JP2022153203A - 防汚性塗料組成物、照明器具用防汚性塗料組成物、照明器具、室内用照明器具、及び、防汚性塗膜 - Google Patents

防汚性塗料組成物、照明器具用防汚性塗料組成物、照明器具、室内用照明器具、及び、防汚性塗膜 Download PDF

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Abstract

【課題】マット性及び防汚性の両方を有する防汚性塗料組成物などを提供する。【解決手段】防汚性塗料組成物は、球状の複数の第1粒子22と、バインダー樹脂21と、を備え、防汚性塗料組成物が成膜された防汚性塗膜20において、最大高さRzは、5μm以上20μm以下であり、60度光沢度は、20%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、防汚性塗料組成物、照明器具用防汚性塗料組成物、照明器具、室内用照明器具、及び、防汚性塗膜に関する。
従来、意匠性を高めることを目的として、艶消し塗膜が用いられている。例えば、特許文献1に開示される塗料組成物によって、このような艶消し塗膜が形成される。
特許文献1に開示される塗料組成物は、アクリル樹脂と、平均粒子径が7μm~30μmの硬質樹脂粒子と、平均粒子径が7μm~30μmの軟質樹脂粒子と、を備える。このような塗料組成物が成膜された塗膜では、上記の粒子によって光散乱が起こる。つまり、この塗膜は、マット性を有し、艶消し塗膜として利用されることができる。
特開2003-55597号公報
ところで、特許文献1に開示される艶消し塗膜においては、表面に上記の粒子による凹凸が形成される。この凹凸に汚れが付着し易く、かつ、特に凹部に付着した汚れが除去され難くいため、上記の塗膜の防汚性は低い。また、上記の塗膜のマット性と防汚性とは、この凹凸のサイズに依存する関係があり、より具体的には、トレードオフの関係にあった。
本発明は、マット性及び防汚性の両方を有する防汚性塗料組成物などを提供する。
本発明の一態様に係る防汚性塗料組成物は、防汚性塗料組成物であって、球状の複数の第1粒子と、バインダー樹脂と、を備え、前記防汚性塗料組成物が成膜された防汚性塗膜において、最大高さRzは、5μm以上20μm以下であり、60度光沢度は、20%以下である。
本発明の一態様に係る照明器具用防汚性塗料組成物は、照明器具に用いられる上記記載の防汚性塗料組成物である。
本発明の一態様に係る照明器具は、上記記載の照明器具用防汚性塗料組成物が成膜された照明器具用防汚性塗膜を有する部材を備える。
本発明の一態様に係る室内用照明器具は、上記記載の照明器具が室内で用いられる室内用照明器具である。
本発明の一態様に係る防汚性塗膜は、上記記載の防汚性塗料組成物が成膜された防汚性塗膜である。
本発明の防汚性塗料組成物などは、マット性及び防汚性の両方を有することができる。
図1は、実施の形態に係る防汚性塗膜を有する防汚性部材を示す断面図である。 図2は、実施の形態に係る照明器具の断面図である。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
(実施の形態)
[防汚性塗料組成物]
以下、本実施の形態に係る防汚性塗料組成物について説明する。
防汚性塗料組成物は、バインダー樹脂と、複数の第1粒子と、を備える液状の組成物である。
まずは、バインダー樹脂について説明する。
バインダー樹脂は、防汚性塗料組成物が成膜された膜である防汚性塗膜において、複数の第1粒子を結着して保持するための樹脂である。
本実施の形態に係るバインダー樹脂は、高い可視光透過性を有する樹脂であるとよい。例えば、バインダー樹脂の可視光透過率は、50%以上であればよく、70%以上であればよりよく、80%以上であればさらによく、90%以上であればさらによりよい。
バインダー樹脂は、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、フッ素基含有アクリル樹脂、シロキサン基含有アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、又は、メラミン樹脂などによって構成されているとよい。特に、可視光透過率の観点から、バインダー樹脂としてアクリル樹脂が用いられるとよい。
アクリル樹脂は、アクリレート又はメタクリレートの少なくともいずれか一方を含有するモノマーを重合して得られる樹脂である。
アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、及び、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレートのうち少なくとも1つを用いることができる。
メタクリレートとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブ
チルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、及び、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレートのうち少なくとも1つを用いることができる。
また、水酸基を有するアクリレート又は水酸基を有するメタクリレートが用いられてもよい。このようなアクリレート又はメタクリレートとして、例えば、水酸基が導入された上記のアクリレート又はメタクリレートを用いることができる。なお、このように、水酸基を有するアクリレート又は水酸基を有するメタクリレートが用いられる場合には、アクリル樹脂は、いわゆるアクリルポリオール樹脂である。
