JP4631861B2 - 空気浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばトルエンやキシレン、スチレンなど大気に放出すると環境に影響を与える有機溶剤やその他有機化合物の蒸気すなわち揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds:以下VOCと略す)や、環境汚染物質ガス分子の分解に用いられる空気浄化装置に関するものである。
塗装工場や半導体工場、あるいは印刷工場などは多量の有機溶剤を使用している。このような工場から大気に排出されるVOCは、太陽光やオゾンなどとの反応により炭化水素系微粒子を形成したり、大気中のオゾン濃度を増大させたりするなど大気環境に重大な影響を与えることが知られている。このため、VOCを回収し分解処理することが強く求められている。また、室内では、化粧品、薬品、建材、接着剤、タバコなどから放出されるホルムアルデヒド(HCHO)やアセトアルデヒド(CHCHO)、芳香族炭化水素などの化学物質を分解処理する技術が生活環境を改善する上で望まれている。
特許文献1による有機ガス処理装置では、有機ガスを吸着剤に吸着、乾燥除去し、空気を清浄化している。吸着剤は有機分子を吸着できる量が決まっているため、所定の量を吸着するとそれ以上有機ガスを吸着できなくなる。この吸着できなくなる状態を吸着剤が破過するという。そのため、引き続き吸着させるために、ある一定量の有機ガスが吸着されると、吸着剤を再生するためにプラズマにより吸着した有機ガスを分解処理している。このプラズマ処理時に生成される副生成物と未分解物の装置外への放出を抑えるために循環によって、吸着剤に再吸着させるというものである。
また、特許文献2による有機物質の処理装置では、ハニカムロータ型の吸着剤で揮発性有機物質を除去して、脱着濃縮した後、放電処理により酸化させ、分解を行う、放電処理後、ガスを吸着工程の入口に戻すものである。
さらに、特許文献3による排ガス浄化装置では、吸着剤が充填された低温プラズマ反応器で吸着された揮発性有機物質を分解処理する。複数のプラズマ反応器が並列に配置された排ガス浄化装置であり、プラズマによる分解処理時、酸素供給装置により酸素を供給することで窒素酸化物の副生成物を抑えている。
特開2004−321954号公報 特開平10−202038号公報 特開2005−230627号公報
しかしながら、上記、従来の空気浄化装置においては、吸着した有機ガス分子などの被処理ガスをプラズマで分解処理する際、被処理ガスの物質や濃度によっては、充分な酸素が供給されないと、酸素不足による不完全燃焼により完全に分解処理できないという問題があった。このため、空気浄化装置の中には、プラズマ分解処理時に酸素を供給する酸素供給装置を備え、これから補助的に酸素を供給するようにしたものがあった。
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであり、酸素供給装置を必要とせず、分解処理時に処理ユニット内で必要な酸素量を確保し、連続的に空気中の有機ガス分子を浄化できる空気浄化装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る空気浄化装置は、筒状筐体内に高圧電極と有機ガス分子を吸着する吸着材を含む接地電極とからなる放電用電極対を有し、筒状筐体に吸気口および排気口を有する少なくとも一対の処理ユニットと、放電用電極対の前後に設けられ、一対の処理ユニット間を連通する第一の流路および第二の流路と、放電用電極対に接続されプラズマを発生させるための高圧電源と、処理ユニット内に被処理空気を導入するためのファンと、吸気口および排気口を遮蔽する可動式のシャッタと、を備え、処理ユニットの一方に有機ガス分子の吸着動作を、他方にプラズマによる分解処理動作をさせ、時間的にそれぞれ分解処理動作と吸着動作とに交互に切り替えて作動させることを特徴とするものである。
