JP2010223770A - 散乱体内部観察装置および散乱体内部観察方法 - Google Patents
散乱体内部観察装置および散乱体内部観察方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】後方散乱光を利用して散乱体内部の任意の位置における観察対象の情報を2次元画像として取得する際に、後方散乱光の光強度が均一に表れるように補正した画像を得る。
【解決手段】本発明の散乱体内部観察装置1は、散乱媒質6の内部に観察対象7を含んでなる散乱体8の表面に、観察対象7と散乱媒質6とで光学特性の異なる光を照射する光照射手段10と、前記光照射手段10により前記散乱体表面の任意の光照射位置に照射された光の後方散乱光の光強度を2次元画像データとして検出する検出手段11と、得られた2次元画像データにおいて、検出された後方散乱光の光強度を画像上の光照射位置からの距離に応じて補正し、前記観察対象を透過していない後方散乱光の光強度が均一に表れる補正画像を得る補正手段16とを備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の散乱体内部観察装置1は、散乱媒質6の内部に観察対象7を含んでなる散乱体8の表面に、観察対象7と散乱媒質6とで光学特性の異なる光を照射する光照射手段10と、前記光照射手段10により前記散乱体表面の任意の光照射位置に照射された光の後方散乱光の光強度を2次元画像データとして検出する検出手段11と、得られた2次元画像データにおいて、検出された後方散乱光の光強度を画像上の光照射位置からの距離に応じて補正し、前記観察対象を透過していない後方散乱光の光強度が均一に表れる補正画像を得る補正手段16とを備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光を用いる非侵襲方法で散乱体内部を観察する散乱体内部観察装置および観察方法に関する。
生体等の散乱体の内部を観察するには様々な手法がある。その1つである光を用いた観察は、用いる光の波長を選択することにより特定の対象を観察できるという利点を有している。この手法では、観察対象に吸収される波長の光を散乱体に照射し、その後方散乱光強度を計測することにより、散乱体内部にある観察対象の位置と深度情報が得られる。後方散乱光は、照射位置と検出位置との距離が大きくなるほど、散乱体のより深部を通ってきた光を多く含むことが知られている。
特許文献1には、光照射手段の位置から順次遠ざかる位置に所定の間隔で複数のフォトダイオードのような受光素子からなる光検出手段を備えた構成を有する生体光計測装置が開示されている。また、該装置による計測結果に基づいて、生体の断層画像を再構成する手段も開示されている。
特許文献2には、光照射部から同心円状等のような所定の間隔で配置された複数のフォトダイオードのような受光素子からなる光検出部を備えた構成を有する生体光計測装置が開示されている。
後方散乱光を検出する場合、散乱光の強度は光照射点からの距離に応じて変化する。そのため、特許文献3に記載の方法で断層画像を構成した場合、観察対象の有無の情報以外に、散乱光の強度分布の情報も画像化され、観察対象の有無が判別しにくくなるという問題が生じる。
本発明の第1側面によると、散乱体内部の観察対象の情報を取得する散乱体内部観察装置であって、散乱媒質の内部に観察対象を含んでなる散乱体の表面に、観察対象と散乱媒質とで光学特性の異なる光を照射する光照射手段と、前記光照射手段により前記散乱体表面の任意の光照射位置に照射された光の後方散乱光を2次元画像データとして検出する検出手段と、得られた2次元画像データにおいて、検出された後方散乱光の光強度を画像上の光照射位置からの距離に応じて補正し、前記観察対象を透過していない後方散乱光の光強度が均一に表れる補正画像を得る補正手段とを備える散乱体内部観察装置が提供される。
本発明の第2側面によると、散乱体内部の観察対象の情報を取得する散乱体内部観察方法であって、散乱媒質の内部に観察対象を含んでなる散乱体の表面に、観察対象と散乱媒質とで光学特性の異なる光を照射する工程と、前記光照射手段により前記散乱体表面の任意の光照射位置に照射された光の後方散乱光を2次元画像データとして検出する工程と、得られた2次元画像データにおいて、検出された後方散乱光の光強度を画像上の光照射位置からの距離に応じて補正し、前記観察対象を透過していない後方散乱光の光強度が均一に表れる補正画像を得る工程とを含む方法が提供される。
