JP2010237315A - 静電荷像現像用トナーの製造方法及び遠心分離機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、回転駆動されるドラム及び反転可能な濾布を有した遠心分離機をを用い、濾過及び/又は洗浄工程を有するトナーの製造方法において、トナー母粒子
が小粒径であっても、濾布の目詰まり、ロット間の洗浄のばらつきが発生せず、生産性の高いトナーの製造方法を提供するものである。また、濾過及び/又は洗浄後のトナー母粒
子の含水率を低くしても、トナー母粒子を濾過・洗浄装置から容易取り出すことが可能なトナーの製造方法を提供するものである。
【解決手段】 回転駆動されるドラム及び反転可能な濾布を有し、湿式法で得られたトナー母粒子を濾過する工程及び/又は洗浄する工程に用いることを特徴とする遠心分離機である。また、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、回転駆動されるドラム及反転可能な濾布を有した遠心分離機を用いて、湿式法で得られたトナー母粒子を濾過する工程及び/又は洗浄する工程を有し、該工程において、濾布を反転しトナー母粒子を遠心分離機のドラム外に排出することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法、静電写真法等に用いられる静電荷像現像用トナーの製造方法及びトナーの製造に用いられる遠心分離機に関する。
近年求められている高解像度、低温定着などの要求を満たすために、湿式法でトナーを得る製造方法が用いられている。湿式法としては、水系媒体中に重合性単量体、重合開始剤、着色剤等を懸濁分散した後に重合させてトナー母粒子を製造する懸濁重合法、重合開始剤、乳化剤等を含有する水性媒体中に重合性単量体を乳化し、攪拌下に重合性単量体を重合して得られた重合体一次粒子の分散液に、着色剤等を添加して前記重合体一次粒子を凝集、熟成してトナー母粒子を製造する乳化重合凝集法、あらかじめ、ポリマー、着色剤等を溶媒に溶解、分散した溶解分散液(トナー組成の溶解分散液)を水系媒体中に分散させ、これを加熱又は減圧等によって溶媒を除去することにより、トナー母粒子を製造する溶解懸濁法等が提案されている。
これらの湿式法を用いれば混練/粉砕法と比べ原料の分散の制御が容易であり、小粒径で、且つ粒度分布が狭いトナーを得ることができることから、上述の高解像度化の要求に応えることができる。
高解像度化の要求に応えるには小粒径トナーが望ましいが、トナー母粒子の粒径が小さくなるにつれて、トナー母粒子と分散媒を効率的に濾過分離することが困難となる。
小粒径のトナー母粒子を濾布で濾過するためには、濾布の通気度を小さくしトナー母粒子が濾布を通過しないようにしなくてはならないが、一方、通気度を小さくすることで濾布の目詰まりが生じやすくなる。
濾過や洗浄サイクルを重ねるに従い、濾布の目詰まりも悪化するため、ロット間での濾過及び洗浄にばらつきが発生することがあった。このばらつきは、濾過及び洗浄に多量の洗浄水や時間を費やすことで改善することができるが、生産性やコスト及び排水の増加などの面から現実的ではない。また、目詰まりが発生した濾布は、濾布の交換作業等を要し手間がかかっている。
トナー母粒子の粒径が小さくなるにつれて、トナー母粒子単位重量あたりのトナー母粒子表面積が増し、トナー母粒子表面の状態によって、トナー性能が影響を受け易くなる。そのため、トナー母粒子を濾過、洗浄するにあたっては、トナー母粒子を効率的に捕集し、さらにトナー母粒子と不純物とを効果的に分離して、トナー母粒子表面の汚染を回避する必要がある。
トナー母粒子を濾過する方法として、連続式ベルトフィルター、サイホンピラー型セントリフュージで脱水及び洗浄を行なうことにより、分散安定剤として使用した難水溶性金属化合物に起因する残留金属イオンを低減させて、優れた画像特性のトナーを得ること提案されている(特許文献1)。しかしながら、残留金属イオン以外の成分の濾過が十分ではなく、これら成分に起因したトナー性能低下が発生する。また、トナー母粒子が小粒径である場合の濾過について、その方法や効果について十分な検討がなされていなかった。
また、フィルタープレスでトナー母粒子の洗浄を行なうことが提案されている(特許文献2、特許文献3)。この提案された装置を用いて、トナーの製造を行なう場合、液状分散媒体からトナー母粒子を濾過して得られたケーキの含水率が40重量%よりも高いときには、ケーキ中の水分が大気中の不純物を吸着するため、再度洗浄する手間が発生してしまう。また、時間をかけて含水率を20重量%以下にした場合、ケーキが硬化してしまう
ため、機械的に解砕する必要がある。このような解砕を数回繰返した場合、摩擦によりトナーの形状や表面特性が損なわれ、帯電特性の劣化及びクリーニング性に問題が発生していた。
また、水系媒体中で合成されるトナーの濾過を、真空式のベルトフィルターにより行ない、含水率35%以下の重合法トナーを製造する方法が開示されている(特許文献4)。
しかしながら、真空式のベルトフィルターで濾過処理した場合、ケーキの含水率を均一にするために、ケーキにクラックが起こらない条件で濾過する必要がある。そのような条件で濾過した場合には、ケーキ含水率が高くなり、ケーキのフィルターからの剥離性が悪く、作業効率を低下させるという欠点があり、トナー母粒子表面に残留する不純物を完全に除去できず、トナーの帯電特性が不均一になりやすい問題が発生する。
特開平8−160661号公報 特開2000−10341号公報 特開2002−91073号公報 特開2002−365839号公報
本発明は、回転駆動されるドラム及び反転可能な濾布を有した遠心分離機を、トナー母粒子を濾過及び/又は洗浄する工程に用いることで、濾布の目詰まりや、ロット間の洗浄
のばらつきを防止する遠心分離機を提供するものである。また、トナー母粒子を濾過及び/又は洗浄する工程を有するトナーの製造方法において、トナー母粒子が小粒径であって
も、濾布の目詰まり、ロット間の洗浄のばらつきが発生せず、生産性の高いトナーの製造方法を提供するものである。また、濾過及び/又は洗浄後のトナー母粒子の含水率を低く
しても、トナー母粒子を濾過・洗浄装置から容易取り出すことが可能なトナーの製造方法を提供するものである。
本発明者は、前記課題を解決するために検討を重ね、反転可能な濾布を有した遠心分離機を用いることで上記課題を解決できることを見出した。本発明は、この知見に基づくものであり、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)静電荷像現像用トナーの製造方法であって、回転駆動されるドラム及び反転可能な濾布を有した遠心分離機を用いて、湿式法で得られたトナー母粒子を濾過する工程及び/
又は洗浄する工程を有し、該工程において、濾布を反転しトナー母粒子を遠心分離機のドラム外に排出することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
(2)濾布の通気度が0.5cc/cm2・sec以下であることを特徴とする前記(1)に記載
の静電荷像現像用トナーの製造方法。
(3)濾過する工程及び/又は洗浄する工程における、遠心分離機のドラムの遠心加速度
が800G以上、3000G以下であることを特徴とする前記(2)又は(3)に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
(4)ケーキに含まれる水分量が、ケーキ100重量部に対して、30重量部以下であることを特徴とする前記(1)乃至(3)に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
(5)トナーの体積平均径が7μm以下であることを特徴とする前記(1)乃至(4)に
記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
(6)回転駆動されるドラム及び反転可能な濾布を有し、湿式法で得られたトナー母粒子を濾過する工程及び/又は洗浄する工程に用いることを特徴とする遠心分離機。
(7)濾布がドラム上で内側又は外側に反転可能であることを特徴とする前記(6)に記載の遠心分離機。
(8)濾布の通気度が0.5cc/cm2・sec以下であることを特徴とする前記(6)又は(
7)に記載の遠心分離機。
本発明は遠心分離機及び遠心分離機を用いて湿式法で得られるトナーを製造する方法であり、本発明の製造方法は、トナー母粒子を液から濾過する工程及び/又はトナー母粒子
を洗浄する工程を有する。
本発明の遠心分離機は、横型であり、回転駆動されるドラムを有し、ドラムの内側または外側に反転可能な濾布を有することが好ましい。本発明の遠心分離機は、トナー母粒子を液から濾過する工程及び/又はトナー母粒子を洗浄する工程に遠心分離機を用いること
が好ましい。
本発明において、トナー母粒子を液から濾過する工程及び/又はトナー母粒子を洗浄す
る工程においては、遠心分離機の濾布はドラム内側に存在する。濾布をドラム外に反転することで、濾布上に形成されたトナー母粒子のケーキ層をドラム外に排出する。
本発明の遠心分離機の構成は、特に限定されないが、ドラムの一端は閉鎖されており、ドラムを回転させるシャフトを有する。ドラムのもう一端は開放されており、その開放端を閉じるカバーを有する。カバーを閉じることによって、ドラムを密閉することが好ましい。ドラム内には、インナードラムを有し、ドラムの回転軸方向に移動可能である。
濾布は、ドラムの開放端でドラムの縁に固定され、他方でインナードラムの円周部に固定されている。インナードラムをドラム開口方向にドラム外になるまで移動させることにより、濾布が反転される。濾布の反転の動作によって、トナー母粒子のケーキ層が押し出されて、ドラム外に排出される。
濾布を反転することで、濾布の目詰まりを取り除き、さらにケーキ層を機械的に解砕することなくケーキ層をドラム外に排出することができるため、生産効率が向上する。また、機械的衝撃、摩擦、摩擦熱をトナー母粒子に与えることがないため、トナー母粒子の形状や表面特性の損失が発生しない。
