JP2010235077A - 自動2輪車の発進抑制装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 メインスタンドの起立時に後輪が接地している場合、意図しない発進を防ぐため間引制御が採用されている。しかし間引き制御の開始条件が不明確なので明確にする。
【解決手段】
メインスタンド起立時で(S・11)、スロットル開度が基準値より大きく(S・21)、かつエンジン回転数がクラッチイン回転数以上のとき(S・12)、燃料噴射間引きによりエンジンの回転数をクラッチイン回転数以下にするための間引制御を開始する(S・23)。この間引制御中にスロットルを意図的に閉じると(S・24)、これを解除条件として間引制御を解除する(S・25)。
【選択図】 図12

Description

この発明は、発進時に燃料噴射や点火を間引きして出力を抑制するようにした自動2輪車の発進抑制装置に係り、特にエンジンを回転させたままの状態でメインスタンドを外した際に、運転者の意志をもって、発進出力を発生できる装置に関する。
サイドスタンドを出した状態で駆動輪が接地している場合に、エンジンの回転数が自動遠心クラッチの接続するクラッチイン回転数未満となるようにエンジンの点火を間引いて失火制御を行うものがある(特許文献1参照)。
特許第3334976号公報
ところで、車両のスタンドには、より車両を安定させて停止させるためのメインスタンドがあるが、前輪を浮かせるタイプはメインスタンドが掛け易いものの、後輪が接地することになり、スタンドが起立状態では、特許文献1のような駆動力制御をすることが望ましい。この場合、上記特許文献1のものがサイドスタンドに対して、メインスタンドを解除する場合には、車両を前方に押し出すことになるので、上記駆動力制御の解除においても、発進準備が整うことを考慮した解除方法が好ましい。
上記の点火制御は発進時におけるエンジンの出力抑制制御に相当するものであるが、この制御を解除する具体的な条件が明らかになっていない。このため、ライダーが発進を意図していない状態で、何らかの原因によりサイドスタンドが解除されると、ライダーが発進を意図しない状態で発進することになるので、出力抑制制御の解除はライダーが明確に発進意図したときのみできるようにすることが望ましい。
本願はこのような要請の実現を目的とする。
上記課題を解決するため自動2輪車の発進抑制装置に係る請求項1の発明は、発進時にエンジンの出力抑制制御をおこなうようにした自動2輪車の発進抑制装置において、メインスタンドを起立状態にして駐車したとき後輪が接地する形式のベルト式無段変速機を有する車両であって、エンジンの出力抑制制御をおこなう出力抑制モードと出力抑制制御をおこなわない通常モードを備え、前記出力抑制モードのとき、スロットルを開いた状態で前記メインスタンドの起立を解除しても、出力抑制モードを継続させて発進を不能にすることを特徴とする。
請求項2の発明は上記請求項1において、出力抑制モードの解除条件が、前記メインスタンドを起立解除した後、スロットルを閉じることであることを特徴とする。
請求項3の発明は上記請求項1において、出力抑制モードの解除条件が、前記メインスタンドを起立解除した後、ブレーキをかけることであることを特徴とする。
請求項4の発明は、発進時にエンジンの出力抑制制御をおこなうようにした自動2輪車の発進抑制装置において、メインスタンドを起立状態にして駐車したとき後輪が接地する形式のベルト式無段変速機を有する車両であって、エンジンの出力抑制制御をおこなう出力抑制モードと出力抑制制御をおこなわない通常モードを備え、
前記メインスタンド起立時に通常モードとし、スロットルを開いて発進することによりエンジンの力で前記メインスタンドを起立解除し、メインスタンドの起立解除後直ちに出力抑制モードに切り換えて出力抑制制御することを特徴とする。
請求項5の発明は上記請求項4において、前記出力抑制モードの解除条件が、前記メインスタンドの起立解除後、スロットルを閉じることであることを特徴とする。
請求項6の発明は上記請求項4において、前記出力抑制モードの解除条件が、前記メインスタンドを起立解除した後、ブレーキをかけることであることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、メインスタンドの起立でエンジンの回転数がクラッチイン回転数未満となるようにする出力抑制モードにて噴射間引制御すると、メインスタンドを外しても意図的な解除操作をしない限り、出力抑制制御を継続する。
このため、意図せずに発進することがなくなり、意図したときのみ発進することができる。
特に、メインスタンドを起立のまま後輪が接地したままとなる車両の場合は、メインスタンドを外しても発進するまでに十分な時間的余裕を確保することができる。
請求項2の発明によれば、出力抑制モード解除条件をメインスタンドを外した後、スロットルを閉じる行為とするので、ライダーがそのままスロットルを開いても解除できず、逆に発進を意図して、一度スロットルを閉じなければ、出力抑制モード解除条件できず、発進開始を明確に意識化させることができる。
請求項3の発明によれば、出力抑制モード解除条件としてブレーキをかけることとしたので、発進と逆の操作となるブレーキをかけることにより、明確な意識化ができる。
請求項4の発明によれば、メインスタンド起立時に出力抑制制御を伴い、通常モードとし、スロットルを開いて発進すると、エンジンの力によりメインスタンドが立ったままで車体が前進するため、エンジンの力でメインスタンドを外すことができる。メインスタンドが外れると同時に、すなわち直ちに出力抑制制御となるので、メインスタンドが外れたとき直ちに発進することがなく、その後の意図に適った発進が可能になる。
請求項5の発明によれば、メインスタンドが外れた後に開始された出力抑制制御の出力抑制モード解除条件としてスロットルを閉じることにしたので、明確に意図された操作によらなければ出力抑制制御を解除できない。
請求項6の発明によれば、メインスタンドが外れた後に開始された出力抑制モード解除条件としてブレーキをかけることにしたので、明確に意図された操作によらなければ、出力抑制制御を解除できない。
