JP2010232160A - 照明器具の前面カバー及び照明器具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材の表面に表面層を設けて形成される照明器具の前面カバーに関する。表面層は、ジメチルシロキサン基とパーフルオロアルキル基の少なくとも一方を有するアクリル樹脂を含む樹脂組成物からなる。そして表面層は、全表面自由エネルギーが30mJ/m2以下でかつ、極性力成分と分散力成分の2成分に分割した際の分散力成分の表面自由エネルギーが25mJ/m2以下であり、屈折率が基材よりも小さいことを特徴とする。
【選択図】なし
Description
(1+cosθ)・γL/2=(γsd・γLd)1/2+(γsp・γLp)1/2
照明器具に付着する汚れは、水分だけではなく油分も含んだホコリやゴミ、カーボンカスなどもあり、物質の付着性、ハジキ性と相関が高い全表面自由エネルギーだけではなく、油分等のハジキ性の指標となる表面自由エネルギーの分散力成分も制御することによって、あらゆる汚れの付着性、ハジキ性を制御することができるものである。そして上記のように、前面カバーの基材の表面に形成された表面層の、全表面自由エネルギーが30mJ/m2以下でかつ、分散力成分の表面自由エネルギーが25mJ/m2以下であることによって、表面層の濡れ性を低く保って汚れが付着し難くすることができるものであり、さらに表面層に汚れが付着する際には、汚れが点状に均一に付着して、表面層の広い面積が汚れで覆われないようにすることができるものであり、上記のように前面カバーの高透過率を確保して、照明器具の高照度を保つことが可能になるものである。全表面自由エネルギーが30mJ/m2を超えると、また分散力成分の表面自由エネルギーが25mJ/m2を超えると、このような効果を十分に得ることができない。このような、表面層における全表面自由エネルギーや分散力成分の表面自由エネルギーの制御は、アクリル樹脂中のジメチルシロキサン基やパーフルオロアルキル基の含有量などを調整することによって、行なうことができるものである。
−Si(R)(OR)2
−Si(R)2(OR)
上記の構造式において、Rは炭化水素基を表すものであり、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基;γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メルカプトプロピル基等の置換炭化水素基等を例示することができる。
・ホウ珪酸ガラス:1.51
・水晶:1.54
・サファイヤ:1.77
・アクリル樹脂:1.49
・ポリカーボネート:1.58
・ポリスチレン:1.59
このように、表面カバーの基材の屈折率は最も低いもので1.49である。従って本発明において、表面層の屈折率は1.49よりも小さいことが好ましい。
基材として、ホウ珪クラウンガラスガラス(住田光学ガラス社製「BK7」:屈折率1.51、厚さ2mm)を用いた。
基材として、アクリル板(日本テストパネル社製:屈折率1.49、厚さ2mm)を用いた。その他は、実施例1−1と同様にして塗装板を得た。
テトラメトキシシランのオリゴマー(三菱化学株式会社製「メチルシリケート51」)を3.1質量部とり、これにメチルアルコール95質量部を添加して、撹拌しながら緩やかに0.1Nの硝酸水溶液を滴下し、溶液を60℃に1時間を要して昇温させることによって、4官能のアルコキシシラン加水分解物溶液を調製した。この加水分解物溶液の固形分は1.6質量%であった。
実施例1−2と同じアクリル板基材を用いるようにした他は、実施例2−1と同様にして塗装板を得た。
メチルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製「KBM−13」)を3.1質量部とり、これにメチルアルコールを95質量部添加して、撹拌しながら緩やかに0.1Nの硝酸水溶液を滴下し、溶液を60℃に1時間を要して昇温させることによって、3官能のアルコキシシラン加水分解物溶液を調製した。この加水分解物溶液の固形分は1.5質量%であった。
実施例1−2と同じアクリル板基材を用いるようにした他は、実施例3−1と同様にして塗装板を得た。
