JP2010227879A - 気流発生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】気流を発生させる際の放電によって発生するオゾンを分解することができる気流発生装置を提供する。
【解決手段】気流発生装置10は、固体からなる誘電体20と、誘電体20の一方の表面20aに設けられた第1の電極30と、誘電体20の他方の表面20b近傍に、第1の電極30に対設された第2の電極31と、誘電体20の一方の表面20a上に形成されたオゾン分解層40とを備える。気流発生装置10は、第1の電極30と第2の電極31との間に電圧が印加されることで、誘電体20の一方の表面近傍の気体の一部をプラズマ化し気流を発生させる。
【選択図】図1
【解決手段】気流発生装置10は、固体からなる誘電体20と、誘電体20の一方の表面20aに設けられた第1の電極30と、誘電体20の他方の表面20b近傍に、第1の電極30に対設された第2の電極31と、誘電体20の一方の表面20a上に形成されたオゾン分解層40とを備える。気流発生装置10は、第1の電極30と第2の電極31との間に電圧が印加されることで、誘電体20の一方の表面近傍の気体の一部をプラズマ化し気流を発生させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、プラズマの作用により気流を発生させることができる気流発生装置に関する。
流体機器や流体機器システムにおける動力低減は、省エネルギの観点から重要性が高まっている。また、流体機器や流体機器システムに起因する振動や騒音の抑制は、プラントの安全性確保、作業環境向上の観点から非常に重要である。
発明者らは、気体の一部をプラズマ化させ、このプラズマの作用により気流を発生させて、流れを制御する気流発生装置を発明し、その効果を確認した(例えば、特許文献1−2参照。)。
この気流発生装置によれば、平板上に非常に薄い層状の気流を適宜制御しながら発生させることが可能である。また、この発生した気流により、流れの境界層の速度分布を変化させたり、層流から乱流への遷移を強制的に引き起こしたり、渦を発生または消滅させたりするなどの気流制御を実現することができる。そのため、種々の産業機器の革新的要素技術として、この気流発生装置を利用できる可能性がある。
上記した気流発生装置は、少なくとも一対の電極(第1の電極、第2の電極)を誘電体を介して対設させて備えている。この気流発生装置では、第1の電極(放電電極)と第2の電極(対向電極)との間に、例えば1〜10kV程度の電圧を印加すると、これらの電極間の誘電体の近くの空気がイオン化されて、第1の電極(放電電極)側から第2の電極(対向電極)に誘電体の表面に沿った気流を発生させることができる。
上記した従来の気流発生装置において、気流を発生させるために空気中で放電させるとオゾンが発生する。オゾンは、高濃度になると人体に有害な物質となるため、閉鎖空間や公衆の近傍などにおいて、高濃度のオゾンを放出することは問題となる。また、気流発生装置において、オゾンの発生を抑制するために作動条件を規制すると、気流発生装置の十分な効果を発揮することができない。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、気流を発生させる際の放電によって発生するオゾンを分解することができる気流発生装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、酸素を含む気体に接する誘電体の一方の表面または表面近傍に第1の電極を設け、前記誘電体の他方の表面または表面近傍に前記第1の電極に対するように第2の電極を設け、これらの電極間に高電圧を印加して前記気体の一部をプラズマ化することにより気流を発生させる気流発生装置において、前記第1の電極と前記第2の電極との間に高電圧を印加して気流を発生させる際に発生するオゾンを分解するオゾン分解機構を備えたことを特徴とする気流発生装置が提供される。
また、本発明の一態様によれば、酸素を含む気体に接する誘電体の一方の表面または表面近傍に第1の電極を設け、前記誘電体の他方の表面または表面近傍に前記第1の電極に対するように第2の電極を設け、これらの電極間に高電圧を印加して前記気体の一部をプラズマ化することにより気流を発生させる気流発生装置において、活性酸素原子(Oラジカル)との反応性が酸素分子よりも高い物質を前記誘電体の一方の表面上に供給する物質供給手段を備えたことを特徴とする気流発生装置が提供される。
本発明の気流発生装置によれば、気流を発生させる際の放電によって発生するオゾンを分解することができる。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1および図2は、本発明に係る第1の実施の形態の気流発生装置10の断面を示す図である。