本発明のトナー母粒子を液から濾過する工程及び/又はトナー母粒子を洗浄する工程に
おいては、例えば、トナー母粒子の捕集性、耐目詰まり性、ケーキ層の形成性、通水性、濾布取替え時の簡便性などが要求される。これらの要求特性を同時に満たすことは容易ではなく、特に、トナー母粒子が小粒径の粒子である場合、同時に満たすことが特に困難となる。
トナーが小粒径化すると、単位体積辺りの表面積が著しく増大する。そのため、トナー同士のみならず、トナーと濾過装置の濾布に対する付着性も増加し、トナー単体および凝集体による濾布の目詰まりを起こし易くなる。
また、トナーの小粒径化によって、濾布の目から洩れ、液から分離できない粒子が増加し、液から回収できるトナー母粒子の歩留まりが低下する。これを防止するために、濾布の通気度を小さくすると、濾布を形成する糸や繊維が細く、密度が上昇する。つまり、濾布単位面積当りの表面積増加がおこり、上記の目詰まり現象に拍車を掛けることになる。さらに、この濾布の目詰まりによるトナー粒子層の濾過性の悪化を防止する為、特に遠心分離機では遠心加速度を上げて強制的に濾液や洗浄水の通過速度の回復を図ると、これもトナー母粒子を濾布に押し付ける力が増し、濾布の目詰まりが助長されることになる。
本発明の製造方法を用いることによってこれらの問題を解決し、効率的にトナーを製造することが可能となる。
濾過、洗浄工程で処理されるトナー母粒子分散液(スラリー)中には、トナー母粒子だけでなく、各製造過程で使用される原材料、界面活性剤、添加剤などに由来するさまざまな副生物、夾雑物などの不純物が存在するため、これらの不純物を濾過、洗浄工程で適切に除去する効果的な濾過、洗浄が行われないときには、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの性能は劣悪なものとなる。
不純物が適切に除去されていないトナー母粒子から得られるトナーは、保存安定性の点で劣る傾向がある上、画像形成するときには、画像にカブリを生じる、画像形成時の温度・湿度変化によって画像濃度などの画質変動がある、画像形成装置内でトナーが飛散する、長期間使用したときに一定した画質の画像が得られないなど、画像形成特性の点で好ましくない結果をもたらすことになる。そのため、不純物を十分に除去できる濾過、洗浄が望まれる。
本発明のトナーの体積平均粒径は、3μm以上が好ましく、さらに5μm以上がより好ましい。また、7μm以下が好ましく、さらに6.5μm以下が好ましく、特に6μm以下が好ましい。
上記範囲より大きいと、高解像度を実現することができない。また、上記範囲より小さいと粉体としての取り扱いが困難となる。本発明のトナーの体積平均粒径は、実施例に記載の方法で測定される。
本発明は、特に上記に示されるような小粒径のトナーに特に適した製造方法である。
本発明のトナーは、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて測定した平均円形度が、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.92以上、更に好ましくは0.94以上であり、好ましくは0.98以下、より好ましくは0.96以下である。平均円形度が前記範囲より小さい場合は、転写効率が悪くドット再現性が低下したり、トナー母粒子への外添剤の付着不良による帯電悪化から画像濃度の低下を引き起こしたりする場合があり、前記範囲より大きい場合は、感光体上に残った未転写トナーがブレードで完全に掻き取られずに画像欠陥を引き起こす場合がある。
本発明に用いられる濾布の通気度は、0.5cc/cm2・sec以下であることが好ましい
。さらに好ましくは0.47cc/cm2・sec以下、特に好ましくは、0.43cc/cm2・sec以下である。上記範囲以上であると、濾過、洗浄時に小粒径のトナー母粒子が濾布を通過してしまい、液とトナー母粒子を濾別することができず、歩留まりが低下する。
濾布の通気度の下限は特にないが、液に含まれる不純物を分離するために0.01cc/cm2・sec以上であることが好ましい。不純物が適切に除去されないと、トナーの保存安定性や画像形成に問題が発生する場合がある。
本発明のトナー母粒子を液から濾過する工程及び/又はトナー母粒子を洗浄する工程に
おける、遠心分離機のドラムの遠心加速度は800G以上であることが好ましい。さらに1000G以上が好ましく、1500G以上がさらに好ましく、特に2000G以上が好ましい。また、3000G以下が好ましく、2800G以下がさらに好ましい。上記範囲より小さいと、濾過速度が低下し、濾過及び洗浄の効率が悪化する。また、遠心力でドラム内に形成されるトナー母粒子のケーキ層の形成が不十分となるため、トナー母粒子が濾布を通過しやすくなり収率が低下する。さらに、洗浄時において、洗浄水が、もろいケーキ層部分のみを通過し、均一な洗浄を行うことができない場合がある。
上記範囲より大きいと、ケーキ層が固く締まり過ぎて濾液、洗浄水がケーキ層を通過できない場合がある。さらに、濾布にトナー母粒子が強く押し付けられるため、過剰に濾布の目詰まりを引き起こす場合がある。また、本発明の遠心分離機を構成している装置の材料の強度からも上記範囲より小さいことが好ましい。
本発明の遠心加速度(G)は、遠心分離機のドラムの半径をr(m)、一分あたりの回転数をN(rpm)、地球の重力加速度をgとすると、G=r・(2πN/60)2・(1/g)で求め
られる。
本発明において、トナー母粒子を含む液(スラリー)を遠心分離機に供給し、最初に遠心加速度を付与することでトナー母粒子のケーキ層を形成する場合は、最初から高負荷を掛けると、十分な厚みのケーキ層が形成される前、所謂ケーキ濾過ができる前に、濾布から粒子が洩れ続けてしまう場合には、2回目に遠心加速度を付与する場合よりも遠心加速度を小さくしても良い。
本発明のように高い遠心加速度を、トナー母粒子を液から濾過する工程及び/又はトナ
ー母粒子を洗浄する工程に用いた場合、トナー母粒子の含水率を低くすることが可能となり、その後の工程であるトナー母粒子の乾燥工程の時間を短縮することができる。しかし、濾布の目詰まりが発生しやすくなり、生産性の低下、濾過、洗浄のばらつきが発生する。さらに、遠心分離機のドラム内でトナー母粒子のケーキ層が固化し、機械的衝撃等によってドラムから排出しなくてはならず、生産性の低下に加え、トナー母粒子の形状や表面特性の損失が発生する。
本発明の濾布を反転させケーキ層をドラム外に排出する方法を用いることで、高い遠心加速度で濾過、洗浄を行い、低い含水率のトナー母粒子のケーキ層であっても、効率よくケーキ層を取り出すことができる。
本発明のトナー母粒子を液から濾過する工程及び/又はトナー母粒子を洗浄する工程に
おいて、ドラム内に圧縮空気を加え、カバーにより密閉されたドラム内を加圧することにより、濾過時間を短縮することも可能である。
本発明の遠心分離機のドラムの筒長さ(回転軸方向の長さ)Lと、ドラムの内径Dの比であるL/Dが、0.4以上であることが好ましく、0.5以上であることがさらに好ましい。また、2以下であることが好ましい。
上記範囲より小さいと、ドラムの直径の絶対値が大きくなるので回転数をより速くしないと必要な遠心加速度が得られなくなり、回転軸の周速が上がることによりベアリングをはじめ回転軸を支える部品の強度が持たなくなる場合がある。また、てこの原理で軸方向に掛かる荷重が増し、軸径を太くしないとドラムの加重を支えきれなくなるが、軸径を太くすることにより軸の周速が上がってしまうことによっても、部品の強度が不足することがあり好ましくない。
一方、上記範囲より大きいと、濾布反転時のストロークが長くなり過ぎ、排出に時間が掛かかるため好ましくない。また、濾布をシャフトなどで押し出す場合は、シャフト、押し出された反転濾布をカバーするケーシングなどの装置のサイズ(幅)が大きくなり設置スペースが嵩むため好ましくない。
本発明のトナー母粒子を液から濾過する工程及び/又はトナー母粒子を洗浄する工程を
経て、遠心分離機のドラム外排出されたトナー母粒子のケーキ層に含まれる水分量は、ケーキ層100重量部に対して、30重量部以下であることが好ましい。さらには28重量部以下、特に25重量部以下が好ましい。上記範囲より大きいと、衝撃等でチキソトロピー現象によりケーキ層がペースト状に液状化し粘性を発現し、ドラム外へ排出することが困難となる。またケーキが粘性を持つと機内付着・閉塞を起こし、次の工程への搬送も困難となる場合がある。さらに、水分の増加により次工程の乾燥工程に時間を要し、生産性が低下する。また、水分量の下限は特になく、水分量は少ない方が好ましい。
水分量の測定は、実施例に記載の方法で測定される。
本発明において、洗浄水は脱塩水や蒸留水、水道水などを用いることが好ましく、特に、電気伝導度が1μS/cm以下の脱塩水を用いることが好ましい。脱塩水としては電気伝導度が0.5μmS/cm以下のものが更に好ましく、0.2μS/cm以下のものが
最も好ましい。電気伝導度のより小さい脱塩水を用いれば、洗浄の繰り返し回数を低減することができる。洗浄水の温度は、トナー母粒子の性状を損ねない常温の範囲で選択される。
本発明の製造方法によって得られるトナーは、湿式法で得られる。少なくとも結着樹脂及び着色剤を含み、必要に応じ、帯電制御剤、ワックス、その他の添加剤等を含む。
本発明において、トナーに含有される結着樹脂としては、従来トナーの結着樹脂として用いられている樹脂類を適宜用いることができる。例えば、単量体としては、酸性基を有する重合性単量体(以下、単に酸性単量体と称すことがある)、塩基性基を有する重合性単量体(以下、単に塩基性単量体と称することがある)、酸性基も塩基性基も有さない重合性単量体(以下、その他の単量体と称することがある)のいずれの重合性単量体も使用することができる。
乳化重合凝集法を用いてトナーを製造する場合、乳化重合工程では、通常、乳化剤の存在下、水系媒体中で重合性単量体を重合するが、この際、反応系に重合性単量体を供給するにあたって、各単量体は別々に加えても、予め複数種類の単量体を混合しておいて同時に添加しても良い。また、単量体はそのまま添加しても良いし、予め水や乳化剤などと混合、調整した乳化液として添加することもできる。