本願発明が適用された自動2輪車の側面図 メインスタンド近傍部の側面図 メインスタンド部分を車体前方から示す図 スタンドスイッチの取付方を示す分解斜視図 第1及び第2のスタンドスイッチの構造を模式的に示す図 スタンド角に応じた第1及び第2のスタンドスイッチの接点動作を示す図 スタンド角に応じた各スタンドスイッチの状態を組合せたパターンを示す図 スタンド状態を検出するためのフローチャート 別実施例をなすスタンドスイッチを示す図 スタンド角に応じた第1及び第2のスタンドスイッチの接点動作を示す図 スタンド角に応じた各スタンドスイッチの状態を組合せたパターンを示す図 間引制御のフローチャート 発進抑制御における実施例のフローチャート
以下、図面に基づいて実施例を説明する。図1は本願発明が適用された自動2輪車の外観側面図である。
なお、本願ではメインスタンドの状態を、格納状態、中間状態及び起立状態とし、中間状態は格納状態もしくは起立状態以外の状態とし、さらに格納状態以外の状態をスタンド出し状態(メインスタンドを出した状態)ということにする。
この自動2輪車は前輪1と後輪2を前後に有するスクータ型であり、前輪1はフロントフォーク3に支持され、バーハンドル4にて操舵される。5はバーハンドルのグリップであり、グリップ5近傍となる車体前側上部にはヘッドライト6、ウィンカ7、メータ8等が配置されている。9は低床式フロアであり、バーハンドル4と後方のシート10との間に位置する。
シート10の下方にはユニットスイング式パワーユニット14が配置され、その後端に支持される。
低床式フロア9の下方となる車体下部前側に、メインスタンド11が設けられ、駐車時に起立した図示状態となり、前輪1を地面12より浮かせて車体を正立支持するようになっている。このとき、後輪2は接地したままである。
すなわち、メインスタンド11は後輪2を接地した状態で起立状態となるよう前輪1寄りに設けられた前方配置形式のものである。
なお、メインスタンド11は後述するように走行時に後方へ略90°回動させて跳ね上げた格納状態になる。
メインスタンド11の上部はスタンドカバー13で前輪1側を覆われ、前輪1の跳ね上げる水や泥等を防ぐようになっている。
車体は車体カバーにより覆われ、この車体カバーはフロントカバー15,レッグシールド16,ハンドルカバー17,フロアカバー18,リヤカバー19からなる。20はフロントフェンダ、21はリヤフェンダ、22はリヤクッションである。
車体フレーム23は、前端のヘッドパイプ24、これから車体中心に沿って一本で斜め下がりに後方へ延び、屈曲して低床式フロア9の下方へ延びるメインフレーム25、その後端から左右一対で斜め上がりに後方へ延び、シート10の後部下方にて屈曲して後輪2の上方を略水平に延びるリヤフレーム26を備える。
ヘッドパイプ24はフロントフォーク3とバーハンドル4を連結するステアリング軸27を回動自在に支持する。
メインフレーム25のレッグシールド16内側を斜め上下方向へ配置されるダウン部25aから低床式フロア9の下方を前後方向へ略水平に延びるフロア部25bとに変化する屈曲部25c近傍下部にはブラケット28が溶接されて下方へ延出し、ここにメインスタンド11の上端部が回動自在に支持されている。
フロア部25bの後端部にはユニットスイング式パワーユニット14がリンク29を介して揺動自在に連結されている。ユニットスイング式パワーユニット14はシート10の前部下方へリヤフレーム26の斜め配置された前部26aと交差して略水平に前後方向へ配置されたシリンダ部27を有するエンジン30と、このエンジン30と一体に構成された変速機31を備える。変速機31はベルト式無段変速器であり、自動遠心クラッチを有し、所定のエンジン回転数にてクラッチインして後輪2へ駆動力を伝達し、後輪2を駆動するようになっている。
変速機31の後部とリヤフレーム26の略水平に延びる後部26bとの間にリヤクッション22が配置される。変速機31とリヤフレーム26の間にはエアクリーナ32が配置される。シート10の下方となるリヤカバー19は上方へ開放され、この開口部をシート10により開閉されるようになっており、内側には前方に物入れ33、後方に燃料タンク34が配置される。
物入れ33は上方へ開放され、ヘルメットを収容可能な比較的大容量のものであり、リヤフレーム26に支持され、シート10で開閉される。
燃料タンク34は後部26bに支持され、シート10を開くことにより、給油可能になっている。
図2はメインスタンド11近傍部の側面図である。メインスタンド11は側面視略L字状をなすアーム部40と接地部41を備え、アーム部40の上部がピボット軸42にてブラケット28の下部へ回動自在に取付けられている。このピボット軸42に同軸でロータリ式のスタンドスイッチ43が取付けられている。ブラケット28の上端部はメインフレーム25の屈曲部25cの近傍へ溶接されている。ブラケット28の前方及び左右は、先端部のスタンドスイッチ43を含めてスタンドカバー13で覆われている。スタンドカバー13は金属や剛性の樹脂など適宜材料からなり、スタンドスイッチ43を前輪からの跳ね上げ水や泥から保護している。本実施例のようにメインスタンド11を前輪の後ろ近傍となる車体の前方位置へ配置した形式を採用する場合に、スタンドスイッチ43の保護手段としてこのスタンドカバー13が特に有効である。
スタンドスイッチ43はメインスタンド11の起立状態及び略90°回動させた仮想線で示す格納状態及びこの中間状態のいずれの状態にあるかを検出してスタンド位置信号を出力する。スタンドスイッチ43は上フック44にて係合して回り止めされている。
なお、スタンドスイッチ43は左右一対で設けられるが、図示状態の側面視では左右のものが重なり手前側(車体左側)のもののみが見えている。本願では左右を区別しないときスタンドスイッチ43と総称し、左右を区別する必要があるときは後述するように第1スタンドスイッチ43A及び第2スタンドスイッチ43Bとして表示するものとする。
上フック44はブラケット28から外側方へ長く突出してその先端にはリターンスプリング45の上端が係止されている。リターンスプリング45は下端を下フック46に係止され、メインスタンド11を起立状態又は格納状態のいずれかへ回動付勢する反転スプリングをなし、メインスタンド11が回動時に死点を超えると、起立状態又は格納状態のいずれかへ回動付勢するようになっている。
したがって、リターンスプリング45が上フック44又は下フック46から外れたり、大きく変形等した場合はメインスタンド11が中間状態のままになってしまうメインスタンドの異常が生じることになる。
