JP2010233059A - 増幅回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】 出力信号のクリップを防止しつつ、出力パワーを可能な限り維持することの可能な増幅回路を提供する。
【解決手段】 増幅回路は、第1信号を増幅して第2信号(Vo)を生成する増幅部(50)と、当該増幅部の状態に応じて変動する状態変数(VxTyp)に基づいて、その入力信号(Vg)の全部又は一部に対し周波数特性処理を施し又は施さないで、前記第1信号を生成する特性補正部(20)と、を備える。図では、前記VxTypに固定値VSCを加算したVxMAXとVIMAXとの大小関係に応じて、特性補正部が、Vx=Vg、Vx=Vg’、あるいはVx=G1・Vg’+ G2・Vg(0<G1<1,0<G2<1)を生成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、オーディオ機器のパワーアンプなどに好適な増幅回路に関する。
従来、入力信号に応じてスピーカ等の負荷を駆動する増幅回路が知られている。このような増幅回路では、入力信号のレベルが適正範囲を超える場合に、出力信号の波形にクリップが生じる。このようなクリップは、そのまま負荷であるスピーカ等に与えられると、耳障りな音となって出力されるため、その発生が極力防止される必要がある。
このような増幅回路としては、例えば特許文献1及び2に開示されているようなものが知られている。
特開2001−124624号公報 特開2001−124625号公報
ところで、上述のような増幅回路では、クリップを防止するために、出力信号が出力されるまでの間に、入力信号のレベルを調整し、あるいは、増幅の程度を適当に調整する、などの手法をとることが考えられる。例えば、前記の特許文献1では、「入力信号を断続的に減衰」(特許文献1の〔請求項1〕、〔0005〕等参照)し、特許文献2では、「増幅手段の利得を低下させる利得制御手段」(特許文献2の〔請求項1〕、〔0005〕等参照)を具備する、などという手法が採用されている。
しかしながら、このような手法によっては、出力信号のレベルは当然落ちてしまうことになるので、スピーカ等から最終的に出力される音が、若干迫力に欠く(あるいは、物足りない音となる)、といった事態を招来するおそれがある。
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決することの可能な増幅回路を提供することを課題とする。
本発明に係る増幅回路は、上述した課題を解決するため、第1信号を増幅して第2信号を生成する増幅部と、当該増幅部の状態に応じて変動する状態変数に基づいて、その入力信号である第3信号の全部又は一部に対し周波数特性処理を施し又は施さないで、前記第1信号を生成する特性補正部と、を備える。
本発明によれば、前記の各部と各信号との関係が次のようである。すなわち、まず、第3信号があり、この第3信号が特性補正部によって第1信号に変換され、次いで、この第1信号が増幅部によって増幅されて第2信号になる、というようである。
この際、特性補正部においては、増幅部の状態(例えば、その電源電圧の状態、等々)に応じて「周波数特性処理」が施され、あるいは、施されない。ここで「周波数特性処理」とは、第3信号を第1信号に変換する際に、例えば、所定の周波数帯域(例えば、低周波域)にある信号のレベルのみを上昇させるような処理を含む。
このような場合、前記増幅部、あるいはその後段に接続され得るスピーカ等の負荷が、そのレベル上昇後の信号を処理するのに十分な余裕をもっているのであれば、出力信号のレベルが一定程度以上に維持されることから、当該スピーカ等から最終的に出力される音の迫力もまた一定程度維持されることになる。
しかし、そうでない場合には、前述したクリップを発生させるおそれがある。
しかるに、本発明においては、増幅部の状態に応じた状態変数に基づいて、前記周波数特性処理が“施されない”場合が明示的に許容されている。したがって、本発明によれば、出力信号のレベルが適度に抑制され得ることになり、これによって、出力信号にクリップが生じることが予め防止されることになる。
以上のほか、本発明の各種変形態様によって奏される作用効果は、本願明細書における記載(特に、すぐ後から始まる実施形態における記載)において明らかにされる。
以下では、本発明に係る実施の形態について図1を参照しながら説明する。なお、ここに言及した図1に加え、以下で参照する各図面(例えば、図2等のグラフをも含む。)においては、各部の寸法の比率が実際のものとは適宜に異ならせてある場合がある。
増幅回路1は、図1に示すように、第1ゲイン補正部10、特性補正部20、滑曲線補正部30、第2ゲイン補正部40、及び増幅部50からなる。このうち“滑曲線補正部”30というネーミングの意義は、後の説明において追々明らかとなる。
第1ゲイン補正部10は、図1に示すように、ローパスフィルタ(以下、「LPF」と略す。)11、レベル検出部12等を含む。この第1ゲイン補正部10は、入力信号Viを、後段の特性補正部20に入力するにあたって、第1変換信号Vg(本発明にいう「第3信号」の一例に該当する)に変換する作用を果たすとともに、この第1変換信号Vgの最大値を所定値に画する作用を果たす。
すなわち、第1ゲイン補正部10は、レベル検出部12によって検出された、ゲイン補正後の入力信号のレベルL(Vg)と、予め定められた固定値たるVI MAX(本発明にいう「許容最大値」の一例に該当する)とに基づいて、入力信号Viに対するゲイン係数Ginを適当な値に設定するが、このゲイン係数Ginは、当該ゲイン係数Ginの入力信号Viへの作用後の信号(即ち、第1変換信号Vg)がVI MAXを超えないような値として設定されるようになっている。つまり、Vgは、Vg=Vi・Ginであるが、この場合、必ず、Vg≦VI MAXが満たされる(言い換えれば、Vgの最大値たるVgMAXは、必ず、VI MAX以下である。)。なお、前記LPF11は、入力信号のレベルL(Vg)とVI MAXとの差分値におけるジャギーノイズを低減する。
特性補正部20は、特性補正の処理を行う特性補正処理部22、適当に定められるゲイン係数G1及びG2をもつ乗算器、及び、ゲイン係数調整部21等を含む。この特性補正処理部22は、例えばスピーカ補正や音量補正等のためのパラメトリック・イコライジング処理等を行う。より具体的には、例えば第1変換信号Vgのうち低周波域にある信号のレベルをブーストする、などである(以下、このような処理のすべてを、簡単のため「f処理」ということがある。)。