アクリル樹脂は、アクリレート又はメタクリレートの少なくともいずれか一方を含有するモノマーと、炭素-炭素二重結合を有するモノマーとの共重合体であってもよい。炭素-炭素二重結合を有するモノマーとしては、スチレン系モノマー、オレフィン系モノマー、及びビニル系モノマーのうち少なくとも1つを用いることができる。また、スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレンなどが挙げられる。オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン及びプロピレンなどが挙げられる。ビニル系モノマーとしては、例えば、塩化ビニル及び塩化ビニリデンなどが挙げられる。上記のモノマー成分は、1つを単独で用いてもよく、2つ以上を混合して用いてもよい。
また、水酸基を有するアクリレート又は水酸基を有するメタクリレートが用いられる場合には、防汚性塗料組成物は、硬化剤を、さらに備えているとよい。
硬化剤は水酸基と反応して架橋を形成できるものであれば、特に限定されるものではない。硬化剤として、イソシアネート系硬化剤、及び、アミノ系硬化剤などが挙げられ、イソシアネート系硬化剤が用いられるとよい。
イソシアネート系硬化剤としては、例えば、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,4-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,6-ジイソシアネートなどの環状脂肪族ジイソシアネート類、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネ-ト、ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、リジントリイソシアネ-トなどの3価以上のポリイソシアネートなどのような有機ポリイソシアネート類などのうち少なくとも1つを用いることができる。イソシアネート系硬化剤は、イソシアネート樹脂のイソシアネート基(NCO)と、アクリルポリオール樹脂に含まれる水酸基(OH)との当量比「NCO/OH」が、0.2~2.0、よりよくは0.5~1.5となるように含まれるとよい。アミノ系樹脂としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂、尿素樹脂などのうち少なくとも1つを用いることができる。
続いて、複数の第1粒子について説明する。
複数の第1粒子のそれぞれの形状は、球状である。球状とは、真球状、楕円体状又は卵型状を意味する。このように複数の第1粒子のそれぞれの形状は、丸みを帯びた形状であるとよい。
複数の第1粒子の平均粒子径は、20μm以下であるとよい。本実施の形態においては、複数の第1粒子は、例えば、3μm以上7μm以下である。複数の第1粒子の平均粒子径は、3.5μm以上6.5μm以下であってもよく、4μm以上6μm以下であっても
よい。
複数の第1粒子は、無機粒子及びポリマー粒子の少なくとも一方で構成されている。より具体的には、複数の第1粒子は、ポリマー粒子で構成され、本実施の形態においては、滑り性(スリップ性)を有する粒子であるシリコーン樹脂粒子、PTFE粒子、ワックス粒子及びアクリル樹脂粒子のうち少なくとも1つによって構成される。
シリコーン樹脂粒子は、シロキサン結合よる主骨格を持つポリマーによって構成される粒子である。PTFEは、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)を意味し、PTFE粒子は、PTFEによって構成される粒子である。ワックス粒子は、天然ワックス、半合成ワックス又は合成ワックスによって構成される粒子である。アクリル樹脂粒子は、上記のアクリル樹脂によって構成される粒子である。
また、本実施の形態に係る防汚性塗料組成物においては、バインダー樹脂と複数の第1粒子との配合量を示す比率は、以下の通りであるとよい。
バインダー樹脂の固形分を100質量部とした場合に、複数の第1粒子の固形分が5質量部以上95質量部以下であるとよく、20質量部以上80質量部以下であるとよりよく、40質量部以上70質量部以下であるとさらによい。また、上記は例示であり、バインダー樹脂と複数の第1粒子との比率は、上記の通りでなくてもよい。
[防汚性塗膜]
さらに、防汚性塗料組成物が成膜された防汚性塗膜20について説明する。
図1は、本実施の形態に係る防汚性塗膜20を有する防汚性部材1を示す断面図である。
防汚性部材1は、基板10と、基板10に形成された防汚性塗膜20とを備える。
防汚性塗膜20は、防汚性塗料組成物が成膜された膜であるため、バインダー樹脂21と、複数の第1粒子22とを有する。
防汚性塗膜20は、以下の製造方法によって製造されるとよい。
防汚性塗膜20は、本実施の形態に係る防汚性塗料組成物が基板10の主面に塗布された後、硬化されて形成される。塗布方法としては、スプレー法、バーコーティング、ディップ法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ロールコーティング法、スポンジ塗りなどのうち少なくとも1つを用いることができる。
また、防汚性塗料組成物が硬化される方法としては、加熱により防汚性塗料組成物中の有機溶媒が除去される方法、防汚性塗料組成物に硬化剤が配合され熱硬化される方法、及び、光(例えば紫外光)の照射により硬化される方法などが挙げられる。
