JP2007042324A - 誘導加熱方法、及び誘導加熱装置 - Google Patents

誘導加熱方法、及び誘導加熱装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
間接誘導加熱を行う場合において、被加熱物の高速温度制御を実現し、被加熱物が磁性体である場合でも任意の温度分布制御を実現することができる誘導加熱装置を提供する。
【解決手段】
上記課題を解決するための誘導加熱装置は、被加熱物20の配置位置と誘導加熱コイル12の配置位置との間にグラファイトチューブ14を配置した誘導加熱装置10であって、前記被加熱物20の配置位置と前記グラファイトチューブ14の配置位置との間に、双方との間にそれぞれ隙間を設けるようにシールドリング16を配置したことを特徴とする。また、このような構成の誘導加熱装置10では、前記シールドリング16は、前記誘導加熱コイル12の配置方向に沿って複数、隣接するシールドリング16との間に隙間を設けて配置することが望ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、導電性物質を誘導加熱して、その輻射熱(熱エネルギー)により被加熱物を加熱する間接加熱方法、及び装置に関する。
誘導加熱による加熱処理の方法を大別すると、被加熱物を直接誘導加熱する直接誘導加熱方法と、導電性物質を誘導加熱して、その輻射熱により被加熱物を加熱する間接誘導加熱方法とに分けることができる。
直接誘導加熱方法は、被加熱物が導電性物質であり、かつ被加熱物が加熱に十分な厚みを有する場合に有効であり、金属部材の圧延加工や高周波焼き入れを行う際の加熱に用いられることが一般的(例えば特許文献1参照)であるが、近年では電磁調理器等に用いられることも多い。一方、間接誘導加熱方法は、被加熱物が非導電性物質、半導体、極薄物等である場合等に用いられることが多い(例えば特許文献2参照)。
特開2005−122986号公報 特開2005−72468号公報
上記いずれの誘導加熱方法においても、その方法を実施する際には誘導加熱装置から外部に磁束が漏洩するため、これを遮蔽することが1つの課題とされており、その解決策として、磁束を発生させる誘導加熱コイルの周囲に磁気遮蔽部材を配置することが提案されており、これにより装置外部への漏洩磁束を抑制することができる旨が開示されている(特許文献1参照)。
ところで、被加熱物を間接加熱する間接誘導加熱では、誘導加熱の対象となる導電性物質(熱源)から漏洩した磁束が被加熱物に到達することがある。ここで、被加熱物が非導電性物質などであれば問題は無いが、被加熱物が磁性体であった場合には、磁束の浸透深さの影響により、被加熱物の表面のみに渦電流が発生し、表面のみが加熱されることとなり、被加熱物の温度分布制御に悪影響を与えることが懸念されている。このため間接誘導加熱の分野では、この熱源(輻射熱源)からの漏洩磁束を抑制することが目下の課題とされている。
間接誘導加熱方法では上述したように輻射熱源を誘導加熱して、その熱エネルギーで被加熱物を加熱する。このため、特許文献1のように誘導加熱コイルと誘導加熱の対象となる輻射熱源との間に磁気遮蔽部材を配置して輻射熱源へ到達する磁束を調整した場合には、被加熱物を短時間で十分に加熱することができなくなる可能性がある。また、漏洩磁束を抑制するために、輻射熱源自体の厚みを厚くするという発想は想定されるが、この場合には熱時定数が大きくなり、急速加熱、急速冷却、高速温度制御が不可能となる。
本発明は、間接誘導加熱を行う場合において、被加熱物に到達する漏洩磁束を効果的に抑制し、急速加熱、急速冷却、高速温度制御を行うことを可能とし、かつ被加熱物が磁性体である場合でも温度分布の均一化、あるいは任意の温度分布制御を行うことを可能とする誘導加熱方法、及び誘導加熱装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためには、熱源からの漏洩磁束を抑制するという発想を転換し、被加熱物に到達する磁束を抑制するという発想を持てば良いと考えられる。すなわち、本発明に係る誘導加熱方法は、熱源を誘導加熱し、前記熱源からの熱エネルギーにより被加熱物を加熱する誘導加熱方法であって、誘導加熱源から発せられた磁束を、前記熱源と前記熱源よりも被加熱物側に設ける磁気遮蔽部材とによって遮蔽することを特徴とする。
