JP2010220831A - 粥腫脱落防止具及び粥腫脱落防止具セット - Google Patents

粥腫脱落防止具及び粥腫脱落防止具セット Download PDF

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Abstract

【課題】SASを発生した大動脈であっても安心して取り付けることができ、動脈塞栓症を防止できる粥腫脱落防止具等を提供する。
【解決手段】大動脈101の内側に取り付けられて粥腫Pの脱落を防止する粥腫脱落防止具1等である。粥腫脱落防止具1は、柔軟性のある網目状の素材で両端が開口する筒状に形成されたネット部と、ネット部の少なくとも一端に設けられ、常態において筒形状を保持する固着部とを備え、固着部がその半径方向に収縮可能に形成されている。粥腫脱落防止具1の取り付け時には、粥腫Pの脱落による動脈塞栓症を防止するため、取付補助具を用いるのが好ましい。取付補助具は、収縮可能な多孔質塊状の捕捉部21と、捕捉部21に一端が接続された線状のワイヤ部22とを有している。
【選択図】図6

Description

本発明は、Shaggy aorta症候群に好適な粥腫脱落防止具等に関する。
Shaggy aorta症候群(以下、単にSASという)は大動脈疾患の1つである。SASは、大動脈の内面にコレステロール等が蓄積することによって粥腫(プラーク)が形成され、その粥腫の厚みが増加してCT(Computed Tomography)で観察した時に大動脈の内面が毛羽立ったように見えることからそのように名付けられている。このSASで問題となるのは、塞栓症を引き起こすおそれがあることである。すなわち、粥腫の一部が脱落して血流と共に流されると、その一部が末梢動脈に詰まってしまい、その先への血液の供給が滞るようになる。腎臓で塞栓症が発生すれば腎機能障害や腎不全の原因ともなるし、腸間膜動脈で塞栓症が発生すれば腹膜炎の原因ともなる。
本発明に関し、大動脈瘤の治療に用いられるステントグラフトが知られている(特許文献1、2等)。例えば、特許文献2には、形状記憶合金製のワイヤーを網目状に交絡させて筒形に形成したステントに、人造チューブなどのグラフトを一体に被せたステントグラフトが開示されている。
また、血管形成術等の際に血管内で飛散する血栓等を捕捉するデバイスが知られている(特許文献3)。このデバイスには、外側シースと、外側シースに収納可能な内側シースと、内側シースの先端に設けられた捕捉体とが備えられている。捕捉体は形状記憶合金製の複数の線材と、これら線材に取り付けられたフィルタとで構成されている。捕捉体は、外側シースの内側に収納可能に折り畳むことや放射状に展開させることができる。
特開2008−200293号公報 特開2004−344634号公報 特開2007−319271号公報
症状の現れないSASはこれまで事後的に発見される場合が多かったが、近年、CTの性能の向上により早期発見が可能になりつつある。しかしながら、粥腫の脱落部位は前もって特定できないため、塞栓症を予防するためには大動脈の大部分を外科的に処置する必要があり、SASの早期発見が可能になっても塞栓症を阻止することは容易でない。そのような処置を施すことで、かえって粥腫の脱落を招くリスクを高めてしまうおそれがある。
例えば、ステントグラフトを用いて粥腫を大動脈の内面に押し付けることができれば粥腫の脱落防止が期待できる。ところが、従来のステントグラフトでは、比較的強い力で拡張する針金のような金属線材でステントが構成されているため、SASの発生した大動脈に取り付けると、取り付け部位の周りの粥腫に余計な力が加わってその脱落を招くおそれがある。また、大動脈からは多数の動脈が分岐しており、筒膜状のグラフトでそのような部位の血管内壁を覆ってしまうとこれら動脈への血液の供給が遮蔽されてしまうため、取り付けられる部位が限られるという不利がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、SASの発生した大動脈であっても安心して取り付けることができ、動脈塞栓症を防止できる粥腫脱落防止具等を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、専用の器具を工夫して大動脈に取り付けるようにした。