JP2010229781A - 断熱床用化粧材 - Google Patents

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利成 茅原
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Abstract

【課題】優れた床材性能を有し、且つ断熱性にも優れる床用化粧材を提供する。
【解決手段】木質系基材の表面に発泡層と床材用化粧シートが順に積層された床用化粧材であって、木質系基材が針葉樹の合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)又は高密度繊維板(HDF)からなり、発泡層の厚みが0.5〜2.0 mm及び発泡セル体積が0.004〜0.05 mm3であり、床材用化粧シートの厚みが0.41mm以上である床用化粧材。
【選択図】図2

Description

本発明は、断熱床用化粧材に関する。
従来、床用化粧材は合板、中密度繊維板(MDF)、高密度繊維板(HDF)、パーティクルボード等の木質系基材に突板や化粧シートを設けたものである。
床用化粧材は、家具などが置かれると共に、近年の室内調度品の洋風化やバリアーフリー化に伴い、キャスター付きの家具や車椅子等の室内での使用も益々増加しつつあり、これらの対応、すなわち、跡形が残らない耐性を備えた床材、あるいは、硬くて重い落下物による凹みが生じない耐性を備えた床材が要望されている。また、他方においては、エコロジーの観点から断熱性が重要視されている。
環境問題が取り立たされる中、床用化粧材の材料の観点からも、床用合板に用いる広葉樹の安定入手が困難となりつつある。そこで、針葉樹やパーティクルボード、中密度繊維板、高密度繊維板などの樹脂含有基材が用いられることもあるが、床性能に特化したこれらの基材の場合は基材が硬いため、床が冷たく硬くなる。
このような欠点を解決するために化粧シートと基材の間に発泡層を有する化粧部材が提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、特許文献1の化粧部材は、十分に断熱性と床材性能が両立された仕様ではない。
従って、優れた床材性能を有し、且つ断熱性にも優れる床用化粧材の開発が望まれている。
特開2004−76476号公報
本発明は、優れた床材性能を有し、且つ断熱性にも優れる床用化粧材を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、木質系基材の表面に発泡層と床材用化粧シートが順に積層された床用化粧材の当該発泡層の厚みを0.5〜2.0 mm及び発泡セル体積を0.004〜0.05 mm3にした場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の床材用化粧シートに関する。
項1.木質系基材の表面に発泡層と床材用化粧シートが順に積層された床用化粧材であって、該発泡層の厚みが0.5〜2.0 mm及び発泡セル体積が0.004〜0.05 mm3である床用化粧材。
項2.前記床材用化粧シートの厚みが0.41 mm以上である、項1に記載の床用化粧材。
項3.前記木質系基材が針葉樹の合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)又は高密度繊維板(HDF)である、項1又は2に記載の床用化粧材。
以下、本発明の床用化粧材について説明する。
床用化粧材
本発明の床用化粧材は、木質系基材の表面に発泡層と床材用化粧シートが順に積層され、該発泡層の厚みが0.5〜2.0 mm及び発泡セル体積が0.004〜0.05 mm3であることを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の床用化粧材は、優れた床材性能を有し、且つ断熱性にも優れるという特性を有する。
以下、本発明の床用化粧材の各層について説明する。
木質系基材
木質系基材の材質は特に限定されず、例えば、杉、檜等の針葉樹からなる単板又は合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、高密度繊維板(HDF)、集成材、熱可塑性樹脂に木質系充填剤を配合し成形してなる木粉樹脂成形体等が挙げられる。
木粉樹脂成形体の木質系充填剤としては、基本的には天然の木材を主原料として製造された粉状、粒状ないし短繊維状の充填剤であれば特に限定されるものではなく、従来公知のものから任意に選択できるが、一般的には、木材をカッターミル等によって破断し、これをボールミルやインペラーミルなどにより粉砕して微粉状にした木粉などが好適に挙げられ、平均粒径としては概ね数μmから数百μmであり、木質系充填剤の配合量は、樹脂分100重量部に対して10〜70重量部、好ましくは20〜60重量部である。なお、樹脂分に対する木質系充填剤の配合割合により、木粉樹脂成形体の機械的強度、均質性、平面性等を得るための木質系充填剤の平均粒径は適宜選択すべきである。
木粉樹脂成形体の熱可塑性樹脂としては、たとえば、低密度ポリエチレン(線状低密度ポリエチレンを含む)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、エチレンαオレフィン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−エチルアクリレート共重合体やこれらの酸変性物、アイオノマー樹脂、あるいは、これらの混合物等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ABS樹脂等が挙げられ、中でもポリオレフィン系樹脂が好ましい。