この課題解決手段によれば、一対の処理ユニットにおいて、一方の処理ユニットで有機ガス分子の吸着を、他方の処理ユニットで吸着された有機ガス分子の分解処理を行い、それぞれの処理ユニットで吸着と分解処理の動作を時間的に交互に入れ替えて行っているので、被処理空気の浄化作業を中断させることなく連続して処理することができる。また、分解処理を行っている処理ユニット内の酸素が不足しないように、吸着を行っている処理ユニット側から吸着処理後の被処理空気の一部を連結管により分解処理を行っている処理ユニット側に供給しているので、分解処理時の不完全燃焼が抑制できる。
本発明の空気浄化装置によれば、一対の処理ユニットを吸着あるいは分解処理装置として、交互に入れ替えて使用しているため、有機ガス分子の吸着と分解処理が連続的にできるので、浄化作業を中断させることなく被処理空気中の有機ガス分子を連続的に処理できる効果がある。さらに、酸素供給装置を使用することなく、不完全燃焼を起こさせずに有機ガス分子を完全に分解処理できる効果もある。
以下、本発明の実施の形態に係る空気浄化装置の構成と動作について、図を参照しながら説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気浄化装置の構成断面図を示すものである。図2は、処理ユニットの放電電極部の構成斜視図である。
図1に示すように、第一の処理ユニット1の筒状筐体2の中央部には、高圧電極3aおよび接地電極3bからなる複数の放電用電極対で構成される放電電極部3が配置され、放電電極部3はプラズマを発生させるための高圧電源4にスイッチ5を介して接続され、同様に、第二の処理ユニット101の中央部には、筒状筐体102の中央部にも、高圧電極103aおよび接地電極103bからなる放電用電極対で構成される放電電極部103が配置され、放電電極部103はプラズマを発生させるための高圧電源104にスイッチ105を介して接続されている。第一の処理ユニット1と第二の処理ユニット101とが一対で並置され、放電電極部3および放電電極部103の前後で第一の流路である連結管13および第二の流路である連結管14により、第一の処理ユニット1と第二の処理ユニット101とは互いに連結されている。筒状筐体2および102の吸気口10と110側には、狭窄部12および112が設けられている。また、第一の処理ユニット1と第二の処理ユニット101の吸気口10、110および排気口11、111には可動式のシャッタ8および9が取り付けられ、第一の処理ユニット1と第二の処理ユニット101のいずれかが遮蔽されるように設けられている(図1では、第二の処理ユニット101の吸気口110および排気口111が遮蔽されている)。さらに、吸気口10、110の入口側には除塵フィルタ15が取り付けられ、排気口11、111の出口側には、被処理空気を導入するファン7および107が設置されている。
図2で示すように、放電電極部3は、誘電体3dで被覆された高圧電極3aと、金属やその酸化物あるいはその複合体からなる触媒を添加したゼオライトX(SiO(Al(ただし、Xは陽イオン、a、b、cはそれぞれ整数)をハニカム形状やメッシュ形状のセラミック基台に添着した吸着材3hの側面周囲に帯状の金属などの導電体3tを接合した接地電極3bから構成されている。また、放電電極部3は、高圧電極3aと接地電極3bとの放電用電極対を、少なくとも一対を単位として構成されるが、ここでは、三対の放電用電極対で構成された例を示す。放電電極部103についても同様である。高圧電極3aと誘電体3dが必ずしも接触している必要はなく空隙があってもよい。
具体的には、誘電体3dは、アルミナ、石英、ガラス、セラミックスであり、吸着材3hは、空気を流した時の圧力損失を減らすために1cmあたり16〜155個のハニカムもしくはコルゲート形状のセルを持つセラミック基台に、SiO、AlからなるFAU構造やMFI構造をもつゼオライトなどの吸着剤と、マンガン、銅、銀、ニッケル、亜鉛、鉄やこれらの酸化物あるいはその複合体からなる触媒との混合物を添着したものである。ここでFAU、MFIは国際ゼオライト学会(International Zeolite Association:IZA)で決定された構造コードであり、FAUはフォージャサイトとも呼ばれ、細孔径1.2nm程度の比較的大きな細孔を持つ12員環のゼオライトであり、MFI構造はZSM5ともよばれ10員環、細孔0.5〜0.6nmの細孔を持つゼオライトである。また、触媒は有機ガス分子の酸化分解反応を促進する作用を持つ。ゼオライトは、SiOとAlの組成比によって疎水性と親水性のものがある。有機ガス分子に対して吸着効率のよいSiOの組成比率が高い疎水性のゼオライトが好ましい。
