JP2010216686A - ヒートポンプシステム - Google Patents

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Noriyuki Okuda
則之 奥田
Shuji Fujimoto
修二 藤本
Atsushi Yoshimi
敦史 吉見
Takuo Yamada
拓郎 山田
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Abstract

【課題】一次冷媒が循環する回路から二次冷媒が循環する回路への熱の供給が低下することがあっても、二次冷媒が循環する回路による熱負荷処理を継続的に行うことが可能なヒートポンプシステムを提供する。
【解決手段】ヒートポンプ回路10は、低段側圧縮機21、高段側圧縮機25、膨張弁5a、および、室外熱交換器4を有している。暖房用の二次冷媒としての水が循環している暖房回路60は、暖房バイパス路69と暖房タンク9とラジエータ61を有している。制御部11は、通常運転制御においては、暖房バイパス路69に暖房用の二次冷媒を流すことなく、ラジエータ61での放熱を行いつつ、暖房タンク9における蓄熱を行う。制御部11は、膨張弁5aを全開にする除霜運転制御においては、暖房バイパス路69に暖房用の二次冷媒を流して、暖房タンク9に蓄熱されている熱を利用してラジエータ61での放熱を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒートポンプシステムに関する。
従来より、一次冷媒が循環するヒートポンプサイクルと、二次冷媒が循環する二次側サイクルと、を用いて暖房運転を行うシステムが知られている。
例えば、特許文献1(特開2007―163071号公報)に記載されているように、二次冷媒回路の途中に所定温度に暖められた二次冷媒を蓄えるバッファタンクが採用されたヒートポンプシステム等が提案されている。このヒートポンプシステムでは、二次冷媒の室内側熱交換器に対する供給を停止している暖房運転停止時に、ヒートポンプサイクルの運転を続けつつ、所定温度に暖められた二次冷媒をバッファタンクに蓄えていくことができるようにしている。これにより、暖房運転再開時においてヒートポンプ回路によって一次冷媒が十分に暖められた状態となるまでの間、バッファタンクに蓄えられていた二次冷媒の熱を利用して暖房を行うことで、暖房運転開始の迅速性を向上させている。
上述の特許文献1(特開2007―163071号公報)に記載のヒートポンプシステムでは、ヒートポンプ回路の運転が持続的に行われ、二次冷媒が循環する回路への熱供給が継続的に行われることを前提としている。また、暖房運転が停止される場合があることを前提としている。
しかし、ヒートポンプ回路の運転は、例えば、室外熱交換器の表面に付着した霜を除去するためにデフロスト運転を行う必要が生じた際にヒートポンプ回路内で熱を消費する場合等、二次冷媒が循環する回路に対して、必ずしも十分な熱を供給し続けることができるとは限らない。このように、二次冷媒が循環する回路に対するヒートポンプ回路からの熱の供給が一時的に途絶えたり低下したりしてしまうことがあったとしても、室内熱交換器が設置された対象空間に対して継続的に熱を供給したい場合がある。
本発明の課題は、一次冷媒が循環する回路から二次冷媒が循環する回路への熱の供給が低下することがあっても、二次冷媒が循環する回路による熱負荷処理を継続的に行うことが可能なヒートポンプシステムを提供することにある。
第1発明のヒートポンプシステムは、ヒートポンプ回路、第1熱負荷回路、冷媒流体間熱交換器、第1流体バイパス路、第1流体バイパス流量調節機構、第1流体タンク、および、制御部を備えている。ヒートポンプ回路は、少なくとも圧縮機構、膨張機構、および、室外熱交換器を有している。このヒートポンプ回路は、一次冷媒が循環している。第1熱負荷回路は、第1熱負荷処理部を有している。この第1熱負荷回路は、第1流体が循環している。冷媒流体間熱交換器は、圧縮機構から吐出される一次冷媒と、第1流体と、の間で熱交換を行わせる。第1流路バイパス路は、第1部分と第2部分とを接続している。第1部分は、第1熱負荷回路のうち第1熱負荷処理部から冷媒流体間熱交換器に向けて第1流体が流れている部分である。第2部分は、第1熱負荷回路のうち冷媒流体間熱交換器から第1熱負荷処理部に向けて第1流体が流れている部分である。第1流路バイパス流量調節機構は、第1流体バイパス路を通過する第1流体の流量を調節可能である。第1流体タンクは、第2部分から第1熱負荷処理部に向かう第1流体の少なくとも一部を溜めることが可能である。制御部は、第1流体バイパス流量調節機構を用いて、第1流体バイパス路を通過する第1流体の流量が所定条件を満たしている低バイパス状態にすることと、第1流体バイパス路を通過する第1流体の流量が低バイパス状態における流量よりも多い高バイパス状態にすることが可能である。
このヒートポンプシステムでは、低バイパス状態では、冷媒流体間熱交換器における熱交換によって暖められた第1流体を第1流体タンクに溜めておくことができる。そして、一次冷媒が循環するヒートポンプ回路から第1流体が循環する第1熱負荷回路への熱の供給量が低下することがあっても、低バイパス状態から高バイパス状態へと制御することができる。これにより、ヒートポンプ回路から第1熱負荷回路が得る熱量が低下した場合であっても、第1流体タンクに溜められた第1流体の熱を用いて、第1熱負荷処理部における熱負荷処理を継続することが可能になる。
第2発明のヒートポンプシステムは、第1発明のヒートポンプシステムにおいて、制御部は、膨張機構の弁開度を上げる際に、低バイパス状態から高バイパス状態に切り換える、除霜運転制御を行う。
このヒートポンプシステムでは、低バイパス状態から高バイパス状態に切り換えることで、冷媒流体間熱交換器を通過する第1流体の量を低減させることができる。膨張機構の弁開度を上げることで、膨張機構を通過する際の一次冷媒の温度低下を抑制することができる。このため、圧縮機構から吐出された一次冷媒の熱は、冷媒流体間熱交換器において第1流体に奪われる程度を抑えつつ、膨張機構を通過する際の温度低下を抑制しつつ、室外熱交換器に対して暖かい一次冷媒を供給することが可能になる。これにより、第1流体タンクに溜められた第1流体の熱を用いて第1熱負荷処理部における熱負荷処理を継続しつつ、室外熱交換器における除霜効果を向上させることが可能になる。
第3発明のヒートポンプシステムは、第2発明のヒートポンプシステムにおいて、第1熱負荷処理部は、配置されている対象空間の空気を暖める暖房用熱交換器である。第1流体は、二次冷媒である。
このヒートポンプシステムでは、除霜運転制御時であっても、暖房運転を継続して対象空間の空気が冷えてしまうことを抑制することが可能になる。
第4発明のヒートポンプシステムは、第2発明または第3発明のヒートポンプシステムにおいて、制御部は、除霜運転制御では、膨張機構の弁開度を所定最大開度まで上げる・
このヒートポンプシステムでは、膨張機構を通過する際の一次冷媒の温度低下をより小さく抑えることができ、除霜効果を向上させることが可能になる。
第5発明のヒートポンプシステムは、第2発明から第4発明のいずれかのヒートポンプシステムにおいて、ヒートポンプ回路は、膨張機構に向かう一次冷媒と、室外熱交換器を通過して圧縮機構の吸入側に向かう一次冷媒と、の間で熱交換を行わせる一次冷媒間熱交換をさらに有している。
このヒートポンプシステムでは、除霜運転制御によって、室外熱交換器を流れて、室外熱交換器の外表面に付着した霜を溶かした後は、一次冷媒の温度が低下している。このため、圧縮機構が吸入する一次冷媒の状態が、湿り状態となってしまうおそれがある。これに対して、このヒートポンプシステムでは、ヒートポンプ回路が一次冷媒間熱交換器を有しており、圧縮機構に吸入される一次冷媒を、室外熱交換器において除霜を行う前の一次冷媒の熱によって暖めることができる。これにより、除霜運転制御時においても、圧縮機構が吸入する一次冷媒が湿り状態となりにくくすることが可能になる。
第6発明のヒートポンプシステムは、第5発明のヒートポンプシステムにおいて、ヒートポンプ回路は、一次冷媒間熱交換器をバイパスするバイパス路をさらに有している。
このヒートポンプシステムでは、圧縮機構が吸入する一次冷媒の過熱度の程度に応じて、一次冷媒間熱交換器を利用するか否かを選択することが可能になる。
第7発明のヒートポンプシステムは、第6発明のヒートポンプシステムにおいて、ヒートポンプ回路は、バイパス路は、通過する一次冷媒の量を調節可能なバイパス流量調節弁をさらに有している。
このヒートポンプシステムでは、一次冷媒間熱交換器を利用する程度を調節することが可能になる。
第8発明のヒートポンプシステムは、第7発明のヒートポンプシステムにおいて、制御部は、除霜運転制御を開始する時に、バイパス流量調整弁の弁開度を狭める制御を行う。
このヒートポンプシステムでは、除霜運転制御を行うことで室外熱交換器の出口を流れる一次冷媒が湿り状態になったとしても、バイパス流量調整弁の弁開度が狭められるため、圧縮機構の吸入側に一次冷媒が到達するまでの間に過熱度を持たせることが可能になる。
第9発明のヒートポンプシステムは、第1発明から第8発明のいずれかのヒートポンプシステムにおいて、制御部は、高バイパス状態であっても、冷媒流体間熱交換器を通過する第1流体の流量が0にならないように第1流体バイパス流量調節機構を制御する。
例えば、第1流体の冷媒流体間熱交換器における流れが完全に停止してしまうと、冷媒流体間熱交換器を通過する一次冷媒の熱によって、滞留したままの第1流体が加熱され続けてしまうおそれがある。このように第1流体が加熱され続けると、冷媒流体間熱交換器のうち第1流体が滞留している部分の表面にスケールが生じてしまうおそれがある。
これに対して、このヒートポンプシステムでは、冷媒流体間熱交換器における第1流体の流れを停止させないため、冷媒流体間熱交換器におけるスケールの発生を抑制することができる。