本発明によると、後方散乱光を利用して散乱体内部の任意の位置における観察対象の情報を2次元画像として取得する際に、観察対象を容易に判別することが可能になる。
以下、本発明の散乱体内部観察装置について説明する。本発明において、散乱体とは、散乱媒質で構成される任意のものを意味し、その例として生体が挙げられる。散乱体は、散乱媒質の内部に観察対象を含んでなる。本発明の散乱体内部観察装置は、散乱体の表面に光を照射することにより、散乱体内部に存在する観察対象についての情報を得るためのものである。本発明における観察対象とは、散乱体の内部に分布し、散乱や吸収などの光学特性が周囲とは異なる成分から成る物質を指し、特に生体においては例えば血管などであってよいがこれに限定されない。したがって、観察対象の光学特性がその周囲の部分と有意に異なるような光を用いることにより、S/N比を向上することができる。例えば観察対象が血管の場合、ヘモグロビンに特異的な光吸収を示す近赤外領域の波長の光を用いるのが好ましい。
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明に係る散乱体内部観察装置のブロック構成図である。同図に示すように、散乱体内部観察装置1は、光照射手段10、検出手段11、制御/解析部12、記憶手段13、表示部14、入力部15、および補正手段16を具備している。
光照射手段10は、散乱体8内部の観察対象7とその周囲の散乱媒質6とで光学特性の異なる光を照射する照明手段である。前記光照射手段10には、例えばレーザーダイオード(LD)などを用いることができるが、これらに限定されない。この光照射手段10から照射される光には、例えば、観察対象には吸収されるが散乱媒質には吸収されない波長の光を使用することができる。光照射手段10は、制御/解析部12からの制御信号に基づいて光を散乱体8に向けて照射する。光照射手段10は、可動性であってよい。また、光照射は、走査により行ってもよい。
検出手段11は、光照射手段10によって照射された光が、散乱体8の散乱媒質6と観察対象7により、反射、散乱、吸収され、散乱体表面から出射された後方散乱光強度を検出するものである。検出手段11としては、光信号を2次元画像データとして検出できる撮像素子を用いることができる。例えばCCDを用いることができるが、これに限定されない。検出手段11は、制御/解析部12からの制御に基づいて後方散乱光を2次元画像データとして検出する。検出される2次元画像データには、後方散乱光強度の数値およびそれを画像化したものが含まれる。検出手段11は、可動性であってよい。
上述したように、後方散乱光を2次元画像として検出したことにより、光照射手段および検出手段は可動性であってよく、照射位置及び検出位置の自由度が高いため、散乱体内部の所望の位置の任意の深度における情報を容易に得ることができる。
制御/解析部12は、光照射手段10、検出手段11の動作を制御すると共に、検出手段11によって検出された2次元画像データを解析する。制御/解析部12としては、解析のためのソフトウェアが予めインストールされているコンピュータ等の制御装置が好適に使用される。
本発明において、制御/解析部12は、補正手段16を備える。補正手段16は、検出手段11により検出された2次元画像データにおいて、観察対象を透過していない後方散乱光の光強度を画像上の光照射位置からの距離に応じて補正し、後方散乱光の光強度が均一に表れる補正画像とする手段である。さらに、制御/解析部12は、検出された2次元画像データおよび補正画像を記憶する記憶手段13を備える。記憶手段13に記憶された複数の2次元画像データおよび補正画像を基に、所望の深度における断層画像を作成することができる。
