JP2010231936A - 合金系負極電極リチウムイオン二次電池用セパレーター - Google Patents

合金系負極電極リチウムイオン二次電池用セパレーター Download PDF

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Abstract

【課題】リチウム二次電池において、充放電時に膨張収縮の激しい合金系負極を使用した場合においても、優れたサイクル特性と安全性とを両立し得る、セパレーターを提供する。
【解決手段】セパレータにサンドブラスト処理を行い、処理後の透気度が70〜1500秒/100cc、圧縮弾性率が0.5〜15kPa、平均孔径が0.05〜0.20μmであるポリオレフィン系多孔膜を、合金系負極リチウム二次電池用セパレーターとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、合金系負極電極リチウムイオン二次電池用のセパレーターに関する。
リチウムイオン二次電池は、高容量、軽量、長寿命等の利点から携帯電話、ノートパソコン、ビデオムービー、デジタルカメラ等の携帯電子機器の電源として急速に普及した。近年、リチウムイオン二次電池に対する高容量化の要求は益々大きくなってきている。
従来、リチウムイオン電池の負極材料として難黒鉛化性炭素或いは黒鉛等の炭素材料が用いられてきたが、これらの炭素材料の実効容量は既に工業技術的に飽和状態にあり、更なる高容量化を図ることは困難である。そこで近年、新たな負極材料として、所謂、合金系負極、例えば、特許文献1に開示されているような、ケイ素(Si)又はスズ(Sn)等の金属類、或いは半金属類を用いることが検討されている。
しかしながら、Si及びSnのリチウム吸蔵時の体積膨張率はそれぞれ300%、250%前後と、炭素が12%であるのに対して20倍以上体積変化することが知られている。Si及びSnの理論容量が炭素の約10倍と非常に魅力的な能力を秘めているにも関わらず、広く実用化への道が開かれないのはこの点に起因している。
特許文献2及び3には、そのような合金系材料を電極として用いる電池における種々のセパレーターが開示されている。また、特許文献4には、セパレーター表面の摩擦を低くする事で表面の損傷を抑制する技術が開示されている。
米国特許4950566号 特開2002−83594号公報 特開2006−134757号公報 国際公開第2008/59806号パンフレット
しかしながら、上記特許文献1〜4に記載されたセパレーターは、いずれも合金系負極電極リチウムイオン二次電池に適用した場合のサイクル特性の観点、或いは安全性(絶縁性)の観点からは、なお改良の余地を有する。
上記事情に鑑み、本発明は、膨張収縮の激しい負極電極材料と共に使用された場合であっても、長期間の優れたサイクル特性と安全性とを両立し得る、合金系負極電極リチウムイオン二次電池用セパレーターを提供することを目的とする。
本発明者らは、合金系負極電極を用いた高容量のリチウムイオン二次電池におけるセパレーターの透過性低下に関する研究を鋭意重ねた結果、サンドブラスト処理を施した後に一定範囲の透気度を示す微多孔膜が、合金系負極電極リチウムイオン二次電池用セパレーターとして用いた場合に、長期間における良好なサイクル特性と安全性とを両立し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
サンドブラスト処理後の透気度が70〜1500秒/100ccである合金系負極電極リチウムイオン二次電池用セパレーター。
[2]
圧縮弾性率が0.5〜15kPaである、上記[1]記載の合金系負極電極リチウムイオン二次電池用セパレーター。
[3]
平均孔径が0.05〜0.20μmである、上記[1]又は[2]記載の合金系負極電極リチウムイオン二次電池用セパレーター。
[4]
上記[1]〜[3]記載の合金系負極電極リチウムイオン二次電池用セパレーターを備える合金系負極電極リチウムイオン二次電池。
本発明によれば、膨張収縮の激しい負極電極材料と共に使用された場合であっても、優れたサイクル特性と安全性とを両立し得る、合金系負極電極リチウムイオン二次電池用セパレーターが提供される。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態の合金系負極電極リチウムイオン二次電池用セパレーター(以下、単に「セパレーター」と略記することがある)は、サンドブラスト処理後の透気度が70〜1500秒/100ccに調整されている。そして、かかるセパレーターを、膨張収縮の激しい合金系負極電極と共に用いてリチウムイオン二次電池を構成した場合、得られる二次電池のサイクル特性と安全性とのバランスが良好となることを見出した。
捲回電池内では、セパレーターと電極活物質は一体化されていないため、電池の充放電に伴い、電極活物質が膨張収縮する際には、セパレーター厚み方向への圧縮と共に活物質とセパレーターの表面には擦りが生じるものと考えられる。また、セパレーターと活物質の密着性が比較的高い場合、高い応力が加わった状態で擦られることで、セパレーターの表面は、削れや撚れ、潰れ等の変形が生じるものと考えられる。そのため、長期間においても高いイオン透過性を維持するには擦れだけでなく、潰れに対する損傷を緩和する必要がある。ここで、本発明者は、膨張収縮の激しい負極電極材料が用いられる合金系負極電極リチウムイオン二次電池の内部でセパレーターに印加される種々の機械的負荷を、サンドブラスト処理の評価結果で整理可能であることを見出した。そして、サンドブラスト後の透気度が一定範囲にある微多孔膜が、膨張収縮の激しい負極電極材料を使用する高容量の合金系負極電極リチウムイオン二次電池においても、長期間の良好な電池性能を発揮させ得ることを見出したものである。
