JP2010236026A - アトマイズ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ストッパロッドの折損による生産性の低下を防止できるアトマイズ装置を提供する。
【解決手段】溶融金属を噴霧して微粉化することにより金属粉末を製造するアトマイズ装置であって、前記溶融金属を噴霧するノズル20と、このノズルから噴霧され微粉化した溶融金属を回収するチャンバ30と、ストッパロッド50により開閉される出湯口を通じて前記ノズルに前記溶融金属を供給するるつぼ40とを備え、前記ストッパロッドは、先端が閉鎖された管状のロッド本体51と、このロッド本体の内部に挿通され前記ロッド本体の前記先端にその先端が固着されているとともに、その基端が前記ロッド本体の基端側から延出している吊り下げ部材52とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶融金属を微粉化して金属粉末を製造するアトマイズ装置に関する。
従来のアトマイズ装置は、例えば特許文献1,2に示すように、溶融金属(溶湯)を噴霧して微粉化するノズルと、微粉化した金属粉末を回収するチャンバと、噴霧される溶融金属をためるるつぼとを備えている。材料の金属は、融点以上(例えば1000℃以上)に加熱され、るつぼからノズルによりチャンバ内に噴霧される。チャンバ内に噴霧された溶融金属の粒は、自然落下する過程で冷えて固まり、微細な粉末となってチャンバの底に集められる。チャンバの底に集められた金属粉末は、チャンバの底に設けられた回収口を通じて回収される。
特開平6−100907号公報 特開2006−161134号公報
このようなアトマイズ装置では、るつぼからノズルへ溶融金属を供給する出湯口は、るつぼ内に設置されたストッパロッドを上下させることにより開閉される。ストッパロッドは、アルミナやセラミックス等の耐熱材料からなるが、るつぼ内で折損する場合がある。この折損の生じる位置は、溶融金属から10mm程度上方であることが多い。折損の原因としては、溶融金属中に配置されて高温となる先端側と溶融金属外に配置されて比較的低温である基端側との間の温度差により熱歪が生じ、またこのような熱歪が生じる状態が繰り返されることが考えられる。
ストッパロッドがるつぼ内で折損した場合、溶融金属中に落下したストッパロッドの断片により出湯口が閉塞されて、るつぼから溶融金属を出湯できなくなるおそれがある。さらに、このストッパロッドを溶融金属内から取り出すことができないため、るつぼ内に残った溶融金属を固化させて全て破棄しなければならない。このため、ストッパロッドの折損は、材料の再精製や装置の補修などを伴い、アトマイズ装置における金属粉末の生産性の低下の原因となる。
特に、近年はCoCrPtB合金などの高融点材料の金属粉末の需要が高まっており、高温の溶融金属を用いることにより、ストッパロッドがさらに折損しやすくなるという問題がある。このため、ストッパロッドの折損にともなう生産性の低下を防ぐことのできるアトマイズ装置が求められている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ストッパロッドの折損による生産性の低下を防止できるアトマイズ装置を提供することを目的とする。
本発明は、溶融金属を噴霧して微粉化することにより金属粉末を製造するアトマイズ装置であって、前記溶融金属を噴霧するノズルと、このノズルから噴霧され微粉化された溶融金属を回収するチャンバと、ストッパロッドにより開閉される出湯口を通じて前記ノズルに前記溶融金属を供給するるつぼとを備え、前記ストッパロッドは、先端が閉鎖された管状のロッド本体と、このロッド本体の内部に挿通され前記ロッド本体の前記先端にその先端が固着されているとともに、その基端が前記ロッド本体の基端側から延出している吊り下げ部材とを有する。
このアトマイズ装置によれば、溶融金属内でストッパロッドが折損した場合であっても、吊り下げ部材を用いてロッド本体を溶融金属内から引き上げることができるので、折損したストッパロッドの断片によるるつぼの閉塞を防止できる。
このアトマイズ装置において、前記吊り下げ部材は熱電対であり、この熱電対の温度検出端が前記ロッド本体の先端に固定されていることが好ましい。この場合、溶融金属の温度管理を行うための熱電対をロッド本体によって保護された状態でるつぼ内に設置できるので、熱電対の取り扱いを容易にすることができる。また、ノズルに近い部分の温度を測定することにより溶融金属の温度を正確に管理できるので、適切な温度の溶融金属を噴霧し、所望の粒径や組織等を有する金属粉末を製造することができる。
本発明のアトマイズ装置によれば、ストッパロッドが折損した場合であっても、先端に固定された吊り下げ部材を用いてストッパロッドを溶融金属中から引き上げることができるので、るつぼの閉塞による製造停止やストッパロッドを含む溶融金属の固化および再精製等による材料および工程の無駄の発生を防止し、金属粉末の生産性を向上することができる。
本発明のアトマイズ装置を示す断面図である。 図1に示すアトマイズ装置のストッパロッドおよびるつぼを示す模式図である。
以下、本発明に係るアトマイズ装置の実施形態について説明する。
本発明のアトマイズ装置10は、図1に示すように、溶融金属を噴霧するノズル20と、このノズル20から噴霧され微粉化した溶融金属を回収するチャンバ30と、ストッパロッド50により開閉される出湯口41を通じてノズル20に溶融金属を供給するるつぼ40とを備えている。
ノズル20は、チャンバ30の上部に設けられ、溶融金属(溶湯)をチャンバ30内に噴霧するものであって、るつぼ40の下端に設けられた出湯口41に連なる湯道21と、この湯道21から流下する溶湯に向けて不活性ガス(たとえばアルゴンガス)を吹き付けるガス噴出口22とを有している。
