JP2010235790A - 分子量分画された導電性高分子化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】要求に応じたさまざまな分子量や分子量分布を持つ分子量分画された導電性高分子化合物の製造方法を提供する。この導電性高分子化合物は、厳しい品質が要求されることが多い有機EL材料等の用途に有利に使用できる。
【解決手段】分子量分布を有する導電性高分子化合物を、超臨界又は亜臨界状態の二酸化炭素等の流体と接触させて、低分子量の導電性高分子化合物を流体中に溶解させる第一の工程と、第一の工程で得られる低分子量の導電性高分子化合物を溶解した流体から低分子量の導電性高分子化合物を回収する第二の工程又は第一の工程で溶解せずに残った残分から高分子量の導電性高分子化合物を回収する第三の工程を有する分子量分画された導電性高分子化合物の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】分子量分布を有する導電性高分子化合物を、超臨界又は亜臨界状態の二酸化炭素等の流体と接触させて、低分子量の導電性高分子化合物を流体中に溶解させる第一の工程と、第一の工程で得られる低分子量の導電性高分子化合物を溶解した流体から低分子量の導電性高分子化合物を回収する第二の工程又は第一の工程で溶解せずに残った残分から高分子量の導電性高分子化合物を回収する第三の工程を有する分子量分画された導電性高分子化合物の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、導電性高分子化合物を分子量分画する方法又は分子量分画された導電性高分子化合物の製造方法に関する。
ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン等の多くの導電性高分子化合物が知られている。これら導電性高分子化合物は電解コンデンサやLiイオン電池の電極や有機トランジスタ等に応用されている。また、導電性高分子化合物は導電性だけではなく発光性を有し、且つ製膜性を有するので有機EL材料として使用されている。
導電性高分子化合物は有機EL材料などの発光材料に使用され、その重要性が高まっている。しかしながら、一般的に有機EL材料等に使用される高分子化合物は、未反応のモノマーや重合開始剤由来の金属化合物などの不純物が含まれている。更に、非常に広い分子量分布を持つことが知られており、高分子EL材料の平均分子量と分子量分布を所望の範囲に制御することは困難である。
有機EL素子では有機薄膜を形成するが、その形成方法としては、真空蒸着法と湿式製膜法が挙げられる。湿式製膜法は真空プロセスが要らず、大面積化が容易で、一つの層に種々の機能をもった複数の材料を混合して入れることが容易である等の利点がある。導電性高分子化合物は湿式製膜法に使用される材料として有望である。例えば、湿式製膜法によって形成される発光層の材料としては、ポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体やポリフルオレン誘導体等の高分子材料が主に用いられている。
しかし、導電性高分子化合物は、重合度や分子量分布を制御することが困難で、連続駆動時に末端残基による劣化が起こるなどの問題の他、材料自体の高純度化が困難で、不純物を含むなどの問題がある。そこで、有機EL材料等に使用される導電性高分子化合物は、高純度であることが要求されるだけでなく、一定範囲の平均分子量と分子量分布を有することが求められている。
導電性高分子化合物の分子量分画法及び精製手法としては、ゲル浸透クロマトグラフィ(以下、GPCという)の使用による分子量分画方法及び再沈澱法による手法が知られている。
上記手法の例として、π共役高分子化合物のGPCの使用による特定分子量範囲の高分子化合物の分画に関するものがあり、特許文献1には高分子化合物を溶解する溶媒(有機又は無機化合物)に溶かし、多孔質ゲルが充填されたカラムを通し、分子量の違いによる高分子化合物の溶出時間の違いを利用し、分子量分画する方法が開示されている。この場合、分子量により溶出してくる時間が異なる原理を利用するため、必要とする分子量成分が溶出する時間の時に溶出液を回収する工程を有する。
また、特許文献2には導電性高分子化合物を、溶媒又は分散媒中にてイオン交換樹脂と接触させ、不純物として含まれる未反応のモノマーを含む低分子量成分をイオン交換することで分画する導電性高分子の分子量分画方法が開示されている。この場合、分子量分画できる分子量がMw100000程度の分子量であり、イオン交換樹脂を導電性化合物から除去する工程を有する。
また、特許文献3には有機EL材料を超臨界流体又は亜臨界流体と接触させて精製することを開示するが、低分子量化合物からなる有機EL材料中の不純物を除去することを目的としている。
特許文献4は、π共役系高分子化合物などの有機半導体材料を超臨界流体又は亜臨界流体と接触させて精製することを開示するが、高分子化合物に微量含まれるLi、Zn、Niなどの金属含有不純物を除去することを目的とする。