本実施形態に関しては特に、この特性補正部20は、図1に示すように、ゲイン係数G1及びG2を用いて、第1変換信号Vg、及び、この第1変換信号Vgに前述したf処理を施した後の信号Vg’のそれぞれに対して、いわば相補的な増減処理をかける。つまり、ある時点において、Vgのレベルが何らの減少処理をも受けない場合(即ち、G2=1)には、Vg’は完全に無視され(即ち、G1=0)、その逆の場合(即ち、G2=0)には、Vg’のレベルは何らの減少処理をも受けない(即ち、G1=1)。また、Vgのレベルが中間的な減少処理を受ける場合(即ち、0<G1<1.0)は、Vg’のレベルも中間的な減少処理を受ける。このような処理のいずれが選ばれるかは、図1に示すように、後述する曲線化開始点VxTyp(本発明にいう「状態変数」の一例に該当する)と固定値たるVSCとの加算値の値に応じる(このように、VxTypに固定値たるVSCを加算することは、本発明にいう「状態変数に所定の変形を施すこと」の一例に該当する)。なお、このようなゲイン係数G1及びG2の定められ方、あるいは、定数VSCの性質等については、後に改めて触れる。
特性補正部20は、以上のような各処理を受けた後の両信号の加算値を、第2変換信号Vxとして、滑曲線補正部30へ供給する。
滑曲線補正部30は、図1に示すように、スムース・テーブル31、VxTyp設定部32等を含む。この滑曲線補正部30は、基本的には、第2変換信号Vxのレベルに応じて、第2ゲイン補正部40に第3変換信号Vcを供給する機能を担う。この場合、Vxの最大値VxMAX(本発明にいう「第1変数」の一例に該当する)に対応したVcのレベルは、ある一定の最小値VCTHD(図2参照。なお、この図2及びVCTHDについては後に触れる。)を下らない。
前述のスムース・テーブル31及びVxTyp設定部32は、いま述べた条件のほか、その他の各種の条件を好適に満たすべく、第2変換信号Vxに対して所定の処理を施す。この処理の内容については、後に詳細に述べるので、ここでは概略的に述べるにとどめる。
スムース・テーブル31は、第2変換信号Vxのうち一定のレベル以上の第2変換信号Vxについて、滑曲線化処理を行う。ここで「滑曲線化処理」とは、第2変換信号Vxを、第3変換信号Vcに変換する際に、リニアな関係に従ってその変換を行うのではなく、所定の滑らかな曲線関係に従ってその変換を行う処理をいう。言い換えれば、仮に、Vy=a・Vx(aは適当な定数)なる比例関数を考えるとした場合、Vcは、単純にVc=Vyとして与えられるのではなく、Vc=F(Vx)(Fはある所定の曲線を表現する)として与えられる、ということである。
スムース・テーブル31には、このようなFの具体的かたちが予め記憶されている。それは例えば、適当な対数関数、三角関数等で表現されるようなものであり得る。
なお、本実施形態においては、上述のようなF(Vx)なる関係に基づく変換処理が、すべてのレベルの第2変換信号Vxに対して適用されない。Vxが所定のレベルにある場合に限って、当該の変換処理は行われる。この点については後に改めて触れる。
他方、VxTyp設定部32は、上述した滑曲線化処理の適用が開始される“所定のレベル”を確定する作用を果たす。すなわち、VxTyp設定部32は、図1に示すように、後述する増幅部50から原初的に与えられる“VxTyp”と、予め定められた固定値たるVXTHDとの間の大小関係に基づいて、VxTypの値を設定、ないしは更新する作用をもつが、この設定後のVxTypなる値と、前記第2変換信号Vxのレベルとの関係の如何に応じて、前記滑曲線化処理によって変換されるべき第2変換信号Vxの範囲が確定される。
第2ゲイン補正部40は、乗算器41と、そこで適用されるべきゲイン係数Gcを設定するGc設定部42等を含む。ここでゲイン係数Gcは、基本的には、図1に示すように、前述したVxTypとVXTHDとの比、即ちGc=(VxTyp/VXTHD)として与えられる。もっとも、Gc設定部42は、このように定義されるゲイン係数Gcの値が、1.0を境に大きいか小さいかに応じて、ゲイン係数Gcを設定する(あるいは、設定し直す。)。すなわち、Gc=(VxTyp/VXTHD)≦1ならば、当該ゲイン係数Gcの値に変更はなく、Gc=(VxTyp/VXTHD)>1ならば、ゲイン係数Gcは、その(VxTyp/VXTHD)なる値の如何に関係なく、Gc=1.0と設定される。
第2ゲイン補正部40は、このようなゲイン係数Gcが乗ぜられた第3変換信号Vc、即ち第4変換信号Vd(本発明にいう「第1信号」の一例に該当する)を増幅部50へ供給する。
増幅部50は、増幅器51等を含む。この増幅器51は、前記第4変換信号Vdを増幅して、最終的なスピーカ駆動信号Vo(本発明にいう「第2信号」の一例に該当する)を生成し、これをスピーカ(不図示)へ供給する。
また、増幅部50は、図1に示すように、GxTyp増減処理部52を含む。このGxTyp増減処理部52は更に、GxTyp設定部53及びリニア変換部54を含む。
GxTyp増減処理部52は、基本的には、増幅器51から供給されてくる各制御信号LMT、OCP、OTP等に応じて、GxTypの値を設定する。ここで制御信号LMT、OCP、OTPは、増幅器51の状態を表現する信号である。より具体的には、LMTとは、増幅器51の動作範囲を超える電圧を検出した時に発せられる制御信号であり、OCP(Over Current Protection)とは、許容電流値を超える電流を検出した時に発せられる制御信号であり、OTP(Over Temperature Protection)とは、許容温度範囲を超える温度を検出した時に発せられる制御信号である。
例えば、これらの制御信号LMT、OCP、OTPのいずれもが、仮に1(アクティブ)又は0(ノン・アクティブ)の2値でもって増幅器51の状態を表現するとするなら、それら制御信号LMT、OCP、OTPのいずれかがアクティブとなる瞬間は、当該増幅器51が一種の限界的状況に至ったことの表出とみることができる。
なお、この増幅器51の限界的状況という事態は、本実施形態に関する限り、前記スピーカが発する音の質を好適に維持するための、あるいは、スピーカの安定的動作が確保される領域を超えないための、当該スピーカについての限界的状況、というように言い換えることもできる。この点に鑑みるなら、増幅器51の限界的状況とは、そのような状況に至った後以降、スピーカに、あるいは当該増幅器51に、過大な入力が行われるべきでない状態を意味することになる。