第10発明のヒートポンプシステムは、第1発明から第9発明のいずれかのヒートポンプシステムにおいて、圧縮機構は、低段側圧縮機構および高段側圧縮機構を有している。第1熱負荷回路は、第1分岐部分、第2分岐部分、第1分岐路、および、第2分岐路を有している。第1分岐路は、第1分岐部分と第2分岐部分とを接続している。第2分岐路は、第1分岐路と合流することなく第1分岐部分と第2分岐部分とを接続している。第1部分は、第1分岐部分含む第1分岐部分と第1熱負荷処理部との間に設けられている。第2部分は、第2分岐部分を含む第2分岐部分と第1熱負荷処理部との間に設けられている。冷媒流体間熱交換器は、第1熱交換器および第2熱交換器を有している。第1熱交換器は、少なくとも低段側圧縮機構の吐出側から高段側圧縮機構の吸入側に向けて流れる一次冷媒と、第1分岐路を流れる第1流体と、の間で熱交換を行わせる。第2熱交換器は、少なくとも高段側圧縮機構から膨張機構に向けて流れる一次冷媒と、第2分岐路を流れる第1流体と、の間で熱交換を行わせる。制御部は、低バイパス状態では、第1分岐路および第2分岐路のいずれにも第1流体を流すように第1流体バイパス流量調節機構を制御する。そして、制御部は、高バイパス状態では、第2分岐路を流れる第1流体の流量を、低バイパス状態における第2分岐路を流れる第1流体の流量よりも下げるように、若しくは、第2分岐路を流れる第1流体の流量が0になるように、第1流体バイパス流量調節機構を制御する。
このヒートポンプシステムでは、多段圧縮形式が採用されつつ、低段側圧縮機構から高段側圧縮機構に向けて流れる一次冷媒が第1熱交換器において冷却されうるため、運転効率を向上させることができる。さらに、高バイパス状態では、第2熱交換器における一次冷媒の放熱量を低バイパス状態と比べて小さく抑えることができる。これにより、ヒートポンプ回路の運転効率を向上させつつ、第2熱交換器を一次冷媒が通過する際に生じる除霜効率の低下を小さく抑えることが可能になる。
第11発明のヒートポンプシステムは、第10発明のヒートポンプシステムにおいて、制御部は、高バイパス状態において第1分岐路を流れている第1流体の流量を、低バイパス状態において第1分岐路を流れている第1流体の流量以上の流量となるように、第1流体バイパス流量調節機構を制御する。
このヒートポンプシステムでは、高バイパス状態においても第1分岐路を流れている第1流体の量を確保することで、多段圧縮式におけるヒートポンプ回路の運転効率を向上させることができる。そして、第2分岐路を流れる第1流体の量を低減させているため、室外熱交換器に対して供給される一次冷媒の熱量を確保して、除霜効果を得ることができる。
第12発明のヒートポンプシステムは、第10発明または第11発明のいずれかのヒートポンプシステムにおいて、第2部分は、第2分岐部分である。第1流体バイパス路は、第1分岐部分と第2分岐部分とを接続している。第1流体バイパス流量調節機構は、第1流体バイパス路、第1分岐路および第2分岐路を通過する第1流体の流量比率を調節可能である。
このヒートポンプシステムでは、第1流体バイパス路の一端を第1分岐部分とし、第1流体バイパス路の他端を第2分岐部分とすることで、第1熱負荷回路の構成を簡単にして、コストを抑えることが可能になる。
第13発明のヒートポンプシステムは、第10発明から第12発明のいずれかのヒートポンプシステムにおいて、第2熱負荷回路、および、第3熱交換器をさらに備えている。第2熱負荷回路は、第2熱負荷処理部を有している。この第2熱負荷回路は、第2流体が循環している。第3熱交換器は、第2流体と、高段側圧縮機構から第2熱交換器に向かう途中の一次冷媒と、の間で熱交換を行わせる。
このヒートポンプシステムでは、高段側圧縮機構が吐出する一次冷媒の熱を、第1熱負荷回路おける熱負荷処理と第2熱負荷回路における熱負荷処理との両方に用いることができるようになるだけでなく、第1熱負荷回路において必要となる温度範囲以外を第2熱負荷回路において利用することが可能になる。
第14発明のヒートポンプシステムは、第13発明のヒートポンプシステムにおいて、第2流体は、水である。第2熱負荷処理部は、給湯用のタンクである。
このヒートポンプシステムでは、高段側圧縮機構から吐出される一次冷媒の温度を利用してお湯をつくることができるようになる。
第15発明のヒートポンプシステムは、第13発明または第14発明のヒートポンプシステムにおいて、第2熱負荷回路は、循環する第2流体の流量を調節可能な第2流体流量調節機構を有している。制御部は、高バイパス状態において第2熱負荷回路を流れている第2流体の流量を、低バイパス状態において第2熱負荷回路を流れている第2流体の流量より少ない流量となるように、第2流体バイパス流量調節機構を制御する。
このヒートポンプシステムでは、高バイパス状態では、高段側圧縮機構から室外熱交換器に向かう途中における一次冷媒の放熱量を、低バイパス状態での運転時と比べて小さく抑えること可能になる。
第16発明のヒートポンプシステムは、第1発明から第9発明のいずれかのヒートポンプシステムにおいて、圧縮機構は、低段側圧縮機構および高段側圧縮機構を有している。ヒートポンプ回路は、インジェクション分岐部分、インジェクション路、インジェクション熱交換器、および、減圧機構を有している。インジェクション分岐部分は、膨張機構に向かう一次冷媒の一部を分岐させる。インジェクション路は、インジェクション分岐部分を低段側圧縮機構と高段側圧縮機構との間に接続する。インジェクション熱交換器は、インジェクション分岐部分から膨張機構側に向けて流れる一次冷媒とインジェクション路を流れる一次冷媒との間で熱交換を行わせる。減圧機構は、インジェクション路におけるインジェクション熱交換器への入口とインジェクション分岐部分との間に設けられている。
このヒートポンプシステムでは、インジェクション熱交換器を通過して膨張機構に向かう冷媒を冷却させることでヒートポンプ回路の能力を増大させることができる。低段側圧縮機構と高段側圧縮機構との間にインジェクション路を通過した一次冷媒を供給することで、高段側圧縮機構が吸入する一次冷媒を冷却させることができる。これにより、ヒートポンプ回路の成績係数を向上させることが可能になる。
なお、例えば、ヒートポンプ回路の運転効率を向上させるための高段側圧縮機構が吸入する一次冷媒の冷却効果が十分でない場合(第1熱負荷が小さい場合等)であっても、インジェクション路を流れる一次冷媒によって運転効率を向上させることが可能になる。
第17発明のヒートポンプシステムは、第16発明のヒートポンプシステムにおいて、冷媒流体間熱交換器は、少なくとも低段側圧縮機構の吐出側から高段側圧縮機構の吸入側に向けて流れる一次冷媒と第1流体との間で熱交換を行わせる第1熱交換器を有している。インジェクション路は、インジェクション分岐部分を低段側圧縮機構と第1熱交換器との間に接続している。
このヒートポンプシステムでは、第1熱交換器における一次冷媒との熱交換によって第1流体が加熱され過ぎてしまうことを回避することが可能になる。
第18発明のヒートポンプシステムは、第1発明から第16発明のいずれかのヒートポンプシステムにおいて、冷媒流体間熱交換器は、少なくとも低段側圧縮機構の吐出側から高段側圧縮機構の吸入側に向けて流れる一次冷媒と第1流体との間で熱交換を行わせる第1熱交換器を有している。インジェクション路は、インジェクション分岐部分を第1熱交換器と高段側圧縮機構との間に接続している。
このヒートポンプシステムでは、低段側圧縮機構から吐出されて冷やされることなく高温状態を維持した一次冷媒を第1熱交換器に供給することができる。これにより、第1熱交換器で一次冷媒と熱交換される第1流体の温度をより高温に上げることが可能になる。さらに、第1流体の温度をより高温に上げることができる場合であっても、高段側圧縮機構が吸入する一次冷媒の温度が高いままとならないように、第1熱交換器を出た一次冷媒を冷却させることができる。
第19発明のヒートポンプシステムは、第1発明から第18発明のいずれかのヒートポンプシステムにおいて、一次冷媒は、二酸化炭素である。
このヒートポンプシステムでは、自然冷媒を用いてヒートポンプ回路の冷凍サイクルを実現できる。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1発明では、ヒートポンプ回路から第1熱負荷回路が得る熱量が低下した場合であっても、第1流体タンクに溜められた第1流体の熱を用いて、第1熱負荷処理部における熱負荷処理を継続することが可能になる。
第2発明では、第1流体タンクに溜められた第1流体の熱を用いて第1熱負荷処理部における熱負荷処理を継続しつつ、室外熱交換器における除霜効果を向上させることが可能になる。
第3発明では、除霜運転制御時であっても、暖房運転を継続して対象空間の空気が冷えてしまうことを抑制することが可能になる。
第4発明では、除霜効果を向上させることが可能になる。
第5発明では、除霜運転制御時においても、圧縮機構が吸入する一次冷媒が湿り状態となりにくくすることが可能になる。
第6発明では、圧縮機構が吸入する一次冷媒の過熱度の程度に応じて、一次冷媒間熱交換器を利用するか否かを選択することが可能になる。
第7発明では、一次冷媒間熱交換器を利用する程度を調節することが可能になる。
第8発明では、圧縮機構の吸入側に一次冷媒が到達するまでの間に過熱度を持たせることが可能になる。
第9発明では、冷媒流体間熱交換器におけるスケールの発生を抑制することができる。
第10発明では、ヒートポンプ回路の運転効率を向上させつつ、第2熱交換器を一次冷媒が通過する際に生じる除霜効率の低下を小さく抑えることが可能になる。
第11発明では、多段圧縮式におけるヒートポンプ回路の運転効率を向上させることができ、室外熱交換器に対して供給される一次冷媒の熱量を確保して、除霜効果を得ることができる。