ジメチルシロキサン基と架橋基として水酸基を側鎖に有するアクリル樹脂(富士化成工業株式会社製「ZX−022」:固形分46質量%、水酸基価120)を100質量部、イソシアネート樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製「TPA100」:固形分100質量%)を20質量部、酢酸エチルを100質量部、酢酸ブチルを100質量部、およびイソホロンを30質量部混合し、5分間攪拌することによって、樹脂組成物のコーティング液を調製した。
実施例1−2と同じアクリル板基材を用いるようにした他は、実施例4−1と同様にして塗装板を得た。
ジメチルシロキサン基と架橋基として水酸基を側鎖に有するアクリル樹脂(上記の富士化成工業株式会社製「ZX−022」)を100質量部、メラミン樹脂(三井化学株式会社製「ユーバン122」:固形分60質量%)を20質量部、メラミン樹脂の触媒としてドデシルスルホン酸(三井化学株式会社製「キャタリスト6000」)を3質量部添加し、さらに酢酸エチル70質量部、酢酸ブチル70質量部、n−ブタノール70質量部、およびダイアセトンアルコール30質量部を混合し、5分間攪拌することによって、樹脂組成物のコーティング液を調製した。
実施例1−2と同じアクリル板基材を用いるようにした他は、実施例5−1と同様にして塗装板を得た。
パーフルオロアルキル基(パーフルオロオクチル基)と架橋基として水酸基を側鎖に有するアクリル樹脂(関東電化工業株式会社製「KD−220」:固形分30質量%、水酸基価60)100質量部と、イソシアネート樹脂(上記の旭化成ケミカルズ株式会社製「TPA100」)7質量部と、酢酸エチル100質量部と、酢酸ブチル100質量部と、およびイソホロン30質量部とを混合し、5分間攪拌することによって、樹脂組成物のコーティング液を調製した。
実施例1−2と同じアクリル板基材を用いるようにした他は、実施例6−1と同様にして塗装板を得た。
パーフルオロアルキル基と架橋基として水酸基を側鎖に有するアクリル樹脂(上記の関東電化工業株式会社製「KD−220」)100質量部と、メラミン樹脂(上記の三井化学株式会社製「ユーバン122」)15質量部と、メラミン樹脂の触媒としてドデシルスルホン酸(三井化学株式会社製「キャタリスト6000」)3質量部を添加し、さらに酢酸エチル40質量部と、酢酸ブチル40質量部と、n−ブタノール40質量部と、およびダイアセトンアルコール20質量部を混合し、5分間攪拌することによって、樹脂組成物のコーティング液を調製した。
実施例1−2と同じアクリル板基材を用いるようにした他は、実施例7−1と同様にして塗装板を得た。
ジメチルシロキサン基と架橋基として水酸基を側鎖に有するアクリル樹脂(上記の富士化成工業株式会社製「ZX−022」)100質量部と、メラミン樹脂(上記の三井化学株式会社製「ユーバン122」)20質量部と、実施例2で調製した4官能のアルコキシシラン加水分解物溶液600質量部と、ダイアセトンアルコール30質量部を加えて混合し、5分間攪拌することによって、樹脂組成物のコーティング液を調製した。この樹脂組成物のコーティング液において、アクリル樹脂100質量部に対して4官能アルコキシシランが20質量部含有されている。
実施例1−2と同じアクリル板基材を用いるようにした他は、実施例8−1と同様にして塗装板を得た。
4官能のアルコキシシラン加水分解物溶液の配合量を150質量部に変更するようにした他は、実施例8−1と同様にして樹脂組成物のコーティング液を調製した。この樹脂組成物のコーティング液において、アクリル樹脂100質量部に対して4官能アルコキシシランが5質量部含有されている。
実施例1−2と同じアクリル板基材を用いるようにした他は、実施例9−1と同様にして塗装板を得た。
ジメチルシロキサン基と水酸基を有するアクリル樹脂の配合量を10質量部、4官能のアルコキシシラン加水分解物溶液の配合量を860質量部に変更するようにした他は、実施例8−1と同様にして樹脂組成物のコーティング液を調製した。この樹脂組成物のコーティング液において、アクリル樹脂100質量部に対して4官能アルコキシシランが300質量部含有されている。
実施例1−2と同じアクリル板基材を用いるようにした他は、実施例10−1と同様にして塗装板を得た。
テトラメトキシシランのオリゴマー(三菱化学株式会社製「メチルシリケート51」)を3.1質量部と、メチルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製「KBM−13」)を3.1質量部とり、これにメチルアルコールを95質量部添加して、撹拌しながら緩やかに0.1Nの硝酸水溶液を滴下し、溶液を60℃に1時間を要して昇温させることによって、3官能と4官能のアルコキシシラン加水分解物溶液を調製した。この加水分解物溶液の固形分は3.0質量%であった。
