JP2010235565A - 液体口腔用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物を含みながらも、濁りが防止されて、良好な外観性状を有する液体口腔用組成物を提供することである。
【解決手段】A)アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、及びポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、並びに(C)アルコール系溶剤を配合し、且つ上記(A)成分1重量部当たり、上記(A)成分1重量部当たり、上記(B)成分が4重量部以上且つ上記(C)成分が8重量部以上であって、上記(B)成分及び(C)成分の合計量が45重量部以上となるように設定することにより、液体口腔用組成物を調製する。
【選択図】なし

Description

本発明は、アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物を含みながら、濁りが抑制され、良好な外観性状を有する液体口腔用組成物に関する。
う蝕(虫歯)、口臭、歯周病、歯肉炎、歯槽膿漏等の口腔内症状や疾患は、歯垢が原因となっていることが知られている。例えば、う蝕の発生機序は、次のように考えられている。即ち、乳酸菌やミュータンス連鎖球菌等の細菌が歯の表面のペクリル層に付着し、当該細菌が分泌するグルコシルトランスフェラーゼ(以下、「GTase」と表記する)の作用によって食物由来のショ糖を粘着性多糖類に変性させ、更に増殖しながら強固に歯面に付着することにより、歯垢が形成される。この歯垢に含まれる細菌が糖類を代謝し、その代謝産物として生成した酸が歯のエナメル表面を脱灰することにより、う蝕が引き起こされる。
今日では、歯垢に起因する口腔内症状や疾患を予防する1つの方策として、GTaseの作用を阻害して歯垢の形成を抑制することが有効であると考えられている。そこで、近年、GTase阻害作用を有する物質の開発が精力的に行われており、GTase阻害作用を有する植物抽出物が種々報告されている(例えば、特許文献1及び2参照)。その一方で、GTase阻害作用が報告されている植物抽出物の多くは、GTase阻害作用が十分でない等の理由で実用に供し得ないというのが実情である。しかしながら、アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物については、GTase阻害作用が卓越しており、口腔内において実際に歯垢形成阻害効果を有効に奏し得ることが分かっており、実用性の高い成分として注目されている(特許文献2参照)。
而るに、アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物を口腔用組成物として製剤化する際の問題点や製剤安定性については、十分に検討がなされていないのが現状である。
特開平4−95020号公報 特開2006−306844号公報
本発明者等は、アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物を配合した口腔用組成物について検討を行ったところ、アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物を水溶液に配合すると、濁りが生じるため、当該抽出物を配合した液体口腔用組成物は外観性状の点で問題があることを新たに見出した。更に、本発明者等は、アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物を配合した液体口腔用組成物は、高温条件では、前述する濁りの程度が著しくなることを新たに見出した。そこで、アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物を配合した液体口腔用組成物を実際に製品化して市場に供給する上で、上記問題点を解決することが急務となっている。
即ち、本発明は、アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物を含みながらも、濁りが防止されて、良好な外観性状を有する液体口腔用組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、驚くべきことに、アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物と共に、特定の非イオン性界面活性剤及びアルコール系溶剤を組合せて配合し、且つこれらの配合成分の配合比率が所定範囲を充足することによって、当該抽出物を含みながらも、濁りが抑制され外観性状が良好な液体口腔用組成物が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記態様の液体口腔用組成物を提供する:
項1. (A)アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、及びポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、並びに(C)アルコール系溶剤を含み、
上記(A)成分1重量部当たり、上記(B)成分が4重量部以上、且つ上記(C)成分が8重量部以上であり、
更に、上記(A)成分1重量部当たり、上記(B)成分及び(C)成分の合計量が45重量部以上であることを特徴とする、液体口腔用組成物。
項2. 上記(A)成分の配合割合が0.01〜2重量%である、請求項1又は2に記載の液体口腔用組成物。
