JP2010223275A - 液入り防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴム弾性体の隔壁部分等への、歪の集中に起因する、ゴム弾性体への早期の破損の発生を有効に防止してなお、コア状取付部材の押込み変位に伴う、主液室の、広い範囲にわたる大きな圧潰変形、ひいては封入液体の多量の流動を可能として、すぐれた振動減衰機能の発揮を担保できる液入り防振装置を提供する。
【解決手段】振動の、発生側および被伝達側のそれぞれに連結されるそれぞれの取付部材14,18と、コア状をなす一方の取付部材14の周りに、スリーブ状をなす他方の取付部材18を連結するゴム弾性体22とを具え、両取付部材14,18の軸線方向の相対振動および、その軸線を直交する方向の相対振動のそれぞれを吸収するものであって、コア状取付部材14の、ゴム弾性体22内への埋め込み部分で、主および副液室28,30側の端部分に、一対の横液室36a,36bの方向へのみ突出する形態のそれぞれの突部44a,44bを設けてなる。
【選択図】図3

Description

この発明は、各種の車両、一般産業機械等に適用されて、エンジンその他の振動の発生側から、車体等の、振動の被伝達側への振動の伝達を有効に防止する液入り防振装置、なかでも、振動の、発生側および被伝達側のそれぞれに連結される、コア状の取付部材および、スリーブ状の取付部材と、コア状をなす一方の取付部材の周りに、スリーブ状をなす他方の取付部材を弾性的に連結するゴム弾性体とを具え、たとえば上下方向となる、両取付部材の軸線方向の振動および、これもたとえば、前後方向となる、その軸線方向と直交する一方の水平振動のそれぞれを吸収する、いわゆる二方向減衰タイプの液入り防振装置に関するものであり、とくには、コア状取付部材とスリーブ状取付部材とを繋ぐとともに、コア状取付部材の直径方向に対抗して位置する一対の横液室を区画するべく機能する、ゴム弾性体の隔壁部分の耐久性を大きく高め、併せて、コア状取付部材の一方の端縁より軸線方向の外側部分で、多くは、スリーブ状取付部材の内側に区画形成される主および副液室間での、封入液体の流動量を十分に多くして、上下振動等に対するすぐれた減衰特性を発揮させることができる技術を提案するものである。
従来のこの種の二方向タイプの液入り防振装置としては、図6に断面図で例示するものがある(特許文献1)。
これは、たとえば、振動の発生側に、図示しないブラケットを介して連結される、コア状の一方の取付部材111と、振動の被伝達側に、鍔付き筒体からなるブラケット112を介して連結される、スリーブ状の他方の取付部材113とを、コア状取付部材111に加硫接着等によって固着させたゴム弾性体114によって弾性的に相互連結し、そして、コア状取付部材111の一方の端縁より軸線方向の外側部分で、スリーブ状取付部材113の内側に、液体を充填された主液室115および副液室116のそれぞれを区画形成するとともに、それらの両液室115,116を、仕切部材117に設けた制限通路118によって相互に連通させるとともに、両取付部材111,113間で、コア状取付部材111の周りに、その取付部材111の直径方向に対抗して位置し、液体を充填されて相互に連通される一対の横液室119a,119bを、ゴム弾性体114の、コア状取付部材111とスリーブ状取付部材113とを繋ぐ隔壁部分120によって区画してなるものであって、それぞれの横液室119a,119bを、絞り通路121a,121bを介して副液室116に連通させるものである。
従って、この液入り防振装置では、両取付部材111,113の軸線方向の相対振動は、封入液体の、主には、主液室115と副液室116との間での、制限通路118を通る流動に伴う液柱共振によって減衰されることになり、その軸線方向と直交する方向の相対振動は、主には、それぞれの横液室119a,119b内の液体が、それぞれの絞り通路121a,121bから副液室116を介して流動することによる液柱共振によって減衰されることになる。
