JP2010225457A - 低風圧電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】 優れた風圧低減効果を示し、コロナ放電及びコロナ騒音を効果的に防止した低風圧電線を提供する。
【解決手段】 複数本の撚り合わせた素線により構成された素線群と、最外層に、複数のセグメント素線を撚り合わせたセグメント層とを備え、前記セグメント層の表面は、風圧低減用溝が設けられているとともに、親水化処理されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 複数本の撚り合わせた素線により構成された素線群と、最外層に、複数のセグメント素線を撚り合わせたセグメント層とを備え、前記セグメント層の表面は、風圧低減用溝が設けられているとともに、親水化処理されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、低風圧電線に係り、特に、表面を親水化処理した低風圧電線に関する。
通常、架空送電線は、アルミニウムの裸導体を撚り合せた複数本の素線により構成される。このような架空送電線は、強風下では、その風圧により大きな力が加わり、切断することもある。このようなことを防止するため、最外層に断面扇形のセグネントを隣接部の側面が嵌合するようにより合わせ、表面に円弧状溝を設け、電線にかかる風圧荷重を低減した低風圧電線が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
しかし、これら従来の低風圧電線は、風速40m/s以上の強風下で降雨にさらされた場合、水滴が電線表面に付着し、設計時に想定している電線表面形状とは著しく異なる表面形状となってしまう。即ち、降雨により電線表面に付着した水滴は、風上から風下に電線表面を移動し、最終的には空気の剥離点に到達するが、剥離点では風の流れが弱いため、水滴はこの位置に留まって集合し、電線表面の線路方向に水路のような水溜りを形成してしまう。この水溜りが風の剥離を早め、風圧低減効果を抑制してしまうという問題がある。
また、架空送電線は、降雨があると表面に雨滴が付着し、この雨滴からコロナ放電が生じるという現象がある。このコロナ放電は、送電線近辺のラジオ電波障害を引き起こす場合がある。また、このコロナ放電に伴い、コロナ騒音(含む、可聴音)が発生し、地形等により音が反響や拡大する場所、集まる場所では送電線下の住民からの騒音苦情を引き起こしてしまうおそれがある。最外層を親水化処理して、コロナ騒音を防止する低騒音電線が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、圧縮導体の表面を粗面化処理あるいは親水化処理を施して、コロナ放電を防止する送電線が提案されている(例えば、特許文献4、特許文献5参照)。
また、圧縮導体の表面を粗面化処理あるいは親水化処理を施して、コロナ放電を防止する送電線が提案されている(例えば、特許文献4、特許文献5参照)。
また、降雨時に電線外周面に付着した雨水が、セグメント素線の外面の親水性皮膜により、球状に盛り上がらんとする表面張力を減殺して、表面張力を失い流動拡散した雨水がセグメント素線相互の側面間に有する微小な間隙および間隙部に生じる毛細管現象によって順次撚線内部の撚合間隙部に取り込まれ、電線がスパン全長にわたって外周面に雨滴付着に基づく突起が生じることがないと共に、雨水が電線長手方向に分散した多数の点から水滴となって落下することが阻止され、コロナ騒音の発生を防止する低騒音電線が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
本発明は、以上のような事情の下になされ、優れた風圧低減効果を示すとともに、コロナ放電及びコロナ騒音を効果的に防止した低風圧電線を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、複数本の撚り合わせた素線により構成された素線群と、最外層に、1以上の異形素線を撚り合わせた異形素線層とを備え、前記異形素線層の1以上の異形素線は、風圧を低減する形状に加工が施されているとともに、少なくとも最外の表面が親水化処理されていることを特徴とする低風圧電線を提供する。
また、複数本の撚り合わせた素線により構成された素線群と、最外層に、複数の異形素線を撚り合わせた異形素線層とを備え、前記異形素線層の表面は、風圧を低減する形状に加工が施されているとともに、少なくとも最外の表面が親水化処理されていることを特徴とする低風圧電線を提供する。