第12発明では、第1熱負荷回路の構成を簡単にして、コストを抑えることが可能になる。
第13発明では、第1熱負荷回路において必要となる温度範囲以外を第2熱負荷回路において利用することが可能になる。
第14発明では、高段側圧縮機構から吐出される一次冷媒の温度を利用してお湯をつくることができるようになる。
第15発明では、高段側圧縮機構から室外熱交換器に向かう途中における一次冷媒の放熱量を、低バイパス状態での運転時と比べて小さく抑えること可能になる。
第16発明では、ヒートポンプ回路の成績係数を向上させることが可能になる。
第17発明では、第1熱交換器における一次冷媒との熱交換によって第1流体が加熱され過ぎてしまうことを回避することが可能になる。
第18発明では、第1熱交換器で一次冷媒と熱交換される第1流体の温度をより高温に上げることが可能になり、第1熱交換器を出た一次冷媒を冷却させることができる。
第19発明では、自然冷媒を用いてヒートポンプ回路の冷凍サイクルを実現できる。
本発明の第1実施形態にかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 第1実施形態にかかるヒートポンプ回路の圧力−エンタルピ線図である。 第1実施形態にかかるヒートポンプ回路の温度−エントロピ線図である。 第2実施形態にかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 第3実施形態にかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 第4実施形態にかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 第5実施形態にかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 第5実施形態の変形例Aにかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 第5実施形態の変形例Bにかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 第5実施形態の変形例Cにかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 第6実施形態にかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 第6実施形態の変形例Aにかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 第7実施形態にかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 第8実施形態にかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 第9実施形態にかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 第10実施形態にかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 第11実施形態にかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 第12実施形態にかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 第13実施形態にかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 第14実施形態にかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 第15実施形態にかかるヒートポンプシステムの概略構成図である。 変形例<16―8>にかかる外部熱源部を備えたヒートポンプシステムの概略構成図である。 変形例<16−8>にかかる外部冷却源部を備えたヒートポンプシステムの概略構成図である。
<1>第1実施形態
<1−1>ヒートポンプシステム1の構成
図1は、本発明の一実施形態である第1実施形態にかかるヒートポンプシステム1の概略構成図である。
ヒートポンプシステム1は、ヒートポンプ回路10、暖房回路60、給湯回路90、中間圧水熱交換器40、および、高圧水熱交換器50を備えている。ヒートポンプシステム1は、ヒートポンプ回路10によって得られる熱を、暖房回路60を介して暖房用の熱として利用するだけでなく、給湯回路90を介して給湯用の熱として利用するシステムである。
なお、このヒートポンプシステム1では、ヒートポンプ回路10を流れる一次冷媒の熱によって給湯負荷と暖房負荷とに対応しつつ蓄熱を行う通常運転制御と、ヒートポンプ回路10に霜を除去させる運転を行わせつつ通常運転制御において蓄えられた熱を利用して暖房負荷を処理する除霜運転制御と、が行われる。
以下、まず、本ヒートポンプシステム1の構成を説明した後で、各制御について詳細を述べる。
(中間圧水熱交換器40)
中間圧水熱交換器40では、ヒートポンプ回路10を循環する一次冷媒としての二酸化炭素と、暖房回路60を循環する二次冷媒としての水と、の間で熱交換を行わせる。
(高圧水熱交換器50)
高圧水熱交換器50は、第1高圧水熱交換器51、第2高圧水熱交換器52、および、第3高圧水熱交換器53を有している。第1高圧水熱交換器51では、ヒートポンプ回路10を循環する一次冷媒としての二酸化炭素と、給湯回路90を循環する給湯用の水と、の間で熱交換を行わせる。第2高圧水熱交換器52では、ヒートポンプ回路10を循環する一次冷媒としての二酸化炭素と、暖房回路60を循環する二次冷媒としての水と、の間で熱交換を行わせる。第3高圧水熱交換器53では、ヒートポンプ回路10を循環する一次冷媒としての二酸化炭素と、給湯回路90を循環する給湯用の水と、の間で熱交換を行わせる。
(ヒートポンプ回路10)
ヒートポンプ回路10は、一次冷媒としての二酸化炭素が循環している自然冷媒を用いた回路である。ヒートポンプ回路10は、低段側圧縮機21、高段側圧縮機25、エコノマイザ熱交換器7、インジェクション路70、一次冷媒間熱交換器8、一次バイパス80、膨張弁5a、室外熱交換器4、中間圧管23、高圧管27、低圧管20、ファン4f、および、制御部11を備えている。室外熱交換器4は、屋外に設置されている。なお、この室外熱交換器4は、必ずしも屋外に配置される必要はなく、例えば、室外熱交換器4を一次冷媒の蒸発器として使用した場合に、着霜が生じうる屋外以外の環境下に配置されていてもよい。
中間圧管23は、低段側圧縮機21の吐出側と高段側圧縮機25の吸入側とを接続している。中間圧管23は、第1中間圧管23a、第2中間圧管23b、第3中間圧管23c、および、第4中間圧管23dを有している。第1中間圧管23aは、低段側圧縮機21の吐出側と、中間圧水熱交換器40の上流側端部と、を低段吐出ポイントBを介しつつ、接続している。この第1中間圧管23aには、通過する一次冷媒の圧力を検知する中間圧圧力センサ23P、および、通過する一次冷媒の温度を検知する中間圧温度センサ23Tが取り付けられている。第2中間圧管23bは、二次冷媒としての暖房用の水と混ざり合うことがないように、内部に一次冷媒としての二酸化炭素を流しつつ、中間圧水熱交換器40内を通過している。第3中間圧管23cは、中間圧水熱交換器40の下流側端部とインジェクション合流ポイントDとを、中間圧水熱交換器通過ポイントCを介して接続している。第4中間圧管23dは、インジェクション合流ポイントDと、高段側圧縮機25の吸入側と、を接続している。この第4中間圧管23dには、通過する一次冷媒の温度を検知する高段吸入温度センサ24Tが取り付けられている。
高圧管27は、高段側圧縮機25の吐出側と、膨張弁5aもしくは一次バイパス膨張弁5bと、を接続している。高圧管27は、第1高圧管27a、第2高圧管27b、第3高圧管27c、第4高圧管27d、第5高圧管27e、第6高圧管27f、第7高圧管27g、第8高圧管27h、第9高圧管27i、第10高圧管27j、第11高圧管27k、第12高圧管27l、および、第13高圧管27mを有している。
第1高圧管27aは、高段側圧縮機25の吐出側と、第1高圧水熱交換器51と、を高段吐出ポイントEを介しつつ、接続している。この第1高圧管27aには、通過する一次冷媒の圧力を検知する高圧圧力センサ27P、および、通過する一次冷媒の温度を検知する高圧温度センサ27Tが取り付けられている。第2高圧管27bは、給湯用の水と混ざり合うことがないように、内部に一次冷媒としての二酸化炭素を流しつつ、第1高圧水熱交換器51内を通過している。第3高圧管27cは、第1高圧水熱交換器51の下流側端部と、第2高圧水熱交換器52の上流側端部と、を第1高圧ポイントFを介しつつ、接続している。第4高圧管27dは、暖房用二次冷媒としての水と混ざり合うことがないように、内部に一次冷媒としての二酸化炭素を流しつつ、第2高圧水熱交換器52内を通過している。第5高圧管27eは、第2高圧水熱交換器52の下流側端部と、第3高圧水熱交換器53の上流側端部と、を第2高圧ポイントGを介しつつ、接続している。第6高圧管27fは、暖房用二次冷媒としての水と混ざり合うことがないように、内部に一次冷媒としての二酸化炭素を流しつつ、第3高圧水熱交換器53内を通過している。第7高圧管27gは、第3高圧水熱交換器53の下流側端部と、第3高圧ポイントHと、を接続している。第8高圧管27hは、第3高圧ポイントHと、エコノマイザ熱交換器7中の膨張弁5a側に向かう一次冷媒の流れ方向における上流側端部と、を接続している。第9高圧管27iは、インジェクション路70を流れる一次冷媒との間で混ざり合うことがないように、内部に一次冷媒を流しつつ、エコノマイザ熱交換器7を通過している。第10高圧管27jは、エコノマイザ熱交換器7中の膨張弁5a側に向かう一次冷媒の流れ方向における下流側端部と、第4高圧ポイントIと、を接続している。第11高圧管27kは、第4高圧ポイントIと、一次冷媒間熱交換器8中の膨張弁5a側に向かう一次冷媒の流れ方向における上流側端部と、を接続している。第12高圧管27lは、低圧管20を流れる一次冷媒との間で混ざり合うことがないように、内部に一次冷媒を流しつつ、一次冷媒間熱交換器8を通過している。第13高圧管27mは、一次冷媒間熱交換器8中の膨張弁5a側に向かう一次冷媒の流れ方向における下流側端部と、膨張弁5aと、を第5高圧ポイントJを介しつつ、接続している。