特開昭61−17733号公報
ところで、このような防振装置にあって、ゴム弾性体114を加硫接着等されるコア状取付部材111の外径を太くしたときは、たとえば、両取付部材111,113の軸線方向の相対変位に当り、図6(b)に示す隔壁部分120等における、ゴム弾性体114の変形の自由度が小さく、その隔壁部分120が、スリーブ状取付部材113側に比し、コア状取付部材111側で大きく変形することになって、コア状取付部材111の界面近傍に歪が集中することになるため、隔壁部分120の、その歪の集中個所に、比較的早期の破損が生じるという問題があった。
この一方で、コア状取付部材コア状取付部材111の外径を、図6に仮想線で示すように細くして、隔壁部分120等における、ゴム弾性体の変形の自由度を高めたときは、その隔壁部分120は、半径方向の延在長さの全体にわたってほぼ均等に変形できることから、ゴム弾性体114の耐久性の向上を図ることができる。
しかるに、コア状取付部材111を、図に仮想線で示すように小径化させたときは、たとえば、そのコア状取付部材111に押込み方向の力が入力された場合に、空気ばねでいう、「有効受圧面積」ないしは「有効直径」が小さくなるのに似て、主液室115内の液体を、その主液室115の囲繞平面の全体にわたって大きな力で押圧することが難しくなり、その主液室115内の液体を、副液室116に向けて多量に流動させることができなくなるため、両取付部材111,113の軸線方向の相対振動の減衰性能が低下することになるという問題があった。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題としてなされたものであり、それの目的とするところは、ゴム弾性体の隔壁部分等への、歪の集中に起因する、ゴム弾性体への早期の破損の発生を有効に防止してなお、コア状取付部材の押込み変位に伴う、主液室の広い範囲にわたる大きな圧潰変形、ひいては封入液体の多量の流動を可能として、すぐれた振動減衰機能の発揮を担保できる液入り防振装置を提供するにある。
この発明に係る液入り防振装置は、振動の、発生側および被伝達側のそれぞれに連結されるそれぞれの取付部材と、コア状をなす一方の取付部材の周りに、スリーブ状をなす他方の取付部材を、直接的もしくは間接的に連結するゴム弾性体とを具え、コア状取付部材の一方の端縁より軸線方向の外側部分で、多くは、スリーブ状取付部材の内側に、液体を充填された主および副液室のそれぞれを、仕切部材をもって区画して設けるとともに、それらの両液室を、その仕切部材に設けた制限通路によって相互に連通させ、また、両取付部材間で、コア状取付部材の周りに、コア状取付部材の直径方向に対抗して位置し、液体を充填されて、直接的もしくは間接的に相互に連通される一対の横液室を、前記ゴム弾性体の、コア状取付部材とスリーブ状取付部材とを繋ぐ隔壁部分によって区画してなり、両取付部材の軸線方向の相対振動および、その軸線と直交する方向の相対振動のそれぞれを吸収するものであって、コア状取付部材の、ゴム弾性体内への埋め込み部分で、主および副液室側の端部分に、一対の横液室の方向へのみ突出する形態のそれぞれの突部を設けたものである。
ここで好ましくは、コア状取付部材の一対の突部の、主および副液室側の端面を、それらの液室側に向けて先細りとなる形状とする。
従って、ここでの先細り端面は、一対の平坦傾斜面、角錐状傾斜面とすることの他、先端に到るまでの中間部分が、凸面もしくは凹面となる曲面傾斜面等とすることもできる。
そしてまた好ましくは、コア状取付部材の一対の突部の、主および副液室側の端面を、その取付部材の周方向に弧状となる先細りテーパ面とする。
