JP2010230253A - Pcb汚染物の無害化処理設備及び方法 - Google Patents

Pcb汚染物の無害化処理設備及び方法 Download PDF

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Tsunehei Yamamoto
常平 山本
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Abstract

【課題】PCB汚染物を無害化処理する際の、排ガスの問題や処理炉の必要性、処理時間の問題を解決する。
【解決手段】ポリ塩化ビフェニル(PCB)で汚染されたPCB汚染物6を処理する設備である。前記PCB汚染物6を収容する金属製の円筒容器2と、この円筒容器2を密閉する蓋3と、前記円筒容器2を誘導加熱するIHコイル4及び高周波電源5とで構成された加熱装置を常温の処理室1内に設置し、前記円筒容器2内で発生したガスを加熱設備まで導く排ガス経路7,8を備えた構成である。
【効果】金属製の円筒容器を、専用の処理炉ではなく常温の処理室に設置し、円筒容器のみを誘導加熱するため、バーナ処理する場合のような排ガスの問題もなく、短時間・高効率での処理が可能になる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリ塩化ビフェニル(以下、PCBという。)を含む絶縁油(以下、PCB油という。)を含浸するPCB汚染物を無害化処理する設備、及び無害化処理する方法に関するものである。
PCB汚染物を無害化するための加熱処理方法として、焼却法、真空加熱法や、誘導加熱による直接加熱法(例えば特許文献1)などがある。
このうち、焼却法は、1100℃以上で直接燃焼させる方法、真空加熱法は、真空中で200〜500℃に加熱することでPCBを揮散させる方法、誘導加熱による直接加熱法は、処理対象物の金属部を500℃以上に発熱させる方法である。
処理対象物であるPCB汚染物が、超高圧変電所から1次変電所、2次変電所への電力供給に用いられるOFケーブルや、柱上変圧器やコンデンサなどの電気機器(以下、トランスという。)である場合、可燃分が少ない。
従って、焼却処理するためには、自然燃焼ではなく、ガスバーナ等で加熱する必要があり、専用の処理炉が必要である。また、ガスバーナの排ガスは汚染されているので、排ガスの処理を行わなければならず、後流設備が増大する。
さらに、処理対象物は、大型の金属塊であることから、連続処理よりもバッチ処理に向いていると考えられ、炉内の加熱と冷却のための時間が必要となり、処理時間が長くなるのとともに、加熱効率も低くなる。
特開2000−308874号公報
本発明が解決しようとする問題点は、OFケーブルやトランスを焼却処理するためにはガスバーナ等で加熱する必要があるので、専用の処理炉が必要で、排ガス処理のための後流設備が増大するという点である。また、処理対象物は、大型の金属塊であることからバッチ処理となるので、処理時間が長くなるのとともに、加熱効率も低くなるという点である。
本発明のPCB汚染物の無害化処理設備は、
PCB汚染物を無害化処理する際の、排ガスの問題や処理炉の必要性、処理時間の問題を解決するために、
PCBで汚染された処理対象物(PCB汚染物)を処理する設備であって、
前記PCB汚染物を収容する金属製の円筒容器と、
この円筒容器を密閉する蓋と、
前記円筒容器を誘導加熱するコイル及び高周波電源とで構成された加熱装置を常温の処理室内に設置し、
前記円筒容器内で発生したガスを加熱設備まで導く排ガス経路を備えたことを最も主要な特徴としている。
本発明のPCB汚染物の無害化処理設備は、金属製の円筒容器を、専用の処理炉ではなく常温の処理室に設置し、円筒容器のみを誘導加熱するため、排ガスの問題や処理炉の必要性、処理時間の問題を解決できる。
本発明のPCB汚染物の無害化処理設備を使用してPCB汚染物を無害化処理するには、
PCB汚染物を金属製の円筒容器に収容して加熱した際に排出されるガスが、当該円筒容器が設置されている処理室内に拡散して処理室を汚染することがないように、
前記ガスを送風機により焼却炉或いは焼却炉の2次燃焼室に送り込み、焼却炉或いは焼却炉の2次燃焼室で1100℃以上に加熱すれば良い。これが本発明のPCB汚染物の無害化処理方法である。
本発明によれば、金属製の円筒容器を、専用の処理炉ではなく常温の処理室に設置し、円筒容器のみを誘導加熱するため、バーナ処理する場合のような排ガスの問題もなく、短時間・高効率での無害化処理が可能になる。
本発明の無害化処理設備の構造を説明する縦断面図である。 本発明の無害化処理設備を構成する金属製の円筒容器の第1の例を説明する図で、(a)は平面から見た図、(b)は側面から見た断面図である。 本発明の無害化処理設備を構成する金属製の円筒容器の第2の例を説明する側面から見た断面図である。 本発明の無害化処理設備を構成する金属製の円筒容器の第3の例を説明する図で、(a)は平面から見た図、(b)は側面から見た断面図である。 本発明の無害化処理設備を構成する金属製の円筒容器の昇温速度を示した図である。 加熱試験におけるコイルと円筒容器及びOFケーブルの設置状態を説明する図で、(a)は平面から見た図、(b)は側面から見た図である。 加熱試験における円筒容器及び中心温度の昇温特性を示した図である。
