JP2010225308A - 誘導熱プラズマ発生方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】整合用トランス26の二次側コイルの一端26aと誘導コイル22の一端22aとの間にのみ共振コンデンサ36を接続することにより、少なくとも熱プラズマの着火時に、誘導コイル22の一端22a側と他端22b側とで互いに所定値以上の比率となるように偏った容量を有するインピーダンス整合回路34を介して高周波電力を誘導コイルに供給することにより熱プラズマを発生させる。
【選択図】図1
Description
三相交流電源10に三相全波整流回路12及び平滑コンデンサ14を介してMOSFETインバータ回路16が接続されている。また、プラズマトーチ18の放電管20の周囲に誘導コイル22が巻回されており、この誘導コイル22の両端部にインピーダンス整合回路24を介してMOSFETインバータ回路16の出力端が接続されている。
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、従来よりも高い圧力下あるいは従来よりも小さなコイル電圧の印加で熱プラズマを発生させることができる誘導熱プラズマ発生方法及び装置を提供することを目的とする。
あるいは、キャパシタンス手段は、熱プラズマの着火後に誘導コイルの一端側と他端側とで互いにほぼ等しい容量を有するように構成することもでき、この場合、キャパシタンス手段として、誘導コイルの一端側と他端側にそれぞれ接続された一対の可変コンデンサを用いることができる。さらに、熱プラズマが着火したか否かを判定する着火判定手段と、着火判定手段により熱プラズマがまだ着火しないと判定されたときには一対の可変コンデンサの容量が互いに所定値以上の比率となるように偏らせ、着火判定手段により熱プラズマが着火したと判定された後は一対の可変コンデンサの容量が互いにほぼ等しくなるように一対の可変コンデンサを制御する制御手段とを備えることが好ましい。
実施の形態1
図1に、本発明の実施の形態1に係る誘導熱プラズマ発生装置の構成を示す。三相交流電源10に三相全波整流回路12及び平滑コンデンサ14を介してMOSFETインバータ回路16が接続されている。また、プラズマトーチ18の放電管20の周囲に誘導コイル22が巻回されており、この誘導コイル22の両端部にインピーダンス整合回路34を介してMOSFETインバータ回路16の出力端が接続されている。
すなわち、実施の形態1に係る誘導熱プラズマ発生装置は、図8に示した従来の装置において、インピーダンス整合回路24の代わりにインピーダンス整合回路34をインバータ回路16と誘導コイル22との間に接続したものである。
整合用トランス26の二次側コイルと共振コンデンサ36と誘導コイル22とで直列共振回路38が形成されている。共振コンデンサ36の静電容量(以下、容量とする)Cは、プラズマ負荷を含めた直列共振回路38の共振周波数がインバータ回路16の駆動周波数領域内となるように設定される。この共振コンデンサ36により、本発明のキャパシタンス手段が構成されている。
三相交流電源10から供給された三相交流は、三相全波整流回路12で整流されると共に平滑コンデンサ14で平滑化された後、インバータ回路16によって高周波電力に変換され、インピーダンス整合回路32を通して誘導コイル22に供給される。
図4に、実施の形態2に係る誘導熱プラズマ発生装置の構成を示す。この誘導熱プラズマ発生装置は、図1に示した実施の形態1の装置において、インピーダンス整合回路34の代わりにインピーダンス整合回路40をインバータ回路16と誘導コイル22との間に接続したものである。その他の回路及び要素は、実施の形態1の装置で使用されたものと同様である。
その結果、実施の形態1と同様に、従来よりも高い圧力下あるいは小さなコイル電圧の印加で熱プラズマを発生させることができるようになる。
