をパラメータとして示すグラフである。 図1Aの反射防止体の構成を具体化したさらに別の例を示す断面図である。 図9の断面をもつ反射防止体の平面レイアウトを例示する図である。 図9の断面をもつ反射防止体が取りうる別の平面レイアウトを示す図である。 図1Aの反射防止体の構成を具体化したさらに別の例を示す断面図である。 図11に示した反射防止体の防汚性を説明する断面図である。 一般的な防汚材にオレイン酸滴を滴下したときの接触角を示す図である。 本発明の一実施形態の反射防止体を表面に備えた防汚材にオレイン酸滴を滴下したときの接触角を示す図である。
(第1実施形態)
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態の反射防止体(符号10Aで示す。)の基本的な構成を示している。
この反射防止体10Aは、光反射(フレネル反射)を防止すべき面3aをもつ基材3上に、基材3の面3a側から順に設けられた中間層2と低屈折率層1とを備えている。中間層2と低屈折率層1の構成については、後述する。低屈折率層1上には、光入射側媒体80が存在する。反射を防止すべき光(図示せず)は、光入射側媒体80側から基材3へ向かって入射する。
なお、この例では、基材3の光反射を防止すべき面3aは平面状とする。ただし、基材3がレンズ等である場合は、図1のスケールでは曲率半径の非常に大きな曲面となる。光反射を防止すべき面がそのような曲面であっても、本発明は適用され得る。また、液晶パネルや太陽電池に用いられる場合は基材3の下部に偏光フィルムや保護フィルム等が別途設けられる。
この反射防止体10Aでは、光入射側媒体80の屈折率をn、低屈折率層1の屈折率をn、中間層2の屈折率をn、基材3の屈折率をn、低屈折率層1の厚みをd、中間層2の厚みをd、反射を防止すべき光の中心波長をλとしたとき、次式(1)から(5)までが成り立つ。
>n>n>n …(1)
=n+0.8*(n−n) …(2)
=(n*n0.5 …(3)
=λ/(4*n) …(4)
=λ/(4*n) …(5)
式(3)、(4)により、低屈折率層1の表面と、低屈折率層1と中間層2との界面からの反射光の干渉による反射防止効果を図っている。
また、式(2)、(5)により、中間層2と基材3との界面からのわずかな反射光と、上記式(3)、(4)による干渉光との更なる干渉により、反射防止波長の広帯域化を図っている。
図2のグラフは、この反射防止体10Aと従来の様々な反射防止構造との間で、反射率の波長依存性をシミュレーションで比較したものである。図2の横軸は波長(nm)、縦軸は反射率(%)を示す。図2中には、一般的な「誘電体多層膜」と、微細凹凸構造である「モスアイ」と、単層の「低屈折率膜」と、反射防止体10A(図2中に「低屈折率膜+中間層」と表す。)との反射率をそれぞれ示している。
光入射側媒体80として屈折率nが1.0の空気、基材3として屈折率nが1.5のプラスチックフィルムを想定している。nは略1.2、nは1.4、中心波長λを550nmとした。式(4)、(5)より低屈折率層1の厚みdは117nm、中間層2の厚みdは98nmとなる。
一般的な「誘電体多層膜」は、光入射側からMgF(屈折率1.38)/SiN(屈折率2.1)/Al(屈折率1.65)の3層構造であって、それらの厚みが順にλ/4、λ/2、λ/4であるものとした。
微細凹凸構造である「モスアイ」は、厚みが200nmのサイン波状の凹凸をもつものとした。
また、単層の「低屈折率膜」は、屈折率が1.2、厚みがλ/4の膜とした。
図2のシミュレーション結果から分かるように、本発明の一実施形態の反射防止体10Aのみが、400〜750nmの広い波長範囲で、0.25%以下の低い反射率(記号●で示す。)を示した。