制御/解析部12は、記憶手段13に記憶された複数の補正画像を重ね合わせて所望の深度における断層画像を構築する画像構築手段をさらに備えてもよい。画像構築手段は、散乱体表面の光照射位置に応じて補正画像を重ね合わせ、所望の深度における断層画像を構築する。ここで得られる断層画像は、補正画像を用いて構築されるため、観察対象を透過していない後方散乱光の光強度が均一に表れた画像である。複数の補正画像は、光を照射した順番に重ね合わせることが好ましい。重ね合わせは、断層画像を構築したい領域の補正画像全てを同時に重ね合わせてもよいが、一部の補正画像のみを重ね合わせて断層画像を構築し、新たな補正画像が作成される度に、その補正画像を既に作成された断層画像に追加していってもよい。補正画像を追加する場合、既に作成された断層画像に新たな補正画像を上書きしてもよいし、既に作成された断層画像との平均化処理を行ってもよい。また、一定数の補正画像を作成した段階でそれら画像の平均化処理を行い、平均化された画像を既に作成された断層画像上に重ね合わせてもよい。断層画像を構築する際には、作成した補正画像の一部のみを用いてもよい。
本発明に係る散乱体内部観察装置1は、さらに、表示部14および入力部15を備える。表示部14は、検出手段11によって検出された光強度データおよび2次元画像、ならびに補正手段16により補正された補正画像を表示する手段である。補正画像を重ね合わせて構築した断層画像も表示することができる。表示部14としては、例えばモニター等を使用することができる。入力部15は、光照射、検出または表示方法などの指令を入力する手段であり、例えばキーボード等が用いられるがこれに限定されない。
上記の光照射手段10、検出手段11、表示部14、入力部15および補正手段16は、電気信号が伝送される信号回路によって制御/解析部12に接続される。
次に、本発明の散乱体内部観察装置の作用について説明する。
図2は、散乱体内部の光の伝播の様子を表す概念図である。一般的には散乱体に照射された光は、散乱体内部で散乱を繰り返すうちに散乱の異方性が失われて等方散乱に近づく。この結果、平均的な光経路の断面はバナナ状になることが知られている。
図2において、光の照射位置から近い位置I1では散乱体の表面近くを伝播してきた光が多く検出される。一方、照射位置から離れた位置I2では散乱体のより深部を伝播してきた光が多く検出される。このように、光の照射位置から検出位置までの距離に応じて、検出された光が伝播してきた深度が変化する。
例えば、図2(a)において、観察対象は検出位置I1とI2の間の表面近くにある。この場合、検出位置I1とI2における検出光にはほとんど変化が見られない。一方、図2(b)においては、観察対象は検出位置I1とI2の間のより深い位置にある。このとき、検出位置I1における検出光にはほとんど変化が見られないが、検出位置I2における検出光は減弱する。
この性質を利用して、2次元画像データ上で後方散乱光強度の弱いポイントが見出された場合、そのポイントと光照射位置との距離から観察対象の深度と位置を算出することができる。また、得られた2次元画像データから、一定深度での断層画像を作成することもできる。
図3は、本発明の散乱体内部観察装置により検出される後方散乱光および得られる2次元画像データの模式図である。光照射手段10から散乱体8上に光が照射された位置をバツ印で示し、検出手段11によって撮像される撮像領域30を点線で示した。ここで、撮像領域30とは、検出手段11により一度に撮像される散乱体8上の領域を意味する。散乱体8によって反射、散乱、吸収され、散乱体表面から出射された後方散乱光は、通常、図に示すように照射位置を中心とする同心円状になる。本明細書において、光照射位置から一定の位置関係にある後方散乱光が検出される領域を後方散乱光検出領域と表す。前記領域は、必ずしも同心円状でなくてよい。
ここで、図3(a)に示すように、後方散乱光検出領域の同心円の直径が大きくなるほど、散乱体8のより深部を通ってきた光を多く検出する。図3(b)においては、後方散乱光検出領域31、32および33で検出される光は、それぞれの領域において略同じ深度の情報を有するとみなすことができる。またその深度は照射位置からその後方散乱光検出領域までの距離に対応するため、後方散乱光検出領域31、32および33の順に深度が深い。よって、2次元画像データから所定の後方散乱光検出領域の画像データを抽出することにより、一定の深度における画像データを選択的に取り出すことができ、選択されたデータから該深度での断層画像を作成することができる。