前述のGxTyp設定部53は、前記GxTypの設定を、増減処理を通じ、かつ、これをデシベル単位で行う(即ち、本実施形態に係る“GxTypの設定”とは、具体的にはデシベル値の増減を意味する。)。他方、リニア変換部54は、この設定されたGxTypをリニア領域に変換する。なお、このリニア変換部54は、場合により、LPFを備えてよい。このLPFがあれば、リニア変換の際に生じ得るジャギーノイズの低減を図ることができる。
以上により、当該GxTypは、前述した、VxTypを定める一基準となり、またしたがって、ゲイン係数Gc、G1、及びG2を定める一基準ともなる(図1参照)。
なお、以上に述べたような、制御信号LMT、OCP、OTPの入力に応じたGxTypの設定、が行われる最も簡単な例の1つとしては、例えば、制御信号LMTの入力を一単位受けたら、GxTypを一単位減らす、などがある。
次に、以上に述べた本実施形態に係る増幅回路1の作用ないし動作及び効果について、既に参照した図1に加えて、図2乃至図4を参照しながら説明する。
本実施形態に係る増幅回路1の動作の要点は、増幅器51が一種の限界的状況にあるときに、当該増幅器51内で扱われる信号のレベルを、一定の方法で制約することにある。したがって、以下の説明は、この順番、即ち第1に、増幅器51について、第2に、前記レベルを一定で制約する方法について、という順番に従って行う。
増幅器51が限界的状況にあるかどうかは、制御信号LMT、OCP、OTPの値如何によって判断される。例えば、上述のように、これらが1又は0のデジタル値をとるのであれば、GxTyp増減処理部52に1が入力するときに、当該増幅器51は限界的状況にあると判断される。
そして、そのような限界的状況が肯定される場合は、GxTyp設定部53は、当該増幅器51が最終的に出力するスピーカ駆動信号Voの最大値(即ち、VoMAX)の値が下がるように、GxTypの値の増減を行う。例えば、既に述べたように、制御信号LMTの入力を一単位受けたら、GxTypを一単位減らす、などというようである。
ただし、このGxTypの設定は、制御信号LMT、OCP、OTPの値の組み合わせの如何や、それら各々についての重み付け設定、さらにはそれら各々の供給タイミング間の長短(言い換えると、増幅器51のモニタリング間隔の長さ)、等々の相違に応じて、様々な方式に従って行われる場合を想定することができる。ここで最前者の「組み合わせの如何」に関しては、例えば制御信号LMT、OCP及びOTPのいずれもが同時に1である場合には、GxTypをより大きく減少する、等というGxTyp設定が考えられるし、次の「重み付け」に関しては、例えばLMTが1のときはGxTypを一単位減少するが、TCPが1のときは二単位減少する、等というGxTyp設定が考えられるし、最後者の「供給タイミング」に関しては、例えば増幅器51を比較的短時間間隔で常時モニタリングする場合は、LMTが1になったとしてもそれだけで即座にGxTypの値を変えるのではなく、その1なる状態が一定程度継続した後はじめてGxTypの値を減少する、等というGxTypの設定が考えられる。
いずれにせよ、本発明は、基本的に、GxTypの設定に関するどのような手法をも、本発明の範囲内に収める。
以上の結果、GxTypについての増減処理がなされた後には、リニア変換部54が、このGyTypをリニア変換する。曲線化開始点VxTypは、これによって得られる(図1参照)。
このように、VxTypは、GyTypに基づいて定められるため、増幅器51の状態が時々刻々と変化していくのに連れて、VxTypもまた、それに伴って変化していく。そして、このようなVxTypは、図1に示すように、滑曲線補正部30及び第2ゲイン補正部40へと供給される。
以上を要するに、本実施形態に係る増幅回路1が動作している以上は、VxTypは、増幅器51の状態に応じて、その時々で異なった値をとり得ることになり、滑曲線補正部30及び第2ゲイン補正部40のそれぞれは、そのように変動するVxTyp(あるいは、増幅器51の状態)に基づいて、時々における適切な信号変換処理を行い、これによって、増幅器51内で扱われる信号のレベルを制約する。
以下、滑曲線補正部30及び第2ゲイン補正部40における曲線化開始点VxTypの利用に関し、〔I〕及び〔II〕に分別して説明する。
〔I〕 まず、滑曲線補正部30では、前記VxTypは、前記滑曲線化処理の「開始点」を決定するために利用される。ここで、滑曲線化処理とは、既述のように、Vc=F(Vx)に従って第3変換信号Vcを求める処理であるが、VxTypは、Vxのレベルが如何なる範囲にあるときに、そのF(Vx)を適用するかを定めるのである。以下、これを図2を参照しながら説明する。
この図2は、第2変換信号Vx(滑曲線補正部30にとっての入力)と、第3変換信号Vc(同出力)との関係を示すグラフである。この図から明らかなように、滑曲線補正部30は、Vxのレベルの大きさがVxTypとの関係で大きいか小さいかに応じて、異なる原理に従ってVcを出力する。すなわち、第1に、Vx<VxTypのときは、滑曲線補正部30は、Vxと一定の比例関係にあるVcを出力する(即ち、前述したVy=a・Vxなる関係に従ったVcの出力を行うのである。)。第2に、Vx≧VxTypのときは、前述したVc=F(Vx)に従ったVcの出力を行う。
このようなVc出力について、注意すべき点が2つある。以下、これらにつき番号(i)及び(ii)に分けて説明する。
(i) 注意すべき点の第1は、前述のように、VxTypが増幅器51の現実の状況に応じて変動することである。図2(A)及び(B)の区分けは、そのVxTypの変動の様子を反映しており、図2(A)は、よりVxTypが大きい場合、図2(B)は、より小さい場合の例示である。
この点に関連して、本実施形態では、曲線化処理限界VXTHDなる値が予め定められている。このVXTHDは、図2に示すように、一定の値をとる定数であって、滑曲線化処理の開始点の下方の限界を表現する。すなわち、VxTypがVXTHDを下回る(即ちVyTyp<VXTHDが成立する)ときには、VxTypは、もはや前記開始点を決定するという機能を果たさない。そして、この場合には、滑曲線化処理は行われず、滑曲線補正部30は、第2変換信号Vxを何ら変更することなく、これを第3変換信号Vcとして(即ち、Vc=Vxとして)、第2ゲイン補正部40へと供給する。図1において、「SelA=Vx, in case of VxTyp<VXTHD」との記載があるのは、その趣旨である。