47はスタンドスイッチ43の検出したスタンド位置信号を送るハーネスであり、スタンドスイッチ43から斜め上がり後方へ延びて、低床式フロア9下方に配置されているECU48へ接続し、検出信号をECU48へ入力するようになっている。ECU48は低床式フロア9の下方に設けられたトレー9a内に収容され、低床式フロア9に設けられたリッド9bを開閉してメンテナンス可能である。また、ECU48は低床式フロア9の下方に収容され、フロア部25bに支持されるバッテリ49と側面視で重なっている。
図3はメインスタンド11部分を車体前方から示す図である。アーム部40は鋼製丸棒状等の剛性を有する適宜材料及び断面形状の部材からなる略門型をなし、上部が車体幅方向(左右方向)へ延びるクロス部40aになっている。
アーム部40はクロス部40aから肩部40bにて曲がり図示状態下方外開き状に延び、この左右の肩部40bにブラケット50の下端が溶接されており、左右のブラケット50はそれぞれ平行に上方へ突出している。
一方、屈曲部25cの近傍部には左右両側に一対のブラケット28が各上端部を溶接されており、各ブラケット28はそれぞれ外側方へ屈曲して広がりながら対応する左右のブラケット50へ向かって下方へ延出し、各下端は、それぞれブラケット50の内側へ対面して重なるようになっている。
そこで、左右のブラケット50と対応するブラケット28の下端をそれぞれに重ね、右側に第1のスタンドスイッチ43A、左側に第2のスタンドスイッチ43Bをそれぞれピボット軸42にて左右一対のスタンドスイッチをなす第1のスタンドスイッチ43Aと第2のスタンドスイッチ43Bをそれぞれ共締めする。
なお、第1のスタンドスイッチ43A及び第2のスタンドスイッチ43Bはそれぞれ一対のスタンドスイッチ43である。また、右側を第1のスタンドスイッチ43A、左側を第2のスタンドスイッチ43Bとするのは便宜的であって特に意味はなく、左右を逆にしてもよい。
さらに、第1のスタンドスイッチ43Aと第2のスタンドスイッチ43Bの取付構造は殆ど同じであるが、リターンスプリング45が左側のみに設けられる関係で、第2のスタンドスイッチ43Bが長く外側方へ突出する上フック44と係止するのに対し、第1のスタンドスイッチ43Aはこのように長く突出しない上フック51と係止する。上フック51の長さは第1のスタンドスイッチ43Aの左右幅内に収まる程度の短いものであり、上フック44と同軸上に設けられている。
図4は第2のスタンドスイッチ43Bの取付方を示す分解斜視図である。なお、第1のスタンドスイッチ43Aの取付構造も同様である。
ブラケット28の下部には上フック44近傍に取付穴28aが設けられている。一方、ブラケット50にも取付穴50aが設けられている。但し取付穴50aの方が取付穴28aより大径になっている。
このブラケット50をブラケット28の外側に重ね、取付穴28aと取付穴50aの軸心を一致させ、外方より段付きボルトであるピボット軸42を差し込み、車体内方へ突出する雄ネジ部53にブラケット28の車体内方側からナット52で締結すると、ブラケット50がピボット軸42でブラケット28へ取付けられる。
ピボット軸42はブラケット28の内径とほぼ同寸である小径の雄ネジ部53と、これより大径で取付穴50aとほぼ同寸の大径部54、さらにその一端でより大径の頭部55を一体に有し、頭部55から大径部54の軸心部には頭部55の軸心に外方から内方へ向かって雌ネジ穴56が形成されている。
そこで、このピボット軸42でブラケット50をブラケット28へ取付けると、ブラケット28をナット42と大径部54の間に挟持して締め付けることによりピボット軸42がブラケット28へ固定され、ブラケット50がブラケット28と頭部55に挟まれて大径部上を回動自在となるので、メインスタンド11がブラケット28へ回動自在に取付けられる。
第2のスタンドスイッチ43Bは、ピボット軸42の頭部55の上へ外側から重ねられ、段付きのネジ57を第2のスタンドスイッチ43Bの中心部に設けられている取付穴(図示省略)へ入れ、第2のスタンドスイッチ43Bを貫通した先端のネジ部58を頭部55の雌ネジ穴56へ締結することにより、ピボット軸42へ同軸で取付一体化される。
第2のスタンドスイッチ43Bはロータ部60とスイッチケース部62を備え、ロータ部60はピボット軸42への取付時に左右の係合突部61(この図では左片側のみ見えている)がブラケット50の外側縁部を挟むことで、ピボット軸42と同軸の回転軸線上をメインスタンド11と一体に回動する。
スイッチケース部62は、一部がロータ部60の中心側を回転軸線方向に貫通してロータ部60を回動自在に支持する部分をなし、ロータ部60の外側に出て回転軸線と直交方向へ広がる外カバー部63と一体化され、ネジ部58でピボット軸42へ取付け固定される。
外カバー部63には略U字状の溝64が設けられ、スタンドスイッチ43をピボット軸42へ取付けるとき上フック44を溝64へ入れることによりスイッチケース部62が回り止めされている。
図5はスタンドスイッチ43の構造を車体左側から見た状態で模式的に示す。
メインスタンド11は格納状態X、中間状態Y、起立状態Zの間を回動し、格納状態Xにおける回動限界を0°としたとき、スタンド角(メインスタンド11の回動角)が、時計回り方向へ0°〜25°の範囲を格納状態、25°を越え〜77°未満の範囲を中間状態、77°〜102°の範囲を起立状態とする。102°が起立状態の回動限界となっている。
ローター部60には可動接点65が設けられ、可動接点65はピボット軸42を中心にローター部60と一体に回動する。可動接点65は接地されている。
第1のスタンドスイッチ43Aは、スイッチケース部62側のピボット軸42を中心とする同心円59上に円弧状の第1固定接点66が配置され、メインスタンド11が格納状態のとき可動接点65が摺動するように、可動接点65の回動範囲0°〜25°と重なる位置にのみ設けられている。第1固定接点66は電源及びECU48と接続され、可動接点65が摺動しているときのみオンとなり、スタンド信号をECU48へ出力する。
このため、第1のスタンドスイッチ43Aは格納状態及び起立状態のうち一方の格納状態のみを検出するスタンドスイッチとなる。但し、中間状態又は起立状態のときオフとなって積極的にスタンド信号を出力しないが、このスタンド信号が出力しないことにより格納状態以外の状態にあることを検出できるから、格納状態かそれ以外の状態かの2つの状態を検出できることになる。しかし、この場合は起立状態と中間状態を明確に区別できない。
したがって、第1のスタンドスイッチ43Aは格納状態及び起立状態のうち一方の格納状態のみを検出するスタンドスイッチであるともに、所定のスタンド角(この場合は0°〜25°)の範囲内かそれ以外かを検出するので、回転角度検出手段を有するスイッチでもある。