この発明の液入り防振装置では、とくに、コア状取付部材の、ゴム弾性体内への埋め込み部分で、主および副液室側の端部分に、一対の横液室の方向へ突出する形態のそれぞれの突部を設けることにより、ゴム弾性体の隔壁部分の、コア状取付部材への接合部分ではそのコア状取付部材の外径寸法を十分小径なものとし、これによって、コア状取付部材に、それの軸線方向等の振動が入力された場合の、隔壁部分の変形の自由度を大きく確保して、その隔壁部分の全体にわたるほぼ均等な変形を可能とすることで、歪の集中に起因する、その隔壁部分への損傷の発生を長期間にわたって有効に防止することができる。
この一方で、コア状取付部材の、主および副液室側の端部分には、横液室の方向へだけ突出する形態の突部を設けて、その端部分の横断面積を十分大きなものとすることにより、上述したように、ゴム弾性体の隔壁部分への損傷の発生を効果的に抑制しつつ、コア状取付部材に対する、それの軸線方向等の押込み方向の力の入力に当って、主液室を広い面積にわたって大きく圧潰変形させて、主液室内の液体を、制限通路内に多量に流動させることができるので、防振装置に、すぐれた振動減衰機能を十分に発揮させることができる。
かかる装置において、コア状取付部材の一対の突部の、主および副液室側の端面を、それらの液室に向けて先細りとなる形状としたときは、先細り傾斜面をもって、主液室をより広範囲に圧潰変形させることができる利点がある他、コア状取付部材の押込み方向の入力の作用、たとえば、コア状取付部材へのエンジン重量等の荷重の作用に対して、ゴム弾性体から、コア状取付部材への反力を大きく確保して、荷重の支持を十分適正なものとすることができ、装置の意図しない潰れ変形を、より有効に防止することができる。
そしてまた、この装置において、コア状取付部材の一対の突部の、主および副液室側の端面を、その取付部材の周方向に弧状をなす先細りテーパ面としたときは、コア状取付部材、より直接的には突部の平面輪郭形状から角部を取り除いて、そのコア状取付部材の変位に際する、ゴム弾性体への応力の集中等のおそれを十分に取り除くことができる。
この発明の実施の形態を示す、図2および図3のI−I線に沿う平面断面図である。 図1のII−II線に沿う断面を示す側面断面図である。 図1のIII−III線に沿う断面を示す側面断面図である。 コア状取付部材の要部を示す略線斜視図である。 振動吸収特性を示すグラフである。 従来技術を示す断面図である。
この発明に係る液入り防振装置の実施形態を、図面に示すところに基いて説明する。
ところで、以下では、防振装置に直交座標系を想定し、たとえば、防振装置の中心軸線と平行な車両の下方向(たとえばエンジン重量の入力方向)を+Z方向、中心軸線に直交する車両の前方向を+X方向、中心軸線に直交する車両の右方向を+Y方向とする。
この実施形態は、±Z方向および±X方向の振動に対して減衰力を発揮する二方向減衰タイプの液入り防振装置を示すものである。
図1〜図3は、この発明の実施の形態を示す説明図であり、図1は、図2および図3のI−I線に沿う平面断面図であり、図2は、図1のII−II線に沿う側面断面図、図3は、図1のIII−III線に沿う側面断面図、そして図4は、コア状をなす一方の取付部材だけを取り出して示す要部略線傾斜図である。
この液入り防振装置10は、たとえば図2に示すように、第2ブラケット12を介してエンジン(振動発生側)に連結されるコア状取付部材14を具えている。
このコア状取付部材14の、図では上方側となる−Z側の端面には、第2ブラケット12を連結するためのネジ穴が形成されている。また、コア状取付部材14の、図では下方側となる+Z側の端部分は、後述するゴム弾性体内に埋め込まれている。
かかるコア状取付部材14の外周側には、第1ブラケット16を介して車体(振動被伝達側)に連結されるスリーブ状取付部材18が設けられており、このスリーブ状取付部材18は、図では、コア状取付部材14と同軸に配置されている。
そしてこのスリーブ状取付部材18の内周に沿って、後述する中間筒部材20が設けられている。
またここでは、コア状取付部材14とスリーブ状取付部材18との間にゴム弾性体22が配置され、このゴム弾性体22によって、両取付部材14,18が弾性的に連結されており、図示のこのゴム弾性体22は、コア状取付部材14および中間筒部材20の両者に加硫接着されている。
