JP5331540B2 - 自動2輪車の発進抑制装置 - Google Patents
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Description
上記の点火制御は発進時におけるエンジンの出力抑制制御に相当するものであるが、この制御を解除する具体的な条件が明らかになっていない。このため、ライダーが発進を意図していない状態で、何らかの原因によりサイドスタンドが解除されると、ライダーが発進を意図しない状態で発進することになるので、出力抑制制御の解除はライダーが明確に発進意図したときのみできるようにすることが望ましい。
本願はこのような要請の実現を目的とする。
前記メインスタンドを起立解除した後、ブレーキをかけることを前記出力抑制モードの解除条件としたことを特徴とする。
前記メインスタンド起立時に通常モードとし、スロットルを開いて発進することによりエンジンの力で前記メインスタンドを起立解除し、メインスタンドの起立解除後直ちに出力抑制モードに切り換えて出力抑制制御することを特徴とする。
このため、意図せずに発進することがなくなり、意図したときのみ発進することができる。
特に、メインスタンドを起立のまま後輪が接地したままとなる車両の場合は、メインスタンドを外しても発進するまでに十分な時間的余裕を確保することができる。
なお、本願ではメインスタンドの状態を、格納状態、中間状態及び起立状態とし、中間状態は格納状態もしくは起立状態以外の状態とし、さらに格納状態以外の状態をスタンド出し状態(メインスタンドを出した状態)ということにする。
この自動2輪車は前輪1と後輪2を前後に有するスクータ型であり、前輪1はフロントフォーク3に支持され、バーハンドル4にて操舵される。5はバーハンドルのグリップであり、グリップ5近傍となる車体前側上部にはヘッドライト6、ウィンカ7、メータ8等が配置されている。9は低床式フロアであり、バーハンドル4と後方のシート10との間に位置する。
シート10の下方にはユニットスイング式パワーユニット14が配置され、その後端に支持される。
すなわち、メインスタンド11は後輪2を接地した状態で起立状態となるよう前輪1寄りに設けられた前方配置形式のものである。
なお、メインスタンド11は後述するように走行時に後方へ略90°回動させて跳ね上げた格納状態になる。
メインスタンド11の上部はスタンドカバー13で前輪1側を覆われ、前輪1の跳ね上げる水や泥等を防ぐようになっている。
車体フレーム23は、前端のヘッドパイプ24、これから車体中心に沿って一本で斜め下がりに後方へ延び、屈曲して低床式フロア9の下方へ延びるメインフレーム25、その後端から左右一対で斜め上がりに後方へ延び、シート10の後部下方にて屈曲して後輪2の上方を略水平に延びるリヤフレーム26を備える。
ヘッドパイプ24はフロントフォーク3とバーハンドル4を連結するステアリング軸27を回動自在に支持する。
物入れ33は上方へ開放され、ヘルメットを収容可能な比較的大容量のものであり、リヤフレーム26に支持され、シート10で開閉される。
燃料タンク34は後部26bに支持され、シート10を開くことにより、給油可能になっている。
なお、スタンドスイッチ43は左右一対で設けられるが、図示状態の側面視では左右のものが重なり手前側(車体左側)のもののみが見えている。本願では左右を区別しないときスタンドスイッチ43と総称し、左右を区別する必要があるときは後述するように第1スタンドスイッチ43A及び第2スタンドスイッチ43Bとして表示するものとする。
したがって、リターンスプリング45が上フック44又は下フック46から外れたり、大きく変形等した場合はメインスタンド11が中間状態のままになってしまうメインスタンドの異常が生じることになる。
アーム部40はクロス部40aから肩部40bにて曲がり図示状態下方外開き状に延び、この左右の肩部40bにブラケット50の下端が溶接されており、左右のブラケット50はそれぞれ平行に上方へ突出している。
そこで、左右のブラケット50と対応するブラケット28の下端をそれぞれに重ね、右側に第1のスタンドスイッチ43A、左側に第2のスタンドスイッチ43Bをそれぞれピボット軸42にて左右一対のスタンドスイッチをなす第1のスタンドスイッチ43Aと第2のスタンドスイッチ43Bをそれぞれ共締めする。
