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金属ナトリウムと水の反応により水素ガスを発生させる装置及び水素ガスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属ナトリウムと水を反応させて水素ガスを安全に発生させる装置を提供する。
【解決手段】金属ナトリウムをギロチン式カッターなどで細片にし、密閉した水槽の水層中に差し込んだ管の上部の投入口に投入し、金属ナトリウムを落下させることにより金属ナトリウムは沈降して水と接触し、水素ガスを発生させる。投入管の下端は水流ポンプの水放出パイプに開けた穴部に接着剤などで一体になるよう固定してある。落下してきた金属ナトリウムは直ちに水流ポンプの放出口から水層に押出され、水と反応して水素ガスを発生させる。発生した水素ガスは貯蔵タンクに貯える。貯蔵タンクには圧力センサを付けてあり、タンク内が一定以上の圧力になると圧力センサが働いてカッターの駆動をストップし、金属ナトリウムの供給を止める。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属ナトリウムを水中に投入することにより、水と反応させ、水素ガスを得る装置に関する。
水素ガスは燃料電池の燃料としての用途が開かれてから、クリーンなエネルギー源として急激に注目を浴びるようになってきた。
ここで、金属ナトリウムと水を反応させると水素ガスが発生することは化学的常識であるが、種々の用途に用いられるような材料ではなく、水素ガス発生の実験材料として用いられているに過ぎなかった。これは、金属ナトリウムが非常に危険な物質であり、空気に触れると急激に酸化し、また、水と触れると急激に反応し水素ガスを発生しながら燃焼することによる。それゆえ、取扱いには細心の注意を要する。
一方、ナトリウムは地殻中に6番目に多く存在する元素であり、工業的にも金属ナトリウムの生産技術は確立されている。金属ナトリウムは融点が約98℃と低いうえに比重も1以下、比熱も約0.3と小さいという性質を持っているため、高速増殖炉の冷却材として用いられている。また、不活性ガス雰囲気中でアルコール類と反応させてアルコラートを製造することにも利用されている。
特開2006−122864号公報 特願2008−322249号明細書
上記のような観点から、金属ナトリウムと水との反応で発生する水素ガスを利用しようとする試みはあまりなされていないのが現状であった。これは金属ナトリウムの取扱いが性状においても、安全性の面からも非常に難しかったためである。すなわち、いかに安全に金属ナトリウムを、水と接触させて水素ガスを発生させるかどうかが問題であった。
本発明者はこれらの課題を解決するため鋭意研究した結果、金属ナトリウムの成形体をギロチン式カッターなどで粒状もしくは薄い板状の細片にカットした金属ナトリウムを水に投入して水素ガスを発生させる装置において、水槽の水を水流ポンプにより撹拌させることで金属ナトリウムを安全で効率良く水と反応させて水素ガスを発生させられることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、棒状もしくは板状の細片にカットした金属ナトリウムを密閉した水槽内の水層もしくは油層に投入して水素ガスを発生させる装置において、金属ナトリウムの投入口を有する管を水層の中まで延ばし、水層中に設置した水流ポンプの水放出パイプの中間ぶに開けた穴に接続し、水流ポンプを起動させることにより、投入された金属ナトリウムを放出水と一緒に水層中に押し出すことで水と反応させることを特徴とする水素ガスを発生させる装置に関するものである。
本発明によれば、金属ナトリウムと水とを反応させることで水素ガスを発生させることができ、新しいエネルギー源として活用することができる。石油資源等が乏しいか皆無の国においても、容易にエネルギー源を確保することができる。金属ナトリウムは食塩電解法やアマルガム法にて得ることができる。
本発明の水素ガス発生装置を示す概略図。