低圧管20は、第1低圧管20a、第2低圧管20b、第3低圧管20c、第4低圧管20d、および、第5低圧管20eを有している。第1低圧管20aは、膨張弁5aと、第3低圧ポイントMと、を第1低圧ポイントKを介して接続している。第2低圧管20bは、第3低圧ポイントMと、室外熱交換器4の上流側端部と、を接続している。第3低圧管20cは、室外熱交換器4の下流側端部と、一次冷媒間熱交換器8の低圧管20中の一次冷媒の流れ方向における上流側端部と、を第4低圧ポイントNを介しつつ、を接続している。第4低圧管20dは、第12高圧管27lを流れる一次冷媒との間で混ざり合うことがないように、内部に一次冷媒を流しつつ、一次冷媒間熱交換器8を通過している。第5低圧管20eは、一次冷媒間熱交換器8の低圧管20中の一次冷媒の流れ方向における下流側端部と、低段側圧縮機21の吸入側である吸入ポイントAと、を接続している。この第5低圧管20eには、通過する一次冷媒の圧力を検知する低圧圧力センサ20P、および、通過する一次冷媒の温度を検知する低圧温度センサ20Tが取り付けられている。
インジェクション路70は、インジェクション膨張弁73、第1インジェクション管72、第2インジェクション管74、第3インジェクション管75、および、第4インジェクション管76を有している。
第1インジェクション管72は、第3高圧ポイントHと、インジェクション膨張弁73と、を接続している。第2インジェクション管74は、インジェクション膨張弁73と、エコノマイザ熱交換器7中のインジェクション路70を流れる一次冷媒の流れ方向における上流側端部と、をインジェクション中間圧ポイントQを介しつつ、接続している。第3インジェクション管75は、第9高圧管27iを流れる一次冷媒との間で混ざり合うことがないように、内部に一次冷媒を流しつつ、エコノマイザ熱交換器7を通過している。第4インジェクション管76は、エコノマイザ熱交換器7中のインジェクション路70を流れる一次冷媒の流れ方向における下流側端部と、インジェクション合流ポイントDと、をエコノマイザ熱交後ポイントRを介しつつ、接続している。
このように、ヒートポンプ回路10では、インジェクション路70が採用されているため、ヒートポンプ回路の成績係数を向上させることができている。そして、例えば、暖房負荷が小さい場合等、ヒートポンプ回路10の効率向上のための中間圧水熱交換器40での一次冷媒の冷却効果を十分に得られない場合であっても、このインジェクション路70を通過するインジェクション量を増大させることで、運転効率を向上させることができる。なお、ヒートポンプ回路10では、インジェクション合流ポイントDは、中間圧水熱交換器40と高段側圧縮機25との間に設けられている。このため、低段側圧縮機21から吐出された高温の一次冷媒は、中間圧水熱交換器40に到達する前に冷やされることがなく、高温状態を維持したままで中間圧水熱交換器40に供給することができる。このため、中間圧水熱交換器40を通過する暖房用の水を十分高温にすることができている。さらに、第3高圧ポイントHは、エコノマイザ熱交換器7の上流側において一次冷媒の一部をインジェクション路70へ分岐させることができる位置に設けられている。このため、低段側圧縮機21から高段側圧縮機25に向かう一次冷媒を冷却し過ぎてしまうことによる能力低下を回避することがきている。
一次バイパス80は、第14高圧管27n、第6低圧管20f、および、一次バイパス膨張弁5bを有している。第14高圧管27nは、第4高圧ポイントIと、一次バイパス膨張弁5bと、を接続している。第6低圧管20fは、一次バイパス膨張弁5bと、第3低圧ポイントMと、第2低圧ポイントLを介して接続している。なお、一次バイパス80に一次バイパス膨張弁5bが設けられているため、制御部11は、一次冷媒間熱交換器8側を通過する一次冷媒の量を調節することができる。このため、低段側圧縮機21が吸入する一次冷媒が適当な過熱度を有するように調節することが可能になっている。具体的には、制御部11は、一次バイパス膨張弁5bの弁開度を下げた場合には、一次冷媒間熱交換器8を通過する一次冷媒の流量が増大し、低段側圧縮機21が吸入する一次冷媒の過熱度を上げることができ、これにより、低段側圧縮機21の吐出冷媒温度が目標温度となるために必要となる圧縮比を小さく抑えることができる。また、制御部11は、一次バイパス膨張弁5bの弁開度を上げた場合には、一次冷媒間熱交換器8を通過する一次冷媒の流量が減少し、低段側圧縮機21が吸入する一次冷媒の過熱度を下げることができ、これにより、低段側圧縮機21の吸入冷媒密度が著しく減少して循環量を確保できなくなってしまう事態を回避することができる。
制御部11は、上述した中間圧圧力センサ23P、中間圧温度センサ23T、高段吸入温度センサ24T、高圧圧力センサ27P、高圧温度センサ27T、低圧圧力センサ20P、および、低圧温度センサ20T等が検知する値に基づいて、低段側圧縮機21、高段側圧縮機25、インジェクション膨張弁73、膨張弁5a、一次バイパス膨張弁5b、ファン4f等を制御する。
(暖房回路60)
暖房回路60は、二次冷媒としての水が循環している。暖房回路60は、ラジエータ61、分流機構62、暖房往き管65、暖房タンク9、暖房戻り管66、暖房バイパス路69、中間圧側分岐路67、および、高圧側分岐路68を有している。分流機構62は、暖房混合弁64、暖房バイパス弁6、および、暖房ポンプ63、を含んでいる。
ラジエータ61は、暖房を行う対象となる空間に設置されており、内部を二次冷媒としての暖かい水が流れることにより、対象空間の空気を暖めて暖房を行う。ラジエータ61には、内部を流れる暖房用の水の温度を検知するためのラジエータ温度センサ61Tが設けられている。ラジエータ61は、図示しないが、暖房ポンプ63から送られてくる暖かい水を受け入れるための往き口と、ラジエータ61において放熱した後の水を中間圧水熱交換器40および第2高圧水熱交換器52に送り出すための戻り口と、を有している。暖房戻り管66は、ラジエータ61の戻り口と、暖房分岐ポイントXとを接続している。暖房戻り管66は、上流暖房戻り管66aおよび下流暖房戻り管66bを有している。上流暖房戻り管66aは、ラジエータ61の戻り口と、戻りバイパスポイントSとを接続している。戻りバイパスポイントSでは、通過する暖房用の二次冷媒を、上流暖房戻り管66a側と、暖房バイパス路69側と、に分流することができる分岐部分である。この上流暖房戻り管66aには、通過する暖房用の二次冷媒の温度を検知する暖房戻り温度センサ66Tが設けられている。下流暖房戻り管66bは、戻りバイパスポイントSと、暖房分岐ポイントXとを接続している。暖房分岐ポイントXでは、ラジエータ61における放熱を終えた水を、中間圧水熱交換器40側に送る中間圧側分岐路67と、第2高圧水熱交換器52側に送る高圧側分岐路68と、に分流させる。
中間圧側分岐路67は、第1中間圧側分岐路67a、第2中間圧側分岐路67b、および、第3中間圧側分岐路67cを有している。第1中間圧側分岐路67aは、分岐ポイントXと、中間圧水熱交換器40における中間圧側分岐路67中の水の流れ方向における上流側端部と、を接続している。第2中間圧側分岐路67bは、第2中間圧管23b内を流れている一次冷媒としての二酸化炭素と混ざり合うことがないように、内部に二次冷媒としての暖房用の水を流しつつ、中間圧水熱交換器40内を通過している。ここで、中間圧水熱交換器40では、第2中間圧管23b内を流れている一次冷媒としての二酸化炭素と、第2中間圧側分岐路67b内を流れている二次冷媒としての暖房用の水とは、互いに対向する方向に流れている対向流形式が採用されている。第3中間圧側分岐路67cは、中間圧水熱交換器40における中間圧側分岐路67中の水の流れ方向における下流側端部と、暖房合流ポイントYと、を接続している。第3中間圧側分岐路67cには、通過する暖房用の水の温度を検知するための中間圧側分岐路温度センサ67Tが設けられている。
高圧側分岐路68は、第1高圧側分岐路68a、第2高圧側分岐路68b、および、第3高圧側分岐路68cを有している。第1高圧側分岐路68aは、分岐ポイントXと、第2高圧水熱交換器52における高圧側分岐路68中の水の流れ方向における上流側端部と、を接続している。第2高圧側分岐路68bは、第4高圧管27d内を流れている一次冷媒としての二酸化炭素と混ざり合うことがないように、内部に二次冷媒としての暖房用の水を流しつつ、第2高圧水熱交換器52内を通過している。ここで、第2高圧水熱交換器52では、第4高圧管27d内を流れている一次冷媒としての二酸化炭素と、第2高圧側分岐路68b内を流れている二次冷媒としての暖房用の水とは、互いに対向する方向に流れている対向流形式が採用されている。第3高圧側分岐路68cは、第2高圧水熱交換器52における高圧側分岐路68中の水の流れ方向における下流側端部と、暖房合流ポイントYと、を接続している。第3高圧側分岐路68cには、通過する暖房用の水の温度を検知するための高圧側分岐路温度センサ68Tが設けられている。