実施例1−2と同じアクリル板基材を用いるようにした他は、実施例11−1と同様にして塗装板を得た。
実施例1−1と同じガラス基材の表面に、パーフルオロアルキル基を有する化学吸着単分子膜(有限会社かがわ学生ベンチャー社製「WR−LIVE2−III」)を乾燥後の塗装膜厚が0.005μm程度になるようにスプレー塗装にて塗布し、100℃で30分加熱して、塗装板を得た。
実施例1−2と同じアクリル板基材を用いるようにした他は、比較例1−1と同様にして塗装板を得た。
側鎖を持たないアクリル樹脂(三井化学株式会社「アルマテックスL1043」:固形分40質量%)100質量部とキシレン200質量部を混合し、5分間攪拌することによって、コーティング液を調製した。
実施例1−2と同じアクリル板基材を用いるようにした他は、比較例2−1と同様にして塗装板を得た。
架橋基として水酸基を有するアクリル樹脂(DIC株式会社製「52−668BA」:固形分45質量%、水酸基価24)100質量部と、イソシアネート樹脂(上記の旭化成ケミカルズ株式会社製「TPA100」)4質量部と、酢酸エチル100質量部と、酢酸ブチル100質量部と、およびイソホロン30質量部とを混合し、5分間攪拌することによって、コーティング液を調製した。
実施例1−2と同じアクリル板基材を用いるようにした他は、比較例3−1と同様にして塗装板を得た。
架橋基として水酸基を有し、側鎖を持たないフッ素アクリル樹脂(旭硝子株式会社「ルミフロンLF100」:固形分50質量%、水酸基価26)100質量部と、イソシアネート樹脂(上記の旭化成ケミカルズ株式会社製「TPA100」)5質量部と、キシレン50質量部と、メソイソブチルケトン150質量部を混合し、5分間攪拌することによって、コーティング液を調製した。
実施例1−2と同じアクリル板基材を用いるようにした他は、比較例4−1と同様にして塗装板を得た。
架橋基としてグリシジル基を有するエポキシ樹脂(大阪ガスケミカル株式会社製「オグソールEG」:エポキシ当量294g/ep)100質量部と、エポキシ硬化剤(新日本理化株式会社製「リカシッド MH−700」)180質量部と、トルエン100質量部と、キシレン100質量部とを混合し、5分間攪拌することによって、コーティング液を調製した。
実施例1−2と同じアクリル板基材を用いるようにした他は、比較例5−1と同様にして塗装板を得た。
実施例1−1と同じガラス基材の表面に、光触媒コーティング(パナソニック電工株式会社製「フレッセラP」)を乾燥後の塗装膜厚が0.1μmとなるように塗装し、100℃で10分間硬化させることにより、塗装板を得た。
実施例1−2と同じアクリル板基材の表面に、まず接着層のプライマ(パナソニック電工株式会社製「ASプライマ」)を乾燥後の塗装膜厚が0.5μmとなるように塗装し、100℃で10分間硬化させ、次にガード層となる無機樹脂(パナソニック電工株式会社製「フレッセラN」)を乾燥後の塗装膜厚が1μmとなるように塗装し、100℃で10分間硬化させた。さらにこの上に、光触媒コーティング(パナソニック電工株式会社製「フレッセラP」)を乾燥後の塗装膜厚が0.1μmとなるように塗装し、100℃で10分間硬化させることにより、塗装板を得た。
何も塗装していない実施例1−1と同じホウ珪クラウンガラスガラス(住田光学ガラス社製「BK7」:屈折率1.51、厚さ2mm)を試料板とした。
何も塗装していない実施例1−2と同じアクリル板(日本テストパネル社製:屈折率1.49、厚さ2mm)を試料板とした。
接触角計(協和界面科学社製「DM500」)を用いて、水、およびジヨードメタンを、塗装板の表面層あるいは試料板の表面に滴下した際の接触角を求め、下記の式にそれぞれの接触角を代入して表面エネルギーの分散力成分(γsd)、極性力成分(γsp)を算出し、全表面自由エネルギーと分散力成分の表面自由エネルギーを求めた。
(1+cosθ)・γL/2=(γsd・γLd)1/2+(γsp・γLp)1/2
(2)表面層の屈折率
シリコンウェハー上にコーティング液を塗布して約100nmの膜厚で塗膜を形成し、大塚電子株式会社製分光エリプソメータ「FE−5000」を用いて塗膜の屈折率を測定して、これを表面層の屈折率とした。
株式会社日立ハイテクノロジーズ社製分光光度計「U−4100」で、積分球を用いた全光線透過率を測定した。