木質系基材の形状は特に限定されず、通常はフローリング等への設置を考慮して平板とすればよい。
本発明の床用化粧材は、例えば、最終製品の特性に応じて、裁断、テノーナーを用いてサネ加工、V字形状の条溝付与、四辺の面取り等を施してもよい。
発泡層
発泡層としては、従来公知の任意の樹脂発泡手法を採ることができ、例えば、熱可塑性樹脂等に発泡剤を添加して発泡させる発泡手法を挙げることができる。発泡剤としては、アゾジカーボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N−N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の熱分解型、または、アクリロニトリル等の樹脂球殻中にヘキサン、イソブタン等の熱膨張製気体を封入したマイクロカプセル型を挙げることができる。添加量としては、樹脂分100重量部に対して1〜10重量部である。
熱可塑性樹脂としては、上記と同じ熱可塑性樹脂を用いることができる。
なお、発泡層の厚みとしては、0.5〜2.0 mmのものを用いるが、好ましくは1.0〜2.0 mmである。この範囲より薄いと断熱性に劣り、この範囲より厚いと床材性能が悪くなる。
また、発泡層の発泡セル体積は、0.004〜0.05 mm3のものを用いるが、好ましくは0.01〜0.03 mm3である。この範囲より低いと断熱性に劣り、この範囲より高いと床材性能が悪くなる。
ここで、発泡セル体積とは、発泡セルと言われる発泡層内にある気泡の体積のうち、大きいものから順に5つ計測したセル体積の平均値である。
発泡セル体積の測定方法;直方体の発泡体の一面と隣接する面の100倍拡大観察より、2×3mmの範囲において、大きいものから順に5つの各2辺(巾・高さ)を計測し、1辺を除いた3辺より直方体の体積を求める。直方体と同体積の立方体の1辺を求め、内接する球の体積(セルの体積)を求める。
1.一面の2辺AとB、隣接面より2辺AとCを大きいものから順に5つ計測する。
2.求めた4辺から異なる辺3つにより、直方体の体積を求める。
3.直方体と同体積の立方体の1辺を3乗根より求める。
4.立方体に内接する球の体積を求めた値を発泡セル体積(最大セル体積)とする。
上記1〜3より、式(A×B×C)(1/3)=Rから立方体の1辺Rが求められる。それに内接する球の体積を、式4/3×π×(R/2)から求めると、発泡セル体積が得られる。
床材用化粧シート
床材用化粧シートは、例えば、基材シート上に絵柄模様層、透明性樹脂層及び表面保護層が順に積層され、必要により基材シート裏面に合成樹脂層(いわゆるバッカー層)が積層されている積層体が挙げられる。
床材用化粧シートの厚みは、0.41 mm以上が好ましく、特に0.41〜0.56 mmの範囲であることが好ましい。この範囲内であれば、床材性能が更に優れたものとなる。
以下、上記床材用化粧シートの各層について例示的に説明する。
(基材シート)
基材シートとしては限定的ではないが、樹脂成分としてポリオレフィン系樹脂を含む基材シートが好ましい。実質的には、ポリオレフィン系樹脂からなるシートを用いる。
ポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、化粧シートの分野で通常用いられているものが使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの中でも、特にポリプロピレン、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が好ましい。
ポリプロピレンを主成分とする単独重合体又は共重合体も好ましく、例えば、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、及び、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられる。その他、エチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1又はオクテン−1のコモノマーを15モル%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体等も好ましい。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントにアイソタクチックポリプロピレン、ソフトセグメントにアタクチックポリプロピレンを重量比80:20で混合したものが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂は、例えば、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等によりフィルム状にすればよい。
基材シートの厚みは特に限定されず、製品特性に応じて設定できるが、通常40〜150μm、好ましくは50〜100μm程度である。
基材シートには、必要に応じて、添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、着色剤(下記参照)などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