図1および図2は、本発明に係る第1の実施の形態の気流発生装置10の断面を示す図である。
図1に示すように、気流発生装置10は、固体からなる誘電体20と、誘電体20の一方の表面20aに設けられた第1の電極30と、誘電体20の他方の表面20b近傍に、第1の電極30に対設された第2の電極31と、誘電体20の一方の表面20a上に形成されたオゾン分解層40とを備えている。
誘電体20は、例えば、樹脂材料やセラミックス材料などの誘電材料で構成される。樹脂材料としては、例えば、次に示す熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、芳香族樹脂等から選択された樹脂材料で構成される。選択される樹脂材料として、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリプロピレン、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリケトン、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
また、セラミックス材料としては、窒化アルミ、アルミナ、ジルコニア、ハフニア、チタニア、シリカなどを主成分としたセラミックス材料などが挙げられる。なお、セラミックス材料を使用する場合、誘電体20の表面に付着した水滴が含浸して、気流発生装置10の絶縁耐力が低下するのを防止するために、例えば、気孔率が10%以下、好ましくは5%以下の緻密質からなるセラミックス材料を使用することが好ましい。
第1の電極30は、誘電体20の一方の表面20aに設けられ、第2の電極31は、誘電体20の他方の表面20b近傍に埋設され、かつ第1の電極30に対設されている。ここで、図1に示された一例では、第1の電極30の一方の表面が誘電体20の一方の表面20aから突出するように配置されているが、第1の電極30が誘電体20に埋設されるように構成されても、また、第1の電極30の一方の表面が誘電体20の一方の表面20aと同一平面となるように構成されてもよい。また、図1に示された一例では、第2の電極31が、誘電体20に埋設されるように構成されているが、例えば、気流発生装置10を誘電体材料で構成された部位に設置する場合には、第2の電極31の一方の表面が誘電体20の他方の表面20bから突出するように配置されても、第2の電極31の一方の表面が誘電体20の他方の表面20bと同一平面となるように構成されてもよい。また、第1の電極30と第2の電極31とは、直接接触することなく誘電体20を介在させて配設されている。また、第1の電極30と第2の電極31は、例えばケーブルを介してそれぞれの電極間に電圧を印加する放電用電源(図示しない)と接続されている。
第1の電極30および第2の電極31は、気流発生装置10が使用される環境に応じて、公知の導電性の材料から適宜に選択される。第1の電極30および第2の電極31は、例えば、銅箔などを用いることができる。また、第1の電極30および第2の電極31として、例えば、ステンレス、インコネル(商品名)、ハステロイ(商品名)、チタン、白金、タングステン、モリブデン、ニッケル、銅、金、銀、すず、クロム等の金属や、これらの金属元素を主成分とする合金、カーボンナノチューブ、導電性セラミックス等の無機良導電体や、導電性プラスチック等の有機良導電体等を使用する環境下に応じて使用することもできる。
特に、インコネル、ハステロイ、チタン等の耐熱または耐腐食性金属を導電体に用いた場合には、高温多湿、酸化性等の高腐食雰囲気においても長期間使用することができる電極を実現することができる。また、金属でなく導電性プラスチックを導電体に用いた場合には、製造コストを大幅に削減できるだけでなく、加工性がよくなり、複雑曲面等の複雑形状の気流発生装置が実現できる。
オゾン分解層40は、オゾン分解機構として機能し、酸素を含む気体中(例えば大気中)で第1の電極30と第2の電極31との間に高電圧を印加して気流を発生させる際に発生するオゾン(O3)を分解する機能を発揮するものである。
オゾン分解層40は、図1に示すように、誘電体20の一方の表面20a上において、第1の電極30の端縁30aに対応する位置から第2の電極31側の方向に所定の幅Lを有して形成されることが好ましい。
オゾン分解層40の所定の幅Lは、0より大きければ、発生するオゾンを分解する効果は得られるが、特に、オゾンが生成される放電が生じる領域に形成されていることが好ましい。例えば、オゾン分解層40の所定の幅Lを、第1の電極30の端縁30aに対応する位置から、第2の電極31の、第1の電極30側の端縁31aと対向する端縁31bに対応する位置までの幅L1に設定することが好ましい。