このようにして検出すると、観察対象を透過していない後方散乱光は図4に示すような強度プロファイルを示す。図4において、グラフの縦軸は後方散乱光の強度を示す。すなわち、光の強さは光照射位置に近いほど強く、外側に移動するにつれて弱くなる。これを画像化すると、観察対象の有無の情報以外に後方散乱光の強度分布の情報も画像化され、観察対象の有無が判別しにくい。本発明に係る散乱体内部観察装置によると、補正手段により後方散乱光の強度を補正して、観察対象を透過していない後方散乱光の光強度が均一に表れるような画像を構築することができる。補正後の画像においては、観察対象の情報を含まない後方散乱光の光強度分布が画像上に反映されないため、観察対象がより明瞭に写し出される。
図5は、光照射位置を変化させて検出した場合の模式図である。散乱体内部の断層画像を得たい場合、光を走査して複数の2次元画像を得る必要がある。図5の場合、検出手段11先端から散乱体表面までの距離は固定されており、撮像領域70も移動しない。しかし、光照射手段10によって光を照射する位置を変化させることにより、後方散乱光が検出される位置も移動する。このようにして得られる複数の2次元画像を補正して補正画像とし、これら補正画像を重ね合わせて所望の深度における断層画像を構築する。補正画像の重ね合わせの方法は、上述した通りである。
図6は、補正画像を重ね合わせて断層画像を構築する様子をイメージした図である。図6(a)〜(c)は、それぞれ、図5に示すように光照射位置を変化させることにより後方散乱光検出領域71、72および73を移動させた場合に、検出される後方散乱光の検出結果を重ね合わせた図である。このように散乱体の同一深度における情報を重ね合わせることにより、一定深度のより広い領域を表示する画像を構築することが可能になる。本発明においては、検出された2次元画像を観察対象の情報を含まない後方散乱光の強度が画像上に均一に表れるような補正画像としてから重ね合わせる。その結果として、観察対象がより明瞭に写し出された断層画像を得ることができる。
以下、本発明の具体的な態様について説明する。
図7は、本発明の第1態様に係る散乱体内部観察装置のブロック構成図である。
補正手段16は、検出手段11により検出された2次元画像を、観察対象を透過していない後方散乱光の光強度が均一に表れた補正画像とするための手段である。後方散乱光を2次元画像として検出する場合、観察対象の有無の情報以外に、図4で示したような散乱光の強度分布の情報も画像化される。補正手段16により、観察対象の有無とは無関係な光強度の強弱が画像上に表れないように補正をすることで、観察対象の有無を判別しやすくなる。
補正は、記憶手段13に予め記憶された変換アルゴリズムを用いて行われてよい。1つの例として、予め基準となる後方散乱光の2次元画像を取得し、この2次元画像を用いて、後方散乱光の光強度が均一に画像上に表れるような補正値を算出しておく方法がある。後方散乱光の検出位置と補正値との関係をテーブルにして記憶手段に記憶させておくことで、検出した後方散乱光の光強度から対応する検出位置の補正値で減算を行うことで容易に変換でき、光強度が均一に表れる補正画像を得ることができる。前記変換は、減算ではなく除算を用いても良い。前記テーブルを作成するために使用する画像データとしては、例えば、観察対象を含まない散乱体の表面に光を照射して後方散乱光を検出した2次元画像データを使用することができる。
変換アルゴリズムの他の例として、2次元画像上の光照射位置からの距離の関数を用いた変換が挙げられる。具体的には、2次元画像上のある位置において、光照射位置からの距離がxであり、後方散乱光の強度がI(x)である場合、補正関数f(x)を用いて、I(x)−f(x)またはI(x)÷f(x)として補正値を算出する。補正関数f(x)としては、例えば、以下に挙げる関数を使用することができる。
他に、補正関数f(x)として、散乱理論に基づく式を使用することができる。また、散乱体に光を照射して後方散乱光を検出した画像データを複数用意し、その画像データにおける後方散乱光の強度分布の統計データに基づいて補正関数f(x)を決定してもよい。