着色剤としては特に限定されず、顔料、染料等の公知の着色剤を使用できる。例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料;イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(染料も含む);アルミニウム、真鍮等の金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料などが挙げられる。基材シートの着色態様には、透明着色と不透明着色(隠蔽着色)があり、これらは任意に選択できる。例えば、木質系基材の地色を着色隠蔽する場合には、不透明着色を選択すればよい。一方、木質系基材の地模様を目視できるようにする場合には、透明着色を選択すればよい。
基材シートの片面又は両面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。例えば、コロナ放電処理を行う場合には、基材シート表面の表面張力が30dyne以上、好ましくは40dyne以上となるようにすればよい。表面処理は、各処理の常法に従って行えばよい。
基材シートの片面又は両面には、必要に応じて、プライマー層(例えば、バッカー層の接着を容易とするための裏面プライマー層、絵柄模様層の形成を容易とするためのプライマー層)を設けてもよい。
プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートの片面又は両面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤等が挙げられる。
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1〜100g/m、好ましくは0.1〜50g/m程度である。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μm程度である。
(絵柄模様層(絵柄層))
基材シートの上には、絵柄模様層が形成されている。
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄による意匠性を付与するものであり、絵柄の種類等は特に限定的ではない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)させて得られる着色インキ、コーティング剤等を用いた印刷法などにより形成すればよい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤には、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等がさらに配合してもよい。
結着材樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂、アクリル−ウレタン系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層を形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は1〜15μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜10μm程度である。
(着色隠蔽層)
基材シートと絵柄模様層との間には、必要に応じて、さらに着色隠蔽層を形成してもよい。着色隠蔽層は、床材用化粧シートのおもて面から被着材の地色を隠蔽したい場合に設けられる。基材シートが透明性である場合は勿論、基材シートが隠蔽着色されている場合でも、隠蔽性を安定化するために形成してもよい。
着色隠蔽層を形成するインクとしては、絵柄模様層を形成するインクであって隠蔽着色が可能なものが使用できる。
着色隠蔽層の形成方法は、基材シート全体を被覆(全面ベタ状)するように形成できる方法が好ましい。例えば、前記したロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、ディップコート法等が好ましいものとして挙げられる。
着色隠蔽層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は0.2〜10μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜5μm程度である。
(透明性接着剤層)
後記する透明性樹脂層を設ける場合には、絵柄模様層の上に透明性接着剤層を設けることが好ましい。透明性接着剤層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。透明性接着剤層は、絵柄模様層と透明性樹脂層とを接着するために形成されている。接着剤としては特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。
化粧シートの分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂等の硬化性樹脂等が挙げられる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
接着剤層は、例えば、接着剤を絵柄模様層の上に塗布し、透明性樹脂層を構成する塗工剤(接着剤)を塗工後、乾燥・硬化させることにより形成できる。乾燥温度・乾燥時間等の条件は特に限定されず、接着剤の種類に応じて適宜設定すればよい。接着剤の塗布方法は特に限定されず、例えば、ロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムースコート、コンマコート等の方法が採用できる。