すなわち、本発明は、大動脈の内側に取り付けられて、大動脈の内壁に形成される粥腫の脱落を防止する粥腫脱落防止具であって、柔軟性のある網目状の素材で両端が開口する筒状に形成されたネット部と、前記ネット部の少なくとも一端に設けられ、常態において筒形状を保持する固着部と、を備え、前記固着部がその半径方向に収縮可能に形成されている粥腫脱落防止具である。
このような粥腫脱落防止具であれば、ネット部が網目状の素材で形成されているので、動脈が分岐している部位に取り付けてもその動脈への血流を妨げずに済む。ネット部が柔軟性のある素材で形成され、固着部が半径方向に収縮可能に形成されているので、粥腫脱落防止具は、カテーテルに挿入することができ、カテーテルを用いて大動脈の所定部位に送り込むことができる。固着部は常態では筒形状を保持するので、大動脈の所定部位に送り込んだ粥腫脱落防止具を自動的に拡張させてそこに取り付けることができる。
具体的には、前記固着部が、弾性変形可能な線形部材群が互いに格子状に接続されて筒形状に形成されたバネ壁部を有しているものとすることができる。そうすることで大動脈の内壁にくい込み易くなり、しっかりと取り付けることできる。固着部も血流を妨げることがないし、カテーテルにも挿入し易い。
特に、前記固着部は合成樹脂で形成するのが好ましい。合成樹脂であれば、成形が容易であるし、弾性変形の程度を比較的自在に調整することができるため、適切な弾性を設定して粥腫の脱落を抑制することができる。ちなみに、従来のステントグラフトでは、設置の際に透視ガイドが用いられるため、通常、ステントには透視ガイドで観察可能な金属素材が用いられている。
具体的には、前記合成樹脂として、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン及びポリテトラフルオロエチレンの群より選ばれる1種以上の合成樹脂を用いればよい。そうすれば、比較的生体に適合し易い素材であるため、取り付けた後に血管の内皮が増生し、ネット部の表面が内皮で覆われて血管の内壁に定着することが期待できる。
また、前記固着部が設けられている部位の外周面に複数の突起を形成しておいてもよい。
そうすれば、粥腫脱落防止具をよりしっかりと大動脈に取り付けることができる。
このような形態の粥腫脱落防止具は、その取り付け時に用いる専用の器具と共にセットにしておくのが好ましい。すなわち、かかる粥腫脱落防止具と、前記粥腫脱落防止具の取り付け時に用いられる取付補助具と、を含む粥腫脱落防止具セットであって、前記取付補助具が、収縮可能な多孔質塊状の捕捉部と、前記捕捉部に一端が接続された線状のワイヤ部と、を有しているものとする。
そうすれば、粥腫脱落防止具を大動脈に取り付ける際、ワイヤ部を操作して捕捉部を粥腫脱落防止具の取り付け位置の下流側に設置することで、仮に粥腫脱落防止具の取付処置中に粥腫の一部が脱落しても、捕捉部で捕捉することができ、動脈塞栓症の発生を防ぐことができる。捕捉部は収縮可能なので、使用後は収縮させて捕捉した粥腫の脱落片ごと回収することができる。
具体的には、前記捕捉部が、柔軟な繊維群を互いに絡み合わせることによって形成されているものとすることができる。
そうすれば、比較的成形も簡単であるし、血管内に設置するときには、その設置部位の形態に応じて変形しながら膨張するので、大きな隙間が形成され難く、脱落した粥腫の一部をしっかりと捕捉できる。特に、カテーテルが挿入されていて、隙間が生じ易くなっている場合に有効である。
また、前記捕捉部における前記ワイヤ部との接続部位の反対側に窪みを形成しておくとよい。
そうすれば、その窪みにカテーテルを受け入れることができるので、よりいっそう密着性が高まって効果的である。