実際に補正を行う場合は、前記関数の中から後方散乱光の光強度分布が画像上で均一になるような関数を選択することにより行う。補正値はその都度計算してもよいが、距離xおよび後方散乱光強度I(x)に基づいて、所定の補正関数f(x)を用いた場合の補正値を予め計算しておき、該補正値を記憶手段に記憶させてもよい。すなわち、距離x、後方散乱光強度I(x)、および補正値の関係をテーブルにし、予め記憶手段に記憶させておくことにより、後方散乱光強度を補正値に容易に変換できる。
上記第1態様によれば、観察対象を透過していない後方散乱光の光強度が均一に表れる補正画像を得ることが可能になる。観察対象以外の部分の光強度情報が除去されることで、観察対象をより明瞭に画像中に映し出すことが可能になる。
図8は、本発明の第2態様に係る散乱体内部観察装置のブロック構成図である。本態様では、選択手段17をさらに備えたことを特徴とする。
選択手段17は、記憶手段13に記憶された複数の変換アルゴリズムの中から、場合に応じて最適な変換アルゴリズムを選定するための手段である。
散乱光の強度分布は、散乱体の種類に応じて変化する。また、散乱体が生体である場合、その状態が経時的に変化することにより、散乱光の強度も変化し得る。また、1種類の変換アルゴリズムのみでは、後方散乱光強度の補正が十分になされない可能性がある。従って、記憶手段13に複数の変換アルゴリズムを記憶させておき、それらを適宜変更できるようにしておくことは有益である。変換アルゴリズムの変更には、補正関数の変更、補正関数の係数の変更、使用するテーブルの変更のいずれも含まれる。
変換アルゴリズムの選定の方法として、例えば、散乱体内部観察装置1の入力部15にスイッチを設け、使用者が任意に選定できるようにする方法がある。選定したアルゴリズムを使用者が任意に変更できるようにしてもよい。また、予め、基準となる後方散乱光の2次元画像データを取得し、この2次元画像データを用いて、後方散乱光の光強度が均一に画像上に表れるような変換アルゴリズムを選定しておく方法もある。この場合、同じ条件で検出する間はその変換アルゴリズムを使用する。前記基準となる2次元画像データとしては、例えば、観察対象を含まない散乱体の表面に光を照射して後方散乱光を検出した2次元画像データを使用することができる。入力部15に変換アルゴリズムをリセットするスイッチを設け、条件を変えて測定する場合に変換アルゴリズムを再選定できるようにしてもよい。
変換アルゴリズムの選定方法の他の例として、一定時間毎に変換アルゴリズムが変更されるように予め設定しておく方法がある。一定枚数撮影するごとに変更されるように設定してもよい。
変換アルゴリズムの選定の流れを示すフローチャートを図9および図10に示す。
図9は、予め基準となる後方散乱光の2次元画像を取得し、適した変換アルゴリズムを選定する場合の図である。S1において、光照射手段により散乱体に光を照射する。S2において、使用する変換アルゴリズムを選定するための基準となる画像を取得する。S3において、S2で取得した画像の後方散乱光強度が均一になるように補正される変換アルゴリズムを選定する。変換アルゴリズムの選定は、手動で行ってもよいし、自動で行われるように設定してもよい。S4において、光照射手段により散乱体に光を照射し、観察対象の検出を開始する。S5において、後方散乱光を検出した2次元画像を取得する。S6において、S3で選定した変換アルゴリズムにより補正した補正画像を作成する。光照射位置を変化させてS4〜S6を繰り返し、複数の補正画像を得る。これら補正画像を重ね合わせることにより、所望の深度における断層画像を構築することができる。補正画像の重ね合わせの方法は、上述した通りである。補正画像を1枚作成するごとに、作成した補正画像を既存の断層画像に順次重ね合わせて断層画像を構築していってもよいし、全ての補正画像を同時に重ね合わせてもよい。