さて、上の例では、低屈折率層2の屈折率nは略1.2としたが、屈折率が1.3以下の材料は存在しない。しかしながら、知られているように、波長λ以下のサイズで屈折率の異なる2つの物質を混合した場合、等価屈折率と呼ばれる2つの物質の平均屈折率に近い人工的な屈折率が得られる。そこで、この実施形態では、屈折率が1.3以下である低屈折率層1を、光入射側媒体80と同じ材料であり屈折率が1である空気と、波長以下のサイズの光透過体である粒子や構造体とを、波長λ以下のピッチで混合して形成する。
また、上の例では、中間層2の屈折率nは略1.4とした。この中間層2は、低屈折率層1と同様に、等価屈折率の原理で、屈折率が1である空気と、波長λ以下のサイズの光透過体である粒子や構造体とを混合して形成することも可能である。しかし、フッ素樹脂が分子レベルで物質の密度を下げ、その結果低屈折率材料が得られることを利用して、中間層2をMgFやフッ素樹脂等の低屈折率材料自体で形成することも可能である。
図1Bは、図1Aの反射防止体10Aの構成を具体化した例(符号10Bで示す。)であって、低屈折率層11がナノ粒子と空気とを混合して構成されたものを示している。
この反射防止体10Bでは、低屈折率層11は、波長λ以下のサイズx11aをもつ複数の光透過体としてのフッ素樹脂からなる球状のナノ粒子11aを、隣り合うナノ粒子同士の間に波長λ以下のサイズx11vの空間11vをあけて、層状に配置して構成されている。空間11vは、光入射側媒体80と同じ媒体としての空気で満たされている。ナノ粒子11aのサイズx11aはナノ粒子の外径である。空間11vのサイズx11vは最大でナノ粒子の外径に等しい。低屈折率層11の屈折率nは、ナノ粒子と空気との混合物の等価屈折率で規定され、略1.2になっている。
また、中間層12は、この例ではフッ素樹脂膜等の比較的低屈折率材料自体で形成されている。中間層12の屈折率nは略1.4になっている。
図1Cは、図1Aの反射防止体10Aの構成を具体化した例(符号10Cで示す。)であって、低屈折率層21と中間層22がいずれもナノ粒子と空気とを混合して構成されたものを示している。
この反射防止体10Cでは、低屈折率層21は、波長λ以下のサイズx21aをもつ複数の光透過体としてのシリカからなる球状のナノ粒子21aを、隣り合うナノ粒子同士の間に波長λ以下のサイズx21vの空間21vをあけて、比較的低密度で層状に配置して構成されている。空間21vは、光入射側媒体80と同じ媒体としての空気で満たされている。ナノ粒子21aのサイズx21aはナノ粒子の外径である。空間21vのサイズx21vはこの例では最大でナノ粒子の外径の略2倍に等しい。低屈折率層21の屈折率nは、比較的低密度のナノ粒子と空気との混合物の等価屈折率で規定され、略1.2になっている。
また、中間層22は、波長λ以下のサイズx22aをもつ複数の光透過体としてのシリカからなる球状のナノ粒子22aを、隣り合うナノ粒子同士の間に波長λ以下のサイズx22vの空間22vをあけて、比較的高密度で層状に配置して構成されている。空間22vは、光入射側媒体80と同じ媒体としての空気で満たされている。ナノ粒子22aのサイズx22aはナノ粒子の外径である。空間22vのサイズx22vはこの例では最大でナノ粒子の外径に等しい。中間層22の屈折率nは、比較的高密度のナノ粒子と空気との混合物の等価屈折率で規定され、略1.4になっている。
ナノ粒子のサイズの上限と下限については、次のように考えられる。まず、上記サイズの上限は、撮像やディスプレイ用途の場合は回折現象を防止する必要があるため、反射すべき波長範囲のうちの最短波長λminの半分以下であるのが好ましい。最短波長λminが400nmであれば、ナノ粒子と空間とのいずれも200nm以下であるのが好ましい。一方、上記サイズの下限は、膜厚精度等考慮すると小さければ小さいほどよいが、小さくなると成膜に時間がかかるようになる。よって、上記サイズの下限はコストや処理能力との兼ね合いで決定する。
