JP2010232497A - 導電材の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガラス、又は予め表面がコロナ処理等された樹脂基板上に、シランラップリング剤等を含むコーティング液を塗布後、乾燥して基板上にインク受容層を形成し、該インク受容層上に金属微粒子分散液を吐出手段等により、パターン化された液膜を形成し、該基板上のパターン化された液膜を焼成して、焼結導電層を形成することを特徴とする導電材の形成方法。
【選択図】なし
Description
近年、デバイスを構成する回路の高密度化がますます進み、例えば配線パターンについてもさらなる精密さが要求される一方、プリント配線板上に形成される回路パターンの最小線幅、膜厚もますます狭くすることが可能な技術が求められている。しかしながら、このような精密な配線パターンを前記の液滴吐出方式による方法によって形成しようとした場合、吐出した液滴が基板上でにじみ等の現象により濡れ広がる傾向があるために精密なパターン化された液膜を正確かつ安定に形成するのが困難であった。
具体的には、導電性金属ペーストを構成する金属超微粒子の表面を、金属元素と配位的な結合が可能な基を有する化合物により被覆することで、各金属微粒子同士が付着して凝集するのを防止して、微細な回路パターンを形成する方法が開示されている。
ここで使用される導電性金属ペーストは、熱硬化性樹脂と有機溶剤を含む樹脂組成物中に、微細な平均粒子径の金属超微粒子を均一に分散してなる導電性金属ペーストであり、前記微細な平均粒子径の金属超微粒子は、その平均粒子径が1〜100nmの範囲に選択され、金属超微粒子表面は、かかる金属超微粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素原子のいずれかを含む基を有する化合物1種以上により被覆されている。
しかし、特許文献1においては、インクジェット方式の描画に用いる液滴は、熱硬化性樹脂とトルエン等の有機溶剤を含む樹脂組成物にアルキルアミン等の金属超微粒子表面被覆剤を用いて表面を被覆することにより該金属超微粒子を分散させて製造されており、ガラス基板上に吐出する際に、ガラス基板上等への定着性には尚、改良の余地があるものと思われる。また、特許文献1では得られる回路パターンは金属超微粒子がバインダーとして使用する熱硬化性樹脂で基板上に固着されていて、焼成されてはないので、導電性にも改良の余地があるものと思われる。
具体的には、焼成前のグリーンシートにメタライズインクを印刷して、印刷後のシートを積層して焼成する場合、表層に形成された配線層の密着不良を改良するために、有機樹脂を含む絶縁層表面に、低抵抗金属を主体とする導体組成物と前記絶縁層中の有機樹脂とからなる第1層を設け、該第1層上に該導体組成物からなる第2層を設けて、
圧力を印加することによって、絶縁層中の有機樹脂を前記配線層に侵入させ、配線層と絶縁層の密着力を向上させている。しかしこの方法では、圧縮による体積収縮が起こるため微細なパターン形成には適応できないという問題がある。
(1)ガラス、又は樹脂基板上の金属微粒子分散液からなるパターン化された液膜を焼成する導電材の形成方法であって、
樹脂基板を用いる場合には予めその表面をコロナ処理、電子線照射、プラズマ処理、及びエッチング処理から選択された1種又は2種以上の操作により表面処理する工程(予備工程)を経た後に、下記(i)工程1ないし(iii)工程3の順で基板上の金属微粒子分散液からなるパターン化された液膜を焼成することを特徴とする導電材の形成方法。
(i)ガラス基板上、又は前記表面処理が施された樹脂基板上に、窒素原子を含む基を有する下記一般式[1]で表されるシランラップリング剤、又は該シランカップリング剤を加水分解して得られた一般式[2]で示す化合物を含む塗工液を塗布後、乾燥して基板上にインク受容層を形成する工程(工程1)、
X−R−Si−Y3 [1]
X−R−Si(OH)3 [2]
但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を含む基であり、Rは、Xとケイ素原子とを連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
(ii)前記インク受容層上に金属微粒子分散液を吐出、塗布、又は転写手段により、パターン化された液膜を形成する工程(工程2)、
(iii)前記基板上のパターン化された液膜を焼成して、焼結導電層を形成する工程(工程3)
(2)前記一般式[1]に示すシランカップリング剤中のYがメトキシ基、及び/又はエトキシ基である、前記(1)に記載の導電材の形成方法。
(3)前記一般式[1]に示すシランカップリング剤、又は一般式[2]で示す化合物中のRがエチレン基(−(CH2)2−)、又はプロピレン基(−(CH2)3−)である、前記(1)又は(2)に記載の導電材の形成方法。