本発明では、PCB汚染物を無害化処理する際の、排ガスの問題や処理炉の必要性、処理時間の問題を解決するという目的を、金属製の円筒容器を、専用の処理炉ではなく常温の処理室に設置し、円筒容器のみを誘導加熱することで実現した。
以下、本発明を実施するための最良の形態と共に各種の形態を、添付図面を用いて詳細に説明する。
図1に示した本発明の無害化処理設備は、例えば以下のような構成である。
1は常温の処理室で、蓋3で密閉された鉄製の円筒容器2を、高周波電源5に繋がれたIHコイル4で誘導加熱すべく構成された加熱装置を2個設置している。そして、これら円筒容器2内で発生したガスを加熱設備まで排ガス経路で導くようになっている。図1では、IHコイル4として、円筒容器2の胴体周囲を囲う形状のソレノイド状コイルを示している。
前記円筒容器2は、例えば図2に示すように、内表面にリング状の伝熱フィン2aを縦断面方向に適数(図2では10個)取り付けて内表面積を増大させ、伝熱面積(主に輻射面積)を増やしてPCB汚染物の昇温速度が速くなるようにしている。
例えばドラム缶サイズ(JIS1種規格 内径560mm×高さ830mm)の円筒容器2に、リングの半径方向長さが10mmの伝熱フィン2aを、縦断面方向に10個取り付けた場合、円筒容器2の側面の表面積Sは1.51m2(=π×560mm×830mm)となる。
一方、1個の伝熱フィン2aの表裏の表面積Aは0.16m2(={(1/4)π・560mm2−(1/4)π・540mm2}×2)となる。
伝熱フィン2aを10個設けた場合の、伝熱フィン2a全体の表面積は1.6m2となるので、本条件の場合は表面積を約2倍にすることができ、輻射熱量が約2倍になる。なお、伝熱フィン2aの形状は、図2に示したようなリング状に限らず、表面積を増大できるものであれば、図3に示すような内壁面にひだを設けたコルゲート形状のものでも良い。
また、PCB汚染物6がOFケーブルの場合には、図2に示した伝熱フィン2aに、OFケーブルを通す中空部分9aの一部より取り付け部9bを突出させた保持部材9を、前記中空部分9aが円筒容器2の横断面半径方向中心側に位置するように取り付ければよい(図4参照)。このような保持部材9でOFケーブルを保持させれば、さらなる伝熱性能の促進が図れる。
内部に伝熱フィンを取付けない通常の円筒容器と、図2に示した円筒容器と、図4に示した円筒容器の昇温速度を図5に示すが、図5より明らかなように、内面の表面積が大きいほど、昇熱速度が速いことが分かる。
前記本発明の無害化処理設備を用いて、PCB汚染物6を無害化処理するには次のようにする。
前記高周波電源5よりIHコイル4に数kHzないし数十kHzの交流電源を供給して、前記円筒容器2を例えば500℃ないし1000℃に加熱し、円筒容器2の内部に収容したPCB汚染物6に含まれたPCBを揮散させる。前記円筒容器2のさらに望ましい加熱温度は、発明者らの調査によれば、800℃ないし1000℃であった。
揮散したPCB及び油分は、送風機により、排ガス経路、すなわち排気ダクト7、排ガス誘導配管8を経て例えば焼却炉或いは焼却炉の2次燃焼装置へ導かれ、当該焼却炉或いは焼却炉の2次燃焼装置で1100℃以上に加熱されて無害化される。
なお、円筒容器2から焼却炉或いは焼却炉の2次燃焼装置まで排ガスを導く際に、排ガスの成分が前記排気ダクト7、排ガス誘導配管8内で凝固しないようにするため、前記排気ダクト7、排ガス誘導配管8は保温されている。
ちなみに、図6に示すように、内径が105.3mm、厚みが4.5mm、高さが320mmの鉄製の円筒容器2に、最外殻の防食被覆を剥離したアルミシースOFケーブル6(外径100mm、長さ300mm)を1本入れて、加熱試験を実施した。
加熱試験は、IHコイル4に最大4.5kWの出力を発生させ、円筒容器2を600℃に保持して行った。加熱時におけるOFケーブル中心温度の昇温特性を図7に示す。鉄製の円筒容器は、加熱開始後約10分で600℃まで昇熱された。一方、OFケーブルの中心は、加熱開始後約120分でPCBの沸点(常圧)450℃に達した。
本発明により無害化処理した後のOFケーブルを解体したところ、内部の絶縁紙及び導体部分の何れにも油分の残留は確認されなかった。
以上のように、本発明では、IHコイル4により常温の処理室1内で加熱するので、バーナ処理する場合よりも短時間・高効率での処理が可能になる。また、円筒容器2内に、図4に示したようなPCB汚染物6に合わせた伝熱改善構造を施せば、さらなる処理時間の短縮が可能になる。
本発明は、各請求項に記載の技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
例えば誘導加熱コイルは、ソレノイド状のコイルに限らず、円筒容器の底面部に設置する平面状のコイルを使用しても良い。また、両コイルを使用しても良い。また、円筒容器2は、熱伝達率の良好なものであれば鉄製でなくても他の金属製でも良い。
1 処理室
2 円筒容器
2a 伝熱フィン
3 蓋
4 IHコイル
5 高周波電源
6 PCB汚染物
9 保持部材
9a 中空部分
9b 取り付け部