図5に、実施の形態3に係る誘導熱プラズマ発生装置の構成を示す。この誘導熱プラズマ発生装置は、図4に示した実施の形態2の装置において、インピーダンス整合回路40の代わりにインピーダンス整合回路48をインバータ回路16と誘導コイル22との間に接続すると共に、インバータ回路16の入力電流及び入力電圧をそれぞれ検出する電流センサ50及び電圧センサ52を配置し、これら電流センサ50及び電圧センサ52に判定回路54及び制御回路56を順次接続したものである。その他の回路及び要素は、実施の形態2の装置で使用されたものと同様である。
また、制御回路56は、判定回路54による判定結果に基づいてインピーダンス整合回路48の可変コンデンサ58及び60の容量を制御するものである。具体的には、制御回路56は、判定回路54により熱プラズマがまだ着火しないと判定されたときは、可変コンデンサ58及び60の容量を互いに所定値以上の比率となるように偏らせ、判定回路54により熱プラズマが着火したと判定された後は、可変コンデンサ58及び60の容量を互いにほぼ等しい値とする。
電流センサ50、電圧センサ52及び判定回路54により本発明の着火判定手段が構成され、制御回路56により本発明の制御手段が構成されている。
そこで、この実施の形態3においては、電流センサ50及び電圧センサ52でインバータ回路16の入力電流及び入力電圧をそれぞれ検出し、これら検出値に基づいてプラズマトーチ18の放電管20内で熱プラズマが着火したか否かを判定回路54が判定する。
一方、判定回路54により熱プラズマが着火したと判定された後は、制御回路56が、可変コンデンサ58及び60を制御してこれら可変コンデンサ58及び60の容量を互いにほぼ等しい値とする。これにより、プラズマトーチ18の放電管20内に軸方向に長い一様な電磁場が形成され、軸方向に長い熱プラズマを安定維持することができる。
図6に、実施の形態4に係る誘導熱プラズマ発生装置の構成を示す。この誘導熱プラズマ発生装置は、図5に示した実施の形態3の装置において、電流センサ50、電圧センサ52及び判定回路54の代わりにプラズマトーチ18の放電管20を外部から光学的に監視するための光学素子64をプラズマトーチ18の近傍に配置すると共にこの光学素子64に判定回路66を接続したものである。その他の回路及び要素は、実施の形態3の装置で使用されたものと同様である。
そこで、この実施の形態4においては、プラズマトーチ18の近傍に配置された光学素子64で放電管20から放射される光を捉え、光学素子64で得られた受光信号に基づいてプラズマトーチ18の放電管20内で熱プラズマが着火したか否かを判定回路66が判定する。例えば、判定回路66は、光学素子64で捉えた受光強度が所定のしきい値を超えたときに、熱プラズマが着火したと判定することができる。
なお、光学素子64としては、可視光の強度を検出する光センサの他、ビデオカメラ等の撮像装置を用いることができる。
一方、判定回路66により熱プラズマが着火したと判定された後は、制御回路56が、可変コンデンサ58及び60を制御してこれら可変コンデンサ58及び60の容量を互いにほぼ等しい値とする。これにより、プラズマトーチ18の放電管20内に軸方向に長い一様な電磁場が形成され、軸方向に長い熱プラズマを安定維持することができる。
定格周波数300kHz〜400kHz,最大電力50kW,定格直流電圧250V,定格直流電流250Aの高周波MOSFETインバータ電源を使用して、図4に示した実施の形態2の誘導熱プラズマ発生装置を構成した。プラズマトーチ18の放電管20として、内径70mm,長さ316mmの内筒を有する二重管構造のものを用い、誘導コイル22として、外径132mm,コイル導体径14mmφ,コイル長158mmの8ターンのものを使用した。
誘導コイル22の一端22aに接続された共振コンデンサ42と他端22bに接続された共振コンデンサ44の容量を所定値以上の比率となるように偏らせることで、同一の運転条件でも熱プラズマが着火しやすくなることが確認された。
プラズマトーチ18の放電管20として、実施例1で用いられた長さ316mmの内筒を有する二重管構造のものと、長さ386mmの内筒を有する二重管構造のものを使用して、着火が可能な圧力について実験した。共振コンデンサ42及び44としては、これらのうち一方の単位コンデンサを0個とし、他方に8個の単位コンデンサを直列接続させたものを用い、放電管20の内部圧力を種々の値に設定して、誘導コイル22に供給する直流電流を250Aまで徐々に上げつつ、熱プラズマが着火したか否かを確認した。その他の条件は、実施例1におけるものと同一とした。