また、吸着材3hの別の製法として、ゼオライトの粉末と粘土やアルミナなどのつなぎ(バインダー)でハニカムやコルゲート状に押し出し成型後、焼成したものを基台として、これにマンガン、銅、銀、ニッケル、亜鉛、鉄から選ばれる少なくとも1種類以上の金属やこれらの酸化物やその複合体からなる触媒をイオン交換や含浸により添着したものであってもよい。一般的にゼオライトなどの吸着剤はポーラスであるため、空気中の水分を吸着して導電性を持つ。しかし、疎水性ゼオライトにイオン交換により触媒を添着した場合には、吸湿性が低いため導電性が低くなるので、金属粒子をハニカム基台に混ぜる、もしくは、金属基台に吸着剤を添着させることによって導電性を持たせることができる。さらに、金属粒子に粒径数ナノメートルの粒子を利用する、あるいは、チタン、亜鉛、白金、金、銀などの金属で基台を作ることによりに金属自体に触媒作用をもたせることもできる。
次に、実施の形態1に係る空気浄化装置の動作について、図3を参照して説明する。一対以上の処理ユニットが吸着動作と放電分解動作を交互に繰り返している。
まず、図3(a)で示す第一の処理ユニット1を吸着動作、第二の処理ユニット101を分解処理動作させる場合について説明する。シャッタ8および9は第二の処理ユニット101側にある。ファン7により被処理空気が第一の処理ユニット1に導入される。被処理空気は除塵フィルタ15により、空気中に浮遊している塵や埃、ペンキカスなどの粒子が取り除かれた後、第一の処理ユニット1の吸気口10から筒状筐体2に導かれ、狭窄部12を経て、放電電極部3の接地電極3bの吸着材3hにより被処理空気から有機ガス分子が吸着、除去され、排気口11から清浄空気として外部に排出される。一方、第一の処理ユニット1が吸着動作を行っている間、第二の処理ユニット101では、スイッチ105がONにされ、高圧電源104から高圧電極103aと接地電極103b間に高電圧が印加され放電により、プラズマが発生し、予め接地電極103bの吸着材103hに吸着されていた有機ガス分子が式(1)から式(6)で示される反応により、酸化され、二酸化炭素と水に分解処理される。
放電により発生されたプラズマによる被処理空気中に含まれる炭化水素やアルデヒドなどの有機ガス分子の分解に関わる主な反応は、式(1)から式(6)で表される。具体的には、有機ガス分子の分解は、放電により生成されたオゾン(O)による分解、酸素原子(O)による分解、およびペルオキシドラジカル(OH)による分解とに別けられる。
まず、式(1)から(3)で示すオゾンによる分解では、式(1)で示されるように、酸素分子(O)が電子(e)により酸素原子(O)に分解される。次に、式(2)で示されるように、酸素原子(O)と酸素分子(O)とによりオゾン(O)が生成される。続いて、式(3)に示されるように、このオゾン(O)により有機ガス分子(C)は二酸化炭素(CO)と水(HO)とに分解される。式(4)で示す酸素原子(O)による分解では、式(1)で示される酸素原子(O)により有機ガス分子(C、ただし、k、m、nは整数)は二酸化炭素(CO)と水(HO)に分解される。また、式(5)と式(6)に示すペルオキシドラジカル(OH)による分解では、式(5)で示されるように、水(HO)と酸素分子(O)が反応してペルオキシドラジカル(OH)が生成され、次に、式(6)で示されるように、このペルオキシドラジカル(OH)により有機ガス分子(C)は二酸化炭素(CO)と水(HO)とに分解される。
e+O → e+O+O (1)
ここで、eは電子を表し、電子は放電により生じる。
O+O → O (2)
+(2k+m/2−n)O → kCO+(m/2)H
+(2k+m/2−n)O (3)
+(2k+m/2−n)O → kCO+(m/2)HO (4)
O+1/2O → 2OH (5)
+(4k+m−2n)OH →
kCO+(2k+m−n)HO (6)
