JP2010228037A - 駆動力解放装置 - Google Patents

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証英 原田
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Abstract

【課題】歯付部材を任意の方向へ制動したり駆動力を解放して自由移動可能にしたり駆動して移動させたりし得るようにすることにある。
【解決手段】第1ワンウェイクラッチ1と、第1ワンウェイクラッチの第1部材に出力軸を結合された第1モータ3と、第1ワンウェイクラッチの第2部材に結合された第1歯車5と、第2ワンウェイクラッチ2と、第2ワンウェイクラッチの第1部材に出力軸を結合された第2モータ4と、第2ワンウェイクラッチの第2部材に結合された第2歯車6と、第1歯車および第2歯車と噛合する歯付部材7とを具えてなる駆動力解放装置である。
【選択図】図1

Description

この発明は、ロボットのハンドを支持する手首部等に用いて好適な駆動力解放装置に関するものである。
従来のロボットアームとしては、例えば特許文献1記載のもの等が知られており、このような従来のロボットアームでノブ型ハンドルおよびレバー型ハンドルの回転操作を行う場合、ハンドルをテレビカメラで撮像し、ハンドルの回転軸を画像処理等で正確に検出し、ロボットアームの各関節の動作量を計算で求め、ロボットアームのハンドでハンドルを把持した後にその求めた動作量分各関節を駆動してハンドルを回転させたり、ロボットアームのハンドを専用治具に交換してその専用治具でハンドルを回転させたりしている。
特開2008−200847号公報、図5
しかしながら上記従来の方法では、回転軸を判定するのに画像処理等を用いるためコストが嵩み、ロボットアームの制御が煩雑であり、しかも、ハンドを持つロボットアームを支持するロボット本体が移動式の場合、位置精度をさほど高くできないので、ハンドルの回転軸と、ハンドを駆動するロボットアームの回転軸とを平行にするのが困難で、それらの軸がねじれの位置になってハンドルの回転がうまくいかないことが多いという問題がある。しかもハンドルには、ノブ型ハンドルと、レバー型ハンドルとがあり、これらを共通のハンドで回転させようとすると、従来はハンドの動きが異なってくるが、制御の簡易化の点からハンドの動きを共通化する方が望ましい。
ところで、ロボットアームを駆動して、ハンドルを把持する位置にハンドを移動させた後は、ハンドの回転のみを拘束し、ロボットアーム側は解放して外力で自由に動けるようにすれば、ハンドでレバー型ハンドルを容易にその回転軸周りに回転させることができ、ハンドでノブ型ハンドルを回転させるのはさらに容易である。
この発明は、上述の知見に鑑みて従来の方法の課題を有利に解決したものであり、この発明の駆動力解放装置は、互いに同一軸線上に支持された第1部材および第2部材を有するとともにそれら第1部材および第2部材の間にロック部材を有し、前記第1部材が前記第2部材に対し第1所定方向へ回転すると前記ロック部材がそれら第1部材と第2部材とを相対回転自在に解放する一方、前記第1部材が前記第2部材に対し前記第1所定方向と逆の方向へ回転すると前記ロック部材がそれら第1部材と第2部材とを結合する第1ワンウェイクラッチと、前記第1ワンウェイクラッチの前記第1部材に出力軸を結合された第1モータと、前記第1ワンウェイクラッチの前記第2部材に結合された第1歯車と、互いに同一軸線上に支持された第1部材および第2部材を有するとともにそれら第1部材および第2部材の間にロック部材を有し、前記第1部材が前記第2部材に対し前記第1所定方向と逆の方向である第2所定方向へ回転すると前記ロック部材がそれら第1部材と第2部材とを相対回転自在に解放する一方、前記第1部材が前記第2部材に対し前記第2所定方向と逆の方向へ回転すると前記ロック部材がそれら第1部材と第2部材とを結合する第2ワンウェイクラッチと、前記第2ワンウェイクラッチの前記第1部材に出力軸を結合された第2モータと、前記第2ワンウェイクラッチの前記第2部材に結合された第2歯車と、前記第1歯車および前記第2歯車の複数の歯のピッチに対応するピッチの複数の歯を有し、それらの歯で前記第1歯車および前記第2歯車と噛合する歯付部材と、を具えてなるものである。