以上説明したように、本発明に係る粥腫脱落防止具等を用いれば、SASの発生した大動脈であっても安心して取り付けることができ、粥腫の脱落を長期にわたって防止できるので、動脈塞栓症の発生を減少させることができる。
SASを説明するための概略図である。 本実施形態の粥腫脱落防止具を示す概略斜視図である。(a)はその常態を、(b)は収縮時の状態を表している。 固着部を示す概略斜視図である。 取付補助具を示す概略斜視図である。(a)はその常態を、(b)は収縮時の状態を表している。 粥腫脱落防止具を取り付ける手順を説明するための図である。 粥腫脱落防止具を取り付ける手順を説明するための図である。(a)〜(d)はその手順の主な段階を示している。 取付補助具の設置状態を説明するための概念図である。 粥腫脱落防止具を取り付ける手順を説明するための図である。(a)〜(d)はその手順の主な段階を示している。 粥腫脱落防止具を取り付けた状態を示す概念図である。 粥腫脱落防止具の第2実施形態を示す概略斜視図である。 第2実施形態の粥腫脱落防止具を取り付けた状態を示す概念図である。 粥腫脱落防止具の第3実施形態を示す概略斜視図である。 粥腫脱落防止具の変形例を示す概略図である。(a)は断面図、(b)は(a)のX−X線断面図である。 取付補助具の変形例を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
図1に、SASを発症している患者の人体100の要部を示す。同図中、人体100のほぼ中央を上下に延びているのが大動脈101である。大動脈101の上端は心臓102の左心室に連なっていて、その下端は左右に分岐して両脚部に血液を供給する2本の総腸骨動脈103,103に連なっている。大動脈101は、その上部から順に上行大動脈101aや大動脈弓101b、胸部大動脈101c、腹部大動脈101dなどに大別される。大動脈101からは多数の動脈が分岐しており、例えば、胸部大動脈101cからは気管支動脈,肋間動脈104等が分岐し、腹部大動脈101dからは腹腔動脈,上腸間膜動脈105や腎動脈106,106、下腸間膜動脈107等が分岐している。
SASを発生している患者の大動脈101は、胸部大動脈101cや腹部大動脈101dにわたる広い範囲の内壁にコレステロール等が蓄積して厚みのある粥腫P(プラーク)が形成されている。Shaggy aorta症候群(SAS)と呼ばれるのは、CTで観察すると粥腫Pの表面の凹凸によって血管の内面が毛羽立ったように見えるからである。この粥腫Pの一部が脱落すると、血流によって内径の小さい末梢動脈側へ流されていくため、SASを発症している患者は、粥腫Pが詰まって動脈塞栓症を引き起こすおそれがある。
ところが、SASの場合、粥腫Pが脱落し易くなっているうえ、粥腫Pの脱落箇所は前もって特定できないため、動脈塞栓症を防止するためには、余計な力を加えずに大動脈101の広い範囲に対して粥腫Pが脱落しないように防止する必要があり、リスクを伴う困難な処置となっている。
それに対し、本実施形態では、図2に示すような粥腫脱落防止具1と図4に示すような取付補助具2とを含む粥腫脱落防止具セットを用いることによって、SASの発生した大動脈101でも安心して処置できるようになっている。
(粥腫脱落防止具)
粥腫脱落防止具1は、粥腫Pが脱落するのを防止するために、大動脈101の内側に恒久的に取り付けられる。図2に示すように、粥腫脱落防止具1には、円筒状のネット部11と、本実施形態ではこのネット部11の両端に設けられた一対の円環状の固着部12,12とが備えられている。
