JP2010217430A - 転写装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ローラ間に張架されていて像担持体から像を転写されるベルト又はシート状媒体を搬送するベルトを備えた転写装置において、ベルトの緊張状態をオン、オフ制御する手段と、ベルトを感光体に接離させる手段とを連動させること。
【解決手段】左右変位に応じてリンク32を起伏させリンク32に設けた転写ローラ11を感光体に接離させ、かつ、同左右変位に応じてテンションローラ9によるベルト10の緊張状態をオン、オフ制御する位置決めホルダ31を設け、この位置決めホルダ31をカム33の駆動により左右に変位させる。
【選択図】図6

Description

本発明は、ローラ間に張架されていて像担持体から像を転写されるベルト又はシート状媒体を搬送するベルトを備えた転写装置及び該転写装置を用いた複写装置、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ、複合機、等の画像形成装置に関する。
画像形成装置に用いられるベルト支持装置に関し、ベルトの張力付与、解除に関係する従来技術として次のものが知られている。
(1) 転写ベルトに転写に必要な所定の張力を与える手段として、該転写ベルトを支持するローラの一つであるテンションローラを所定方向に付勢する手段に係る発明がある(例えば、特許文献1参照)。
(2) 転写ベルトへの張力付与及び解除に関し、転写ベルトの寿命が来たときなどに転写ベルトの交換を行なう場合に該ベルトを取り外すためにベルトの張力を緩める張力解除機構と、感光体から転写ベルトを離間させる離間機構を別個に設けることによる装置の大型化、複雑化を解消するために、ベルト状部材が画像形成用部材に接触する状態と、離間した状態と、ベルト状部材がベルト支持部材から取り外せる程度に弛みをもたせた状態とを選択的にとり得るようにベルト状部材の状態を変化させる手段に関する発明がある(例えば、特許文献2参照)
(3) ベルトの脱圧に関し、中間転写体又は記録材搬送体として無端状のベルト部材を搭載し、このベルト部材に沿って複数の像担持体を当接配置したタンデム方式のカラー画像形成装置において、カムを回転させてフレームを回動させることにより像担持体から中間転写ベルトを離間する技術がある。離間させる理由は、画像形成に関与しない像担持体の不必要な接触磨耗と電力消費を軽減するためである(例えば、特許文献3参照)。
(4) また、ベルトの脱圧に関し、装置本体に対して着脱可能な感光体と、装置本体に対して着脱可能で前記感光体に当接可能な無端ベルトを含むユニットと、前記無端ベルトを含むユニットに設けられた、ユニット自身の位置を移動せずに前記無端ベルトを前記感光体に当接離間する当接離間機構と、前記当接離間機構を駆動する当接離間駆動手段を有する画像形成装置において、装置本体に設けられた外装を兼ねた開閉部材に連動して、前記無端ベルトを含むユニットの当接離間機構を初期状態に戻す連動機構に関する技術がある(例えば、特許文献4参照)。
これら(1)乃至(4)の公知技術において、タンデムタイプの画像形成装置において並置された複数の像担持体に対して均一に接触する張架状態にあるベルト非画像形成状態のもとで、複数のベルト支持ローラ部において張力によって変形し、所謂張りクセが生じることに起因する害を除くための対策については、何ら言及されていない。
上記(1)は、ベルトに張力を与える手段であり、上記(2)は単数の感光体ドラムを有する画像形成装置が対象であり、装置の大型化、複雑化が想定されタンデムタイプの画像形成装置に適用するのに適さない。上記(3)、(4)では、転写ローラの接離やベルト張力脱圧の構成、制御方法などが記載され、例えば、モノクロモードとフルカラーモードでベルトの張力差を設けており、フルカラーモードの張力をモノクロモードよりも大きくしているが、モノクロモードであっても、転写ベルトが駆動ローラに対してスリップするのを防止するために、ベルト張力を高く設定する必要がある。このため、非画像形成時に、モノクロモードのベルト張力であっても、ベルト上にクセが付いてしまい、所謂張りクセが生じることに起因する害を除くことができない。
このようなクセが生ずると、転写ベルトの場合、該クセによりべルト変形部分で高画質で白抜け、縦黒スジ等の画像不良が発生しまう。また、シート状媒体を搬送するベルト紙搬送ベルトの場合、ベルトに対する該シート状媒体密着性が低下し、搬送性能に影響を与えてしまう。
本発明は上述の事情の下になされたもので、ベルトの張力に起因して該ベルトのローラとの接触部にできるクセ(局部的な変形)を防止するため該ベルトに弛みが与えられたベルト脱圧状態と、ベルトに所定の張力が付与されるベルト張架状態とを簡易な手段で容易に切り換えできる手段を提供することにある。
前記課題を達成するため第1の手段は、
複数のローラで支持されたベルトの中間部を必要に応じて暫定的に引き上げて該ベルトの外部に位置する被接触対象物に接しさせる接触態様と、該被接触対象物から離間した離間態様、とをとることができる転写装置であって、前記複数のローラの一部が、設置位置が不変である固定ローラであり、前記複数のローラの一部が、前記固定ローラと平行に対向配置され、該固定ローラに対し接離する方向である接離方向に移動可能のテンションローラであり、前記複数のローラの一部が、位置変位により前記接触態様と前記離間態様を切り換える変位ローラであり、前記固定ローラに対して前記テンションローラが離れる方向に該テンションローラを付勢する付勢手段と、前記離間態様のもとでは、前記ベルトに弛みを持たせた状態で前記付勢手段による前記テンションローラのベルト張設方向の動きを規制し、前記接触態様のもとでは、前記規制を解除する係止手段とを有し、前記変位ローラの前記位置変位に連動させて前記係止手段による前記規制の機能状態を切り換えることとした。
第2の手段は、第1の手段における転写装置において、
前記ベルトが転写ベルト又は紙搬送ベルトであり、前記被接触対象物が像担持体であり、前記変位ローラが転写ローラであることとした。