本実施形態の合金系負極電極リチウムイオン二次電池は、本実施形態のセパレーターと、いわゆる合金系負極電極と、正極と、電解液とを組み合わせて形成される。
合金系負極電極は、合金系負極材料が負極集電体の片面、又は両面に塗工されて形成される。負極集電体には、無塗工部にタブが設けられる。なお、無塗工部が直接タブとして利用される場合もある。負極集電体には、例えば、銅箔等の金属箔が用いられる。
合金系負極材料に用いられる負極活物質としては、例えば、電極反応物質であるリチウムを吸蔵、放出し、合金化することが可能な金属元素、及び半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む負極材料が挙げられる。このような負極材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができる。この負極材料は金属元素或いは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本実施形態において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含まれ、さらに非金属元素を含んでもよい。負極材料の組織としては、固溶体、共晶(共融点混合物)、金属間化合物、或いはそれらのうちの2種以上が共存するものが挙げられる。
負極材料を構成する金属元素或いは半金属元素としては、例えば、リチウムと合金を形成可能な金属元素或いは半金属元素が挙げられる。具体的には、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、イオウ、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、ハフニウム、タングステン、白金、金、鉛、ビスマス、ガドリニウム等が挙げられる。また、上記の合金と、カーボン、酸化シリコン、非晶性物質等とのコンポジットを負極材料として使用することもできる。また、負極が金属リチウムであってもよい。
本実施形態のセパレーターに優れた耐損傷性を付与し、膨張収縮の激しい負極電極材料と共に使用された場合であってもセパレーターのイオン透過性を高い状態に保つ観点から、セパレーターのサンドブラスト後における透気度は、1500秒/100cc以下であり、好ましくは1200秒/100cc以下であり、より好ましくは1000秒/100cc以下であり、さらに好ましくは800秒/100cc以下である。また、膨張収縮の激しい負極電極材料と供に使用されても、高い絶縁性を保つ観点から、セパレーターのサンドブラスト後における透気度は、70秒/100cc以上であり、好ましくは100秒/100cc以上であり、より好ましくは150秒/100cc以上である。
ここで、セパレーターのサンドブラスト後の透気度を上述の範囲内に調整する方法としては、例えば、セパレーターを構成するポリマーの濃度や極限粘度[η]を制御する方法、キャスト圧縮比を調整する方法、抽出後延伸前後における透気度比を調整する方法等が挙げられる。具体的には、セパレーターのサンドブラスト後の透気度を低くするには、キャスト圧縮比を低くし、抽出後延伸前後における透気度比を高くすればよい。
本実施形態のセパレーターに優れた耐損傷性を付与する観点から、セパレーターの圧縮弾性率は0.5kPa以上が好ましく、より好ましくは1kPa以上であり、更に好ましくは2kPa以上であり、特に好ましくは5kPa以上である。負極の膨張収縮を吸収し、電池内部の圧力上昇を抑制する観点から、セパレーターの圧縮弾性率は15kPa以下が好ましく、より好ましくは10kPa以下である。
ここで、セパレーターの圧縮弾性率を上述の範囲内に調整する方法としては、例えば、セパレーターを構成するポリマーの濃度や極限粘度[η]を制御する方法、キャスト圧縮比を調整する方法等が挙げられる。具体的には、圧縮弾性率を高くするには、セパレーターを構成するポリマーの濃度や極限粘度[η]を高くしたり、キャスト圧縮比を高くしたりすればよい。
本実施形態のセパレーターに優れた耐損傷性を付与する観点から、セパレーターの平均孔径は0.05μm以上であると好ましく、より好ましくは0.06μm以上であり、更に好ましくは0.07μm以上である。また、圧縮を受けた後でもセパレーターの高い絶縁性を保つ観点から、セパレーターの平均孔径は0.20μm以下であると好ましく、より好ましくは0.15μm以下であり、更に好ましくは0.10μm以下である。
ここで、セパレーターの平均孔径を上記範囲内に調整する方法としては、例えば、セパレーターを構成するポリマーの濃度を制御する方法、後述する熱固定処理時の延伸倍率を調整する方法等が挙げられる。具体的には、セパレーターの平均孔径を大きくするには、セパレーターを構成するポリマーの濃度を低くしたり、熱固定処理時の延伸倍率を高くしたりすればよい。
本実施形態のセパレーターの絶縁性を高める観点から、セパレーターの膜厚は3μm以上であると好ましく、より好ましくは5μm以上であり、更に好ましくは10μm以上であり、特に好ましくは15μm以上である。また、セパレーターに優れた耐損傷性を付与する観点から、その膜厚は80μm以下であると好ましく、より好ましくは40μm以下であり、更に好ましくは35μm以下であり、特に好ましくは30μm以下である。なお、電池から取り出したセパレーターの膜厚を確認する場合には、電極に接していなかった部分の厚みを測定すればよい。