一般的に導電性高分子化合物として知られているポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体やポリフルオレン誘導体、ポリカルバゾール等の高分子材料は、重合度や分子量分布を制御することが困難である。更に、高純度の導電性高分子化合物を得ることも困難であり、微量の不純物を含むことが知られている。また、導電性高分子化合物は、その用途や使用条件によって求められる平均分子量や分子量分布が異なることが多い。このような導電性高分子化合物を得ることは、重合条件を制御するなどによって可能であるとしても、制御条件の検討や実用化に困難を伴うだけでなく、多様な品種を簡易に得ることは困難である。そこで、本発明は分子量分画された導電性高分子化合物を有利に製造することを目的とする。
本発明者等は、上記の課題を解決するための手段について鋭意検討した結果、導電性高分子化合物を分画及び精製する方法として、超臨界又は亜臨界状態の流体で抽出する方法を用いることに思い至り、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、分子量分布を有する導電性高分子化合物を、超臨界又は亜臨界状態の流体と接触させて、低分子量の導電性高分子化合物を流体中に溶解させる第一の工程と、第一の工程で得られる低分子量の導電性高分子化合物を溶解した流体から低分子量の導電性高分子化合物を回収する第二の工程又は第一の工程で溶解せずに残った残分から高分子量の導電性高分子化合物を回収する第三の工程を有することを特徴とする分子量分画された導電性高分子化合物の製造方法である。
上記導電性高分子化合物の製造方法において、超臨界又は亜臨界状態の流体は二酸化炭素であることが好ましい。上記製造方法で得られる導電性高分子化合物又は上記精製方法で精製された導電性高分子化合物は、分子量分布Mw/Mnが2以下であることが好ましく、重量平均分子量Mw100000以上であることが好ましい。導電性高分子化合物の分子量を大きく、加えて分子量分布を小さくすることにより、高分子EL材料等に使用される場合の材料特性が良好となる。
また、超臨界又は亜臨界状態の流体に有機溶媒を含むことが望ましく、溶解した導電性高分子化合物をフラクションに分取することにより、自在に分子量と分子量分布を制御した化合物を得ることができる。更に、溶解しない導電性高分子化合物は、高分子量で分子量分布が小さいものとなる。
本発明の導電性高分子化合物の製造方法で得られる導電性高分子化合物は、さまざまな分子量や分子量分布を持つものとすることが可能であるので、厳しい品質が要求されることが多い有機EL材料等の用途に有利に使用できる。また、超臨界又は亜臨界状態の流体に加える有機溶媒の種類や量を変えることにより、導電性高分子化合物の平均分子量や分子量分布を制御することができる。更に、不純物の少ない導電性高分子化合物とすることができる。また、重合反応条件を制御して分子量や分子量分布を変化させる方法に比べれば極めて効率的である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の分子量分画された導電性高分子化合物の製造方法は、分子量分布を有する導電性高分子化合物を、超臨界又は亜臨界状態の流体(以下、超臨界等の流体ともいう)と接触させて、低分子量の導電性高分子化合物を流体中に溶解させる第一の工程と、第一の工程で得られる低分子量の導電性高分子化合物を溶解した流体から低分子量の導電性高分子化合物を回収する第二の工程を有する。
本発明の分子量分画された導電性高分子化合物の製造方法は、分子量分布を有する導電性高分子化合物を、超臨界又は亜臨界状態の流体(以下、超臨界等の流体ともいう)と接触させて、低分子量の導電性高分子化合物を流体中に溶解させる第一の工程と、第一の工程で得られる低分子量の導電性高分子化合物を溶解した流体から低分子量の導電性高分子化合物を回収する第二の工程を有する。
分子量分布を有する導電性高分子化合物は、超臨界又は亜臨界状態の流体(有機溶媒を含んでもよい)に、少なくとも一部の分子量範囲の成分が溶解するものが使用可能である。一般に低分子量成分が溶解し、高分子量成分が溶解せずに残るので、これにより分子量分画が可能となる。そして、温度、圧力等の条件又は超臨界又は亜臨界状態の流体の種類又はこれに含まれる有機溶媒の種類、量等を変化させることにより、溶解する分子量範囲が変化するので、目的の範囲の分子量分画が可能となる。
かかる導電性高分子化合物としては、特に限定はしないが、ポリフルオレン系化合物、ポリフルオレン系共重合体、ポリビニル化合物、ポリビニル化系共重合体、ポリアリーレン系化合物、ポリアリーレン系共重合体、ポリアリーレンビニレン系化合物、ポリアリーレンビニレン系共重合体、ポリスチルベン系化合物、ポリスチルベン系共重合体、ポリスチルベンビニレン系化合物、ポリスチルベンビニレン系共重合体、ポリピリジンジイル系化合物、ポリピリジンジイル系共重合体、アルコキシポリチオフェン系化合物、アルコキシポリチオフェン系共重合体などの有機高分子化合物が挙げられる。そして、高分子有機EL材料として使用される導電性高分子化合物であることが好ましい。かかる導電性高分子化合物としてはポリビニルカルバゾールがある。