図10は、所定の枚数ごとに変換アルゴリズムが変更される場合の図である。図中のnは、取得した補正画像の枚数を意味する。S7において、最初に使用する変換アルゴリズムを選定する。この選定は、図9のS1〜S3において示した方法で行ってもよい。S8において、光照射手段により散乱体に光を照射し、観察対象の検出を開始する。S9において、後方散乱光を検出した2次元画像を取得する。S10において、S7で選定した変換アルゴリズムにより補正した補正画像を作成する。S11において、取得した補正画像の枚数を1枚加算する。S12において、取得した補正画像の枚数が予め設定した枚数(N0)を超えたか否か判断する。取得した補正画像の枚数がN0を超えた場合、S13において、使用する変換アルゴリズムを変更する。その場合、S14において、取得した補正画像の枚数nが0に戻る。取得した補正画像の枚数がN0を超えない場合、N0を超えるまでS9〜S11を繰り返す。
上記第2態様によれば、複数の変換アルゴリズムの中から、観察対象を透過していない後方散乱光の光強度がより均一に表れる画像を得られるものを選択して補正することが可能になる。観察対象や体温による後方散乱光の強度の違い、また、観察対象の経時変化による後方散乱光の強度変化にも対応して、適切な変換アルゴリズムを選定することが可能になる。また、変換アルゴリズムを変更したい時間や撮影枚数を予め設定しておけば、自動で変更することも可能である。
図11は、本発明の第3態様に係る散乱体内部観察装置のブロック構成図である。本態様では、レベル算出手段18をさらに備えたことを特徴とする。
レベル算出手段18は、補正手段16により得られる補正画像の光強度の均一性のレベルを算出するための手段である。補正後の画像において、観察対象を透過していない後方散乱光の光強度が均一に表れているほど、均一性のレベルは高いと言える。算出された均一性のレベルを参照することにより、より適切な変換アルゴリズムを採用することが可能になる。すなわち、変換アルゴリズムが適しているか否かを判断する基準として前記レベルを利用する。
均一性のレベルの算出方法の例として、撮像された2次元画像の空間周波数スペクトルを利用して行う方法がある。空間周波数スペクトルは、例えば、光照射手段を移動させて複数の2次元画像を取得し、これらの画像を照射位置に応じて重ね合わせたものをフーリエ変換することにより得られる。補正前の画像においては、観察対象とは無関係な後方散乱光の光強度分布も画像上に反映されているため、空間周波数スペクトルに複数のピーク(すなわちノイズ)が表れる。このノイズが小さくなるように補正することにより、観察対象を透過していない後方散乱光の光強度分布が画像上に表れない補正画像を作成することができる。このように、例えば、フーリエ変換した場合のノイズの大小(すなわち補正画像における後方散乱光強度の均一性のレベル)を基準として、補正に使用した変換アルゴリズムが適しているか否かを判断することができる。
すなわち、補正後においてもノイズが大きい場合は均一性のレベルが低く、使用した変換アルゴリズムが適していないことになる。均一性のレベルが一定値に満たない場合、選択手段17により、記憶手段13に記憶された他の変換アルゴリズムに変更する。変換アルゴリズムの変更は、前記均一性のレベルが一定値に満たない場合に自動で変更されるように予め設定してもよく、また、使用者が自ら変更してもよい。
図12に、ノイズ量の大小で補正画像における後方散乱光強度の均一性のレベルを判断し、それを基準として変換アルゴリズムを変更する場合のフローチャートを示す。S15において、最初に使用する変換アルゴリズムを選定する。この選定は、図9のS1〜S3において示した方法で行ってもよい。S16において、光照射手段により散乱体に光を照射し、観察対象の検出を開始する。S17において、後方散乱光を検出した2次元画像を取得する。S18において、S7で選定した変換アルゴリズムにより補正した補正画像を作成する。S19において、上述した手法により空間周波数スペクトルにおけるノイズ量を計算する。S20において、計算されたノイズ量を規定値と比較する。ノイズ量が規定値を超えた場合、均一性のレベルが低いと判断し、変換アルゴリズムを変更する。取得した補正画像のノイズ量が規定値を超えない場合、S16〜S20を繰り返す。図10に示したように、取得した補正画像の枚数が予め設定した枚数(N0)を超えたか否か判断するステップを入れておき、補正画像の枚数がN0を超えた段階でノイズ量を計算するように設定してもよい。また、一定時間毎にノイズ量を計算するよう設定してもよい。