また、オゾン分解層40は、第1の電極30の表面上の、第2の電極31側となる一方の端縁から、これに対向する他方の端縁側の方向に所定の幅を有して形成されてもよい。例えば、図2に示すように、オゾン分解層40を第1の電極の表面上の一面に設けてもよい。なお、オゾン分解層40は、誘電体の一方の表面20a上および第1の電極の表面上の双方に設けられてもよい。
上記したオゾン分解層40は、オゾン分解するための触媒材料で構成された触媒層や、オゾンを吸着させて分解する吸着分解層などで構成される。
オゾン分解層40を上記した触媒層として機能させる場合(触媒分解法)には、触媒層を構成する材料として、高いオゾン分解能を有する物質を使用することが好ましい。触媒層を構成する材料として、例えば、酸化マンガン(MnO)、二酸化マンガン(MnO2)、二酸化ケイ素(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、酸化第二鉄(Fe2O3)、酸化銅(CuO)、二酸化チタン(CuO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化コバルト(Co3O4)、五酸化バナジウム(V2O5)、酸化ニッケル(NiO、NiO2)などを用いることができる。これらの材料で構成される触媒層の表面でオゾンは分解して酸素になる。
一方、オゾン分解層40を上記した吸着分解層として機能させる場合(吸着分解法)には、吸着分解層を構成する材料として、例えば、活性炭、ゼオライト(例えば、モレキュラーシーブ(商品名)など)、シリカゲルなどを用いることができる。例えば、吸着分解層を構成する材料として活性炭を用いた場合、吸着されたオゾンは活性炭と反応して二酸化炭素や一酸化炭素を生成する。この発熱反応は反応速度が遅く、活性炭の表面にオゾンが蓄積するが、この発熱反応によりオゾンは分解され酸素になる。
オゾン分解層40の厚さは、0.1〜1000μmであることが好ましい。この範囲が好ましいのは、オゾン分解層40の厚さが0.1μmより薄い場合には、機械的衝撃により剥がれることがあるからであり、オゾン分解層40の厚さが1000μmより厚い場合には、基材との熱膨張率の差によって割れが生じることがあるからである。また、オゾン分解層40は、オゾンとの接触面積を大きくしてオゾンの分解効果を向上させるために、例えば、繊維状、ポーラス状、ハニカム状などの多孔質体で構成されることが好ましい。
上記した、オゾン分解層40は、例えば、上記した材料の粉末を溶射などによって、誘電体20の一方の表面20a上や第1の電極の表面上に固着させることで形成される。また、例えば、有機系または無機系の結合剤、水、アルコールなどの溶媒に、上記した材料の粉末を混合してスラリー状にしたものを、誘電体20の一方の表面20a上や第1の電極の表面上に塗布し、熱処理などにより乾燥させてオゾン分解層40を形成してもよい。
さらに、例えば、有機系または無機系の結合剤、水、アルコールなどの溶媒に、上記した材料の粉末を混合してスラリー状にしたものを担体に含浸または塗布し、熱処理などにより乾燥させて溶媒を除去したものを誘電体20の一方の表面上や第1の電極の表面上に配置してもよい。この場合、担体は、オゾンとの接触面積を大きくして分解効果を増大させるため、繊維状、ポーラス状、ハニカム状などの多孔質体で構成されることが好ましい。なお、誘電体20の一方の表面20a上や第1の電極の表面上にオゾン分解層40を形成する方法は、上記した方法に限定されるものではない。
上記したように作製された気流発生装置10において、第1の電極30と第2の電極31との間に高電圧を印加して気流を発生させる。放電によって発生したオゾンの一部は、上記したオゾン分解層40によって分解される。
上記したように、第1の実施の形態の気流発生装置10によれば、オゾン分解層40を設けることで、第1の電極30と第2の電極31との間に高電圧を印加して気流を発生させる際に発生したオゾンの一部を分解することができる。これによって、外部に放出されるオゾン量を低減することができる。すなわち、気流を発生させる際における、気流発生装置10周囲のオゾン濃度の増加を抑制することができる。
(第2の実施の形態)
図3は、本発明に係る第2の実施の形態の気流発生装置11の断面を示す図である。なお、第1の実施の形態の気流発生装置10の構成と同一部分には同一の符号を付して重複する説明を省略または簡略する。
図3は、本発明に係る第2の実施の形態の気流発生装置11の断面を示す図である。なお、第1の実施の形態の気流発生装置10の構成と同一部分には同一の符号を付して重複する説明を省略または簡略する。
第2の実施の形態の気流発生装置11は、オゾン分解機構として、少なくとも、誘電体20の一方の表面20aを加熱する加熱手段50を備えている。すなわち、第2の実施の形態の気流発生装置11は、少なくとも、気流を発生させる際に生成されるオゾンが接触する領域を加熱する加熱手段50を備えている。なお、第1の電極30が誘電体20の一方の表面20aから外部に露出する場合には、加熱手段50によって、第1の電極30を加熱するように構成することが好ましい。