防汚性塗膜20において、複数の第1粒子22は、バインダー樹脂21中に分散されていてもよく、凝集していてもよい。より具体的には、数個以上数十個以下の第1粒子22が凝集していてもよい。図1が示すように、複数の第1粒子22は、表面の一部がバインダー樹脂21に被覆されていない第1粒子22、及び、表面のすべてがバインダー樹脂21に被覆されている第1粒子22を含んでいる。なお、表面の一部がバインダー樹脂21に被覆されていない第1粒子22では、当該表面の一部は、第1粒子22が露出する露出
領域22aに相当する。防汚性塗膜20が複数の第1粒子22を有しているため、防汚性塗膜20の表面は、平滑面ではなく、凹凸を有する面となる。
防汚性塗膜20の表面の最大高さRzは、このような凹凸のサイズを示す指標の一例である。本実施の形態においては、最大高さRzは、5μm以上20μm以下である。さらに、最大高さRzは、7μm以上19μm以下であるとよりよく、8μm以上18μm以下であるとさらによい。なお、最大高さRzは、JIS B 0601(2001)で定義される値である。
防汚性塗膜20が複数の第1粒子22を有し、また、5μm以上の最大高さRzに相当する凹凸があることで、防汚性塗膜20は、光散乱性(光拡散性)を有する。よって、防汚性塗膜20に入射した光は、散乱され、正反射し難くなる。このため、光沢度が低い、つまり、マット性を有する防汚性塗膜20が実現される。
より具体的には、本実施の形態においては、防汚性塗膜20の60度光沢度は、20%以下である。さらに、60度光沢度は、15%以下であるとよりよく、10%以下であるとさらによい。60度光沢度が小さいほど、マット性が高いことを示す。
また、最大高さRzが20μm以下であることで、防汚性塗膜20は、高い防汚性を有する。より具体的には、最大高さRzが20μm以下である凹凸、換言すると、防汚性の観点からは十分に小さいサイズの凹凸においては、汚れが付着し難く、かつ、凹部に汚れが付着してもこの汚れが除去され易い。
[防汚性塗膜の実施例など]
次に、本実施の形態に係る防汚性塗膜の性能が評価された結果について説明する。
ここでは、比較例1~5及び実施例1~3のサンプルを合わせた8つのサンプルが作製され評価されている。以下では、作製方法と評価結果とについて説明する。
<作製方法>
8つのサンプルのそれぞれは、鋼板で構成される基板と、この基板の主面に形成された塗膜とを備える評価用の試験片である。8つのサンプルのそれぞれにおいては、形成された塗膜の構成が互いに異なる。
表1は、本実施の形態に係る8つのサンプルの作製に用いられる塗料組成物の構成と評価結果とが示された表である。
Figure 2022153203000002
8つのサンプルのいずれにおいても、まず、鋼板で構成される基板に、1層目の塗膜として、白色塗料(川上塗料株式会社製ポーセラック3000-37)が成膜された白色塗膜が形成される。
白色塗料は、ポリエステルアクリルと、平均粒子径が6μmであり不定形の形状である炭酸カルシウム粒子とを備える。白色塗料においては、ポリアクリルエステルがバインダー樹脂として、炭酸カルシウム粒子が光散乱粒子として用いられる。
白色塗膜は、白色塗料が塗装され、塗装された白色塗料に、165℃20分間の熱処理が施されることで、形成される。なお、白色塗膜の厚みは、150μmである。また、白色塗膜は、ポリアクリルエステルと、光散乱粒子とを備える。
さらに、比較例2~5のサンプル及び実施例1~3のサンプルにおいては、白色塗膜の表面に、2層目の塗膜として防汚性塗膜が形成される。つまり、比較例1のサンプルにおいては、基板に白色塗膜のみが形成されており、比較例2~5のサンプル及び実施例1~3のサンプルにおいては、基板に白色塗膜と防汚性塗膜とが形成されている。
この防汚性塗膜は、防汚性塗料組成物が成膜された膜である。
比較例2~5のサンプルには、それぞれ比較例2~5の防汚性塗料組成物が用いられる。実施例1~3のサンプルには、それぞれ実施例1~3の防汚性塗料組成物が用いられる。
比較例2~5及び実施例1~3の防汚性塗料組成物のそれぞれは、バインダー樹脂と、バインダー樹脂を硬化させる硬化剤と、複数の粒子と、溶媒として酢酸ブチルとを備える。このような防汚性塗料組成物が成膜された比較例2~5及び実施例1~3の防汚性塗膜のそれぞれは、バインダー樹脂と、硬化剤と、複数の粒子とを備える。
比較例2~5及び実施例1~3の防汚性塗料組成物のそれぞれが備えるバインダー樹脂は、本実施の形態に係るバインダー樹脂21に相当し、アクリルポリオール樹脂(DIC株式会社製アクリディックWXU-880-BA)である。
比較例2~5及び実施例1~3の防汚性塗料組成物のそれぞれが備える硬化剤は、イソシアネート系硬化剤(DIC株式会社バーノックDN-981)である。また、実施例1~3の防汚性塗料組成物は本実施の形態に係る防汚性塗料組成物に、実施例1~3の防汚性塗膜は本実施の形態に係る防汚性塗膜20に、相当する。
つまり、実施例1~3の防汚性塗料組成物及び防汚性塗膜20のそれぞれが備える複数の粒子は、本実施の形態に係る複数の第1粒子22に相当する。
ここで、比較例2の防汚性塗料組成物は、酢酸ブチルによって希釈されている。より具体的には、比較例2の防汚性塗料組成物の全体質量を100質量%とした場合に、比較例2の防汚性塗料組成物における固形分質量が20質量%となるように、比較例2の防汚性塗料組成物が希釈されている。なお、比較例2の防汚性塗料組成物における固形分は、樹脂バインダーと硬化剤と複数の第1粒子との合計の固形分である。
また、比較例3~5及び実施例1~3の防汚性塗料組成物のそれぞれにおいても、同様に、固形分質量が20質量%となるように、酢酸ブチルによって希釈されている。
さらに、表1には、複数の粒子の配合量が示されている。ここでは、バインダー樹脂(本実施の形態に係るバインダー樹脂21)の固形分を100質量部とした場合において、複数の粒子の配合量が、固形分の質量部で示されている。