図3のグラフは、上記反射防止体10A(反射防止体10B,10Cでも良い。以下同様。)と従来の様々な反射防止構造のうち比較的入射角依存性が小さいモスアイ構造との間で、反射率の入射角度依存性を比較したものである。図3の横軸は基材面3aに対する法線から測った入射角(deg)、縦軸は反射率(%)を示す。上記反射防止体(図3中に「低屈折+中間層」と表す。)10Aとモスアイ構造について、波長400nm,575nm,750nmの3波長でそれぞれ反射率を比較した。図3から分かるように、上記反射防止体10Aは、モスアイよりも広い入射角まで低い反射率を実現できる。したがって、上記反射防止体10Aを例えばディスプレイ用途等に適用すれば、広い波長範囲で視野角による色つき等を防止でき、好適である。
次に、低屈折率層1と中間層2の屈折率n,nが変動したときの許容範囲について考察する。図4のグラフは、上記反射防止体10Aの反射率の波長依存性を、低屈折率層1の屈折率nをパラメータとして示している。屈折率nは、1.2から1.18まで変化させている。また、図5のグラフは、上記反射防止体10Aの反射率の波長依存性を、中間層2の屈折率nをパラメータとして示している。屈折率nは、1.4から1.38まで変化させている。使用用途にもよるが、図4と図5から、低屈折率層1と中間層2の屈折率n,nについては、いずれも、その屈折率n,nと入射側媒体80の屈折率nとの差の約10%〜15%程度の変動が許容されることが分かる。
液晶ディスプレイ用途では、基材3が液晶偏光板保護用TAC(セルローストリアセテート)樹脂であり、その屈折率nは約1.5となる。入射側媒体80が空気であり、その屈折率nは1.0となる。低屈折率層1の屈折率nは略1.18となる。中間層2の屈折率nは略1.4となる。中心波長λは550nmとなる。したがって、図2〜図5の結果がそのまま適用される。液晶ディスプレイ用途では、反射率が0.3%以下であれば極めてコントラストの高い映像が得られる。図2〜図5の結果より、低屈折率層1と中間層2の屈折率n,nについては、いずれも、その屈折率n,nと入射側媒体80の屈折率nとの差の約10%〜15%程度の変動があったとしても、可視光域である400nm〜750nmの波長範囲で反射率を0.3%以下に低減できる。また、上記反射防止体10Aの低屈折率層1や中間層2の厚みd、dについては、仮に±15%変動したとしても、図3、図4のグラフが左右にシフトするだけであり、可視光の波長範囲全域で反射率が大きくなることはない。低波長域は長波長域に対して、反射率の波長依存性が大きく、波長変動等で反射率が増加しやすい傾向がある。したがって、用途によっては、予め中心波長λを長波長側にシフトさせる等の工夫を行って対応すれば良い。なお、上記反射防止体10B,10Cのように低屈折率層や中間層が光透過体と空気とを混合して形成されている場合、当然ながら、式(4)、式(5)中の屈折率n,nには光透過体の材料自体の屈折率でなく、等価屈折率を適用する必要がある。
また、コンパクトデジタルカメラや携帯電話用カメラのレンズへの用途では、基材3がガラス若しくはアクリルやポリオレフィン系の樹脂であり、その屈折率nは約1.5となる。入射側媒体80が空気であり、その屈折率nは1.0となる。反射防止に必要な波長範囲が上記液晶ディスプレイ用途と同じ可視光域であるため、図2〜図5の結果がそのまま適用される。
また、基材3の屈折率nが1.5以外の材料へも本発明は適用できる。図8のグラフは、上記反射防止体10Aの反射率の波長依存性を、基材3の屈折率nをパラメータとして示している。屈折率nは、石英に相当する1.46から1.7まで変化させている。中心波長λは500nm、入射側媒体80は空気であり、その屈折率n=1.0とした。図8から分かるように、上記反射防止体10Aでは、基材3の屈折率nが1.46から1.7まで変化したとしても、広い波長範囲で反射を防止できている。撮像やディスプレイの用途では、基材3の屈折率nが1.46から1.7までの場合に限られ、それ以外の屈折率をもつ基材は殆ど使用されない。したがって、上記反射防止体は、撮像やディスプレイの用途のほぼ全てのケースで適用され得る。低屈折率層1および中間層2の屈折率については、既述のように等価屈折率の原理により、ナノ粒子等を利用して人工的に設定できる。したがって、本発明の適用範囲は広い。