ネット部11は、大動脈101の血管内壁に粥腫Pの上から被さってその周面が血液の通過を妨げることなく粥腫Pの脱落を阻止できるよう、柔軟性のある網目状の素材で形成されている。ネット部11の素材や目開きの大きさは、粥腫Pを柔らかく押さえ付けてその脱落が阻止できるものであれば特に限定はされない。ネット部11の素材としては、例えば、ポリエステルやポリプロピレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等の熱可塑性合成樹脂が好適である。これらポリエステル等であれば、比較的生体に適合し易い素材であるため、血管内に取り付けた後に血管の内皮が増生し、ネット部11の表面が内皮で覆われることでネット部11が確りと血管の内壁に定着することが期待できる。ネット部11の目開きの大きさとしては、例えば0.5〜3mm程度に設定するのが好ましい。血液の通過を妨げずに粥腫Pの脱落を効果的に阻止できるからである。例えば、動脈の分岐部位には、比較的目開きの大きなものを取り付けるなど、用途や大動脈の状態に応じて目開きの大きさや柔軟性等、性能の異なる複数の粥腫脱落防止具1を設けてあってよい。このようなネット部11は、例えば、繊維状の熱可塑性合成樹脂を互いに交絡させて熱溶着することにより形成できる。
また、ネット部11には、抗血栓性を有する素材を含ませておくとよい。そうすれば、ネット部11に起因して血栓が発生するのを抑制できる。具体的には、血液の凝固を妨げる酵素等の抗血栓性素材をネット部11にコーティングすることなどが考えられる。更に、ネット部11は親水化処理しておくのが好ましい。そうすることで、血液が通過し易くなってネット部11の目開きを小さく設定できるため、粥腫Pの脱落阻止性能を向上させることができる。
ネット部11は、図2の(a)に示すように、両端が開口する筒状に形成されている。ネット部11の外径は、大動脈101の一般的な内径と略同一であり、例えば20〜30mmの範囲で任意に設定することができる。ネット部11の長さ(筒軸方向の寸法)は、必要に応じて適宜設定できるが、40〜100mmに設定するのが好ましい。40mmより短いと血管内で位置ずれして取り付け難くなるし、100mmより長いとカテーテルを使って挿入する時に操作し難いからである。ネット部11を大動脈101の内壁の所定部位に保持するために、ネット部11と一体に固着部12が設けられている。
固着部12は、図3に示すように、ネット部11の繊維よりも大径の線形部材で構成されている。固着部12は、これら線形部材群を互いに格子状に接続することによって円筒状に形成されたバネ壁部12aと、バネ壁部12aの両端縁それぞれに一体に設けられた環状の線形部材からなる支持端部12b,12bとを備えている。本実施形態のバネ壁部12aは、その筒軸方向に対してそれぞれ傾斜した状態で、直線状の複数の線形部材を互いに格子状に接続することによって形成されている。固着部12は、弾性変形可能な素材で構成されていて、常態(外力が加わっていない状態)では円筒形状が保持され、外力が加わると容易に収縮するようになっている。
固着部12の素材は、弾性変形可能であれば、一般的なステントと同様に形状記憶合金等であってもよいが、ネット部11と同じポリエステルやポリプロピレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等の熱可塑性合成樹脂が好適である。ネット部11と一体化させ易いし、生体適合性に優れ、太さや形態を変更して比較的自由に弾性変形性能を調整できるからである。ちなみに、本実施形態のネット部11及び固着部12はいずれもポリエステル製である。固着部12は、ネット部11と略同一の外径寸法を有し、ネット部11の内側に溶着されている。固着部12の長さはネット部11の長さに応じて適宜設定することができる。
このように構成された粥腫脱落防止具1は、通常は図2の(a)に示すような展開状態となっているが、半径方向外側から外力を加えることで、同図の(b)に示すような収縮状態に容易に変形させることができる。なお、外力が無くなれば粥腫脱落防止具1は直ぐに展開状態に復元する。
(取付補助具)
取付補助具2は、粥腫脱落防止具1を大動脈101に取り付ける時に用いられ、大動脈101の内部に一時的に挿入される。取付補助具2には、図4に示すように、多孔質塊状の捕捉部21と、この捕捉部21に一端が接続された線状のワイヤ部22とが備えられている。