ここで、比較例2~5の防汚性塗料組成物及び実施例1~3の防汚性塗料組成物のそれぞれの違いについて説明する。
まず、比較例2~5の防汚性塗料組成物それぞれについて、本実施の形態に係る防汚性塗料組成物と異なる点について説明する。
比較例2の防汚性塗料組成物においては、複数の粒子の平均粒子径が2μmである点が、本実施の形態に係る防汚性塗料組成物が備える複数の第1粒子22とは異なる。また、比較例2の防汚性塗料組成物における複数の粒子として、「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製トスパール120」が用いられる。
比較例3の防汚性塗料組成物においては、複数の粒子の形状が不定形であり、平均粒子径が8μmである点が、本実施の形態に係る防汚性塗料組成物が備える複数の第1粒子22とは異なる。また、比較例3の防汚性塗料組成物における複数の粒子として、「スリーエムジャパン製ダイニオンTF9205」が用いられる。
比較例4の防汚性塗料組成物においては、複数の粒子がシリカ粒子で構成され、形状が不定形である点が、本実施の形態に係る防汚性塗料組成物が備える複数の第1粒子22とは異なる。また、比較例4の防汚性塗料組成物における複数の粒子として、「富士シリシア化学製サイリシア356RC」が用いられる。
比較例5の防汚性塗料組成物においては、複数の粒子の固形分が100質量部である点が、本実施の形態に係る防汚性塗料組成物における配合量とは異なる。また、比較例5の防汚性塗料組成物における複数の粒子として、「モメンティブ・パフォーマンス・マテリ
アルズ・ジャパン合同会社製トスパール145」が用いられる。
さらに、実施例1~3の防汚性塗料組成物について説明する。
実施例1の防汚性塗料組成物においては、複数の第1粒子22は、シリコーン樹脂粒子で構成され、形状が真球状であり、平均粒子径が4.5μmである。また、実施例1の防汚性塗料組成物における複数の第1粒子22として、「モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製トスパール145」が用いられる。
実施例2の防汚性塗料組成物においては、複数の第1粒子22は、PTFE粒子で構成され、形状が楕円体状であり、平均粒子径が5μmである。また、実施例2の防汚性塗料組成物における複数の第1粒子22として、「ダイキン工業製ポリフロンL-5」が用いられる。
実施例3の防汚性塗料組成物においては、複数の第1粒子22は、アクリル樹脂粒子で構成され、形状が真球状であり、平均粒子径が5μmである。また、実施例3の防汚性塗料組成物における複数の第1粒子22として、「積水化成品工業製テクポリマーMBX-5」が用いられる。
このような比較例2~5及び実施例1~3の防汚性塗料組成物が、1層目の塗膜として形成された白色塗膜に塗装される。まず、比較例2~5及び実施例1~3の防汚性塗料組成物のそれぞれは、ディスパー(撹拌機)によって分散処理が施される。より具体的には、羽根つきのディスパーによって、回転速度が500rpmで5分間の分散処理が施される。さらに、比較例2~5及び実施例1~3の防汚性塗料組成物は、16番手のバーコーターで塗布され、120℃20分間の熱処理によりバインダー樹脂21が硬化される。これにより2層目の塗膜として防汚性塗膜が形成される。
以上のように、白色塗料及び防汚性塗料組成物が成膜されることによって、8つのサンプルが作製される。
<評価結果>
ここでは、8つのサンプルのそれぞれについて、最大高さRz、60度光沢度及び防汚性が評価された。
まずは、評価手法について簡単に説明する。
最大高さRzは、以下の方法によって評価された。
8つのサンプルは、レーザー顕微鏡(キーエンス製レーザー顕微鏡VK-X200)において、20倍の対物レンズで観察され、それぞれ対応する画像が取得される。取得された8つのサンプルに対応する画像から、付属の解析ソフト(VK-H1XA)を用いて、8つのサンプルの最大高さRzが算出された。より具体的には、1つのサンプルにおいて、3つの画像が取得され、取得された3つの画像から得られた3つの最大高さRzの平均値が、当該1つのサンプルの最大高さRzとして算出された。
60度光沢度は、以下の方法によって評価された。
8つのサンプルについて、光沢度計(Rhopoint Instruments Ltd.製アピアランスアナライザー Rhopoint IQ-S)が用いれられ、60度光沢度が測定された。より具体的には、1つのサンプルにおいて、3つの60度光沢度
が測定され、測定された3つの60度光沢度の平均値が、当該1つのサンプルの60度光沢度として算出された。なお、表1には、60度光沢度の合否判定と60度光沢度とが示されており、60度光沢度が20%以下である場合に合格を示す「〇」が、20%より大きい場合に不合格を示す「×」が記載されている。
防汚性は、以下の方法によって評価された。
まず、防汚性を評価するための疑似汚れを説明する。疑似汚れとして、炭酸カルシウム(三共製粉株式会社製 エスカロン3500(平均粒子径1μm))とカーボンブラック(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製)と混合体が用いられた。混合比率は、炭酸カルシウム97質量%と、カーボンブラック3質量%とであった。
この疑似汚れを用いて、第1防汚性試験及び第2防汚性試験が行われた。
第1防汚性試験は、汚れ落下試験であり、汚れの付着し難さが評価された。
まず、8つのサンプルへ疑似汚れの付着が行われた。このとき、篩(飯田製作所製ふるい(目開き500μm))によって篩われた疑似汚れが、8つのサンプルのそれぞれの面において、6mg/cmとなるように、処理が行われた。