第3の手段は、複数のローラに張架されて回転駆動される転写ベルトと、前記複数のローラのうちの1つであって前記転写ベルトに張力を付与するテンションローラと、前記テンションローラを付勢するテンションローラ付勢手段と、トナー像を担持する像担持体上のトナー像を前記転写ベルトに向けて転写するための転写ローラと、前記転写ローラを、前記転写ベルトを介して前記像担持体に接触する位置と前記転写ベルトから離間する位置との間で変位させる転写ローラ変位手段と、前記転写ローラが前記像担持体から離間した位置にある状態で前記テンションローラを前記転写ベルトが弛む位置まで変位させるテンションローラ変位手段と、を有し、前記転写ベルトと前記転写ローラとが当接されると共に前記転写ベルトに張力が付与されていて、前記像担持体上のトナー像を前記転写ベルトに向けて転写することが可能な第1の状態と、前記転写ベルトと前記転写ローラとが離間されると共に前記テンションローラが、前記転写ベルトに弛みが与えられた状態で保持される第2の状態と、に設定可能な転写装置であって、前記第1の状態から前記第2の状態へ移行するとき、前記転写ローラ変位手段と前記テンションローラ変位手段とが連動することとした。
第4の手段は、第3の手段に係る転写装置において、前記転写ローラ変位手段は、前記転写ローラを前記像担持体に対して接離する方向に変位させる転写ローラ変位機構と、この転写ローラ変位機構に作用して前記転写ローラの位置を変位させて位置を決める位置決めホルダと、前記位置決めホルダをスライド自在に変位させるホルダ変位カムを有し、前記位置決めホルダは、前記転写ベルトを張架するローラの一つである固定ローラを支持する支持部材に支持されて前記スライドされるものであり、前記第2の状態のもとで前記テンションローラの前記付勢による移動を規制する規制手段を具備することとした。
第5の手段は、第4の手段に係る転写装置において、前記テンションローラ変位手段は、前記テンションローラの付勢力に抗して前記転写ベルトを内側から外側に向けて前記転写ベルトを引っ張ることで、前記テンションローラを前記転写ベルトに弛みが与えられる方向に変位させるベルト内周付勢部材を有することとした。
第6の手段は、第5の手段に係る転写装置において、前記テンションローラは前記位置決めホルダに支持されていて、前記テンションローラ変位手段は、前記ホルダ変位カムをその構成に含み、該ホルダ変位カムの回動と連動して回動する前記ベルト内周付勢部材との共働により、前記位置決めホルダを前記支持部材上でスライド変位させることとした。
第7の手段は、第5の手段乃至第6の手段の何れかに記載の転写装置において、前記ベルト内周付勢部材は前記ホルダ変位カムと同一の軸に固定されていることとした。
第8の手段は、第5乃至第7の手段の何れかに記載の転写装置において、前記ホルダ変位カムが、前記ベルト内周付勢部材による前記転写ベルトの前記引っ張り機能を兼用することとした。
第9の手段は、第5の手段乃至第8の手段の何れかに記載の転写装置において、前記ベルト内周付勢部材は、前記転写ベルトの幅方向の両端に対応させて配置した。
第10の手段は、第5の手段乃至第9の手段の何れかに記載の転写装置において、前記ベルト内周付勢部材は所定の回転角度の範囲で、前記転写ベルトを引っ張ることで前記テンションローラを変位させて前記転写ベルトを弛ませることとした。
第11の手段は、第5の手段乃至第10の手段の何れかに記載の転写装置において、前記ベルト内周付勢部材が当接する部位に対応する前記転写ベルト両端部の内周もしくは外周に、前記転写ベルトを補強する補強部材が配置されていることとした。
第12の手段は、第5の手段乃至第11の手段の何れかに記載の転写装置において、前記ベルト内周付勢部材のカム面であって、前記転写ベルトの持ち上げ量が最大となる部分に弾性体が設けられていることとした。
第13の手段は、第5の手段乃至第12の手段の何れかに記載の転写装置において、前記ベルト内周付勢部材と前記転写ベルトとの間に、転写ベルト保護部材を配置し、前記ベルト内周付勢部材は、該転写ベルト保護部材を介して前記転写ベルトを間接的に持ち上げる構成としたことを特徴とする転写装置。
第14の手段は、第13の手段に記載の転写装置において、前記転写ベルト保護部材は、前記ベルト内周付勢部材が前記転写ベルトを持ち上げた場合のみ前記転写ベルトと当接することとした。
第15の手段は、中間転写体又は記録材搬送体として無端状のベルトを具備した転写装置を有し、このベルトに沿って複数の像担持体が配置された画像形成装置において、前記転写装置として第1の手段乃至第14の手段に記載の転写装置を設けた。
本発明によれば、ベルトの張力に起因して該ベルトのローラとの接触部にできるクセ(局部的な変形)を防止するため該ベルトに弛みが与えられたベルト脱圧状態と、ベルトに所定の張力が付与されるベルト張架状態とを簡易な手段で確実容易に行なうことができる。
請求項1記載の発明では、変位ローラの変位に連動させて離間態様でベルトの脱圧を行い該ベルトのローラとの接触部にできるクセの発生を防止できる。
請求項2記載の発明では、転写ローラの変位に連動させて転写ベルト又は紙搬送ベルトの脱圧を行いこれらベルトのローラとの接触部にできるクセの発生を防止できる。
請求項3記載の発明では、転写ベルトの脱圧を簡単な構成により行い、転写ベルトの該クセつきの量を低減できる。
請求項4記載の発明では、ホルダ変位カムの回転に応じて位置決めホルダをスライド変位させ、ローラによるテンション状態を解除して転写ベルトのクセ付きを防止する。
請求項5記載の発明では、ベルト内周付勢部材による転写ベルト引っ張り機能により、ホルダ変位カムの動力負荷を軽減し、ホルダ変位カムの動力を効率よく活用することができる。
請求項6、7記載の発明では、連動して回転するホルダ変位カムとベルト内周付勢部材の共働により位置決めホルダを変位させるのでアクチュエータが削減されコストダウンを図ることができる。
請求項8記載の発明では、ホルダ変位カムがベルト内周付勢部材による転写ベルトの引っ張り機能を兼用するのでアクチュエータが削減されコストダウンを図ることができる。
請求項9記載の発明では、転写ベルトを持ち上げるベルト内周付勢部材による転写ベルトの応力低減が図れることから該転写ベルトの局部的弛みを防止することができる。