このように回転角度検出手段はロータリ式スイッチとすることにより可能になる。また、所定のスタンド角の範囲をオンにできるので、格納状態(第2のスタンドスイッチ43Bの場合は起立状態)の検出に幅を持たせることができ、車体の振動等による影響を避けて検出状態を安定させることができる。
なお、単に起立状態と格納状態の2状態を検出するだけで足り、スイッチの使用個数が多くてもよければ、本実施例のようなロータリ式スイッチではなく、従来例のような起立状態と格納状態状態を検出するリミットスイッチとしてもよい。
また、起立状態と格納状態状態の検出に所定のスタンド角幅を確保する必要がなければ、本実施例のロータリ式スイッチにおいて摺動接点構造をボタンスイッチのような接離式の接点構造にしてもよい。
第2のスタンドスイッチ43Bは、スイッチケース部62のピボット軸42を中心とする同心円59上に円弧状の第2固定接点67が配置され、メインスタンド11が起立状態のとき可動接点65が摺動するように、可動接点65の回動範囲77°〜102°と重なる位置にのみ設けられている。第2固定接点67は電源及びECU48と接続され、可動接点65が摺動しているときのみオンとなり、スタンド信号をECU48へ出力する。
このように、第2のスタンドスイッチ43Bは起立状態のみを検出するスタンドスイッチである。
なお、起立状態とそれ以外の状態との2状態を検出できること及びスタンド角が77°〜102°の範囲内かそれ以外かを検出する回転角度検出手段を有することは第1のスタンドスイッチ43Aと同様である。
スタンド信号が入力されるECU48は、入力回路70,CPU71,インジェクタ駆動回路72を備える。
入力回路70へは、第1のスタンドスイッチ43Aのスタンド信号(格納状態),第2のスタンドスイッチ43Bのスタンド信号(起立状態)の他にも、スロットセンサ73からスロットル開度信号、クランクパルサ74からクランク軸すなわちエンジンの回転数信号、ブレーキセンサ75からブレーキ投入時のブレーキ信号等が入力される。
CPU71は入力回路70へ入力されるスタンド信号に基づいてまずスタンド位置検出をおこない、その後、この検出されたスタンド位置に基づいて、メインスタンドの起立状態にての間引制御及び発進時の発進抑制を行い、CPU71が後述する間引きモードと判断した所定の場合にはインジェクション駆動回路72によりインジェクタ76を間欠的に停止するような燃料噴射を行うように低回転噴射間引制御(以下、単に間引制御という)し、発進時にはライダーの明確な意図を伴う操作によってのみ発進を可能とする発進抑制するようになっている。
図6はメインスタンド11の回動に応じた第1のスタンドスイッチ43A及び第2のスタンドスイッチ43Bの接点状態を示す略式図である。上段は第1のスタンドスイッチ43A、下段は第2のスタンドスイッチ43Bである。
ず、aは格納状態であり、第1のスタンドスイッチ43Aは可動接点65が第1固定接点66と導通してオンとなる。第2のスタンドスイッチ43Bは可動接点65が第2固定接点67から遠く離れていてオフである。
bはメインスタンド11が中間状態、すなわちメインスタンド11のスタンド角が25°越え〜77°未満の範囲にある状態であり、第1のスタンドスイッチ43Aは可動接点65が第1固定接点66から外れてオフとなり、第2のスタンドスイッチ43Bはまだ可動接点65が第2固定接点67上へ移動せずやはりオフである。
cはメインスタンド11が起立状態、すなわちメインスタンド11のスタンド角が77°〜102°の範囲にある状態であり、第1のスタンドスイッチ43Aがオフを維持し、第2のスタンドスイッチ43Bは可動接点65が第2固定接点67上へ乗り上げて摺動することによりオンとなる。
図7は各スタンドスイッチのスタンド信号に基づくスタンド位置の決定について説明する図であり、上段にスタンドスイッチの状態に関するメインスタンドの動作を組み合わせたチャートを示し、下段に各スタンドスイッチの状態を組合せたパターンを示す。
上段において、横軸にスタンド角を示し、縦軸方向にaとして第1のスタンドスイッチの状態、bとして第2のスタンドスイッチの状態、cとしてスタンドモード、dとしてメインスタンドの位置を概略的に示す。
スタンド位置検出では、第1のスタンドスイッチ43A及び第2のスタンドスイッチ43Bのスタンド信号により、各スタンドスイッチ毎に、それぞれのフラグF_CSTAND1及びF_CSTAND2にスタンド信号が入力されたとき(すなわち接点がオンのとき)格納状態又は起立状態であることを意味する0をセットし、スタンド信号が入力されないとき(すなわち接点がオフのとき)は格納状態以外又は起立状態以外の状態であることを意味する1をセットする。次ぎにこのフラグF_CSTAND1及びF_CSTAND2の組合せパターンによってスタンド位置を判別し、スタンドモードSTDMODEを、格納状態のとき0、起立状態のとき1、操作中のとき2、スイッチ又はスタンドの異常と判定したときは3をセットする。詳細は後述する。
クランクパルサーの検出したエンジン回転数は、エンジン回転数フラグF_STDNEのセットに使用される。検出されたエンジン回転数と予め設定されているクラッチイン回転数(クラッチインするときの標準的なエンジン回転数)を基準として、それよりも高けれ
ば高回転である1が、低ければ低回転として0がセットされる。
スタンド角度は、0°〜25°のときdのメインスタンドが格納状態にあり、25°超〜77°未満のとき、メインスタンドが中間状態にあり、77°〜102°のときメインスタンドが起立状態にある。
aにおける第1のスタンドスイッチの状態を示すフラグF_CSTAND1は、スタンド角が0°〜25°の範囲でオンとなるので0、25°超〜102°までオフとなるので1となる。
bにおける第2のスタンドスイッチの状態を示すフラグF_CSTAND2は0°〜77°未満でオフであるため1であり、77°〜102°までオンとなるので0である。
cのスタンドモードSTDMODEは、格納状態のとき0、中間状態のとき、操作中2又は異常3、起立状態のとき1が割り当てられる。
操作中2とはメインスタンドが格納又は起立のいずれの状態でもないが格納状態と起立状態の間にあって正常な操作途中の状態、異常はスタンドスイッチ自体又はメインスタンド自体が故障等によって異常になっている状態である。