かかるこの発明の駆動力解放装置にあっては、第1モータと第2モータとが作動していず、それらのモータの出力軸がモータの磁石によるセルフロック機能で止まった状態では、第1ワンウェイクラッチおよび第2ワンウェイクラッチの第1部材がそれぞれ制動されており、第1ワンウェイクラッチおよび第2ワンウェイクラッチの第2部材は互いに同一方向へ回転しようとすると何れか一方はロック部材で第1部材に結合されて制動される。そして第1ワンウェイクラッチおよび第2ワンウェイクラッチの第2部材は第1歯車および第2歯車を介してそれぞれ歯付部材に結合されているので互いに同一方向にしか回転できない。従って、第1モータと第2モータとが作動していない場合は、歯付部材は第1歯車および第2歯車の何れの回転方向へも移動できず制動されている。
また、第1モータが作動してその出力軸が第1ワンウェイクラッチの第1部材を第2部材に対し第1所定方向へ回転させると、ロック部材がそれら第1部材と第2部材とを相対回転自在に解放するので、第1ワンウェイクラッチの第2部材は第1部材と同じ方向へはその第1部材の回転速度まで、第1部材と逆の方向へは速度制限なしに、自由に回転できる。一方、第2モータが作動していず、第2ワンウェイクラッチの第1部材が制動されていても、第2ワンウェイクラッチの第2部材は第1部材に対し第2所定方向と逆の方向へは自由回転できる。従って、第1モータだけが上記第1ワンウェイクラッチの解放方向へ作動している場合は、歯付部材は第2ワンウェイクラッチの第1部材に対する第2部材の第2所定方向と逆の方向への回転と同一方向への第2歯車の回転方向へ上記第1ワンウェイクラッチの回転速度制限下で自由に移動でき、それと逆方向へは制動される。
この一方、第2モータが作動してその出力軸が第2ワンウェイクラッチの第1部材を第2部材に対し第2所定方向へ回転させると、ロック部材がそれら第1部材と第2部材とを相対回転自在に解放するので、第2ワンウェイクラッチの第2部材は第1部材と同じ方向へはその第1部材の回転速度まで、第1部材と逆の方向へは速度制限なしに、自由に回転できる。一方、第1モータが作動していず、第1ワンウェイクラッチの第1部材が制動されていても、第1ワンウェイクラッチの第2部材は第1部材に対し第1所定方向と逆の方向へは自由回転できる。従って、第2モータだけが上記第2ワンウェイクラッチの解放方向へ作動している場合は、歯付部材は第1ワンウェイクラッチの第1部材に対する第2部材の第1所定方向と逆の方向への回転と同一方向への第1歯車の回転方向、すなわち上記第1モータだけが作動している場合と逆方向へ上記第2ワンウェイクラッチの回転速度制限下で自由に移動でき、それと逆方向へは制動される。
さらに、第1モータが作動してその出力軸が第1ワンウェイクラッチの第1部材を第2部材に対し第1所定方向へ回転させると、ロック部材がそれら第1部材と第2部材とを相対回転自在に解放するので、第1ワンウェイクラッチの第2部材は第1部材と同じ方向へはその第1部材の回転速度まで、第1部材と逆の方向へは速度制限なしに、自由に回転できる。また第2モータが作動してその出力軸が第2ワンウェイクラッチの第1部材を第2部材に対し第2所定方向へ回転させると、ロック部材がそれら第1部材と第2部材とを相対回転自在に解放するので、第2ワンウェイクラッチの第2部材は第1部材と同じ方向へはその第1部材の回転速度まで、第1部材と逆の方向へは速度制限なしに、自由に回転できる。従って、第1モータが上記第1ワンウェイクラッチの解放方向へ作動するとともに第2モータが上記第2ワンウェイクラッチの解放方向へ作動している場合は、歯付部材は上記第1ワンウェイクラッチおよび第2ワンウェイクラッチの回転速度制限下で第1歯車および第2歯車の何れの回転方向へも自由に移動できる。