(第2実施形態)
本発明の反射防止体を太陽電池に適用する場合について説明する。
まず、上記反射防止体10Aをシリコン結晶系太陽電池のカバーガラスに適用する場合について述べる。
太陽光スペクトルと結晶シリコンの分光感度によれば、太陽光の反射を低減若しくは防止する好適な中心波長は650nm付近であり、反射すべき光の波長範囲は±200nmである。この波長範囲で反射率を0.5%以下にすれば、高い変換効率が得られる。そこで、この場合は、上記式(4)、(5)において中心波長λを650nmに設定すれば良い。太陽光スペクトルと結晶シリコンの分光感度を考慮した試算によれば、シリコン結晶系太陽電池のカバーガラスを基材として上記反射防止体10Aを設けた場合、反射防止体がない場合に対して約4%の変換効率改善が図れた。
次に、上記反射防止体10Aを、化合物半導体を使用した集光系太陽電池に適用する場合について述べる。
集光系太陽電池には、光反射(フレネル反射)を防止すべき面として、1次集光系である集光レンズの上下の2面と化合物半導体側の2次的な集光系の面との計3面が存在する。化合物半導体を使用した集光系太陽電池の場合、タンデムやトリプル構造が採用され、特定の層が特定の波長範囲を光電変換するようになっている。各変換層の変換効率に差が有り、最も光電流の低い層に変換効率は律速される。一般的には350nm〜650nm付近の波長帯域の光電流が低い傾向にある。この場合は、上記式(4)、(5)において、中心波長λを500nmに設定すれば良い。太陽光スペクトルと結晶シリコンの分光感度を考慮した試算によれば、集光系太陽電池の3面に上記反射防止体10Aを設けた場合、反射防止体がない場合に対して約11%の変換効率改善が図れた。本発明を計3面に適用するので、適用の効果はより大きくなった。
なお、本発明の反射防止体を太陽電池に適用する場合、耐光性を確保する観点から、上記反射防止体10Aの具体的な構成としては、シリカ等無機系材料のナノ粒子で構成する図1Cに示した反射防止体10Cが好ましい。
次に、上記反射防止体10Aをシリコン結晶系太陽電池の半導体側へ適用する場合について述べる。
この場合、基材3が単結晶若しくは多結晶シリコンであり、その屈折率nは変換効率の高い波長650nm近傍で3.8となる。入射側媒体80が通常は可干渉膜厚以上の厚さの保護フィルムであり、その屈折率nは1.5となる。上記式(2)、式(3)より、上記反射防止体10Aにおいて、低屈折率層1の屈折率nを略2.2、中間層2の屈折率nを略3.3にそれぞれ設定する。
図6のグラフは、このように低屈折率層1と中間層2のn,nが設定された反射防止体10Aと通常シリコンに使用される屈折率2.1の単層反射防止膜(「屈折率2.1 1層」と表す。)との間で、反射率の波長依存性を比較したものである。上記反射防止体10Aについては、上記式(4)、(5)において中心波長λをそれぞれ650nm、550nmに設定したときの結果を示している(図6中に「650nm」、「550nm」と表す。)。図6から分かるように、上記反射防止体10Aによれば、屈折率2.1の単層反射防止膜に比して、反射率が広範囲に低減されているのがわかる。
用途によっては、予め中心波長λを長波長側にずらす等の工夫を行って対応するのが好ましい。なお、中心波長λとはあくまで、式(4)、式(5)を入力するための設計波長を意味している。反射防止効果が左右非対称であることや、半導体の分光感度、太陽光スペクトルを考慮して、最大の変換効率が得られるように、式(4)、式(5)によって膜厚d、dを調整するのが好ましい。
なお、上記反射防止体10Aをシリコン結晶系太陽電池の半導体側へ適用する場合、低屈折率層1と中間層2を構成するために、高屈折率材料をナノ粒子化して用いることも可能であるが、光吸収の問題が生ずる。このため、低屈折率層1をSiN、中間層2をSiNとSiの分子レベルでの混合物とするのが好ましい。