酸性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基を有する重合性単量体、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性単量体、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性単量体等が挙げられる。また、塩基性単量体としては、アミノスチレン等のアミノ基を有する芳香族ビニル化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環含有重合性単量体、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これら酸性単量体及び塩基性単量体は、単独で用いても複数種類を混合して用いてもよく、また、対イオンを伴って塩として存在していてもよい。中でも、酸性単量体を用いるのが好ましく、より好ましくはアクリル酸及び/又はメタクリル酸であるのがよい。
結着樹脂を構成する全重合性単量体100重量部中に占める酸性単量体および塩基性単量体の合計量は、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上、更に好ましくは1重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下であることが望ましい。
その他の重合性単量体としては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ノニルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド等が挙げられ、重合性単量体は、単独で用いてもよく、また複数を組み合わせて用いてもよい。
更に、結着樹脂を架橋樹脂とする場合、上述の重合性単量体と共にラジカル重合性を有する多官能性単量体が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート
、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。また、反応性基をペンダントグループに有する重合性単量体、例えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることも可能である。中でもラジカル重合性の二官能性重合性単量体が好ましく、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートが特に好ましい。これら多官能性重合性単量体は、単独で用いても複数種類を混合して用いてもよい。
結着樹脂を乳化重合で重合する場合、乳化剤として公知の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としてはカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の中から選ばれる一種又は二種以上の界面活性剤を併用して用いることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、等の脂肪酸石けん、硫酸ドデシルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖等が挙げられる。
本発明の乳化剤の使用量は、重合性単量体100重量部に対して0.1重量部以上、10重量部以下が好ましい。また、これらの乳化剤に、例えば、部分或いは完全ケン化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体類等の一種或いは二種以上を保護コロイドとして併用することができる。
乳化重合により得られる重合体一次粒子の体積平均粒径は、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.1μm以上であり、通常3μm以下、好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下であることが望ましい。粒径が前記範囲よりも小さいときは、凝集工程において凝集速度の制御が困難となる場合があり、前記範囲よりも大きいときは、凝集して得られるトナー粒子の粒径が大きくなり易く、目的とする粒径のトナーを得ることが困難となる場合がある。
本発明において、必要に応じて公知の重合開始剤を用いることができ、重合開始剤を1種又は2種以上組み合わせて使用する事ができる。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、等の過硫酸塩、及び、これら過硫酸塩を一成分として酸性亜硫酸ナトリウム等の還元剤を組み合わせたレドックス開始剤、過酸化水素、4,4‘−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロペーオキサイド、等の水溶性重合開始剤、及び、これら水溶性重合性開始剤を一成分として第一鉄塩等の還元剤と組み合わせたレドックス開始剤系、過酸化ベンゾイル、2,2‘−アゾビス−イソブチロニトリル、等が用いられる。これら重合開始剤はモノマー添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加しても良く、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせても良い。
本発明において、必要に応じて公知の連鎖移動剤を使用することができ、具体的な例としては、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ジイソプロピルキサントゲン、四塩化炭素、トリクロロブロモメタン等があげられる。連鎖移動剤は単独または
2種類以上の併用でもよく、重合性単量体に対して0〜5重量%用いられる。
また、本発明では、必要に応じて公知の懸濁安定剤を使用することができる。懸濁安定剤の具体的な例としては、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは、一種或いは二種以上を組み合わせて用いてもよく、重合性単量体100重量部に対して1重量部以上、10重量部以下の量で用いてもよい。
重合開始剤および懸濁安定剤は、何れも、重合性単量体添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加してもよく、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせてもよい。
その他、反応系には、pH調整剤、重合度調節剤、消泡剤等を適宜添加することができる。
本発明の製造方法及び装置によって得られるトナーには、離型性付与のため、ワックスを含有させることが好ましい。ワックスとしては、離型性を有するものであればいかなるものも使用可能である。
具体的には、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス;パラフィンワックス;ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス;水添ひまし油カルナバワックス等の植物系ワックス;ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン;アルキル基を有するシリコーン;ステアリン酸等の高級脂肪酸;エイコサノール等の長鎖脂肪族アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと長鎖脂肪酸により得られる多価アルコールのカルボン酸エステル、又は部分エステル;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;低分子量ポリエステル等が挙げられる。
これらのワックスの中で、定着性を改善するためには、ワックスの融点は30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上が特に好ましい。また、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下が特に好ましい。融点が低すぎると定着後にワックスが表面に露出し、べたつきを生じる場合があり、一方、融点が高すぎると低温での定着性が劣る場合がある。
また、ワックスの化合物種としては、高級脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。高級脂肪酸エステル系ワックスとしては、具体的には例えば、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、モンタン酸グリセリド等の、炭素数15〜30の脂肪酸と1〜5価のアルコールとのエステルが好ましい。また、エステルを構成するアルコール成分としては、1価アルコールの場合は炭素数10〜30のものが好まく、多価アルコールの場合には炭素数3〜10のものが好ましい。
上記ワックスは単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。また、トナーを定着する定着温度により、ワックス化合物の融点を適宜選択することができる。
本発明において、ワックスの量は、トナー100重量部中に1重量部以上であることが好ましく、より好ましくは2重量部以上、さらに好ましくは5重量部以上である。また、40重量部以下であることが好ましく、より好ましくは35重量部以下、さらに好ましくは、30重量部以下である。トナー中のワックス含有量が前記範囲未満の場合は、高温オフセット性等の性能が十分でない場合があり、前記範囲を超過する場合は、耐ブロッキング性が十分でなかったり、ワックスがトナーから漏出することにより装置を汚染したりする場合がある。