請求項10記載の発明では、持ち上げ部材であるベルト内周付勢部材がベルトに弛みができる程度に転写ベルトを引っ張るので、ホルダ変位カムの力で位置決めホルダでテンションローラを引くのに発生する該ホルダ変位カムの負荷を低減でき、動力の有効利用を図ることができる。
請求項11記載の発明では、補強部材が転写ベルトを保護するので、持ち上げ部材であるベルト内周付勢部材が転写ベルトを押し上げる際に該転写ベルトが受ける応力が低減し、該転写ベルトの局部的弛みが防止される。
請求項12記載の発明では、ベルト内周付勢部材のカム面に設けた弾性体により、ベルト内周付勢部材が転写ベルトを押し上げる際に該転写ベルトが受ける応力が低減し、該転写ベルトの局部的弛みが防止される。
請求項13記載の発明では、ベルト内周付勢部材と転写ベルトとの間に介在する転写ベルト保護部材により、ベルト内周付勢部材が転写ベルトを押し上げる際に該転写ベルトが受ける応力が低減し、該転写ベルトの局部的弛みが防止される。
請求項14記載の発明では、ベルト内周付勢部材が前記転写ベルトを持ち上げた場合のみ転写ベルト保護部材が転写ベルトと当接するので、転写ベルト保護部材による転写ベルトに対する摺動の機会が低減し、転写ベルトの磨耗が防止され、また、削れ粉による影響が回避される。
請求項15記載の発明では、ベルトにできるクセを防止することで、高画質で白抜け、縦黒スジ等の画像不良のない画像形成装置を提供できる。
画像形成装置の概略構成を示した正面図である。 図1中に示した転写装置を裏側から見た場合の斜視図である。 テンションステイに支持されたテンションローラを示した正面図である。 転写装置のうち、主としてテンションローラ付勢手段を示した平面図である。 転写装置のうち、テンションローラ付勢手段、位置決めホルダを示した部分断面図である。 転写ベルト上にトナー像を形成することができる「第1の状態」を示した転写装置の概略正面図である。 「第1の状態」と「第2の状態」との間の途中状態にある転写装置の概略正面図である。 フック部がテンションローラを捉えた状態での転写装置の概略正面図である。 転写ローラが転写ベルトから離間し、転写ベルトに弛みが与えられた「第2の状態」を示した転写装置の概略正面図である。 回転角に対応した概略カム形状を示した図である。 カムの回転角に応じた各種変位の状態を示した線図である。 補助カムの正面図である。 カムと転写ベルト間にシート状部材を介在させた転写装置の概略正面図である。 シート状部材の設置構造を例示した斜視図である。
1.画像形成装置
本発明の一実施例であるタンデム型のフルカラー画像形成装置の全体構成を示した図1を参照しつつ、当該画像形成装置100の全体構成及び転写装置25の概要を説明する。
画像形成装置100において、本体の最上部に排紙台101があり、本体内には、上から露光装置102、画像形成手段103、転写装置104、廃トナー容器105、給紙装置106が配置され、これら装置類の右方には紙搬送部107が配置されている。
画像形成手段103は左から、ブラック(BK)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の画像形成を行う4つの画像形成部1BK、1M、1C、1Yからなる。これら画像形成部の構成は共通であり、ただ、形成する画像の色が異なるだけである。一例として、イエローの画像形成部1Yについて内部構成を概説すると、像担持体としてのドラム状をした感光体4のまわりに、その回転方向順に、帯電ローラ3、現像ローラ2、転写ローラ11Y、クリーニングブレード5が配置されている。なお、他の画像形成部1BK、1M、1Cにおける転写ローラを11BK、11M、11Cで示す。帯電ローラ3と現像ローラ2との間の感光体表面には画像形成に際して露光装置102からの走査光が照射される光書き込みが行なわれるようになっている。
画像形成に際して4つの画像形成部1BK、1M、1C、1Yの各感光体4は、帯電ローラ3により一様帯電された後、露光装置102の光書き込みにより、対応する色ごとの潜像を担持し、現像装置の一部である各現像ローラ2により該潜像がトナー像として可視化される。各感光体4は対応する色のトナー像を担持して回転し、トナー像は転写装置104に設けられ複数のローラに張架されて回転駆動される転写ベルト10と会合する回転位置に至ると該転写ベルト10の内側に位置する転写ローラ11(各転写ローラ11BK、11M、11C、11Yを代表して符号11で示す場合もある。)には、トナー像を担持する感光体4上の該トナー像を転写ベルト10に向けて転写するための転写バイアスが印加されて1次転写が行なわれる。
これにより、転写ベルト10上には順次各感光体4からトナー像が転写されて各色による重ね像からなるカラートナー画像が担持される。このカラートナー画像は用紙(シート状媒体)への転写をなすべく転写ベルト10の回転とともに、用紙への転写部である2次転写部に向けて搬送される。なお、転写ベルト10へのトナー像の転写後に感光体ドラム4に残留するトナーはクリーニングブレード5により除去される。
転写ベルト11を支持する駆動ローラ8には2次転写ローラ12が転写ベルト10を介して圧接し、該2次転写ローラ12とともに2次転写部を構成している。上記1次転写プロセス、転写ベルト10によるカラートナー像の搬送工程プロセスと併行して、給紙装置106では、給紙カセット13に積載された転写紙Sが給紙ローラ14により用紙搬送部107に送り出される。
転写紙Sは用紙搬送部107において、転写タイミングを調節するローラ15a、15bからなるレジストローラ15を経て、2次転写部に至り、2次転写ローラ12により転写ベルト10上のフルカラートナー画像が該転写紙Sに転写される(2次転写)。こうしてカラー画像が転写された転写紙Sは、その後、定着装置16により画像が定着され、ローラ19a、19bからなる排紙ローラ19により排紙台101に排出され、画像形成装置の出力画像となる。