導電性高分子化合物は、単独重合体であっても、共重合体であってもよい。共重合体である場合は、ランダム、ブロック又はグラフト共重合体であってもよい。有機EL材料としての観点からは完全なランダム共重合体よりブロック性を帯びたランダム共重合体やブロック又はグラフト共重合体が好ましい。グラフト共重合体にはデンドリマーも含まれる。共重合体の場合、導電性、発光性等の機能を与える繰り返し単位(カルバゾール環含有単位、アントラセン環含有単位等)の割合は全繰り返し単位の1モル%以上であることがよい。共重合体の場合、複数の異なる単位を鎖中又はペンダンとして含んでもよい。例えば、有機EL材料として使用する場合、ホスト材料となる単位とゲスト材料となる単位を含めば、発光層材料として適する。
分子量分布を有する導電性高分子化合物のMwは、50000〜1500000、好ましくは100000〜1000000であることがよい。Mw/Mnは通常の重合条件で得られる高分子化合物は2を超えるものが多いので、このような導電性高分子化合物を原料として使用することができる。
有機EL材料として使用する場合、本発明の製造方法で得られる分子量分画された導電性高分子化合物のMwは30000〜1000000の範囲であるが、成膜性の観点及び素子にした場合の効率の観点から、所望のMwが定まる。薄膜を作成する場合、Mwが過少であれば膜質が悪く、過剰であると加工性が悪い。好ましくは50000以上であり、より好ましくは100000以上である。そして、100000以下、より好ましくは200000以下の範囲である。また、Mw/Mnは成膜性を向上させる観点から、3以下、好ましくは2以下とすることがよい。一方、電界発光特性(特に、素子の寿命)の観点からは、可能な限り狭いほど有利であることが知られているので、1.1〜2の範囲がより望ましい。
周知のように、超臨界状態とは、温度及び圧力がいずれも臨界点以上にある状態をいい、また、亜臨界状態とは、温度及び圧力が超臨界近傍にある状態をいう。
いくつかの化合物の臨界温度(Tc)及び臨界圧力(Pc)を次に示す。
・二酸化炭素:Tc=31℃、Pc=7.38×106Pa
・プロパン:Tc=96.7℃、Pc=43.4×105Pa
・エチレン:Tc=9.9℃、Pc=52.2×105Pa
・二酸化炭素:Tc=31℃、Pc=7.38×106Pa
・プロパン:Tc=96.7℃、Pc=43.4×105Pa
・エチレン:Tc=9.9℃、Pc=52.2×105Pa
超臨界等の流体となる化合物(以下、超臨界溶媒化合物ともいう。)には、例えば二酸化炭素、アンモニア、水、一酸化二窒素、メタノール、エタノール、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン等を用いることができる。これらの中でも、二酸化炭素は毒性がなく安価なため、好ましく用いることができる。超臨界溶媒化合物は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
超臨界等の流体には、上記超臨界溶媒化合物に、極性又は密度を調整するための溶媒をエントレーナーとして添加してもよい。エントレーナーとして添加される溶媒(以下、エントレーナーともいう。)としては有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミドなどの窒素含有溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、塩化メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトアルデヒドジエチルアセタール等のアセタール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒等が挙げられる。
中でも、超臨界溶媒化合物が二酸化炭素である場合、エントレーナーとしてはNMP等の窒素含有溶媒が優れる。エントレーナーの効果は、低分子量成分の抽出量が増加するだけでなく、エントレーナーの量を変えることにより、抽出される分子量と分子量分布を自在に変えることができる。
エントレーナーの添加量は、超臨界溶媒化合物の1〜60mol%、好ましくは5〜45mol%とすることがよい。
第一の工程では、原料である導電性高分子化合物を、超臨界等の流体又は有機溶剤を含んだ超臨界流体と接触させて、溶解した化合物を流体中に移行させる。この際、溶解した化合物をフラクション別に分取することでさまざまな分子量と分子量分布を持つ化合物を得ることができ、且つ、溶解しない化合物は、原料である導電性高分子化合物よりも分子量が大きく、分子量分布も小さくなる。