太陽電池の用途の場合のナノ粒子のサイズの上限と下限については、次のように考えられる。まず、上記サイズの上限は、太陽電池の用途の場合は回折現象を防止する必要がないため、反射すべき波長範囲のうちの最短波長λmin以下であれば良い。一方、上記サイズの下限は、膜厚精度等考慮すると小さければ小さいほどよいが、小さくなると成膜に時間がかかるようになる。よって、上記サイズの下限はコストや処理能力との兼ね合いで決定する。
(第3実施形態)
これまでの実施形態では、上記反射防止体10Aの低屈折率層1や中間層2の屈折率を、材料自体の屈折率や、ナノ粒子と空気との混合物の等価屈折率で実現していた。これに対して本実施形態では、上記反射防止体10Aの低屈折率層1や中間層2の屈折率を、基材の表面に選択的に凹部を形成して得られた凹凸構造によって等価的に規定する。
図9は、図1Aの反射防止体10Aの構成を具体化したさらに別の例(符号10Dで示す。)を示している。
この反射防止体10Dでは、基材3はハードコート材に使用する透明な樹脂からなっている。低屈折率層31と中間層32は、基材3の表面(光反射を防止すべき面)3a側の一部からなる。低屈折率層31と中間層32の屈折率n,nは、基材3の表面に設けられたナノオーダの微細な凹凸構造によって等価的に規定されている。この凹凸構造の、表面3aに沿った面方向のピッチxは、反射を防止すべき光の最短波長λminよりも短く設定されている。
具体的には、上記凹部は、基材3の表面3aから低屈折率層31と中間層32との境界に相当する深さまで形成された断面矩形状の第1凹部25と、この第1凹部25の底面から深さ方向に形成された断面矩形状の第2凹部35とからなっている。第2凹部35の面方向サイズx35は、第1凹部25の面方向サイズx25よりも小さく設定されている。特にこの例では、図10Aの平面レイアウトに示すように、第1凹部25はそれぞれ円筒状に形成されている。また、第2凹部35は、第1凹部25と同心の円筒状に形成されている。第1凹部25は、対応する第2凹部35とともに、基板3の面3a内で、六角形の頂点(2点鎖線で示す。)の頂点に位置するように六方配列されている。
この反射防止体10Dにおいて低屈折率層31に相当する最上層では、基材の占有面積を空間の割合比べて少なくなり、中間層32を形成する層では、基材の占有面積を空間の占有面積と比べて多くなっている。低屈折率層31と中間層32の等価屈折率n,nはほぼ次の式(6)、(7)に従う。
*n=(P*(n −n )+n ) …(6)
*n=(P*(n −n )+n ) …(7)
ここで、Pは低屈折率層31での基材の体積密度、Pは中間層32での基材の体積密度をそれぞれ表している。低屈折率層31、中間層32のいずれも断面形状がほぼ矩形に近い形状であるため、Pは低屈折率層31での基材の占有面積比率、Pは中間層32での基材の占有面積比率に等しい。
例えば、光入射側媒体80として屈折率nが1.0である空気、基材3として屈折率nが1.5である樹脂材を用いる。また、低屈折率層31の屈折率nを1.2、中間層32の屈折率nを1.4にそれぞれ設定するものとする。この場合、Pは約0.35、Pは約0.77にそれぞれ設定すれば良い。このように、上記凹凸構造によれば、低屈折率層31と中間層の屈折率n,nを所望の値に容易に設定できる。なお、この体積比率は、既述の実施形態におけるナノ粒子にも適用される。
上記凹凸構造の平面レイアウトは、図10Aに示すものに限られない。例えば、第1凹部25の形状を、六角形(面方向に沿って切断したときの断面が六角形)の筒状としても良い。そのとき、例えば第2凹部35の形状を、第1凹部25と同心で、面方向サイズが第1凹部25よりも小さい六角形の筒状にしても良い。なお、第1凹部25と第2凹部35の中心は必ずしも一致している必要はない。
このように、第1凹部25と第2凹部35の形状は、設計の自由度を維持しながら様々に設定できる。ただし、図10Aに示すように、第1凹部25と第2凹部35の形状を円筒状にした場合、他の形状に比して、機械的強度が優れるという長所がある。