項3. 上記(C)成分が、グリセリン、プロピレングリコール、及びエタノールよりなる群から選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の液体口腔用組成物。
項4. 上記(A)成分が、アカバナ科マツヨイグサ属植物の種子の抽出物である、項1乃至3のいずれかに記載の液体口腔用組成物。
項5. 洗口剤又は液体歯磨剤である、項1乃至4のいずれかに記載の液体口腔用組成物。
本発明の液体口腔用組成物によれば、アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物を含んでいながらも、濁りが抑制されており、良好な外観性状を呈することができる。更に、本発明の液体口腔用組成物は、高温下でも濁りの発生を抑制できるので、高温安定性の点でも優れている。このように、本発明の液体口腔用組成物は、良好な外観性状を有しており、上記抽出物のGTase阻害作用に基づく歯垢形成阻害効果を有効に奏させることができるので、上記植物抽出物を利用した液体口腔用剤を製品化する上での技術として有用性が高い。
試験例1−4において口腔用組成物の外観性状を評価する際に使用した判定基準の指標を示す図である。
本発明の液体口腔用組成物は、(A)アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物、(B)特定の非イオン性界面活性剤、及び(C)アルコール系溶剤を、所定範囲の配合比率で含むことを特徴とするものである。以下、本発明の液体口腔用組成物について、詳細に説明する。
(A)アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物
本発明の液体口腔用組成物は、GTase阻害剤として、アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物(以下、単に(A)成分と表記することもある)を含有する。
アカバナ科マツヨイグサ属植物としては、特に制限されず、例えば、メマツヨイグサ(Oenothera biennis)、マツヨイグサ(Oenothera striata)、オオマツヨイグサ(Oenotheraerythrosepala)、コマツヨイグサ(Oenothera laciniata)等が例示される。これらの中で、好ましくはメマツヨイグサである。
当該アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物は、該植物体の全草、又は種子、根、茎、葉、花蕾等の該植物体の一部から抽出されたものであればよいが、好ましくは該植物の種子から抽出されたものである。
また、アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物の抽出に使用される好ましい抽出溶媒として、極性溶媒が挙げられる。このような極性溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1〜5の低級アルコール;、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等の多価アルコール;アセトン;エチルエーテル;酢酸エチル;酢酸メチル等が例示される。これらの抽出溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。当該抽出溶媒として、好ましくは水、炭素数1〜5の低級アルコール、及び炭素数1〜5の低級アルコールと水の混合液;更に好ましくは水、エタノール、及びエタノールと水の混合液;特に好ましくはエタノールと水の混合液が挙げられる。抽出溶媒として、炭素数1〜5の低級アルコールと水の混合液を使用する場合、該混合液の総重量に対する該低級アルコールの含有割合としては、例えば0.0001〜99.9重量%、好ましくは40〜99.9重量%、更に好ましくは50〜90重量%となる割合が挙げられる。
アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物は、上記抽出対象植物部位をそのまま、或いは必要に応じて、乾燥、細切、破砕、圧搾、煮沸或いは発酵処理したものを、上記抽出溶媒により抽出することによって得られる。抽出方法としては、通常用いられている植物抽出物の抽出方法を採用することができ、具体的には、冷浸、温浸等の浸漬法;加温下で攪拌する方法;又はパーコレーション法等が例示される。
なお、アカバナ科マツヨイグサ属植物を抽出溶媒で抽出するのに先立って、前処理として、圧搾法又はヘキサン等の非極性有機溶媒を使用することにより予め脱脂処理を行い、抽出処理時に該植物から余分な脂質が抽出されるのを防止しておくことが望ましい。
上記抽出方法で得られるアカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物は液状であり、本発明では、該抽出物を液状のまま使用してもよく、また必要に応じて濃縮、乾燥等の処理に供して濃縮物や乾燥物として使用してもよい。また濃縮又は乾燥後、該濃縮又は乾燥物を非溶解性溶媒で洗浄して精製して用いてもよく、またこれを更に適当な溶剤に溶解もしくは懸濁して用いることもできる。また、得られた抽出物を、慣用されている精製法、例えば向流分配法や液体クロマトグラフィー等を用いて、GTase阻害活性を有する画分を取得、精製して使用することも可能である。