さらに、疑似汚れが付着した8つのサンプルが、水平な試験台(机など)対して垂直に配置され、垂直な姿勢を維持したまま2cm持ち上げられる。その後、8つのサンプルを垂直方向に自由落下させ振動が与えられた。自由落下前に付着していた疑似汚れ重量をWa、及び、自由落下後に8つのサンプルのそれぞれに残存している疑似汚れ重量Wbを測定し、式1により、汚れ落下率(%)が算出された。
(式1) 汚れ落下率 = {(Wa-Wb)/Wa}×100
つまり、汚れ落下率が高いほど、汚れが付着し難いことが示される。なお、表1には、第1防汚性試験の合否判定と汚れ落下率とが示されており、汚れ落下率が90%以上である場合に合格を示す「〇」が、90%未満の場合に不合格を示す「×」が記載されている。
第2防汚性試験は、汚れふき取り試験であり、汚れの除去し易さが評価された。
まず、8つのサンプルのL*a*b*色空間が色度計(コニカミノルタ製 分光測色計CM-700d)によって測定された。
次に、第1防汚性試験と同じ方法で疑似汚れの付着が行われ、ウエス(東レ製トレシーMK)によって疑似汚れが拭き取られるように、10往復のふき取り動作が行われた。
さらに、ふき取り動作の後、再度、L*a*b*色空間が測定された。
この、汚れ付着前のL*a*b*色空間、及び、ふき取り動作後のL*a*b*色空間から、色差ΔEが算出された。この色差ΔEが小さいほど、疑似汚れが除去されており、つまりは、汚れが除去し易いことが示される。なお、表1には、第2防汚性試験の合否判定と色差ΔEとが示されており、色差ΔEが5以下である場合に合格を示す「〇」が、5より大きい場合に不合格を示す「×」が記載されている。
さらに、評価結果について説明する。
比較例1の白色塗膜が光散乱粒子を備えることで、比較例1の白色塗膜の表面は凹凸を有する面となる。同様に、比較例2~5の防汚性塗膜及び実施例1~3の防汚性塗膜20が複数の粒子を備えることで、比較例1~5の防汚性塗膜の表面及び実施例1~3の防汚性塗膜20の表面は、凹凸を有する面となる。
これら凹凸を有する面においては、表1が示す最大高さRzの値が得られる。
ここで、最大高さRzとマット性との関係に着目する。
最大高さRzの値が5μm以上であることで、凹凸を有する面において十分な光散乱が起こるため、高いマット性を実現することができる。具体的には、表1では、比較例1、比較例3~5及び実施例1~3のサンプルは60度光沢度が20%以下となり高いマット性を有することが示されている。
また、比較例3~5及び実施例1~3のサンプルが示すように、複数の第1粒子22の平均粒子径が3μm以上であることで、最大高さRzが5μm以上になり易く、このため、高いマット性を実現し易い。
さらに、最大高さRzと防汚性との関係に着目する。
最大高さRzの値が20μm以下であることで、凹凸面において、汚れが付着し難く、かつ、凹部に汚れが付着してもこの汚れが除去され易くなる。つまり、高い防汚性を実現することができる。具体的には、表1では、実施例1~3のサンプルは防汚性についての第1防汚性試験及び第2防汚性試験を合格し高い防汚性を有することが示されている。
また、比較例3のサンプルと実施例1~3のサンプルとを比較する。複数の第1粒子22の平均粒子径が7μm未満であることで、最大高さRzが20μm以下になり易く、このため、高い防汚性を実現し易い。
また、複数の第1粒子の形状と防汚性との関係に着目する。
実施例1~3においては、複数の第1粒子22の形状が球形である。このような粒子は、汚れが引っ掛かりやすい突起などを有さないため、汚れが付着し難くなる。従って、さらに高い防汚性を実現することができる。
実施例1~3においては、複数の第1粒子22としてそれぞれシリコーン樹脂粒子、PTFE粒子及びアクリル樹脂粒子が用いられている。上記の通り、シリコーン樹脂粒子、PTFE粒子、ワックス粒子及びアクリル樹脂粒子はいずれも、滑り性(スリップ性)を有する粒子である。このような粒子が用いられることで、凹凸面において、汚れがさらに付着し難く、かつ、凹部に汚れが付着してもこの汚れがさらに除去され易くなる。従って、さらに高い防汚性を実現することができる。なお、上述のように、露出領域22aがある場合に、さらに高い防汚性を実現することができる。
[照明器具]
さらに、本実施の形態に係る照明器具100の構成について説明する。
図2は、本実施の形態に係る照明器具100の断面図である。
照明器具100は、光源部200と、光反射部材300とを備え、例えば、室内の天井
部材400に設けられた穴に設置される室内用照明器具である。なお、照明器具100は、光源部200及び光反射部材300などを支持する部材を備えているが、ここでは図示は省略されている。
光源部200は、複数の発光素子を有し、光Lを放つ発光部材である。発光素子として、LED(Light Emitting Diode)によって構成されたLED素子、半導体レーザなどの半導体発光素子、有機EL(Electro Luminescence)又は無機ELなどが用いられる。
光反射部材300は、基板と、光反射膜と、防汚性塗膜とを有する部材である。光反射膜は、一例として、上記の白色塗膜などである。光反射膜及び防汚性塗膜は平板形状の基板の主面にこの順に積層されており、防汚性塗膜は光反射部材300において最表面の膜である。光源部200から放たれた光Lは、光反射部材300が有する光反射膜によって反射され、例えば、室内の空間を照明する照明光として利用される。