また、第1凹部25と第2凹部35の配列の仕方は、図10Aに示すような六方配列に限られない。第1凹部25を、対応する第2凹部35とともに、格子状(碁盤目状)、つまり縦横に延びる格子の交差点に位置するように配列しても良い。また、配列の仕方はランダムであってもよい。ただし、図10Aに示す六方配列の方が、ランダムな配列に比して、押圧強度の方向依存性が少ないという利点がある。
また、上記面積占有比率としてPは約0.35、Pは約0.77であるという条件を満たす限り、図10Bに示すような平面レイアウトを採用しても良い。この図10Bの平面レイアウトを有する凹凸構造10D′では、第2凹部35′の底面レベルにある基材3の面3bから第1凹部25′の底面レベルまで凸部36′が円柱状に突起し、この凸部36′の上面から基材3の表面3aまで凸部26′が円柱状に突起している。この場合、凸部26′と第1凹部25′とが低屈折率層31を構成し、凸部36′と第2凹部35′とが中間層32を構成する。
ナノオーダの凹凸構造を用いる利点は、上記ナノ粒子を用いる場合と同じく、屈折率が存在しない材料を人工的に形成できる点と、ナノ粒子より、耐掻傷性や硬度等の機械的強度や防汚性を実現しやすい点にある。よって、上記凹凸構造を有する反射防止体は、タッチパネル等の機械的強度や防汚性が要求される用途に適している。
スマートフォン等のモバイルLCD(液晶表示ディスプレイ)のタッチパネル表面では、最表面の材料は通常はハードコート材となる。ハードコート材にさらに反射防止機能を持たせる場合、強度を高める観点から、無機系材料がスパッタや真空蒸着によりデポジションされるべきである。しかし、有機系のハードコート層との密着部での剥離や、真空装置使用によるコストアップの問題が生ずるため、実際には無機系材料のデポジションは行われていないのが実状である。
ハードコート材としては、透明性、基材適合性、高硬度、耐擦傷性等といったハードコート自体の特性に加えて、硬化性、加工性を持たせた、UV(紫外線)硬化性の製品が多数商品化されている。ハードコート材の中には、シリコーン材料の使用やフッ素の添加により、防汚性を持たせたものも商品化されている。しかしながら、ハードコート材に広帯域の反射防止機能を持たせたものは未だ商品化されていない。現状では、UV硬化性のハードコート材の表面にUVナノインプリントで加工することによって、既述のモスアイ構造を形成する技術が検討されている。
しかしながら、モスアイ構造によって可視光域全帯域で低い反射率を得るためには、凹凸構造の凸部を高さの高い針状に形成することが必要となる。図7のグラフは、サイン波状モスアイ構造の反射率の凹凸膜厚依存性を、入射光の波長をパラメータとして求めた計算結果を示している。凹凸膜厚は、針状の凸部の高さに相当する。入射光の波長は、500nm、600nm、700nmと変化させている。基材の屈折率nは1.5である。この図7から、反射率を0.5%以下に抑えるためには、約500nm以上の凹凸膜厚(針状の凸部の高さ)が必要であることが分かる。このため、針状の凸部の機械的強度に問題が生ずるとともに、磨耗等の問題も発生する。
本実施形態の凹凸構造を有する反射防止体10D(10D′も同様。)は、上記モスアイ構造と同様に、量産性に優れたUV硬化性のハードコート材の表面をUVナノインプリントで加工することによって形成され得る。大気圧下において実施可能な低コストの製法を適用できるので、反射防止体10Dは量産性に優れる。
UVナノインプリントで反射防止体10Dを形成する場合、2回のフォトリソグラフィとドライエッチングで形成しても良い。または、陽極酸化アルミナのナノホール金型とナノインプリントを組み合わせても良い。すなわち、金型マスクのベース基材上に低屈折率層31の凹部25用の突起を形成した後、上記突起上にケミカルレジストレーション法等の自己組織化技術を用いて、中間層32の凹部35用の突起を形成しておく。これにより、反射防止体10Dを1回の処理で形成できる。