このように構成される低風圧電線において、親水化処理の工程の前、工程の途中、または略同時、あるいは親水化処理の工程の後に明度を低下させる処理を行うことにより、電線表面の明度を低下させることができる。
また、低膨張型テンションメンバ線を配置することができる。
また、内側に防食グリスを充填することができる。
また、低膨張型テンションメンバ線を配置することができる。
また、内側に防食グリスを充填することができる。
また、前記異形素線層を、一方の側面に凹部を設けるとともに他方の側面に凸部を設けた複数の異形素線を、隣接する異形素線の一方の異形素線の側面の凹部と他方の異形素線の側面の凸部を嵌合させて形成した層とすることができる。
本発明の低風圧電線によると、異形素線層の表面が、風圧低減用溝が設けられているとともに、親水化処理(ベーマイト処理等)されているため、電線表面の水濡れが良好であるため、水溜りの形成により風圧低減効果が損なわれることを防止できる。更に、親水化処理の効果により、電線に生じようとする水滴を防止することにより、コロナ放電及びコロナ騒音を効果的に防止することが可能である。
以下、発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る低風圧電線の断面を示すものである。本実施形態に係る低風圧電線は、鋼線またはアルミ覆鋼線からなる心線1の周りに円形断面のアルミ素線を撚り合わせたアルミ撚線層2を設け、この撚線層2の上を略断面台形の異形素線を撚り合わせた異形素線層3で囲繞したものである。
アルミ撚線層2を構成するアルミ素線は、アルミニウムやアルミニウム合金に限らず、銅等からなる導電体または導電体である素線(たとえば導電性の樹脂)、あるいは金属線と導電性の樹脂性素線を撚り合わせて構成してもよい。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る低風圧電線の断面を示すものである。本実施形態に係る低風圧電線は、鋼線またはアルミ覆鋼線からなる心線1の周りに円形断面のアルミ素線を撚り合わせたアルミ撚線層2を設け、この撚線層2の上を略断面台形の異形素線を撚り合わせた異形素線層3で囲繞したものである。
アルミ撚線層2を構成するアルミ素線は、アルミニウムやアルミニウム合金に限らず、銅等からなる導電体または導電体である素線(たとえば導電性の樹脂)、あるいは金属線と導電性の樹脂性素線を撚り合わせて構成してもよい。
異形素線層3を構成する異形素線の少なくとも上面は、親水化処理が施されている。親水処理は、サンドブラスト等の機械的加工により表面を粗面化したのち、所定の溶液(フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化水素酸等)に浸漬する、あるいは液(水、アンモニア等を混合した液等)を蒸気状にして吹き付ける等して得ることができる。また、表面を粗面化したのち、陽極酸化するか、あるいはクロメート処理するか等によるベーマイト皮膜または陽極酸化皮膜あるいはクロメート皮膜等を形成することができる。
図2は、本発明の第2および第3の実施形態に係る低風圧電線の異形素線層3を構成するセグメント素線11の断面を示すものである。このセグメント素線11は、断面台形状で、凸嵌合部12と凹嵌合部13とを備えている。凸嵌合部12は、断面台形の電線周方向の一方の側面に素線の長手方向に連続して設けられ、凹嵌合部13は、断面台形の電線周方向の他方の側面に素線の長手方向に連続して設けられている。凸嵌合部12と凹嵌合部13は、セグメント素線11を撚り合わせたときに、隣接し合う一方の素線の一側面の凸嵌合部12と、他方の素線の側面の凹嵌合部13が嵌合し合うように形成されている。
このようなセグメント素線11の凸嵌合部12と凹嵌合部13とを嵌合面14において嵌合させ、撚り合わせたセグメント層3の一部を図2(b)に示す。セグメント素線11は、アルミ合金や銅等からなる導電体または導電体である素線(例えば、導電性の樹脂部材や金属との合成部材)である。
このように電線周方向の両側面に凸嵌合部12と凹嵌合部13を設けたセグメント素線11をアルミ撚線層2の外側において撚り合わせ、セグメント層3を形成することにより、撚り合わせの隣接素線の凸嵌合部12と凹嵌合部13が互いに嵌合面14において嵌合するので、各セグメント素線11の電線径方向のずれが防止され、肩立ちや線浮きの防止効果が大になる。
また、セグメント素線11の上面の一方の端部は円弧状に面取りされていて、隣接するセグメント素線同士で、図1及び図2に示すように、溝4が形成される。この溝4により、強風下での風圧が低減されるという効果が得られる。