なお、転写装置104には、2次転写後に転写ベルト10上に残留するトナーを除去する転写ベルトクリーニング手段21が設けられている。該クリーニング手段21で除去された廃トナーは、転写ベルト10と給紙カセット13との間に位置する廃トナー容器105に回収される。
2.転写装置の概略構成
図1を参照して本発明に係る転写装置104の概略について説明する。
転写ローラ11BK、11M、11C、11Yは本発明に係る転写装置104の一部をなし、中間転写体である転写ベルト10の内側から、該転写ベルト10を介して感光体4に押し当てられて1次転写に寄与するものである。転写装置10において、転写ベルト10は基本的には2つのローラにより張架され、これら2つのローラによる支持の中間部において転写ローラ11BK、11M、11C、11Yが転写ベルト10の内側から該ベルトを押し上げて、該ベルトを介して各感光体に接している。
転写ベルト10を張架する上記2つのローラの一つは設置位置が不変の固定ローラであり、駆動原と連結されて回転駆動されるようになっているので以下、駆動ローラ8と称する。他の一つは固定ローラに軸心が平行で対応配置されていて、固定ローラ8に対して接離する方向(矢印A、Bで示す方向)に移動可能なテンションローラ9である。このテンションローラ9はテンションローラ付勢手段により駆動ローラ8から離れる方向、つまり、転写ベルト10を張る方向である矢印B方向に付勢されていて転写ベルト10に張力を与える。テンションローラ付勢手段の具体例については後述する。
転写ローラ11Yは、画像形成のモードでは、上記したとおり、図1に示すように転写ベルト10の内側から該ベルトを押し上げて、該ベルトを介して被接触対象物である各感光体4に接した接触態様を採るが、画像形成ジョブが終了した場合には、感光体4から離間するばかりか、圧接により転写ベルト10につくクセを防止して転写ベルト10を保護するため、転写ベルト10からも離間した離間態様を採り、かかる位置変位するように構成された変位ローラである。
このように、転写ローラ11を離間態様においたとしても、テンションローラ9が付勢手段により常時付勢されている構成では、この付勢力により、転写ベルト10が接触(圧接)している駆動ローラ8及びテンションローラ9の部位でもクセがついてしまう。
そこで、本発明では、前記離間態様のもとでは、中間転写ベルト10に弛みを持たせた状態で前記付勢手段によるテンションローラ9のベルト張設方向の動きを規制する規制状態となるし、前記接触態様のもとでは、該規制を解除して転写機能を損なわないようにする係止手段を設けた。前記離間態様のもとでは、係止手段はテンションローラ9の軸部に作用してテンションローラ9の付勢力による動きを、阻止して転写ベルト10に弛みをもたせた状態を保持する。前記接触態様のもとでは、係止手段は、上記規制を解除し、付勢手段によるテンションローラ9の動きを何ら規制しない。
この係止手段を転写ローラ11の位置変位に連動して動作するようにする。転写ローラ11が前記離間態様のもとでは、係止手段は前記規制状態となるし、転写ローラ11が前記接触態様のもとでは、係止手段は前記規制解除状態とする。
これにより、ベルトの張力に起因して該ベルトのローラとの接触部にできるクセ(局部的な変形)を防止するため該ベルトに弛みが与えられたベルト脱圧状態と、ベルトに所定の張力が付与されるベルト張架状態とを簡易な手段で確実容易に行なうことができる。
本例では、ベルトが中間転写体としての転写ベルト10の場合を例示しているが、テンションローラによる接触クセの問題は中間転写体である転写ベルト10に限らず、直接転写方式の画像形成装置における紙搬送ベルトを用いた転写装置においてもあるので、同様の構成を採用することができる。
タンデム配置された複数感光体からのトナー画像を紙搬送ベルトにより搬送される用紙に直接、順次転写する方式の画像形成装置において、感光体4に対応する感光体や、該紙搬送ベルトを駆け回す駆動ローラ8に相当するローラ(但し、2次転写機能は不要)や、テンションローラ9に相当するローラや、転写ローラ11に相当するローラを備えていれば、適用可能である。具体的な構成については、後述する転写装置の例に準ずる。
2.転写装置の詳細
<全体構成>
図2により全体構成を説明する。図2は図1に示した転写装置104を裏側から見た図であり図1に示した状態に対して左右が逆転している。また、内部構成を把握しやすいように、転写ベルト10を図示しない状態で示している。
各種部材を取り付けるための基本体である支持部材1は、転写ベルト10の幅方向K上で対向する側板1a、1bと、これら側板1a、1bを幅方向Kで連結する複数の連結部材1c等で構成されている。連結部材1cの長手方向は転写ベルト10の張設方向に相当し、幅方向Kと直交する関係にある。
転写装置104は、図2には図示されていない転写ベルト10を回転駆動させる駆動ローラ8と、転写ベルト10に張力を付勢するテンションローラ9と、テンションローラ9を支持するテンションローラシャフト30と、テンションローラシャフト30を軸支して転写ベルト10に張力を付勢するテンションステイ37と、テンションステイ37にばね荷重を伝達するテンションレバー36と、テンションレバー36に荷重を付勢するテンションばね35と、画像形成時に転写ベルト10と当接する4本の転写ローラ11Y、11C、11M、11BKと、これら転写ローラ11Y、11C、11M、11BKを支持する接離アーム32と、接離アーム32と当接し、接離アーム32を回転させることにより転写ローラ11を上下に変位させると共に、テンションローラシャフト30を矢印Aまたは矢印B方向へ変位させる位置決めホルダ31と、位置決めホルダ31と当接し、位置決めホルダ31を矢印AまたはB方向に変位させるホルダ変位カム(以下、接離カムという。)33と、転写装置両側の接離カム33を同時に回動させる接離カムシャフト34と、接離カムシャフト34に嵌合されていて、転写ローラ11が転写ベルト10離間する際に転写ベルト10を持ち上げて、テンションシャフト30を矢印A側へ引くベルト内周付勢部材(以下、補助カムという。)38とを有している。
補助カム38は転写ベルト10の幅方向の両端に対応させて配置しており、これにより、転写ベルトを持ち上げるベルト補助カム38による転写ベルト10の応力低減が図れることから該転写ベルト10の局部的弛みを防止することができる。