さらに、第1のスタンドスイッチ43Aと第2のスタンドスイッチ43Bの取付構造は殆ど同じであるが、リターンスプリング45が左側のみに設けられる関係で、第2のスタンドスイッチ43Bが長く外側方へ突出する上フック44と係止するのに対し、第1のスタンドスイッチ43Aはこのように長く突出しない上フック51と係止する。上フック51の長さは第1のスタンドスイッチ43Aの左右幅内に収まる程度の短いものであり、上フック44と同軸上に設けられている。
ブラケット28の下部には上フック44近傍に取付穴28aが設けられている。一方、ブラケット50にも取付穴50aが設けられている。但し取付穴50aの方が取付穴28aより大径になっている。
ピボット軸42はブラケット28の内径とほぼ同寸である小径の雄ネジ部53と、これより大径で取付穴50aとほぼ同寸の大径部54、さらにその一端でより大径の頭部55を一体に有し、頭部55から大径部54の軸心部には頭部55の軸心に外方から内方へ向かって雌ネジ穴56が形成されている。
第2のスタンドスイッチ43Bはロータ部60とスイッチケース部62を備え、ロータ部60はピボット軸42への取付時に左右の係合突部61(この図では左片側のみ見えている)がブラケット50の外側縁部を挟むことで、ピボット軸42と同軸の回転軸線上をメインスタンド11と一体に回動する。
外カバー部63には略U字状の溝64が設けられ、スタンドスイッチ43をピボット軸42へ取付けるとき上フック44を溝64へ入れることによりスイッチケース部62が回り止めされている。
メインスタンド11は格納状態X、中間状態Y、起立状態Zの間を回動し、格納状態Xにおける回動限界を0°としたとき、スタンド角(メインスタンド11の回動角)が、時計回り方向へ0°〜25°の範囲を格納状態、25°を越え〜77°未満の範囲を中間状態、77°〜102°の範囲を起立状態とする。102°が起立状態の回動限界となっている。
ローター部60には可動接点65が設けられ、可動接点65はピボット軸42を中心にローター部60と一体に回動する。可動接点65は接地されている。
このため、第1のスタンドスイッチ43Aは格納状態及び起立状態のうち一方の格納状態のみを検出するスタンドスイッチとなる。但し、中間状態又は起立状態のときオフとなって積極的にスタンド信号を出力しないが、このスタンド信号が出力しないことにより格納状態以外の状態にあることを検出できるから、格納状態かそれ以外の状態かの2つの状態を検出できることになる。しかし、この場合は起立状態と中間状態を明確に区別できない。
このように回転角度検出手段はロータリ式スイッチとすることにより可能になる。また、所定のスタンド角の範囲をオンにできるので、格納状態(第2のスタンドスイッチ43Bの場合は起立状態)の検出に幅を持たせることができ、車体の振動等による影響を避けて検出状態を安定させることができる。
また、起立状態と格納状態状態の検出に所定のスタンド角幅を確保する必要がなければ、本実施例のロータリ式スイッチにおいて摺動接点構造をボタンスイッチのような接離式の接点構造にしてもよい。
このように、第2のスタンドスイッチ43Bは起立状態のみを検出するスタンドスイッチである。
なお、起立状態とそれ以外の状態との2状態を検出できること及びスタンド角が77°〜102°の範囲内かそれ以外かを検出する回転角度検出手段を有することは第1のスタンドスイッチ43Aと同様である。
入力回路70へは、第1のスタンドスイッチ43Aのスタンド信号(格納状態),第2のスタンドスイッチ43Bのスタンド信号(起立状態)の他にも、スロットルセンサ73からスロットル開度信号、クランクパルサ74からクランク軸すなわちエンジンの回転数信号、ブレーキセンサ75からブレーキ投入時のブレーキ信号等が入力される。
まず、aは格納状態であり、第1のスタンドスイッチ43Aは可動接点65が第1固定接点66と導通してオンとなる。第2のスタンドスイッチ43Bは可動接点65が第2固定接点67から遠く離れていてオフである。
上段において、横軸にスタンド角を示し、縦軸方向にaとして第1のスタンドスイッチの状態、bとして第2のスタンドスイッチの状態、cとしてスタンドモード、dとしてメインスタンドの位置を概略的に示す。
ば高回転である1が、低ければ低回転として0がセットされる。
aにおける第1のスタンドスイッチの状態を示すフラグF_CSTAND1は、スタンド角が0°〜25°の範囲でオンとなるので0、25°超〜102°までオフとなるので1となる。
cのスタンドモードSTDMODEは、格納状態のとき0、中間状態のとき、操作中2又は異常3、起立状態のとき1が割り当てられる。