金型マスクの凹凸部の高さが低屈折率層31と中間層32の膜厚を決める。高さは上記式(4)、式(5)で決まる高とさする。また、式(6)、(7)では、低屈折率層31と中間層32の屈折率は、材料自体の屈折率でなく、等価屈折率を用いる。
上記反射防止体10Dによれば、第1実施形態で述べたように、低屈折率層31と中間層32との2層で計200nm余りの少ない膜厚でも、図2のように可視光域で0.3%以下の低い反射率が得られる。
本実施形態では、ハードコート材を基材3とし、その基材3の表面を加工することによって、基材3の表面に反射防止体10Dを形成した。なお、さらに防汚性を発現するには、既述のシリコーンやフッ素等材料自体に防汚性を持つものを使用する以外に、表面にCFの単分子膜を形成するのも効果的である。本実施形態では、光透過性材料としてハードコート材を例に説明したが、光透過性材料の種類を目的に応じて選択することで、反射防止性と同時に防汚性等の新たな機能を発生できる。
(第4実施形態)
本実施形態では、基材上に防汚性をもつ光透過性材料フィルムを別途設け、そのフィルム自体をナノインプリント等で加工して、反射防止体を形成する例について説明する。
図11は、図1Aの反射防止体10Aの構成をそのようにして具体化した例(符号10Eで示す。)を示している。
この反射防止体10Eは、反射を防止すべき基材3の表面3aの光透過性材料フィルム42を加工して構成されている。光透過性材料フィルム42の表面には、選択的に断面矩形状の凹部45が形成されている。光透過性材料フィルム42のうち凹部45以外の部分が相対的に上方へ突起した凸部46となっている。凹部45と凸部46は、反射を防止すべき光の最短波長λmin以下の面方向ピッチxで交互に配置されている。なお、図11の断面では、凹部45と凸部46の面方向サイズx45,x46は略等しい。
また、光透過性材料フィルム42の材料自体によって、中間層が構成されている(以下では、中間層を光透過性材料フィルムと同じ符号42で示す。)。
凹部45と凸部46の平面レイアウトは、図10Aまたは図10Bの平面レイアウトにおいて第2凹部35または35′を省略した状態となる。
凹部45は、光入射側媒体80としての屈折率nが1.0である空気で満たされている。これにより、複数の凹部45と凸部46とによって、低屈折率層41が構成されている。低屈折率層41の屈折率nは、凸部46をなす光透過性材料の屈折率と凹部45を満たした空気の屈折率とによって等価的に規定されている。
中間層42の屈折率nは、上述のフィルム42をなす光透過性材料の屈折率と同じである。
この反射防止体10Eでは、第3実施形態に対する利点として、まず、凹凸が1段であることから、金型マスクの加工が容易である点が挙げられる。さらに、光透過性材料フィルム自体が低屈折率性を持つため、低屈折率層41の空間面積を小さくでき、加工の自由度が高くなる点が挙げられる。
この反射防止体10Eは、次のようにして作製される。例えば、基材3が屈折率1.5のPMMA等樹脂やガラスからなるものとする。まず、基材3の表面3aに、光透過性材料としての屈折率1.4のフッ素樹脂フィルムをスピンコート等で塗布する。続いて、ナノインプリント等によって、反射を防止すべき光の最短波長λmin以下の面方向ピッチxで凹部45と凸部46を形成する。これにより、等価屈折率1.2の低屈折率層41を形成する。中間層42の膜厚d2は、式(5)で決まる所定の膜厚になるように、ナノインプリントにおける押し圧等で調整する。低屈折率層41の厚さd1は、上記等価屈折率を使用して式(4)にしたがって決定される膜厚にする。
防汚機能に必要な撥油性は、汚れに相当する油成分の表面張力に対して、防汚材料自体の表面張力をいかに小さくするかが重要である。手の脂成分に多いオレイン酸は、表面張力が32.8mN/mと小さい。このため、図13Aに示すように、通常のフッ素樹脂等の表面に滴下したとき、撥油性を実現する90°以上の接触角は得られない。詳しくは、図13Aは、表面張力が19mN/mの旭硝子製サイトップのスピンコート膜上にオレイン酸を滴下したときの写真であるが、接触角は63.8°にすぎず、撥油性は得られていない。