駆動ローラ8は、転写ベルト10の張設方向上、側板1a、1bの左端部に、幅方向Kにその軸心方向を合わせて軸支されている。テンションローラ9は、側板1a、1bの右端側で、駆動ローラ8と平行にテンションステイ37に軸支されている。図3にも示すように、テンションステイ37は側板1a、1bの側面に形成されたC形の溝に嵌合しており、該溝により案内されて転写ベルト10の張設方向(矢印A、B方向)に移動可能である。矢印Aは駆動ローラ8に対してテンションローラ9が近づく向きであり、テンションローラ9の該矢印Aの向きへの変位は転写ベルト10を弛め、テンションローラ9が矢印Bの向きへの変位は転写ベルト10を張る。テンションステイ37に形成された長孔37aには、ねじ37bが貫通していて、テンションステイ37を該長孔37aの範囲で摺動可能に側板1a、1bに保持している。
<テンションローラ付勢手段>
図4、図5を参照しつつテンションローラ付勢手段50を説明する。テンションローラ付勢手段50は側板1a側と側板1b側にそれぞれ1組設けられている。各テンションローラ付勢手段50の構成は同じであるので、側板1a側のテンションローラ付勢手段50については構成部材の符号を示すにとどめ、側板1b側のテンションローラ付勢手段50について説明する。テンションローラ付勢手段50はテンションステイ37と、テンションステイ37にばね荷重を伝達するテンションレバー36と、テンションレバー36にばね荷重を付勢するテンションばね35を主な要素とする。
テンションレバー36はL字形をした部材であり、その折曲部に設けた回動支点36aを支点として揺動可能である。テンションレバー36の一端側は側板1a、1b間の内側に位置し、他端側は側板1bに形成された開口52から外部に出ていて、テンションステイ37の端部と係合する関係にある。テンションばね35は緊縮性のばねであり、連結部材1cの、幅方向Kにおける中央部に植設されたピン51と、テンションレバー36の上記一端側との間に掛けられていて、該テンションレバー36に対して、回動支点36aを中心とする回転モーメントによる付勢力を与える。この付勢力により、テンションレバー36の上記他端側はテンションステイ37を矢印Bの向きに付勢され、テンションローラ9も同様に付勢される。この付勢力によるテンションローラ9の移動は通常は、転写ベルト10が張ることにより阻止されるが、後述するように、転写ベルト10に弛みをもたせるため、位置決めホルダ31のフック部40がテンションローラシャフト30に当接することにより阻止される場合もある。
<転写ローラ変位手段>
転写ローラ変位手段は、転写ローラ11を、転写ベルト10を介して感光体4に接触する位置と転写ベルト10から離間する位置との間で変位させる手段である。より詳細には、転写ローラ変位手段は、転写ローラ11を感光体4に対して接離する方向に変位させる転写ローラ変位機構と、この転写ローラ変位機構に作用して転写ローラ11の位置を変位させて位置を決める位置決めホルダ31と、位置決めホルダ31をスライド自在に変位させる接離カム33を有する。接離カム33及び補助カム38は同一の接離カムシャフト34に固定されている。接離カムシャフト34はモータ等で駆動される駆動手段と連結されている。これにより、接離カム33及び補助カム38は同期して回転駆動される。なお、接離カム33と補助カム38とは別軸に設けて同期回転させてもよい。
図6乃至図9、図13に示すように、位置決めホルダ31と一体でカムフォロアに相当する当接部60があり、テンションばね35の付勢力により接離カム33は当接部60に常時当接している。補助カム38を回転駆動することで、カム面に従い当接部60を変位させるので位置決めホルダ31も変位する。
位置決めホルダ31について説明する。図2において、位置決めホルダ31はテンションステイ37の下に位置するように示してあるが、図示が煩雑となるため便宜上、図5においては、側板1a、1bの各内側に配置した構成で示している。位置決めホルダ31は図3に示したテンションステイ37の側板1a(1b)に対するスライド可能な支持方法と同様の方法により、側板1a(1b)にスライド可能に支持されている。位置決めホルダ31は、テンションレバー36の回動を損なわないようにするため、開口53が形成されている。位置決めホルダ31は図6乃至図9、図13にも示すように、矢印B側の端部に、テンションローラシャフト30を下から抱え込むような鉤形をしたフック部40を有している。
転写ローラ変位機構57について説明する。転写ローラ変位機構57は転写ローラ11Y、11C、11M、11BKについてそれぞれ設けられている。転写ローラ変位機構57は、接離アーム32と、伸長性のばね55と、ばね55と、ばね受け54、56等からなる。図2に示した接離アーム32は、図6乃至図9、図13に示すように、「へ」の字状に折曲した部材であり、中央の折曲部に位置する支点32aが側板1a(1b)に支持されている。接離アーム32の一端側は転写ローラ11の軸部を軸支し、他端側は位置決めホルダ31と一体的に形成されたばね受け54と、伸長性のばね55の一端側とに挟まれている。ばね55の他端側は位置決めホルダ31と一体的に形成されたばね受け56で止められている。
図6乃至図9、図13において、感光体4は示してないが、図6は図1と同様、転写ローラ11が転写ベルト10を介して感光体4を押圧している「第1の状態」にある。
「第1の状態」では、転写ベルト10と転写ローラ11とが当接されると共に転写ベルト10に張力が付与されていて、感光体4上のトナー像を転写ベルト10に向けて転写することが可能である。
また、図9は転写ローラ11が感光体4から離間するとともに、転写ベルト10からも離間しており、かつ、転写ベルト10に弛みができた状態でフック部40がテンションローラシャフト30に当接してテンションローラ9の矢印A方向の付勢移動を止めている「第2の状態」にある。フック部40はテンションローラ9の付勢移動を規制する規制手段である。「第2の状態」では、転写ベルト10と転写ローラ11とが離間されると共にテンションローラ9が、上記規制手段によって転写ベルト10に弛みが与えられた状態で保持される。