ここで、セパレーターの膜厚を上記範囲内に調整する方法としては、例えば、後述するキャスト後の膜の厚み、延伸倍率を調整する方法等が挙げられる。具体的には、セパレーターの膜厚を厚くするには、キャスト後の膜の厚みを厚くしたり、延伸倍率を小さくしたりすればよい。
本実施形態のセパレーターに優れた耐損傷性を付与する観点から、セパレーターの気孔率は30%以上であると好ましく、より好ましくは35%以上であり、更に好ましくは40%以上であり、特に好ましくは45%以上である。また、セパレーターの絶縁性を高める観点から、その気孔率は80%以下が好ましく、より好ましくは70%以下であり、更に好ましくは65%以下であり、特に好ましくは60%以下である。
ここで、セパレーターの気孔率を上記範囲内に調整する方法としては、例えば、セパレーターを構成するポリマーの濃度を調整する方法等が挙げられる。具体的には、気孔率を高くするには、セパレーターを構成するポリマーの濃度を低くすればよい。
本実施形態のセパレーターの絶縁性能を高める観点から、セパレーターの透気度は30秒/100cc以上であると好ましく、より好ましくは50秒/100cc以上であり、更に好ましくは80秒/100cc以上であり、特に好ましくは100秒/100cc以上である。また、セパレーターに優れた耐損傷性を付与する観点から、その透気度は500秒/100cc以下であると好ましく、より好ましくは400秒/100cc以下であり、更に好ましくは300秒/100cc以下であり、特に好ましくは200秒/100cc以下である。
ここで、セパレーターの透気度を上記範囲内に調整する方法としては、例えば、セパレーターを構成するポリマーの濃度を制御する方法、後述する延伸倍率、熱固定処理時の温度を調整したりする方法等が挙げられる。具体的には、セパレーターの透気度を低くするには、セパレーターを構成するポリマーの濃度を低くしたり、延伸倍率を高くしたり、熱固定処理時の温度を低くしたりすればよい。
本実施形態のセパレーターの機械的強度を高める観点から、セパレーターの突刺強度は0.08N/μm以上であると好ましく、より好ましくは0.1N/μm以上であり、更に好ましくは0.12N/μm以上である。また、高い柔軟性を付与する観点から、その突刺強度は0.8N/μm以下であると好ましく、より好ましくは0.6N/μm以下であり、更に好ましくは0.4N/μm以下である。
ここで、セパレーターの突刺強度を上記範囲内に調整する方法としては、例えば、セパレーターを構成するポリオレフィン等のポリマーの極限粘度[η]を調整する方法、後述する延伸倍率を調整する方法等が挙げられる。具体的には、セパレーターの突刺強度を高くするには、セパレーターを構成するポリマーの極限粘度[η]を高くしたり、延伸倍率を高くしたりすればよい。
本実施形態のセパレーターに優れた耐損傷性を付与する観点から、セパレーターの極限粘度[η]は2.5dL/g以上であると好ましく、より好ましくは3.0dL/g以上であり、更に好ましくは3.5dL/g以上である。また、高い成形性を有する観点から、その極限粘度[η]は9.0dL/g以下であると好ましく、より好ましくは8.5dL/g以下であり、更に好ましくは8.0dL/g以下である。
ここで、セパレーターの極限粘度[η]を上記範囲内に調整する方法としては、例えば、セパレーターを構成するポリマーの極限粘度[η]を制御する方法等が挙げられる。具体的には、セパレーターの極限粘度[η]を高くするには、セパレーターを構成するポリマーの極限粘度[η]を高くしたり、ポリマーを化学架橋したりすればよい。
本実施形態のセパレーターは、ポリオレフィンを主成分として含むポリオレフィン組成物から形成されることが好ましい。ここで、「主成分」とは、ポリオレフィン組成物におけるポリオレフィンの含有割合が、好ましくは50〜100質量%であり、より好ましくは60〜100質量%であり、更に好ましくは70〜100質量%であり、更により好ましくは80〜100質量%であり、特に好ましくは90〜100質量%であり、極めて好ましくは95〜100質量%であることを言う。
上記ポリオレフィンとしては特に制限はなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。これらのポリオレフィンは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。ただし、セパレーターを製膜する際の延伸性に優れる観点から、ポリエチレンを1種以上用いることが好ましい。
ポリオレフィンとしてポリエチレンを用いる場合、耐損傷性と機械的強度の高いセパレーターを得る観点から、ポリオレフィンが、0.940g/cm3以上の密度を有するポリエチレンホモポリマーを含むことが好ましい。
セパレーターの耐損傷性と機械的強度を向上させる観点から、上記ポリオレフィン組成物が、5.5〜33dL/gの極限粘度[η]を有する超高分子量ポリエチレンを、ポリオレフィン組成物全量に対して5〜90質量%含むことが好ましい。セパレーターへの成形性をも向上させる観点から、該ポリオレフィン組成物が、超高分子量ポリエチレンを5〜80質量%含むことがより好ましい。また、セパレーターのイオン透過性を向上させる観点から、上記ポリオレフィン組成物が、高密度ポリエチレンを、ポリオレフィン組成物全量に対して10〜95質量%含むことが好ましい。