このように、誘導加熱源から発せられた磁束を熱源と磁気遮蔽部材といった複数の部材によって遮蔽することにより、2重シールド効果を奏することとなる。このため、それぞれの部材の厚みを薄くした場合であっても、1つの部材を厚くしただけでは得ることができない高い磁気遮蔽効果を得ることができるようになる。熱源から漏洩する磁束を抑制するのではなく、熱源から漏洩した磁束をその後に遮蔽するという方法を採ることにより、熱源に投入される磁束が抑制されることは無く、熱源は効率的に加熱されることとなる。また、熱源からの漏洩磁束を減らすという行為を必要としないため、熱源自体の厚みを厚くする必要が無い。
また上記のような誘導加熱方法では、前記磁気遮蔽部材による前記熱エネルギーの減衰を抑制すると良い。このような方法によれば、被加熱物を効果的に加熱することが可能となり、高速温度制御に効果的である。
さらに、上記のような誘導加熱方法では、前記磁気遮蔽部材には、導電性の耐熱部材を選択することが望ましい。磁気遮蔽部材を導電性部材とすることにより、磁気遮蔽部材内に漏洩磁束と逆方向の磁束を発生させる渦電流を誘起することができ、漏洩磁束の遮蔽を効果的に行うことが可能となる。また、耐熱部材とすることで、熱源からの高い放射エネルギーを受けた場合であっても損傷することが無い。
また、上記目的を達成するための誘導加熱装置は、被加熱物配置位置と加熱コイルとの間に熱源を配置した誘導加熱装置であって、前記被加熱物配置位置と前記熱源との間に、双方との間にそれぞれ隙間を設けるように磁気遮蔽部材を配置したことを特徴とする。
上記構成を持つ誘導加熱装置では、熱源からの熱エネルギーを遮蔽する部材は、熱源と被加熱物との間に配置しないという間接誘導加熱を行う上での常識を覆すこととなる。そしてこのような構成によれば、上記誘導加熱方法を実施することが可能となり、熱源と磁気遮蔽部材との複数部材で磁気遮蔽を行うこととなり、2重シールド効果を得ることができる。また、上述したように、薄肉の熱源、及び薄肉の磁気遮蔽部材により高い磁気遮蔽効果を得ることができるため、熱源自体の熱時定数を小さくすることができ、磁気遮蔽部材による熱エネルギーの遮蔽効果は小さく抑えることができるのである。
また、上記構成の誘導加熱装置では、前記磁気遮蔽部材は、前記加熱コイルの配置方向に沿って複数、隣接する磁気遮蔽部材との間に隙間を設けて配置することが望ましい。このような構成の装置で熱源を誘導加熱すれば、熱源から発せられた熱エネルギーは磁気遮蔽部材間の隙間を抜けて被加熱物へ到達することとなる。このため、被加熱物の加熱効率を一層高めることができる。
さらに上記構成の誘導加熱装置において前記磁気遮蔽部材は、導電性の耐熱部材とすることが望ましい。このような構成では上述したように、磁気遮蔽部材を導電性部材とすることにより、磁気遮蔽部材内に漏洩磁束と逆方向の磁束を発生させる渦電流を誘起することができ、漏洩磁束の遮蔽を効果的に行うことが可能となる。また、耐熱部材とすることで、熱源からの高い熱エネルギーを受けた場合であっても損傷することが無い。
上記のような誘導加熱方法、及び誘導加熱装置によれば、熱源からの漏洩磁束を遮蔽することができ、被加熱物が磁性体である場合でも、任意の温度分布制御を実現することが可能となる。さらに、熱容量を大幅に低減することができるため、昇降温時間の短縮、並びに高速応答制御が可能となる。
以下、本発明の誘導加熱方法、及び誘導加熱装置に係る実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明に係る好適な実施形態の一部であり、本発明は以下の形態に高速されるものでは無い。また、以下の実施形態では、磁束(磁束密度)は磁界の強さ、あるいは分布を示す尺度として説明をすることとする。
図1は、本発明の誘導加熱装置に係る第1の実施形態を示す図であり、図1(A)は正面断面図を示し、図1(B)は図1(A)におけるA−A断面を示す平面断面図である。本実施形態に係る誘導加熱装置10は、被加熱部20を囲むように配された熱源(グラファイトチューブ)14と、前記グラファイトチューブ14を取り囲むように配された加熱コイル(誘導加熱コイル)12と、前記グラファイトチューブ14の内側であって、前記被加熱物20と前記グラファイトチューブ14との間に配される磁気遮蔽部材(シールドリング)16とを基本構成としている。なお、本実施形態に係る誘導加熱装置10では、装置外部に磁束(磁界)が漏れないように、誘導加熱コイル12の上下に、磁気遮蔽部材18を設ける構成としている。