(4)前記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は一般式[2]で示す化合物中のXがアミノ基、またはイミノ基である、前記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の導電材の形成方法。
(5)前記金属微粒子分散液に含有される金属微粒子が金、銀、銅、白金、パラジウム、タングステン、ニッケル、鉄、コバルト、及びタンタルから選択される1種もしくは2種以上の粒子、又はこれらの2種以上の金属からなる合金であることを特徴とする、前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の導電材の形成方法。
本発明の「導電材の形成方法」は、
ガラス、又は樹脂基板上の金属微粒子分散液からなるパターン化された液膜を焼成する導電材の形成方法であって、
樹脂基板を用いる場合には予めその表面をコロナ処理、電子線照射、プラズマ処理、及びエッチング処理から選択された1種又は2種以上の操作により表面処理する工程(予備工程)を経た後に、下記(i)工程1ないし(iii)工程3の順で基板上の金属微粒子分散液からなるパターン化された液膜を焼成することを特徴とする。
(i)ガラス基板上、又は前記表面処理が施された樹脂基板上に、窒素原子を含む基を有する下記一般式[1]で表されるシランラップリング剤、又は該シランカップリング剤を加水分解して得られた一般式[2]で示す化合物を含む塗工液を塗布後、乾燥して基板上にインク受容層を形成する工程(工程1)、
X−R−Si−Y3 [1]
X−R−Si(OH)3 [2]
但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を含む基であり、Rは、Xとケイ素原子とを連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
(ii)前記インク受容層上に金属微粒子分散液を吐出、塗布、又は転写手段により、パターン化された液膜を形成する工程(工程2)、
(iii)前記基板上のパターン化された液膜を焼成して、焼結導電層を形成する工程(工程3)
本発明で使用する基板は、特に限定されるものではなくガラス基板、樹脂基板を広く使用することができる。該基板表面には、以下の工程1で説明する通り、OH基が存在している必要があるので、ガラス基板表面には通常OH基が存在しているので特別の表面処理は不要であるが、樹脂基板の場合には、予備工程として予めその表面をコロナ処理、電子線照射、プラズマ処理、及びエッチング処理から選択された1種又は2種以上の操作により表面処理をしてOH基を発現させる必要がある。これらのコロナ処理、電子線照射、プラズマ処理、及びエッチング処理は公知の方法を採用することができる。
樹脂基板としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂などを挙げることができる。これらの中でも、耐熱性、機械的特性、熱的特性などの面からポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はポリエステル樹脂を用いるのが好ましく、中でもポリイミド樹脂が特に好ましい。
尚、ガラス基板を使用する場合には予め、酸洗浄、水洗、及び乾燥処理をこの順に施しておくことが望ましい。
工程1は、ガラス基板上、又は前記表面処理が施された樹脂基板上に、窒素原子を含む基を有する下記一般式[1]で表されるシランラップリング剤、又は該シランカップリング剤を加水分解して得られた一般式[2]で示す化合物を含む塗工液を塗布後、乾燥して基板上にインク受容層を形成する工程である。
X−R−Si−Y3 [1]
X−R−Si(OH)3 [2]
但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を含む基であり、Rは、Xとケイ素原子とを連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
本発明で基板上の受容層の形成に、上記一般式[1]で表されるシランラップリング剤、又は一般式[2]で表される化合物を使用する。
Xは窒素原子を有する基であり、この窒素原子を有する基は、工程2において、インク受容層上に金属微粒子分散液を吐出、塗布、又は転写手段により、パターン化された液膜が形成される際に、該金属微粒子と親和性を有しているので、インク受容層上で金属微粒子の定着性を著しく向上する。このような親和性が発現する理由は充分には解明されていないがX中の窒素原子と金属微粒子表面間で配位結合が生ずるのも一因であると推定される。このようなXとして、第一アミン構造(−NH2)、第二アミン構造(−NH−)、及び第三アミン構造(−N=)を有する基が使用可能であるが、Xの末端近傍に窒素原子が存在する構造であるアミノ基(−NH2)が好ましい。