この第1のスタンドスイッチと第2のスタンドスイッチのフラグF_CSTAND1及びF_CSTAND2は下段におけるパターン判別の表のように4通りの組合せとなり、
これを、(第1のスタンドスイッチのフラグF_CSTAND1,第2のスタンドスイッチのフラグF_CSTAND2)の組合せ形式で表すと、(0,0)の場合は理論上有り得ない組合せであるから、スタンドスイッチ自体の異常状態として確定されスタンドモードSTDMODEは3と確定する。同様に(0,1)の場合は格納状態と判断できてスタンドモードSTDMODEを0に確定する。(1,0)の場合は起立状態としてスタンドモードSTDMODEを1に確定する。
(1,1)の場合は操作中もしくは異常の可能性があるこの段階では判断できない。そこで、この組合せのフラグになったときECU48はさらにタイマーによりメインスタンドの操作時間Ton(両スイッチのフラグが(0,1)→(1,0)又は(1,0)→(0,1)になるまでの時間)を計測し、これを予め定められている標準時間T0より引いたT0−Ton=tmSTANDを計算し、このtmSTAND≦0以下、すなわち時間がかかり過ぎている場合は、何らかの事情(例えばリターンスプリング45の外れなど)でメインスタンドが出たままの状態となったメインスタンドの異常と考えられるから、異常と判断して3をセットする。そうでない場合は操作中であると判断して2をセットする。
これにより、メインスタンドの状態が第1のスタンドスイッチと第2のスタンドスイッチの各スタンド信号を組合せたパターン判別で、スタンド位置を容易に判定できる。
しかも、各スタンドスイッチの信号を組合せただけでは判別できない、スタンドスイッチ自体の異常並びに操作中とスタンドの異常を、タイマーによるスタンド操作時間の計測によって、容易かつ正確に判別できるようになる。
図8はこのスタンド位置検出のフローチャートである。
まず、第1のスタンドスイッチの状態についてフラグF_CSTAND1が0か1かを判断し(S・1)、0すなわち格納状態であれば、第2のスタンドスイッチの状態をフラグF_CSTAND2で調べ(S・2)、0すなわち起立状態であれば、図7のパターン判別の表における(0−0)の組合せであるから、スタンドモードSTDMODEを3としてスタンドスイッチ自体の異常を確定する(S・3)。
S・2において、1ならば、図7のパターン判別の表における(0−1)の組合せに相当して格納状態であるから、スタンドモードSTDMODEを0として通常状態(すなわち格納状態)と確定する(S・4)。
S・1においてフラグが1(スタンド出し状態すなわち中間状態又は起立状態)ならば、第2のスタンドスイッチのフラグF_CSTAND2を調べ(S・5)、0ならば図7のパターン判別の表における(1−0)の組合せであるから、通常状態(起立状態)と確定してスタンドモードSTDMODEを1とする(S・6)。
S・5におて1ならば、図7のパターン判別の表における(1−1)の組合せであって、操作中か異常かを判別できないので、さらにタイマー計測を行い、予め設定されている初期値との差からtmSTANDを計算して0以下か否かを調べる(S・7)。
S・7で0より大きければ、操作中と確定し、スタンドモードSTDMODEに2をセットする(S・8)。
0以下ならばメインスタンドが出し放し状態になっているからメインスタンド側の故障等による異常状態として確定し、スタンドモードSTDMODEに3をセットする(S・9)。
このように、格納状態を検出する第1のスタンドスイッチ43Aと起立状態を検出する第2のスタンドスイッチ43Bの2つのスタンドスイッチを組み合わせることにより容易かつ正確に異常を判断することができる。
しかも、本実施例の自動2輪車は、メインスタンド11を起立状態にしたとき、後輪2が接地しているので、発進に先立ってメインスタンド11を確実に格納状態にする要請が強いため、このような車両のために好適な異常検出手段となる。
また、2つのスタンドスイッチの組合せであれば、リミットスイッチでも回転角度検出手段を有するスイッチのいずれでも適用可能となる。リミットスイッチであれば、起立状態又は格納状態もしくはそれ以外の状態をオン・オフで2値的に検出でき、例えば、一方が格納状態で他方が起立状態とすれば、有り得ない組合せとなるから、いずれか一方のスタンドスイッチが故障等異常であることになる。
図9はスタンドスイッチの別実施例をなすロータリ式スイッチを示す。このスタンドスイッチは前実施例同様に第1及び第2のスタンドスイッチとして左右一対で設けられるが、左右同一のものを同じように配置して使用する。なお、このスタンドスイッチは、前実施例と接点構造が異なり、他は殆ど共通するので、前実施例との共通部は同一符号を用い、共通部の詳細な説明は省略する。
このスタンドスイッチ143は、ロータ部160とスイッチケース部162とを備えたロータ式スイッチであり、ロータ部160はピボット軸42の回りをメインスタンド11と一体に回転する。スイッチケース部162はピボット軸42により車体側へ固定されて上フック44で回り止めされる。
ロータ部160には可動接点165が一体回転するように固定されている。可動接点165は半月状をなし、円弧部の一部を切り欠いた切り欠き部163とし、その周方向両側を導通部164としてある。
スイッチケース部162には、第1固定接点166〜第3固定接点168が各先端部に設けられた打ち出し形状等で構成された摺動突部が、ピボット軸42を中心とする同心円上に所定間隔で配置され、これらの上へ重なるように移動して摺接するように導通部164が径方向寸法周方向寸法を設定されている。切り欠き部163は可動接点165の回動時に各第1固定接点166〜第3固定接点168と接触しないように、径方向寸法周方向寸法を設定されている。
可動接点165の導通部164は格納状態のとき第1固定接点166と第3固定接点168へ同時に接触するのでこの間で導通して第1固定接点166がオンとなる。起立状態のときは第2固定接点167と第3固定接点168へ同時に接触するのでこの間で導通して第2固定接点167がオンとなる。第3固定接点168はアース接点であり、可動接点165の全回動範囲において常時導通部164と導通する。第1固定接点166と第2固定接点167はそれぞれ電源とECU48に接続され、第3固定接点168は接地される。
なお、スタンド角が0°〜25°のとき格納状態、25°越え〜77°未満のとき中間状態、77°〜102°のとき起立状態となることは前実施例と同じであり、可動接点165の切り欠き部163及び導通部164の各周方向幅及び第1固定接点166〜第3固定接点168の配置角度は、このスタンド角に応じて接点接続が切り換わるように設定される。