また、簡便には、アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物としては、商業的に入手できるものを使用してもよい。商業的に入手可能なアカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物としては、具体的には、月見草エキス-P(オリザ油化株式会社製)、月見草エキス-PC(オリザ油化株式会社製)、月見草エキス-WSPS(オリザ油化株式会社製)、月見草エキス-PH(オリザ油化株式会社製)、月見草エキス-WSPH(オリザ油化株式会社製)、月見草エキス-LC(オリザ油化株式会社製)、ルナホワイトB(一丸ファルコス株式会社製)等が例示される。ここに例示したアカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物は、いずれもメマツヨイグサの種子から製造された抽出物である。
(B)非イオン性界面活性剤
本発明の液体口腔用組成物では、非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、及びポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種(以下、単に(B)成分と表記することもある)を含有する。
上記(B)成分として使用されるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油については、エチレンオキサイドの平均付加モル数は特に制限されるものではなく、例えば、ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(30)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油等を使用することができる。これらの中でも、液体口腔用組成物の濁りを一層有効に防止させるという観点から、好ましくはポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(30)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油が挙げられ、更に好ましくはポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油が挙げられ、特に好ましくはポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油が挙げられる。これらのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、本発明の液体口腔用組成物において、(B)成分として、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、及びポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、及びポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテルの中から1種を単独で使用してもよく、またこれらの中から2種以上を組み合わせて使用してもよい。
液体口腔用組成物の濁りを一層有効に抑制させるという観点から、(B)成分として、好ましくはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が挙げられ、更に好ましくはポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油が挙げられる。
また、(B)成分として、2種以上の非イオン性界面活性剤を使用する場合、その組合せ態様については、特に制限されないが、好適な組合せの一例として、2種以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の組合せ、特に好ましくはポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油(以下、(Ba)成分と表記することもある)とポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油(以下、(Bb)成分と表記することもある)との組合せが例示される。(B)成分として、(Ba)成分と(Bb)成分を組み合わせて使用する場合、その混合比については特に制限されないが、一例として、(Ba)成分100重量部当たり、(Bb)成分が1〜10000重量部、好ましくは10〜1000重量部が例示される。
更に、(B)成分として、2種以上の非イオン性界面活性剤を使用する場合の他の好適な組合せの一例として、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(以下、(B1)成分と表記することもある)と、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、及びポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテルの中の少なくとも1種(以下、(B2)成分と表記することもある)との組合せが例示される。(B)成分として、(B1)成分と(B2)成分を組み合わせて使用する場合、その混合比については特に制限されないが、一例として、(B1)成分100重量部当たり、(B2)成分が総量で1〜10000重量部、好ましくは10〜1000重量部が例示される。
(C)アルコール系溶剤