この防振装置10は、スリーブ状取付部材18の中心軸線と略平行にコア状取付部材14に入力されたエンジン重量を、ゴム弾性体22の弾性体変形の下で支持するものであり、このゴム弾性体22により、スリーブ状取付部材18の−Z側の上端開口が閉塞されている。
この一方で、スリーブ状取付部材18の+Z側の下端開口は、コア状取付部材の14の下端よりさらに下方側で、可撓性を有するゴム膜からなるダイヤフラム24によって液密に封止されている。
そして、ゴム弾性体22とダイヤフラム24との間には、スリーブ状取付部材18の内部をそれの軸線方向に区分する仕切部材26が設けられている。
ここにおいて、スリーブ状取付部材18の内側には液体が封入されて、コア状取付部材14の下端部分を埋め込まれたゴム弾性体22と仕切部材26との間には主液室28が、そして、その仕切部材26とダイヤフラム24との間には副液室30がそれぞれ形成されている。
ここで、仕切部材26には、制限通路としての、円環状の主オリフィス流路32が形成され、この主オリフィス流路32の一端は主液室28に、他端は副液室30にそれぞれ開口されている。
これにより、エンジンの主振動に伴ってコア状取付部材14が±Z方向に振動すると、主液室28および副液室30の液体が、主オリフィス流路32を通って相互に移動する。
この場合、コア状取付部材14が第1共振周波数(例えば、エンジンシェイクの10Hz前後)で振動すると、主オリフィス流路32の液体が液柱共振し、これにより、エンジンの±Z方向の振動に対して大きな減衰力を発揮することができる。
仕切部材26の中央部には、ゴム弾性膜からなるメンブラン34が配置されており、このメンブラン34の−Z側は主液室23に連通し、+Z側は副液室30に連通されている。
このメンブラン34は、少なくともその一部が±Z方向に変形ないしは変位しうるように構成され、支持されている。
コア状取付部材14が上述した第1共振周波数を超える周波数(例えば、アイドリング振動の35Hz前後)で振動すると、主オリフィス流路32の内部の液体が追従移動できなくなるので、主および副液室28,30の圧力が上昇することになるところ、液室内圧のこのような上昇は、メンブラン34を、振動方向に変形等させることによって吸収することが可能となる。
これにより、エンジンマウントの動的バネ定数の上昇を抑制することができる。
図2に示すように、中間筒部材20は、−Z方向に配置された上筒部20aと、+Z方向に配置された下筒部20bとを具えており、これらの上筒部20aと下筒部20bとは、図1に示す一対の連結部20cによって相互に連結されている。
これらの一対の連結部20cは、中間筒部材20の±X方向に配置されている。このため、中間筒部材20の±Y方向には一対の窓部20dが形成されることになる。
また図2に示すところから明らかなように、ゴム弾性体22は、上壁部分22a、下壁部分22bおよび隔壁部分22cで構成されている。
ここで、上壁部分22aは、コア状取付部材14と、中間筒部材20の上筒部20aとの間にわたって配設され、下壁部分22bは、コア状取付部材14と、中間筒部材20の下筒部分20bとの間に全周にわたって配設されている。そして、後述する一対の横液室を区画するべく機能する隔壁部分22cは、少なくとも、上壁部分22aと下壁部分22bとを連結する範囲内に配設されている。
この隔壁部分22cは、図1に示すように、コア状取付部材14から±Y方向に延び、中間筒部材20の窓部20dを貫通して、スリーブ状取付部材18の内面に当接している。
なお、図示の防振装置では、隔壁部分22cの外周面と、スリーブ状取付部材18の内周面とは、中間筒部材20に対するスリーブ状取付部材18のかしめ固定等により、相互に非接着状態とされている。
これがため、コア状取付部材14が+Y方向に大きく変位した場合には、コア状取付部