いずれの反応においても、有機ガス分子の分解には酸素が必要であり、充分な酸素が供給されないと不完全燃焼が生じ、有機ガス分子が完全に分解されない。被処理空気が、第一の処理ユニット1の狭窄部12を通る際、流速が速くなり、圧力が低下し、第二の処理ユニット101内の空気が第一の流路となる連結管13を通して第一の処理ユニット1内に引き込まれる。これに伴い、第一の処理ユニット1の放電電極部3を通過した被処理空気の一部が第二の流路となる連結管14を通して第二の処理ユニット101内に導入される。この現象を利用して、第一の処理ユニット1から第二の処理ユニット101に被処理空気の一部が供給されることにより酸素不足は解消されるので、第二の処理ユニット101での放電分解処理によって、有機ガス分子が二酸化炭素と水に完全に分解処理される。
分解に伴って生成された二酸化炭素は、吸着されることなく第一の処理ユニット1を通って外部に排出される。また、分解に伴って生成された水は、第二の処理ユニット101内の温度によって水蒸気となり、連結管13を通って第一の処理ユニット1に導入される。このとき、第二の処理ユニット101内を流れる空気流量に比べて、第一の処理ユニット1内を流れる空気流量の方が大きいため、第一の処理ユニット1内で結露することなく、吸着材3hに一部吸着されるが、大半は空気浄化装置外に排出される。放電分解処理後の被処理空気を再び、吸着処理を行っている第一の処理ユニット1に戻しているため、放電時の中間生成物を空気浄化装置外に漏洩させることはなく、常に清浄な空気だけを空気浄化装置外に排出することができる。
図3(b)で示すように、第一の処理ユニット1において、有機ガス分子が所定の量吸着され、吸着材が破過した段階で、第一の処理ユニット1と第二の処理ユニット101動作を入れ替える。すなわち、シャッタ8およびシャッタ9が第一の処理ユニット1側に移動され、ファン7が停止され、ファン107が動作され、さらに、スイッチ105がOFFにされ、次に、スイッチ5がONにされて放電電極部3に高圧電源4から高電圧が印加され、放電により発生したプラズマで、接地電極3bの吸着材3hに吸着されていた有機ガス分子が酸化され、二酸化炭素と水に分解処理される。被処理空気が、第二の処理ユニット101の狭窄部112を通る際、流速が速くなり、圧力が低下し、第一の処理ユニット1内の空気が連結管13を通して第二の処理ユニット101内に引き込まれる。これに伴い、第二の処理ユニット101の放電電極部103を通過した被処理空気の一部が連結管14を通して第一の処理ユニット1内に流入される。分解に伴って生成された二酸化炭素と水は、連結管13から第二の処理ユニット101を通って、外部に排出される。第一の処理ユニット1と第二の処理ユニット101の処理動作を交互に入れ替え、繰り返すことにより、連続的に空気中の有機ガス分子が分解処理される。なお、一対の処理ユニットの吸着と放電分解の切り替え時には、放電分解処理の処理ユニットのみシャッタが閉じられるように切り替ることにより自動的に連結管14を通過する空気の流れる方向は変わる。
ここで、シャッタの役割は、放電分解処理の処理ユニットに被処理空気が流入することを防止するとともに放電により発生する熱が処理ユニット外に逃げるのを抑え、触媒の温度を上げることによって吸着物質の分解を促進させるためである。
第一の処理ユニット1の破過した接地電極3bの吸着材3hを再生するため、放電電極部3は高圧電源4により発生させた波高値1〜30kV、周波数50〜10,000Hzの正弦波もしくは矩形波交流電圧、または、パルス的に発生する正負両極性もしくは正また負のみの単極性電圧を印加して、高圧電極3aと吸着材3hを含む接地電極3bの間で放電させる。なお、放電させる印加電圧と周波数は、高圧電極3aと接地電極3b間の距離、吸着した有機ガス分子物質を分解するために必要な投入エネルギーにより決定される。第二の処理ユニット101の破過した接地電極103bの吸着材103hを再生する場合も同様である。高圧電極3aと吸着材3hとの間に誘電体3dが存在することにより、放電が開始されると誘電体表面に電荷の移動が起こり、電極表面に一様に放電を発生させることが可能になる。また、この誘電体3dにより高圧電極3aと吸着材3hとの間での短絡が抑制される。