図13Bは、フッ素のサイトップに上記反射防止体10Eを設けて、オレイン酸を滴下したときの写真を示している。この場合、接触角は83.2°となり、接触角を90°付近まで改善できた。ミクロンオーダ以下の微細な凹凸構造によれば、凹部45を満たした空気と材料自体の表面張力が平均化され、図12に示すように、低屈折率層41の見かけの表面張力が低下し、オレイン酸滴90を弾くようになったためと考えられる。このことは、凹部45を閉空間化する方が、空気が閉じ込められて、より防汚性を発現することを示唆する。よって、防汚性の観点からは、突起で低屈折率層を形成するより、凹部で低屈折率層を形成するのが好ましい。
なお、凹部の閉空間化は、第3実施形態の反射防止体10Dにも適用できる。
1、11、21、31、41 低屈折率層
2、12、22、32、42 中間層
3 基材
10A、10B、10C、10D、10E 反射防止体
11a、21a ナノ粒子
11v、21v 空間
25、25′ 第1凹部
26、26′36、36′、46 凸部
35、35′ 第2凹部
45 凹部
90 オレイン酸滴

Claims (8)

  1. 光反射を防止すべき基材上に、上記基材側から順に設けられた中間層と低屈折率層とを備え、
    上記低屈折率層上に存在する光入射側媒体の屈折率をn、上記低屈折率層の屈折率をn、上記中間層の屈折率をn、上記基材の屈折率をn、上記低屈折率層の厚みをd、上記中間層の厚みをd、反射を防止すべき光の中心波長をλとしたとき、次式(1)から(5)までが成り立つことを特徴とする反射防止体。
    >n>n>n …(1)
    =n+0.8*(n−n) …(2)
    =(n*n0.5 …(3)
    =λ/(4*n) …(4)
    =λ/(4*n) …(5)
  2. 請求項1に記載の反射防止体において、
    上記低屈折率層は、上記波長λ以下のサイズをもつ複数の光透過体を、隣り合う上記光透過体同士の間に上記波長λ以下のサイズの空間をあけて、層状に配置して構成され、
    上記空間が上記光入射側媒体と同じ媒体で満たされていることを特徴とする反射防止体。
  3. 請求項1または2に記載の反射防止体において、
    上記中間層は、上記波長λ以下のサイズをもつ複数の光透過体を、隣り合う上記光透過体同士の間に上記波長λ以下のサイズの空間をあけて、層状に配置して構成され、
    上記空間が上記光入射側媒体と同じ媒体で満たされていることを特徴とする反射防止体。
  4. 請求項2または3に記載の反射防止体において、
    上記光透過体は実質的に球状の粒子からなることを特徴とする反射防止体。
  5. 請求項1に記載の反射防止体において、
    上記低屈折率層と上記中間層は、上記基材の表面に設けられた同一の光透過性材料からなり、
    上記低屈折率層と上記中間層の屈折率n,nは、上記光透過性材料の表面に形成された、反射を防止すべき光の最短波長以下の面方向ピッチをもつ凹凸構造によって等価的に規定されていることを特徴とする反射防止体。
  6. 請求項5に記載の反射防止体において、
    上記凹凸構造は、上記光透過性材料の表面から上記低屈折率層と上記中間層との境界に相当する深さまで形成された第1凹部と、上記第1凹部の底面から深さ方向に形成された第2凹部とを有することを特徴とする反射防止体。
  7. 請求項5または6に記載の反射防止体において、
    上記光透過性材料は上記基材の一部からなることを特徴とする反射防止体。
  8. 請求項1から7までのいずれか一つに記載の反射防止体において、
    それぞれ上記基材の屈折率が1.5、上記中間層の屈折率が1.4、上記低屈折率層の屈折率が1.2であることを特徴とする反射防止体。
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