本発明の着色剤としては公知の着色剤を任意に用いることができる。着色剤の具体的な例としては、カーボンブラック、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染顔料など、公知の任意の染顔料を単独あるいは混合して用いることができる。フルカラートナーの場合にはイエローはベンジジンイエロー、モノアゾ系、縮合アゾ系染顔料、マゼンタはキナクリドン、モノアゾ系染顔料、シアンはフタロシアニンブルーをそれぞれ用いるのが好ましい。着色剤は、重合体一次粒子100重量部に対して3重量部以上、20重量部以下となるように用いることが好ましい。
乳化重合凝集法における着色剤の配合は、通常、凝集工程で行われる。重合体一次粒子の分散液と着色剤粒子の分散液とを混合して混合分散液とした後、これを凝集させて粒子凝集体とする。着色剤は、乳化剤の存在下で水中に分散した状態で用いるのが好ましく、着色剤粒子の体積平均粒径が0.01以上、より好ましくは0.05μm以上であり、3μm以下、より好ましくは1μmである。
本発明において帯電制御剤を用いる場合には、公知の任意のものを単独ないしは併用して用いることができ、例えば、正帯電性帯電制御剤として4級アンモニウム塩、塩基性・電子供与性の金属物質が挙げられ、負帯電性帯電制御剤として金属キレート類、有機酸の金属塩、含金属染料、ニグロシン染料、アミド基含有化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物及びそれらの金属塩、ウレタン結合含有化合物、酸性もしくは電子吸引性の有機物質が挙げられる。
また、本発明の製造方法で得られる静電荷像現像用トナーをカラートナー又はフルカラートナーにおける黒色トナー以外のトナーとして使用する場合には、無色ないしは淡色でトナーへの色調障害がない帯電制御剤を用いることが好ましく、例えば、正帯電性帯電制御剤としては4級アンモニウム塩化合物が、負帯電性帯電制御剤としてはサリチル酸もしくはアルキルサリチル酸のクロム、亜鉛、アルミニウムなどとの金属塩、金属錯体や、ベンジル酸の金属塩、金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物、フェノールアミド化合物、4,4’−メチレンビス〔2−〔N−(4−クロロフェニル)アミド〕−3−ヒドロキシナフタレン〕等のヒドロキシナフタレン化合物が好ましい。
本発明において、乳化重合凝集法を用いてトナー中に帯電制御剤を含有させる場合は、乳化重合時に重合性単量体等とともに帯電制御剤を添加するか、重合体一次粒子及び着色剤等とともに凝集工程で添加するか、重合体一次粒子及び着色剤等を凝集させてほぼ目的とする粒径となった後に添加する等の方法によって配合することができる。これらのうち、帯電制御剤を界面活性剤を用いて水中で分散させ、体積平均粒径0.01μm以上、3μm以下の分散液として凝集工程に添加することが好ましい。
本発明のトナーは、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法などの何れの重合法で製造してもよく、特に限定されない。
本発明において、懸濁重合トナーの製造方法としては、上述の結着樹脂の単量体中に着色剤、重合開始剤、そして必要に応じてワックス、極性樹脂、荷電制御剤や架橋剤などの添加剤を加え、均一に溶解又は分散させた単量体組成物を調製する。この単量体組成物を、分散安定剤等を含有する水系媒体中に分散させる。好ましくは単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行い、重合を行う。これらを洗浄・ろ過により収集し、乾燥することによりトナー母粒子を得ることができる。また、必要により外添等を行い、トナーを得ることができる。
乳化重合凝集法の製造方法としては、乳化重合により得られた結着樹脂単量体の重合体一次粒子、着色剤分散系、ワックス分散液等を作製しておき、これらを水系媒体中に分散させ加熱等を行うことにより凝集工程、さらに熟成工程を経る。これらを洗浄・ろ過により収集し、乾燥することによりトナー母粒子を得ることができる。また、必要により外添等を行い、トナーを得ることができる。
乳化重合凝集法において、凝集は通常、攪拌装置を備えた槽内で行われるが、加熱する方法、電解質を加える方法と、これらを組み合わせる方法とがある。重合体一次粒子を攪拌下に凝集して目的とする大きさの粒子凝集体を得ようとする場合、粒子同士の凝集力と攪拌による剪断力とのバランスから粒子凝集体の粒径が制御されるが、加熱するか、或いは電解質を加えることによって凝集力を大きくすることができる。
本発明において、電解質を添加して凝集を行う場合の電解質としては、有機塩、無機塩のいずれでも良いが、具体的には、NaCl、KCl、LiCl、Na2SO4、K2SO4、Li2SO4、MgCl2、CaCl2、MgSO4、CaSO4、ZnSO4、Al2(SO43、Fe2(SO43、CH3COONa、C65SO3Na等が挙げられる。これらの
うち、2価以上の多価の金属カチオンを有する無機塩が好ましい。
本発明において、電解質の添加量は、電解質の種類、目的とする粒径等によって異なるが、混合分散液の固形成分100重量部に対して、0.05重量部以上が好ましく、0.1重量部以上が更に好ましい。また、25重量部以下が好ましく、更には15重量部以下、特に10重量部以下が好ましい。添加量が前記範囲よりも少ない場合は、凝集反応の進行が遅くなり凝集反応後も1μm以下の微粉が残ったり、得られた粒子凝集体の平均粒径が目的の粒径に達しないなどの問題を生じる場合があり、前記範囲よりも多い場合は、急速な凝集となりやすく粒径の制御が困難となり、得られた凝集粒子中に粗粉や不定形のものが含まれるなどの問題を生じる場合がある。電解質を加えて凝集を行う場合の凝集温度は、20℃以上、更に好ましくは30℃以上であり、70℃以下、更に好ましくは60℃以下である。
電解質を用いないで加熱のみによって凝集を行う場合の凝集温度は、重合体一次粒子のガラス転移温度をTgとすると、(Tg−20)℃以上が好ましく、(Tg−10)℃以上が更に好ましい。また、Tg以下が好ましく、(Tg−5)℃以下が好ましい。
凝集に要する時間は装置形状や処理スケールにより最適化されるが、トナーの粒径が目的とする粒径に到達するためには、前記した所定の温度で通常、少なくとも30分以上保持することが望ましい。所定の温度へ到達するまでの昇温は、一定速度で昇温しても良いし、段階的に昇温することもできる。
上述の凝集処理後の粒子凝集体表面に、必要に応じて樹脂微粒子を付着または固着した粒子を形成することも出来る。粒子凝集体表面に性状を制御した樹脂微粒子を付着または固着することにより、得られるトナーの帯電性や耐熱性を向上できる場合があり、さらには、本発明の効果を一層顕著とすることができる。
樹脂微粒子として重合体一次粒子のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する樹脂微粒子を用いた場合、定着性を損なうことなく、耐ブロッキング性の一層の向上が実現できるので好ましい。該樹脂微粒子の体積平均粒径は、0.02μm以上が好ましく、0.05μm以上が更に好ましい。また、3μm以下、さらに1.5μm以下が好ましい。樹脂微粒子としては、前述の重合体一次粒子に用いられる重合性単量体と同様なモノマーを乳化重合して得られたもの等を用いることができる。
樹脂微粒子は、通常、界面活性剤により水または水を主体とする液中に分散した分散液として用いるが、帯電制御剤を凝集処理後に加える場合には、粒子凝集体を含む分散液に帯電制御剤を加えた後に樹脂微粒子を加えることが好ましい。
凝集工程で得られた粒子凝集体の安定性を増すために、凝集工程の後の熟成工程において凝集粒子内の融着を行うことが好ましい。熟成工程の温度は、好ましくは重合体一次粒子のTg以上、より好ましくはTgより5℃高い温度以上であり、また、好ましくはTgより80℃高い温度以下、より好ましくはTgより50℃高い温度以下である。また、熟成工程に要する時間は、目的とするトナーの形状により異なるが、重合体一次粒子のガラス転移温度以上に到達した後、通常0.1〜10時間、好ましくは1〜6時間保持することが望ましい。
なお、凝集工程以降、好ましくは熟成工程以前又は熟成工程中の段階で、界面活性剤を添加するか、pH値を上げることが好ましい。ここで用いられる界面活性剤としては、重合体一次粒子を製造する際に用いることのできる乳化剤から一種以上を選択して用いることができるが、特に重合体一次粒子を製造した際に用いた乳化剤と同じものを用いることが好ましい。界面活性剤を添加する場合の添加量は限定されないが、混合分散液の固形成分100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、更に好ましくは3重量部以上であり、また、好ましくは20重量部以下、より好ましくは15重量部以下、更に好ましくは10重量部以下である。凝集工程以降、熟成工程の完了前の間に界面活性剤を添加するか、pH値を上げることにより、凝集工程で凝集した粒子凝集体同士の凝集等を抑制することができ、熟成工程後の粗大粒子生成を抑制できる場合がある。
熟成工程での加熱処理により、凝集体における重合体一次粒子同士の融着一体化がなされ、凝集体としてのトナー粒子形状も球形に近いものとなる。熟成工程前の粒子凝集体は、重合体一次粒子の静電的あるいは物理的凝集による集合体であると考えられるが、熟成工程後は、粒子凝集体を構成する重合体一次粒子は互いに融着しており、トナー粒子の形状も球状に近いものとすることが可能となる。この様な熟成工程によれば、熟成工程の温度及び時間等を制御することにより、重合体一次粒子が凝集した形状である葡萄型、融着が進んだジャガイモ型、更に融着が進んだ球状等、目的に応じて様々な形状のトナーを製造することができる。
<トナー母粒子の濾過、洗浄工程>
熟成工程で得られたトナー母粒子を含む液を、発明に記載の方法で、トナー母粒子を濾過及び/又は洗浄を行う。
<乾燥工程>
トナー母粒子を濾過及び/又は洗浄の工程を経たトナー母粒子は、乾燥され、必要に応