図6に示した「第1の状態」から、図9に示した「第2の状態」への転写ローラ11の変位は位置決めホルダ31の矢印Bの向きの変位により行なわれた。図6に示した「第1の状態」ではばね受け54は支点32aの略真下にあり接離アーム32は立ち上がっている。これに対して、図9に示した「第2の状態」では位置決めホルダ31と共にばね受け54は支点32aの真下よりも矢印A方向にずれており、このため、接離アーム32が右倒れとなり、これにより転写ローラ11は下方に移動している。図9に示した「第2の状態」のもとで、位置決めホルダ31が矢印Bの向きに同量変位すれば図6に示した状態に復する。
このように、転写ローラ変位機構57は、転写ローラ11を感光体4に対して接離する方向に変位させる。
<テンションローラ変位手段>
テンションローラ変位手段は、転写ローラ10が感光体4から離間した位置にある状態でテンションローラ9を転写ベルト10が弛む位置まで変位させる手段であり、テンションローラ9の付勢力に抗して転写ベルト10を内側から外側に向けて転写ベルト10を引っ張ることで、テンションローラ9を転写ベルト10に弛みが与えられる方向に変位させる補助カム38を含む。
テンションローラ変位手段は、接離カム33をその構成に含むことができ、該接離カム33の回動と連動して回動する補助カム38との共働により、位置決めホルダ31を支持部材1上でスライド変位させることができる。
<転写ローラ変位手段とテンションローラ変位手段との連動>
転写ローラ変位手段は、転写ローラ変位機構57、該転写ローラ変位機構57を駆動する位置決めホルダ31、位置決めホルダ31をスライド自在に変位させる補助カム38等を有する。一方、テンションローラ変位手段は、位置決めホルダ31を変位させる接離カム33及び接離カム33と共働する補助カム38を含む構成であり、転写ローラ変位手段とテンションローラ変位手段とは連動する。よって、「第1の状態」と「第2の状態」との切り替えが連動することから、転写ベルトの脱圧を簡単な構成により行い、転写ベルトの該クセつきの量を低減できる。
図10に接離カム33(補助カム38)の回転角と、テンションローラ9の変位量、位置決めホルダ31の変位の関係を示す。横軸に接離カム33の回転角[度]を示し、変位量を示している。テンションローラ9変位量が正の場合、転写ベルト10が弛む状態となる。
テンションローラ9の変位量は、45度〜135度の範囲で最大となり、155度以降は位置決めホルダ31にならって変位する。
<第1の状態>
図6は転写ベルト10上にトナー像を形成することができる「第1の状態」を示している。位置決めホルダ31は、接離カム33と当接する当接部60と、テンションローラシャフト30を引き動かして第2の状態で転写ベルト10を弛めるためのフック部40を有している。
転写ベルト10上にトナー像形成時、接離カム33は、転写ローラ11が転写機能を果たす所定の位置に配置されるように支点からのカム面の高さが最も低いカム面(下支点)が位置決めホルダ31上の当接部60と当接している。この状態では、位置決めホルダ31のフック部40とテンションローラシャフト30とは当接していない。また、補助カム38は転写ベルト10に接触していない。図10、図11で接離カム33(補助カム38)の回転角が0度(P点)の位置に対応し、転写ベルト10は張り状態にある。
<第1の状態と第2の状態の途中状態>
図7は、「第1の状態」から「第2の状態」に遷移する途中の状態を示している。「第1の状態」から接離カム33を反時計方向に回転させる。これに伴い補助カム38も反時計方向に回転する。この回転に応じて接離アーム32が右回りに回転して倒れ、転写ローラ11は転写ベルト10から離間し、これに伴いテンションローラ9の付勢により転写ベルト10上面が下側に変位する。これにより、転写ベルト10は補助カム38に接した状態となり、補助カム38の回転力で転写ベルト10を上側に持ち上げて、転写ベルト10を引張り上げる。これにより、テンションローラ9はA方向に変位させる力Ftを受けて、テンションローラはベルトが弛む側のA方向に変位する。
図11におけるQ点は転写ローラ11が転写ベルト10から離間し、補助カム38が転写ベルト10を持ち上げ始める位置である。補助カム38の回転に従い転写ベルト10が引っ張られて、位置決めホルダ31はR点に向けて矢印Aの弛み側へ変位する。カムの回転角度が0度を起点として45度となった位置でテンションローラ9の変位量が最大となる。この最大変位量となる位置はR点であり、以後はS点までテンションローラ9は変位しない。カムの回転角度が135度のS点の位置から、テンションローラ9は張り側に変位し始め、カムの回転角度が155度のN点の位置で、テンションローラシャフト30が位置決めホルダ31のフック部40に当接する。
かかる当接時点で、フック部40がテンションローラ30のテンションローラシャフト30を捉えたのであり、これは図8に示した状態が対応する。この当接状態では、補助カム38の引っ張り上げにより緊張状態にある転写ベルト10のほかに、フック部40もまた、テンションローラ30の付勢移動を止める機能を担う。フック部40はテンションローラ30を暫定的に係止し該テンションローラ30の移動を規制するのであるから、機能上、係止手段ともいえるし、規制手段ともいえる。補助カム38による転写ベルト10の引っ張り上げが無くなった状態でも該当接状態が保持されるように位置決めホルダ31の位置を制御すれば、次項でのべる「第2の状態」において転写ベルト10に対し、本発明の目的である弛みが生じさせることができる。上記N点以後は、テンションローラ9は、徐々に弛み側に変位していく位置決めホルダ31の移動に支配されて第2の状態であるT点に向かう。
<第2の状態>
図9に転写ベルト上にトナー像を形成していない「第2の状態」を示している。「第2の状態」では、図10、図11で接離カム33(補助カム38)の回転角が180度(T点)の位置に対応し、フック部40がテンションローラ9による転写ベルト10の付勢が効かない状態を保持することにより転写ベルト10は弛められた状態にある。