材14の−Y方向において隔壁部分22cがスリーブ状取付部材18の内表面から離隔することになる。これにより、隔壁部分22cの−Y方向における引張ひずみが低減され、亀裂の発生を防止することができる。
これに対し、コア状取付部材14が±X方向に小振幅で振動する場合は、隔壁部分22cはスリーブ状取付部材18から離隔しないので、そのコア状取付部材14の周りで、隔壁部分22cによって区画形成されて、コア状取付部材14の直線方向に対抗して位置し、±X方向に隔離された、一対の横液室としての第1液室36aと第2液室36bとの短絡によってX方向の減衰特性が低下することはない。
ところで、これらの第1液室36aおよび第2液室36bは、図3に示すように、主および副液室28,30より一Z方向で、上壁部分22aと下壁部分22bとの間に形成されている。
仕切部材26は、その周縁部からスリーブ状取付部材18の内面に沿って立設された筒状部26aを具えており、この筒状部26aには、第1液室36aと副液室30とを連通する第1オリフィス流路38aと、第2液室36bと副液室36とを連通する第2オリフィス流路38bとが設けられている。
エンジンの副振動に伴ってコア状取付部材14が±X方向に振動すると、第1液室36aおよび副液室30の液体が第1オリフィス流路38aを通って相互に移動し、第2液室36bおよび副液室30の液体が第2オリフィス流路38bを通って相互に移動する。そして、コア状取付部材14が第2共振周波数で振動すると、第1オリフィス流路38aおよび第2オリフィス流路38bの液体が液柱共振する。これにより、エンジンの±X方向振動に対して大きな減衰力を発揮することができる。
このような防振装置では、コア状取付部材14が±Z方向に第2共振周波数で振動した場合にも、第1オリフィス流路38aおよび第2オリフィス流路38bの液体が液柱共振する。これがため、エンジンのZ方向振動に対して、第1共振周波数から第2共振周波数までの広い範囲で、大きな減衰力を発揮することができる。
このように、この実施形態の液入り防振装置は、いわゆる二方向減衰方式の防振装置である。
すなわち、この防振装置10は、車体に連結される、略筒状に形成されたスリーブ状取付部材18と、エンジンに連結される、スリーブ状取付部材18の内周側に配置されたコア状取付部材14と、スリーブ取付部材18とコア状取付部材14との間に配設されてそれらの両者を弾性的に連結するゴム弾性体22と、スリーブ状取付部材18の内周側で、コア状取付部材14の、図では下端よりさらに下方側に配設されるとともに、少なくとも一部がゴム弾性体22により区画されて、液体が充填された主液室28と、隔壁の一部がダイヤフラム24により形成されるとともに液体が充填され、液体の液圧変化に応じて内容積が拡縮可能とされた副液室30と、主液室28と副液室30とを互いに連通させて液体を流通可能とする主オリフィス流路32とを具え、さらに、スリーブ状取付部材18とコア状取付部材14との間に、コア状取付部材14の直径方向に対抗させて配設され、内壁の少なくとも一部がゴムにより形成されて、液体が充填された第1液室36aおよび第2液室36bと、第1液室36aを副液室30に連通させる第1オリフィス流路38aおよび、第2液室36bを副液室30に連通させる第2オリフィス流路38bとを具えてなる。
また、図示の液入り防振装置では、図2に仮想線で示すように、コア状取付部材14の、スリーブ状取付部材18から突出する側の先端に、第2ブラケット12が装着される。全体としてロッド状をなすこの第2ブラケット12は、一方の(−Y側)端部に、エンジンに締結されるボルトの挿入孔を有し、そして他方の(+Y側)端部には、ブラケット12をコア状取付部材14にボルト締めするためのボルト貫通孔を有している。
これにより、この第2ブラケット12は、ボルト貫通孔に挿入したボルトを介してコア状取付部材14に固定される。