Rは、Xとケイ素原子とを連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、炭素数が2又は3が好ましい。Xと相対する位置にあるYはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
Y又は(OH)基は、一般式[1]で表されるシランラップリング剤、又は一般式[2]で示す化合物を含む溶液が基板上に塗布された後に、加熱処理されて基板表面に存在している(OH)基と脱水縮合反応を起こすので、基板とインク受容層間の密着性が向上する。
前記一般式[1]のシランラップリング剤、及び一般式[2]に示す化合物を0.01〜5質量%の水溶液として、固形分が0.005〜250g/m2となるように基板上に塗布する。
塗布後、加熱処理して基板上に受容層を形成するが、該加熱処理条件は一般式[1]のシランラップリング剤、及び一般式[2]の化合物の熱安定性にもよるが、例えば100〜150℃程度で0.5〜2時間程度が好ましい。
工程2は、前記インク受容層上に金属微粒子分散液を吐出、塗布、又は転写手段により、パターン化された液膜を形成する工程である。
(i)金属微粒子分散液
金属微粒子としては、金、銀、銅,白金、パラジウム、タングステン、ニッケル、鉄、コバルト、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛、チタン、アルミニウムから選択される1種もしくは2種以上の粒子が挙げられるが、これらの中でも、銀、銅、白金、パラジウム、タングステン、ニッケル、鉄、コバルト、及びタンタルから選択される1種もしくは2種以上の粒子が好ましい。
金属微粒子分散液中の金属微粒子の粒子径は、精密な導電材料を形成する上で10μm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく1〜500nmが更に好ましい。
このような金属微粒子を以下に記載する分散溶媒(S)に分散させて、その濃度が2〜70質量%となる分散溶液を得る。
尚、金属微粒子濃度が2質量%未満では、焼成後の導電材の機械的強度が低くなるという不都合を生ずるおそれがあり、一方、70質量%を超えると分散溶液中で高い分散性を得ることが困難になるおそれがある。
前記アミド基を有する有機溶媒(S2)としては、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルプロパンアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、及びアセトアミドの中から選択される1種又は2種以上が例示できる。
前記エーテル系化合物(S3)の具体例として、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、t−アミルメチルエーテル、ジビニルエーテル、エチルビニルエーテル、及びアリルエーテルの中から選択される1種又は2種以上が例示でき、
前記アルコール(S4)の具体例として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、及び2−メチル2−プロパノールの中から選択される1種又は2種以上が例示でき、
前記ケトン系化合物(S5)の具体例として、アセトン、メチルエチルケトン、及びジエチルケトンの中から選択される1種又は2種以上が例示でき、
前記アミン系化合物(S6)の具体例として、トリエチルアミン、及び/又はジエチルアミンが例示できる。
金属微粒子分散溶液中には、一次粒子の平均粒径が好ましくは10μm以下、より好ましく1μm以下、更に好ましく1〜500nmの金属微粒子が少なくともその表面の一部が分散剤で覆われて分散液中に、二次凝集性が少ない状態で分散されていることが好ましい。上記分散剤として好ましいのは、水溶性高分子化合物である、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン等のアミン系の高分子;ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等のカルボン酸基を有する炭化水素系高分子;ポリアクリルアミド等のアクリルアミド;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、更にはデンプン、及びゼラチンの中から選択される1種又は2種以上である。
上記例示した水溶性高分子化合物の具体例として、ポリビニルピロリドン(分子量:1000〜500、000)、ポリエチレンイミン(分子量:100〜100,000)、カルボキシメチルセルロース(アルカリセルロースのヒドロキシル基Na塩のカルボキシメチル基への置換度:0.4以上、分子量:1000〜100,000)、ポリアクリルアミド(分子量:100〜6,000,000)、ポリビニルアルコール(分子量:1000〜100,000)、ポリエチレングリコール(分子量:100〜50,000)、ポリエチレンオキシド(分子量:50,000〜900,000)、ゼラチン(平均分子量:61,000〜67,000)、水溶性のデンプン等が挙げられる。