ここで、光反射部材300が有する防汚性塗膜は、本実施の形態に係る防汚性塗膜20に相当し、つまり本実施の形態に係る防汚性塗料組成物が成膜された膜である。換言すると、上記の防汚性塗料組成物は、照明器具100に利用される照明器具用防汚性塗料組成物である。光反射部材300が有する防汚性塗膜は、この照明器具用防汚性塗料組成物が成膜された膜、つまりは、照明器具用防汚性塗膜である。
上記の通り、光反射部材300が有する防汚性塗膜(防汚性塗膜20)は、マット性及び防汚性の両方を有する。光反射部材300において、防汚性塗膜が最表面に設けられているため、光反射部材300もマット性及び防汚性の両方を有する。つまり、光反射部材300には、汚れが付着し難く、かつ、凹部に汚れが付着してもこの汚れが除去され易い。さらに、光反射部材300はマット性を有し、高い意匠性を示す。
また、照明器具100が室内で用いられる場合には、ユーザによってお手入れ(掃除)されることが多い。例えば、照明器具100は、ユーザの手によって拭き掃除が行われることでお手入れされる。表1で示す通り、光反射部材300が有する防汚性塗膜は、防汚性についての第2防汚性試験に合格し、つまり拭き掃除での掃除がし易い。換言すると、照明器具100が室内で用いられることで、ユーザによるお手入れが簡便に行われる。
つまり、照明器具100が室内で用いられる場合には、拭き掃除によるお手入れが行われることが多いので、防汚性塗膜が汚れふき取り試験で高い防汚性を有することの価値が高まる。
[防汚性塗料組成物の他の構成]
ここで、バインダー樹脂21、硬化剤及び複数の第1粒子22以外に、防汚性塗料組成物が備える構成要素について説明する。
防汚性塗料組成物は、導電性材料を、さらに備えているとよい。この場合、防汚性塗料組成物が成膜された防汚性塗膜20の表面抵抗率は、1013Ω/Sq未満となる。より具体的には、防汚性塗膜20の表面抵抗率は、例えば、10Ω/Sq以上1013Ω/Sq未満である。なお、表面抵抗率は、日本工業規格JIS K6911(熱硬化性プラスチック一般試験方法)に基づき測定されることができる。防汚性塗膜20の表面抵抗率が上記となることで、防汚性塗膜20は帯電防止性を有する。このような防汚性塗膜20においては、埃などの静電的な汚れの付着をさらに抑制することができる。
つまり、防汚性塗料組成物が導電性材料をさらに備え、防汚性塗膜20の表面抵抗率が
1013Ω/Sq未満であることで、より高い防汚性が実現される。
また、導電性材料は、導電性フィラー及び導電性ポリマーのうち少なくとも1つによって構成される。
導電性フィラーは、金属又は無機化合物によって構成される。
導電性フィラーを構成する金属は、例えば、高い電気伝導率を有する銀、銅及び金のうち少なくとも1つの金属であるとよい。
導電性フィラーを構成する無機化合物は、可視光透過性を有する無機化合物であるとよい。導電性フィラーを構成する無機化合物は、例えば、アンチモンドープ酸化スズ(アンチモンドープ二酸化スズ)、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、及び、酸化インジウムスズのうち少なくとも1つの無機化合物であるとよい。
さらに、導電性フィラーの形状は、特に限定されないが、長尺形状であるとよく、例えば、針形状であるとよい。針形状である導電性フィラーのアスペクト比の平均値は、10以上であるとよく、15以上であるとよりよく、20以上であるとよりよい。針形状である導電性フィラーのアスペクト比の平均値の上限は、特に限定されないが、例えば100とすることができる。
導電性フィラーの形状が針形状であることで、防汚性塗料組成物が成膜された防汚性塗膜において、導電性フィラーによる導電性のパスが切断されることが抑制される。このため、防汚性塗膜の表面抵抗率が上記値となり易く、防汚性塗膜20の帯電防止性を向上させることができる。
また、導電性ポリマーとしては、ポリチオフェン系ポリマー、ポリアニリン系ポリマー、又は、ポリアセチレン系ポリマーなどを用いることができる。
防汚性塗料組成物は、撥水撥油樹脂又は撥水撥油界面活性剤を、さらに備えているとよい。
これにより、防汚性塗膜の表面に撥水撥油性が付与されるため、汚れが付着し難く、かつ、付着した汚れが除去されやすくなる。つまり、より防汚性の高い防汚性塗料組成物が実現される。
撥水撥油樹脂は、例えばフッ素樹脂又はシリコーン樹脂である。
フッ素樹脂は、フッ素を含有するモノマーを重合して得られる樹脂とすることができる。フッ素を含有するモノマーとしては、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ビニルフルオライド、フルオロビニルエーテル及びヘキサフルオロプロピレンのうち少なくとも1つを用いることができる。
フッ素樹脂は、フッ素を含有するモノマーと、炭素-炭素二重結合を有するモノマーとの共重合体であってもよい。炭素-炭素二重結合を有するモノマーとしては、スチレン系モノマー、オレフィン系モノマー、ビニル系モノマー、及びアクリル系モノマーのうち少なくとも1つを用いることができる。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレンなどが挙げられる。オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン及びプロピレンなどが挙げられる。ビニル系モノマーとしては、例えば、塩化ビニル及び塩化ビニリデンなどが挙げられる。アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリレート及びメタクリレート
などが挙げられる。上記のモノマー成分は、1つを単独で用いてもよく、2つ以上を混合して用いてもよい。