操作中2とはメインスタンドが格納又は起立のいずれの状態でもないが格納状態と起立状態の間にあって正常な操作途中の状態、異常はスタンドスイッチ自体又はメインスタンド自体が故障等によって異常になっている状態である。
これを、(第1のスタンドスイッチのフラグF_CSTAND1,第2のスタンドスイッチのフラグF_CSTAND2)の組合せ形式で表すと、(0,0)の場合は理論上有り得ない組合せであるから、スタンドスイッチ自体の異常状態として確定されスタンドモードSTDMODEは3と確定する。同様に(0,1)の場合は格納状態と判断できてスタンドモードSTDMODEを0に確定する。(1,0)の場合は起立状態としてスタンドモードSTDMODEを1に確定する。
しかも、各スタンドスイッチの信号を組合せただけでは判別できない、スタンドスイッチ自体の異常並びに操作中とスタンドの異常を、タイマーによるスタンド操作時間の計測によって、容易かつ正確に判別できるようになる。
まず、第1のスタンドスイッチの状態についてフラグF_CSTAND1が0か1かを判断し(S・1)、0すなわち格納状態であれば、第2のスタンドスイッチの状態をフラグF_CSTAND2で調べ(S・2)、0すなわち起立状態であれば、図7のパターン判別の表における(0−0)の組合せであるから、スタンドモードSTDMODEを3としてスタンドスイッチ自体の異常を確定する(S・3)。
S・7で0より大きければ、操作中と確定し、スタンドモードSTDMODEに2をセットする(S・8)。
0以下ならばメインスタンドが出し放し状態になっているからメインスタンド側の故障等による異常状態として確定し、スタンドモードSTDMODEに3をセットする(S・9)。
しかも、本実施例の自動2輪車は、メインスタンド11を起立状態にしたとき、後輪2が接地しているので、発進に先立ってメインスタンド11を確実に格納状態にする要請が強いため、このような車両のために好適な異常検出手段となる。
ロータ部160には可動接点165が一体回転するように固定されている。可動接点165は半月状をなし、円弧部の一部を切り欠いた切り欠き部163とし、その周方向両側を導通部164としてある。
このスタンドスイッチによれば、1つのスタンドスイッチ自体で、格納状態、中立状態及び起立状態の3つの状態を明確に区別して検出できる。また、スタンド角度によってメインスタンドの位置を検出できるから、回転角度検出手段を有するスイッチでもある。
まず、aは格納状態であり、第1及び第2のスタンドスイッチはそれぞれ同じものを同じ向きに設けてあるから同じ動作となり、各可動接点165は第1固定接点166と導通して両スタンドスイッチの第1固定接点166が同時にオンとなる。
cはメインスタンド11が起立状態の範囲にある状態であり、各可動接点165は第2固定接点167と導通するので、各第2固定接点167がオンとなる。
すなわち、メインスタンド及び各スタンドスイッチが正常である限り、同じスタンド信号を出力することになり、各スタンドスイッチとも、格納状態及び起立状態の2つの信号を出力できる。
上段において、横軸にスタンド角を示し、縦軸方向にaとして第1のスタンドスイッチの状態、bとして第2のスタンドスイッチの状態、cとしてスタンドモード、dとしてメインスタンドの位置を概略的に示す。
aにおける第1のスタンドスイッチの状態を示すフラグF_CSTAND1は、スタンド角が0°〜25°の範囲で第1固定接点166がオンとなって格納状態になるので、格納状態を意味する1をセットする。25°超〜77°未満はオフとなるので、中間状態を意味する0をセットする。77°〜102°までは第2固定接点167がオンとなって起立状態になるので起立状態を意味する−1をセットする。
cのスタンドモードSTDMODEは、前実施例と同じく、格納状態のとき0、中間状態のとき操作中2又は異常3、起立状態のとき1が割り当てられる。
(第1のスタンドスイッチのフラグF_CSTAND1,第2のスタンドスイッチのフラグF_CSTAND2)の組合せで表わしたとき同じ組合せになるのは、(1,1)、(0,0)、(−1,−1)だけであり、これらの組合せパターンのとき正常であると判断し、(1,1)のとき格納状態と確定してスタンドモードSTDMODEを0にセットする。(0,0)のときは操作中又は異常による中間状態と判断してスタンドモードSTDMODEを2にセットする。(−1,−1)の場合は起立状態と確定してスタンドモードSTDMODEを1にセットする。