また、上記のように第1モータが作動してその出力軸が第1ワンウェイクラッチの第1部材を第2部材に対し第1所定方向へ回転させると、ロック部材がそれら第1部材と第2部材とを相対回転自在に解放するので、第1ワンウェイクラッチの第2部材は第1部材と同じ方向へはその第1部材の回転速度まで、第1部材と逆の方向へは速度制限なしに、自由に回転できる。このとき、第2モータが作動してその出力軸が第2ワンウェイクラッチの第1部材を第2部材に対し第2所定方向と逆方向へ回転させると、ロック部材がそれら第1部材と第2部材とを結合するので、第2ワンウェイクラッチの第2部材は第1部材と同じ方向へその第1部材に駆動されて回転する。従って、第1モータが上記第1ワンウェイクラッチの解放方向へ作動するとともに第2モータが上記第2ワンウェイクラッチの結合方向へ作動している場合は、歯付部材は第2ワンウェイクラッチの第1部材に結合した第2部材の、第2所定方向と逆方向への回転により第2歯車を介して駆動されて、その第2歯車の回転方向へ移動される。
そして、上記のように第2モータが作動してその出力軸が第2ワンウェイクラッチの第1部材を第2部材に対し第2所定方向へ回転させると、ロック部材がそれら第1部材と第2部材とを相対回転自在に解放するので、第2ワンウェイクラッチの第2部材は第1部材と同じ方向へはその第1部材の回転速度まで、第1部材と逆の方向へは速度制限なしに、自由に回転できる。このとき、第1モータが作動してその出力軸が第1ワンウェイクラッチの第1部材を第2部材に対し第1所定方向と逆方向へ回転させると、ロック部材がそれら第1部材と第2部材とを結合するので、第1ワンウェイクラッチの第2部材は第1部材と同じ方向へその第1部材に駆動されて回転する。従って、第2モータが上記第2ワンウェイクラッチの解放方向へ作動するとともに第1モータが上記第1ワンウェイクラッチの結合方向へ作動している場合は、歯付部材は第1ワンウェイクラッチの第1部材に結合した第2部材の、第1所定方向と逆方向への回転により第1歯車を介して駆動されて、その第1歯車の回転方向へ移動される。
従って、この発明の駆動力解放装置によれば、第1モータと第2モータとの作動状態の組み合わせを選択することで、歯付部材を任意の方向へ制動したり駆動力を解放して自由移動可能にしたり駆動して移動させたりすることができる。それゆえ、この発明の駆動力解放装置をロボットアームに設ければ、ロボットアームを駆動して、ハンドルを把持する位置にハンドを移動させた後、ハンドの回転のみを拘束し、ロボットアーム側は解放して外力で自由に動けるようにできるので、ノブ型ハンドルとレバー型ハンドルとで共通のハンドを用いてそれらに共通の簡単な制御でハンドルを回転させることができ、安価かつ容易に二種類のハンドルをロボットアームで回転操作することができる。
なお、この発明の駆動力解放装置においては、前記歯付部材はラックであっても良く、このようにすれば直線移動機構に容易に用いることができる。
また、この発明の駆動力解放装置においては、前記歯付部材は内歯歯車または外歯歯車であっても良く、このようにすれば回転機構に容易に用いることができる。
そして、この発明の駆動力解放装置においては、前記第1モータおよび前記第2モータの出力軸と前記第1ワンウェイクラッチおよび前記第2ワンウェイクラッチの前記第1部材との間に減速機が介挿されていても良く、このようにすれば第1モータおよび第2モータに小型のモータを用いることができるので、装置をコンパクトに構成することができる。
この発明の駆動力解放装置の一実施形態の構成を模式的に示す斜視図である。 この発明の駆動力解放装置の他の一実施形態の構成を模式的に示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、この発明の駆動力解放装置の一実施形態の構成を模式的に示す斜視図であり、この実施形態の駆動力解放装置は、図示しないロボットのハンドとアームとの間の手首部に設けられるもので、図示のように、第1ワンウェイクラッチ1と、第2ワンウェイクラッチ2と、第1モータ3と、第2モータ4と、第1歯車としての第1ピニオン5と、第2歯車としての第2ピニオン6と、歯付部材としてのラック7と、を具えている。