じて外添処理などを施されてトナーとなる。
乾燥は、従来トナーの乾燥に用いられる公知の方法を用いることができ、例えば振動型流動乾燥法や循環型流動乾燥法など流動乾燥法、気流乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法、スプレードライ法、フラッシュジェット法などが挙げられる。
乾燥の温度、風量、減圧度等の操作条件は、着色粒子のTg、使用する装置の形状、機構、大きさ等をもとに、適宜最適化される。
<外添工程>
本発明のトナーは、流動性や現像性を制御する為にトナー母粒子表面に公知の外添剤が配合されたものであってもよい。外添剤としては、アルミナ、シリカ、チタニア、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、タルク、ハイドロタルサイト等の金属酸化物や水酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸金属塩、窒化チタン、窒化珪素等の窒化物、炭化チタン、炭化珪素等の炭化物、アクリル系樹脂やメラミン樹脂等の有機粒子等が挙げられ、複数組み合わせることが可能である。中でも、シリカ、チタニア、アルミナが好ましく、また、例えばシランカップリング剤や
シリコーンオイル等で表面処理されたものがより好ましい。その平均一次粒子径は1〜500nmの範囲が好ましく、より好ましくは5〜100nmの範囲がよい。また、前記粒径範囲において小粒径のものと大粒径のものとを併用することも好ましい。外添剤の配合量の総量は、トナー母粒子100重量部に対して0.05〜10重量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部である。
トナーの粒度分布を示す、トナーの体積平均粒径Dvを個数平均粒径Dnで除した値Dv/Dnは、1.1以下であることが好ましい。上記範囲であると、トナー粒子間の帯電性が
均一になり、ライフ後半まで帯電量が保持されることで、高画質及び高速化を達成することができる。また、本発明のトナーは、分布がシャープであり、粗粒が少ないためトナー消費量を少なくすることもできる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。以下の例で「部」とあるのは「重量部」を意味する。
<重合体一次粒子の平均粒径の測定方法>
日機装株式会社製、型式:Microtrac Nanotrac 150(以下、「ナノトラック」と略記する)を用いて、ナノトラックの取り扱い説明書に従い、同社解析ソフトMicrotrac Particle Analyzer Ver10.1.2.-019EEを用い、電気伝導度が0.5μS/cmのイオン交
換水を分散媒に用い、下記の条件で又は下記の条件を入力し、取り扱い説明書に記載された方法で測定した。
・溶媒屈折率:1.333
・測定時間 :100秒
・測定回数 :1回
・粒子屈折率:1.59
・透過性 :透過
・形状 :真球形
・密度 :1.04
<重量平均分子量Mw,ピーク分子量Mpの測定方法>
以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定する。
装置:東ソー社製GPC装置 HLC−8020
カラム:ポリマーラボラトリー 社製 PL−gel Mixed−B 10μ
リファレンスカラム:東ソー社製 TSKgel GMH
溶媒:THF
試料濃度:0.1重量%
検量線:標準ポリスチレン
<体積平均粒径(Dv)ならびに個数平均粒子径(Dn)の測定方法>
ベックマン・コールター社製マルチサイザーII(アパーチャー径100μm、以下マルチ
サイザーと略す)を用い、分散媒には同社アイソトンIIを用い分散質濃度0.03%になるように分散させて測定した。
<円形度の測定方法>
本発明における「平均円形度」は、トナー母粒子を分散媒(アイソトンII、ベックマンコールター社製)に、5720〜7140個/μLの範囲になるように分散させ、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社(旧東亜医用電子社)製、FPIA2100)を用い
て、以下の装置条件にて測定を行い、その値を「平均円形度」と定義する。本発明においては、同様の測定を3回行い、3個の「平均円形度」の相加平均値を、「平均円形度」として採用する。
・モード :HPF
・HPF分析量 :0.35μL
・HPF検出個数:2000〜2500個
以下は、上記装置で測定され、上記装置内で自動的に計算されて表示されるものであるが、「円形度」は下記式で定義される。
[円形度]=[粒子投影面積と同じ面積の円の周長]/[粒子投影像の周長]
そして、HPF検出個数である2000〜2500個を測定し、この個々の粒子の円形度の算術平均(相加平均)が「平均円形度」として装置に表示される。
<電気伝導度の測定方法>
電気伝導度の測定は、導電率計(横河電機社製のパーソナルSCメータモデルSC72と検出器SC72SN−11)を用いて、取扱説明書通り常法に従って行った。
<画像濃度(ID)の測定方法>
得られた定着画像の画像濃度(ID)は分光側色濃度計(日本平版機材社製X−rite938)を用いて、C光源、受光角2度の設定とし、ベタ画像の先端、中間、後端において、各左端、中間、右端の計9箇所について測定し、その平均値とした。
<トナー母粒子ケーキ層の水分量測定方法>
ケーキ層10gを、水分計MX−50(株式会社エー・アンド・デイ社製)にて190℃
、1時間加熱することにより測定した。
<濾布通気度の測定方>
JISL1096 通気性A法で定義される方法で測定を行った。
<実写試験>
得られたトナーについて、印刷速度200mm/s、非磁性一成分で現像ゴムローラー、金属ブレード、帯電ローラー(PCR)で帯電する有機感光体、ベルト転写、熱定着方式を用いたベルト定着機を搭載したフルカラープリンターを用い、印字率5%にて連続実写試験を行った。
<カブリ測定>
印刷1千5百枚印刷時の印字前及び印字後の標準紙における白地部分の色差ΔEを、X−Rite938(X−Rite社製)にて測定し、ΔEの値で下記の判断基準により評価を行った。
さらに、トナー250gをポリ袋に入れ、45℃、85%の環境の恒温恒湿槽に48時間放置した後に、上記と同じ方法で測定、評価を行った(HH環境下カブリ)。
<カブリの判断基準>
◎ : 0.8未満
○ : 0.8以上、1.2未満
△ : 1.2以上、1.3未満
× : 1.3以上
<回収トナー量の測定>
印刷1千5百枚印刷時において、紙に転写されず回収ボックスに回収された回収トナー量について下記の判断基準により評価を行った
<回収トナー量の判断基準>
○ : 10未満
△ : 10以上、20未満
× : 20以上
<実施例1>
<ワックス・長鎖重合性単量体分散液A1の調製>
パラフィンワックス(日本精鑞社製HNP−9)27部(16.3kg)、ステアリルアクリレート(東京化成社製)2.8部、20質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンS20A)(以下、「20%DBS水溶液」と略記する)1.9部、脱塩水68.3部を90℃に加熱して、ホモミキサー(ゴーリン社製、15−M−8PA型)を用い、20MPaの加圧条件で90分間循環乳化した。
次いで25MPaに加圧して循環乳化を開始し、ナノトラックで粒子径を測定し体積平均径が250nmになるまで分散して、ワックス・長鎖重合性単量体分散液A1を作製した。この操作を3回繰り返して、約180Lの、ワックス・長鎖重合性単量体分散液を得た。
<重合体一次粒子分散液A1の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、上記ワックス・長鎖重合性単量体分散液A1 35.6部、脱塩水259部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。
その後、上記液の攪拌を続けたまま、そこへ下記の「重合性モノマー類等」と「乳化剤水溶液」との混合物を5時間かけて添加した。この混合物を滴下開始した時間を「重合開始」とし、下記の「開始剤水溶液」を重合開始30分後から4.5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後から、下記の「追加開始剤水溶液」を2時間かけて添加し、更に攪拌を続けたまま液温90℃のまま1時間保持した。
[重合性モノマー類等]
スチレン 76.8部
アクリル酸ブチル 23.2部
アクリル酸 1.5部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.7部
トリクロロブロモメタン 1.0部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.1部
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 15.5部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液A1を得た。重合体一次粒子分散液A1の体積平均径(Mv)は280nmであった。
<重合体一次粒子分散液A2の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、20質量%DBS水溶液1.0部、脱塩水312部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、攪拌しながら8質量%過酸化水素水溶液3.2部、8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液3.2部を一括添加した。これらを一括添加した時から5分後の時点を
「重合開始」とする。
下記の「重合性モノマー類等」と「乳化剤水溶液」との混合物を、重合開始から5時間かけて、また、下記の「開始剤水溶液」を重合開始から6時間かけて添加し、その後、更に攪拌しながら液温90℃のまま1時間保持した。
[重合性モノマー類等]