狭窄部12により他の処理ユニットへ空気が吸引される動作を第一の処理ユニット1を例に図4により説明する。吸着動作を行っている第一の処理ユニット1から放電分解動作を行っている第二の処理ユニット101側に連結管14を通して、空気を供給するためには、吸気口10での圧力に対する狭窄部12での圧力差は、接地電極3bを透過する際に生じる圧力損失以上である必要がある。例えば、使用する接地電極3bの圧力損失が100Paであるとすると、吸気口10での圧力Pを大気圧(100kPa)とすると、狭窄部12での圧力Pとの比P/Pが、0.999以下となれば第二の処理ユニット101側から、連結管13を通して、第一の処理ユニット1側に空気を引き込むことができる。
図5は、図4において風速に対する吸気口10の断面積Aと狭窄部12の断面積Bとの面積比B/A(横軸)と圧力比P/Pを(縦軸)との関係を示したものである。この縦軸の圧力比P/Pが0.999以下であれば、接地電極3bの圧力損失より圧力降下が大きくなり、連結管13を通して第二の処理ユニット101から第一の処理ユニット1に空気を引き込むことができる。なお、図5では、風速が1m/秒、2m/秒と5m/秒の場合の例を示している。風速1m/秒の場合であれば、面積比B/Aが0.06以下、風速2m/秒であれば、0.12以下、風速5m/秒であれば、B/Aが0.3以下であれば圧力比P/Pが0.999以下となり、第一の処理ユニット1に空気を引き込むことができる。第一の処理ユニット1に空気が引き込まれると、連結管13を通って、第二の処理ユニット101に同量の空気が引き込まれる。この結果、放電分解処理を行っている第二の処理ユニット101に酸素が補充されるので、酸素供給装置は不要である。
図6は、シャッタ8の動作機構の例を示すものである。図6(a)は、図1の実施の形態1に示したシャッタ8で、第一の処理ユニット1と第二の処理ユニット101の間をスライドされて開閉する方式のものであり、図6(b)は、各処理ユニットの筒状筐体2と102の吸気口部10に取り付けられた軸16を中心にシャッタ8が被処理空気の流れに対して平行に開く方式のものであり、図6(c)は、シャッタ8が第一の処理ユニット1と第二の処理ユニット101との間に設けられたピン17で固定され、このピン17を中心に回転して処理ユニット間を交互に回転して開閉する方式のものであり、図6(d)は、カメラの絞りで採用されている方式のシャッタ8で、各処理ユニットのそれぞれに取り付けられた絞り羽根18が開閉するものを示す。いずれの方式であっても本発明のシャッタとして同様の効果を奏する。
図1および図2の実施の形態1では、被処理空気の導入のためのファン7およびファン107は第一の処理ユニット1および第二の処理ユニット101の排気口11および排気口111側に設けられていたが、図7に示す第二の例のように、吸気口10および吸気口110側に設置しても同様の効果が期待できる。また、図1および図2では、ファン7とファン107の2台が第一の処理ユニット1と第二の処理ユニット101のそれぞれに設けられていたが、図8に示す第三の例のように、第一の処理ユニット1と第二の処理ユニット101の両方をカバーするファン7の1台であってもよく、同様の効果が期待できる。
このように、実施の形態1に係る空気浄化装置によれば、一対の処理ユニットを吸着あるいは分解処理装置として、交互に入れ替えて使用しているため、有機ガス分子の吸着と放電分解処理が連続的にできるので、浄化作業を中断させることなく被処理空気中の有機ガス分子を連続的に処理できる効果がある。また、放電分解処理後の空気を再び、吸着を行っている処理ユニットに戻すため、放電時の副生成物や放電開始時の温度上昇により脱着する有機ガス分子物質を空気浄化装置外に漏洩させることはなく、常に清浄な空気だけを装置外に排出することができる効果がある。さらに、酸素供給装置を使用することなく、不完全燃焼を起こさせずに空気中の有機ガス分子を完全に分解処理できる効果もある。
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2に係る空気浄化装置の構成断面図を示すものである。
図において、放電分解処理動作を行っている第二の処理ユニット101の排気口111側のシャッタ9が、少し隙間19を残して閉じられている点を除けば、実施の形態1の図1と同様であるので、他の符号の説明を省略する。