本発明の液体口腔用組成物は、アルコール系溶剤(以下、単に(C)成分と表記することもある)を含有する。本発明において使用されるアルコール系溶剤としては、薬学的に許容されることを限度として特に限定されるものではなく、低級アルコールや多価アルコール等の水溶性のアルコール系溶剤が使用できる。アルコール系溶剤の具体例としては、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-ペンタノール等の炭素数2〜5の低級アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコールが例示される。これらの中でも、液体口腔用組成物の濁りを一層有効に抑制させるという観点から、好ましくはエタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコールが挙げられ、更に好ましくはエタノール、グリセリン、及びプロピレングリコールが挙げられる。
これらのアルコール系溶剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
特に、本発明において、(C)成分として、2種以上のアルコール系溶剤を組み合わせて使用すると、液体口腔用組成物の濁り抑制効果を増強して奏させ得ることがある。液体口腔用組成物の濁り抑制効果を増強させ得るアルコール系溶剤の組合せとしては、低級アルコール及び多価アルコールの組合せ;好ましくは、エタノール及びグリセリンの組合せ;更に好ましくは、エタノール、グリセリン、及びプロピレングリコールの組合せが例示される。このように2種以上のアルコール系溶剤を組み合わせる場合、その混合比については特に制限されないが、一例として下記の範囲が例示される。
低級アルコール及び多価アルコールの組合せ:
低級アルコール100重量部当たり、多価アルコールが1〜10000重量部、好ましくは10〜1000重量部
エタノール及びグリセリンの組合せ:
エタノール100重量部当たり、グリセリンが1〜10000重量部、好ましくは10〜1000重量部
エタノール、グリセリン及びプロピレングリコールの組合せ:
エタノール100重量部当たり、グリセリンが1〜10000重量部且つプロピレングリコールが1〜10000重量部;好ましくはグリセリンが10〜1000重量部且つプロピレングリコールが10〜1000重量部。
(A)〜(C)成分の配合比率及び各配合割合
本発明の液体口腔用組成物は、(A)成分1重量部当たり、(B)成分を4重量部以上、且つ(C)成分を8重量部以上となる比率で充足するものである。濁りの抑制、更には高温条件下での濁りを抑制して安定な可溶化状態を維持させるという観点からは、(A)成分1重量部当たり、(B)成分を4重量部以上、且つ(C)成分を8重量部以上、好ましくは(B)成分が4〜8992重量部且つ(C)成分が8〜8996重量部、更に好ましくは(B)成分が4〜1992重量部且つ(C)成分が8〜1996重量部となる比率が挙げられる。
本発明の液体口腔用組成物は、(A)成分1重量部当たり、(B)成分及び(C)成分の合計量が45重量部以上となる比率を充足するものである。特に、濁りが抑制された状態を高温条件下でも維持させ、外観性状の高温安定性をも備えさせるという観点からは、(A)成分1重量部当たり、(B)成分及び(C)成分の合計量が50〜9000重量部、更に好ましくは54〜2000重量部が例示される。
前述する比率で(A)〜(C)成分を含むことによって、濁りを誘発する傾向がある(A)成分を含みながらも、濁りが抑制された液体口腔用組成物を得ることが可能になる。なお、ここで示す(A)成分の重量は、アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物の乾燥重量に換算した値である。
本発明の液体口腔用組成物において、(A)成分の配合割合は、(A)成分のGTase阻害作用に基づく歯垢形成阻害効果を有効に奏させる範囲内であればよく、例えば、当該液体口腔用組成物の総量当たり、(A)成分が0.001重量%以上、好ましくは0.01〜2重量%、更に好ましくは0.05〜2重量%の配合割合で含まれていることが望ましい。一般に、(A)成分は水溶液中での配合割合が高くなる程、調製時の濁りが顕著になり、高温条件での濁りの発生が顕在化する傾向を示すが、本発明の液体口腔用組成物によれば、(A)成分が0.1〜2重量%(好ましくは0.1〜1.5重量%、更に好ましくは0.5〜1.5重量%)という高い配合割合であっても、調製時の白濁を顕著に抑制し、更には高温条件下での白濁の発生を有効に抑制することが可能になるという利点がある。ここで示す(A)成分の配合割合の単位「重量%」は、アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物の乾燥重量に換算した値である。
また、本発明の液体口腔用組成物における(B)成分の配合割合については、前述する(A)〜(C)成分の比率を充足する範囲で適宜設定されるが、一例として、当該液体口腔用組成物の総量当たり、(B)成分が0.004重量%以上、好ましくは0.04〜90重量%、更に好ましくは0.2〜89重量%が挙げられる。
また、本発明の液体口腔用組成物における(C)成分の配合割合についても、前述する(A)〜(C)成分の比率を充足する範囲で適宜設定されるが、一例として、当該液体口腔用組成物の総量当たり、(C)成分が0.008重量%以上、好ましくは0.08〜90重量%、更に好ましくは0.4〜89重量%が挙げられる。
その他の配合成分