なお、VxTypがVXTHDと等しい(即ちVyTyp=VXTHDが成立する)ときには、VxTypないしVXTHDを開始点とする滑曲線化処理が行われる。ちなみに、図2(B)は、VyTyp=VXTHDが成立している場合、つまりVxTypが滑曲線化処理の開始点を決定する機能を果たす、限界的な場合の例示でもある。
図1のVxTyp設定部32は、いま述べた処理を実現するように、VxTypの値を設定する。すなわち、このVxTyp設定部32によれば、VxTyp≧VXTHDが成立するときは、そのVxTypがそのまま、滑曲線化処理の開始点を決定し(図中、「VxTyp=VxTyp」なる記載参照)、VxTyp<VXTHDが成立するときは、VxTypにはVXTHDが代入される(図中、「VxTyp=VXTHD」なる記載参照)。
(ii) 注意すべき点の第2は、前記のFの具体的な形である。
このFは、「Vxが許容最大値をとるとき(この点、すぐ後に再述)、最終的な出力であるスピーカ駆動信号Voが所定の歪率以内の歪率をもつように設定される」。例えば仮に、ここでいう所定の歪率が10〔%〕とされるなら、Fのかたちは、Voが最大でも10〔%〕の歪率しかもたないように、決定されるのである。
なお、所定の歪率の具体的な値は、例えば本実施形態に係る増幅回路1がカーステレオ等に適用される場合は、上記10〔%〕程度に定めて好適であるが、高品質オーディオ等を適用される場合は、3〔%〕程度と若干厳しく定めておくのが好ましい。
また、Fは、一般的にいえば、既述のように対数関数、三角関数等で表現されるようなものであり得るが、仮にそのような概括的な規定が可能であっても、その種類は複数あってよい。すなわち、Fが、その全体としては「対数関数」であるという性質付けを許容する場合でも、このFには、例えば相互に各種係数等の値に相違がある、F1,F2,…,Fnが含まれていてよい。
さらに、Fは、単調増加する関数を表現し、Vxの増加につれてVcが漸増していくようなものであって、当該の曲線が上に凸であるようなものとして定められることが好ましい(図2参照)。
このFの具体的なかたちに関連して、本実施形態では、曲線化範囲VSCなる値が予め定められている。このVSCは、図2に示すように、一定の値をとる定数であって、その機能は、滑曲線化処理の開始点たるVxTypから、Vx軸に沿って、どこまでの範囲に関して当該処理を行うかを画することにある。つまり、滑曲線化処理は、第2変換信号Vx(のレベル)が、VxTyp≦Vx≦VxTyp+VSCなる範囲にあるときに行われることになる。
この場合、VxTypがある一定の値をとっている間は、VxTyp+VSCもまた一定の値をとることになるから、滑曲線化処理が行われる範囲の上限値であるVxMAXは一定の値として定められ得ることになる。そして、このVxMAXは、前記にいう、Vxに係る「許容最大値」である。つまり、前記のFのかたちの定め方に関する規定を言い換えれば、Fは、「“Vx=VxMAX”なるときに、スピーカ駆動信号Voが所定の歪率以下の歪率をもつように設定される」、ということになる。
ここで更に、Vxは、通常一定の周期性をもつ信号であることが想定されるから、その場合には、上記のFの規定に言う「“Vx=VxMAX”なるとき」とは更に、「Vxが正弦波信号である場合の最大振幅VxMAXを当該Vxがとるとき」とも読み替えられ得る。
なお、この場合においては、前述した曲線化処理限界VXTHDの値も関係する。すなわち、VxTypの値が小さくなればなるほど、滑曲線化処理はより早くに開始されることになるが、最終的なスピーカ駆動信号Voがもつ歪率は、それに連れて次第に上昇していくことになる(図2参照)。したがって、VXTHDの具体的な値が設定される際にも、前述した「所定の歪率以下の歪率」(即ち、例えば10〔%〕)なる基準が使用されて好適である。その場合には、例えば、Fのかたちを一定程度定めた上で、そのFとある具体的なVXTHDとの関係において、Voの歪率はどうなるか、といった試行錯誤的な観点から、当該VXTHDが定められる、というのが好適な一例である。
スムース・テーブル31は、Fの具体的なかたちのほか、ここに述べた曲線化範囲VSCの値を保持し、VxTyp設定部32は、曲線化処理限界VXTHDの値を保持する。
図1の滑曲線補正部30内では、特性補正部20から入力してくる第2変換信号Vxから、VxTyp設定部32によって定められたVxTypの値がいったん引かれ、それに対して滑曲線化処理が行われた後、改めて、前記VxTypが足し込まれることによって、上述したようなVxに対するFの作用という処理が現実化される。
以上を踏まえた上で、改めて図2(A)及び(B)を参照すると、まず、曲線化範囲VSCは定数であるから、VxTypが大きければ大きいほど、VxTyp+VSCも大きくなる。この場合、スムース・テーブル31に記憶されている、ある所定のFが、仮にVc=log(Vx)等と表現される場合には、これは単調増加関数であるから、VxTypの増大とともに、Vcも増大する。したがって、第1に、滑曲線補正部30が送り出すVcの値は、図2(A)の場合の方が図2(B)の場合よりも、大きくなり得ることになる(図中の“VcMAX”参照。)。また第2に、当該Vcの値は、前述のようにVc=Vy=a・Vx(ここでは特に、a≧1とする。)という比例関係が成立する場合に比べれば、その増量の程度は小さいものの、Vxの増大とともに、確実に、より大きな値をもつことになる。
他方、VxTypが曲線化処理限界VXTHDに等しくなるとき、滑曲線補正部30が送り出す前記VcMAXの値は、その最小値であるVCTHDとなる。つまり、滑曲線補正部30は、入力最大値VxMAXの入力を受けたとき、それに応じた出力最大値VcMAXを出力するが、そのVcMAXは、いかに小さくなろうともVCTHDは下らない、ということである。
結局、滑曲線補正部30は、以上のような意味において、必ず、ある一定のパワーを保持したままの第3変換信号Vcを、後段の第2ゲイン補正部40へと供給するようになっているのである。
〔II〕 次に、第2ゲイン補正部40では、増幅部50から供給されるVxTypがゲイン係数Gcを決定するにあたって利用される。このゲイン係数Gcは、既に述べたように、また図1に示すように、Gc=(VxTyp/VXTHD)として求められる。
そして、Gc設定部42は、Gc=(VxTyp/VXTHD)>1ならば、その(VxTyp/VXTHD)なる値の如何に関係なく、Gc=1.0と設定する。この、(VxTyp/VXTHD)>1が成立するときとは、即ちVxTyp>VXTHDが成立するときであるから、前述の〔I〕においては、VxTypが滑曲線化処理の開始点として機能し得る場合である。また、この場合は即ち、VxTypがさほど小さな値とはなっておらず、増幅器51、あるいはスピーカの動作範囲に未だ余裕がある場合でもある。