接離カム33は、第1の状態から(反時計方向に)180度回転しており、接離カム33の支点からのカム面の高さが最も高いカム面(上支点)が位置決めホルダ31上の当接部60とが当接している。図10、図11で接離カム33(補助カム38)の回転角が180度(T点)の位置に対応し、転写ベルト10は弛められた状態にある。
接離カム33の上支点と位置決めホルダ31の当接部60とが当接する時、位置決めホルダ31は、転写ローラ11が転写ベルト10に対して離間する位置で接離アーム32を保持すると共に、転写ベルト10が弛むまでテンションローラシャフト30を矢印Aの向きに引き、テンションローラシャフト30を保持している。なお補助カム38は転写ベルト10に接触していない。このような構成により、「第1の状態」から「第2の状態」に遷移させる。
第2の状態では、接離カムシャフト34の回転は停止されて、画像形成装置が画像形成開始されるジョブ状態になるのを待つ。ジョブ開始指令があると、接離カムシャフト34の回転が起動されて、M点、U点を経て、第1の状態(P点)に至る。M点は転写ベルト10がローラにより張架される位置であり、U点は転写ローラ11と転写ベルト10とが接触する位置である。第1の状態(P点)において2次転写が実行される。
本構成とすることにより、「第1の状態」から「第2の状態」に至る過程で、補助カム38の働きにより接離カム33の動力が効率よく活用されて、転写ベルト10を脱圧することが可能となる。
ここで、本実施例とは異なり、仮に補助カム38で転写ベルト10を持ち上げて引っ張る動作を行なわないで、接離カム33のみで、位置決めホルダ31を変位させて、転写ベルト10が脱圧されるまでテンションローラを変位させることによっても転写ベルト10の脱圧を図ることは可能である。しかし、カムと位置決めホルダとの間の摺動負荷や、位置決めホルダをガイドするガイド部材の摺動負荷が大きくなり好ましくない。本実施例では、補助カム38による転写ベルトの持ち上げによって、図7に記載するように力Ftを発生させているので、テンションローラ9を変位させるのに必要な力を、接離カム33による力と補助カム38による力Ftとに分散することで、接離カム33の動力を効率よく活用している。
<補強シール>
補助カム38の当接により負荷を受ける転写ベルト10の内周又は外周の端部には、該ベルトを補強するための補強部材として補強シールを貼付するのがよい。補強シールの材質は転写ベルト10の材質TPEよりも固いものを用いる。本実施例では補強シールとして、例えば、PETシートを使用している。補助カム38は、転写ベルト10が補助カム38の突き上げ力により、ローラとの接触部にR状のクセがつくような所謂、変形面外変形や損傷が生ずるのを防止するために、補強シールをローラが突き当たる位置に配置している。本実施例によると、転写ベルト10がクセ付きや損傷することなく、接離カム33に発生する動力を有効に利用し、転写ベルト10を弛ませることが可能となる。
<弾性体>
補助カム38には、図12に示すように、転写ベルト10を持ち上げる力が最も高い範囲に、弾性部材39を貼付するのがよい。これにより補助カム38により転写ベルト10に発生する負荷を低減することができる。
<転写ベルト保護部材>
補助カム38と転写ベルト10との間に、細長い板片状をした転写ベルト保護部材45を配置し、補助カム38は、該転写ベルト保護部材45を介して転写ベルト10を間接的に持ち上げる構成とするのがよい。図13、図14に本実施例の形態を示す。図13において、補助カム38と転写ベルト10の間に転写ベルト保護部材としてシート状部材45を配置する。本実施例において、シート状部材45の幅はレターサイズの画像形成領域よりも大きいことが好ましく、223mmとしている。またシート状部材45は、画像形成時には転写ベルト10と離間しており、非画像形成時には補助カム38がシート状部材45と転写ベルト10を持ち上げることができるように、側板1a、1bに形成した矩形開口47によるガイド溝に沿って上下動可能に保持する。
これにより、画像形成時に転写ベルト10と転写ベルト保護部材45との摺動を防止し、摺動による削れ粉発生や、異物噛みこみを防ぐことが可能となる。本実施例により、補助カム38の転写ベルト10への突き当てによるベルトの経時変形や損傷等を防ぐことが可能となる。
1 支持部材
1a、1b 側板
1c 連結部材
2 現像ローラ
3 帯電ローラ
4 感光体
5 クリーニングブレード
8 駆動ローラ(固定ローラ)
9 テンションローラ
11、11Y、11C、11M、11BK 転写ローラ
13 給紙カセット
14 給紙ローラ
15 レジストローラ
15a、15b、19a、19b ローラ
21 転写ベルトクリーニング手段
16 定着装置
19 排紙ローラ
30 テンションローラシャフト
31 位置決めホルダ
32 接離アーム
32a 支点
33 ホルダ変位カム(接離カムという)
34 接離カムシャフト
35 テンションばね
36 テンションレバー
36a 回動支点
37 テンションステイ
37a 長孔
37b ねじ
38 ベルト内周付勢部材(補助カム)
39 弾性部材
40 フック部
45 シート状部材
47 矩形開口
50 テンションローラ付勢手段
51 ピン
52、53 開口
54、56 ばね受け
55 ばね
57 転写ローラ変位機構
60 当接部
100 画像形成装置
101 排紙台
102 露光装置
103 画像形成手段
104 転写装置
105 廃トナー容器
106 給紙装置
107 用紙搬送部
11Y、11C、11M、11BK 転写ローラ
A、B 矢印
K 幅方向
S 転写紙
特開2009−31724号公報参照 特許第3562932号公報参照 特開2008−268452号公報 特開2006−220993号公報

Claims (15)

  1. 複数のローラで支持されたベルトの中間部を必要に応じて暫定的に引き上げて該ベルトの外部に位置する被接触対象物に接しさせる接触態様と、該被接触対象物から離間した離間態様、とをとることができる転写装置であって、
    前記複数のローラの一部が、設置位置が不変である固定ローラであり、