上記ポリオレフィンとしてポリプロピレンを用いる場合、その具体例としては、例えば、プロピレンホモポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、エチレン−プロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。これらのなかでも、ポリプロピレンがポリプロピレンホモポリマーであることが好ましい。ポリプロピレンがコポリマーの場合、ポリプロピレンの結晶化度を低下させず、セパレーターのイオン透過性を低下させない観点から、コモノマーであるエチレンの含有量が1.0質量%以下であることが好ましい。また、セパレーターへの成形性を向上させる観点から、ポリプロピレンの極限粘度[η]は、1〜25dL/gであることが好ましく、2〜7dL/gであることがより好ましい。本実施形態におけるポリオレフィン組成物は、ポリプロピレンを、そのポリオレフィン組成物全量に対して0質量%超20質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは1〜9質量%含む。
ポリオレフィン組成物は、セパレーターの性能を損なわない範囲において、無機物;フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等の公知の添加剤、並びに滑剤その他の改良剤を含んでもよい。これらの添加量は、ポリオレフィン組成物における樹脂成分100質量部に対して50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましい。なお、上記無機物としては無機粉体が好ましく、例えば、シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリンクレー、タルク、酸化チタン、カーボンブラック、珪藻土類が挙げられる。これらの中では、分散性や抽出の容易さの観点から、シリカが好ましい。
本実施形態のセパレーターは、例えば、以下の(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の各工程を経て製造することができる。なお、ポリマーの種類、溶媒の種類、押出方法、延伸方法、抽出方法、開孔方法、熱固定・熱処理方法等は、何ら限定されるものではない。
(a)工程:ポリオレフィン組成物及び可塑剤を溶融混練する溶融混練工程。
(b)工程:(a)工程を経て得られた混練物をシート状に押し出して冷却固化するキャスト工程。
(c)工程:ポリオレフィン組成物から得られたシート状物を、少なくとも一軸方向に延伸する延伸工程。
(d)工程:ポリオレフィン組成物から得られた成形物から可塑剤を抽出する抽出工程。
(e)工程:(c)工程や(d)工程を経て得られた延伸フィルムを熱固定する熱固定工程。
なお、各工程の順序及び繰り返し回数についても特に限定はない。好ましくは下記3種類が挙げられる。
第1の好ましい各工程の順序は、(a)工程、(b)工程、(c)工程、(d)工程、(c)工程、(e)工程の順である。
第2の好ましい各工程の順序は、(a)工程、(b)工程、(d)工程、(c)工程、(e)工程の順である。
第3の好ましい各工程の順序は、(a)工程、(b)工程、(c)工程、(d)工程、(c)工程の順である。
これらの中では、第1又は第2の各工程の順序がより好ましい。即ち、抽出(d)工程の後に少なくとも一軸方向に延伸する(c)工程が入った後、(e)工程を実施することが好ましい。
以下、各工程について詳述する。
[(a)工程(溶融混練工程)]
(a)工程では、本実施形態に係るポリオレフィン組成物及び可塑剤を混合して溶融混練する。ポリオレフィン組成物が酸化防止剤を含む場合、その濃度は、ポリオレフィン組成物の全体量に対して、分子劣化防止の観点から0.2質量%以上であることが好ましく、経済性の観点から3質量%以下であることが好ましい。酸化防止剤の濃度は、より好ましくは0.4〜3質量%であり、更に好ましくは0.5〜2質量%である。
ここで、上記「可塑剤」とは、ポリオレフィン組成物と混合した際に、その融点以上において均一溶液を形成し得る不揮発性溶媒を指す。可塑剤としては、例えば、流動パラフィンやパラフィンワックス等の炭化水素類;ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP);ジイソデシルフタレート;ジヘプチルフタレート等が挙げられる。これらの中では流動パラフィンが好ましい。
溶融混練されるポリオレフィン組成物と可塑剤との合計量に対する樹脂成分の濃度(以下「PC」と略記することがある)は、セパレーターのイオン透過性と製膜性を向上させる観点から、20〜95質量%であると好ましく、25〜80質量%であるとより好ましい。
(a)工程においては、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合後、一軸押出機、二軸押出機等のスクリュー押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等により溶融混練することができる。溶融混練する方法として、連続運転可能な押出機で溶融混練する方法が好ましい。良好な混練性の観点から、連続運転可能な押出機が二軸押出機であると好ましい。
また、可塑剤を、上記ヘンシェルミキサー等でポリオレフィン組成物と予め混合してから溶融混練することもできる。それに加えて、又はそれに代えて、可塑剤を溶融混練の際に押出機に直接供給してもよい。
さらには、溶融混練時の加熱による樹脂の劣化を防止する観点から、溶融混練を窒素等の不活性なガス雰囲気下で行うことが好ましい。
溶融混練時の温度は、混合物中の各成分の分散性を向上させる観点から、融点130〜140℃のポリエチレンを主成分とする場合には、140℃以上であると好ましく、160℃以上であるとより好ましく、180℃以上であると更に好ましい。また、分子劣化を防ぐ観点から、その温度は、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下、更に好ましくは260℃以下である。