Gc=1.0と設定されるのは、そのような事情に裏付けられており、前述したVc=F(Vx)をそのまま維持して、第4変換信号Vdを、Vd=Gc・Vc=Vc=F(Vx)、要するにVd=F(Vx)として求めようとすることに、その理由がある。そして、このようなVdに係る変換は、前述したパワーの保持をなお継続することを意味する。
他方、Gc=(VxTyp/VXTHD)≦1ならば、Gc設定部42は、当該ゲイン係数Gcの値に変更は加えず、Gc=(VxTyp/VXTHD)を維持する。この、(VxTyp/VXTHD)≦1が成立するときとは、即ちVxTyp≦VXTHDが成立するときであるから、前述の〔I〕においては、VxTypが滑曲線化処理の開始点として機能しない場合であり、あるいは、滑曲線補正部30はその出力Vcとして、Vxをそのまま出力する場合である(なお、以後若干の間、前記不等式中の「等号」の存在は無視する。)。また、この場合は即ち、VxTypが相当程度小さな値となっており、増幅器51、あるいはスピーカの動作範囲に殆ど余裕がない場合でもある。
1よりも小さなGc=(VxTyp/VXTHD)が維持されるのは、そのような事情に裏付けられており、第4変換信号Vdの値を小さくしようとする意図に出ている(Gc<1で、Vd=Gc・Vc(=Gc・Vx)だから、Vd<Vc(あるいはVd<Vx))。そして、このような直接的なVdの減少は、増幅器51通過後のスピーカ駆動信号Voのクリップを生じさせない結果を生む。
なお、前記不等式において等号が成立する場合、即ちGc=(VxTyp/VXTHD)=1の場合は、Gcに改めて(VxTyp/VXTHD)が代入されても、やはりGc=1であるから、上の2つの場合のどちらの処理を経ても結果は同じである。ただ、前述の〔I〕に述べた趣旨からすれば、この場合のVdは、Vd=F(Vx)として求められたものである、と考えるのが整合的ではある。いずれにせよ、このことは、(VxTyp/VXTHD)=1が限界的な場合であることをよく示す。
以上、〔I〕〔II〕として説明したように、本実施形態に係る増幅回路1においては、増幅器51の状態に応じて変動するVxTypの値に基づいて、増幅器51への入力信号たる第4変換信号Vdが適切なレベルをもつように生成されることになるが、この際、本実施形態においては、以下に述べるような各処理(〔A〕・〔B〕)が併せ行われる。
〔A〕 前述の滑曲線補正部30に入力される第2変換信号Vxは、第1変換信号Vgの入力を受けた特性補正部20の出力に係る。つまり、特性補正部20は、第1変換信号Vgを第2変換信号Vxに変換する。
この際、既に述べたように、第1変換信号Vgに対してはf処理が行われる。ここでは特に、このf処理として、第1変換信号Vgのうち低周波域にある信号のレベルをブーストする処理を例に挙げて説明する。このブースト処理によると、例えば図3(A)の符号A1に示す、低周波信号を含む第1変換信号Vgの一部は、符号A2に示すように、その部分に係るレベルが上昇させられる。これにより、スピーカは、聴感上より適切に駆動されることになる。
ただし、この場合、そのようなブースト処理は、当該増幅器51に過大な入力を与える結果を招く(したがって、最終的なスピーカ駆動信号Voを大きく歪ませる)原因となる可能性が大きくなる(図3(A)の符号A3参照)。
そこで、本実施形態においては、以下に述べるように、VxTypの値の相違に応じたゲイン係数G1及びG2の調整を通じ、ブースト処理後の信号のレベルが前記VI MAXを超えないような、好適な第2変換信号Vxの生成が行われる。
まず、ゲイン係数G1及びG2の調整は、前述した滑曲線補正部30内のVxTyp設定部32において設定されたVxTypに、曲線化範囲VSCを加算した値の大きさ、即ちVxMAX(図1参照)と、前述したVI MAXとに応じて行われる。この調整は、大きく、以下の3つの場合に分けて考えることができる。
第1に、VxMAXがVI MAXに比べて十分小さい場合である。
この場合は、VxMAXが比較的小さく、増幅器51、あるいはスピーカの好適な動作範囲の観点からみて、未だ余裕があるとみなせる場合であるから、ブースト処理が行われた信号が増幅器51に入力することになったとしても、特に問題は生じない。したがって、ここでは、第1変換信号Vg用のゲイン係数G2は“0”に、第1変換信号Vgに前記ブースト処理をかけた信号Vg’用のゲイン係数G1は“1”になるように調整される。第2変換信号Vxは、これらVg及びVg’の加算値として得られるので(図1参照)、結局、Vxは、Vx=Vg’として出力されることになる(図3(B)の符号B3、及び、図3(C)参照)。
第2に、VxMAXがVI MAXに相当程度近接する場合である。
この場合は、VxMAXが比較的大きく、増幅器51、あるいはスピーカの好適な動作範囲の観点からみて、殆ど余裕がない(あるいは、全くない)とみなせる場合であるから、ブースト処理が行われた信号Vg’が、そのまま増幅器51に入力することになった場合、問題が生じ得る。したがって、ここでは、ゲイン係数G2は“1”に、ゲイン係数G1は“0”になるように調整される。これにより、第2変換信号Vxは、結局、Vx=Vgとして出力されることになる。
この様子は、図3(B)に例示されており、同図の符号B1に示す第1変換信号Vgは、低周波信号を含むものの、その部分に係るレベルは、同図の符号B2に示すように上昇させられない(図3(A)の符号A2が示す波形と対比参照)。
要するに、この場合、ブースト処理がいわば無視されるようなかたちになるのである。
第3に、前記の第1の場合と第2の場合との中間の場合である。
この場合は、VxMAXが中間的な値をとり、増幅器51、あるいはスピーカの好適な動作範囲の観点からみて、十分ではないが、それでも未だ一定の余裕があるとみなせる場合であるから、ブースト処理が行われた信号Vg’が、増幅器51に一定程度入力することが許容される。したがって、ここでは、ゲイン係数G2及びG1のいずれもが、0から1までの間の適当な値となるように調整される。これにより、第2変換信号Vxは、結局、Vx=G1・Vg’+G2・Vgとして出力されることになる。
なお、この場合、G1及びG2の関係は、図1中のゲイン係数調整部21の四角形内に示されているように、一方が増大すれば、他方が減少するという関係にあるのが好ましい。