    前記複数のローラの一部が、前記固定ローラと平行に対向配置され、該固定ローラに対し接離する方向である接離方向に移動可能のテンションローラであり、
    前記複数のローラの一部が、位置変位により前記接触態様と前記離間態様を切り換える変位ローラであり、
    前記固定ローラに対して前記テンションローラが離れる方向に該テンションローラを付勢する付勢手段と、
    前記離間態様のもとでは、前記ベルトに弛みを持たせた状態で前記付勢手段による前記テンションローラのベルト張設方向の動きを規制し、前記接触態様のもとでは、前記規制を解除する係止手段とを有し、
    前記変位ローラの前記位置変位に連動させて前記係止手段による前記規制の機能状態を切り換えることを特徴とする転写装置。
  2. 請求項1記載の転写装置において、
    前記ベルトが転写ベルト又は紙搬送ベルトであり、前記被接触対象物が像担持体であり、前記変位ローラが転写ローラであることを特徴とする転写装置。
  3. 複数のローラに張架されて回転駆動される転写ベルトと、
    前記複数のローラのうちの1つであって前記転写ベルトに張力を付与するテンションローラと、
    前記テンションローラを付勢するテンションローラ付勢手段と、
    トナー像を担持する像担持体上のトナー像を前記転写ベルトに向けて転写するための転写ローラと、
    前記転写ローラを、前記転写ベルトを介して前記像担持体に接触する位置と前記転写ベルトから離間する位置との間で変位させる転写ローラ変位手段と、
    前記転写ローラが前記像担持体から離間した位置にある状態で前記テンションローラを前記転写ベルトが弛む位置まで変位させるテンションローラ変位手段と、を有し、
    前記転写ベルトと前記転写ローラとが当接されると共に前記転写ベルトに張力が付与されていて、前記像担持体上のトナー像を前記転写ベルトに向けて転写することが可能な第1の状態と、
    前記転写ベルトと前記転写ローラとが離間されると共に前記テンションローラが、前記転写ベルトに弛みが与えられた状態で保持される第2の状態と、
    に設定可能な転写装置であって、
    前記第1の状態から前記第2の状態へ移行するとき、前記転写ローラ変位手段と前記テンションローラ変位手段とが連動することを特徴とする転写装置。
  4. 請求項3記載の転写装置において、
    前記転写ローラ変位手段は、前記転写ローラを前記像担持体に対して接離する方向に変位させる転写ローラ変位機構と、この転写ローラ変位機構に作用して前記転写ローラの位置を変位させて位置を決める位置決めホルダと、前記位置決めホルダをスライド自在に変位させるホルダ変位カムを有し、
    前記位置決めホルダは、前記転写ベルトを張架するローラの一つである固定ローラを支持する支持部材に支持されて前記スライドされるものであり、前記第2の状態のもとで前記テンションローラの前記付勢による移動を規制する規制手段を具備することを特徴とする転写装置。
  5. 請求項4記載の転写装置において、
    前記テンションローラ変位手段は、前記テンションローラの付勢力に抗して前記転写ベルトを内側から外側に向けて前記転写ベルトを引っ張ることで、前記テンションローラを前記転写ベルトに弛みが与えられる方向に変位させるベルト内周付勢部材を有することを特徴とする転写装置。
  6. 請求項5記載の転写装置において、
    前記テンションローラは前記位置決めホルダに支持されていて、
    前記テンションローラ変位手段は、前記ホルダ変位カムをその構成に含み、該ホルダ変位カムの回動と連動して回動する前記ベルト内周付勢部材との共働により、前記位置決めホルダを前記支持部材上でスライド変位させることを特徴とする転写装置。
  7. 請求項5乃至6の何れかに記載の転写装置において、
    前記ベルト内周付勢部材は前記ホルダ変位カムと同一の軸に固定されていることを特徴とする転写装置。
  8. 請求項5乃至7の何れかに記載の転写装置において、
    前記ホルダ変位カムが、前記ベルト内周付勢部材による前記転写ベルトの前記引っ張り機能を兼用することを特徴とする転写装置。
  9. 請求項5乃至8の何れかに記載の転写装置において、
    前記ベルト内周付勢部材は、前記転写ベルトの幅方向の両端に対応させて配置したことを特徴とする転写装置。
  10. 請求項5乃至9の何れかに記載の転写装置において、
    前記ベルト内周付勢部材は所定の回転角度の範囲において、前記転写ベルトを引っ張ることで前記テンションローラを変位させて前記転写ベルトを弛ませることを特徴とする転写装置。
  11. 請求項5乃至10の何れかに記載の転写装置において、
    前記ベルト内周付勢部材が当接する部位に対応する前記転写ベルト両端部の内周もしくは外周に、前記転写ベルトを補強する補強部材が配置されていることを特徴とする転写装置。
  12. 請求項5乃至11の何れかに記載の転写装置において、
    前記ベルト内周付勢部材のカム面であって、前記転写ベルトの持ち上げ量が最大となる部分に弾性体が設けられていることを特徴とする転写装置。
  13. 請求項5乃至12の何れかに記載の転写装置において、
    前記ベルト内周付勢部材と前記転写ベルトとの間に、転写ベルト保護部材を配置し、前記ベルト内周付勢部材は、該転写ベルト保護部材を介して前記転写ベルトを間接的に持ち上げる構成としたことを特徴とする転写装置。
  14. 請求項13記載の転写装置において、
    前記転写ベルト保護部材は、
    前記ベルト内周付勢部材が前記転写ベルトを持ち上げた場合のみ前記転写ベルトと当接することを特徴とする転写装置。
  15. 中間転写体又は記録材搬送体として無端状のベルトを具備した転写装置を有し、このベルトに沿って複数の像担持体が配置された画像形成装置において、前記転写装置として請求項1乃至14に記載の転写装置が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
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