このスタンドスイッチによれば、1つのスタンドスイッチ自体で、格納状態、中立状態及び起立状態の3つの状態を明確に区別して検出できる。また、スタンド角度によってメインスタンドの位置を検出できるから、回転角度検出手段を有するスイッチでもある。
図10はスタンド角に応じた第1及び第2のスタンドスイッチの接点動作を概略的に示す図である。なお、各スタンドスイッチは車体左側から見た状態で模式的に示し、上段は第1のスタンドスイッチ、下段は第2のスタンドスイッチである。
まず、aは格納状態であり、第1及び第2のスタンドスイッチはそれぞれ同じものを同じ向きに設けてあるから同じ動作となり、各可動接点165は第1固定接点166と導通して両スタンドスイッチの第1固定接点166が同時にオンとなる。
bはメインスタンド11が中間状態の範囲にある状態であり、第1及び第2のスタンドスイッチとも、各第1及び第2固定接点166及び167がそれぞれ可動接点165の切り欠き部163内へ入るので、各第1及び第2固定接点166及び167は全てオフとなる。
cはメインスタンド11が起立状態の範囲にある状態であり、各可動接点165は第2固定接点167と導通するので、各第2固定接点167がオンとなる。
すなわち、メインスタンド及び各スタンドスイッチが正常である限り、同じスタンド信号を出力することになり、各スタンドスイッチとも、格納状態及び起立状態の2つの信号を出力できる。
図11は各スタンドスイッチのスタンド信号からスタンド位置を決定することについて説明する図であり、上段にスタンドスイッチの状態に関するメインスタンドの動作を組み合わせたチャートを示し、下段に各スタンドスイッチの状態を組合せたパターンを示す。
上段において、横軸にスタンド角を示し、縦軸方向にaとして第1のスタンドスイッチの状態、bとして第2のスタンドスイッチの状態、cとしてスタンドモード、dとしてメインスタンドの位置を概略的に示す。
スタンド角度は、0°〜25°のときdのメインスタンドが格納状態にあり、25°超〜77°未満のとき、メインスタンドが中間状態にあり、77°〜102°のときメインスタンドが起立状態にある。
aにおける第1のスタンドスイッチの状態を示すフラグF_CSTAND1は、スタンド角が0°〜25°の範囲で第1固定接点166がオンとなって格納状態になるので、格納状態を意味する1をセットする。25°超〜77°未満はオフとなるので、中間状態を意味する0をセットする。77°〜102°までは第2固定接点167がオンとなって起立状態になるので起立状態を意味する−1をセットする。
bにおける第2のスタンドスイッチの状態を示すフラグF_CSTAND2も同様であって、格納状態で1、中間状態で0、起立状態で−1をセットする。
cのスタンドモードSTDMODEは、前実施例と同じく、格納状態のとき0、中間状態のとき操作中2又は異常3、起立状態のとき1が割り当てられる。
この第1のスタンドスイッチと第2のスタンドスイッチのフラグF_CSTAND1及びF_CSTAND2は下段におけるパターン判別の表のように9通りの組合せが可能となる。このうち、メインスタンド並びに第1及び第2のスタンドスイッチが正常であれば、両スタンドスイッチは同じ状態の組合せにならなければならない。
(第1のスタンドスイッチのフラグF_CSTAND1,第2のスタンドスイッチのフラグF_CSTAND2)の組合せで表わしたとき同じ組合せになるのは、(1,1)、(0,0)、(−1,−1)だけであり、これらの組合せパターンのとき正常であると判断し、(1,1)のとき格納状態と確定してスタンドモードSTDMODEを0にセットする。(0,0)のときは操作中又は異常による中間状態と判断してスタンドモードSTDMODEを2にセットする。(−1,−1)の場合は起立状態と確定してスタンドモードSTDMODEを1にセットする。
他の組合せは全て理論上有り得ない組合せであるから、スタンドスイッチ自体の異常状態として確定されスタンドモードSTDMODEは3にセットする。
なお、中間状態の判定のときは操作中又は異常かを判断できず、前実施例同様にタイマーによる操作時間の計測により区別する必要がある。しかしこの場合でも、異常の原因は、両スイッチが同時に同じ故障をして同じ信号を出力することは極希であるから、ほとんどがメインスタンド側の異常であると判断できる点で有利である。
このように、単独に各状態(格納状態、起立状態及び中間状態)を判断できるスタンドスイッチを2つ用いれば、相互監視によりスタンドスイッチ自体の異常を判断でき、しかもスタンドスイッチ自体の異常かメインスタンド側の異常かをほぼ正確に判別できる。そのうえ、第1のスタンドスイッチ43Aと第2のスタンドスイッチ43Bからなる2個のスイッチの各オン・オフ信号を組み合わせたパターンによりスタンドスイッチ自体の異常を容易かつ正確に判断できる。
また、全く同じスタンドスイッチを同じように配置して使用するので、既存のスタンドスイッチを利用でき、車体への組付けも容易になるので、製造及びコストの点で有利になる。
特に、ロータリ式スイッチのように、回転角度検出手段を有するスイッチを採用すれば、各スタンドスイッチ毎に格納状態、起立状態、その中間状態を、回転角度を検出することにより検出でき、スタンド位置の検出がより正確になる。したがって、各スタンドスイッチの検出状態を組み合わせたとき、異なる組合せを検出することで直ちにスタンドスイッチ自体やメインスタンド側の異常を検出できる。
次に、メインスタンド位置検出に基づいて行われる間引制御による発進抑制制御について説明する。図12は間引制御による発進抑制制御のフローチャートである。間引制御を実行するための間引制御フラグF_STDMBは未実施が0、実施が1であり、スタート時の初期値は0(未実施)にセットする。なお、間引制御フラグF_STDMBが0は間引制御をしない通常モードを実行するためのフラグでもあり、同様に1は出力抑制モードを実行するためのフラグでもある。また、スロットルの状態を検出するフラグF_STDTHOPはスロットルが開いている場合が1(TH開)、スロットルが閉じている場合が0(TH閉)である。