次に、実施の形態2に係る空気浄化装置の動作について説明する。ファン7により導入された被処理空気により、吸着処理動作を行っている第一の処理ユニット1の狭窄部12で圧力低下が発生し、これにより連結管13を通して、第二の処理ユニット101内から第一の処理ユニット1に空気が引き抜かれる。これに応じて、第一の処理ユニット1の排出口11から出た被処理空気の一部が、シャッタ9の間隙19から同量の空気が吸い込まれる。この際、間隙19が第二の流路を形成し、実施の形態1の第二の流路である連結管14に相当する機能を果たす。これにより、放電分解処理動作を行っている第二の処理ユニット101での放電分解処理に必要な酸素が供給されるので、吸着材103hに吸着されていた有機ガス分子は酸化され、二酸化炭素と水に完全に分解される。分解に伴って生成された二酸化炭素と水は、連結管13から第一の処理ユニット1を通って、外部に排出される。第一の処理ユニット1と第二の処理ユニット101の吸着と放電分解処理動作を交互に入れ替え、繰り返すことにより、連続的に空気中の有機ガス分子が分解処理される。
なお、一対の処理ユニットの吸着と放電分解処理の切り替え動作については、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
このように、実施の形態2に係る空気浄化装置によれば、一対の処理ユニットを吸着あるいは分解処理装置として、交互に入れ替えて使用しているため、有機ガス分子の吸着と放電分解処理が連続的にできるので、浄化作業を中断させることなく被処理空気中の有機ガス分子を連続的に処理できる。さらに、酸素供給装置を使用することなく、不完全燃焼を起こさせずに空気中の有機ガス分子を完全に分解処理できるという実施の形態1の効果を有するとともに、各処理ユニット間を接続している排気口側の連結管が不要になり、構成が簡単で実施の形態1と同様の効果が期待できる。
実施の形態3.
図10は、本発明の実施の形態3に係る空気浄化装置の構成断面図を示すものである。
図において、第一の処理ユニット1と放電分解処理を行っている第二の処理ユニット101との間の第二の流路である連結管14にプロペラファン型の送風ファン20が設けられている点と筒状筐体2、102に狭窄部がない点を除けば、実施の形態1の図1と同様であるので、他の符号の説明を省略する。
次に、実施の形態3に係る空気浄化装置の動作について説明する。送風用ファン20により吸着処理動作を行っている第一の処理ユニット1の空気の一部を第二の流路となる連結管14を通して、放電分解処理動作を行っている第二の処理ユニット101に放電分解処理に必要な酸素が供給されるので、吸着材103hに吸着されていた有機ガス分子は酸化され、二酸化炭素と水に完全に分解される。分解処理によって生成された二酸化炭素および水は、第一の流路となる連結管13を通して、第一の処理ユニット1に送られ、第一の処理ユニット1を通って、空気浄化装置外に排出される。
なお、一対の処理ユニットの吸着と放電分解処理を切り替えて、第一の処理ユニット1に放電分解処理させる場合は、送風ファン20のプロペラファンの回転方向を反転させて第二の流路である連結管14の空気の流れる方向を反転させる。他の処理動作については、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。送風ファンは、第一の流路である連結管13にも設けてもよく、連結管のいずれか一方に備えたものであってもよい。また、図1と同様、連結管13に送風ファンを設けず、筒状筐体2および102に狭窄部が設けられていてもよい。
このように、実施の形態3に係る空気浄化装置によれば、一対の処理ユニットを吸着あるいは分解処理装置として、交互に入れ替えて使用しているため、有機ガス分子の吸着と放電分解処理が連続的にできるので、浄化作業を中断させることなく被処理空気中の有機ガス分子を連続的に処理できる。さらに、酸素供給装置を使用することなく、不完全燃焼を起こさせずに空気中の有機ガス分子を完全に分解処理できるという実施の形態1の効果を有するとともに、連結管に送風ファンを設けることにより、吸着を行っている処理ユニット側から放電分解処理を行っている処理ユニットへ効率良く空気を供給することができる効果がある。
実施の形態4.