本発明の液体口腔用組成物は、(A)〜(C)成分以外に、水を担体として含有する。即ち、換言すれば、本発明の液体口腔用組成物は、(A)〜(C)成分、及び必要に応じて添加される成分以外の残部は水である。本発明の液体口腔用組成物に使用される水は、精製水、イオン交換水、超純水、水道水等のいずれであってもよい。具体的には、水の配合割合として、液体口腔用組成物の総量当たり、10〜99重量%、好ましくは20〜99重量%、更に好ましくは30〜95重量%が例示される。
また、本発明の液体口腔用組成物には、(A)〜(C)成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、口腔内細菌に対する抗菌剤や他のGTase阻害物質を組み合わせて配合してもよい。このような抗菌剤やGTase阻害物質を併用することによって、(A)成分に基づく抗う蝕効果や歯垢形成阻害効果を相加的若しくは相乗的に増強することもできる。このような抗菌剤としては、例えば、塩酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、ソルビン酸、ヒノキチオール、イソプロピルメチルフェノール、塩化デカリニウム、トリクロサン、塩酸クロルヘキシジン、ヨウ化カリウム等が挙げられる。また、他のGTase阻害物質としては、例えば、ブドウ科ブドウ属(Vitis)植物の抽出物、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化第一錫、タステイン、タンニン類、エラグ酸、ポリフェノール、ウーロン茶抽出物、緑茶抽出物、センブリ、タイソウ、ウイキョウ、芍薬、ゲンチアナ、センソ、龍胆、黄連等が挙げられる。
更に、本発明の液体口腔用組成物は、上記成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、口腔用組成物に通常使用されている成分を配合することもできる。このような成分としては、例えば、研磨剤、粘結剤、粘稠剤、発泡剤、香料、矯味剤、甘味剤、防腐剤、消炎剤、殺菌剤、他の抗菌剤、色素、増粘剤、緩衝剤、他の界面活性剤、pH調整剤、酸化防止剤等が挙げられる。
液体口腔用組成物の製造方法
本発明の液体口腔用組成物は、(A)〜(C)成分の所定量、及び必要に応じて他の成分の所定量を水と混合することにより製造することができる。本発明の液体口腔用組成物の製造において、各配合成分の混合順番については特に制限されるものではないが、液体口腔用組成物の調製時の濁りをより効果的に抑制されるために、(A)成分を(C)成分の一部又は全部と混合し、得られた(A)成分と(C)成分の混合物に(B)成分、水、及び必要に応じて(C)成分の残部を混合することにより調製することが望ましい。
液体口腔用組成物の用途、形態
本発明の液体口腔用組成物は、口腔内に適用されることにより、(A)成分のGTase阻害作用に基づく歯垢形成阻害効果を有効に奏させることができるので、う蝕、口臭、歯周病、歯槽膿漏等の口腔内疾患や症状の予防の目的で使用することができる。とりわけ、本発明の口腔用組成物は、抗う蝕効果に優れており、う蝕予防の目的での使用に好適である。
また、本発明の液体口腔用組成物は液状であるので、洗口剤(マウスウオッシュ)、液体歯磨剤、マウスリンス、うがい剤、口中清涼剤(マウススプレー等)等の形態の液体口腔用剤として提供される。
これらの中でも、好適な例として、洗口剤及び液体歯磨剤が挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例の欄で示す「POE」はポリオキシエチレンの略記であり、「POP」はポリオキシプロピレンの略記である。
試験例1
表1及び2に記載の口腔用組成物(実施例1−11及び比較例1−7)を調製した。即ち、(A)成分と(C)成分を混合した後に、(B)成分と水を添加して混合することにより、口腔用組成物を調製した。
各々の口腔用組成物の調製直後の外観性状を下記判定基準に従って評価した。更に、各々の口腔用組成物を50℃で30日間遮光条件下で保存し、保存後の外観性状についても、下記判定基準に従って評価した。更に、調製直後及び50℃で30日間保存後の外観性状の評価結果に基づいて、下記の判定基準に従って総合評価を行った。
<外観性状の判定基準>
○:肉眼では濁りが認められない。
△:肉眼で僅かな濁りが認められる。
×:肉眼で明らかな濁りが認められる。
参考のため、上記判定基準の指標を図1に示す。
<総合評価の判定基準>
◎:調製直後及び50℃で30日間保存後の双方において濁りが全く認められない。
○:調製直後は濁りが認められず、50℃で30日間保存後には僅かな濁りが認められる。
△:調製直後は濁りが認められないが、50℃で30日間保存後には濁りが認められる。
×:調製直後及び50℃で30日間保存後の双方において濁りが認められる。
結果を表1及び2に示す。この結果から、マツヨイグサ抽出物1重量部当たり、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油とアルコール系溶剤の合計量が45重量部以上の比率で含まれている場合には、調製直後に、口腔用組成物が濁ることなく、良好な外観性状を備えていた(実施例1−11参照)。また、マツヨイグサ抽出物1重量部当たり、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油とアルコール系溶剤の合計量が50重量部以上の比率で含まれている場合には、調製直後のみならず、過酷試験(50℃で30日間)後でも、濁りが生じることなく、良好な外観性状を維持できていた。これに対して、マツヨイグサ抽出物1重量部当たり、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油とアルコール系溶剤の合計量が45重量部未満である場合、調製直後から濁りが認められ、過酷試験(50℃で30日間)後では、濁りが顕著になった(比較例1−7参照)。