以下に本発明を図面を交えながら説明する。本発明では使用する金属ナトリムが水と反応し易いように金属ナトリウムを細片にカットする。金属ナトリウムを細片にカットする好ましい一態様としてはギロチン式カッターを用いることができる。もちろん他の切断装置を用いることもできる。ここではギロチン式カッターを使用した場合について説明する。ギロチン式カッターは市販されているタイプのものが使用できる。すなわち、カムの駆動とバネにより上刃が上下し、上刃と下刃との間に供給される物をカットするタイプのものである。
供給ベルトなどに乗せられた金属ナトリウムは上刃の上がっている時に上刃と下刃の間に押し出される。カッターの出側にはカッターの上刃を落下させる働きをするカムの駆動装置と電線で繋がれている金属製のストッパーが設けられている。押し出された金属ナトリウムがストッパーに接触すると両者間に電流が流れ、その電気信号を受けて上刃が落下するように設定されている。金属ナトリウムが切断されると電流が流れなくなり、カムの駆動装置がオフになって、上刃を吊り下げているバネの力で上刃は引き上げられる。このように金属ナトリウムの1回の切断量がコントロールされている。
図1に水素ガスを発生させるための装置の概略を示す。ギロチン式カッター(図示してない)に供給されカットされた金属ナトリウム1は水2を入れた水槽3に差し込まれた管4の上部にある投入口5に落とされ、水中に落ちる。水槽には空気遮断効果を有する油が加えられており、水面に薄い油膜を形成している。管はガラス製、塩ビなどの合成樹脂製、または金属製でもよい。耐アルカリ性を有するガラス製若しくは軽量化を図るために耐アルカリ性を有する合成樹脂製の物が好ましく用いられる。管の先端部は水面下にあり、管内の水層の上面には油膜面6がある。
管の下部は開口している。水槽の水層中には水流ポンプ7が設置されている。水流ポンプには水を放出するための放出パイプ8が取付けられている。該パイプには水を吸い込むための複数個のスリット9が設けられている。また吸い込んだ水の放出口(パイプ先端)とスリットの中間部に穴が開けられていて、管4の下端部と固定してある。固定するには接着剤を使用することができる。これにより、管4から落下してきた金属ナトリウム細片は直ちに水流ポンプから放出される水と一緒に水層中に押し出される。水流ポンプの設置位置は水層中ならばどの位置でもよいが、水面下1〜2cmの位置に設置するのが好ましい。
水流ポンプの水の放出とともに落下してくる金属ナトリウムは、すぐに水層中に押し出されるため、水と反応して発生した水素ガスは管4内を逆流することもなく、ガス取出し管10に導かれることになる。水流ポンプを回転させない場合、投入された金属ナトリウムは管4内の油膜を通って水層に落ちるが、水流ポンプの放出パイプ内で水と反応し、水素ガスを発生させる。発生した水素ガスは管4内を逆流することもあり、危険を生じることもある。
発生した水素ガスは、水槽の上部に設けられたガス取出し管10から取出され、水の入ったストレーナ11を通して水などの不純物を取り除いてからガス取出し管13を通して貯蔵タンク(図示していない)に貯えられる。ストレーナ内には隔壁12が設けられており、導かれてきた水素ガスは逆流することなく貯蔵タンクへのガス取出し管13に導かれ貯蔵タンクに貯えられる。貯蔵タンク内は3気圧程度に調整されている。貯蔵タンクには圧力センサが取付けられている。圧力センサで感知された信号は、圧力スイッチに送られ電源をオン・オフして、金属ナトリウムの供給装置を駆動したり止めたりする。供給装置がギロチン式カッターの場合は、貯蔵タンク内の圧力が制限値より大きくなると、センサが働いてスイッチを切り、供給装置の動きを止めてカッターへの押出し動作を止める。これにより金属ナトリウムの水への投入が止まり、過剰な水素ガスの発生を抑えることができる。また、貯蔵タンクのガス取出し管13には逆流を防止するための弁14が設けられている。
貯蔵タンクに集められた水素ガスは、種々の用途に使用するために次の工程に送られる。例えば、内燃機関である水素エンジンの燃料として使用できるし、燃料電池の燃料、化学品の合成原料として用いることができる。
水流ポンプは市販のポンプを使用することができる。