スチレン 92.5部
アクリル酸ブチル 7.5部
アクリル酸 0.5部
トリクロロブロモメタン 0.5部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.5部
脱塩水 66.0部
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 18.9部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 18.9部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液A2を得た。重合体一次粒子分散液A2の体積平均径(Mv)は290nmであった。
<着色剤分散液Aの調製>
攪拌機(プロペラ翼)を備えた容器に、カーボンブラック(三菱化学社製、三菱カーボンブラックMA100S)20部、20%DBS水溶液1部、非イオン界面活性剤(花王社製、エマルゲン120)4部、電気伝導度が2μS/cmのイオン交換水75部を加えて予備分散して顔料プレミックス液を得た。ナノトラックで測定した顔料プレミックス後の分散液中カーボンブラックの体積平均径(Mv)は90μmであった。
上記顔料プレミックス液を原料スラリーとして湿式ビーズミルに供給し、ワンパス分散を行い、黒色の着色剤分散体Aを得た。着色剤分散体Aをナノトラックで測定した体積平均径(Mv)は150nmであった。
<トナー母粒子Aの製造>
下記の各成分を用いて、以下の凝集工程(コア材凝集工程・シェル被覆工程)・熟成工程・洗浄工程・乾燥工程を実施することによりトナー母粒子Aを製造した。
重合体一次粒子分散液A1 固形分として95部
重合体一次粒子分散液A2 固形分として5部
着色剤分散液A 着色剤固形分として6部
20%DBS水溶液 コア材凝集工程では、固形分として0.2部
20%DBS水溶液 円形化工程では、固形分として6部
○コア材凝集工程
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積1000L、内径850mm)に重合体一次粒子分散液A1と20%DBS水溶液を仕込み、内温10℃で10分間均一に混合した。続いて内温10℃で、101rpmで攪拌させて、硫酸カリウムの5質量%水溶液を、KSOとして0.12部を1分かけて連続添加してから、着色剤微粒子分散液Aを5分かけて連続添加し、内温10℃で均一に混合した。
その後、脱塩水100部を30分かけて連続添加してから、回転数101rpmのまま内温を48.0℃に70分かけて昇温(0.5℃/分)した。次いで、30分毎に1℃昇
温した後(0.03℃/分)、53.0℃で保持し、マルチサイザーを用いて体積中位径を測定し5.12μmまで成長させた。
該容器に重合体一次粒子分散液A1と20%DBS水溶液を仕込み、液温7℃で5分間均一に混合した。続いて液温7℃で、攪拌を続けながら硫酸第一鉄の5質量%水溶液をFeSO・7HOとして0.52部を添加してから、着色剤分散液Aを添加し、液温7℃で均一に混合し、更に同一の条件のまま、0.5質量%硫酸アルミニウム水溶液を滴下した。その後、上記原料を仕込み、混合し、攪拌しながら、加熱源としてジャケット内に供給した蒸気を真空ポンプで減圧することで発生させた減圧蒸気を、冷却源にはジャケット内面に水をスプレーしながら真空ポンプで減圧・気化させることによる気化冷却を用い、25℃より目標反応温度である55℃まで1℃/分で昇温させた。昇温し、目標反応温度に最初に到達した後の目標反応温度との偏差(オーバーシュート)は最大で+0.5℃であった。目標反応温度に最初に到達した後、反応液の温度が目標反応温度に対して±0.5℃になるまでに要した時間は5分であった。その後、体積中位径が5.9μmとなるまで、2.5時間、目標反応温度で保持した。
○シェル被覆工程
その後、液温55℃のまま、重合体一次粒子分散液A2を添加してそのまま60分保持した。
○熟成工程
続いて、20%DBS水溶液(固形分として6部)を添加し、その後30分かけて81℃に昇温して、平均円形度が0.943になるまで、攪拌を続けた。その後30℃まで冷却し、トナー母粒子分散液Aを得た。
トナー母粒子分散液Aの体積平均粒径(Dv)は5.8μmであり、25μm以上の体積分率は0.01%、15μm以上の体積分率は0.02%であった。体積平均粒径(Dv)÷個数平均粒径(Dn)で粒度分布のシャープさを評価すると、Dv/Dn=1.1
0とシャープな分布であった。また、円形度は0.94、ピーク分子量(Mp)は4.4万であった。
また、トナー母粒子分散液Aを除去した後の反応容器内面を観察したところ、付着物が殆どないことが確認された。
<トナー母粒子Aの製造:トナースラリーの洗浄/遠心分離装置による洗浄>
○粗大粒子の濾過
得られたスラリーAを全量、目開き24μmの篩を装着した湿式電磁篩振盪機(AS200/株式会社レッチェ)を用いて、粗大粒子の除去を目的に濾過処理を行い、攪拌装置つきのタンクにて一旦蓄えた。
○スラリー供給
その後、このスラリー6.9kgを、濾布(ポリプロピレン製、通気度0.4cc/cm2・sec、綾織り) が装着された横型遠心分離機(HEINKEL F-1型/株式会社大川原製作所)
へ、加速度800G条件で回転させた状態にて2分間掛け連続供給し、当該スラリーの固液分離を行った。濾液が出なくなり乾固したケーキ層の面が露出してから3分間、800Gの加速度のまま振り切りを行った後、イオン交換水(電気伝導度0.6μS/cm)を3.3Kg/minで供給し、濾液の電気伝導度が5.0μS/cm以下になるまで洗浄した。また、濾過速度が低下して、供給水量>濾過水量となるとバケットリム幅を超えて水が溢れてしまうので、適宜供給を止めて調整した。ただし、所定伝導度になるまではケーキの面が露出しないよう水層が必ず存在するように、供給水量を調整した。
目標伝導度以下になったら、そのままの回転で3分間振り切って十分に固液分離を行った。
○硝酸洗浄
上記1次洗浄で所定伝導度に達したら直ぐに続けて加速度を1500Gに変更した後、0.009規定希薄硝酸水を遠心分離機に3kg/minで供給して、ケーキ層を洗浄した。供給は前述の通り、溢れない様に適宜止めたり再開したりしながら、全量を入れた。
○2次洗浄
希薄硝酸水を入れ終わってから、所定伝導度に達したら直ぐに続けて、イオン交換水を7.5Kg/minで供給し、濾液の電気伝導度が3.0μS/cm以下になるまで洗浄した。供給は前述の通り、溢れない様に適宜止めたり再開したりしながら、所定伝導度になるまで給液と遠心濾過を継続した。
○最終振り切りとケーキ排出
上記2次洗浄で所定伝導度に達したらイオン交換水の供給を停止し、水面が下がってケーキ面が露出したら6分間、圧力0.5MPaの圧縮空気をバスケット内に供給しながら1500Gの加速度のまま振り切りを行った。振り切り終了は圧力が0.38MPaまで低下したことで判断した。振り切り終了後、濾布を回転軸側から押し出して裏返しながら反転させ、ケーキ層をバスケット外へ排出した。濾布上に形成されたケーキ層の厚さは22mmであった。装置前面蓋に付随しているケーキ排出口に回収袋を取り付け、落ちてきた粉状のケーキを回収した。また、濾布の目詰まりは確認されなかった。
得られた含水ケーキは1.24kgであり、また水分量は14.1%であった。従って、乾燥ケーキとしては、1.07kgとなった。投入スラリー中に含まれるはずである理論乾燥ケーキ量はスラリー固形分濃度と投入スラリー量より1.09kgであることから、収率98.0%を得た。仕込み開始からケーキ回収終了までの総サイクル時間は58分間であった。希薄硝酸水も含めた総洗浄水量は119リトッル、乾燥ケーキ1kg当たりの洗浄水量は111リットルとなった。これを洗浄1サイクル目とした。
同様にして、引き続きスラリー洗浄を行ったところ、含水ケーキが1.19kg、含水率14.1%、乾燥ケーキ換算で1.02kgが得られ、その収率は93.2%であった。その時間は62分間、総洗浄水量は159リトッル、乾燥ケーキ1kg当たりの洗浄水量は156リットルとなった。これを洗浄2サイクル目とした。また、トナー母粒子排出後の濾布の目詰まりは確認されなかった。
同様にして、引き続きスラリー洗浄を行ったところ、含水ケーキが0.84kg、含水率13.8%、乾燥ケーキ換算で0.72kgが得られ、その収率は99.0%であった。その時間は58分間、総洗浄水量は96リトッル、乾燥ケーキ1kg当たりの洗浄水量は133リットルとなった。これを洗浄3サイクル目とした。また、トナー母粒子排出後の濾布の目詰まりは確認されなかった。
各サイクルの処理時間、収率等を表1に示す。
1〜3サイクルにおいて、トナー母粒子の収率は高く、さらにサイクルを重ねても処理時間及び洗浄水量に変化はなく、濾過及び洗浄のロット間でのばらつきが無いことが確認された。
<トナー母粒子Aの製造:ケーキの乾燥工程>
上記サイクルで得られたケーキ層をステンレス製バットに高さ20mmとなる様に敷き詰め、40℃に設定された送風乾燥機内で48時間乾燥することにより、各サイクルのトナー母粒子A−1、A−2、A−3を得た。トナー母粒子A−1は、1サイクルで得られたケーキ層を乾燥することにより得られたトナー母粒子を指す。
<トナーAの製造:外添工程>
得られたトナー母粒子A−1、A−2,A−3 250gそれぞれに、外添剤としてクラリアント社製H2000シリカ1.55gとテイカ社製SMT150IBチタニア微粉末0.62gを混ぜて、ヘンシェルミキサー(三井鉱山製)で混合し、150メッシュで篩別して各サイクルのトナーA−1、A−2、A−3を得た。
各サイクルで得られたトナーAの実写試験、評価を行った。
1〜3サイクル目で得られたトナーA−1、A−2,A−3共、カブリ、回収量も適正であり、洗浄不良によって引き起こされる黒芯、白芯、白スジ、トナー飛散、ボタ落ちは確認されず、安定した特性、良好な画質が形成された。
<比較例1>
「トナー母粒子Aの製造」の「洗浄工程」を下記の様に変更したこと以外は、全て実施例1の「トナー母粒子Aの製造」と同様の操作によりトナーBを得た。