なお、第1中間圧側分岐路67aを流れている暖房用の水の温度、および、第1高圧側分岐路68aを流れている暖房用の水の温度は、いずれも暖房分岐ポイントXで分岐されたまま、外部との熱のやりとりが無いため、同一の温度分布となっている。これに対して、第3中間圧側分岐路67cを流れている暖房用の水の温度は、中間圧水熱交換器40において第2中間圧管23bを流れる一次冷媒との熱交換によって得られる熱量に応じた温度となる。また、第3高圧側分岐路68cを流れている暖房用の水の温度は、第2高圧水熱交換器52において第4高圧管27dを流れている一次冷媒との熱交換によって得られる熱量に応じた温度となる。このため、第3中間圧側分岐路67cを流れている暖房用の水の温度と、第3高圧側分岐路68cを流れている暖房用の水の温度とは、異なる温度になる場合がある。
暖房往き管65は、上流暖房往き管65aおよび下流暖房往き管65bを有している。上流暖房往き管65aは、暖房合流ポイントYと、往きバイパスポイントTとを接続している。往きバイパスポイントTは、戻りバイパスポイントSから暖房バイパス路69を流れてくる暖房用の二次冷媒と、暖房合流ポイントYを通過してきた暖房用の二次冷媒と、を合流させる。下流暖房往き管65bは、往きバイパスポイントTと、ラジエータ61の往き口と、を接続している。この下流暖房往き管65bの途中には、通過する暖房用の二次冷媒の温度を検知する暖房往き温度センサ65Tが設けられている。また、下流暖房往き管65bの途中であって暖房往き温度センサ65Tの下流側には、下流暖房往き管65bを通過する暖房用の二次冷媒の流量を調節する暖房ポンプ63が設けられている。さらに、下流暖房往き管65bの途中であって、暖房ポンプ63の下流側には暖房タンク9が設けられている。この暖房タンク9は、中間圧水熱交換器40や第2高圧水熱交換器52において暖められた後であって未だラジエータ61で放熱していない暖房用の二次冷媒を蓄えることができるように、図示しない断熱材で周囲が覆われている。なお、暖房タンク9の大きさは、後述する除霜運転制御が行われている間のラジエータ61への所定量の熱量の供給を継続的に行うことができる程度の大きさである。暖房ポンプ63は、制御部11によって制御されることにより、通過させる暖房用の二次冷媒の流量を調節することができる。暖房タンク9は、中間圧水熱交換器40や、第2高圧水熱交換器52において加熱された暖房用の二次冷媒を一時的に蓄えることができる。暖房混合弁64は、第3中間圧側分岐路67cを通過した暖房用の二次冷媒と、第3高圧側分岐路68cを通過した暖房用の二次冷媒と、が合流する暖房傍流ポイントYに設けられている。暖房混合弁64は、第3中間圧側分岐路67c側に接続されている部分の開度および第3高圧側分岐路68c側に接続されている部分の開度をそれぞれ調節することにより、中間圧側分岐路67に流す暖房用の水の流量と、第3高圧側分岐路68cに流す暖房用の水の流量と、の比率を調節する。
暖房バイパス路69は、戻りバイパスポイントSと、往きバイパスポイントTとを接続している。暖房バイパス弁6は、上流暖房往き管65aを通過した暖房用の二次冷媒と、暖房バイパス路69を通過してきた暖房用の二次冷媒と、が合流する往きバイパスポイントTに設けられている。暖房バイパス弁6は、上流暖房往き管65a側に接続されている部分の開度および暖房バイパス路69側に接続されている部分の開度をそれぞれ調節することにより、ラジエータ61で放熱を終えた二次冷媒と、中間圧水熱交換器40や第2高圧水熱交換器52において加熱された二次冷媒と、の混合比率を調節することでラジエータ61に送る暖房用の二次冷媒の温度を調節することができるようになっている。また、暖房バイパス弁6は、上流暖房往き管65aからの流れを止めつつ、暖房バイパス路69からの流れのみを許容する状態にすることで、中間圧水熱交換器40および第2高圧水熱交換器52側における暖房用の二次冷媒の循環を途絶えさせ状態にすることができる。この状態では、暖房用の二次冷媒は、暖房ポンプ63、暖房タンク9、ラジエータ61、上流暖房戻り管66a、戻りバイパスポイントS、暖房バイパス路69、往きバイパスポイントT(暖房バイパス弁6)、暖房ポンプ63の順に流れ、この流れでの循環が行われる。
なお、制御部11は、上述したラジエータ温度センサ61T、暖房往き温度センサ65T、暖房戻り温度センサ66T、中間圧側分岐路温度センサ67T、高圧側分岐路温度センサ68T等が検知する温度等に基づいて、ラジエータ61において要求される温度および流量の二次冷媒を供給することができるように、暖房混合弁64における分流比率、暖房ポンプ63の流量、および、暖房バイパス弁6における混合比率もしくは接続状態の切換について、制御を行う。
(給湯回路90)
給湯回路90は、給湯用の水が循環している。給湯回路90は、貯湯タンク91、給水管94、給湯管98、給湯バイパス管99、給湯混合弁93、給湯ヒートポンプ管95、および、給湯ポンプ92を有している。貯湯タンク91には、図示しないが、循環往き口、および、循環戻り口が設けられている。図示しない外部の市水を通じた後、給水管94を介して、常温の水が、貯湯タンク91の下端部近傍から貯湯タンク91内へと供給される。給湯ヒートポンプ管95は、第1給湯ヒートポンプ管95a、第2給湯ヒートポンプ管95b、第3給湯ヒートポンプ管95c、第4給湯ヒートポンプ管95d、第5給湯ヒートポンプ管95e、および、第6給湯ヒートポンプ管95fを有している。
第1給湯ヒートポンプ管95aは、貯湯タンク91の循環往き口と、給湯ポンプ92と、を接続している。第1給湯ヒートポンプ管95aには、通過する給湯用の水の温度を検知する給湯入水温度センサ94Tが設けられている。第2給湯ヒートポンプ管95bは、給湯ポンプ92と、第3高圧水熱交換器53における給湯ヒートポンプ管95中の水の流れ方向における上流側端部と、を接続している。第3給湯ヒートポンプ管95cは、第6高圧管27f内を流れている一次冷媒としての二酸化炭素と混ざり合うことがないように、内部に給湯用の水を流しつつ、第3高圧水熱交換器53内を通過している。ここで、第3高圧水熱交換器53では、第6高圧管27f内を流れている一次冷媒としての二酸化炭素と、第3給湯ヒートポンプ管95c内を流れている給湯用の水とは、互いに対向する方向に流れている対向流形式が採用されている。第4給湯ヒートポンプ管95dは、第3高圧水熱交換器53における給湯ヒートポンプ管95中の水の流れ方向における下流側端部と、第1高圧水熱交換器51における給湯ヒートポンプ管95中の水の流れ方向における上流側端部と、を接続している。第4給湯ヒートポンプ管95dでは、通過する給湯用の水の温度を検知する給湯中間温度センサ95Tが設けられている。第2高圧水熱交換器52では、給湯用の水と、一次冷媒としての二酸化炭素と、の間での熱交換は行われていない。第5給湯ヒートポンプ管95eは、第2高圧管27b内を流れている一次冷媒としての二酸化炭素と混ざり合うことがないように、内部に給湯用の水を流しつつ、第1高圧水熱交換器51内を通過している。ここで、第1高圧水熱交換器51では、第2高圧管27b内を流れている一次冷媒としての二酸化炭素と、第5給湯ヒートポンプ管95e内を流れている給湯用の水とは、互いに対向する方向に流れている対向流形式が採用されている。第6給湯ヒートポンプ管95fは、第1高圧水熱交換器51における給湯ヒートポンプ管95中の水の流れ方向における下流側端部と、貯湯タンク91の循環戻り口とを接続している。第6給湯ヒートポンプ管95fには、通過する給湯用の水の温度を検知する給湯出湯温度センサ98Tが設けられている。
給湯管98は、貯湯タンク91の上端部近傍から貯湯タンク91内に溜められているお湯を、図示しない利用される場所まで導く。給水管94は、貯湯タンク91側に向かう流れから分岐させる分岐部分である給水分岐ポイントWが設けられている。給湯管98は、貯湯タンク91から利用される場所に向かう流れに合流させる給湯合流ポイントZが設けられている。給湯バイパス管99は、この給水分岐ポイントWと、この給湯合流ポイントZと、を接続している。給湯合流ポイントZには、給湯管98を通じて貯湯タンク91から送られてくるお湯と、給湯バイパス管99を通じて市水から供給される常温の水と、の混合比率を調節できる給湯混合弁93が設けられている。この給湯混合弁93における混合比率が調節されることにより、利用される場所に送られる水の温度が調節される。
なお、制御部11は、上述した給湯入水温度センサ94T、給湯中間温度センサ95T、給湯出湯温度センサ98T等が検知する温度等に基づいて、給湯ポンプ92の流量を制御する。
<1−2>ヒートポンプ回路10の運転
図2は、ヒートポンプシステム1が運転された場合の圧力−エンタルピ線図である。図3は、ヒートポンプシステム1が運転された場合の温度−エントロピ線図である。
以下、ヒートポンプ回路10が通常運転制御を行っている場合における一次冷媒の温度分布状態について、1つの具体例を挙げつつ説明する。
低段側圧縮機21は、低圧管20を流れてきた22℃程度の一次冷媒(点A)を、目標吐出温度が90℃程度に到達するように圧縮を行う(点B)。なお、ここで低圧管20を流れる一次冷媒の圧力は、室外熱交換器4を設置している周囲温度によって、一次冷媒としての二酸化炭素を蒸発させることが可能な圧力となるまで下げられた圧力(蒸発圧力)となるように制御部11によって調節されている。
低段側圧縮機21から吐出された一次冷媒は、第1中間圧管23aを通じて、中間圧水熱交換器40内の第2中間圧管23bに流入する。中間圧水熱交換器40に流入した一次冷媒は、第2中間圧側分岐路67bを通過している暖房用二次冷媒としての水との間で熱交換を行うことで、35℃程度まで冷却される(点C)。ここで、中間圧水熱交換器40における一次冷媒と二次冷媒とは対向流形式で流れているため、中間圧水熱交換器40内の第2中間圧管23bの出口近傍では、ラジエータ61で放熱して冷えた状態の30℃程度の二次冷媒によって効果的に冷却される。