このようなG1及びG2の増大・減少関係を具体的に定めるに当たっては、スピーカから発せられる音の迫力等、聴感上の効果が勘案されて好適である。本実施形態の例は、かかる観点からみて好適な一例を提供するが、それ以外にも、例えばG1・G2が、図1に示すのとは異なって“非線形的”に増大し、あるいは、減少する、などという場合も想定されないではない。本発明は、基本的に、どのような場合も本発明の範囲内に収める。
以上のようにして、特性補正部20は、第1変換信号Vgと、これにブースト処理をかけた信号Vg’とが、適当な割合で調合された信号である第2変換信号Vxを、滑曲線補正部30に供給する。
なお、上述した、第1から第3の各場合において、それぞれの間の境界は、上記の表現(即ち、「十分に小さい」、「相当程度近接する」)からは一義的には定まらないようではあるが、“ブースト処理は、VI MAXを超えない限りにおいて行う”という大原則を守ることを念頭に置くならば、当該境界は一定の範囲内で自ずと定まってくるという側面をもつ。
いずれにせよ、本実施形態においては、VxMAXとVI MAXとの大小関係に応じ、その時々の場合に応じた、ブースト処理に係る具体的な処理内容が定立されることに本質があるのであり、そのような場合における前述した境界が、若干流動的な性質をもつことになるとしても、それが特別問題になるというわけではない。
〔B〕 前述の〔A〕において特性補正部20に入力される第1変換信号Vgは、入力信号Viの入力を受けた第1ゲイン補正部10の出力に係る。つまり、第1ゲイン補正部10は、入力信号Viを第1変換信号Vgに変換する。
この場合、既に述べたように、必ずGin・Vi=Vg≦VI MAXが成立する。このVI MAXは、本実施形態に係る増幅回路1において処理可能な信号の最大レベルを意味する。VI MAXが、このような意義を持つことから、入力信号Viが、第1変換信号Vgとなった後、また、このVgが更なる処理を受けて第2,第3,…変換信号Vx,Vc,…となっても、これらの第2,第3,…変換信号Vx,Vc,…は、VI MAXの制約を逃れることはない。また、VxMAXもまた、VI MAXを超えない(図2参照)。
このような、VI MAXの制約が設けられることによって、増幅回路1の安定的動作が確保される。
以上に述べた全体をまとめると、本実施形態に係る増幅回路1における主要な処理の流れは、概ね、図4に示すように表現される。
すなわち、図4においては、まず、入力信号Viが、第1ゲイン補正部10によって、第1変換信号Vg(≦VI MAX)に変換される(図4のステップS101)。
次いで、第1変換信号Vgに基づき、第2変換信号Vxを生成する処理が行われるが(図4のステップS200)、この場合、増幅器51の現状態に応じたVxTypに基づいて、3種の処理が行われる。3種の処理とは即ち、第1に、VxMAX(=VxTyp+VSC)が小であるとき、f処理後のVg’が、そのままVxとして生成される処理(図4のステップS201)、第2に、VxMAXが大であるとき、f処理を受けないVgが、そのままVxとして生成される処理(図4のステップS200内、右端参照)、第3に、VxMAXが中間であるとき、f処理後のVg’と、該処理を受けないVgとが調合された信号が、Vxとして生成される処理(図4のステップS202)、である。なお、VxMAXが、小、及び、大であるときとは、上述においては、それぞれ、「VxMAXがVI MAXに比べて十分小さい場合」、及び、「VxMAXがVI MAXに相当程度近接する場合」、として説明した。
次いで、このようにして生成された第2変換信号Vxに基づき、第4変換信号Vdを生成する処理が行われるが(図4のステップS400参照)、この場合も、前記VxTypの値の相違に応じた処理が行われる。すなわち、VxTyp≧VXTHDが成立するときには、滑曲線化処理が行われ(図4のステップS301;YESから、ステップ401)、VxTyp<VXTHDが成立するときには、ゲイン係数Gcの減少処理が行われる(図4のステップS301;NOから、ステップ402)、というようである。なお、前者は、主に滑曲線補正部30の作用により、後者は、主に第2ゲイン補正部40の作用により、実現されることは、上に述べたとおりである。
以上に述べたような構成及び作用をもつ増幅回路1によれば、以下の効果が奏される。
(1) まず、本実施形態の増幅回路1によれば、前述した〔I〕〔II〕における説明からわかるように、限界的状況にある増幅器51に対して、過大な入力が供給されることが回避されると同時に、スピーカ駆動信号Voのパワーが、可能な限り維持されるようになっている(=大きく犠牲とされるようなことがない。)。これは、主に、滑曲線補正部30、あるいは図4のステップS401として示す滑曲線化処理の存在による。
この点、図5を参照して更に説明する。
図5は、スピーカ駆動信号Voがとりうる種々の波形と、それに応じた歪率及びパワーとの関係を概念的に表す。図5(A)は、Voが理想的な正弦波信号である場合であり、図5(B)は、完全な矩形波信号である場合であり、図5(C)はこれらの中間的な波形をとる信号である場合である。
これらのうち、図5(A)の場合には歪率は0〔%〕であり、図5(B)の場合には歪率は100〔%〕である。また、これらのパワーは、図示するように、それぞれ、(1/2)(Vdd/R)及び(Vdd/R)となる。ここで、Vddは増幅器51の電源電圧、Rは負荷抵抗である。
従来においては、増幅器51が限界的状況にあるとき、即ち、その出力たるVoが、図5(B)あるいは図5(C)に示すような波形をとるおそれがあるときには、即座に且つ一律に、ゲイン減少処理を行っていた。つまり、ゲインを下げることで、これら図5(B)あるいは図5(C)に示すようなクリップ現象が生じるのを未然に防止していたのである。しかし、この場合、Voの出力レベルは当然落ちるので、パワーも落ちることになる。
このような場合と対比すると、本実施形態の優位性が認識される。
すなわち、本実施形態では、前述した、滑曲線化処理等に関する説明から明らかなように、増幅器51が限界的状況にあるというだけの理由で、直ちに、ゲインを下げることはしない。例えば図2中のVCTHDの表示が端的に示唆するように、Vc(あるいは、Vd、Vo)の出力は、一定のパワーが維持されたままで行われるのである。
もっとも、この場合、Voが、一定程度の歪を含むことは予定されることにはなる。しかし、人間の聴覚能力等との関係から考えれば歪の存在が全く許容されないというわけでもないし、そもそも、図5(A)のような「理想的な正弦波」を実現することは、極めて厳密な観点から言えば、技術的に不可能であるともいえるので、歪に関し、あまりにも厳格な考え方をとることは有益ではない。