前記グラファイトチューブ14は、被加熱物20を覆う範囲の筒型形状(本実施形態では円筒形状)を成している。グラファイトチューブ14は、誘導加熱によって急速加熱を行うために、熱容量を小さくし、加熱効率の良い寸法を選定することが望ましい。具体的には、熱容量を小さくするために薄肉のグラファイトチューブを採用することで質量を減らすと良い。ここでいう薄肉のグラファイトチューブとは、グラファイトチューブの強度を考慮し、肉厚が1mm以上〜数mm程度のもののことをいう。
以下、より具体的な例を示し、上述した要件を満たすグラファイトチューブを採用することにより極めて高い加熱効率を得ることができることを説明する。
図2は、導電率が約1000μΩ・cm、グラファイトチューブ14内に投入する高周波磁界(交流磁界)の周波数を20kHz、筒型形状の直径を約50cmとした場合に誘起される電力とグラファイトチューブ14の厚さとの関係を示すグラフである。この場合、グラフから読み取れるように、グラファイトチューブ14の厚さを0.5mm〜3mm程度の範囲とした場合における発生電力が、他の厚さとした場合における発生電力に比べて高くなる傾向がある。これにより、上記のような条件においては、グラファイトチューブ14の厚さを0.5mm〜3mm程度の範囲とすることで高い加熱効率が得られると判断することができる。
なお、図3に示すように、シールドリング16を備えていない誘導加熱装置10において、グラファイトチューブ14の肉厚を厚くして漏洩磁束を抑制しようとした場合、グラファイトチューブ14の肉厚は20mm程度必要となる。こうした場合、上述した熱容量の増大のみならず、グラファイトチューブ14に浸透する磁束の分布変化に伴う発生電力の違いによっても加熱効率の悪化を招くこととなる。例えば、上記と同一の条件でグラファイトチューブ14に磁束を投入した場合、表面から10mmのところでは電流密度が表面の電流密度の38%程度となる。そして、20mmのところにおける電流密度は表面の電流密度の15%程度となる。このため、電流密度の低い側の加熱は、電流密度の高い側で発生した熱を利用することとなり、被加熱物を加熱する前に熱エネルギーを浪費することとなるのである。
次に、図2に示すグラフの傾向についての理論的な説明をする。
グラファイトチューブ14に流れる電流の電圧をV、グラファイトチューブ14のインダクタンスをL、及びグラファイトチューブの抵抗をRとした場合、グラファイトチューブ14内に流れる電流Iは、
Figure 2007042324
と表すことができる。ここで、以下の説明を簡単にするために、抵抗成分である分母の値、2πfLとRとについて2極化、すなわち2πfL>>Rとした場合と2πfL<<Rとした場合とについて、グラファイトチューブ14内に発生する電力Wを検討し、グラファイトの肉厚と発生電力の変化について総合的な考察を述べることとする。
まず、2πfL>>Rとした場合には、グラファイトチューブ14内を流れる電流Iを、
Figure 2007042324
と表すことができ、発生電力Wは、
Figure 2007042324
と表すことができる。数式3において、グラファイトチューブ14が厚肉である場合には抵抗Rの値が小さくなるため、発生電力Wの値も小さくなる。一方、グラファイトチューブを薄肉とした場合には、抵抗Rの値が大きくなるため、発生電力Wの値も大きくなる。
次に、2πfL<<Rとした場合には、グラファイトチューブ内を流れる電流Iを、
Figure 2007042324
と表すことができ、発生電力Wは、
Figure 2007042324
と表すことができる。数式5において、グラファイトチューブ14が厚肉である場合には、抵抗Rの値が小さくなるため、発生電力Wの値は大きくなる。一方、グラファイトチューブ14が薄肉である場合には、抵抗Rの値が大きくなるため、発生電力Wの値も大きくなる。