第一の工程において、超臨界等の流体と導電性高分子化合物とを接触させる温度は、超臨界又は亜臨界状態が生じる温度以上であればよい。温度を高くすると抽出量が増加するが、温度が過度に低過ぎると抽出量が乏しくなる場合があるため、温度範囲は40〜150℃とすることがより好ましい。また、圧力は、超臨界又は亜臨界状態が生じる圧力以上であればよい。しかし、圧力が過度に低過ぎると抽出量が乏しくなる場合があり、また圧力が過度に高過ぎると製造装置の耐久性、操作時の安全性等の面で問題が生じる場合があるため、使用圧力範囲は1〜100MPaとすることがより好ましい。
超臨界等の流体と導電性高分子化合物とを接触させる時間(接触時間)は、導電性高分子化合物の溶解が十分に行われる時間であることが好ましい。
第一の工程において、超臨界等の流体と導電性高分子化合物とを接触させる手段としては、原料を貯留した容器に上記流体を流し込み、容器内を攪拌する方法がある。超臨界等の流体は連続的又は間欠的に流し込み、溶解した化合物(抽出物)と溶解しない化合物(抽出残分又は釜残物)を取り出す。すなわち、半回分式による接触方法である。また、回分式や連続式を採用することも可能である。
第二の工程においては、第一の工程で導電性高分子化合物を溶解した流体から回収する。抽出液からの分子量と分子量分布の異なる導電性高分子化合物の回収は、超臨界溶媒化合物が二酸化炭素等の常温気体の化合物からなる流体であれば、圧力を減じるだけで樹脂と溶媒を分離することが可能である。超臨界溶媒化合物が常温液体の液体又は有機溶媒等のエントレーナーを含む場合は、これらを蒸発させるか、蒸留分離、再沈殿する方法が適する。
第三の工程は、第一の工程で溶解せずに残った残分から高分子量の導電性高分子化合物を回収する工程であるが、第二の工程においては、導電性高分子化合物を溶解した流体を抽出残分から分離する工程が含まれるので、第二の工程と同時に行うことができる。第三の工程で得られる抽出残分は流体中に溶解した導電性高分子化合物よりMwの大きい導電性高分子化合物である。
第一の工程で導電性高分子化合物を溶解した流体中に含まれる導電性高分子化合物の量が少ない場合は、抽出残分に含まれる導電性高分子化合物だけを利用することができる。また、導電性高分子化合物の殆どが第一の工程で流体中に溶解した場合は、流体中に含まれる導電性高分子化合物だけを利用することができる。このような場合は、第二の工程又は第三の工程のいずれか一方を行うことでもよい。しかし、流体を回収利用するためには両者を行うことがよい。
抽出残分からの高分子量成分の回収は、エントレーナーを含む場合には、エントレーナーの供給を停止し、超臨界流体として二酸化炭素など常温気体の化合物を流し込むことにより、エントレーナーのみが取り除かれ、抽出残分をそのまま高分子量成分として得ることができる。
また、第一の工程を連続的又は複数回行うことができる。第一の工程を連続的に行うと、時間が経過するにつれて、高分子量成分の溶解量が増えるので、所定の時間毎に区切って抽出流体を分別収集すれば、Mwの異なる複数のフラクションに分画することが可能である。この場合、最初のフラクションには不純物や低分子量の成分が濃縮されるので、これを除外することにより高純度のフラクションを得ることができる。また、第一の工程を複数回行う場合は、エントレーナーの種類等を変化させることにより、Mwの異なる複数のフラクションに分画することが可能である。更に、第二の工程を複数設けて、第二の工程で得られた抽出残分を、再度第一の工程に導電性高分子化合物を戻し、その後再度第二の工程に付してよい。しかし、これらの手段に限られない。
本発明の分子量分画された導電性高分子化合物の製造方法で得られる導電性高分子化合物は、第一の工程で溶解した導電性高分子化合物であっても、抽出残分であってもよい。Mwに応じた用途に使用される。なお、いずれもMw/Mnは減少しているので、有機EL材料に適する。
実施例により本発明を更に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
使用した半回分式抽出装置を図1に示す。CO2導入ポンプ1とエントレーナー導入ポンプ2からのCO2とエントレーナーを混合する混合器3から、予熱部4を通して超臨界流体が耐圧容器5に導入される。耐圧容器5にはマグネチックスターラー6が備え付けられている。そして、耐圧容器5から排出される抽出液を減圧する圧力制御弁8、抽出液を回収するサンプリング容器9を有する。なお、耐圧容器5は攪拌機能付きオーブン7に収納され、温度制御される。
実施例1
マグネチックスターラーを備えた容量50mLの耐圧容器に、ポリビニルカルバゾール(Mw100000、Mw/Mn=2.2。以下、PVK-1という)5gを入れる。容器の温度調整を行い、容器内温度が80℃になったのを確認し、二酸化炭素を圧力30MPa、流速5.0mL/minで容器中に導入し、容器上部の排出管から流出させる。容器内をマグネチックスターラーで攪拌しながら、二酸化炭素を3時間流通させた。容器上部の排出管から流出する二酸化炭素中には抽出された化合物が含まれていた。抽出物は、1時間ごとにサンプリングし、3時間後に抽出された合計不純物(モノマー成分)は、0.3gであり、容器に抽出されずに残存したPVKは4.7gであった。