加熱手段50は、例えば、図3に示すように、誘電体20の他方の表面20bに設けることができる。この加熱手段50は、熱を放出するものであればよく、例えば、電気ヒータなどを使用することができる。なお、加熱手段50は、誘電体20の他方の表面20bに設けられることに限らず、例えば、誘電体20の内部に埋設されてもよい。また、加熱手段50として、マイクロ波や赤外線等により、誘電体20の一方の表面20aにエネルギを遠隔的に供給して加熱する構成を備えてもよい。
また、第1の電極30や第2の電極31を高抵抗導電体で構成することで、加熱手段50として機能させてもよい。第1の電極30や第2の電極31を高抵抗導電体で構成し、多くのジュール熱を発生させることで、誘電体20の一方の表面20aを加熱することができる。ここで、高抵抗導電体を、例えば抵抗値が、体積抵抗率で0.01〜10μΩm以上の導電体で構成することが好ましい。この範囲の抵抗値が好ましいのは、体積抵抗率がこの範囲の高抵抗導電体を使用することで、誘電体内に埋設できる程度に高抵抗導電体を小型化することができるからである。具体的には、高抵抗導電体として、Cu−Ni、Fe−Ni、Fe−Ni−Cr、Ni−Cr、Cu−Mn、Cu−Mn−Ni、Fe−Cr−Al、Fe−Cr等の合金、高融点金属発熱体(例えば、白金、モリブデン、タンタル、タングステン)、非金属発熱体(例えば、炭化珪素、モリブデン−シリサイト、カーボン)などを使用することが好ましい。
また、誘電体20を高い誘電損率を有する誘電体で構成することで、加熱手段50として機能させてもよい。この場合、誘電体20に交流電界を加えることで生じる分極に伴う熱エネルギを利用して、誘電体20の一方の表面20aを加熱することができる。また、誘電体20の気体に接する一方の表面20a部分のみに、高い誘電損率を有する誘電体をコーティング等の方法で備えることで、オゾンに接する部分のみを効率的に加熱することができる。これによって、効率的にオゾンを分解することができる。ここで、誘電損率は、比誘電率と誘電正接を乗じたものである。また、誘電体20を、例えば誘電正接が1×10−4以上、好ましくは10×10−4程度の誘電体で構成することが好ましい。
この範囲の誘電正接が好ましいのは、この範囲の誘電正接は、第1の電極30と第2の電極31と間の絶縁のために用いられている誘電体20の誘電正接よりも大きいため、誘電体20全体を加熱せずに、誘電体20の一方の表面20a部分を局所的に加熱することができるからである。具体的には、誘電体20として、ガラス、ナイロン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、大理石、クロロプレンゴムなどを使用することが好ましい。
上記した構成を備える気流発生装置11において、第1の電極30と第2の電極31との間に高電圧を印加して気流を発生させる。また、放電によって発生したオゾンの一部は、誘電体20の一方の表面20aや第1の電極30と接触して熱伝達によって、さらには誘電体20の一方の表面20aや第1の電極30からの熱放射によって加熱され分解される。なお、オゾンの熱分解を促進するために、加熱手段50によって、オゾンの温度が局所的に300℃以上となるように加熱することが好ましい。
上記したように、第2の実施の形態の気流発生装置11によれば、加熱手段50を設けることで、第1の電極30と第2の電極31との間に高電圧を印加して気流を発生させる際に発生したオゾンの一部を分解することができる。これによって、外部に放出されるオゾン量を低減することができる。すなわち、気流を発生させる際における、気流発生装置11周囲のオゾン濃度の増加を抑制することができる。
(第3の実施の形態)
図4は、本発明に係る第3の実施の形態の気流発生装置12の断面を示す図である。なお、第1の実施の形態の気流発生装置10の構成と同一部分には同一の符号を付して重複する説明を省略または簡略する。
図4は、本発明に係る第3の実施の形態の気流発生装置12の断面を示す図である。なお、第1の実施の形態の気流発生装置10の構成と同一部分には同一の符号を付して重複する説明を省略または簡略する。
第3の実施の形態の気流発生装置12は、活性酸素原子(Oラジカル)との反応性が酸素分子よりも高い物質を誘電体20の一方の表面20a上に供給する物質供給手段60を備えている。この物質供給手段60は、図3に示すように、噴出口61と、この噴出口61に連通する供給通路62と、供給通路62に物質を供給する物質供給源(図示しない)とを備えている。