また、分散剤の添加量は、分散溶液に存在する金属、合金、及び金属化合物の1種又は2種以上(以下、金属等ということがある。)に対する質量比([(分散剤)/(金属等)]質量比)として0.01〜30が好ましい。分散剤の添加量比が前記30を超えると溶液の粘性が高くなる場合がある。一方、前記0.01未満では粒子が粗大化したり、もしくは架橋効果により粒子同士が強固な凝集体を形成したりする場合がある。より好ましい上記添加量比は0.5〜10である。
上記超音波照射時間は、特に制限はなく任意に選択することが可能である。例えば、超音波照射時間を5〜60分間の間で任意に設定すると照射時間が長い方が平均二次凝集サイズは小さくなる傾向にある。更に超音波照射時間を長くすると分散性は一層向上する。
このようにして得られた分散溶液は、金属微粒子が分散剤に覆われた状態で分散溶液中に分散している。このような分散剤が金属微粒子を分散させるメカニズムは完全に解明されてはいないが、高分子分散剤を使用する場合には、例えば高分子に存在する官能基の非共有電子対を有する原子部分が金属微粒子の表面に吸着して、分子層を形成し、互いに金属微粒子同士の接近をさせない、斥力が発生していることが予想される。
前記インク受容層上に金属微粒子分散液を吐出、塗布、又は転写手段により、パターン化された液膜を形成する。本願発明によれば、線幅25μm、線間25μm程度の緻密なパターンを形成することが可能である。また、これらの吐出、塗布、又は転写手段は公知の方法を採用することができる。
工程3は、前記基板上のパターン化された液膜を焼成して、焼成された導電層を形成する工程である。
上記パターン化された液膜は、例えば200℃程度の比較的低温で不活性ガス雰囲気下にある炉内で乾燥後焼成して、導電層を形成することが可能である。
上記乾燥条件は、使用する有機溶媒にもよるが例えば100〜200℃で15〜30分程度であり、焼成条件は、塗布厚みにもよるが例えば190〜250℃で20〜40分間程度、好ましくは190〜220℃で20〜40分間程度である。
このようにして得られる導電層は、良好な導電性を有しており、その電気抵抗値は、1.0Ωcm以下で例えば、1.0×10−5Ωcm〜1×10−3Ωcm程度を達成することが可能である。更に、上記導電層は、基板への密着性にも極めて優れている。
[実施例1]
(1)配線材料の調製
3−アミノプロピルトリエトキシシランを5重量%、水95重量%となるように混合して室温で1時間撹拌し、コーティング液を調製した。
一方、ポリイミドフィルム((株)カネカ製、商品名:アピカルAH)の表面を、200 W・分/mの強度でコロナ処理を行い、ポリイミド基板に用いた。
前記コロナ処理したポリイミド基板上に、バーコート法により前記コーティング液を、塗布し、100℃で1分間加熱し、インク受容層を形成した。
得られたインク受容層が形成された基板上に、Agペースト[ハリマ化成(株)製、商品名「NPS−H」]を、スクリーン印刷法(版:線幅30μm、長さ50mm、厚み10μm)にて、所定のパターン形状に印刷し、180℃にて30分間焼成することにより、配線材料を作製した。
得られた各配線材料の性能を以下の方法で評価した。
(i)印刷性
市販のインクジェットメディア(ピクトリコ(株)製、商品名:ピクトリコ(TPX−1766/2))の印刷幅を1とした場合の滲み幅Xを求め、下記の判定基準で印刷性を評価した。なお、滲み幅Xは、得られた配線材料をデジタルマイクロスコープ((株)キーエンス製、VHX−900)により観察して求めた。
○:0.1≦X≦1.2
△:1.2<X≦1.5
×:1.5<X
(ii)基板密着性
JIS D0202−1988に準拠して配線材料のテープ剥離試験を行った。
評価試料の描画パターンを1mmずつ、計10マス区切り、セロハンテープ(ニチバン(株)製、商品名:セロテープ(登録商標)CT24)を用い、フィルムに密着させた後剥離した。
判定は10マスの内、剥離しないマス目の数から以下の規準により表した。
○:剥離したマス目が1マス以下
△:剥離したマス目が2〜4マス
×:5マス以上剥離した
(3)配線材料の評価結果
配線材料の評価結果を表1に示す。
(1)銅微粒子分散液の調製
始めに水溶性高分子からなる有機物保護被膜で被覆された銅微粒子を次の手順で調製した。
先ず、銅微粒子の原料として酢酸銅((CH3COO)2Cu・1H2O)0.2gを蒸留水10mlに溶解させた酢酸銅水溶液10mlと、金属イオン還元剤として5.0mol/リットル(l)となるように水素化ホウ素ナトリウムと蒸留水とを混合した水素化ホウ素ナトリウム水溶液100mlを調製した。その後、上記水素化ホウ素ナトリウム水溶液に、保護被膜を形成する水溶性高分子としてポリビニルピロリドン(PVP、数平均分子量約3500)0.5gを添加して、攪拌溶解させた後、窒素ガス雰囲気中で、上記酢酸銅水溶液10mlを滴下した。