(1)誘導コイル22の一端22aに接続された共振コンデンサ42として8個の単位コンデンサの直列接続(0.0412μF)を使用し、誘導コイル22の他端22bに接続された共振コンデンサ44としては単位コンデンサ0個とした場合、
長さ316mmの内筒を用いた装置では最大140Paで着火、長さ386mmの内筒を用いた装置では最大180Paで着火することが確認された。
(2)誘導コイル22の一端22aに接続された共振コンデンサ42としては単位コンデンサ0個とし、誘導コイル22の他端22bに接続された共振コンデンサ44として8個の単位コンデンサの直列接続(0.0412μF)を使用した場合、
長さ316mmの内筒を用いた装置では最大95Paで着火、長さ386mmの内筒を用いた装置では最大130Paで着火することが確認された。
なお、図8に示した従来の装置のように、誘導コイル22の両端部にそれぞれ接続された一対の共振コンデンサの静電容量を互いに同一にした場合には、熱プラズマを着火させるために、10Pa程度の真空状態にしても熱プラズマは自然着火せず、テスラコイルを用いて電圧を印加することにより発生する高電圧をトリガーとして用いなければ着火することはできなかった。
また、上記の実施の形態1〜4並びに実施例は、いずれも本発明の一例を示したものであり、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更や改良を行ってもよいことはいうまでもない。
12 三相全波整流回路
14 平滑コンデンサ
16 MOSFETインバータ回路
18 プラズマトーチ
20 放電管
22 誘導コイル
26 整合用トランス
34,40,48 インピーダンス整合回路
28,30,36,42,44 共振コンデンサ
38.46.62 直列共振回路
50 電流センサ
52 電圧センサ
54,66 判定回路
56 制御回路
58.60 可変コンデンサ
64 光学素子
Claims (7)
- キャパシタンス手段を含むインピーダンス整合回路を介して高周波電力を誘導コイルに供給することにより熱プラズマを発生させる誘導熱プラズマ発生方法において、
少なくとも熱プラズマの着火時に前記誘導コイルの一端側と他端側とで前記キャパシタンス手段の容量を互いに所定値以上の比率となるように偏らせることを特徴とする誘導熱プラズマ発生方法。 - 熱プラズマの着火後に前記誘導コイルの一端側と他端側とで前記キャパシタンス手段の容量を互いにほぼ等しくする請求項1に記載の誘導熱プラズマ発生方法。
- キャパシタンス手段を含むインピーダンス整合回路を介して高周波電力を誘導コイルに供給することにより熱プラズマを発生させる誘導熱プラズマ発生装置において、
前記キャパシタンス手段は、少なくとも熱プラズマの着火時に前記誘導コイルの一端側と他端側とで互いに所定値以上の比率となるように偏った容量を有することを特徴とする誘導熱プラズマ発生装置。 - 前記キャパシタンス手段は、前記誘導コイルの一端側と他端側のいずれか一方に接続された一つのコンデンサからなる請求項3に記載の誘導熱プラズマ発生装置。
- 前記キャパシタンス手段は、熱プラズマの着火後に前記誘導コイルの一端側と他端側とで互いにほぼ等しい容量を有する請求項3に記載の誘導熱プラズマ発生装置。
- 前記キャパシタンス手段は、前記誘導コイルの一端側と他端側にそれぞれ接続された一対の可変コンデンサを有する請求項5に記載の誘導熱プラズマ発生装置。
- 熱プラズマが着火したか否かを判定する着火判定手段と、
前記着火判定手段により熱プラズマがまだ着火しないと判定されたときには前記一対の可変コンデンサの容量が互いに所定値以上の比率となるように偏らせ、前記着火判定手段により熱プラズマが着火したと判定された後は前記一対の可変コンデンサの容量が互いにほぼ等しくなるように前記一対の可変コンデンサを制御する制御手段と
を備えた請求項6に記載の誘導熱プラズマ発生装置。
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