なお、中間状態の判定のときは操作中又は異常かを判断できず、前実施例同様にタイマーによる操作時間の計測により区別する必要がある。しかしこの場合でも、異常の原因は、両スイッチが同時に同じ故障をして同じ信号を出力することは極希であるから、ほとんどがメインスタンド側の異常であると判断できる点で有利である。
また、全く同じスタンドスイッチを同じように配置して使用するので、既存のスタンドスイッチを利用でき、車体への組付けも容易になるので、製造及びコストの点で有利になる。
S・22において、エンジン回転数フラグF_STDNEが0(低回転)であれば、S・23における間引制御によってエンジンの回転数がクラッチイン回転数より低くなったものと判断できるので、間引制御フラグF_STDMBを0にセットして(S・25)、間引制御を未実施にする。
そのうえ、間引制御の解除に意図的な解除操作を行うこと要求したので、明確に発進を意図したときのみ間引制御を解除できるから、発進するためには出力抑制モードを意図的に解除しなければならなくなる。このため、意図しない状態で不意に解除されることがなくなる。このため、メインスタンドの起立時に後輪が接地している形式の車両における発進において特に大きな効果がある。
また、直ちに間引制御を解除されて出力が急上昇したとしても制動をかけているので、予想より早い急な発進を防ぐことができる。
スタートすると、まず、スタンドが起立状態であることを確認し(S・30)、起立状態でなければメインスタンドの起立解除をする制御を終了する。スタンド解除の省力化という目的を実現できないからである。またスタンドの状態は先のスタンド位置検出において決定されたスタンドモードSTDMODEの値により正確に判断できる。
この状態でスロットルを開くと、エンジンの回転数が上がって自動遠心クラッチが接続して駆動力を後輪へ伝達することにより後輪が駆動される。すると、この車両がメインスタンドの起立状態で後輪が接地しているので車両全体が前進を開始する。同時に車両の前進に伴ってメインスタンドは強制的に起立解除され、図2の反時計回り方向へ回動し、やがてリターンスプリング45の死点を越えると、リターンスプリング45の復元弾力でさらに回動されて格納状態となる。
これにより、メインスタンドの起立解除後直ちに出力抑制モードへ戻すことで、エンジンによるメインスタンドの起立解除の勢いのまま発進しないようにすることができる。
S・32において、スタンドモードSTDMODEが1(起立状態)であれば、まだメインスタンドが起立解除されず、通常モードを維持する必要があるので、メインスタンドが起立解除されるまで反復する。
Claims (4)
- 発進時にエンジンの出力抑制制御をおこなうようにした自動2輪車の発進抑制装置において、メインスタンド(11)を起立状態にして駐車したとき後輪(2)が接地する形式のベルト式無段変速機を有する車両であって、
エンジンの出力抑制制御をおこなう出力抑制モードと出力抑制制御をおこなわない通常モードを備え、
前記出力抑制モードのとき、スロットルを開いた状態で前記メインスタンド(11)の起立を解除しても、出力抑制モードを継続させて発進を不能にするとともに、
前記メインスタンド(11)を起立解除した後、ブレーキをかけることを前記出力抑制モードの解除条件としたことを特徴とする自動2輪車の発進抑制装置 - 発進時にエンジンの出力抑制制御をおこなうようにした自動2輪車の発進抑制装置において、メインスタンド(11)を起立状態にして駐車したとき後輪(2)が接地する形式のベルト式無段変速機を有する車両であって、
エンジンの出力抑制制御をおこなう出力抑制モードと出力抑制制御をおこなわない通常モードを備え、
前記メインスタンド起立時に通常モードとし、スロットルを開いて発進することによりエンジンの力で前記メインスタンド(11)を起立解除し、メインスタンド(11)の起立解除後直ちに出力抑制モードに切り換えて出力抑制制御することを特徴とする自動2輪車の発進抑制装置。 - 前記出力抑制モードの解除条件が、前記メインスタンド(11)の起立解除後、スロットルを閉じることであることを特徴とする請求項2に記載した自動2輪車の発進抑制装置。
- 前記出力抑制モードの解除条件が、前記メインスタンド(11)を起立解除した後、ブレーキをかけることであることを特徴とする請求項2に記載した自動2輪車の発進抑制装置。
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