セグメント層3の外面を構成するセグメント素線11の上面は、親水化処理が施されている。親水処理は、サンドブラスト等の機械的加工により表面を粗面化したのち、所定の溶液(フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化水素酸等)に浸漬する、あるいは液(水、アンモニア等を混合した液等)を蒸気状にして吹き付ける等して得ることができる。また、表面を粗面化したのち、陽極酸化するか、あるいはクロメート処理するか等によるベーマイト皮膜または陽極酸化皮膜あるいはクロメート皮膜等を形成することができる。
以上のように構成される低風圧電線によると、外面に溝4が形成されているため、強風下における風圧低減効果が得られるとともに、外面に親水化処理が施されているため、降雨時において、電線表面の水濡れが良好であり、水滴の残留が防止される。また、このように、電線表面の水濡れが良好であるため、水溜りの形成により風圧低減効果が損なわれることを防止できる。
以上のように構成される低風圧電線によると、外面に溝4が形成されているため、強風下における風圧低減効果が得られるとともに、外面に親水化処理が施されているため、降雨時において、電線表面の水濡れが良好であり、水滴の残留が防止される。また、このように、電線表面の水濡れが良好であるため、水溜りの形成により風圧低減効果が損なわれることを防止できる。
本発明の第4の実施形態は、異形素線層3を構成するセグメント素線11の少なくとも上面は、親水化処理が施されている。親水化処理の前に、サンドブラスト等の機械的加工により表面を粗面化したのち、所定の溶液(フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化水素酸、リン酸溶液等)に浸漬する、あるいは液(水、アンモニア等を混合した液等)を蒸気状にして吹き付ける等して、処理を行うことにより、明度の低い皮膜を形成することができる。また、親水化処理の工程の途中、または略同時、あるいは親水化処理の工程の後に同様の処理を行うことにより、明度の低い皮膜を形成することができるので、新設時から架線された電線を目立たなくすることができる。その結果、国立公園のような環境保護地域を通過するような架空送電線において環境の美観を損ねることなく、架線を行うことができるという利点が得られる。
本発明の第5の実施形態に係る低風圧電線は、親水化処理が施されているので、強風下における風圧低減効果が得られるとともに、外面に親水化処理が施されているため、降雨時において、電線表面の水濡れが良好であり、水滴の残留が防止される。また、このように、電線表面の水濡れが良好であるため、水溜りの形成により風圧低減効果が損なわれることを防止できる。更に、水滴の残留が防止されることから、コロナ放電を抑制することができ、線路下近傍の住民へのコロナ騒音を低減することができる。
図3は、本発明の第6の実施形態に係る低風圧電線の断面を示すもので、本実施形態に係る低風圧電線が図1に示す第1の実施形態に係る低風圧電線と異なる点は、鋼線またはアルミ覆鋼線からなる心線1の代わりに、低膨張型テンションメンバ線5を用いたことである。低膨張型テンションメンバ線5とは、例えば、鉄[Fe]とニッケル[Ni](30〜50wt%)の2種を主体とした合金線であり、通常の鋼線に比べ、温度による伸び(線膨張ともいう)が小さいものであり、インバー線とも称される。このインバー線を用いた電線には、アルミ合金線を超耐熱アルミ合金線としたインバー心超耐熱アルミ合金より線等がある。
このような電線を用いることにより、線路を増量する際に、電流を多く流した時の電線自身の発熱による伸びが小さいため垂れ下がりが小さいので、既存の設備をほとんど変更せずに、線路下離隔を確保することができる。
このような電線を用いることにより、線路を増量する際に、電流を多く流した時の電線自身の発熱による伸びが小さいため垂れ下がりが小さいので、既存の設備をほとんど変更せずに、線路下離隔を確保することができる。
図4は、本発明の第7の実施形態に係る低風圧電線の断面を示すもので、本実施形態に係る低風圧電線が図1に示す第1の実施形態に係る低風圧電線と異なる点は、内部に防食グリス6を充填したことである。
なお、防食グリス6としては、シリコングリス等を用いることができる。また、架空送電線の耐熱温度設計により、所定の耐熱性を持つ防食グリスを用いるのが好ましい。
このように、内部に防食グリス6を充填することにより、その高い防食効果により電線の腐食を効果的に防止することができ、汚損地区(海側からの風があたる場所、工業地域、等)における電線の延命を図ることができる。