マグネチックスターラーを備えた容量50mLの耐圧容器に、ポリビニルカルバゾール(Mw100000、Mw/Mn=2.2。以下、PVK-1という)5gを入れる。容器の温度調整を行い、容器内温度が80℃になったのを確認し、二酸化炭素を圧力30MPa、流速5.0mL/minで容器中に導入し、容器上部の排出管から流出させる。容器内をマグネチックスターラーで攪拌しながら、二酸化炭素を3時間流通させた。容器上部の排出管から流出する二酸化炭素中には抽出された化合物が含まれていた。抽出物は、1時間ごとにサンプリングし、3時間後に抽出された合計不純物(モノマー成分)は、0.3gであり、容器に抽出されずに残存したPVKは4.7gであった。
抽出物と釜残物の分析は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)にて行った。表1に、実施例1〜13で得られた1時間ごとの抽出物(フラクション1〜3)と抽出後の最終釜残物(表中では、釜残と表記)のMw及びMw/Mnを示す。
実施例2
エントレーナーとしてNMPを5mol%(二酸化炭素に対し。以下、同じ。)添加した以外は、実施例1と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は0.5gであり、釜残物は4.5gであった。なお、抽出物はNMPに溶解しているため、メタノールで再沈殿後、析出物を吸引ろ過することにより得た。
エントレーナーとしてNMPを5mol%(二酸化炭素に対し。以下、同じ。)添加した以外は、実施例1と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は0.5gであり、釜残物は4.5gであった。なお、抽出物はNMPに溶解しているため、メタノールで再沈殿後、析出物を吸引ろ過することにより得た。
実施例3
エントレーナーとしてNMPを30mol%添加した以外は、実施例2と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は0.5gであり、釜残物は4.5gであった。
エントレーナーとしてNMPを30mol%添加した以外は、実施例2と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は0.5gであり、釜残物は4.5gであった。
実施例4
エントレーナーとしてNMPを37mol%添加した以外は、実施例2と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は2.5gであり、釜残物は2.5gであった。
エントレーナーとしてNMPを37mol%添加した以外は、実施例2と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は2.5gであり、釜残物は2.5gであった。
実施例5
エントレーナーとしてNMPを45mol%添加した以外は、実施例2と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は4.5gであり、釜残物は0.5gであった。
エントレーナーとしてNMPを45mol%添加した以外は、実施例2と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は4.5gであり、釜残物は0.5gであった。
実施例6
エントレーナーとしてNMPを45mol%添加し、抽出時間を1時間とした以外は、実施例2と同様な操作を行った。1時間後の全抽出物は2.5gであり、釜残物は2.5gであった。
エントレーナーとしてNMPを45mol%添加し、抽出時間を1時間とした以外は、実施例2と同様な操作を行った。1時間後の全抽出物は2.5gであり、釜残物は2.5gであった。
実施例7
二酸化炭素の圧力を20MPaとした以外は、実施例5と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は3.5gであり、釜残物は1.5gであった。
二酸化炭素の圧力を20MPaとした以外は、実施例5と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は3.5gであり、釜残物は1.5gであった。
実施例8
二酸化炭素の圧力を10MPaとした以外は、実施例5と同様な操作を行った。全3時間後の全抽出物は1.5gであり、釜残物は3.5gであった。
二酸化炭素の圧力を10MPaとした以外は、実施例5と同様な操作を行った。全3時間後の全抽出物は1.5gであり、釜残物は3.5gであった。
実施例9
容器内温度を40℃とした以外は、実施例5と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は2.0gであり、釜残物は3.0gであった。
容器内温度を40℃とした以外は、実施例5と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は2.0gであり、釜残物は3.0gであった。
実施例10