上述した第3態様によれば、補正後の画像が一定の均一性レベルを満たしているか否かを判断できるため、より適切な変換アルゴリズムを使用して補正することが可能になる。予めシステムの中にレベル算出手段を組み込むため、補正が適切に行われているか否かをその都度確認しなくてもよくなり、効率が上がるという利点もある。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が可能である。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組合せることも可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本実施例では、散乱体表面に一定の間隔で光を照射して得た2次元画像を補正する方法について説明する。
図13(a)は、散乱体表面に一定の間隔で光を照射して得た2次元画像を、光照射位置に応じて重ね合わせたものである。図13(a)において、dは、光の照射を行った間隔を示している。図13(a)の画像の縦軸方向の空間周波数スペクトルを図13(b)に示す(フーリエ変換による)。光の照射間隔dに対応する空間周波数Dの整数倍の位置に強いピークが表れているのが分かる。これは、その周波数成分に対応する周期的な強度変化が画像上に存在することを示している。ピークの大きさが大きいほどその周期変化も大きい。
我々は、上述した空間周波数の位置に着目して、このピーク強度が小さくなるように補正を試みた。例えば、空間周波数Dにおけるスペクトル強度S1=F(D)と、その前後の周波数におけるスペクトル強度S0の差M(=S1−S0)が小さくなるように補正する。ここで、S0としては、例えばF(D−k’)とF(D+k’)の平均を使用することができる。k’はDの近傍の任意の値である。
光照射位置を中心とした同心円領域について補正を行う場合を考える。補正したい位置と中心との距離をxとし、変換アルゴリズムをf(x)=Ax+Bとした。上述したMが最小となるような係数AおよびBを探索して補正を行った。
図14は、補正画像とその縦軸方向の空間周波数スペクトルである。図13(b)において空間周波数Dの整数倍の位置に見られていたピークが、図14(b)では消えている。従って、良好に画像が補正されたと言える。図14(a)では、後方散乱光の光強度分布を示す色の濃淡が消えている。ここで濃淡が消えた光強度分布は、観察対象を透過していない後方散乱光の強度分布である。従って、上記補正により、観察対象の有無とは無関係な後方散乱光の強度分布情報が画像から消え、観察対象をより明確に検出できるようになったと言える。
1…散乱体内部観察装置、6…散乱媒質、7…観察対象、8…散乱体、10…光照射手段、11…検出手段、12…制御/解析部、13…記憶手段、14…表示部、15…入力部、16…補正手段、17…選択手段、18…レベル算出手段、30…撮像領域、31、32、33…後方散乱光検出領域、70…撮像領域、71、72、73…後方散乱光検出領域。
Claims (13)
- 散乱体内部の観察対象の情報を取得する散乱体内部観察装置であって、
散乱媒質の内部に観察対象を含んでなる散乱体の表面に、観察対象と散乱媒質とで光学特性の異なる光を照射する光照射手段と、
前記光照射手段により前記散乱体表面の任意の光照射位置に照射された光の後方散乱光の光強度を2次元画像データとして検出する検出手段と、
得られた2次元画像データにおいて、検出された後方散乱光の光強度を画像上の光照射位置からの距離に応じて補正し、前記観察対象を透過していない後方散乱光の光強度が均一に表れる補正画像を得る補正手段と
を備える散乱体内部観察装置。 - 散乱体表面の光照射位置を変化させて得られる複数の2次元画像データおよび該2次元画像を前記補正手段により補正した複数の補正画像を記憶する記憶手段と、
前記複数の補正画像を前記散乱体表面の光照射位置に応じて重ね合わせ、散乱体内部の一定深さの断層画像を構築する画像構築手段と
をさらに備えたことを特徴とする、請求項1に記載の散乱体内部観察装置。 - 前記補正手段は、予め記憶手段に記憶された変換アルゴリズムにより光強度を補正することを特徴とする、請求項1または2に記載の散乱体内部観察装置。