ここで、第1ワンウェイクラッチ1は、互いに同一中心軸線上に図示しない軸受けで支持された、第1部材としての軸部材1aおよび、その軸部材1aを囲繞する第2部材としての筒部材1bを有するとともに、それら軸部材1aおよび筒部材1bの間に介挿された図示しないローラ状の複数のロック部材を有し、軸部材1aの外周面には軸部材1aの中心軸線に対する半径が周方向の一方向に滑らかに減少するカム面が周方向の複数箇所に形成されていて、ロック部材はそれらのカム面と筒部材1bの円筒状内周面との間に配置されている。
これにより、軸部材1aが筒部材1bに対し第1所定方向(図示例では図中矢印F1で示す時計回り方向)へ回転すると、上記ロック部材が上記カム面上で半径減少位置へ移動してそれら軸部材1aと筒部材1bとを相対回転自在に解放する一方、軸部材1aが筒部材1bに対し上記第1所定方向F1と逆の方向(図示例では反時計回り方向)へ回転すると、上記ロック部材が上記カム面上で半径増大位置へ移動してそれら軸部材1aのカム面と筒部材1bの円筒状内周面との間に挟まり軸部材1aと筒部材1bとを結合する。
そして第1モータ3の出力軸3aは、第1ワンウェイクラッチ1の軸部材1aに結合されている。また第1ピニオン5は、第1ワンウェイクラッチ1の筒部材1bの外周部分にその筒部材1bと一体的に設けられている。
また、第2ワンウェイクラッチ2は、互いに同一中心軸線上に図示しない軸受けで支持された、第1部材としての軸部材2aおよび、その軸部材2aを囲繞する第2部材としての筒部材2bを有するとともに、それら軸部材2aおよび筒部材2bの間に介挿された図示しないローラ状の複数のロック部材を有し、軸部材2aの外周面には軸部材2aの中心軸線に対する半径が周方向の一方向に滑らかに減少するカム面が周方向の複数箇所に形成されていて、ロック部材はそれらのカム面と筒部材2bの円筒状内周面との間に配置されている。
これにより、軸部材2aが筒部材2bに対し第2所定方向(図示例では図中矢印F2で示す反時計回り方向)へ回転すると、上記ロック部材が上記カム面上で半径減少位置へ移動してそれら軸部材2aと筒部材2bとを相対回転自在に解放する一方、軸部材2aが筒部材2bに対し上記第2所定方向F2と逆の方向(図示例では時計回り方向)へ回転すると、上記ロック部材が上記カム面上で半径増大位置へ移動してそれら軸部材2aのカム面と筒部材2bの円筒状内周面との間に挟まり軸部材2aと筒部材2bとを結合する。
そして第2モータ4の出力軸4aは、第2ワンウェイクラッチ2の軸部材2aに結合されている。また第2ピニオン6は、第2ワンウェイクラッチ2の筒部材2bの外周部分にその筒部材2bと一体的に設けられている。
しかしてラック7は、図示しない軸受けで互いに中心軸線が平行に延在するよう支持された第1ピニオン5および第2ピニオン6の多数の歯のピッチに対応するピッチの多数の歯7aを有し、それらの歯7aで第1ピニオン5および第2ピニオン6と同時に噛合するとともに、その噛合状態を維持して長手方向へ図中矢印Lで示す如く直線的に移動できるように図示しない案内面で支持および案内されている。
かかる実施形態の駆動力解放装置にあっては、第1モータ3と第2モータ4とが作動していず、それらのモータ3,4の出力軸3a,4aがモータ3,4の磁石によるセルフロック機能で止まった状態では、第1ワンウェイクラッチ1および第2ワンウェイクラッチ2の軸部材1a,2aがそれぞれ制動されており、第1ワンウェイクラッチ1および第2ワンウェイクラッチ2の筒部材1b,2bは互いに同一方向へ回転しようとすると何れか一方はロック部材で軸部材1a,2aに結合されて制動される。そして第1ワンウェイクラッチ1および第2ワンウェイクラッチ2の筒部材1b,2bは第1ピニオン5および第2ピニオン6を介してそれぞれラック7に結合されているので互いに同一方向にしか回転できない。従って、第1モータ3と第2モータ4とが作動していない場合は、ラック7は第1ピニオン5および第2ピニオン6の何れの回転方向に対応する方向へも直線移動できず制動されている。