噴出口61は、第1の電極30の、第2の電極31側となる一方の端縁30aに対向する他方の端縁30b側の近傍における誘電体20の一方の表面20aに形成され、物質を外部に噴出する。この噴出口61は、上記した誘電体20の一方の表面20aに、1つまたは複数設けられる。なお、噴出口61が形成される位置は、上記した位置に限定されるものではなく、気流発生装置12における誘電体20の一方の表面20a上を流れる主流の方向によって適宜に設定される。すなわち、噴出口61は、気流発生装置12の表面上を流れる主流の流れによって、オゾンが生成される領域に、噴出口61から噴出される物質を運ぶことができる位置に形成される。
供給通路62は、噴出口61に連通するように誘電体20内に形成され、物質供給源から供給された物質を噴出口61に導く。この供給通路62は、例えば、第1の電極30の、第2の電極31側となる一方の端縁30aに沿う方向に設けられる。例えば、気流発生装置12において気流を発生させる際、物質供給源によって物質が供給通路62に供給される。
噴出口61から噴出される物質は、上記したように、活性酸素原子(Oラジカル)との反応性が酸素分子よりも高い物質であり、例えば、気体の炭化水素などを用いることができる。気体の炭化水素として、例えば、メタン(CH4)などのパラフィン系炭化水素、エチレン(C2H4)、プロピレン(C3H6)などのオレフィン系炭化水素、アセチレン(C2H2)などのアセチレン系炭化水素、を使用することができる。
ここで、噴出口61から噴出される物質として、活性酸素原子(Oラジカル)との反応性が酸素分子よりも高い物質を用いるのは、活性酸素原子(Oラジカル)と噴出口61から噴出された物質との反応を促進し、活性酸素原子(Oラジカル)が酸素分子と反応してオゾンを生成する反応を抑制するためである。すなわち、上記物質は、オゾンの生成を抑制するオゾン生成抑制物質として機能する。
なお、オゾンは、上記したオゾン生成抑制物質と反応することで分解される。すなわち、上記したオゾン生成抑制物質は、オゾンを分解するためのオゾン分解機構としても機能している。このオゾンとオゾン生成抑制物質との反応は、比較的低温でも反応が促進される。
上記した構成を備える気流発生装置12において、第1の電極30と第2の電極31との間に高電圧を印加して気流を発生させる。また、第1の電極30と第2の電極31との間に高電圧を印加する際、物質供給源から上記したオゾン生成抑制物質を供給通路62に供給し、噴出口61から誘電体20の一方の表面20a上に噴出する。噴出されたオゾン生成抑制物質は、誘電体20の一方の表面20a上を流れる主流の流れによって、オゾンが生成される領域に運ばれ、オゾンの生成を抑制する。なお、オゾン生成抑制物質は、生成されたオゾンの一部と反応してオゾンを分解する。
上記したように、第3の実施の形態の気流発生装置12によれば、物質供給手段60を設けることで、第1の電極30と第2の電極31との間に高電圧を印加して気流を発生させる際もオゾンの生成を抑制することができる。また、物質供給手段60を設けることで、生成されたオゾンの一部を分解することもできる。これによって、外部に放出されるオゾン量を低減することができる。すなわち、気流を発生させる際における、気流発生装置12周囲のオゾン濃度の増加を抑制することができる。
(オゾン濃度の評価試験)
次に、前述したオゾン分解機構を設けることで、常温空気中でのオゾン濃度の増加が抑制されることを具体的に説明する。
次に、前述したオゾン分解機構を設けることで、常温空気中でのオゾン濃度の増加が抑制されることを具体的に説明する。
ここでは、図1に示す気流発生装置10を用いて、オゾン濃度の評価試験を行った。
気流発生装置10の誘電体20として、アルミナからなる幅が20mm、長さが120mm、厚さが1mmの平板を使用した。また、結合剤などからなる溶媒に、二酸化マンガン(MnO2)を添加してスラリーを作製した。誘電体20の一方の表面20a上に、作製したスラリーを塗布し、熱処理などにより溶媒を除去し、オゾン分解層40を形成した。このオゾン分解層40の厚さは、10μmであった。また、オゾン分解層40は、第1の電極30の端縁30aに対応する位置から、第2の電極31の、第1の電極30側の端縁31aと対向する端縁31bに対応する位置まで(図1に示した幅L1)形成した。
また、第1の電極30および第2の電極31には、銅からなる幅が2mm、長さが80mm、厚さが0.25mmの平板を使用した。
上記したように作製された気流発生装置10を用いて、オゾン濃度の評価試験を行った。なお、比較のために、上記したように作製された気流発生装置10において、オゾン分解層40を有しない構成の気流発生装置においてもオゾン濃度の評価試験を行った。
オゾン濃度の評価試験では、第1の電極30と第2の電極31との間に、周波数が5kHz、電圧が3kV0pの両極性高周波高電圧を印加した。ここで、第1の電極30の周囲の所定位置における空気をサンプリングポンプにて1L/分で吸引し、オゾン濃度計に導いてオゾン濃度を測定した。