図11は、本発明の実施の形態4に係る空気浄化装置の構成断面図を示すものである。
図において、第一の処理ユニット1と放電分解処理を行っている第二の処理ユニット101との間の第二の流路である連結管14a、14bにポンプ21、流路の切替バルブ22a、22bが設けられている点と筒状筐体2、102に狭窄部がない点を除けば、実施の形態1の図1と同様であるので、他の符号の説明を省略する。
次に、実施の形態4に係る空気浄化装置の動作について説明する。ポンプ21により吸着処理動作を行っている第一の処理ユニット1の空気の一部を第一の流路となる連結管14aから14bを通って、放電分解処理動作を行っている第二の処理ユニット101に放電分解処理に必要な酸素が供給されるので、吸着材103hに吸着されていた有機ガス分子は酸化され、二酸化炭素と水に完全に分解される。分解処理によって生成された二酸化炭素および水は、第一の流路である連結管13を通って、第一の処理ユニット1に送られ、第一の処理ユニット1を通って、空気浄化装置外に排出される。また、処理ユニットの吸着と放電分解処理を切り替える場合は、切替バルブ22a、22bを切り替えることにより、連結管14bから14aの向きに空気の流れる方向が反転され、第二の流路が形成される。なお、連結管14a、14bと同様、連結管13を2本としてポンプと切替バルブを設けてもよく、また、ポンプはいずれか一方の流路に備えたものであってもよい。あるいは、図1と同様、連結管13にポンプを設けず、筒状筐体2および102に狭窄部が設けられていてもよい。
ポンプを備えることにより、放電分解処理を行っている処理ユニット内の圧力を調整することができる。これにより、放電開始時に圧力を下げて放電開始電圧を下げ、放電発生中に徐々にガス圧力を上昇させることにより、オゾンなどの活性種の生成効率を上げて分解効率を上げることができる。
このように、実施の形態4に係る空気浄化装置によれば、一対の処理ユニットを吸着あるいは分解処理装置として、交互に入れ替えて使用しているため、有機ガス分子の吸着と放電分解処理が連続的にできるので、浄化作業を中断させることなく被処理空気中の有機ガス分子を連続的に処理できる。さらに、酸素供給装置を使用することなく、不完全燃焼を起こさせずに空気中の有機ガス分子を完全に分解処理できるという実施の形態1の効果を有するとともに、連結管にポンプを設けることにより、放電分解処理を行っている処理ユニット内の圧力を調整することができ、オゾンなどの活性種の生成効率を上げて分解効率を上げることができる効果がある。
実施の形態5.