[(b)工程(キャスト工程)]
(b)工程においては、(a)工程を経て得られた混練物をシート状に押し出して冷却固化する。冷却方法としては、冷風や冷却水等の冷却媒体に混練物を直接接触させる方法、冷媒で冷却したロールやプレス機に混練物を接触させる方法等が挙げられる。これらの中でも、冷媒で冷却したロールやプレス機に混練物を接触させる方法が、セパレーターの厚み制御に優れる点で好ましい。
冷却の際のキャスト温度については、セパレーターの圧縮弾性率を高くする観点から、ロールやプレス機の冷却温度は150℃以下であると好ましく、より好ましくは100℃以下であり、更に好ましくは90℃以下であり、特に好ましくは80℃以下である。また、セパレーターのイオン透過性を高くする観点から、冷却温度は5℃以上であると好ましく、より好ましくは10℃以上である。
ここで、キャスト工程により得られたシート状物の厚みとキャスト工程前の混練物の厚みとの比である圧縮比を制御することにより、セパレーターの圧縮弾性率を調整することができる。セパレーターに優れた耐損傷性を付与する観点から、その圧縮比を1.1以上にすることが好ましく、1.2以上にすることがより好ましく、1.3以上にすることが更に好ましい。また、セパレーターに負極の膨張収縮に対する柔軟性を付与する観点から、その圧縮比を5以下にすることが好ましく、4以下にすることがより好ましく、2以下にすることが更に好ましい。
なお、「キャスト工程前の混練物の厚み」とは、キャスト工程の際に圧縮される方向、すなわち得られるシート状物の厚み方向と同じ方向における厚みを指す。ダイスを経由して冷却ロールにてキャスト処理を混練物に施す場合、キャスト工程前の混練物の厚みはダイスのリップクリアランスを測定することにより求めることができる。
[(c)工程(延伸工程)]
(c)工程では、ポリオレフィン組成物から得られたシート状物を、少なくとも一軸方向に延伸する。延伸方法としては、ロール延伸機とテンターとの組み合わせによる逐次二軸延伸、同時二軸テンターやインフレーション成形による同時二軸延伸等が挙げられる。これらの中でも、高強度のセパレーターを得る観点から、同時二軸延伸が好ましく、同時二軸テンターによる同時二軸延伸がより好ましい。
延伸面倍率は、セパレーターの耐損傷性向上、機械的強度向上、圧縮弾性率向上の観点から、好ましくは6倍以上であり、より好ましくは10倍以上であり、更に好ましくは15倍以上であり、特に好ましくは20倍以上である。また、過度の延伸による熱収縮応力を低減する観点から、延伸面倍率は、好ましくは100倍以下であり、より好ましくは60倍以下であり、更に好ましくは50倍以下である。
延伸温度は、ポリオレフィン組成物に含まれる原料樹脂組成及び濃度を考慮して選択することが可能である。延伸温度は、過大な延伸応力による破断を防ぐ観点から、(主要組成樹脂の融点−30℃)〜主要組成樹脂の融点の範囲であることが好ましい。主要組成樹脂がポリエチレンの場合、延伸温度は110℃以上であると好ましく、セパレーターの強度を高める観点から、130℃以下であると好ましい。延伸温度は、より好ましくは115〜128℃、更に好ましくは118〜125℃である。ここで、「主要組成樹脂」とはポリオレフィン組成物に含まれる樹脂のうち、最も多く含まれる樹脂のことをいう。
[(d)工程(抽出工程)]
(d)工程では、ポリオレフィン組成物から得られた成形物から可塑剤、及び必要に応じて無機粉体を抽出する。可塑剤を抽出する際には抽出溶媒を用いることが好ましい。抽出溶媒としては、セパレーターを構成するポリオレフィンに対して貧溶媒であり、かつ可塑剤に対して良溶媒であり、沸点がセパレーターを構成するポリオレフィンの融点よりも低いものが好ましい。このような抽出溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素;塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ハイドロフロロエーテル、ハイドロフロロカーボン等の非塩素系ハロゲン化溶剤;エタノール、イソプロパノール等のアルコール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン等が挙げられる。これらの中から抽出溶媒を適宜選択し、1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。これらの中でも塩化メチレン、メチルエチルケトンが抽出溶媒として好ましい。
可塑剤を抽出するには、キャスト工程又は延伸工程を経て得られたシート状物を、その抽出溶媒に浸漬又はシャワーすることで抽出すればよく、その後、十分にシート状物を乾燥して抽出溶媒を除去してもよい。
また、ポリオレフィン組成物から得られた成形物が無機粉体を含有する場合、その無機粉体の一部又は全てを無機粉体が可溶な溶剤で抽出することも可能である。
[(e)工程(熱固定工程)]
(e)工程では、(c)延伸工程や(d)抽出工程を経て得られた延伸フィルムを熱固定する。熱固定(以下「HS」と略記することがある)は、テンターやロール延伸機等にて、所定の温度雰囲気において、熱処理と緩和操作とを組み合わせることにより実施することができる。