Figure 2010235565
Figure 2010235565
試験例2
表3−5に記載の口腔用組成物(実施例12−19及び比較例8−25)を調製した。即ち、(A)成分と(C)成分を混合した後に、(B)成分又は他の界面活性剤と水を添加して混合することにより、口腔用組成物を調製した。
各々の口腔用組成物の調製直後及び50℃で30日間保存後の外観性状について、上記試験例1と同様の手法で評価を行った。
結果を表3−5に示す。この結果から、界面活性剤として、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、及びポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテルを選択し、更にこれらの界面活性剤とアルコール系溶剤の合計量が、マツヨイグサ抽出物1重量部当たり45重量部以上の条件に設定することによって、調製時の濁りを抑制できることが確認された(実施例12−19参照)。一方、他の界面活性剤を使用すると、上記条件を充足していても、調製時の濁りを抑制できないことが分かった(比較例8−25参照)。
Figure 2010235565
Figure 2010235565
Figure 2010235565
試験例3
表6に記載の口腔用組成物(実施例20−27及び比較例26−29)を調製した。即ち、(A)成分と(C)成分を混合した後に、(B)成分と水を添加して混合することにより、口腔用組成物を調製した。
各々の口腔用組成物の調製直後及び50℃で30日間保存後の外観性状について、上記試験例1と同様の手法で評価を行った。
結果を表6に示す。この結果も、上記試験例1−2と同じ傾向を示した。また、界面活性剤として、マツヨイグサ抽出物1重量部当たり、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油が4重量部以上且つアルコール系溶剤が8重量部以上の比率を採用することが、調製時の濁りを抑制し、高温保存時の濁りの発生を軽減させる上で有効であることも確認された。
Figure 2010235565
試験例4
表7に記載の口腔用組成物(実施例28−31)を調製した。即ち、(A)成分と(C)成分を混合した後に、(B)成分と水を添加して混合することにより、口腔用組成物を調製した。
各々の口腔用組成物の調製直後及び50℃で30日間保存後の外観性状について、上記試験例1と同様の手法で評価を行った。
結果を表7に示す。この結果も、上記試験例1−2と同じ傾向を示した。特に、本結果から、マツヨイグサ抽出物が1重量%又は1.5重量%という高配合割合であっても、特定の非イオン性界面活性剤とアルコール系用剤を特定の比率で配合することによって、調製時の濁りを抑制し、高温保存時の濁りの発生を軽減できることが明らかとなった。
Figure 2010235565
試験例5
表8に記載の口腔用組成物(比較例30−41)を、上記試験例1と同様の方法で調製した。更に、各々の口腔用組成物の調製直後及び50℃で30日間保存後の外観性状について、上記試験例1と同様の手法で評価を行った。
結果を表8に示す。この結果から、(B)成分及び(C)成分のいずれか一方を配合しなかった場合には、調製直後及び50℃で30日間保存後の双方において濁りが認められることが確認された。
Figure 2010235565
試験例6
マツヨイグサ抽出物として、月見草エキス-WSPS(オリザ油化株式会社製)、月見草エキス-PH(オリザ油化株式会社製)、月見草エキス-WSPH(オリザ油化株式会社製)、月見草エキス-LC(オリザ油化株式会社製)、及びルナホワイトB(一丸ファルコス株式会社製)を用いて、上記試験例1−5と同様の試験を実施したところ、上記試験例1−5と同様の傾向の結果が得られた。

Claims (5)

  1. (A)アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、及びポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、並びに(C)アルコール系溶剤を含み、
    上記(A)成分1重量部当たり、上記(B)成分が4重量部以上、且つ上記(C)成分が8重量部以上であり、
    更に、上記(A)成分1重量部当たり、上記(B)成分及び(C)成分の合計量が45重量部以上であることを特徴とする、液体口腔用組成物。
  2. 上記(A)成分の配合割合が0.01〜2重量%である、請求項1又は2に記載の液体口腔用組成物。
  3. 上記(C)成分が、グリセリン、プロピレングリコール、及びエタノールよりなる群から選択される少なくとも1種である、求項1又は2に記載の液体口腔用組成物。
  4. 上記(A)成分が、アカバナ科マツヨイグサ属植物の種子の抽出物である、請求項1乃至3のいずれかに記載の液体口腔用組成物。
  5. 洗口剤又は液体歯磨剤である、請求項1乃至4のいずれかに記載の液体口腔用組成物。
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