中間圧水熱交換器40を通過した一次冷媒は、第3中間圧管23cのインジェクション合流点Dにおいて、インジェクション路70を通じて流入してくる27℃程度の一次冷媒と合流することで、さらに冷却され、30℃程度となる(点D)。ここで、インジェクション合流点Dにおいて合流した後の一次冷媒は、過熱度を有するか、もしくは、超臨界状態となるように、制御部11が制御を行う。さらに、ここで、インジェクション合流点Dにおいて合流した後の一次冷媒は、低段側圧縮機21における圧縮比と同一の圧縮比で高段側圧縮機25を駆動させつつ高段側圧縮機25から吐出される一次冷媒の目標温度が低段側圧縮機21から吐出される一次冷媒の目標温度と同じ90℃とすることができるように、制御部11が、高段側圧縮機25に吸入される一次冷媒は中間圧水熱交換器40およびインジェクション路70での熱収支を調節できるように制御を行う。
インジェクション合流点Dで合流した一次冷媒は、高段側圧縮機25に吸入され、目標吐出温度が低段側圧縮機21の吐出冷媒の目標温度と同じ温度である90℃程度に到達するように、さらに一次冷媒を圧縮させる。ここでは、高段側圧縮機25は、一次冷媒の吐出冷媒圧力が一次冷媒の超臨圧力を超える圧力になるまで圧縮するように、制御部11によって制御されている(点E)。
高段側圧縮機25によって吐出された一次冷媒は、第1高圧管27aを通じて、第1高圧水熱交換器51内の第2高圧管27bに流入する。第1高圧水熱交換器51に流入した一次冷媒は、第5給湯ヒートポンプ管95eを通過している給湯用の水との間で熱交換を行うことで、85℃程度まで冷却される(点F)。一次冷媒は、臨界圧力を超えた状態を維持しながら放熱を行うため、連続的に温度変化が生じる。ここで、第1高圧水熱交換器51における一次冷媒と二次冷媒とは対向流形式で流れているため、第1高圧水熱交換器51内の第2高圧管27bの出口近傍では、未だ十分に加熱されていない30℃程度の給湯用の水によって効果的に冷却される。
第1高圧水熱交換器51を通過した一次冷媒は、第3高圧管27cを通じて、第2高圧水熱交換器52内の第4高圧管27dに流入する。第2高圧水熱交換器52に流入した一次冷媒は、第2高圧側分岐路68bを通過している暖房用二次冷媒としての水との間で熱交換を行うことで、35℃程度まで冷却される(点G)。ここで、第2高圧水熱交換器52における一次冷媒と二次冷媒とは対向流形式で流れているため、第2高圧水熱交換器52内の第4高圧管27dの出口近傍では、ラジエータ61で放熱して冷えた状態の30℃程度の二次冷媒によって効果的に冷却される。
第2高圧水熱交換器52を通過した一次冷媒は、第5高圧管27eを通じて、第3高圧水熱交換器53内の第6高圧管27fに流入する。第3高圧水熱交換器53に流入した一次冷媒は、第3給湯ヒートポンプ管95cを通過している給湯用の水との間で熱交換を行うことで、さらに冷却され、30℃程度となる(点H)。ここで、第3高圧水熱交換器53における一次冷媒と二次冷媒とは対向流形式で流れているため、第3高圧水熱交換器53内の第6高圧管27fの出口近傍では、貯湯タンク91において混ざり合うことで市水の温度からわずかに上昇した程度である20℃程度の給湯用の水によって効果的に冷却される。そして、第3高圧水熱交換器53を通過した一次冷媒は、第7高圧管27gを通じて第3高圧ポイントHに到達する。
このように、高圧水熱交換器50が3つの熱交換器に別れており、高圧水熱交換器50を流れる一次冷媒が両臨界状態であるために放熱過程において温度が変化していり、かつ、暖房回路60を循環する二次冷媒としての水の温度変化範囲(30℃〜65℃)が給湯回路90における給湯用の水の温度変化範囲(20℃〜90℃)に含まれていることに対応させるように、高段側圧縮機25が吐出する一次冷媒のうち比較的高温状態である一次冷媒との熱交換、および、比較的低温状態である一次冷媒との熱交換とを給湯用の熱交換に割り当てて、中間温度状態である一次冷媒との熱交換を暖房用の二次冷媒との熱交換に割り当てることで、一次冷媒と給湯用の水との熱交換だけでなく一次冷媒と暖房用の水との熱交換のいずれにおいても、熱交換を行う流体同士の温度差を小さく抑えることができている。これにより、熱交換効率を向上させることができている。
第3高圧ポイントHに到達した一次冷媒は、第8高圧管27hを通じて膨張弁5a側に向かう流れと、インジェクション路70側に向かう流れと、に分流される。ここでの分流程度は、制御部11が、インジェクション膨張弁73の弁開度を調節することにより制御される。インジェクション路70側に分流された一次冷媒は、第1インジェクション管72を通じた後、インジェクション膨張弁73において減圧され、23℃程度まで一次冷媒の温度が下がる(点Q)。
インジェクション膨張弁73において減圧された一次冷媒は、第2インジェクション管74を通じて、エコノマイザ熱交換器7内の第3インジェクション管75に流入する。エコノマイザ熱交換器7に流入した一次冷媒は、第9高圧管27iを流れる30℃程度の一次冷媒との間で熱交換を行い、27℃程度まで加熱される(点R)。
エコノマイザ熱交換器7内の第3インジェクション管75を通過した27℃程度の一次冷媒は、第4インジェクション管76を通じて、上述したインジェクション合流点Dにおいて、中間圧管23を流れている一次冷媒と合流する。
第3高圧ポイントHに到達した一次冷媒のうち、インジェクション路70側に流れていかない30℃程度の一次冷媒は、第8高圧管27hを通じて、エコノマイザ熱交換器7内の第9高圧管27iに流入する。エコノマイザ熱交換器7内の第9高圧管27iに流入した30℃程度の一次冷媒は、上述したように、第3インジェクション管75を流れる27℃程度の一次冷媒との間で熱交換を行うことで、25℃程度までさらに冷却される(点I)。エコノマイザ熱交換器7内の第9高圧管27iを通過した一次冷媒は、第10高圧管27jを通じて第4高圧ポイントIに到達する。
第4高圧ポイントIに到達した一次冷媒は、一次バイパス80側に向かう流れと、第11高圧管27k側に向かう流れと、に分流される。ここでの分流程度は、制御部11が、一次バイパス膨張弁5bの弁開度を制御することにより調節される。第11高圧管27kを流れた一次冷媒は、一次冷媒間熱交換器8内の第12高圧管27lに流入する。一次冷媒間熱交換器8内の第12高圧管27lに流入した25℃程度の一次冷媒は、第4低圧管20dを流れる−3℃程度の一次冷媒との間で熱交換を行い、20℃程度まで冷却される(点J)。
一次冷媒間熱交換器8内の第12高圧管12を通過した一次冷媒は、第13高圧管27mを通じて、膨張弁5aまで流れる。膨張弁5aでは、制御部11によって弁開度が調節されることで、通過する一次冷媒の減圧程度が調節され、通過した一次冷媒の冷媒圧力が下がり、冷媒温度も−3℃程度まで下がる(点K)。ここでは、一次冷媒は、制御部11による減圧程度の調節によって、臨界圧力以下の圧力となるまで減圧され、気液二相状態となる。
なお、ヒートポンプ回路10では、一次冷媒をエコノマイザ熱交換器7によって冷却させるだけでなく、さらに一次冷媒間熱交換器8によって冷却させることができる。そして、一次冷媒間熱交換器8を流れる一次冷媒は、ヒートポンプ回路10において最も低い温度の一次冷媒が流れている低段側圧縮機21の吸入側の一次冷媒によって冷却することができる。これにより、膨張弁5aを通過する一次冷媒の密度を上げることができ、ヒートポンプ回路10における一次冷媒の循環量を増大させることができている。
膨張弁5aを通過した一次冷媒は、第1低圧管20aを通じて、第3低圧ポイントMまで流れていき、第6低圧管20fを流れてくる一次冷媒と合流する(点M)。
第4高圧ポイントIに到達した一次冷媒のうち、第11高圧管27k側に流れていかない25℃程度の一次冷媒は、一次バイパス80側に流れていき、第14高圧管27nを通じて、一次バイパス膨張弁5bまで流れていく。一次バイパス膨張弁5bは、制御部11によって弁開度が調節されることで、通過する一次冷媒の減圧程度が調節され、通過した一次冷媒の冷媒圧力が下がり、冷媒温度も−3℃程度まで下がる(点L)。ここでも、点Kと同様に、一次冷媒は、制御部11による減圧程度の調節によって、臨界圧力以下の圧力となるまで減圧され、気液二相状態となる。
一次バイパス膨張弁5bを通過した一次冷媒は、第6低圧管20fを通じて、第3低圧ポイントMまで流れていき、上述した第1低圧管20aを通じて流れてきた一次冷媒と合流する(点M)。
第3低圧ポイントMで合流した−3℃程度の一次冷媒は、第2低圧管20bを通じて、室外熱交換器4に流入する。室外熱交換器4に流入した一次冷媒は、室外熱交換器4に対してファン4fによって積極的に供給される空気との間で熱交換を行う。室外熱交換器4での熱交換によって、気液二相状態の−3℃程度の一次冷媒は、温度を一定に維持したままで蒸発して(潜熱変化を行って)乾き度が増大していき、飽和状態に近い状態となる(点N)。
室外熱交換器4を通過した一次冷媒は、第3低圧管20cを通じて、一次冷媒間熱交換器8内の第4低圧管20dに流入する。一次冷媒間熱交換器8内の第4低圧管20dを流れる−3℃程度の一次冷媒は、上述したように、第12高圧管27lを流れる25℃程度の一次冷媒との間で熱交換を行うことで、22℃程度まで加熱され、過熱度がついた状態となる(点A)。
一次冷媒間熱交換器8内の第4低圧管20dを通過した一次冷媒は、過熱状態となって、低段側圧縮機21に吸入される。
ヒートポンプ回路10では、以上のようにして、一次冷媒が循環している。
<1−3>暖房回路60の運転
ラジエータ61が設置された空間を暖めるために、制御部11は、ラジエータ61に65℃程度の二次冷媒としての水が供給されるように、暖房ポンプ63、暖房混合弁64、暖房バイパス弁6等の制御を行っている。
以下、ヒートポンプ回路10が通常運転制御を行っている場合における暖房用の二次冷媒の温度分布状態について、1つの具体例を挙げつつ説明する。
暖房回路60では、通常運転制御時に、制御部11が、暖房バイパス路69における暖房用の二次冷媒の通過を禁止しつつ、上流往き管65aから下流往き管65bに向かう暖房用の二次冷媒の通過を許可するように、暖房バイパス弁6の状態を制御する。
ラジエータ61内を通過しながら放熱をした暖房用の二次冷媒としての水は、ラジエータ61の性能および暖房負荷の程度にもよるが、35℃程度の温度に下がって、暖房戻り管66を通じて、往きバイパスポイントTまで流れていく。