- 前記変換アルゴリズムは、前記光照射手段と前記検出手段とにより予め2次元画像データを取得し、該データから得られる後方散乱光の光強度分布データを基に構築される、請求項3に記載の散乱体内部観察装置。
- 前記予め取得する2次元画像データは、観察対象を含まない散乱体の表面に光を照射して後方散乱光を検出したデータであることを特徴とする、請求項4に記載の散乱体内部観察装置。
- 前記変換アルゴリズムは、2次元画像上の光照射位置からの距離の関数であることを特徴とする、請求項3に記載の散乱体内部観察装置。
- 記憶手段に記憶された複数の変換アルゴリズムの中から使用するアルゴリズムを選択する選択手段をさらに備えたことを特徴とする、請求項3〜6のいずれか1項に記載の散乱体内部観察装置。
- 前記選択が一定時間毎に実行されることを特徴とする、請求項7に記載の散乱体内部観察装置。
- 前記補正画像における後方散乱光強度の均一性のレベルを算出するレベル算出手段をさらに備えたことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の散乱体内部観察装置。
- 前記均一性のレベルが基準を下回ると、記憶手段に記憶された複数の変換アルゴリズムの中から使用するアルゴリズムを選択する選択手段が動作することを特徴とする、請求項9に記載の散乱体内部観察装置。
- 前記レベル算出はフーリエ変換を用いて行われることを特徴とする、請求項9または10に記載の散乱体内部観察装置。
- 前記光照射位置の間隔が一定であって、前記複数の2次元画像を光照射位置に応じて重ね合わせて構築した画像における、前記間隔に対応する空間周波数成分が抑制されるように、前記観察対象を透過していない後方散乱光の光強度を補正することを特徴とする、請求項2に記載の散乱体内部観察装置。
- 散乱体内部の観察対象の情報を取得する散乱体内部観察方法であって、
散乱媒質の内部に観察対象を含んでなる散乱体の表面に、観察対象と散乱媒質とで光学特性の異なる光を照射する工程と、
前記光照射手段により前記散乱体表面の任意の光照射位置に照射された光の後方散乱光を2次元画像データとして検出する工程と、
得られた2次元画像データにおいて、検出された後方散乱光の光強度を画像上の光照射位置からの距離に応じて補正し、前記観察対象を透過していない後方散乱光の光強度が均一に表れる補正画像を得る工程と
を含む方法。
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JP2009071578A JP2010223770A (ja) | 2009-03-24 | 2009-03-24 | 散乱体内部観察装置および散乱体内部観察方法 |
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JP2010286338A (ja) * | 2009-06-11 | 2010-12-24 | Jfe Techno Research Corp | 非破壊的内部観察装置及び非破壊的内部観察方法 |
JP2015077415A (ja) * | 2009-12-28 | 2015-04-23 | オリンパス株式会社 | 走査型の内部観察装置及びそれを用いて観察画像を得る方法 |
US9310190B2 (en) | 2011-08-31 | 2016-04-12 | Hitachi High-Technologies Corporation | Surface shape measuring apparatus |
US9366625B2 (en) | 2012-02-09 | 2016-06-14 | Hitachi High-Technologies Corporation | Surface measurement device |
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2009
- 2009-03-24 JP JP2009071578A patent/JP2010223770A/ja not_active Withdrawn
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