また、第1モータ3が作動してその出力軸3aが第1ワンウェイクラッチ1の軸部材1aを筒部材1bに対し第1所定方向F1(図示例では時計回り方向)へ回転させると、ロック部材がそれら軸部材1aと筒部材1bとを相対回転自在に解放するので、第1ワンウェイクラッチ1の筒部材1bは軸部材1aと同じ回転方向へはその軸部材1aの回転速度まで、軸部材1aと逆の方向へは速度制限なしに、自由に回転できる。一方、第2モータ4が作動していず、第2ワンウェイクラッチ2の軸部材2aが制動されていても、第2ワンウェイクラッチ2の筒部材2bは軸部材2aに対し第2所定方向F2と逆の方向(図示例では時計回り方向)へは自由回転できる。従って、第1モータ3だけが第1ワンウェイクラッチ1の解放方向へ作動している場合は、ラック7は第2ワンウェイクラッチ2の軸部材2aに対する筒部材2bの第2所定方向F2と逆の方向への回転と同一方向への第2ピニオン6の回転方向に対応する方向である、図では左方へ第1ワンウェイクラッチ1の回転速度制限下で自由に直線移動でき、それと逆方向への移動は制動される。
この一方、第2モータ4が作動してその出力軸4aが第2ワンウェイクラッチ2の軸部材2aを筒部材2bに対し第2所定方向F2(図示例では反時計回り方向)へ回転させると、ロック部材がそれら軸部材2aと筒部材2bとを相対回転自在に解放するので、第2ワンウェイクラッチ2の筒部材2bは軸部材2aと同じ回転方向へはその軸部材2aの回転速度まで、軸部材2aと逆の方向へは速度制限なしに、自由に回転できる。一方、第1モータ3が作動していず、第1ワンウェイクラッチ1の軸部材1aが制動されていても、第1ワンウェイクラッチ1の筒部材1bは軸部材1aに対し第1所定方向F1と逆の方向へは自由回転できる。従って、第2モータ4だけが第2ワンウェイクラッチ2の解放方向へ作動している場合は、ラック7は第1ワンウェイクラッチ1の軸部材1aに対する筒部材1bの第1所定方向F1と逆の方向への回転と同一方向への第1ピニオン5の回転方向に対応する方向、すなわち上記第1モータ3だけが作動している場合と逆方向である、図では右方へ第2ワンウェイクラッチ2の回転速度制限下で自由に直線移動でき、それと逆方向へは制動される。
さらに、第1モータ3が作動してその出力軸3aが第1ワンウェイクラッチ1の軸部材1aを筒部材1bに対し第1所定方向F1へ回転させると、ロック部材がそれら軸部材1aと筒部材1bとを相対回転自在に解放するので、第1ワンウェイクラッチ1の筒部材1bは軸部材1aと同じ回転方向へはその軸部材1aの回転速度まで、軸部材1aと逆の方向へは速度制限なしに、自由に回転できる。また第2モータ4が作動してその出力軸4aが第2ワンウェイクラッチ2の軸部材2aを筒部材2bに対し第2所定方向F2へ回転させると、ロック部材がそれら軸部材2aと筒部材2bとを相対回転自在に解放するので、第2ワンウェイクラッチ2の筒部材2bは軸部材2aと同じ回転方向へはその軸部材2aの回転速度まで、軸部材2aと逆の方向へは速度制限なしに、自由に回転できる。従って、第1モータ3が第1ワンウェイクラッチ1の解放方向へ作動するとともに第2モータ4が第2ワンウェイクラッチ2の解放方向へ作動している場合は、ラック7は第1ワンウェイクラッチ1および第2ワンウェイクラッチ2の回転速度制限下で第1ピニオン5および第2ピニオン6の何れの回転方向に対応する方向へも自由に直線移動できる。
また、上記のように第1モータ3が作動してその出力軸3aが第1ワンウェイクラッチ1の軸部材1aを筒部材1bに対し第1所定方向F1へ回転させると、ロック部材がそれら軸部材1aと筒部材1bとを相対回転自在に解放するので、第1ワンウェイクラッチ1の筒部材1bは軸部材1aと同じ回転方向へはその軸部材1aの回転速度まで、軸部材1aと逆の方向へは速度制限なしに、自由に回転できる。このとき、第2モータ4が作動してその出力軸4aが第2ワンウェイクラッチ2の軸部材2aを筒部材2bに対し第2所定方向F2と逆方向(第1所定方向F1)へ回転させると、ロック部材がそれら軸部材2aと筒部材2bとを結合するので、第2ワンウェイクラッチの筒部材2bは軸部材2aと同じ方向へその軸部材2aに駆動されて回転する。従って、第1モータ3が第1ワンウェイクラッチ1の解放方向へ作動するとともに第2モータ4が第2ワンウェイクラッチの結合方向へ作動している場合は、ラック7は第2ワンウェイクラッチ2の軸部材2aに結合した筒部材2bの、第2所定方向と逆方向への回転により第2ピニオン6を介して駆動されて、その第2ピニオン6の回転方向に対応する方向(図では左方)へ直線移動される。