接着剤層の厚みは特に限定されないが、乾燥後の厚みが0.1〜30μm、好ましくは1〜20μm程度である。
(透明性樹脂層)
絵柄模様層と表面保護層の間には、透明性樹脂層が、好ましくは透明性接着層上に、形成されていてもよい。透明性樹脂層は、透明性である限り、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
透明性樹脂層に含まれる樹脂成分は限定的ではないが、熱可塑性樹脂であれば好ましく、特にポリプロピレンが好ましく、ホモポリプロピレンがより好ましい。透明性樹脂層は、実質的に上記ポリプロピレン系樹脂によって形成されていることが好ましい。
透明性樹脂層は、例えば、上記ポリプロピレン系樹脂を、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等により形成する。また既成のフィルムを用いてもよい。
透明性樹脂層は、必要に応じて、耐候剤を含有してもよい。耐候剤としては、例えば、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等が好ましい。これらの耐候剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。特に透明性樹脂層がポリプロピレンを含有する場合には、耐候剤を含有することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤が好適である。これらの耐候剤の含有量は限定されないが、紫外線吸収剤・光安定剤ともに、透明性樹脂層中1000〜10000重量ppm程度とすればよい。
透明性樹脂層の厚みは特に限定されないが、一般的には10〜500μm程度である。
透明性樹脂層の表面であって、後記する表面保護層を形成する面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。表面処理は、各処理の常法に従って行えばよい。
また、必要に応じて、表面にプライマー層(表面保護層の形成を容易とするためのプライマー層)を設けてもよい。
プライマー層は、公知のプライマー剤を塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤、アクリル−ウレタン系樹脂からなるプライマー剤等が挙げられる。
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1〜100g/m、好ましくは0.1〜50g/m程度である。
プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μm程度である。
(表面保護層)
絵柄模様層(透明性樹脂層)の上には、表面保護層が形成されている。表面保護層は、床材用化粧シートに要求される耐擦傷性、耐摩耗性、耐水性、耐汚染性等の表面物性を付与するために設けられる。この表面保護層を形成する樹脂としては、熱硬化型樹脂又は電離放射線硬化型樹脂等の硬化型樹脂が好ましい。特に、電離放射線硬化型樹脂は高い表面硬度、生産性等の観点から好ましい。
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
熱硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法としては、例えば、熱硬化型樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で塗布し、乾燥・硬化させる方法が挙げられる。溶液の塗布量としては、固形分で概ね5〜30μm、好ましくは5〜20μm程度である。
電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上が使用できる。例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等のケイ素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
電離放射線としては、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線、電子線が望ましい。
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190〜380nm程度である。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100〜1000keV程度が好ましく、100〜300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2〜15Mrad程度が好ましい。
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種が使用できる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種が使用できる。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部程度である。
電離放射線硬化型樹脂で保護層を形成する方法としては、例えば、電離放射線硬化型樹脂の溶液をグラビアコート法、ロールコート法等の塗布法で塗布すればよい。溶液の塗布量としては、固形分として概ね5〜30μm、好ましくは5〜20μm程度である。