スタートすると、まず図8のスタンド位置検出において決定されたスタンドモードSTDMODEの値が1以上か否かを判断し(S・10)、1以上、すなわち格納状態以外の1〜3のいずれかであれば、続いてスタンドモードSTDMODEが2以下かを判断し(S・11)、Y(起立1、操作中2のいずれか)であればメインスタンドを出している状態であるから、続いてエンジン回転数NEが所定回転数NE0以上か否かを判断する(S・12)。また、エンジン回転数NEが所定回転数NE0以上ならばエンジン回転数フラグF_STANDNEが1(高回転)、エンジン回転数NEが所定回転数NE0未満ならばエンジン回転数フラグF_STANDNEが0(低回転)である。
エンジン回転数フラグF_STDNEが1であれば、エンジンがクランチイン以上の回転数であるから、続いてスロットル開度THが予め設定されているクラッチイン時の基準値C_THSTDと大小比較され(S・13)、現在のスロットル開度THの方が大きければ(TH≧C_THSTD)、ライダーが発進のためにスロットルを開いている状態であるから、まさに間引制御が必要な状態であり、スロットルの状態を検出するフラグF_STDTHOPを1(TH開)にセットし(S・14)、さらに間引制御フラグF_STDMBを1にセットし(S・15)、間引制御を行う。
S・13において、スロットル開度が基準値よりも小であれば、スロットルを戻した状態であって、スロットルの状態を検出するフラグF_STDTHOPを0(TH閉)とする(S・16)。ただし、メインスタンドは中間状態か起立状態のいずれかであって未定であり、かつエンジン回転数はクラッチインする高回転であるから、間引制御フラグF_STDMBを1にセットして間引制御をおこなう(S・17)。つまり、(S・16)を通る場合は、エンジンを高回転にしてスロットルを閉じた直後の状態である。
S・12において、エンジン回転数フラグF_STDNEが0(低回転)で、エンジンの回転数がクラッチイン回転数より低回転であれば、自動遠心クラッチがつながらず切断状態が維持されて車両は発進できない状態すなわち駐車状態にあると判断されるから、間引制御の必要が無く、間引きフラグF_STDMBを間引処理不要の0にセットし(S・18)。これにより間引制御を未実施とする。
S・11においてスタンドモードSTDMODEが2より大であれば、すなわち3であって異常であるから、直ちに異常を確定して間引制御フラグF_STDMBに1をセットし(S・19)、燃料を全カットしてインジェクタへ燃料を供給しないことによりエンジンを停止させて、異常の確認と復旧を促す。
S・10にてスタンドモードSTDMODEが1以上でなければすなわち0であって格納状態であるから、直前の直前のスロットルの状態を検出するフラグF_STDTHOPを読み取ってこれを判別し(S・20)、1(TH開)であれば、次に、現在のスロットル開度THが基準値C_THSTDより大きいか否かを判断する(S・21)。スロット開度THが基準値C_THSTDより大であるスロットルが所定以上開いた状態、すなわちY(TH開)であれば、ライダーが発進のためにクラッチイン開度以上にスロットルを開いてこれを継続している状態であるから、続いて、エンジン回転数NEが所定回転数NE0以上か否かを判断する(S・12)。また、エンジン回転数NEが所定回転数NE0以上ならばエンジン回転数フラグFSTANDNEが1(高回転)、エンジン回転数NEが所定回転数NE0未満ならばエンジン回転数フラグ:FSTANDNEが0(低回転)である。
エンジン回転数フラグF_STDNEが1(高回転)であれば、エンジンの回転数がクラッチイン回転数より高回転であり、自動遠心クラッチがつながって車両が発進する状態であって、まさに間引制御の必要な状態であるから、間引制御フラグF_STDMBを1にセットして間引制御をおこなう(S・23)。
S・22において、エンジン回転数フラグF_STDNEが0(低回転)であれば、S・23における間引制御によってエンジンの回転数がクラッチイン回転数より低くなったものと判断できるので、間引制御フラグF_STDMBを0にセットして(S・25)、間引制御を未実施にする。
S・21において、スロットル開度THが基準値C_THSTD以下のN(TH閉)であれば、意図的にスロットルが閉じられたものと判断でき、スロットルの状態を検出するフラグF_STDTHOPを0(TH閉)にセットし(S・24)、間引制御フラグF_STDMBを0にセットして(S・25)、間引制御を未実施とし、通常モードにて正常に発進することを可能にする。
S・20において、読み取った直前のスロットルの状態を検出するフラグF_STDTHOPが0(TH閉)であれば、意図的にスロットルが閉じられたことを確認できるので、スロットルの状態を検出するフラグF_STDTHOPを0(TH閉)にセットし(S・24)、間引制御フラグF_STDMBを0にセットして(S・25)、間引制御を未実施とし、通常モードにて正常に発進することを可能にする。
このように、本実施例によれば、スタンド位置を正確に検出できるため、このスタンド位置検出に基づいて間引制御の実施を正確に行うことができる。
そのうえ、間引制御の解除に意図的な解除操作を行うこと要求したので、明確に発進を意図したときのみ間引制御を解除できるから、発進するためには出力抑制モードを意図的に解除しなければならなくなる。このため、意図しない状態で不意に解除されることがなくなる。このため、メインスタンドの起立時に後輪が接地している形式の車両における発進において特に大きな効果的がある。
また、意図的な解除操作をスロットルの戻し操作とすることにより、発進には逆行する操作であるスロットルを閉じる操作をしなければならないから、間引制御を解除するための意図表明として、間違いようのないより明確なものになる。仮に誤操作でスロットルを閉じても、その後スロットルを自らの意志で開くまで一度は出力を下げることになるから、意図せぬ発進を防ぐ上では目的にかなったものになる。しかも、間引制御による発進抑制制御をよりきめ細かく行うことができる。
なお、間引制御の解除条件である意図的な解除操作はスロットルの戻し操作に限定されない。例えば、ブレーキ操作をすることでもよい。この場合、発進に際しての間引制御の解除意図を表明するため、ブレーキ操作をして車輪に制動をかけると、このブレーキ投入時の操作をブレーキセンサが検出して、ブレーキ投入を意味するブレーキ信号をECU48へ入力し、ECU24はこのブレーキ信号により、意図的な解除操作がなされたと判断して間引制御を解除する。この場合も、ブレーキ投入操作は発進に逆行する操作であるから、明確な意図の表明とすることができる。
また、直ちに間引制御を解除されて出力が急上昇したとしても制動をかけているので、予想より早い急な発進を防ぐことができる。