ノズル20のガス噴出口22には、溶湯を噴霧させるために不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置60が、ガス配管61を介して接続されている。
ノズル20の湯道21は、チャンバ30の軸心位置に下向きに配置されている。ガス噴出口22は、この湯道21の周囲に複数配置されていて、湯道21の下方に向けて斜め下向きに不活性ガスを噴出する。湯道から落下する溶湯に向けて不活性ガスが吹き付けられると、いわゆる霧吹き現象により、溶湯が細かな粒に分散され、霧状になってチャンバ30内を落下する。
チャンバ30は、ノズル20から噴霧されて微粉化した金属を回収するためのものであり、円筒形の胴部31と、円錐形の底部32とを有する。胴部31の上部に、ノズル20が設置されている。底部32の中央には、金属粉末の回収口33が形成されている。
るつぼ40は、ノズル20から噴霧される溶湯をためておくためのものであって、ノズル20の上部に一体に設けられている。このるつぼ40は、金属を加熱し溶融状態を保つための高周波ヒータ等の加熱器42を備え、その周りをカバー43によって囲まれている。
るつぼ40には、出湯口41を開閉するストッパロッド50が備えられている。ストッパロッド50は、アルミナ等の耐熱材からなり先端が閉鎖された管状のロッド本体51と、このロッド本体51の内部に挿通された熱電対(吊り下げ部材)52とを有する。
熱電対52は、セラミックス等の耐熱性絶縁被覆材53により被覆されて互いに絶縁された一対の金属線54が接続されてなり、これら金属線54の接続部である温度検出部54aが先端部に設けられている。この熱電対52は、その先端がロッド本体51の先端の内部に耐熱性電気絶縁性接着材(たとえば水ガラス)55によって強固に固着されているとともに、その基端がロッド本体51の基端側から延出している。
ストッパロッド50は、るつぼ40内で材料金属を溶融している間などに、先端をるつぼ40の出湯口41に当接させて出湯口41を閉塞することにより、るつぼ40内の溶湯の流下を停止することができる。
このストッパロッド50は、溶湯中に配置される先端側と溶湯外に配置される基端側との温度差等により、図2に示すように、ロッド本体51が折損する場合がある。このような破損は、先端側と基端側との温度差によりストッパロッド50に熱歪が生じるとともに、出湯口41の開閉のためにストッパロッド50を溶湯から出し入れすることによりこのような熱歪の発生が繰り返されて、ロッド本体51が熱疲労を起こすために生じると考えられる。
熱疲労が原因である場合、ロッド本体51を厚肉化するなどの対策を講じても、破損を防止することが難しい。また、折損して溶湯中に落下したロッド本体51を取り出しやすくするためにロッド本体51の外周面に段差形状を設けることも考えられるが、その段差部に応力が集中することにより、さらに破損しやすくなるおそれもある。
これに対し、このアトマイズ装置10においては、熱電対52の先端部がロッド本体51の先端部に固着されているので、熱電対52を溶湯中から引き上げることにより、折損したロッド本体51全体を熱電対52とともに溶湯中から引き上げることができる。
以上説明したように、本実施形態のアトマイズ装置10によれば、るつぼ40の出湯口41を開閉するストッパロッド50のロッド本体51が折損しても、ロッド本体51の先端部のみに固着された熱電対52がロッド本体51の基端側から延出しているので、ロッド本体51が途中で折損した場合にも、折損したロッド本体51の断片が溶湯中に落下することがない。また、熱電対52を溶湯中から引き上げることにより、折損したロッド本体51全体を溶湯中から引き上げることができる。
したがって、ストッパロッド50の破損が生じても、るつぼ40の出湯口41が閉塞されて溶湯の出湯が不可能になる事態を避けることができる。したがって、たとえストッパロッド50が折損しても、るつぼ40中の金属を無駄にすることがなく、また金属粉末の製造を停止する必要もない、生産性の高いアトマイズ装置10が実現できる。
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
たとえば、前記実施形態では熱電対を吊り下げ部材としてストッパロッドを構成したが、耐熱性の高いワイヤや棒状材料を吊り下げ部材としてもよい。また、ロッド本体と吊り下げ部材との固着は、水ガラスに限らず他の耐熱性電気絶縁性接着剤を用いてもよく、また物理的な固定構造によってロッド本体と吊り下げ部材とを固定してもよい。
10 アトマイズ装置
20 ノズル
21 湯道
22 ガス噴出口
30 チャンバ
31 胴部
32 底部
33 回収口
40 るつぼ
41 出湯口
42 加熱器
50 ストッパロッド
51 ロッド本体
52 熱電対(吊り下げ部材)
53 耐熱性絶縁被覆材
54 金属線
54a 温度検出部
55 耐熱性電気絶縁性接着材(水ガラス)
60 不活性ガス供給装置
61 ガス配管

Claims (2)

  1. 溶融金属を噴霧して微粉化することにより金属粉末を製造するアトマイズ装置であって、
    前記溶融金属を噴霧するノズルと、このノズルから噴霧され微粉化した溶融金属を回収するチャンバと、ストッパロッドにより開閉される出湯口を通じて前記ノズルに前記溶融金属を供給するるつぼとを備え、
    前記ストッパロッドは、先端が閉鎖された管状のロッド本体と、このロッド本体の内部に挿通され前記ロッド本体の前記先端にその先端が固着されているとともに、その基端が前記ロッド本体の基端側から延出している吊り下げ部材とを有することを特徴とするアトマイズ装置。
  2. 前記吊り下げ部材は熱電対であり、この熱電対の温度検出端が前記ロッド本体の先端に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のアトマイズ装置。
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