電離放射線硬化型樹脂から形成された表面保護層に、耐擦傷性、耐摩耗性をさらに付与する場合には、無機充填材を配合すればよい。無機充填材としては、例えば、粉末状の酸化アルミニウム、炭化珪素、二酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、マグネシウムパイロボレート、酸化亜鉛、窒化珪素、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、窒化硼素、ダイアモンド、金剛砂、ガラス繊維等が挙げられる。
無機充填材の添加量としては、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して1〜80重量部程度である。
表面保護層のおもて面(大気に露出している面)には、凹凸が形成されていてもよい。通常はエンボス加工により凹凸模様を形成する。エンボス加工方法は特に限定されず、例えば、透明性アクリル系樹脂層のおもて面を加熱軟化させてエンボス版により加圧・賦形後、冷却する方法が好ましい方法として挙げられる。エンボス加工には、公知の枚葉式又は輪転式のエンボス機が用いられる。凹凸形状としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
(合成樹脂層)
床材用化粧シートは、基材シートの裏面に合成樹脂層(いわゆるバッカー層)を設けてもよい。
バッカー層は熱可塑性樹脂で構成することが好ましく、ポリプロピレン樹脂が好ましい。ポリプロピレン樹脂としては、ポリプロピレンを主成分とする単独重合体だけでなく、共重合体であってもよい。例えば、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、及び、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられる。その他、エチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1又はオクテン−1のコモノマーを15モル%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体等も挙げられる。
バッカー層は、2層以上の積層体であってもよい。例えば、ポリプロピレン樹脂層を2層以上積層したものでもよい。
バッカー層の厚さは100μm以上であればよく、250〜400μm程度が好ましい。
バッカー層は、例えば、溶融樹脂の押出しによって容易に形成できる。同時押出し法を用いる場合には、積層体からなるバッカー層も容易に形成できる。同時押出し製膜には、例えば、マルチマニホールドタイプやフィードブロックタイプのTダイを使用できる。
上記木質系基材、発泡層及び床材用化粧シートは、接着剤を介して接着する。
接着剤としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂等を含む各種接着剤を使用できる。
接着剤層の厚みは、使用する接着剤の種類等によって異なるが、一般的には0.1〜30μm程度とすれば良い。
本発明の床用化粧材は、例えば、最終製品の特性に応じて、裁断、テノーナーを用いてサネ加工、V字形状の条溝付与、四辺の面取り等を施してもよい。
本発明の床用化粧材は、優れた床材性能を有し、且つ断熱性にも優れるという特性を有している。
実施例及び比較例における床用化粧材の層構成を表した図である。 断熱性試験の測定方法を表した図である。 耐キャスター性試験機の概略構成図である。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。
実施例1
(床材用化粧シートの作製)
60μm厚の着色ポリプロピレンフィルムからなる樹脂シートの上に、アクリル−ウレタン系樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加してなる樹脂)をメチルエチルケトン及び酢酸ブチルの混合溶剤に溶かした溶液をグラビア印刷法により固形分量が2g/m2となるように塗工して印刷用プライマー層を形成した。
印刷用プライマー層の上に、アクリル−ウレタン系樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加してなる樹脂)溶液を印刷インキとしたグラビア印刷法により、4μmの木目絵柄模様層を形成した。
前記樹脂シートの絵柄模様層と反対側の面にポリプロピレン(日本ポリプロ製FY6H、MFR=2)を250μm厚みで熱ラミネートにより積層し、合成樹脂層(いわゆるバッカー層)を形成した。
さらに前記樹脂シートの絵柄模様層と反対側の合成樹脂層面にウレタン−セルロース系樹脂の溶液をグラビア印刷法により固形分量が2g/m2となるように塗工して裏面プライマー層を形成した。
なお、前記ウレタン−セルロース系樹脂の溶液は、メチルエチルケトンとメチルイソブチルケトン混合溶剤中に、ウレタン及び硝化綿を添加し、さらに、ヘキサメチレンジイソシアネートをウレタン及び硝化綿の混合物100重量部に対して5重量部添加することにより調製した。
絵柄模様層の上に、熱硬化性ウレタン樹脂系接着剤を固形分量が8g/m2となるように塗工し、さらにポリプロピレン系樹脂をTダイ押出し機により加熱溶融押出しし、厚み8μmの透明性接着剤層及び厚み80μmの透明性樹脂層を形成した。