捕捉部21は、粥腫脱落防止具1の取り付け時に大動脈101の所定部位に設置されて、粥腫Pの一部(粥腫片ともいう)が脱落した場合にそれを捕捉するために用いられる。捕捉部21としては、例えば、ポリエステルやポリプロピレン等の熱可塑性合成樹脂でできた、柔軟で保形性のある縮れた繊維群を互いに絡み合わせ、熱溶着して一体に形成したものが好適である。同様の繊維群を束ねてその一端で結合したものであってもよい。これら捕捉部21の繊維群は、粥腫Pと馴染み易いように疎水性にしておくのが好ましい。
図4の(a)に示すように、常態の捕捉部21は、そのほとんどが空間で占められた低密度の略球形状をしており、押し潰すと同図の(b)に示すように簡単に収縮して、カテーテル内に挿入可能な細長い紡錘形状に変形する。外力が無くなれば捕捉部21は直ぐに膨張して復元する。
ワイヤ部22は、ステンレス製の細長いワイヤであり、捕捉部21を大動脈101に出し入れ操作するために用いられる。ワイヤ部22の一端は、捕捉部21の窄まった端部に接続されている。
(粥腫脱落防止具の取り付け方法)
粥腫脱落防止具1は、ガイドワイヤやカテーテル等を併用しながら、次のような操作により血液が流れている状態のまま大動脈101に取り付けることができる。なお、取り付け時のガイドは、粥腫Pが観察できるように、従来のステントグラフト内挿術のような透視ガイドではなくエコーガイドによって行うのが好ましい。
まず、図5に示すように、患者の一方のそけい部108a(本実施形態では右側)を切開し、大腿動脈109から太めのシースカテーテル51を患者の動脈内に挿入する。次に、ガイドワイヤ52をシースカテーテル51を介して動脈内に挿入し、中枢側に送り込む。
そして、図6の(a)に示すように、大動脈101における粥腫Pが形成されている部分(処置部ともいう)の下端に先端部分が達するまでガイドワイヤ52を挿入する。同図の(b)に示すように、挿入したガイドワイヤ52に沿わしてカテーテル(取付カテーテル53)を動脈内に挿入し、先端部分が処置部の下端に達するまで取付カテーテル53を送り込む。取付カテーテル53を所定位置に設置した後はガイドワイヤ52は取り除く。
次に、患者の他方のそけい部108bを切開し、先と同様にシースカテーテル51やガイドワイヤ52を操作して、同図の(c)に示すように、別のカテーテル(補助カテーテル54)をその先端が大動脈101の下端が位置する2本の総腸骨動脈103,103の分岐部位(大動脈分岐部位110ともいう)に達するまで送り込む。この補助カテーテル54に取付補助具2をその捕捉部21側から挿入して、取付補助具2を大動脈分岐部位110まで送り込み、捕捉部21をその大動脈分岐部位110で補助カテーテル54から突き出してその自己復元機能により膨張させ、大動脈分岐部位110に捕捉部21を一時的に設置する。ただし、捕捉部21の設置部位は、粥腫脱落防止具1の取り付け部位の下流側であれば大動脈分岐部位110に限るものではない。
図7に、捕捉部21が膨張した状態の大動脈分岐部位110を示す。捕捉部21はその周りの形態に応じて変形しながら膨張するので、捕捉部21が先に挿入されている取付カテーテル53や血管内壁と当接し、大動脈分岐部位110が捕捉部21によって塞がれる。膨張した捕捉部21は多孔質な塊状であるため、血流を妨げないし、粥腫片が流れてきても捕捉することができる。従って、取付補助具2を設置した後は粥腫脱落防止具1を安心して大動脈101に取り付けることができるようになる。
図6の(c)に示すように、取付補助具2の設置後、取付カテーテル53に粥腫脱落防止具1を挿入し、ロッド55で押し込むことにより粥腫脱落防止具1を中枢側に送り込んでいく。そうして、粥腫脱落防止具1の先端部を取付カテーテル53から押し出すと、一方の固着部12が拡がって粥腫脱落防止具1の先端部分が大動脈101の内壁に圧着するので、取付カテーテル53を引き戻しながら粥腫脱落防止具1を押し出す。最後にその後端部を押し出すと、同図の(d)に示すように、他方の固着部12が拡がって粥腫脱落防止具1が処置部の下端部分に取り付けられる。
続いて、取り付けた粥腫脱落防止具1(第1粥腫脱落防止具1aともいう)の上流側に積み重ねるように、再度、粥腫脱落防止具1(第2粥腫脱落防止具1bともいう)を取り付ける。