図5は、オゾン濃度の評価試験結果を示す図である。なお、評価試験結果は、放電入力とオゾン濃度との関係を示しており、評価試験では、放電入力を変化させて試験を行った。ここで、放電入力とは、放電に投入される電源2次側の電力である。なお、放電入力は、放電電極直近の印加電圧と放電電極に流入する電流の積の時間積分の平均値で評価されている。
図5に示すように、オゾン分解層40を備える場合には、オゾン分解層40を備えない場合に比べて、放電入力によらず、オゾン濃度は低かった。
なお、前述した他の構成のオゾン分解層40を備える気流発生装置、または物質供給手段60を備える気流発生装置においても、放電入力に対するオゾン濃度の変化率、すなわち、図5における直線の傾きはそれぞれ異なるが、オゾン濃度は、放電入力によらず、図5に示したオゾン分解層40を備えない場合よりも低かった。
以上、本発明を一実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
10,11,12…気流発生装置、20…誘電体、30…第1の電極、30a,30b,31a,31b…端縁、31…第2の電極、40…オゾン分解層、50…加熱手段、60…物質供給手段、61…噴出口、62…供給通路。
Claims (8)
- 酸素を含む気体に接する誘電体の一方の表面または表面近傍に第1の電極を設け、前記誘電体の他方の表面または表面近傍に前記第1の電極に対するように第2の電極を設け、これらの電極間に高電圧を印加して前記気体の一部をプラズマ化することにより気流を発生させる気流発生装置において、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に高電圧を印加して気流を発生させる際に発生するオゾンを分解するオゾン分解機構を備えたことを特徴とする気流発生装置。 - 前記オゾン分解機構が、前記誘電体の一方の表面上において、前記第1の電極の前記第2の電極側となる端縁に対応する位置から前記第2の電極側の方向に所定の幅を有して形成されていることを特徴とする請求項1記載の気流発生装置。
- 前記オゾン分解機構が、前記第1の電極の表面上の、前記第2の電極側となる一方の端縁から、これに対向する他方の端縁側の方向に所定の幅を有して形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の気流発生装置。
- 前記オゾン分解機構が、酸化マンガンおよび二酸化マンガンのうちの少なくとも一方で構成される触媒層であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の気流発生装置。
- 前記オゾン分解機構が、活性炭で構成される吸着分解層であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の気流発生装置。
- 前記オゾン分解機構が、少なくとも、前記誘電体の一方の表面を加熱する加熱手段であることを特徴とする請求項1記載の気流発生装置。
- 酸素を含む気体に接する誘電体の一方の表面または表面近傍に第1の電極を設け、前記誘電体の他方の表面または表面近傍に前記第1の電極に対するように第2の電極を設け、これらの電極間に高電圧を印加して前記気体の一部をプラズマ化することにより気流を発生させる気流発生装置において、
活性酸素原子(Oラジカル)との反応性が酸素分子よりも高い物質を前記誘電体の一方の表面上に供給する物質供給手段を備えたことを特徴とする気流発生装置。 - 前記物質が、気体の炭化水素であることを特徴とする請求項7記載の気流発生装置。
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JP2009080277A JP2010227879A (ja) | 2009-03-27 | 2009-03-27 | 気流発生装置 |
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JP2017045565A (ja) * | 2015-08-25 | 2017-03-02 | 株式会社東芝 | 気流発生装置および風力発電システム |
JP2020106024A (ja) * | 2018-12-27 | 2020-07-09 | 三星電子株式会社Samsung Electronics Co.,Ltd. | 送風装置、熱交換ユニット及び空気清浄ユニット |
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2009
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