往きバイパスポイントTでは、暖房バイパス路69の通過が禁止されている状態なので、暖房用の二次冷媒の全ては、下流戻り管66bを通過して、暖房分岐ポイントXまで流れていく。
暖房分岐ポイントXでは、中間圧側分岐路67に向かう流れと、高圧側分岐路68側に向かう流れとに分けられる。
暖房分岐ポイントXから中間圧側分岐路67側に向けて流れた二次冷媒は、第1中間圧側分岐路67aを通じて、中間圧水熱交換器40内の第2中間圧側分岐路67bに流入していく。中間圧水熱交換器40内の第2中間圧側分岐路67bを流れる二次冷媒は、上述したように、第2中間圧管23bを通過する一次冷媒によって加熱されることで、30℃程度の二次冷媒の温度が65℃程度まで上げられる。なお、上述したように、中間圧水熱交換器40内での一次冷媒と二次冷媒とは対向流形式で流れているため、中間圧水熱交換器40内の第2中間圧側分岐路67bの出口近傍は、比較的高温である90℃程度の一次冷媒によって効率的に加熱される。そして、中間圧水熱交換器40内の第2中間圧側分岐路67bを通過して65℃程度まで暖められた二次冷媒は、第3中間圧側分岐路67cを通過して、暖房合流ポイントYまで流れていく。
暖房分岐ポイントXから高圧側分岐路68側に向けて流れた二次冷媒は、第1高圧側分岐路68aを通じて、第2高圧水熱交換器52内の第2高圧側分岐路68bに流入していく。第2高圧水熱交換器52内の第2高圧側分岐路68bを流れる二次冷媒は、上述したように、第4高圧管27dを通過する一次冷媒によって加熱されることで、30℃程度の二次冷媒の温度が65℃程度まで上げられる。なお、上述したように、第2高圧水熱交換器52内での一次冷媒と二次冷媒とは対向流形式で流れているため、第2高圧水熱交換器52内の第2高圧側分岐路68bの出口近傍は、比較的高温である85℃程度の一次冷媒によって効率的に加熱される。そして、第2高圧水熱交換器52内の第2高圧側分岐路68bを通過して65℃程度まで暖められた二次冷媒は、第3高圧側分岐路68cを通過して、暖房合流ポイントYまで流れていく。
暖房合流ポイントYでは、第3中間圧側分岐路67cを通過してきた二次冷媒と、第3高圧側分岐路68cを通過してきた二次冷媒と、が合流する。なお、制御部11が、暖房混合弁64における、中間圧側分岐路67側の弁開度と高圧側分岐路68側の弁開度とを調節することにより、中間圧側分岐路67側を流れる二次冷媒の流量と高圧側分岐路68側を流れる二次冷媒の流量とを調節することができる。これにより、制御部11は、暖房回路60を循環している二次冷媒が、中間圧水熱交換器40側で加熱される程度と、第2高圧水熱交換器52側で加熱される程度の比率を調節しつつ、暖房ポンプ63を通過する二次冷媒の流量を調節することで、暖房合流ポイントYにおいて合流した二次冷媒の温度をラジエータ61において要求される温度となるように制御することができる。
暖房混合弁64で合流された暖房用の二次冷媒は、上流往き管65aを通過して、暖房バイパス弁6まで流れていく。暖房バイパス路69は、暖房用の二次冷媒の通過が禁止されているため、暖房バイパス弁6において暖房バイパス路69を通過して流れてくる暖房用の二次冷媒の合流は無い。このため、暖房合流ポイントYで合流した暖房用の二次冷媒は、暖房合流ポイントYで合流した後の温度が変わることなく、下流往き管65bを通じて、ラジエータ61に向けて流れていく。
このようにして、暖房合流ポイントYにおいて合流した後の温度が65℃程度となっている二次冷媒が、下流暖房往き管65bを通じて、暖房ポンプ63によってラジエータ61まで供給される。暖房回路60では、以上のようにして二次冷媒が循環している。
なお、下流往き管65bを流れる暖房用の二次冷媒は、ラジエータ61に到達する前に、暖房タンク9内を通過する。こうして、中間圧水熱交換器40や第2高圧水熱交換器52において暖められた後に未だ一度もラジエータ61において放熱を行っていない暖房用の二次冷媒は、暖房タンク9内に溜まっていく。このようにして、暖房タンク9内には、通常運転制御においてラジエータ61で要求されている程度の温度の二次冷媒が溜まった状態となる。
<1−4>給湯回路90の運転
貯湯タンク91内に90℃程度のお湯を溜められるように、制御部11は、給湯ポンプ92の流量制御を行っている。
以下、ヒートポンプ回路10が通常運転制御を行っている場合における給湯用の水の温度分布状態について、1つの具体例を挙げつつ説明する。
市水が流入した貯湯タンク91の下方の比較的低温の水は、20℃程度の温度で給湯ヒートポンプ管95に向けて流れていく。
第1給湯ヒートポンプ管95aおよび第2給湯ヒートポンプ管95bを通過した20℃程度の給湯用の水は、第3高圧水熱交換器53内の第3給湯ヒートポンプ管95cに流入していく。第3高圧水熱交換器53内の第3給湯ヒートポンプ管95cを流れる給湯用の水は、上述したように、第3高圧水熱交換器53内の第6高圧管27fを通過する35℃程度の一次冷媒によって加熱されることで、20℃程度の給湯用の水の温度が30℃程度まで上げられる。なお、上述したように、第3高圧水熱交換器53内での一次冷媒と二次冷媒とは対向流形式で流れているため、第3高圧水熱交換器53内の第3給湯ヒートポンプ管95cの出口近傍は、比較的高温である35℃程度の一次冷媒によって効率的に加熱される。
第3高圧水熱交換器53において30℃程度に暖められた給湯用の水は、第4給湯ヒートポンプ管95dを通過して、第1高圧水熱交換器51内の第5給湯ヒートポンプ管95eに流入する。第1高圧水熱交換器51内の第5給湯ヒートポンプ管95eを流れる給湯用の水は、上述したように、第1高圧水熱交換器51内の第2高圧管27bを通過する90℃程度の一次冷媒によって加熱されることで、30℃程度の給湯用の水の温度が90℃程度まで上げられる。なお、上述したように、第1高圧水熱交換器51内での一次冷媒と二次冷媒とは対向流形式で流れているため、第1高圧水熱交換器51内の第5給湯ヒートポンプ管95eの出口近傍は、比較的高温である90℃程度の一次冷媒によって効率的に加熱される。
第1高圧水熱交換器51において90℃程度まで加熱された給湯用の水は、第6給湯ヒートポンプ管95fを通過して、貯湯タンク91の上方に流入する。
このようにして、給湯回路90を給湯用の水が循環することで、貯湯タンク91内に溜められている給湯用の水の温度を上げていくことができる。
<1−5>除霜運転
ヒートポンプシステム1では、上述の通常運転制御を行っている場合において、室外熱交換器4が一次冷媒の蒸発器として機能しており、一次冷媒の蒸発温度が0℃以下となる場合がある(上記温度分布の例では、−3℃)。
このように、室外熱交換器4を通過する一次冷媒の蒸発温度が0℃以下になると、室外熱交換器4を通過する空気中の水分が凍結した状態で、室外熱交換器4の外表面に付着してしまうことがある。このように、室外熱交換器4の外表面に霜が付着すると、熱交換有効面積が狭小化されてしまうため、熱交換効率が低下し、蒸発能力が低下してしまう。そこで、制御部11は、このように室外熱交換器4の外表面に霜が付着するような状況になると、この付着した霜を取り除く除霜運転制御を行う。
制御部11は、例えば、室外熱交換器4での蒸発温度が0℃以下となる状況で通常運転制御を所定時間以上続いた場合、もしくは、低段側圧縮機21が吸入する冷媒の過熱度が所定値よりも小さくなった場合等に、室外熱交換器4における蒸発能力が低下していると判断して、除霜運転制御を開始する。
除霜運転制御が開始された場合のヒートポンプ回路10については、制御部11は、一次バイパス膨張弁5bの弁開度を全閉にし、膨張弁5aの弁開度を前回にして、低段側圧縮機21および高段側圧縮機25を駆動させる。インジェクション回路70については、制御部11は、高段側圧縮機25の目標吐出温度を異常に上昇しない程度の温度範囲に維持できるように、インジェクション膨張弁73の弁開度を調節する。
また、除霜運転制御が開始された場合の暖房回路60については、制御部11は、暖房バイパス弁6の接続状態を制御して、暖房バイパス路69における暖房用の二次冷媒の通過は許容し、上流往き管65aから下流往き管65bに向かう流れを禁止する。そして、暖房ポンプ63については、制御部11は、除霜運転制御が開始される直前の通常運転制御における流量を超える流量となるように制御部11が制御する。
また、除霜運転制御が開始された場合の暖房回路60については、制御部11は、給湯ポンプ92の運転を止めて、給湯回路90を巡回する給湯用の水の流れを止める。
このように除霜運転制御が行われることにより、ヒートポンプ回路10においては、高段側圧縮機25から吐出された一次冷媒が、第1高圧水熱交換器51、第2高圧水熱交換器52および第3高圧水熱交換器53において冷却されることなく、エコノマイザ熱交換器7および一次冷媒間熱交換器8においてわずかに冷却されるだけで、高温状態をできるだけ維持した状態で、室外熱交換器4に供給される。これにより、通常運転制御において−3℃程度の冷たい一次冷媒が通過していた室外熱交換器4には、60℃程度の高温の一次冷媒が流れるようになる。そして、室外熱交換器4の外表面に付着していた霜は、この高温の一次冷媒によって溶かされ、室外熱交換器4の外表面の熱交換有効面積を回復させることができる。
なお、高段側圧縮機25を吐出した一次冷媒は、高圧水熱交換器50、エコノマイザ熱交換器および一次冷媒間熱交換器8を通過する際に、圧力損失が生じ、徐々に冷媒圧力が低下していく。また、室外熱交換器4では、外表面に付着した霜を溶かすために一次冷媒の熱が放出され、過熱度が小さくなってしまう。しかし、室外熱交換器4を通過した後の一次冷媒は、一次冷媒間熱交換器8内において第12高圧管27lを通過する未だ室外熱交換器4での放熱を行っていない高温の一次冷媒との熱交換を行うことで、暖められる。これにより、除霜運転制御時において低段側圧縮機21が吸入する一次冷媒に適度の過熱度を付けることができ、低段側圧縮機21における液圧縮の発生を抑制させることができている。