そして、上記のように第2モータ4が作動してその出力軸4aが第2ワンウェイクラッチ2の軸部材2aを筒部材2bに対し第2所定方向F2へ回転させると、ロック部材がそれら軸部材2aと筒部材2bとを相対回転自在に解放するので、第2ワンウェイクラッチ2の筒部材2bは軸部材2aと同じ回転方向へはその軸部材2aの回転速度まで、軸部材2aと逆の方向へは速度制限なしに、自由に回転できる。このとき、第1モータ3が作動してその出力軸3aが第1ワンウェイクラッチ1の軸部材1aを筒部材1bに対し第1所定方向F1と逆方向(第2所定方向F2)へ回転させると、ロック部材がそれら軸部材1aと筒部材1bとを結合するので、第1ワンウェイクラッチ1の筒部材1bは軸部材1aと同じ方向へその軸部材1aに駆動されて回転する。従って、第2モータ4が第2ワンウェイクラッチ2の解放方向へ作動するとともに第1モータ3が第1ワンウェイクラッチ1の結合方向へ作動している場合は、ラック7は第1ワンウェイクラッチ1の軸部材1aに結合した筒部材1bの、第1所定方向と逆方向への回転により第1ピニオン5を介して駆動されて、その第1ピニオン5の回転方向に対応する方向(図では右方)へ直線移動される。
従って、この実施形態の駆動力解放装置によれば、第1モータ3と第2モータ4との作動状態の組み合わせを選択することで、ラック7を任意の方向へ制動したり自由移動可能にしたり駆動して移動させたりすることができる。それゆえ、この実施形態の駆動力解放装置を設けたロボットによれば、そのロボットの制御装置より第1モータ3と第2モータ4との駆動を含めてアームを駆動して、ハンドルを把持する位置にハンドを移動させた後、ハンドの回転のみを拘束し、アーム側は解放して外力で自由に動けるようにできるので、ノブ型ハンドルとレバー型ハンドルとで共通のハンドを用いてそれらに共通の簡単な制御でハンドルを回転させることができ、安価かつ容易に二種類のハンドルをロボットのアームで回転操作することができる。
しかも、この実施形態の駆動力解放装置によれば、歯付部材はラック7であるので、ハンドをハンドの回転軸に直交する方向に移動させる直線移動機構に容易に用いることができる。
図2は、この発明の駆動力解放装置の他の一実施形態の構成を模式的に示す斜視図であり、この実施形態の駆動力解放装置は第1ワンウェイクラッチ1の軸部材1aと第1モータ3の出力軸3aとの間および、第2ワンウェイクラッチ1の軸部材2aと第2モータ4の出力軸4aとの間にそれぞれ歯車組からなる減速機8が介挿されている点のみ、先の実施形態と異なっており、他の点では先の実施形態と同一の構成を具えているので、以下にはその異なる点について主に説明する。
すなわちこの実施形態では、第1モータ3の出力軸3aおよび第2モータ4の出力軸4aの回転速度が、それぞれ減速機8で減速されて第1ワンウェイクラッチ1の軸部材1aおよび第2ワンウェイクラッチ1の軸部材2aに伝達され、逆に第1ワンウェイクラッチ1の軸部材1aおよび第2ワンウェイクラッチ1の軸部材2aの回転速度が増速されて第1モータ3の出力軸3aおよび第2モータ4の出力軸4aに伝達される。
従って、この実施形態の駆動力解放装置によれば、先の実施形態と同様の作用効果が得られるのに加え、第1モータ3および第2モータ4に小型のモータを用いても、第1ワンウェイクラッチ1の軸部材1aおよび第2ワンウェイクラッチ1の軸部材2の駆動トルクが不足せず、またモータの磁石によるセルフロック機能での第1ワンウェイクラッチ1の軸部材1aおよび第2ワンウェイクラッチ1の軸部材2の制動トルクが不足することもないので、装置をコンパクトに構成することができる。