そしてまた、この実施形態では、コア状取付部材14の、ゴム弾性体22からの突出部分、図では上方側への突出部分に、そのコア状取付部材14がスリーブ状取付部材18から抜け出す方向(−Z方向)の、コア状取付部材14の過剰の相対変位位置を、スリーブ状取付部材18のための第1ブラケット16、図では、そのスリーブ状取付部材18の周りにかしめ固定等される第1ブラケット16の筒状部16aの端部に形成した内向フランジ16bへの当接によって拘束するストッパ40(リバウンドストッパ)を、予め一体に形成して設ける。
なお、このストッパ40は、その直径と、筒状部16aの、内向フランジ16bに隣接する端部分の内径とを適宜に選択することにより、車両の前後方向(±X方向)および/または左右方向(±Y方向)の、コア状取付部材14の過剰の相対変位を、その隣接端部分への当接によって拘束するためのストッパとしても機能させることができる。
そしてこれらのいずれの場合にあっても、ストッパ40の機能に際する、当接音、当接
衝撃等を緩和ないし抑制するためには、ストッパ40の少なくとも当接表面を、緩衝部材
、たとえばカバーゴム42にて覆うことが好ましい。
この場合、カバーゴム42は、ストッパ40の表面に、加硫接着その他によって接着させることができる他、ストッパ40に非接着状態とすることもできる。
なお、この一方で、ストッパ40はそのままとして、緩衝部材を第1ブラケット16側に設けることもできる。
ところで、ストッパ40を、コア状取付部材14に予め一体形成してなお、ゴム弾性体
22を加硫成形するための加硫モールドの型抜きを円滑なものとするため、ここでは、ストッパ40のゴム弾性体22側の表面を、フランジ状のストッパ40の中央部側でゴム弾性体22側に凸となる截頭円錐面40aとし、この截頭円錐面40aと、それが対向するゴム弾性体22の表面との間の、コア状取付部材14の軸線方向の距離x,yを、半径方向の内外にわたって同一もしくは、半径方向の外方に向けて次第に増加させる。
ここで、ストッパ40の、上述したような截頭円錐面40aは、ストッパ40の半径方向の外方に向けて、ストッパそれ自身の厚みを、そのストッパ40の、ゴム弾性体22に対向する表面側で、直線的もしくは曲線的に漸減させることによって形成することができる。
従って、ここでいう截頭円錐面40aは、幾何学的なテーパ面になる截頭円錐面のみならず、ゴム弾性体22側に幾分凸となる、または凹となる曲面からなるものをも含むことになる。
ストッパ40をこのように構成した場合の、ゴム弾性体22のための加硫モールドは、少なくとも、ゴム弾性体22の、図の上表面の加硫成形に寄与する型部分が、コア状取付部材14の中心軸線を含む面内に、放射方向の複数の分割面を有し、各個がストッパ40の半径方向に水平に、または、截頭円錐面40aに沿う方向に型開き変位可能な二個以上の分割部分からなる構造を有するものとすることができる。
そしてさらに、この実施形態では、コア状取付部材14の、ゴム弾性体22内への埋め込み部分で、主および副液室28,30側の端部分に、図3に示すように、一対の横液室としての、第1および第2の液室36a,36bの方向へのみ突出する形態の、所要の形状のそれぞれの突部44a,44bを設け、これにより、図2に示すように、コア状取付部材14の、ゴム弾性体隔壁部分22cへの接合部への直径を十分小径として、その隔壁部分22cの変形の自由度を大きく高めるとともに、コア状取付部材14の、主液室近傍部分の横断面積を十分大きく確保して、コア状取付部材14の押込み方向の変位に際する、その主液室28の、広い面積にわたる圧潰変形を可能ならしめる。
従って、コア状取付部材14のこの構造によれば、隔壁部分22aの損傷を長期間にわたって有効に防止することができ、また、対をなす突部44a,44bの作用下で、主液室28と副液室30との間での、封入液体の流動量を十分に確保して、すぐれた振動減衰機能を発揮させることができる。