透明性樹脂層の上に、ウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂をロールコート法により固形分が15g/m2となるように塗工・乾燥して未硬化の電子線硬化型樹脂層を形成した。その後、酸素濃度200ppmの環境下において、未硬化樹脂層に加速電圧125KeV、5Mradの条件で電子線を照射して樹脂を硬化させて15μm厚の電子線硬化型樹脂層(透明性表面保護層)を形成した。
以上の方法により、厚み410μmの床材用化粧シートを作製した。
(発泡層)
発泡セル体積が0.012mm、厚み0.5mmのポリエチレン発泡シート(東レペフ加工品株式会社製 5Z005)の両面にコロナ処理を施し、床材用化粧シートの裏面の合成樹脂層(いわゆるバッカー)面に塗工している裏面プライマーを施した。
(床用化粧材の作製)
床材用化粧シートと発泡シートに、熱硬化性ウレタン樹脂系接着剤を固形分量が8g/m2となるように塗工し、発泡体付き床材用化粧シートを作製した。
上記で作製した発泡シート付き床材用化粧シート印刷面の裏側の発泡シート面に、厚さ12mmのパーティクルボードを貼着させ床用化粧材を作製した。貼着にはウレタン変性エチレン・酢酸ビニル系エマルション接着剤(9g/尺wet)を利用した。
実施例2
実施例1の発泡シートに代えて、発泡セル体積が0.009mm、厚み1mmのポリエチレン発泡シート(東レペフ加工品株式会社製 10010)を用いた以外は、実施例1と同様にして床用化粧材を得た。
実施例3
実施例1の発泡シートに代えて、発泡セル体積が0.007mm、厚み2mmのポリエチレン発泡シート(東レペフ加工品株式会社製 10020)を用いた以外は、実施例1と同様にして床用化粧材を得た。
実施例4
実施例1の発泡シートに代えて、発泡セル体積が0.049mm、厚み2mmのポリエチレン発泡シート(東レペフ加工品株式会社製 15020)を用いた以外は、実施例1と同様にして床用化粧材を得た。
実施例5
実施例1の床材用化粧シートに代えて、透明性樹脂層の厚みが400μmであり、バッカー層を積層していない厚み470μmの床材用化粧シートを用い、発泡セル体積が0.049mm、厚み2mmのポリエチレン発泡シート(東レペフ加工品株式会社製 15020)を用いた以外は、実施例1と同様にして床用化粧材を得た。
比較例1
(床材用化粧シートの作製)
60μm厚の着色ポリプロピレンフィルムからなる樹脂シートの上に、アクリル−ウレタン系樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加してなる樹脂)をメチルエチルケトン及び酢酸ブチルの混合溶剤に溶かした溶液をグラビア印刷法により固形分量が2g/m2となるように塗工して印刷用プライマー層を形成した。
印刷用プライマー層の上に、アクリル−ウレタン系樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加してなる樹脂)溶液を印刷インキとしたグラビア印刷法により、4μmの木目絵柄模様層を形成した。
さらに前記樹脂シートの絵柄模様層と反対側の表面にウレタン−セルロース系樹脂の溶液をグラビア印刷法により固形分量が2g/m2となるように塗工して裏面プライマー層を形成した。
なお、前記ウレタン−セルロース系樹脂の溶液は、メチルエチルケトンとメチルイソブチルケトン混合溶剤中に、ウレタン及び硝化綿を添加し、さらに、ヘキサメチレンジイソシアネートをウレタン及び硝化綿の混合物100重量部に対して5重量部添加することにより調製した。
絵柄模様層の上に、熱硬化性ウレタン樹脂系接着剤を固形分量が8g/m2となるように塗工し、さらにポリプロピレン系樹脂をTダイ押出し機により加熱溶融押出しし、厚み8μmの透明性接着剤層及び厚み150μmの透明性樹脂層を形成した。
透明性樹脂層の上に、ウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂をロールコート法により固形分が15g/m2となるように塗工・乾燥して未硬化の電子線硬化型樹脂層を形成した。その後、酸素濃度200ppmの環境下において、未硬化樹脂層に加速電圧125KeV、5Mradの条件で電子線を照射して樹脂を硬化させて15μm厚の電子線硬化型樹脂層(透明性表面保護層)を形成した。
以上の方法により、厚み230μmの床材用化粧シートを作製した。
(発泡層)
エチレン−αオレフィン共重合体100重量部に対し、ADCA系発泡剤1部及びステアリン酸亜鉛発泡助剤1部を添加し、65μmのシートを作製し、温度220℃で100μmに発泡させて作製した。
(床用化粧材の作製)
実施例1と同じ方法により床用化粧板を得た。
比較例2
比較例1の床材用化粧シートに代えて、透明性樹脂層の厚みが200μmである厚み280μmの床材用化粧シートを用いた以外は、比較例1と同様にして床用化粧材を得た。
比較例3
比較例1の発泡シートに代えて、発泡セル体積が0.004mm、厚み0.2mmのポリエチレン発泡シート(東レペフ加工品株式会社製 5S002)を用いた以外は、比較例1と同様にして床用化粧材を得た。
比較例4
実施例1の発泡シートに代えて、発泡セル体積が0.004mm、厚み0.2mmのポリエチレン発泡シート(東レペフ加工品株式会社製 5S002)を用いた以外は、実施例1と同様にして床用化粧材を得た。
比較例5
比較例1の床材用化粧シートに代えて、透明性樹脂層の厚みが80μmである厚み160μmの床材用化粧シートを用い、比較例1の発泡シートに代えて、エチレン−αオレフィン共重合体100重量部に対し、ADCA系発泡剤1.5部及びステアリン酸亜鉛発泡助剤1.5部を添加し、1mmのシートを作製し、温度220℃で2mmに発泡させて作製した発泡シートを用いた以外は、比較例1と同様にして床用化粧材を得た。