上記結果を単純に比較すると、数式2、数式3で検討した結果と、数式4、数式5で検討した結果とでは、抵抗Rの変化と発生電力Wの変化との関係が逆になっているということができる。しかし、数式2、数式3と、数式4、数式5との違いは、理論式上で抵抗成分のパラメータを変化させた(インダクタンスに片寄らせたか、抵抗に片寄らせたかの違い)にすぎない事、及びインダクタンスLの値は抵抗Rの値に比べてグラファイトの肉厚への依存性が低い(肉厚の変化による変動が少ない)こと等を考慮することにより抵抗Rの変化と発生電力Wの変化の特性は1つの傾向として見ることができる。
すなわち、2πfL>>Rという条件は、周波数が一定であれば、グラファイトの肉厚が極めて厚い状態を意味しており、この条件下においてはグラファイトの肉厚を薄肉化することが望ましいという結果が得られたことになる。また、2πfL<<Rという条件は、周波数が一定であれば、グラファイトの肉厚が極めて薄い状態を意味しており、この条件下においてはグラファイトの肉厚を厚肉化することが望ましいという結果が得られたことになる。そして実際には、2πfLの値は殆ど変化しないのであるから、数式内に2πfLが残っている2πfL>>Rの条件下での検討結果の影響力が強いということが言える。
したがって、これらを勘案すると、全体としてはグラファイトチューブを薄肉化することにより発生電力を増大させることができ、高い加熱効率を得ることができる傾向にある一方で、グラファイトチューブを極薄肉とした場合には、その抵抗が大きくなりすぎて発生電力が低下し、加熱効率も低下する傾向にあるという結論を導くことができる。
以上より、グラフによって示された傾向と、理論的説明の考察による結論とが一致したこととなり、本実施形態で使用するグラファイトチューブ14の肉厚が高い加熱効率を得ることに適していることが照明された。
本実施形態で採用する誘導加熱コイル12は、上述したグラファイトチューブ14を取り囲むソレノイド型のコイルである。当該誘導加熱コイル12は、前記グラファイトチューブ14を効率的に加熱するために、例えば可聴周波数以上の20kHz程度で数百Aの高周波電流が投入される。このため、導体としては水冷銅管を採用することが望ましい。水冷銅管は、管内を流れる冷却水により、導体自体が過熱することを防止すると共に、輻射熱(グラファイトチューブ14からの放射エネルギー)を吸収し、被加熱物20を急速冷却することができるため、高速温度制御を行う上で都合が良い。このような構成の誘導加熱コイル12には、図示しない高周波電流供給手段が接続され、グラファイトチューブ14の加熱に必要な電力が供給される。
前記シールドリング16は、従来より磁気シールドとして適用されている物、例えば各種金属やグラファイトといった導電性部材であり、誘導加熱により加熱されたグラファイトチューブ14の輻射熱に耐えうる耐熱性を有していれば良いと考える。シールドリング16の形状は図1に示すように、円周方向を短絡したリング状に形成されている。このような形状により、円周方向に、誘導加熱コイル12を流れる電流と逆方向の渦電流を発生させ、グラファイトチューブ14から漏洩した磁束(磁界)を遮蔽する役割を担う。また、シールドリング16の配置は、グラファイトチューブ14の鉛直方向、あるいは誘導加熱コイル12の配置方向に沿って複数、隣接するシールドリング16との間に隙間を設けた状態とされている。このような配置形態によれば、グラファイトチューブ14から放射された輻射熱(放射エネルギー)を、前記隙間を介して通過させ、被加熱物20の加熱効率を良好に保つことが可能となる。換言すれば、シールドリング16によって、グラファイトチューブ14から被加熱物へ伝達される輻射熱を減衰させてしまうことを抑制することが可能となるのである。
ところで、シールドリング16間に隙間を設けてグラファイトチューブ14からの輻射熱を通過させるようにした場合であっても、シールドリング16が配置された部位では輻射熱の伝達が抑制されるため、被加熱物20へ伝達される輻射熱にムラが生じる可能性がある。このような傾向を打開するために、配置するシールドリングの幅(長さ)tと、シールドリングの配置間隔dとを漏洩磁束を遮蔽するために好適な比率とすることにより、約数cm〜十数cm離れた部位での輻射熱の分布のバラツキを数%以内に抑えることが可能となる。
具体的な例を挙げると、導電率が約1000μΩ・cm、グラファイトチューブ内に投入する高周波磁界(交流磁界)の周波数を20kHzとした場合、シールドリングの幅tを5mm、シールドリングの配置間隔dを35mm程度とすることで、約10cm離れた部位での輻射熱の分布バラツキを数%以内とすることが可能となる。この具体例から換算すると、シールドリング16の幅tとシールドリング16の配置間隔dとの比率は、1:7とすることができるが、この比率はグラファイトチューブ14の導電率、高周波磁界の周波数、誘導加熱コイル12に投入される電流、電圧、及び周波数等、種々の条件によって変化する値であるといえる。