このようなことからすれば、むしろ、そのような許容しうる歪率の設定を好適に行い、かつ、それを破らない程度において可能な限りパワーを維持・確保することを考える方がより有利であるということができる。
ここまでの説明から既に明らかなように、本実施形態は、かかる観点からみて極めて優位に立つ。というのも、本実施形態においては、主に、滑曲線化処理が施されることによって、Vcが、いわばモデラートに増大するようになっているからである。これにより、増幅器51に過大な入力がもたらされるということもないし、また、一定程度の歪は予定されるもののパワーが大きく損なわれるということもないのである。
図5(C)は、このような事情の一端を表現している(なお、図2(A)及び(B)中の符号εも参照)。図5(C)は、既述のように、図5(A)と図5(B)との間の中間的地位に立つが、本実施形態は、Voがこのような波形をとることを積極的に許容する。そして、この場合におけるパワーは、一般に、(1/β)(Vdd/R)(ただし、1<β<2)と表現することができるので、少なくとも図5(A)以上のパワーは確保されることになるのである。なお、図5(C)のαは、許容歪率であって、既に述べた例に従えば、例えば10〔%〕等と設定される(なお、βとαは、相互相関的である。)。
(2) これに関連して、本実施形態の増幅回路1によれば、前述した〔I〕における説明、あるいは図2からわかるように、滑曲線化処理が行われるのは、Vx≧VxTypが成立する場合に限る。言い換えると、本実施形態においては、Vxがどのようなレベルをとる場合においても、無条件に滑曲線化処理が行われるのではない。このことは、増幅器51に入力する信号(即ち、Vd)のレベルが異なれば、当該増幅器51が“同じ”限界的状況にある場合であっても、スピーカ駆動信号Voにクリップが生じるか否かは当然異なってくる、ということに鑑みれば、極めて合理的な処理ということができる。
これにより、本実施形態においては、すべてのレベルのVxについて滑曲線化処理を施す場合などと比べると、その処理の簡易化・迅速化が達成され得る。また、本実施形態では特に、Vxの値が一定程度の小ささをもつ場合(即ち、Vx<VxTypが成立する場合)には、Vcは、Vxのレベルをそのまま反映する(即ち、Vc=Vx)のだから、スピーカ駆動信号Voの出力レベルを維持するという観点からは勿論、無用な変換処理を回避する、あるいは元の信号がもっていた情報をそのまま生かすという観点からも好ましい、ということができる。
(3) 本実施形態の増幅回路1によれば、前述した〔II〕における説明からわかるように、VxTypがVXTHDを下回る場合には、即座に且つ一律に、ゲイン係数Gcの減少処理が行われる(図1のGc設定部42、等参照)。このような場合は、スピーカ駆動信号Voがもつ歪率が所定値以上となるような場合であるから、パワーが一定程度犠牲になったとしても、そのようなゲイン減少処理が行われる方が好ましいのである。
このようにして、本実施形態によれば、増幅器51に過大な入力が供給されるという事態が、上述した(1)の場合(即ち、VxTyp≧VXTHDの場合)とも相まって、極めて実効的に防止される。なお、この(2)の効果は、主に、第2ゲイン補正部40、あるいは図4のステップS402として示すゲイン減少処理の存在による。
(4) 本実施形態の増幅回路1によれば、前述した〔A〕における説明からわかるように、f処理(特性補正処理)を受けた信号Vg’が、限界的状況にある増幅器51に対して無遠慮に入力するようなことがない。これは、主に、特性補正部20、あるいは図4のステップS200として示す第2変換信号Vxの生成処理の存在による。
すなわち、本実施形態によれば、VxMAXとVI MAXとの大小関係に応じて、f処理を受けた信号Vg’のみが第2変換信号Vxとして生成されるか、あるいは、f処理を受けない信号のみがVxとして生成されるかが定められることによって、パワーの維持を図るべき場合と、クリップ防止をすべき場合との好適な使い分けが行われる。
このようなことから、本実施形態によれば要するに、f処理を施すことによって得られる効果と、クリップ現象を回避するという効果の2つの効果をバランスよく享受することが可能となるのである。
(5) これに関連して、本実施形態の増幅回路1によれば特に、f処理を施すか、施さないかという二者択一的な処理ではなくて、前述した〔A〕における説明、あるいは図4からわかるように、両者の中間に、f処理を受けた信号Vg’と、受けない信号Vgとを適当に調合した信号を、第2変換信号Vxとして生成する処理も含まれているので、前述した効果は、より実効的に享受される(その時々の場合の、より微細な相違にも、きめ細かに追随していきながら、ゲイン係数G1・G2は好適に設定されていくことになる。)。
しかも、この場合、本実施形態においては、G1の増大(又は減少)に対して、G2が減少(又は増大)するという、両者間の関係が定められていることにより、上述のようにスピーカから発せられる音の迫力等、聴感上の効果も好適に確保される。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明に係る増幅回路は、上述した形態に限定されることはなく、各種の変形が可能である。
上述の実施形態では、前記〔A〕において、あるいは図4を参照して述べた、3つの場合、即ちVxMAXが小、大、及び両者の中間の場合の3つの場合それぞれを分ける境界に関し、本発明は、以下に述べるような態様をとることができる。
まず、本発明において、前記3つの場合それぞれを分ける境界は、基本的には、増幅器51の能力等に応じて適宜適当に定められ得る事項である。したがって、そのような条件が満たされる限り、その「境界」の設定は、基本的に自由に行われ得る。
このような場合は、〔A〕の処理(=f処理、あるいは第2変換信号Vxの生成処理(図4参照))と、前述した〔I〕〔II〕の処理(=それぞれ、滑曲線化処理及びゲイン減少処理(図4参照))とは、ともにVxTypを利用するという共通性をもつということができる。
しかし、前記境界設定に関して、〔A〕の処理と〔I〕〔II〕の処理との間に、上記とは別の意味の関連性をもたせることも考えられる。例えば、〔I〕〔II〕の処理の中で比較的重要な役割を担っている曲線化処理限界VXTHDとの関連において、前記境界設定を行う、などというようである。より具体的には、例えば図6に示すようである。