以上、図示の実施形態に基づき説明したが、この発明は上述の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更でき、例えば、第1,第2ワンウェイクラッチ1,2は、上記実施形態では第1部材と第2部材とが半径方向に対向するものを用いたが、第1部材と第2部材とが軸線方向に対向する既知のものを用いても良い。また第1,第2モータ3,4の磁石によるセルフロック機能では制動トルクが不足する場合には、それらにブレーキ付モータを用いることもできる。さらに、上記実施形態では歯付部材としてラック7を用いたが、これに代えて歯付部材に内歯歯車または外歯歯車を用いても良く、このようにすればこの発明の装置を回転機構に容易に用いることができる。そしてこの発明の駆動力解放装置は、ロボットアーム以外にも好適に用いることができる。
かくしてこの発明の駆動力解放装置によれば、第1モータと第2モータとの作動状態の組み合わせを選択することで、歯付部材を任意の方向へ制動したり駆動力を解放して自由移動可能にしたり駆動して移動させたりすることができる。それゆえ、この発明の駆動力解放装置をロボットアームに設ければ、ロボットアームを駆動して、ハンドルを把持する位置にハンドを移動させた後、ハンドの回転のみを拘束し、ロボットアーム側は解放して外力で自由に動けるようにできるので、ノブ型ハンドルとレバー型ハンドルとで共通のハンドを用いてそれらに共通の簡単な制御でハンドルを回転させることができ、安価かつ容易に二種類のハンドルをロボットアームで回転操作することができる。
1 第1ワンウェイクラッチ
1a 軸部材
1b 筒部材
2 第2ワンウェイクラッチ
2a 軸部材
2b 筒部材
3 第1モータ
4 第2モータ
5 第1ピニオン
6 第2ピニオン
7 ラック
7a 歯
F1 第1所定方向
F2 第2所定方向
L ラック移動方向

Claims (4)

  1. 互いに同一軸線上に支持された第1部材(1a)および第2部材(1b)を有するとともにそれら第1部材および第2部材の間にロック部材を有し、前記第1部材が前記第2部材に対し第1所定方向へ回転すると前記ロック部材がそれら第1部材と第2部材とを相対回転自在に解放する一方、前記第1部材が前記第2部材に対し前記第1所定方向と逆の方向へ回転すると前記ロック部材がそれら第1部材と第2部材とを結合する第1ワンウェイクラッチ(1)と、
    前記第1ワンウェイクラッチの前記第1部材に出力軸を結合された第1モータ(3)と、
    前記第1ワンウェイクラッチの前記第2部材に結合された第1歯車(4)と、
    互いに同一軸線上に支持された第1部材(2a)および第2部材(2b)を有するとともにそれら第1部材および第2部材の間にロック部材を有し、前記第1部材が前記第2部材に対し前記第1所定方向と逆の方向である第2所定方向へ回転すると前記ロック部材がそれら第1部材と第2部材とを相対回転自在に解放する一方、前記第1部材が前記第2部材に対し前記第2所定方向と逆の方向へ回転すると前記ロック部材がそれら第1部材と第2部材とを結合する第2ワンウェイクラッチ(2)と、
    前記第2ワンウェイクラッチの前記第1部材に出力軸を結合された第2モータ(4)と、
    前記第2ワンウェイクラッチの前記第2部材に結合された第2歯車(6)と、
    前記第1歯車および前記第2歯車の複数の歯のピッチに対応するピッチの複数の歯を有し、それらの歯で前記第1歯車および前記第2歯車と噛合する歯付部材(7)と、
    を具えてなる、駆動力解放装置。
  2. 前記歯付部材はラック(7)であることを特徴とする、請求項1記載の駆動力解放装置。
  3. 前記歯付部材は内歯歯車または外歯歯車であることを特徴とする、請求項1記載の駆動力解放装置。
  4. 前記第1モータ(3)および前記第2モータ(4)の出力軸と前記第1ワンウェイクラッチおよび前記第2ワンウェイクラッチの前記第1部材(1a,2a)との間には減速機(8)が介挿されていることを特徴とする、請求項1記載の駆動力解放装置。
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