この混合液を約60分間よく攪拌しながら反応させた結果、粒径5〜10nmの銅微粒子が水溶液中に分散した微粒子分散液が得られた。
次に、上記方法で得られた銅微粒子が分散した分散液100mlに、凝集促進剤としてクロロホルムを5ml添加してよく攪拌した。数分間攪拌した後、反応液を遠心分離機に入れ、銅微粒子を沈殿回収した。その後、得られた粒子と30mlの蒸留水とを試験管に入れ、超音波ホモジナイザーを用いてよく攪拌した後、遠心分離機で粒子成分を回収する水洗浄を3回、続いて、同じく試験管中で、得られた銅微粒子と30mlの1−ブタノールとを入れよく攪拌した後、遠心分離機で銅微粒子を回収するアルコール洗浄を3回行った。
以上の工程により回収された銅微粒子を、混合有機溶媒としてN−メチルアセトアミド80体積%、ジエチルエーテル10体積%、及びエチレングリコール10体積%からなる混合有機溶媒10mlに分散させ、1時間、超音波ホモジナイザーを用いて分散液中に超音波振動を与えることで調製した微粒子分散液を調製した。
実施例1と同様の方法にて、コーティング液を調製した。
このコーティング液を、ガラス基板上に、バーコート法により塗布し、100℃で1分間加熱し、インク受容層を形成した。
前記(1)で調製した銅微粒子分散液を、インクジェット用ヘッド(メクト社製、型式:MICROJET(登録商標) Model MJ−040)に入れ、インク受容層が形成された基板上に、所定のパターンを形成した。窒素雰囲気中120℃で30分間乾燥した後、さらに窒素雰囲気中、220℃で1時間熱処理し、配線材料を作製した。
(3)配線材料の評価結果
得られた各配線材料の性能を実施例1と同様の方法で評価した。
配線材料の評価結果を表1に示す。
ポリイミドフィルム上にインク受容層を形成しない以外は、実施例1と同様の方法にて、配線材料を作製した。
得られた各配線材料の性能を実施例1と同様の方法で評価した。
ポリイミドフィルムをコロナ処理しない以外は、実施例1と同様の方法にて、配線材料を作製した。
得られた各配線材料の性能を実施例1と同様の方法で評価した。
実施例1、2、比較例1、2の評価結果を表1示す。
Claims (5)
- ガラス、又は樹脂基板上の金属微粒子分散液からなるパターン化された液膜を焼成する導電材の形成方法であって、
樹脂基板を用いる場合には予めその表面をコロナ処理、電子線照射、プラズマ処理、及びエッチング処理から選択された1種又は2種以上の操作により表面処理する工程(予備工程)を経た後に、下記(i)工程1ないし(iii)工程3の順で基板上の金属微粒子分散液からなるパターン化された液膜を焼成することを特徴とする導電材の形成方法。
(i)ガラス基板上、又は前記表面処理が施された樹脂基板上に、窒素原子を含む基を有する下記一般式[1]で表されるシランラップリング剤、又は該シランカップリング剤を加水分解して得られた一般式[2]で示す化合物を含む塗工液を塗布後、乾燥して基板上にインク受容層を形成する工程(工程1)、
X−R−Si−Y3 [1]
X−R−Si(OH)3 [2]
但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を含む基であり、Rは、Xとケイ素原子とを連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
(ii)前記インク受容層上に金属微粒子分散液を吐出、塗布、又は転写手段により、パターン化された液膜を形成する工程(工程2)、
(iii)前記基板上のパターン化された液膜を焼成して、焼結導電層を形成する工程(工程3) - 前記一般式[1]に示すシランカップリング剤中のYがメトキシ基、及び/又はエトキシ基である、請求項1に記載の導電材の形成方法。
- 前記一般式[1]に示すシランカップリング剤、又は一般式[2]で示す化合物中のRがエチレン基(−(CH2)2−)、又はプロピレン基(−(CH2)3−)である、請求項1又は2に記載の導電材の形成方法。
- 前記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は一般式[2]で示す化合物中のXがアミノ基、またはイミノ基である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の導電材の形成方法。
- 前記金属微粒子分散液に含有される金属微粒子が金、銀、銅、白金、パラジウム、タングステン、ニッケル、鉄、コバルト、及びタンタルから選択される1種もしくは2種以上の粒子、又はこれらの2種以上の金属からなる合金であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の導電材の形成方法。
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