○基礎ケーキ層の形成
スラリーAを、目詰まり等の無い新しい濾布(ポリエステル製、通気度0.8cc/cm2・sec 、綾織り)が装着された横型遠心分離機(Hz40Si型/三菱化工機株式会社)へ、加速度800G条件で回転させた状態にて7リットル分だけ供給し、当該スラリーの固液分離を行った。ケーキ層が形成されるまでは着色したスラリー液が濾液出口から漏れたので、着色分がなくなるまで別に濾液を回収した。上澄み液が無くなって乾固したケーキ層の面が露出してから30秒間、800Gの加速度のまま振り切りを行った後、6.67kg/minの量のイオン交換水(電気伝導度0.7μS/cm)を供給し、濾液の電気伝導度が5.0μS/cm以下になるまで洗浄した。
目標伝導度以下になったら、そのままの回転で3分間振り切って十分に固液分離を行った。このときのバスケット内のケーキ層の厚みは7mmであった。
○スラリー供給
遠心分離機バスケット内に均一に基礎ケーキ層が形成されたことを確認した後、再び加速度800Gでバスケットを回転させ、その状態でスラリーAをタンクよりバスケット内に14リットル供給した。
○1次洗浄
上澄み液が無くなって乾固したケーキの面が露出してから30秒間、800Gの加速度のまま振り切りを行った後、6.67kg/minの量のイオン交換水(電気伝導度0.7μS/cm)を供給し、濾液の電気伝導度が5.0μS/cm以下になるまで洗浄した。この時の供給水量を時間ごとに記録した。また、濾過速度が低下して、供給水量>濾過水量となるとバケットリム幅を超えて水が溢れてしまうので、適宜供給を止めて調整した。ただし、所定伝導度になるまではケーキの面が露出しないよう水層が必ず存在するように、供給水量を調整した。
○硝酸洗浄
上記1次洗浄で所定伝導度に達したらイオン交換水の供給を停止し、水面が下がってケーキ面が露出したら30秒間、800Gの加速度のまま振り切りを行った。直ぐに続けて、0.009規定希薄硝酸水28gを15.5リットルのイオン交換水で希釈した希薄硝酸水を、遠心分離機に6.67kg/minの速度で供給して、ケーキ層を洗浄した。供給は前述の通り、溢れない様に適宜止めたり再開したりしながら、全量を入れた。
○2次洗浄
希薄硝酸水を入れ終わってから、水面が下がってケーキ面が露出したら30秒間、800Gの加速度のまま振り切りを行った。その後、続けて6.67kg/minでイオン交換水を供給し、濾液の電気伝導度が3.0μS/cm以下になるまで洗浄した。供給は前述の通り、溢れない様に適宜止めたり再開したりしながら、所定伝導度になるまで給液と遠心濾過を継続した。
○最終振り切りとケーキ排出
上記2次洗浄で所定伝導度に達したらイオン交換水の供給を停止し、水面が下がってケーキ面が露出したら300秒間、800Gの加速度のまま振り切りを行った。振り切り終了時間が到達したら、高速回転のまま掻き取り用のステライト刃をケーキ面に当てて、ケーキ層を掻き取った。装置前面蓋に付随しているケーキ排出口に回収袋を取り付け、落ちてきた粉状のケーキを回収した。
この時、装置内のケーキ層は7mmの厚み分を残した。
得られた含水ケーキは3.18kgであり、また水分量は市販の熱天秤方式の測定器で測定したところ、38.3%であった。従って、乾燥ケーキとしては、1.96kgとなった。これは、投入スラリー量とスラリー濃度から算出された量2.14kgと比較することで、収率が得られるが、その値は91.6%であった。また、スラリー給液からケーキ排出終了までの時間は70分、希薄硝酸水も含めた総洗浄水量は181リトッル、乾燥ケーキ1kg当たりの洗浄水量は92.2リットルとなった。これを洗浄1サイクル目とした。また、トナー母粒子排出後の濾布の目詰まりは確認されなかった。
引き続き、遠心分離機を再稼動させて、スラリーAを14リットル供給するところから、上記と同様にして掻き取りまでを行ったところ、含水ケーキが3.21kg、含水率38.1%、乾燥ケーキ換算で1.99kgが得られ、その収率は92.8%であった。ま
た、濾布の目詰まりに起因すると思われる洗浄水量の低下により、濾液の伝導度の下がり方が遅くなる傾向があったので、最終伝導度は4.4μS/cmで洗浄を打ち切った。その時間は74分間、総洗浄水量は145リトッル、乾燥ケーキ1kg当たりの洗浄水量は73.0リットルとなった。これを洗浄2サイクル目とした。また、トナー母粒子排出後の濾布の目詰まりが一部確認された。
同様にして、引き続きスラリー洗浄を行ったところ、含水ケーキが3.17kg、含水率38.5%、乾燥ケーキ換算で1.95kgが得られ、その収率は91.0%であった。2サイクル目に比べ更に伝導度の低下速度が遅くなったので、同様に伝導度6.3μS/cmで洗浄を打ち切った。その時間は74分間、総洗浄水量は112リトッル、乾燥ケーキ1kg当たりの洗浄水量は57.4リットルとなった。これを洗浄3サイクル目とした。また、トナー母粒子排出後の濾布の目詰まりが濾布全体に確認された。
同様にして、引き続きスラリー洗浄を行ったところ、含水ケーキが3.13kg、含水率38.3%、乾燥ケーキ換算で1.93kgが得られ、その収率は90.2%であった。3サイクル目に比べ更に伝導度の低下速度が遅くなったので、同様に伝導度8.8μS/cmで洗浄を打ち切った。その時間は76分間、総洗浄水量は98リトッル、乾燥ケーキ1kg当たりの洗浄水量は50.7リットルとなった。これを洗浄4サイクル目とした。また、トナー母粒子排出後の濾布の目詰まりが、3サイクル目よりさらに顕著に濾布全体に確認された。
各サイクルの処理時間、収率等を表1に示す。
1〜4サイクルにおいて、トナー母粒子の収率には大きな変化はなかったが、2サイクル目から濾布の目詰まりに起因すると思われる洗浄水量の低下が発生し、洗浄が十分行えなかった。
<トナー母粒子Bの製造:ケーキの乾燥工程>
上記サイクルで得られたケーキ層を実施例1と同様に乾燥を行い、各サイクルのトナー母粒子B−1、B−2、B−3、B−4を得た。
<トナーBの製造:外添工程>
得られた各サイクルのトナー母粒子を実施例1と同様に外添経て、トナーB−1、B−2、B−3、B−4を得た。
各サイクルで得られたトナーBの実写試験、評価を行った。
1サイクル目で得られたトナーB−1のカブリ、HH環境でのカブリ及び回収量は問題なかったが、2〜4サイクル目で得られたトナーB−2,B−3、B−4は、カブリ、HH環境でのカブリ共に悪く、回収量も非常に多かった。
1サイクル目のB−1では、黒芯、白芯、白スジ、トナー飛散、ボタ落ちは確認されなかったが、B−2、B−3,B−4では、トナー飛散、ボタ落ちが見られた。
<比較例2>
「トナー母粒子Aの製造」の「洗浄工程」を下記の様に変更したこと以外は、全て実施例
1の「トナー母粒子Aの製造」と同様の操作によりトナーCを得た。
遠心分離機にスラリーAを14リットル供給し、洗浄1サイクル終えるところまでは、比較例1と同様の操作を行いケーキを回収した。得られた含水ケーキは3.12kgであり、また水分量は38.1%であった。従って、乾燥ケーキとしては、1.93kgとなった。これは、投入スラリー量とスラリー濃度から算出された量2.14kgと比較することで、収率が得られるが、その値は90.2%であった。また、スラリー給液からケーキ排出終了までの時間は68分、希薄硝酸水も含めた総洗浄水量は229リトッル、乾燥ケーキ1kg当たりの洗浄水量は118.6リットルとなった。これを洗浄1サイクル目とした。また、トナー母粒子排出後の濾布の目詰まりは確認されなかった。
引き続き、遠心分離機を再稼動させて、スラリーAを14リットル供給するところから、上記と同様にして掻き取りまでを行ったところ、含水ケーキが3.02kg、含水率37.1%、乾燥ケーキ換算で1.90kgが得られ、その収率は88.7%であった。今度は規定の伝導度まで洗い切ったところ、その時間は96分間、総洗浄水量は264リトッル、乾燥ケーキ1kg当たりの洗浄水量は139リットルとなった。これを洗浄2サイクル目とした。また、トナー母粒子排出後の濾布の目詰まりが一部確認された。
同様にして、引き続きスラリー洗浄を行ったところ、含水ケーキが2.99kg、含水率39.5%、乾燥ケーキ換算で1.81kgが得られ、その収率は84.5%であった。その時間は147分間、総洗浄水量は192リトッル、乾燥ケーキ1kg当たりの洗浄水量は106.1リットルとなった。これを洗浄3サイクル目とした。また、トナー母粒子排出後の濾布の目詰まりが濾布全体に確認された。
同様にして、引き続きスラリー洗浄を行ったところ、含水ケーキが3.12kg、含水率37.3%、乾燥ケーキ換算で1.96kgが得られ、その収率は91.3%であった。その時間は186分間、総洗浄水量は188リトッル、乾燥ケーキ1kg当たりの洗浄水量は96.1リットルとなった。これを洗浄4サイクル目とした。また、トナー母粒子排出後の濾布の目詰まりが、3サイクル目より顕著に濾布全体に確認された。
各サイクルの処理時間、収率等を表1に示す。
1〜4サイクルにおいて、トナー母粒子の収率には大きな変化はなかったが、2サイク
ル目から濾布の目詰まりに起因すると思われる洗浄水量の低下が発生したため、処理時間がサイクルを重ねるに連れ大幅に延びた。
<トナー母粒子Cの製造:ケーキの乾燥工程>
上記サイクルで得られたケーキ層を実施例1と同様に乾燥を行い、各サイクルのトナー母粒子C−1、C−2、C−3、C−4を得た。
<トナーCの製造:外添工程>
得られた各サイクルのトナー母粒子を実施例1と同様に外添経て、トナーC−1、C−2、C−3、C−4を得た。
各サイクルで得られたトナーCの実写試験、評価を行った。
1〜3サイクル目で得られたトナーC−1、C−2のカブリ、HH環境でのカブリ及び回
収量は問題なかったが、4サイクル目で得られたトナーC−3、C−4は、HH環境でのカブリが発生した。また、黒芯、白芯、白スジ、トナー飛散、ボタ落ちは確認されなかった。
<比較例3>
「トナー母粒子Aの製造」の「洗浄工程」を下記の様に変更したこと以外は、全て実施例1の「トナー母粒子Aの製造」と同様の操作によりトナーDを得た。
○スラリー供給