すなわち、図8の(a)に示すように、ガイドワイヤ52を取付カテーテル53を介して動脈内に挿入し、その先端部が第1粥腫脱落防止具1aの上流側に達するまで送り込む。同図の(b)に示すように、そのガイドワイヤ52に沿わして、先端部分が第1粥腫脱落防止具1aを通ってその先に達するまで更に取付カテーテル53を送り込む。取付カテーテル53を所定位置に設置してガイドワイヤ52を取り除いた後、同図の(c)に示すように、第2粥腫脱落防止具1bを取付カテーテル53に挿入してロッド55で押し込んでいく。第1粥腫脱落防止具1aと同じようにして第2粥腫脱落防止具1bを押し出し、同図の(d)に示すように、第2粥腫脱落防止具1bを第1粥腫脱落防止具1aに積み重ねるようにして取り付ける。第2粥腫脱落防止具1bの下端は第1粥腫脱落防止具1aの上端に多少重なるように取り付けるのが好ましい。なお、粥腫脱落防止具1を下流側から取り付けていくのは、取付カテーテル53やガイドワイヤ52が接触して粥腫Pが脱落するのを抑制するためである。
後は、第2粥腫脱落防止具1bの場合と同じように操作して、必要なだけその上流側へ第3粥腫脱落防止具1cや第4粥腫脱落防止具1d等を追加すればよい。全ての粥腫脱落防止具1の取り付けが終了すれば、取付カテーテル53や取付補助具2は動脈から取り外される。粥腫脱落防止具1を取り付ける際に脱落した粥腫片は捕捉部21ごと回収されるため、動脈塞栓症を招くことなく、図9に示すように、大動脈101の広い範囲にわたる処置部に粥腫脱落防止具1を隙間なく取り付けて、被覆することができる。
粥腫脱落防止具1の両端に固着部12が設けられているので、血流によって捲れ上がったりしないように、ネット部11を大動脈101の内壁にしっかりと取り付けることができる。特に、粥腫脱落防止具1を積み重ねる際には、ガイドワイヤ52や取付カテーテル53が挿入し易くなって操作性に優れる利点がある。粥腫脱落防止具1のネット部11や固着部12の周面は、いずれも血流が通過し易いように形成されているので、大動脈101から分岐する動脈を気にせず取り付けることができる。粥腫脱落防止具1を取り付ける際に粥腫片が脱落しても、その粥腫片は取付補助具2の捕捉部21によって捕捉されるので、動脈塞栓症を気にせずに処置できる。大動脈101の粥腫Pが形成されている部分全域に粥腫脱落防止具1を取り付けることで、動脈塞栓症の発生を長期にわたって防止できるようになる。
(別実施形態)
図10に、粥腫脱落防止具1の第2実施形態を示す。この粥腫脱落防止具1Aは、固着部12がネット部11の一端にのみ設けられていて、ネット部11が比較的長く形成されている点で先の実施形態と異なる。この場合、図11に示すように、固着部12のある粥腫脱落防止具1Aの一端が処置部の上端に位置するように取り付ける。血液は逆流しないため、ネット部11の下流側は固着部12で固定しなくても捲れ上がることはないし、ネット部11が内壁に定着すれば、しっかりと保持される。
この粥腫脱落防止具1Aは、比較的処置部が小さい場合に有効であり、粥腫脱落防止具1Aを1つ挿入するだけで処置できる。粥腫脱落防止具1Aの全長のほとんどがネット部11で占められ、その長さのわりに取付カテーテル53内で大きな抵抗が生じないため、強く押し込まなくても比較的円滑に移送できる点で有利である。また、固着部12が少ない分、部材コストの面でも有利である。
図12に、粥腫脱落防止具1の第3実施形態を示す。この粥腫脱落防止具1Bは、固着部12がネット部11の両端間の全体にわたって設けられている点で先の実施形態と異なる。この場合、粥腫脱落防止具1Bの全体が固着部12によって円筒状に拡げられるため、大動脈101の内部に満遍なくしっかりと保持させることができる。