また、シールドリング16を図1に示すように、グラファイトチューブ14との間に隙間を設けて配置することにより、装置全体として見ると、2つの部材によって磁気遮蔽を行うこととなり、磁気遮蔽について2重のシールド効果を奏することとなる。以下に、厚肉としたグラファイトチューブ14のみの場合(例えば図3に示す形態)と、薄肉としたグラファイトチューブ14とシールドリング16とを組み合わせた場合(例えば図1に示す形態)とにおける磁気遮蔽効果の違いについて説明する。
まず、厚肉としたグラファイトチューブ14のみによって誘導加熱コイル12からの磁界(磁束)を遮蔽しようとする場合についてのメカニズムを説明する。誘導加熱コイル12によって生じた磁界H(A/T)を受けるグラファイトチューブ14内には、電流Iが発生する。グラファイトチューブ14内には、前記電流Iの作用によって磁界Hに対する反作用磁界が発生し、磁界Hを減衰させる効果を発揮するのである。
ここで、グラファイトチューブ14内に発生する電流Iは、数式1の通りであるため、2πfL>>Rの条件においては、数式2のように示すことができる。数式2において、グラファイトチューブの肉厚を厚くした場合であっても、肉厚に対する依存性の低いインダクタンス成分(2πfL)の値は殆ど小さくなることは無い(Lはもともと導電性が高く、直流では抵抗成分として扱われないため、周波数に対する依存性が高い)。このため、グラファイトチューブ14内に生じる電流Iの値に大きな変化は無く、電流Iによって発生する反作用磁界にも大きな変化が生じることは無い。
このグラファイトチューブ14によって減衰されて被加熱物20側へ漏洩する磁界をH´(A/m)と表すと、グラファイトチューブ14による磁界の遮蔽効果は、
Figure 2007042324
と表すことができる。ここでαは各種実施条件によって異なる整数である。
薄肉のグラファイトチューブ14の内側にシールドリング16を配置して、上記説明と同じ条件で磁気遮蔽効果を示す場合、次のようになる。まず、グラファイトチューブ14による磁気遮蔽効果は、上述したように肉厚の違いによっては大きな変化が無いため、グラファイトチューブ14からシールドリング16側へ漏洩する磁界は、上記と同様にH´と示すことができる。よってグラファイトチューブ16を薄肉とした場合であっても、その遮蔽効果は1/αと表すことができる。
次に、シールドリング16による磁気遮蔽効果について説明する。シールドリング16の構成部材をグラファイトチューブ14と同一とした場合には、前記グラファイトチューブ14と同様に磁気遮蔽効果として1/αを得ることができると考えられる。一方、シールドリング16の構成部材をグラファイトチューブと異ならせた場合には、磁気遮蔽効果を1/αと表すことができる。そして、シールドリング16から被加熱物側へ漏洩する磁界はH´´(A/m)と表すことができる。
したがって、薄肉としたグラファイトチューブ14とシールドリング16とを組み合わせた場合における磁気遮蔽効果は、
Figure 2007042324
と表すことができる。厚肉としたグラファイトチューブ14のみによる磁気遮蔽効果を示す数式6と、薄肉としたグラファイトチューブ14とシールドリング16との組合せによる磁気遮蔽効果を示す数式7とを比べた場合、α、αはそれぞれ整数であるため、後者の方が磁気遮蔽効果が高いことを読み取ることができる。
上記説明では、シールドリング16の構成部材をグラファイトとする例を挙げたが、本実施形態の場合、シールドリング16は分割体であり、シールドリング16単体の円周方向における抵抗Rは大きな値となる。こうした場合、シールドリング16内に流れる電流が減少することとなり、この電流によって発生する反作用磁界も減少し、磁気遮蔽効果が減衰することとなる。このため、シールドリング16を構成する部材としては、抵抗値の小さなもの、例えば熱分解炭素(パイロカーボン等)や、モリブデン等といったものが望ましい。
なお、上記説明を裏付ける結果は、電磁場解析においても出すことができる。