振動篩で粗大粒子を濾過処理したスラリーAを、新品で目詰まりのない濾布(ポリプロピレン製、通気度0.4(cc/cm2/sec)、平織り)が装着されたフィルタープレス装置(単室式 φ310mm×1室/濾過面積0.087m2/容積1.6リットル)に、自動圧力調整式プランジャーポンプを使用して、濾過圧力0.1MPaで5リットルを圧入した。
○直接濾過、洗浄工程
引き続き、ポンプから装置スラリー給液口までの配管部残りのスラリーを残さず装置内に押し込むために、イオン交換水(電気伝導度0.5μS/cm)を供給し、濾過圧力0.3MPaを掛けて圧入しながら2分間洗浄した。
○予備圧搾濾過工程
次に、装置内の濾室筐体と袋状の濾布との間に設置されているダイアフラムに圧搾空気(0.3MPa)を送り、ダイアフラムが膨らむことで濾布袋を一方向に押し付け、濾布内のケーキを60秒間搾った。
○貫通濾過、洗浄1工程
圧搾空気を抜いた後、ダイアフラムと濾布の間にイオン交換水を前述のポンプで濾過圧力0.3MPa掛けながら供給し、ダイアフラム側濾布面→ケーキ層→筐体側濾布面→筐体排水口という流れで洗浄水を通し、濾液の電気伝導度が5.0μS/cm以下になるまで濾過、洗浄した。
○貫通濾過、洗浄2工程(希硝酸洗浄)
引き続き、0.009規定の希薄硝酸水を、前述のポンプで濾過圧力0.3MPa掛けながら供給し、上記洗浄1工程と同じ流し方で濾過、洗浄を行った。
○貫通濾過、洗浄3工程
希硝酸を流し終わったら、引き続き、イオン交換水を前述のポンプで濾過圧力0.3M
Pa掛けながら供給し、洗浄1工程と同じ流れで洗浄水を通し、濾液の電気伝導度が3.0μS/cm以下になるまで濾過、洗浄した。
○圧搾濾過工程
次に、ダイアフラムに圧搾空気(0.7MPa)を送り、濾布内のケーキを2分間搾った。
○圧搾貫通ブローと脱滓工程
最後に水分を落とすため、貫通洗浄で使用した経路からブローエアー(0.2MPa)を濾室筐体内に3分間吹き付けて、濾布とケーキから水分を更に除いた。ブロー停止後、プレス圧を解いて開盤して、ケーキを装置から取り外して回収した。
得られた含水ケーキ重量は939gで、そのケーキの含水率は29.5%、概算の乾燥ケーキ量は662gとなった。これは投入スラリー量とスラリー濃度から算出された量795gと比較することで、収率が得られるが、その値は83.3%であった。また、スラリー給液からケーキ脱滓終了までの時間は140分、希薄硝酸水も含めた総濾液量は80.1リットルであり、これはほぼ総洗浄液量と見なせるので、乾燥ケーキ1kg当たりの洗浄水量にすると121リットルとなった。これを洗浄1サイクル目とした。また、トナー母粒子排出後の濾布の目詰は確認されなかった。
同様にして、引き続きスラリー洗浄を行ったところ、含水ケーキが912g、含水率28.2%、乾燥ケーキ換算で655gが得られ、その収率は82.4%であった。その時間は171分間、総洗浄水量は88.5リットル、乾燥ケーキ1kg当たりの洗浄水量は135.1リットルとなった。これを洗浄2サイクル目とした。また、トナー母粒子排出後の濾布の目詰まりが一部確認された。
同様にして、引き続きスラリー洗浄を行ったところ、含水ケーキが987g、含水率27.3%、乾燥ケーキ換算で717gが得られ、その収率は90.3%であった。その時間は202分間、総洗浄水量は87.4リットル、乾燥ケーキ1kg当たりの洗浄水量は121.8リットルとなった。これを洗浄3サイクル目とした。また、トナー母粒子排出後の濾布の目詰まりが濾布全体に確認された。
同様にして、引き続きスラリー洗浄を行ったところ、含水ケーキが994g、含水率26.7%、乾燥ケーキ換算で729gが得られ、その収率は91.6%であった。その時間は238分間、総洗浄水量は87.2リトッル、乾燥ケーキ1kg当たりの洗浄水量は119.7リットルとなった。これを洗浄4サイクル目とした。また、トナー母粒子排出後の濾布の目詰まりが3サイクル目より顕著に濾布全体に確認された。
各サイクルの処理時間、収率等を表1に示す。
1〜4サイクルにおいて、トナー母粒子の収率には大きな変化はなかったが、2サイクル目から濾布の目詰まりに起因すると思われる洗浄水量の低下が発生したため、処理時間がサイクルを重ねるに連れ大幅に延びた。
<トナー母粒子Dの製造:ケーキの乾燥工程>
上記サイクルで得られたケーキ層を実施例1と同様に乾燥を行い、各サイクルのトナー母粒子D−1、D−2、D−3、D−4を得た。
<トナーDの製造:外添工程>
得られた各サイクルのトナー母粒子を実施例1と同様に外添経て、トナーD−1、D−2、D−3、D−4を得た。
各サイクルで得られたトナーDの実写試験、評価を行った。
1サイクル目で得られたトナーD−1のカブリ、HH環境でのカブリ及び回収量は問題な
かったが、2〜4サイクル目で得られたトナーD−2、D−3、D-4は、HH環境でのカブリが発生した。また、黒芯、白芯、白スジ、トナー飛散、ボタ落ちは確認されなかった。
<比較例4>
「トナー母粒子Dの製造」の「洗浄工程」のろ布の通気度を1cc/cm2・secに変更したこと以外は、全て比較例3の「トナー母粒子Dの製造」と同様の操作によりトナーEを得た
得られた含水ケーキ重量は840gで、そのケーキの含水率は40.5%、概算の乾燥ケーキ量は499gとなった。これは投入スラリー量とスラリー濃度から算出された量795gと比較することで、収率が得られるが、その値は62.9%であった。また、スラリー給液からケーキ脱滓終了までの時間は52分、希薄硝酸水も含めた総濾液量は30.1リットルであり、これはほぼ総洗浄液量と見なせるので、乾燥ケーキ1kg当たりの洗浄水量にすると60.2リットルとなった。これを洗浄1サイクル目とした。また、トナー母粒子排出後の濾布の目詰は確認されなかったが、濾過した液にトナー母粒子が大量に流出していた。
同様にして、引き続きスラリー洗浄を行ったところ、含水ケーキが762g、含水率38.1%、乾燥ケーキ換算で472gが得られ、その収率は59.3%であった。その時間は61分間、総洗浄水量は38.4リトッル、乾燥ケーキ1kg当たりの洗浄水量は81.4リットルとなった。これを洗浄2サイクル目とした。また、トナー母粒子排出後の濾布の目詰は確認されなかったが、濾過した液にトナー母粒子が大量に流出していた。
同様にして、引き続きスラリー洗浄を行ったところ、含水ケーキが792g、含水率42.7%、乾燥ケーキ換算で454gが得られ、その収率は57.1%であった。その時間は52分間、総洗浄水量は34.6リトッル、乾燥ケーキ1kg当たりの洗浄水量は76.2リットルとなった。これを洗浄3サイクル目とした。また、トナー母粒子排出後の濾布の目詰は確認されなかったが、濾過した液にトナー母粒子が大量に流出していた。
各サイクルの処理時間、収率等を表1に示す。
1〜4サイクルにおいて、トナー母粒子の収率には大きな変化はなかったが、非常に低い収率であり、濾過液にトナー母粒子が流失していた。これは濾布の通気度が大きいことから、目詰まりによる洗浄速度の低下・運転時間の延長は起こらない代わりに、濾布からの粒子漏れが多かったと考えられる。
<トナー母粒子Eの製造:ケーキの乾燥工程>
上記サイクルで得られたケーキ層を実施例1と同様に乾燥を行い、各サイクルのトナー母粒子E−1、E−2、E−3を得た。
<トナーEの製造:外添工程>
得られた各サイクルのトナー母粒子を実施例1と同様に外添工程を経て、トナーE−1
、E−2、E−3を得た。
各サイクルで得られたトナーEの実写試験、評価を行った。
1〜3サイクル目で得られたトナーE−1、E−2、E−3のカブリ及びHH環境でのカ
ブリが非常に悪く、回収量も多かった。さらに黒芯、白芯、白スジ、トナー飛散、ボタ落ちも確認された。
これは、通気度が大きく、厚さが薄いケーキ層にヒビ等が発生し、発生した日々などの特定の部分のみを洗浄水が流れたため、見掛けの伝導度は下がっても、トナー母粒子全体の、表面の不純物を均一に洗浄できなかったためと考えられる。
以上の結果からも明らかなように、本発明によって、トナー母粒子が小粒径であっても、濾布の目詰まり、ロット間の洗浄のばらつきが発生せず、生産性の高いトナーを得ることができる。
Figure 2010237315

Claims (8)

  1. 静電荷像現像用トナーの製造方法であって、回転駆動されるドラム及び反転可能な濾布を有した遠心分離機を用いて、湿式法で得られたトナー母粒子を濾過する工程及び/又は
    洗浄する工程を有し、該工程において、濾布を反転しトナー母粒子を遠心分離機のドラム外に排出することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 濾布の通気度が0.5cc/cm2・sec以下であることを特徴とする請求項1に記載の静電
    荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 濾過する工程及び/又は洗浄する工程における、遠心分離機のドラムの遠心加速度が8
    00G以上、3000G以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. ケーキに含まれる水分量が、ケーキ100重量部に対して、30重量部以下であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. トナーの体積平均径が7μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の静電
    荷像現像用トナーの製造方法。
  6. 回転駆動されるドラム及び反転可能な濾布を有し、湿式法で得られたトナー母粒子を濾過する工程及び/又は洗浄する工程に用いることを特徴とする遠心分離機。
  7. 濾布がドラム上で内側又は外側に反転可能であることを特徴とする請求項6に記載の遠心分離機。
  8. 濾布の通気度が0.5cc/cm2・sec以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載
    の遠心分離機。
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