図13は、これら粥腫脱落防止具1(1A,1Bを含む)の変形例を示している。粥腫脱落防止具1における固着部12が設けられている部位の外周面に複数の突起13,13,…が形成されていて、粥腫脱落防止具1が大動脈101の内壁に固定され易いようになっている。突起13の形状は特に限定されないが、例えば同図の(b)に示すように鮫歯状のかえり部13aを設けておくと、引っ掛かり易くなってよりいっそう効果的である。また、先の実施形態などでは、粥腫脱落防止具1の上下に突起13を形成し、粥腫脱落防止具1を積み重ねる際に上下の粥腫脱落防止具1,1の各端部を重ねることで、上側の粥腫脱落防止具1の突起13が下側の粥腫脱落防止具1のネット部11にくいこむため、互いに隣接する粥腫脱落防止具1,1がずれ難くなる。
図14に、取付補助具2の変形例を示す。そこでの取付補助具2の捕捉部21には、ワイヤ部22との接続部位の反対側に窪み21aが形成されている点で先の取付補助具2と異なる。捕捉部21にこのような窪み21aを形成しておくことで、捕捉部21を大動脈分岐部位110に設置する際、取付カテーテル53の一部を窪み21aに受け入れて当接させることができ、より簡単に捕捉部21を隙間なく設置することができる。
また、図示はしないが、捕捉部21は、例えば第1捕捉部と、この第1捕捉部に連続する、孔径分布が第1捕捉部よりも小さい第2捕捉部とを含むように、一端から他端に向かって孔径の大きさが連続的に小さくなるように形成してあってもよい。この場合、第1捕捉部を大動脈101の上流側に位置させることで、捕捉する粥腫片が目詰まりし難くなるし、粥腫片をより確実に捕捉できるようになる。
1 粥腫脱落防止具
2 取付補助具
11 ネット部
12 固着部
12a バネ壁部
12b 支持端部
13 突起
21 捕捉部
21a 窪み
22 ワイヤ部
51 シースカテーテル
52 ガイドワイヤ
53 取付カテーテル
54 補助カテーテル
55 ロッド
100 人体
101 大動脈
P 粥腫

Claims (8)

  1. 大動脈の内側に取り付けられて、大動脈の内壁に形成される粥腫の脱落を防止する粥腫脱落防止具であって、
    柔軟性のある網目状の素材で両端が開口する筒状に形成されたネット部と、
    前記ネット部の少なくとも一端に設けられ、常態において筒形状を保持する固着部と、
    を備え、
    前記固着部がその半径方向に収縮可能に形成されている粥腫脱落防止具。
  2. 請求項1に記載の粥腫脱落防止具であって、
    前記固着部が、弾性変形可能な線形部材群が互いに格子状に接続されて筒形状に形成されたバネ壁部を有している粥腫脱落防止具。
  3. 請求項2に記載の粥腫脱落防止具であって、
    前記固着部が合成樹脂で形成されている粥腫脱落防止具。
  4. 請求項3に記載の粥腫脱落防止具であって、
    前記合成樹脂として、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン及びポリテトラフルオロエチレンの群より選ばれる1種以上の合成樹脂が用いられている粥腫脱落防止具。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の粥腫脱落防止具であって、
    前記固着部が設けられている部位の外周面に複数の突起が形成されている粥腫脱落防止具。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の粥腫脱落防止具と、
    前記粥腫脱落防止具の取り付け時に用いられる取付補助具と、
    を含む粥腫脱落防止具セットであって、
    前記取付補助具が、
    収縮可能な多孔質塊状の捕捉部と、
    前記捕捉部に一端が接続された線状のワイヤ部と、
    を有している粥腫脱落防止具セット。
  7. 請求項6に記載の粥腫脱落防止具セットであって、
    前記捕捉部が、柔軟な繊維群を互いに絡み合わせることによって形成されている粥腫脱落防止具セット。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の粥腫脱落防止具セットであって、
    前記捕捉部における前記ワイヤ部との接続部位の反対側に窪みが形成されている粥腫脱落防止具セット。
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