本実施形態の誘導加熱装置10によれば、グラファイトチューブ14の内側にシールドリング16を配置することにより、被加熱物20に対する磁気遮蔽効果を高めることができ、グラファイトチューブ14自体の肉厚を薄くした場合であっても、漏洩した磁束が被加熱物20に到達する確率を低くすることができる。また、グラファイトチューブ14を薄肉化することができるため、熱時定数を下げることができ、高速昇温、高速降温等の高速温度制御を実現することが可能となる。また、シールドリング16を複数に分割して、各々の隙間から輻射熱を通過させる構成としたため、シールドリング16の配置による輻射熱の遮蔽を抑制することが可能となる。そして、このような作用から、誘導加熱装置10としては、被加熱物20が磁性体である場合であっても、急速加熱、急速冷却、及び高速温度制御を行うことが可能となり、被加熱物の温度分布を均一、あるいは任意に制御することが可能となる。
上記実施形態では、シールドリング16を分割し、隣接するシールドリング16との間に隙間を設けて配置する旨記載したが、シールドリング16は図4に示すような形態であっても、グラファイトチューブ14からの漏洩磁束を遮蔽する効果を得ることができる。
図4に示す誘導加熱装置10aは、図1に示す誘導加熱装置10の変形形態であって、シールドリング16aを一体形成した場合の例を示すものである。なお、図4(A)は正面断面図、図(B)は図4(A)におけるA−A断面を示す図である。このような構成の誘導加熱装置であっても、上述した2重シールド効果を奏することができる。このため、グラファイトチューブ14の肉厚を厚くして磁気遮蔽効果を高めるよりも高い磁気遮蔽効果を得ることができ、かつ加熱効率も高くなる。
もっとも、図4に示す形態の誘導加熱装置10aでは、シールドリング16aを一体型としているため、グラファイトチューブ14からの輻射熱を遮蔽する傾向にあるが、グラファイトチューブ14の肉厚を厚くする場合に比べると、高い加熱効率を得ることができる。このため、本発明の課題である間接誘導加熱を行う場合において、誘導加熱されるグラファイトチューブ14を経て被加熱物に到達する漏洩磁束を一層効果的に抑制し、被加熱物が磁性体であっても、急速加熱、急速冷却、高速温度制御を行うことを可能とする誘導加熱装置の提供という要件を満たすこととなる。
また、本形態ではシールドリング16を一体型としているため、被加熱物20に到達する輻射熱にムラが少ない。このため、上記実施形態に比べて、シールドリング16から被加熱物20までの距離を短くした場合であっても、加熱時の温度分布を均一、あるいは任意に制御することが可能となる。よって、シールドリング16から被加熱物20までの距離を短くすることで、被加熱物20の加熱効率を上げることを可能とする。
また、本発明の誘導加熱装置10,10aは、図5に示すようなシールドリングを採用したものも含むこととする。すなわち、一体型のシールドリング16aに孔17をあけ、輻射熱の通過を促すような形状としたものである。ここで、図5(A)はシールドリングの正面図、図5(B)は平面図をそれぞれ示す。
図5に示すシールドリング16bは一体型のシールドリング16aに対して矩形型の孔17をあけ、図1に示す分割型のシールドリング16の一部を連結したような形状としたものであり、上記実施形態に述べたように、グラファイトチューブ14からの輻射熱を孔17から通過させることを可能とする構成である。
なお、シールドリング16bに設ける孔17の形状、配置等を異ならせた場合であっても、本発明の実施であることに変わり無い。
次に、本発明の誘導加熱装置に係る第2の実施形態について図6を参照して説明する。図6において、図6(A)は、正面断面図、図6(B)は装置の平面図をそれぞれ示す。
本実施形態の誘導加熱装置110の基本的構成要素は、第1の実施形態に示した誘導加熱装置10と同じであるが、それぞれの構成要素についての配置関係が第1の実施形態と異なる。すなわち、本実施形態の誘導加熱装置110では、被加熱物120の下面側に輻射熱源(グラファイト板)114を配置し、前記グラファイト板114の下側に誘導加熱コイル112を配置し、被加熱物120とグラファイト板114との間に磁気遮蔽部材(シールドリング)116を配置しているのである。また、本実施形態の誘導加熱装置110では、装置外部への磁束の漏洩を防止するために、誘導加熱コイル112の周囲に磁気遮蔽部材118を配置している。