容器内温度を150℃とした以外は、実施例5と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は4.5gであり、釜残物は0.5gであった。
容器内温度を150℃とした以外は、実施例5と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は4.5gであり、釜残物は0.5gであった。
実施例11
エントレーナーをNMPからトルエンに変えた以外は、実施例5と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は3.5gであり、釜残物は1.5gであった。
エントレーナーをNMPからトルエンに変えた以外は、実施例5と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は3.5gであり、釜残物は1.5gであった。
実施例12
エントレーナーをNMPからクロロホルムに変えた以外は、実施例5と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は3.5gであり、釜残物は1.5gであった。
エントレーナーをNMPからクロロホルムに変えた以外は、実施例5と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は3.5gであり、釜残物は1.5gであった。
実施例13
ポリビニルカルバゾールをポリビニルカルバゾール(Mw1000000、Mw/Mn=2.5。PVK-2)とした以外は、実施例5と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は1.5gであり、釜残物は3.5gであった。
ポリビニルカルバゾールをポリビニルカルバゾール(Mw1000000、Mw/Mn=2.5。PVK-2)とした以外は、実施例5と同様な操作を行った。3時間後の全抽出物は1.5gであり、釜残物は3.5gであった。
比較例1
5gのPVK-1をNMP50gに溶解し、メタノールで再沈殿した。再沈殿後の析出物は4.5gで、Mw100000、Mw/Mn=2.2であった。
5gのPVK-1をNMP50gに溶解し、メタノールで再沈殿した。再沈殿後の析出物は4.5gで、Mw100000、Mw/Mn=2.2であった。
比較例2
5gのPVK-2を、NMP50gに溶解し、メタノールで再沈殿した。再沈殿後の析出物は4.5gで、Mw1000000、Mw/Mn=2.5であった。
5gのPVK-2を、NMP50gに溶解し、メタノールで再沈殿した。再沈殿後の析出物は4.5gで、Mw1000000、Mw/Mn=2.5であった。
1:CO2導入ポンプ 2:エントレーナー導入ポンプ 3:混合器 4:予熱部 5:耐圧容器 6:マグネチックスターラー 8:圧力制御弁 9:サンプリング容器
Claims (8)
- 分子量分布を有する導電性高分子化合物を、超臨界又は亜臨界状態の流体と接触させて、低分子量の導電性高分子化合物を流体中に溶解させる第一の工程と、第一の工程で得られる低分子量の導電性高分子化合物を溶解した流体から低分子量の導電性高分子化合物を回収する第二の工程又は第一の工程で溶解せずに残った残分から高分子量の導電性高分子化合物を回収する第三の工程を有することを特徴とする分子量分画された導電性高分子化合物の製造方法。
- 第二の工程と第三の工程の両方を有する請求項1に記載の分子量分画された導電性高分子化合物の製造方法。
- 超臨界又は亜臨界状態の流体が二酸化炭素である請求項1又は2に記載の分子量分画された導電性高分子化合物の製造方法。
- 超臨界又は亜臨界状態の流体に有機溶媒を含む請求項3に記載の分子量分画された導電性高分子化合物の製造方法。
- 第一の工程を複数設けて、平均分子量の異なる複数のフラクションに分画する請求項1〜4のいずれかに記載の分子量分画された導電性高分子化合物の製造方法。
- 第一の工程を連続的に行い、導電性高分子化合物を溶解した流体を一定時間毎に分別収集して、平均分子量の異なる複数のフラクションに分画する請求項1〜4のいずれかに記載の分子量分画された導電性高分子化合物の製造方法。
- 導電性高分子化合物が、高分子EL材料である請求項1〜6のいずれかに記載の分子量分画された導電性高分子化合物の製造方法。
- 分子量分画された導電性高分子化合物が、Mwが50,000〜1,500,000であり、Mw/Mnが2以下である請求項1〜7のいずれかに記載の分子量分画された導電性高分子化合物の製造方法。
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CN109741856A (zh) * | 2019-01-25 | 2019-05-10 | 电子科技大学 | 一种碳纳米管-硅橡胶复合导电流体及其制备方法 |
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2009
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