図6は、図4を基礎にして、第2変換信号Vxの生成処理(ステップS200)と、第4変換信号Vdの生成処理(ステップS400)との間に、上記とは別の意味の関連性をもたせる場合の一例を示している。
すなわち、この図6では、まず、第2変換信号Vxの生成処理の中において、Vg<VXTHDが成立する場合は、Vx=Vg’とされ(図6のステップS199;YESから、ステップS201)、VXTHD≦Vg(≦VI MAX)が成立する場合は、Vx=G1・Vg’+G2・Vgとされる(図6のステップS199;NOから、ステップS202)。すなわち、この場合は、図4とは異なって、Vgの値がそのままVxとして出力されるという処理は行われない(言い換えると、この場合のVxは、必ず、ブースト処理等を含むf処理を受けた成分を含む。)。図4を基準としていえば、「VxMAX大」及び「VxMAX中間」の2つの場合がともに、「VxMAX中間」に相当するものとして、Vx=G1・Vg’+G2・Vgなる処理が、図6においては行われるのである。
これに続く、第4変換信号Vdの生成処理は、上述の実施形態と同様である。すなわち、VxTyp≧VXTHDが成立する場合は、滑曲線化処理(図6のステップS401)が行われ、VxTyp<VXTHDが成立する場合は、ゲイン減少処理(図6のステップS402)が行われる。
このように、上記の2つの処理は、VXTHDを軸として、関連付けられ、かつ、規定されるようになっているのである。
このような形態によれば、上記実施形態によって奏された作用効果に加えて、次のような作用効果も奏される。
まず、Vg<VXTHDが成立する場合は、そのVx=Vg’の値の大きさ如何によって、当該Vx(=Vg’)が滑曲線化処理を受けるか否かが変わる。すなわち、前記ブースト処理等を含むf処理を受けてもなお、そのVx(=Vg’)が、Vx<VxTypを満たすのであれば、当該Vxはリニアな関係に従って、Vcに変換され、Vx≧VxTypを満たすのであれば、当該Vxは滑曲線化処理を受けてVcに変換される(図2参照)。
このような処理は、Vg≧VXTHDが成立する場合でも同様に行われる。すなわち、この場合は、当該Vx(=G1・Vg’+G2・Vg)とVxTypとの大小関係に応じた、Vcへの変換が行われることになる。
いずれにせよ、ブースト処理等が行われる以上は、Vx≧VxTypが成立する可能性、即ち当該Vxが滑曲線化処理を受ける可能性は大きいことになる。そして、この滑曲線化処理は、既述のように、最終的な出力であるスピーカ駆動信号Voのレベルの可及的維持を実現しながら、増幅器51への過大な入力を回避する作用をもつのであるから、結局、図6のような形態では、ブースト処理等が行われたとしても、それによって増幅器51へ過大な入力をもたらすというおそれは極めて低減されることになるのに加え、そのブースト処理等の効果をも可能な限り維持することが可能となるのである。
このようにして、本形態では、聴感上、より好ましい音質を実現する可能性が高まる。
なお、図6のステップS199に示す判断式は、場合によっては、Vg<VxTypなどに置き換えることも可能である。
本発明の実施の形態に係る増幅回路の構成を示すブロック図である。 本実施形態に係る滑曲線化処理の内容を説明するための説明図である。 本実施形態に係る特性補正処理の内容を説明するための説明図である。 本実施形態に係る、主要な処理の流れを概略的に示すフローチャートである。 スピーカ駆動信号Voがとりうる種々の波形と、それに応じた歪率及びパワーとの関係を概念的に表す説明図である。 図4と同趣旨の図であって、本実施形態の変形例に係る、主要な処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
1……増幅回路、10……第1ゲイン補正部、20……特性補正部、21……ゲイン係数調整部、30……滑曲線補正部、31……スムース・テーブル、32……VxTyp設定部、40……第2ゲイン補正部、42……Gc設定部、50……増幅部、51……増幅器
Vi……入力信号、Vg……第1変換信号、Vg’……特性補正処理を受けた信号、Vx……第2変換信号、Vc……第3変換信号、Vd……第4変換信号、Vo……スピーカ駆動信号、VxTyp……曲線化開始点、VXTHD……曲線化処理限界、VSC……曲線化範囲、Gc,G1,G2,Gin……ゲイン係数

Claims (5)

  1. 第1信号を増幅して第2信号を生成する増幅部と、
    当該増幅部の状態に応じて変動する状態変数に基づいて、その入力信号である第3信号の全部又は一部に対し周波数特性処理を施し又は施さないで、前記第1信号を生成する特性補正部と、
    を備えることを特徴とする増幅回路。
  2. 前記周波数特性処理は、
    前記第3信号のうち所定の周波数帯域にある信号のレベルを上昇させる処理を含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載の増幅回路。
  3. 前記特性補正部は、
    予め定められた許容最大値と、前記状態変数との大小関係に応じ、
    第1の場合に、前記第3信号に対して前記周波数特性処理を施して前記第1信号を生成し、
    第2の場合に、前記第3信号に対して前記周波数特性処理を施さないで前記第1信号を生成し、及び、
    第3の場合に、前記第3信号に対して前記周波数特性処理を施した第4信号と施さない第5信号との所定の割合による調合を行うことによって、前記第1信号を生成する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の増幅回路。
  4. 前記第1の場合に係る処理は、
    前記状態変数に所定の変形を施すことによって求められる第1変数が、前記許容最大値に比べて十分に小さい場合に実施され、
    前記第2の場合に係る処理は、
    前記第1変数が、前記許容最大値に近接する場合に実施され、
    前記第3の場合に係る処理は、
    前記第1変数が、前記許容最大値に比べて十分に小さくなく、かつ、近接しない場合に実施される、
    ことを特徴とする請求項3に記載の増幅回路。
  5. 前記所定の割合による調合は、
    前記状態変数の増大に応じて減少させた前記第4信号と、
    前記状態変数の増大に応じて増大させた前記第5信号と、
    を加算する処理を含む、
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載の増幅回路。
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