比較例6
実施例1の発泡シートに代えて、発泡セル体積が0.062mm、厚み1mmのポリエチレン発泡シート(積水化成品工業株式会社製 梱包材ライトロンS)を用いた以外は、実施例1と同様にして床用化粧材を得た。
比較例7
実施例1の床材用化粧シートに代えて、バッカー層の厚みが400μmである厚み560μmの床材用化粧シートを用い、実施例1の発泡シートに代えて、発泡セル体積が0.062mm、厚み1mmのポリエチレン発泡シート(積水化成品工業株式会社製 梱包材ライトロンS)を用いた以外は、実施例1と同様にして床用化粧材を得た。
比較例8
実施例1の発泡シートに代えて、発泡セル体積が0.062mm、厚み2mmのポリエチレン発泡シート(積水化成品工業株式会社製 梱包材ライトロンS)を用いた以外は、実施例1と同様にして床用化粧材を得た。
比較例9
実施例1の床材用化粧シートに代えて、バッカー層の厚みが400μmである厚み560μmの床材用化粧シートを用い、実施例1の発泡シートに代えて、発泡セル体積が0.062mm、厚み3mmのポリエチレン発泡シート(積水化成品工業株式会社製 梱包材ライトロンS)を用いた以外は、実施例1と同様にして床用化粧材を得た。
比較例10
実施例1の発泡シートに代えて発泡シートに代えて、エチレン−αオレフィン共重合体100重量部に対し、ADCA系発泡剤1.5部及びステアリン酸亜鉛発泡助剤1.5部を添加し、1mmのシートを作製し、温度220℃で2mmに発泡させて作製した発泡シートを用いた以外は、実施例1と同様にして床用化粧材を得た。
得られた床用化粧材について、以下の評価を行い、得られた結果を表1及び2に示した。尚、表の「構成」は、図1の床材用化粧シート構成に対応している。
(断熱性試験)
図2に示すように沸騰水を入れた容積500 mlのアルミ容器を床用化粧材の上に置き、5分放置後、温度計測箇所1と温度計測箇所2で温度を計測した。これらの温度の差が5℃以上の場合を○、5℃未満の場合を×とした。
(デュポン衝撃試験)
床用化粧材の耐衝撃性をデュポン衝撃試験機(JIS K5600−5−3に準拠)を用いて評価した。具体的には、30cmの高さから規定重量の錘を化粧材表面に落下させて凹み量を測定することにより評価した。
(耐キャスター試験)
床用化粧材について、耐キャスター性を、床材疲労試験機No.159-S(株)安田精機製作所を使用して評価した。
床材疲労試験機No.159-Sの概略構成図を図3に示した。
床材疲労試験機1000は、重り1001により荷重変更可能な加重部1002と、調節ハンドル1003と、加重部1002の下部に取り付けられた1個のキャスター1011と、試料固定台1013(直径55cm、厚さ10mm)(アルミ製)とを備えてなるものである。
使用したキャスターは、HANMMER CASTER社より入手した420SA−N(車輪:ナイロン製)(平均直径75mm、厚さ25mm)である。
試験する床材(試料)(5cm×20cm)を試料固定台1013に固定し、加重部1002に15kgの重り1001を乗せて、調節ハンドル1003により、床材の化粧層側の表面に、1個のキャスター1011を接触させ(総荷重25kg)、試料固定台を稼働し、8m/minの速度で1000往復させた。
(鉛筆硬度試験)
床用化粧材の耐傷性能評価を、鉛筆硬度試験機を用いて行った。試験機が水平位置のときに鉛筆の先に対して1000gの荷重を与えるように試験機を設定した以外は、JIS K5600−5−4に準拠して試験を行った。
(床材性能)
デュポン衝撃試験の凹み深さ:150μm以下、耐キャスター試験の凹み深さ:200μm以下、鉛筆硬度試験:HB以上のすべての条件を満たす場合を○に、一つでも条件を満たさない場合を×とした。
Figure 2010229781
Figure 2010229781
(考 察)
実施例1〜5は断熱性及び床材性能ともに良好であった。
比較例1〜3、5は床材用化粧シートが0.41 mm以下で、且つ発泡セル体積が0.004〜0.05 mm3もしくは発泡シート厚みが0.5〜2.0 mmの範囲外であるので、床材性能および断熱性に劣る結果となった。
比較例4、10は床材用化粧シートが0.41 mm以上であるが、発泡セル体積もしくは発泡シート厚みが上記の範囲より小さいので、床材性能は良好であるが、断熱性に劣る結果となった。
比較例6〜9は床材用化粧シートが0.41 mm以上であるが、発泡セル体積もしくは発泡シート厚みが上記の範囲より大きいので、断熱性は良好であるが、床材性能に劣る結果となった。
1000 耐キャスター試験装置
1001 重り
1002 荷重部
1003 調節ハンドル
1011 キャスター
1012 試料
1013 試料固定台

Claims (3)

  1. 木質系基材の表面に発泡層と床材用化粧シートが順に積層された床用化粧材であって、該発泡層の厚みが0.5〜2.0 mm及び発泡セル体積が0.004〜0.05 mm3である床用化粧材。
  2. 前記床材用化粧シートの厚みが0.41 mm以上である、請求項1に記載の床用化粧材。
  3. 前記木質系基材が針葉樹の合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)又は高密度繊維板(HDF)である、請求項1又は2に記載の床用化粧材。
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