図12は、本発明の実施の形態5に係る空気浄化装置の構成断面図を示すものである。
図において、第一の処理ユニット1および第二の処理ユニット101の筒状筐体2および102の外周部が断熱材23で覆われている点を除けば、実施の形態1の図1と同じであるので、他の符号の説明を省略する。
筒状筐体2および102の外周部が断熱材23で覆われていることにより、放電分解処理時に発生する熱を外部に逃さないようにしたものである。この結果、疎水性ゼオライトの吸着剤に、白金、ジルコニア、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウムなどのの貴金属酸化触媒を混ぜた吸着材3hを、150℃まで温度を上昇させることにより、さらに酸化作用が高まる。放電分解処理時の温度をあげることにより、吸着材3hに吸着された有機ガス分子は効率良く酸化され、二酸化炭素と水に完全に分解される。
このように、実施の形態5に係る空気浄化装置によれば、処理ユニットの外部を断熱材で覆うことにより、放電分解処理時の温度を上げることが可能となり、吸着材に吸着された有機ガス分子を効率良く酸化させ、二酸化炭素と水に完全に分解することができるという効果がある。
なお、上記実施の形態では、一対の処理ユニットで動作させる場合について説明したが、二対以上の処理ユニットで構成することによって、処理能力をあげることができる。
また、上記実施の形態では、吸着剤としてゼオライトを使用する場合について述べたが、同じMFI構造を持つSiOが主成分であるシリカライトを用いても同様の効果が期待できる。
また、上記実施の形態では、個々の処理ユニットを組合わせて一対としたが、一対の処理ユニットの機能を一つの筐体内に収め一体のもとしてもよい。
また、図中、同一符号は、同一または相当部分を示す。
実施の形態1に係る空気浄化装置を示す構成断面図である。 実施の形態1に係る空気浄化装置の放電電極部を示す略斜視図である。 実施の形態1に係る空気浄化装置の動作を説明するための構成断面図である。 実施の形態1に係る空気浄化装置における狭窄部による吸引動作を説明するための略斜視図である。 実施の形態1に係る空気浄化装置における風速に対する狭窄部面積比と吸引の効果を示す特性図である。 実施の形態1に係る空気浄化装置におけるシャッタを示す構成図である。 実施の形態1に係る空気浄化装置の第二の例を示す構成断面図である。 実施の形態1に係る空気浄化装置の第三の例を示す構成断面図である。 実施の形態2に係る空気浄化装置を示す構成断面図である。 実施の形態3に係る空気浄化装置を示す構成断面図である。 実施の形態4に係る空気浄化装置を示す構成断面図である。 実施の形態5に係る空気浄化装置を示す構成断面図である。
符号の説明
1 第一の処理ユニット
101 第二の処理ユニット
2,102 筒状筐体
3,103 放電電極部
3a,103a 高圧電極
3b,103b 接地電極
3d 誘電体
3h 吸着材
4,104 高圧電源
7,107 ファン
8,9 シャッタ
10,110 吸気口
11,111 排気口
12,112 狭窄部
13,14,14a,14b 連結管
15 除塵フィルタ
20 送風ファン
21 ポンプ
23 断熱材

Claims (9)

  1. 筒状筐体内に高圧電極と有機ガス分子を吸着する吸着材を含む接地電極とからなる放電用電極対を有し、前記筒状筐体に吸気口および排気口を有する少なくとも一対の処理ユニットと、
    前記放電用電極対の前後に設けられ、前記一対の処理ユニット間を連通する第一の流路および第二の流路と、
    前記放電用電極対に接続されプラズマを発生させるための高圧電源と、
    前記処理ユニット内に被処理空気を導入するためのファンと、
    前記吸気口および排気口を遮蔽する可動式のシャッタと、
    を備え、
    前記処理ユニットの一方に前記有機ガス分子の吸着動作を、他方にプラズマによる分解処理動作をさせ、時間的にそれぞれ分解処理動作と吸着動作とに交互に切り替えて作動させることを特徴とする空気浄化装置。
  2. 高圧電極は、誘電体で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の空気浄化装置。
  3. 吸着材は、マンガン、銅、銀、ニッケル、亜鉛、鉄から選ばれる少なくとも1種類以上の金属やその酸化物、またはこれらの複合体からなる触媒を添加したゼオライトを基台に添着したものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気浄化装置。
  4. 筒状筐体の吸気口側に狭窄部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の空気浄化装置。
  5. 狭窄部に第一の流路が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の空気浄化装置。
  6. 第一の流路および第二の流路のいずれか一方もしくは両方に送風ファンが設置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の空気浄化装置。
  7. 第一の流路および第二の流路のいずれか一方もしくは両方にポンプが設置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の空気浄化装置。
  8. 吸気口入口に除塵フイルタを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の空気浄化装置。
  9. 処理ユニットの外周部が断熱材で覆われていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の空気浄化装置。
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