熱処理工程は、同一装置内で(c)延伸工程と連続で実施してもよい。熱固定工程における処理温度は熱収縮を低減する観点から、(主要組成樹脂の融点−10℃)以上であることが好ましく、イオン透過性向上の観点から、主要組成樹脂の融点未満であることが好ましい。例えば、ポリエチレンホモポリマーが主要組成樹脂であって、その融点が134℃である場合、熱固定工程における処理温度は124℃以上134℃未満とすることが好ましく、130℃以上134℃未満とすることがより好ましい。
低倍率延伸における延伸倍率は、延伸フィルムのMD及び/又はTDに対して、弾性率比を適正化する観点から、好ましくは1.05〜1.7倍、より好ましくは1.1〜1.6倍、更に好ましくは1.2〜1.5倍である。
緩和操作とは、延伸フィルムのMD及び/又はTDの寸法を、少し延伸工程前の寸法に近づける操作のことである。延伸フィルムの膜寸法に対する緩和倍率は、熱収縮を低減する観点から0.9倍以下が好ましく、より好ましくは0.85倍以下、更に好ましくは0.8倍以下である。
なお、(d)抽出工程後に延伸工程((c)工程、又は(e)工程)を経ることが好ましい。また、抽出工程後の微多孔膜の透気度とセパレーターの透気度の比(透気度比)を調整することが好ましい。優れた耐擦過性のセパレーターを得る観点から、抽出工程後の微多孔膜とセパレーターの透気度比としては、好ましくは0.6〜10、より好ましくは0.7〜7、更に好ましくは1.0〜6、特に好ましくは1.1〜5である。
また、必要に応じて、電子線照射、プラズマ照射、イオンビーム照射、界面活性剤塗布、化学的改質等の表面処理を、熱固定工程を経て得られたセパレーターに、本発明の効果を損なわない程度に施すことが可能である。さらに、ノルボルネン樹脂等の化学架橋剤を、ポリオレフィン組成物及び/又は混合物に事前に加えておいてもよい。
上記各種パラメータの測定方法については、特に断りのない限り、後述の実施例における測定方法に準じて測定される。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の物性は以下の方法により測定した。
(1)膜厚(μm)
セパレーターの膜厚を膜厚測定器(東洋精機製微少測厚器、タイプKBN、端子径Φ5mm、測定圧62.47kPa)を用いて、雰囲気温度23±2℃で測定した。
(2)気孔率(%)
100mm×100mm角の試料を切り取り、その体積(mm3)と質量(mg)とを求め、それらと膜密度(g/cm3)より、次式を用いて気孔率を算出した。
気孔率=(体積−質量/膜密度)/体積×100
なお、体積は試料の大きさ(100mm×100mm)と膜厚より算出し、膜密度は材料密度より算出した。
(3)透気度(sec/100cc)
JIS P−8117に準拠し、ガーレー式透気度計(東洋精機製、商品名「G−B2」)を用いて透気度を測定した。内筒重量は567gで、直径28.6mm、645mm2の面積を空気100mLが通過する時間を測定した。
ここで、透気度とはセパレーターの透気度であり、抽出後透気度とは可塑剤を抽出した後の微多孔膜の透気度である。
(4)透気度比
抽出工程後の微多孔膜と、セパレーターの膜厚を(1)の方法、透気度を(3)の方法で測定し、以下の式により透気度比を算出した。
透気度比=(抽出工程後の微多孔膜の透気度/抽出工程後の微多孔膜の膜厚)/(セパレーターの透気度/セパレーターの膜厚)
(5)サンドブラスト後の透気度
耐損傷性を示す加速試験として、サンドブラスト試験を実施した。
幅50mm、長さ150mmのセパレーター試料をステンレス(SUS)板にテープで止めた。セパレーターの幅方向及び長さ方向の中心位置から鉛直方向に700mm離間した位置に噴射ノズルを設置し、以下の条件で微小な砂をセパレーター表面に対して鉛直方向に噴射した。なお、噴射される砂が半径25mmの円状に(即ち、セパレーターの膜幅と噴射範囲が一致するように)セパレーター表面に衝突するようノズルを調整した。
砂 : 平均粒径120μm(商品名:Fuji Brown FBR#120)
砂濃度: 15vol%
圧力 : 0.1MPa
流量 : 0.2L/sec
温度 : 35℃
噴射時間 : 60秒
ノズル尖端からセパレーターまでの距離 : 700mm
サンドブラスト試験後にセパレーターに付着した砂を流水で洗い流した後、水分を拭き取り、常温で乾燥させ、サンプルの中央部分の透気度を(3)の方法で測定した。
上記方法を同じサンプルについて3回実施し、その平均値をセパレーターのサンドブラスト後の透気度とした。
(6)突刺強度:膜厚換算(N/μm)
カトーテック製のハンディー圧縮試験器であるKES−G5(商標)を用いて、開口部の直径が11.3mmである試料ホルダーによりセパレーターを固定した。次に固定されセパレーターの中央部に対して、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secで、25℃の雰囲気下にて突刺試験を行った。
得られた値を1μmあたりに膜厚換算することで、突刺強度を算出した。
(7)極限粘度[η](dL/g)
原料のポリオレフィン及びセパレーターの極限粘度[η]を、ASTMD4020に基づき、デカリン溶媒における135℃の条件で求めた。
(8)圧縮弾性率(kPa)
セイコーインスツルメンツ製、圧縮弾性率試験機、TMA/SS120(商標)を用いて、セパレーターの膜厚方向の圧縮弾性率を測定した。
測定は、温度25℃、圧縮速度1N/min、プローブ面積5.23mm2(プローブ尖端径2.58mmφ)の条件で行った。なお、圧縮弾性率は歪が0〜10%間の応力−歪直線の傾きから求めた。
(9)平均孔径(μm)
キャピラリー内部の流体は、流体の平均自由工程がキャピラリーの孔径よりも大きいときはクヌーセンの流れに、小さいときはポアズイユの流れに従うことが知られている。そこで、セパレーターの透気度測定における空気の流れがクヌーセンの流れに、また、セパレーターの透水度測定における水の流れがポアズイユの流れに従うと仮定した。