ここで好ましくは、コア状取付部材14の一対の突部44a,44bの、主および副液室28,30側の端面を、図3に例示するように、それらの液室28,30に向けて先細りとなる形状、たとえば、図示のような先細り平坦傾斜面形状、または、先細り角錐状傾斜面形状、先端に到るまでの中間部分が、凸面もしくは凹面となる曲面傾斜面形状等とする。
そしてまた好ましくは、図4に要部を斜視図で示すように、コア状取付部材14の一対の突部44a,44bの、主および副液室28,30側の端面46a,46bを、その取付部材14の周方向に弧状をなす先細りテーパ面とする。
以上に述べた構造を有する液入り防振装置において、図4に示すようなコア状取付部材14の、隔壁部分22cへの接合部分の直径を23mm,一対の突部44a,44bの、図の上端および下端でのそれぞれの外接円直径を37mmおよび21mmとするとともに、それらの突部44a,44bの形成部分の、取付部材14の軸線方向長さを38mmとした実施例装置と、コア状取付部材から突部を省いて、全長にわたって一定の外径(23mm)とした従来例装置と、コア状取付部材に、フランジ状の突部を全周にわたって設けた(上下端の各直径を、実施例装置の各端の外接円直径と等しくし、突部形成部分の軸線方向長さをもまた実施例装置と同一とした)比較例装置とのそれぞれにつき、上下振幅±1.0mm、静荷重約800Nで、周波数を変化させて損失係数(tanδ)を側定したときの振動減衰特性は、図5にグラフで示す通りとなり、
また、コア状取付部材に、0〜17(mm)の振幅の押込み振動を繰返し入力したときの、ゴム弾性体に亀裂が発生するまでの耐久試験を行ったところ、実施例装置では20万回の繰返しによって、また、比較例装置では9万回の繰返しにより、そして、従来例装置では28万回の繰返しによってそれぞれ亀裂が発生した。
これらの試験によれば実施例装置は、繰返しの振動入力に対する耐久性の低下を、従来例装置に対して低く抑制しつつ、振動減衰機能を有効に向上させ得ることが解かる。
10 液入り防振装置
12 第2ブラケット
14 コア状取付部材
16 第1ブラケット
16a 筒状部
16b 内向フランジ
18 スリーブ状取付部材
20 中間筒部材
22 ゴム弾性体
22a 上壁部分
22b 下壁部分
22c 隔壁部分
24 ダイヤフラム
26 仕切部材
28 主液室
30 副液室
32 主オリフィス流路
34 メンブラン
36a 第1液室
36b 第2液室
38a 第1オリフィス流路
38b 第2オリフィス流路
40 ストッパ
40a 截頭円錐面
42 カバーゴム
44a,44b 突部
46a,46b 端面

Claims (3)

  1. 振動の、発生側および被伝達側のそれぞれに連結されるそれぞれの取付部材と、コア状をなす一方の取付部材の周りに、スリーブ状をなす他方の取付部材を連結するゴム弾性体とを具え、コア状取付部材の一方の端縁より軸線方向の外側部分に、液体を充填された主および副液室を相互に連通させて設けるとともに、両取付部材間で、コア状取付部材の周りに、このコア状取付部材の直径方向に対向して位置し、液体を充填されて相互に連通される一対の横液室を、前記ゴム弾性体の、コア状取付部材とスリーブ状取付部材とを繋ぐ隔壁部分によって区画してなり、両取付部材の軸線方向の相対振動および、その軸線と直交する方向の相対振動のそれぞれを吸収する液入り防振装置であって、
    コア状取付部材の、ゴム弾性体内への埋め込み部分で、主および副液室側の端部分に、一対の横液室の方向へのみ突出する形態のそれぞれの突部を設けてなる液入り防振装置。
  2. コア状取付部材の一対の突部の、主および副液室側の端面を、それらの液室に向けて先細りとなる形状としてなる請求項1に記載の液入り防振装置。
  3. コア状取付部材の一対の突部の、主および副液室側の端面を、その取付部材の周方向に弧状をなす先細りテーパ面としてなる請求項1もしくは2に記載の液入り防振装置。
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