なお、防食グリス6としては、シリコングリス等を用いることができる。また、架空送電線の耐熱温度設計により、所定の耐熱性を持つ防食グリスを用いるのが好ましい。
このように、内部に防食グリス6を充填することにより、その高い防食効果により電線の腐食を効果的に防止することができ、汚損地区(海側からの風があたる場所、工業地域、等)における電線の延命を図ることができる。
なお、図4に示す構造の電線では、最外層を構成するセグメント層3において、隣接素線の凸嵌合部12と凹嵌合部13が嵌合することにより、隣接素線間の嵌合面14の接触面積が大きくなってセグメント素線11間の間隙が狭くなり、かつ接触嵌合面14が湾曲しているため、降雨の際に雨水が内部に入り込みにくくなり、また内部に充填されているグリスが染み出るのを防止するという効果が得られる。
その他の変形例には、例えば、図5に示す構造の電線では、最外層を構成するセグメント層3において、少なくとも1つの溝4が大きくなるようにセグメント素線11の断面形状とし、低風圧電線の表面を流れようとすることを分断でき、特に重力に従って雨水が下方に伝って発生する水滴を防止できる。
また、例えば、図6に示す構造の電線では、最外層を構成するセグメント層3において、少なくとも1本のセグメント素線11の高さを低くして低風圧電線の外周に凹部を形成することにより、低風圧電線の表面を流れようとすることを分断でき、特に重力に従って下方に発生する水滴を防止できる。
また、例えば、図6に示す構造の電線では、最外層を構成するセグメント層3において、少なくとも1本のセグメント素線11の高さを低くして低風圧電線の外周に凹部を形成することにより、低風圧電線の表面を流れようとすることを分断でき、特に重力に従って下方に発生する水滴を防止できる。
1・・・鋼線、2…アルミ撚線層、3…異形素線層、4…溝、5…低膨張型テンションメンバ線、6…防食グリス、11…セグメント素線、12…凸嵌合部、13…凹嵌合部、14…嵌合面。
Claims (8)
- 複数本の撚り合わせた素線により構成された素線群と、最外層に、1以上の異形素線を撚り合わせた異形素線層とを備え、前記異形素線層の1以上の異形素線は、風が衝突した際の風圧を低減する形状に加工が施されているとともに、少なくとも最外の表面が親水化処理されていることを特徴とする低風圧電線。
- 前記異形素線の断面がセグメント形状のセグメント素線であって、最外層に、複数の前記セグメント素線を撚り合わせたセグメント層を備え、前記セグメント層の表面は、風が衝突した際の風圧を低減する形状に加工が施されているとともに、少なくとも最外の表面が親水化し、該親水化処理により、電線に生じようとする水滴を防止するとともに、電線表面に薄く延ばすことにより風圧を低減する形状を略露出させ、水滴による風圧低減効果が下がることを防止することを特徴とする請求項1に記載の低風圧電線。
- 前記セグメント層は、一方の側面に凹部を設けるとともに他方の側面に凸部を設けた複数のセグメント素線を、隣接するセグメント素線の一方のセグメント素線の側面の凹部と他方のセグメント素線の側面の凸部を嵌合させて形成した層であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の低風圧電線。
- 所定の表面処理前の前記低風圧電線表面に比較して、該低風圧電線表面の明度が低下していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の低風圧電線。
- 前記親水化処理のみ、あるいは略同時に電線表面の明度を処理する、または、前記親水化処理の前後に電線表面の明度を処理することにより、前記親水化処理により、電線に生じようとする水滴を防止することにより、コロナ放電を抑制することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の低風圧電線。
- 電線の中心部に、低膨張型テンションメンバ線が配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の低風圧電線。
- 電線の内側に防食グリスを充填したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の低風圧電線。
- 前記親水化処理が、ベーマイト処理であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の低風圧電線。
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