平均孔径d(μm)及び屈曲率τ(無次元)は、空気の透過速度定数Rgas(m3/(m2・sec・Pa))、水の透過速度定数Rliq(m3/(m2・sec・Pa))、空気の分子速度ν(m/sec)、水の粘度η(Pa・sec)、標準圧力Ps(=101325Pa)、気孔率ε(%)、膜厚L(μm)から、下記式を用いて求めた。
d=2ν×(Rliq/Rgas)×(16η/3Ps)×106
τ=(d×(ε/100)×ν/(3L×Ps×Rgas))1/2
ここで、Rgasは透気度(sec)から下記式を用いて求められる。
gas=0.0001/(透気度×(6.424×10-4)×(0.01276×101325))
また、Rliqは透水度(cm3/(cm2・sec・Pa))から下記式を用いて求めた。
liq=透水度/100
なお、透水度は次のように求めた。まず、直径41mmのステンレス製の透液セルに、予めアルコールに浸漬しておいたセパレーターをセットする。次に、該膜のアルコールを水で洗浄する。その後、約50000Paの差圧で該セパレータに水を透過させ、120秒間経過した際の透水量(cm3)を測定する。その結果から、単位時間(sec)・単位圧力(Pa)・単位面積(cm2)当たりの透水量を計算し、これを透水度とした。
また、空気の分子速度νは、気体定数R(=8.314)、絶対温度T(K)、円周率π、空気の平均分子量M(=2.896×10-2kg/mol)から下記式を用いて求めた。
ν=((8R×T)/(π×M))1/2
(10)動摩擦係数
カトーテック株式会社製、KESSE摩擦試験機を用い、荷重50g、接触子面積10×10=100mm2(0.5mmφのピアノ線20本巻きつけ)、接触子送りスピード1mm/sec、張力6kPa、温度25℃の条件にて幅50mm×測定方向200mmのサンプルサイズについてMD、TD方向に各3回ずつ測定し、その平均を求めた。なお、表1及び2中の動摩擦係数の値は電池作成時に負極に接する面の値を表記した。
(11)電池性能評価
下記方法にて円筒型電池を作製し、絶縁性能(短絡率)、充放電性能(サイクル評価)を評価した。評価は10セルで実施した。
<正極の作製>
活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoO2を92.2質量%、導電助剤としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.3質量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を3.2質量%からなる混合物をN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗付し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、正極の活物質塗付量は250g/m2、活物質嵩密度は3.00g/cm3になるようにする。これを幅54mmに切断して帯状にした。
<負極の作製>
活物質としてメカニカルアロイング法で調整されたCo−Sn−C粉末(元素組成比10−50−40%)を85質量%、導電助剤としてカーボンブラックを5質量%、バインダーとしてPVdFを10質量%からなる混合物をNMP中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗付し、125℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、負極の活物質塗付量は53g/m2、活物質嵩密度は1.35g/cm3になるようにした。これを幅56mmに切断して帯状にした。
<非水電解液の調整>
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1.0mol/リットルとなるように溶解させて調整した。
<電池組立>
下記の実施例及び比較例で得られたセパレーター、帯状正極及び帯状負極を、帯状負極、セパレーター、帯状正極、セパレーターの順に重ねて渦巻状に複数回捲回することで電極板積層体を作製した。この電極板積層体を外径が18mmで高さが65mmのアルミニウム製容器に収納し、正極集電体から導出したニッケル製タブを容器壁に、負極集電体から導出したニッケル製タブを容器蓋端子部に溶接した。その後、真空下85℃で12時間の乾燥を行い、次に、アルゴンボックス内にて容器内に前記した非水電解液を注入し、封口した。
<絶縁性評価(短絡率(%))>
非水電解液を注入する前の電極捲回体に、500Vの電圧をかけて短絡するか否かを評価した。
短絡を生じた電池捲回体の個数比率を短絡率として評価した。
<充放電試験(サイクル評価)>
組立てた電池の初充放電として、先ず1/6Cの電流値で電圧4.2Vまで定電流充電した後に4.2Vの定電圧を保持するように電流値を絞り始めて合計8時間の初充電を行い、次に1/6Cの電流で2.5Vの終止電圧まで放電を行った。続いてサイクル充放電として、(i)電流量0.5C、上限電圧4.2V、合計8時間の定電流定電圧充電、(
ii)10分間の休止、(iii)電流量0.5C、終止電圧2.5Vの定電流放電、(iv)10分間の休止なるサイクル条件で50回、並びに100回の充放電を行った。以上の充放電処理は全て20℃及び45℃の雰囲気下にてそれぞれ実施した。その後、上記初充電での放電容量に対するテスト後の放電容量の比を100倍することで、容量維持率(%)を求めた。
[製造例1]