溶融金属ナトリウムと反応して水素ガスを発生させた槽中の水には、ナトリウムが溶解するため、徐々に水酸化ナトリウムの量が増加する。このため槽の底部の排水管に取り付けた排水弁15から水酸化ナトリウムの溶液を抜き取った後、新たに水と油類の混合液を排水管より槽に供給して元の状態に復元する。抜き取られた水酸化ナトリウムを多量に含む水は、濃縮して金属ナトリウムを回収する原料として利用することができる。
金属ナトリウムの製造は、溶融食塩などの電気分解法やアマルガム法で得られるが、そのために使用する電力は本発明者らが先に特願2007−139788や特願2007−156284にて提案した太陽熱を利用して発電した電気を使うことができる。そのため、本発明は石油資源やその他のエネルギー資源が乏しいか全く持たない国々にとって、エネルギー源確保という面から多大な貢献をする発明である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(実施例1)
図1に示すような装置を用いた。自家製のギロチン式カッターを用いて板状の金属ナトリウムを切断し、金属ナトリウム投入口から管を通して落とし込んだ。管の下部、管の出口には水流ポンプを設置した。水流ポンプには水の吸水スリットが設けられている放出パイプが繋がれている。スリットと放出パイプの先端の中間部に穴を開け、管の下部先端と接着剤で固定した。水流ポンプはセンダック社製タイプFP−15Sを用いた。投入された金属ナトリウムは直ちに水流ポンプによって起こされた水の流れにより水層中に押出され、水素ガスの泡を吹き出しながら動き回った。
発生した水素ガスはストレーナを通して貯蔵タンクに貯蔵した。貯蔵タンクの内部圧上限を3気圧に設定しておいた。内部圧が3気圧近くになった時、圧力センサに接続した圧力スイッチが働き、ギロチン式カッターの駆動が止まり、金属ナトリウムの供給を止めることができた。貯蔵タンク内の圧力が3気圧よりかなり小さくなった時、圧力スイッチがオンになり、カッターの駆動が再開し、金属ナトリウムの供給が始まり、連続して水素ガスを発生させることができた。
(比較例1)
水流ポンプを駆動しないこと以外は実施例1と同様の操作を行ったところ、投入された金属ナトリウムの細片はポンプの放出パイプの内部に止まり、そこで水と反応して水素ガスを発生した。発生した水素ガスのほとんどは金属ナトリウム投入管の方に逆流し、投入口から漏れて空気に触れ、小さな爆発を起こし危険であった。
以上説明したように、本発明によれば金属ナトリウムを安全に水と反応させて水素ガスを発生させることができる。水素ガスは内燃機関のガソリンの代替として有効なエネルギー源として使用できるし、燃料電池の燃料として、化学品合成の原料としても使用できる。
1 …… 金属ナトリウム
2 …… 水
3 …… 水槽
4 …… 管
5 …… 投入口
6 …… 油膜面
7 …… 水流ポンプ
8 …… 水放出パイプ
9 …… 吸水スリット
10 …… ガス取出し管
11 …… ストレーナ
12 …… 隔壁
13 …… ガス取出し管
14 …… 逆流防止弁
15 …… 排水弁

Claims (3)

  1. 密閉された水槽の水層中に切断された金属ナトリウム片を水槽中の水層に投入するための投入口を有する管、および水層中に水流ポンプを設置したことを特徴とする水素ガス発生装置。
  2. 水流ポンプには水放出パイプが接続されており、該パイプには吸水スリットが設けられており、スリットとパイプ先端の中間部に穴が開けられ、金属ナトリウムの投入管の下端部とが固定されていることを特徴とする請求項1記載の水素ガス発生装置。
  3. 棒状もしくは板状に成型した金属ナトリウムをギロチン式カッターに供給する供給装置と、送り出された金属ナトリウムがストッパーに接触することで電気信号が働き、カッターの上刃が落下して金属ナトリウムを切断する機構を持つギロチン式カッターで金属ナトリウムを供給することを特徴とする請求項1記載の水素ガス発生装置。

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