フッ素樹脂の具体的な例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)樹脂、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)系樹脂、ポリビニルフルオライド(PVF)樹脂、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン(FEP)共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン(ETFE)共重合体及びエチレン・クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)共重合体のうち少なくとも1つを用いることができる。
シリコーン樹脂は、シロキサン結合よる主骨格を持つポリマーである。シリコーン樹脂は、例えば、オルガノハロシラン又はオルガノアルコキシシランを原料として生成することができる。
オルガノハロシランとしては、例えば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、トリエチルクロロシランのうち少なくとも1つを用いることができる。また、オルガノアルコキシシランとしては、例えば、オルガノモノアルコキシシラン、オルガノジアルコキシシラン及びオルガノトリアルコキシシランのうち少なくとも1つを用いることができる。
撥水撥油界面活性剤は、例えばフッ素樹脂界面活性剤又はシリコーン樹脂界面活性剤である。
フッ素樹脂界面活性剤は、上記のフッ素樹脂を含む界面活性剤である。フッ素樹脂界面活性剤の種類については、特に制限されず、非イオン性フッ素界面活性剤、アニオン性フッ素界面活性剤、カチオン性フッ素界面活性剤、及び両性フッ素界面活性剤のいずれであってもよい。
シリコーン樹脂界面活性剤は、上記のシリコーン樹脂を含む界面活性剤である。シリコーン樹脂界面活性剤の種類については、特に制限されず、非イオン性シリコーン樹脂界面活性剤、アニオン性シリコーン樹脂界面活性剤、カチオン性シリコーン樹脂界面活性剤、及び両性シリコーン樹脂界面活性剤のいずれであってもよい。
防汚性塗料組成物は、複数の第2粒子を、さらに備えているとよい。
複数の第2粒子のそれぞれの形状は、球状である。球状とは、真球状、楕円体状又は卵型状を意味する。
複数の第2粒子の平均粒子径は、ナノメートルオーダーであればよく、例えば、10nm以上200nm以下である。また、複数の第2粒子の平均粒子径は、30nm以上150nm以下であってもよく、50nm以上100nm以下であってもよい。
つまり、複数の第2粒子の平均粒子径は、複数の第1粒子22の平均粒子径よりもかなり小さい。
複数の第2粒子は、無機粒子及びポリマー粒子の少なくとも一方で構成されている。より具体的には、複数の第2粒子は、無機粒子で構成され、ここでは、一例として、シリカ粒子によって構成される。
このような複数の第2粒子を備える防汚性塗料組成物が成膜された防汚性塗膜の表面においては、上記の複数の第1粒子による凹凸よりも小さい微細凹凸が設けられる。このような微細凹凸が設けられた場合には、汚れと防汚性塗膜20の表面との接触面積が小さくなる。このため、汚れが防汚性塗膜20の表面に付着し難くなる、つまりは、高い防汚性を実現することができる。
防汚性塗料組成物が、導電性材料、撥水撥油樹脂、撥水撥油界面活性剤又は複数の第2粒子を備える場合には、バインダー樹脂21は、防汚性塗膜において、導電性材料、撥水撥油樹脂、撥水撥油界面活性剤又は複数の第2粒子なども結着して保持する。
また、防汚性塗料組成物は、溶媒を、さらに備えているとよい。溶媒は、特に限定されないが、複数の第1粒子及びバインダー樹脂などの分散性を高める観点からは、有機溶媒が用いられるとよい。
また、防汚性塗料組成物は、上記以外の成分を、さらに備えていてもよい。
上記以外の成分とは、例えば、レベリング剤、消泡剤、表面調整剤、pH調整剤、増粘剤、分散剤、熱安定剤、紫外線吸収剤などの添加剤である。
[まとめなど]
以上説明したように、防汚性塗料組成物は、球状の複数の第1粒子22と、バインダー樹脂と、を備える。防汚性塗料組成物が成膜された防汚性塗膜20において、最大高さRzは、5μm以上20μm以下であり、60度光沢度は、20%以下である。
防汚性塗料組成物が複数の第1粒子22を備えること及び最大高さRzの値が5μm以上であることで、凹凸を有する面において十分な光散乱がおこる。そのため、防汚性塗膜20において、60度光沢度が20%以下となり、高いマット性を実現することができる。
さらに、最大高さRzが20μm以下である凹凸、換言すると、防汚性の観点からは十分に小さいサイズの凹凸においては、汚れが付着し難く、かつ、凹部に汚れが付着してもこの汚れが除去され易い。また、形状が球形である複数の第1粒子22は、汚れが引っ掛かりやすい突起などを有さないため、汚れがさらに付着し難くなる。つまり、十分な防汚性を実現することができる。
以上まとめると、本実施の形態においては、マット性及び防汚性の両方を有する防汚性塗料組成物が実現される。
また、例えば、複数の第1粒子22の平均粒子径は、3μm以上7μm未満である。
これにより、防汚性塗膜20の最大高さRzを上記の5μm以上20μm以下の範囲とすることが容易になる。このため、マット性及び防汚性の両方を有する防汚性塗料組成物が容易に実現される。
また、例えば、複数の第1粒子22は、シリコーン樹脂粒子、PTFE粒子、ワックス粒子及びアクリル樹脂粒子のうち少なくとも1つによって構成される。
シリコーン樹脂粒子、PTFE粒子、ワックス粒子及びアクリル樹脂粒子はいずれも、滑り性(スリップ性)を有する粒子である。このような粒子が用いられることで、凹凸面において、汚れがさらに付着し難く、かつ、凹部に汚れが付着してもこの汚れがさらに除