前記グラファイト板114は、名称通り板状(本実施形態では円板型)を成し、第1の実施形態において被加熱物20を取り囲んで配置されていたグラファイトチューブ14とはその形状を異ならせている。
前記誘導加熱コイル112は、グラファイト板114の中心を基点として同心円状に配置された径の異なる複数の円形コイルから成り、全体としては、いわゆるバウムクーヘンのような形態とされる。
前記シールドリング116は、誘導加熱コイル112の配置形態に沿って配置されるため、グラファイト板114の中心を基点として同心円状に、径の異なる複数のリングが配置された形態を成す。なお、本実施形態では、個々のシールドリング116間に隙間を設け、当該隙間からグラファイト板114の輻射熱が通過するようにしている。
上記構成を持つ本実施形態の誘導加熱装置110において、各要素における作用効果は、上述した第1の実施形態に係る誘導加熱装置10と同様なため、誘導加熱装置10としても同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態の誘導加熱装置110においても、シールドリング116を一体型、すなわち円盤型とすることができる。また、一体型としたシールドリング116に対し、孔を設けてグラファイト板114からの輻射熱を通過させるようにしても良い。
上記実施形態はいずれも、被加熱物を数百℃〜千数百℃まで急速加熱(約1分間で昇温)し、温度分布を±数℃以内に揃え、所定保持時間後急速に冷却する、半導体等の熱処理工程に対応するものの例を示すものである。したがって、被加熱物の加熱温度が比較的低くても良い場合には、シールドリングの構成部材を、銅や金といった導電性の良い物質とすることができる。
なお、上記実施形態についての説明を行うために参照した図に示したブロック図は、説明を理解しやすいように示したものであり、実際の実施形態における寸法比とは必ずしも一致するものでは無い。
第1の実施形態に係る誘導加熱装置の構成を示す図である。 グラファイトの肉厚と内部に発生する電力との関係を示すグラフである。 シールドリングを備えない誘導加熱装置の例を示す図である。 第1の実施形態に係る誘導加熱装置の変形例を示す図である。 シールドリングの形態に関する応用例を示す図である。 第2の実施形態に係る誘導加熱装置の構成を示す図である。
符号の説明
10,10a………誘導加熱装置、12………誘導加熱コイル、14………輻射熱源(グラファイトチューブ)、16,16a,16b………磁気遮蔽部材(シールドリング)、17………孔、18………磁気遮蔽部材、20………被加熱物、110………誘導加熱装置、112………誘導加熱コイル、114………輻射熱源(グラファイト板)、116………磁気遮蔽部材(シールドリング)、118………磁気遮蔽部材、120………被加熱物。

Claims (6)

  1. 熱源を誘導加熱し、前記熱源からの熱エネルギーにより被加熱物を加熱する誘導加熱方法であって、
    誘導加熱源から発せられた磁束を、前記熱源と前記熱源よりも被加熱物側に設ける磁気遮蔽部材とによって遮蔽することを特徴とする誘導加熱方法。
  2. 前記磁気遮蔽部材による前記熱エネルギーの減衰を抑制したことを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱方法。
  3. 前記磁気遮蔽部材には、導電性の耐熱部材を選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の誘導加熱方法。
  4. 被加熱物配置位置と加熱コイルとの間に熱源を配置した誘導加熱装置であって、
    前記被加熱物配置位置と前記熱源との間に、双方との間にそれぞれ隙間を設けるように磁気遮蔽部材を配置したことを特徴とする誘導加熱装置。
  5. 前記磁気遮蔽部材は、前記加熱コイルの配置方向に沿って複数、隣接する磁気遮蔽部材との間に隙間を設けて配置したことを特徴とする請求項4に記載の誘導加熱装置。
  6. 前記磁気遮蔽部材は、導電性の耐熱部材であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の誘導加熱装置。
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