次に、発進抑制制御の別実施例を図13のフローチャートによって説明する。この発進抑制制御はメインスタンドの起立解除をエンジンの動力を用いて行い、その後、発進抑制制御を行うことにより、メインスタンドの起立解除を省力化するものであり、間引制御に先だって行われる。
スタートすると、まず、スタンドが起立状態であることを確認し(S・30)、起立状態でなければ制御を終了する。スタンド解除の省力化という目的を実現できないからである。またスタンドの状態は先のスタンド位置検出において決定されたスタンドモードSTDMODEの値により正確に判断できる。
S・30で起立状態を確認すれば、出力制御を通常モードにする(S・31)。通常モードは間引制御による出力抑制をおこなわない制御モードであり、具体的には間引制御フラグF_STDMBを0にセットすることにより通常モードに入る。
この状態でスロットルを開くと、エンジンの回転数が上がって自動遠心クラッチが接続して駆動力を後輪へ伝達することにより後輪が駆動される。すると、この車両がメインスタンドの起立状態で後輪が接地しているので車両全体が前進を開始する。同時に車両の前進に伴ってメインスタンドは強制的に起立解除され、図2の反時計回り方向へ回動し、やがてリターンスプリング45の死点を越えると、リターンスプリング45の復元弾力でさらに回動されて格納状態となる。
ECUはS・31に続いて、メインスタンドが起立解除されたか否かを判断する(S・32)。この判断はスタンドモードSTDMODEが1か否かで判断可能であり、このスタンドモードSTDMODEは図8のスタンド位置検出を実行することによって常時最新に更新されている。スタンドモードSTDMODEが1(起立状態)以外であれば、0(格納状態)又は2(中立状態)もしくは3(異常)であるからメインスタンドの起立解除がされたものと判断して終了し、その後、図12の間引制御を実行する。
これにより、メインスタンドの起立解除後直ちに出力抑制モードへ戻すことで、エンジンによるメインスタンドの起立解除の勢いのまま発進しないようにすることができる。
S・32において、スタンドモードSTDMODEが1(起立状態)であれば、まだメインスタンドが起立解除されず、通常モードを維持する必要があるので、メインスタンドが起立解除されるまで反復する。
このように、発進時において一時的に通常モードとすることによって、エンジンの駆動力を利用してメインスタンドの起立解除ができるので、一種のオートスタンドに類するパワーアシストシステムとなり、比較的大きな労力が要求されるメインスタンドの起立解除作業を容易に行うことができるようになって省力化するとともに、モーター等を用いた大型でかつ重量がありしかも高価である特別なオートスタンド装置を設ける必要がないので安価なメインスタンドの起立解除システムが得られる。しかも、間引制御と連続させることによりメインスタンド起立解除から発進時における出力抑制制御を一層きめ細かく行うことができる。
なお、エンジンの始動時に直ちにこの発進抑制制御に入らず、まず、図12の間引制御に入り、その後、ライダーがスロットルを開く等の発進を意図する操作によって、本実施例の発進抑制制御によるスタンド解除用出力制御を一時的に行い、メインスタンドの起立解除後は再び図12の間引制御へ戻るようにしてもよい。このようにすれば、発進抑制制御が必要な状況にて、間引制御の時間をより長くして通常モードの時間を極力短くするとともにメインスタンド解除も行うことができる。また、間引制御は燃料噴射間引だけでなく、点火間引でもよい。
本願によれば、自動2輪車におけるメインスタンドの出し入れ制御や間引制御による発進抑制制御をよりきめ細かく行うことに貢献する。
11:メインスタンド、13:スタンドカバー、28:ブラケット、40:アーム部、42:ピボット軸、43A:第1のスタンドスイッチ、43B:第2のスタンドスイッチ、50:ブラケット、60:ロータ部、62:スイッチケース部、65:可動接点、66:第1固定接点、67:第2固定接点、143:スタンドスイッチ、160:ロータ部、162:スイッチケース部、165:可動接点、166:第1固定接点、167:第2固定接点、168:第3固定接点

Claims (6)

  1. 発進時にエンジンの出力抑制制御をおこなうようにした自動2輪車の発進抑制装置において、メインスタンド(11)を起立状態にして駐車したとき後輪(2)が接地する形式のベルト式無段変速機を有する車両であって、
    エンジンの出力抑制制御をおこなう出力抑制モードと出力抑制制御をおこなわない通常モードを備え、
    前記出力抑制モードのとき、スロットルを開いた状態で前記メインスタンド(11)の起立を解除しても、出力抑制モードを継続させて発進を不能にすることを特徴とする自動2輪車の発進抑制装置
  2. 前記出力抑制モードの解除条件が、前記メインスタンド(11)を起立解除した後、スロットルを閉じることであることを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車の発進抑制装置。
  3. 前記出力抑制モードの解除条件が、前記メインスタンド(11)を起立解除した後、ブレーキをかけることであることを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車の発進抑制装置。
  4. 発進時にエンジンの出力抑制制御をおこなうようにした自動2輪車の発進抑制装置において、メインスタンド(11)を起立状態にして駐車したとき後輪(2)が接地する形式のベルト式無段変速機を有する車両であって、
    エンジンの出力抑制制御をおこなう出力抑制モードと出力抑制制御をおこなわない通常モードを備え、
    前記メインスタンド起立時に通常モードとし、スロットルを開いて発進することによりエンジンの力で前記メインスタンド(11)を起立解除し、メインスタンド(11)の起立解除後直ちに出力抑制モードに切り換えて出力抑制制御することを特徴とする自動2輪車の発進抑制装置。
  5. 前記出力抑制モードの解除条件が、前記メインスタンド(11)の起立解除後、スロットルを閉じることであることを特徴とする請求項4に記載した自動2輪車の発進抑制装置。
  6. 前記出力抑制モードの解除条件が、前記メインスタンド(11)を起立解除した後、ブレーキをかけることであることを特徴とする請求項4に記載した自動2輪車の発進抑制装置。
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