カ−ボン水の汚染試料水を、塗装板の表面層や試料板の表面全体に均一にかかるように、霧吹きで吹き付け、90℃に約15分間保つことによって、水分を蒸発させて乾燥した。この後に、上記(3)と同様にして透過率の測定を実施した。なお、汚染試料水は、排ガスを想定してカーボンブラック水懸濁液を使用した。カ−ボンブラック水懸濁液については、カーボンブラック(デグサ社製「FW2」:平均粒子径13μm、比表面積460g/m2)3gを純水に分散させて全質量を300gとしたものを用いた。
大同理科製作所株式会社製「ウォッシャビリティ磨耗性試験装置」に取り付けられた洗浄用スポンジを1kg荷重にて往復回数100回で擦る摩耗試験を実施した後、上記の(4)のカーボンブラック水懸濁液吹付け後の透過率測定を実施した。
汚染試料液であるカーボンブラック+水+油を均一に分散した懸濁液を、塗装板の表面層や試料板の表面全体に均一にかかるように、霧吹きで吹き付け、90℃に約15分間保つことによって、水分を蒸発させて乾燥した。この後に、上記(3)と同様にして透過率の測定を実施した。なお、汚染試料液は、(4)と同様、排ガスを想定してカーボンブラックを用い、水に加えて、油も混合して懸濁液を作製した。カ−ボンブラック+水+油懸濁液については、カーボンブラック(デグサ社製「FW2」:平均粒子径13μm、比表面積460g/m2)3gと純水250gと水溶性切削油(協同油脂株式開社製「エマルカットB−50」)47gを混合して均一に分散させて全質量を300gとしたものを用いた。
株式会社オーク製作所製高圧水銀灯照射装置「UV−300」を用い、波長360nmの紫外線強度が40mW/cm2になるよう設定して、24時間照射した。そして光照射前後の色差ΔEabを、コニカミノルタ社製分光測色計「CM−3600d」で測定して、評価の指標とした。色差ΔEabが3以下の場合を合格とした。尚、本評価はガラスを基材とするものに対してのみ行なった。
200℃の乾燥機に72時間保持して加熱処理を行なった。そして光照射前後の色差ΔEabを、コニカミノルタ社製分光測色計「CM−3600d」で測定して、評価の指標とした。色差ΔEabが3以下の場合を合格とした。尚、本評価はガラスを基材とするものに対してのみ行なった。
試験液として、5%炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業(株)製)水溶液を用い、塗装板の表面層や試料板の表面に1cm×1cmに切断したキッチンペーパーを重ね、試験液をキッチンペーパー上に滴下し、時計皿を被せて静置して、24時間後放置した。そして24時間経過後の塗膜の外観を、次の判断基準で評価した。
外観の変化が全くない:○
滴下していたところが枠として跡がある:△
塗膜が剥離に至る:×
Claims (5)
- 基材の表面に表面層を設けて形成される照明器具の前面カバーであって、表面層は、ジメチルシロキサン基とパーフルオロアルキル基の少なくとも一方を有するアクリル樹脂を含む樹脂組成物からなり、全表面自由エネルギーが30mJ/m2以下でかつ、極性力成分と分散力成分の2成分に分割した際の分散力成分の表面自由エネルギーが25mJ/m2以下であり、屈折率が基材よりも小さいことを特徴とする照明器具の前面カバー。
- 表面層を形成する樹脂組成物が、上記アクリル樹脂100質量部に対して、3官能と4官能の少なくとも一方のアルコキシシランを20〜200質量部含有することを特徴とする請求項1に記載の照明器具の前面カバー。
- 上記アクリル樹脂は架橋性部位として水酸基を有しており、この水酸基を有するアクリル樹脂の架橋剤として、アミノ樹脂とイソシアネート樹脂の少なくとも1つを有する架橋剤成分が、表面層を形成する樹脂組成物中に含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明器具の前面カバー。
- 上記アクリル樹脂は、架橋性部位として水酸基とアルコキシ基の両方を有しており、このアクリル樹脂100質量部に対して3官能のアルコキシシランを10〜100質量部、4官能のアルコキシシランを10〜100質量部の量で、表面層を形成する樹脂組成物中に含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明器具の前面カバー。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の前面カバーを備えて成ることを特徴とする照明器具。
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