Claims (6)

  1. ポリ塩化ビフェニル(PCB)で汚染された処理対象物を処理する設備であって、
    前記処理対象物を収容する金属製の円筒容器と、
    この円筒容器を密閉する蓋と、
    前記円筒容器を誘導加熱するコイル及び高周波電源とで構成された加熱装置を常温の処理室内に設置し、
    前記円筒容器内で発生したガスを加熱設備まで導く排ガス経路を備えたことを特徴とするPCB汚染物の無害化処理設備。
  2. 前記コイルは、
    前記円筒容器の胴体周囲を囲う形状のソレノイド状コイルか、前記円筒容器の底面部に設置する平面状コイルの何れか一方、或いは両方であることを特徴とする請求項1に記載のPCB汚染物の無害化処理設備。
  3. 前記円筒容器の内表面には、リング状の伝熱フィンが円筒容器の縦断面方向に適数個設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のPCB汚染物の無害化処理設備。
  4. 前記処理対象物がOFケーブルである場合、
    前記OFケーブルを通す中空部分が、円筒容器の横断面半径方向中心側に位置するよう、前記中空部分の一部より突出させた取り付け部を、前記伝熱フィンに取り付けたことを特徴とする請求項3に記載のPCB汚染物の無害化処理設備。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載のPCB汚染物の無害化処理設備を用いた無害化処理方法であって、
    ポリ塩化ビフェニル(PCB)で汚染された処理対象物を金属製の円筒容器に収容して加熱した際に排出されるガスが、当該円筒容器が設置されている処理室内に拡散して処理室を汚染することがないように、
    前記ガスを送風機により焼却炉或いは焼却炉の2次燃焼室に送り込み、焼却炉或いは焼却炉の2次燃焼室で1100℃以上に加熱することを特徴とするPCB汚染物の無害化処理方法。
  6. 前記円筒容器を800℃以上、1000℃以下に誘導加熱することを特徴とする請求項5に記載のPCB汚染物の無害化処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011090900A (ja) * 2009-10-22 2011-05-06 Hitachi Zosen Corp Pcb汚染ofケーブル中金属シース回収設備及び方法

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