極限粘度[η]が5.5dL/gの超高分子量ポリエチレンホモポリマー47質量%と、極限粘度[η]が2.8dL/gの高密度ポリエチレンホモポリマー46質量%と、極限粘度[η]が3.3dL/gのポリプロピレンホモポリマー7質量%と、をタンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー混合物Aを得た。
[製造例2]
極限粘度[η]が7.0dL/gの超高分子量ポリエチレンホモポリマー60質量%と、極限粘度[η]が2.8dL/gの高密度ポリエチレンホモポリマー40質量%と、をタンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー混合物Bを得た。
[製造例3]
極限粘度[η]が11.5dL/gの超高分子量ポリエチレンホモポリマー60質量%と、極限粘度[η]が2.8dL/gの高密度ポリエチレンホモポリマー40質量%と、をタンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、ポリマー混合物Cを得た。
[実施例1]
ポリマー混合物Aを二軸押出機へフィーダーにより供給しながら、流動パラフィンを押出機シリンダーにポンプにより注入した。二軸押出機における溶融混練では、押し出されるポリマー混合物Aと流動パラフィンとの混合物中に占める流動パラフィン量が65質量%となるように、フィーダー及びポンプの運転条件を調整した。二軸押出機から押し出された混練物を、リップクリアランスが2000μmのT−ダイを経て、表面温度(キャスト温度)25℃のロールにてシート状に成形し、原反厚み1600μmのゲル状シートを得た。
次に、同時二軸テンター延伸機にゲル状シートを導き、テンター温度(延伸温度)120℃でMD延伸倍率7.0倍、TD延伸倍率6.3倍の同時二軸延伸を行った後、流動パラフィンを抽出除去し、微多孔膜を得た。抽出後の微多孔膜の膜厚は40μm、透気度は500秒/100ccであった。
次に、流動パラフィンを抽出除去した後のシートをTDテンター延伸機に導き、延伸温度125℃、延伸倍率1.6倍でTDに延伸し、最後に熱固定温度130℃で熱処理を行った。得られたセパレーターの物性を表1に示す。
[実施例2〜8、比較例1]
各条件を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、セパレーターを得た。得られたセパレーターの物性を表1に示す。
[実施例9]
ポリマー混合物B35質量%と、フタル酸ジオクチル(DOP)45質量%と、微粉シリカ20質量%と、をヘンシェルミキサーにて混合造粒した後、二軸押出機へフィーダーにより供給した。二軸押出機にて溶融混練した後に押し出された混練物を、リップクリアランスが400μmのT−ダイを経て、表面温度140℃のロールにてシート状に成形し、原反厚み100μmのゲル状シートを得た。該シートからDOP、微粉シリカを抽出除去して微多孔膜を得た。抽出後の微多孔膜の膜厚は90μm、透気度は1500秒/100ccであった。
得られた微多孔膜を2枚重ねて120℃で、ロール延伸機にてMDに5.5倍延伸した。さらに延伸後のフィルムをTDテンター延伸機に導き、延伸温度125℃にてHS倍率2.2倍で延伸し、最後に熱固定温度130℃で熱処理を行った。得られたセパレーターの物性を表2に示す。
[実施例10〜16、比較例2]
各条件を表2に示すように変更した以外は実施例9と同様にして、セパレーターを得た。得られたセパレーターの物性を表2に示す。
[実施例17]
ポリマー混合物C22質量%と、流動パラフィン63質量%と、微粉シリカ15質量%と、をヘンシェルミキサーにて混合造粒した後、二軸押出機へフィーダーにより供給した。
二軸押出機から押し出された混練物を、リップクリアランスが2000μmのT−ダイを経て、表面温度(キャスト温度)40℃のロールにてシート状に成形し、原反厚み1800μmのゲル状シートを得た。
次に、同時二軸テンター延伸機にゲル状シートを導き、テンター温度(延伸温度)127℃でMD延伸倍率7.0倍、TD延伸倍率6.3倍の同時二軸延伸を行った後、流動パラフィンを抽出除去し、微多孔膜を得た。抽出後の微多孔膜の膜厚は40μm、透気度は500秒/100ccであった。
次に、流動パラフィンを抽出除去した後のシートをTDテンター延伸機に導き、延伸温度125℃、延伸倍率1.6倍でTDに延伸し、最後に熱固定温度130℃で熱処理を行った。得られたセパレーターの物性を表2に示す。
Figure 2010231936
Figure 2010231936
表1及び2に示す結果から明らかなように、サンドブラスト後の透気度を特定の範囲に調整することで、膨張の大きい合金負極電極を用いた場合でも、長期間のサイクル特性と安全性のバランスに優れたリチウムイオン二次電池を得ることができた。
本発明のセパレーターは、合金系負極電極を用いたリチウムイオン二次電池用セパレーターとしての産業上利用可能性を有する。

Claims (4)

  1. サンドブラスト処理後の透気度が70〜1500秒/100ccである合金系負極電極リチウムイオン二次電池用セパレーター。
  2. 圧縮弾性率が0.5〜15kPaである、請求項1に記載の合金系負極電極リチウムイオン二次電池用セパレーター。
  3. 平均孔径が0.05〜0.20μmである、請求項1又は2に記載の合金系負極電極リチウムイオン二次電池用セパレーター。
  4. 請求項1〜3に記載の合金系負極電極リチウムイオン二次電池用セパレーターを備える合金系負極電極リチウムイオン二次電池。
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