去され易くなる。従って、さらに高い防汚性を実現することができる。
また、例えば、防汚性塗料組成物は、導電性材料を、さらに備え、防汚性塗膜20の表面抵抗率は、1013Ω/Sq未満である。
防汚性塗膜20の表面抵抗率が上記となることで、防汚性塗膜20は帯電防止性を有する。このような防汚性塗膜20においては、埃などの静電的な汚れの付着をさらに抑制することができる。従って、さらに高い防汚性を実現することができる。
また、例えば、防汚性塗料組成物は、撥水撥油樹脂又は撥水撥油界面活性剤を、さらに備える。
これにより、防汚性塗膜20の表面に撥水撥油性が付与されるため、汚れがさらに付着し難く、かつ、付着した汚れがさらに除去されやすくなる。従って、さらに高い防汚性が実現される。
また、例えば、防汚性塗料組成物は、球状の複数の第2粒子を、さらに備え、複数の第2粒子の平均粒子径は、10nm以上200nm以下である。
これにより、防汚性塗膜20の表面においては、小さい微細凹凸が設けられる。このような微細凹凸が設けられた場合には、汚れと防汚性塗膜20の表面との接触面積が小さくなる。このため、汚れがさらに付着し難くなる、従って、さらに高い防汚性を実現することができる。
また、例えば、照明器具用防汚性塗料組成物は、照明器具100に用いられる上記に記載の防汚性塗料組成物である。
マット性及び防汚性の両方を有する防汚性塗料組成物は、照明器具100のために利用されることができる。
また、例えば、照明器具100は、上記に記載の照明器具用防汚性塗料組成物が成膜された照明器具用防汚性塗膜を有する部材を備える。
これにより、当該部材(光反射部材300)は、マット性及び防汚性の両方を有する。よって、照明器具100は、高い意匠性及び防汚性の両方を有する。
また、例えば、室内用照明器具は、室内で用いられる上記に記載の照明器具100である。
照明器具100が室内で用いられる場合には、拭き掃除によるお手入れが行われることが多いので、防汚性塗膜20が汚れふき取り試験で高い防汚性を有することの価値が高まる。
また、例えば、防汚性塗膜20は、上記に記載の防汚性塗料組成物が成膜された膜である。
防汚性塗料組成物が複数の第1粒子22を備えること及び最大高さRzの値が5μm以上であることで、凹凸を有する面において十分な光散乱がおこる。そのため、防汚性塗膜20において、60度光沢度が20%以下となり、高いマット性を実現することができる。
さらに、最大高さRzが20μm以下である凹凸、換言すると、防汚性の観点からは十分に小さいサイズの凹凸においては、汚れが付着し難く、かつ、凹部に汚れが付着してもこの汚れが除去され易い。また、形状が球形である複数の第1粒子22は、汚れが引っ掛かりやすい突起などを有さないため、汚れがさらに付着し難くなる。つまり、十分な防汚性を実現することができる。
以上まとめると、本実施の形態においては、マット性及び防汚性の両方を有する防汚性塗膜20が実現される。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
20 防汚性塗膜
21 バインダー樹脂
22 第1粒子
100 照明器具

Claims (10)

  1. 防汚性塗料組成物であって、
    球状の複数の第1粒子と、
    バインダー樹脂と、
    を備え、
    前記防汚性塗料組成物が成膜された防汚性塗膜において、
    最大高さRzは、5μm以上20μm以下であり、
    60度光沢度は、20%以下である
    防汚性塗料組成物。
  2. 前記複数の第1粒子の平均粒子径は、3μm以上7μm未満である
    請求項1に記載の防汚性塗料組成物。
  3. 前記複数の第1粒子は、シリコーン樹脂粒子、PTFE粒子、ワックス粒子及びアクリル樹脂粒子のうち少なくとも1つによって構成される
    請求項1又は2に記載の防汚性塗料組成物。
  4. 導電性材料を、さらに備え、
    前記防汚性塗膜の表面抵抗率は、1013Ω/Sq未満である
    請求項1~3のいずれか1項に記載の防汚性塗料組成物。
  5. 撥水撥油樹脂又は撥水撥油界面活性剤を、さらに備える
    請求項1~4のいずれか1項に記載の防汚性塗料組成物。
  6. 球状の複数の第2粒子を、さらに備え、
    前記複数の第2粒子の平均粒子径は、10nm以上200nm以下である
    請求項1~5のいずれか1項に記載の防汚性塗料組成物。
  7. 照明器具に用いられる請求項1~6のいずれか1項に記載の防汚性塗料組成物である
    照明器具用防汚性塗料組成物。
  8. 請求項7に記載の照明器具用防汚性塗料組成物が成膜された照明器具用防汚性塗膜を有する部材を備える
    照明器具。
  9. 請求項8に記載の照明器具が室内で用いられる
    室内用照明器具。
  10. 請求項1~6のいずれか1項に記載の防汚性塗料組成物が成膜された
    防汚性塗膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR102600735B1 (ko) * 2023-05-25 2023-11-13 오원철 교체가 용이한 신호등용 램프기구

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KR102600735B1 (ko) * 2023-05-25 2023-11-13 오원철 교체가 용이한 신호등용 램프기구

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