暖房回路60については、このように、室外熱交換器4に付着した霜を除去するためには、しばらくの間(例えば、所定時間として3分程度)、除霜運転制御を継続しなければならない。通常運転制御を行った後の暖房回路60には、高温の暖房用の二次冷媒が、暖房タンク9に蓄えられている。このため、暖房回路60においては、除霜運転制御が行われている間のラジエータ61への熱の供給を、暖房タンク9に蓄えられていた暖房用の二次冷媒が保持している熱量によって対応することができる。具体的には、制御部11が、暖房ポンプ63を駆動させることで、暖房タンク9に溜まっている高温の二次冷媒を、ラジエータ61まで供給する。そして、ラジエータ61では、暖房用の二次冷媒の放熱処理を行うことで、ラジエータ61が配置されている空間を暖める暖房処理を続ける。そして、ラジエータ61において放熱を行った暖房用の二次冷媒は、上流戻り管66aを通じて戻りバイパスポイントSまで流れる。戻りバイパスポイントSを通過した暖房用の二次冷媒は、暖房バイパス路69を通過して、往きバイパスポイントTまで流れる。往きバイパスポイントTまで流れた二次冷媒は、再び暖房ポンプ63によって吸い込まれて暖房タンク9に流れ込む。
<1−6>第1実施形態の特徴
(除霜運転制御に関する特徴)
第1実施形態のヒートポンプシステム1におけるヒートポンプ回路10では、暖房タンク9が設けられているため、中間圧水熱交換器40および第2高圧水熱交換器52において暖められており、未だラジエータ61において放熱を行っていない暖房用の二次冷媒を蓄えることができる。通常運転制御を行っている際に室外熱交換器4の外表面における霜の付着が発生するが、同時に、暖房タンク9に暖かい二次冷媒を蓄えていくことができる。このため、除霜運転制御を行う必要が生じた段階では、既に、暖房タンク9内には暖かい二次冷媒が蓄えられている。これにより、ヒートポンプ回路10において除霜を行うために、高段側圧縮機25から吐出された一次冷媒を高温のままで室外熱交換器4に供給するために、暖房用の二次冷媒を第2高圧水熱交換器52において暖めることができない状況になっても、暖房タンク9に蓄えられている暖房用の二次冷媒が保持している熱を用いてラジエータ61に対する熱量の供給を行うことができる。これにより、室外熱交換器4に付着した霜を除去する運転を行う最中であっても、ラジエータ61が配置されている空間の暖房を継続させることができる。
そして、除霜運転制御においては、制御部11は、暖房ポンプ63の流量を通常運転制御の場合と比較して増大させている。これにより、第2高圧水熱交換器52において一次冷媒からの熱を得られない状況となった場合であっても、ラジエータ61へ送り出す暖房用の二次冷媒の流量を増大させることで、暖房負荷に対応することができるようになる。
また、除霜運転制御時におけるヒートポンプ回路10では、インジェクション路70におけるインジェクション膨張弁73の弁開度を調節することで、インジェクション合流ポイントDを通過する一次冷媒の温度を低下させることができている。このため、暖房回路60において中間圧側分岐路67における暖房用の二次冷媒の通過量が途絶えているために、中間圧水熱交換器40における低段側圧縮機21の吐出冷媒の冷却効果が得られない場合であっても、高段側圧縮機25が吸入する一次冷媒の温度を低下させることができている。これにより、高段側圧縮機25から吐出される一次冷媒の温度が異常上昇することを抑制して、冷凍機油の劣化等を抑制することができている。
(その他の特徴)
第1実施形態のヒートポンプシステム1におけるヒートポンプ回路10では、多段圧縮形式が採用されており、中間圧水熱交換器40において一次冷媒を冷却することが可能であるため、単段冷凍サイクルと比較してヒートポンプ回路10の運転効率を良好にすることができる。
また、給湯用の水を要求される水温に上げるために必要な熱を高圧水熱交換器50を流れる一次冷媒から得た場合であっても、なお高圧水熱交換器50を流れる一次冷媒の温度が暖房用の二次冷媒を加熱できる温度範囲となっているため、ヒートポンプ回路10の運転効率を良好にすることができる範囲内において、高圧水熱交換器50の一部である第2高圧水熱交換器52を流れる一次冷媒の熱を暖房用の二次冷媒を加熱するために有効利用することができている。これにより、ヒートポンプ回路10の運転効率を良好にしつつ、高圧水熱交換器50を流れる一次冷媒の熱を有効利用することができている。
なお、例えば、低段側圧縮機21の吐出冷媒の目標温度を、ラジエータ61で必要とされている温度(例えば65℃)および給湯の目標温度(例えば90℃)のいずれにも満たない運転を行う場合には、仮に、中間圧水熱交換器40で暖房負荷に対応しつつ高圧水熱交換器50で給湯負荷に対応する等というように、熱交換器と負荷とを一対一に対応させてしまうと暖房負荷に対応しきれなくなる等、いずれかの負荷を処理しきれなくなってしまう。これに対して、第1実施形態のヒートポンプシステム1では、暖房負荷に対応するための暖房回路60は、中間圧水熱交換器40だけでなく第2高圧水熱交換器52からも熱を得ることができている。このため、仮に、低段側圧縮機21の吐出目標温度もしくは高段側圧縮機25の吐出目標温度のいずれかが、暖房負荷の要求温度(給湯負荷の要求温度よりも要求温度が低い)に対応できていない場合であっても、対応できている方の一次冷媒が流れている熱交換器により多くの暖房用の二次冷媒が流れていくように暖房混合弁64を制御部11が制御して、暖房負荷を処理することができる。
また、例えば、暖房用の二次冷媒もしくは給湯用の水を、中間圧水熱交換器40で暖めた後に高圧水熱交換器50でさらに暖めようとする場合には、高圧水熱交換器50に流入しようとする暖房用の二次冷媒もしくは給湯用の水はすでに暖められているため、高圧水熱交換器50を流れる一次冷媒の有する熱を十分に有効利用することができない。すなわち、モリエル線図上で一次冷媒の放熱工程におけるエンタルピ変化を十分にとることができない。同様に、暖房用の二次冷媒もしくは給湯用の水を、高圧水熱交換器50で暖めた後に中間圧水熱交換器40で暖めようとする場合には、中間圧水熱交換器40に流入しようとする暖房用の二次冷媒もしくは給湯用の水はすでに暖められているため、中間圧水熱交換器40を流れる一次冷媒の有する熱を十分に利用することができず、多段圧縮形式のヒートポンプ回路10の運転効率を向上させることが困難になる場合がある。これに対して、第1実施形態のヒートポンプシステム1では、ヒートポンプ回路10において、ラジエータ61において冷やされた二次冷媒を分割して、中間圧側分岐路67を通過させつつ中間圧水熱交換器40で行う加熱と、高圧側分岐路68を通過させつつ第2高圧水熱交換器52で行う加熱と、に分けており、ラジエータ61で冷やされた後であって未だ暖められていない状態の二次冷媒を中間圧水熱交換器40および第2高圧水熱交換器52に供給することができる。これにより、高段側圧縮機25が吸入する一次冷媒の冷却効果を向上させつつ、中間圧管23を流れる一次冷媒の熱を十分に有効利用することができている。
なお、ヒートポンプ回路10では、インジェクション路70が設けられているため、中間圧水熱交換器40を通過する一次冷媒の量よりも高圧水熱交換器50を通過する一次冷媒の方が流量が大きい。このため、低段側圧縮機21の目標吐出温度と高段側圧縮機25の目標吐出温度とを同等に制御した場合であっても、中間圧水熱交換器40において得られる熱量よりも高圧水熱交換器50において得られる熱量の方が多い。このヒートポンプシステム1では、このように高圧水熱交換器50側の方が得られる熱量が多いことを考慮して、給湯負荷および暖房負荷の両方に対応する熱交換器として中間圧水熱交換器40側ではなく高圧水熱交換器50を選定している。これにより、より効率的なヒートポンプシステム1を実現することができている。
<2>第2実施形態
第2実施形態のヒートポンプシステム201は、図4に示すように、第1実施形態のヒートポンプシステム1において一次バイパス80(第14高圧管27n、一次バイパス膨張弁5b、第6低圧管20f)が設けられることなく、循環する一次冷媒の全てが一次冷媒間熱交換器8を通過するシステムである。他の構成は上記第1実施形態における構成と同様であるため説明を省略する。
ヒートポンプ回路10を循環する一次冷媒の全てを一次冷媒間熱交換器8において熱交換させても能力および効率に問題が生じにくい使用環境の場合には、部品点数を削減ができるだけでなく、一次バイパス膨張弁5bの制御が不要になる。
<3>第3実施形態
第3実施形態のヒートポンプシステム301は、図5に示すように、中間圧管23に対する一次冷媒のインジェクションが行われず、中間圧管23を流れる一次冷媒の冷却は中間圧水熱交換器40において全て行われるシステムである。すなわち、第3実施形態のヒートポンプシステム301は、第1実施形態のヒートポンプシステム1において、エコノマイザ熱交換器7、インジェクション路70(インジェクション膨張弁73、第1インジェクション管72、第2インジェクション管74、第3インジェクション管75、第4インジェクション管76)、第8高圧管27h、第9高圧管27i、第10高圧管27j、第3中間圧管23c、および、第4中間圧管23dが設けられることなく、代わりに第33中間圧管323cおよび第38高圧管327hが設けられたシステムである。第33中間圧管323cは、中間圧水熱交換器40内の第2中間圧管23bと、高段側圧縮機25の吸入側とを接続している。第38高圧管327hは、第3高圧水熱交換器53内の第6高圧管27fと、第4高圧ポイントIとを接続している。他の構成は上記第1実施形態における構成と同様であるため説明を省略する。
このヒートポンプシステム301では、高段側圧縮機25が吸入する冷媒が湿り状態となってしまうほど冷却される状態を回避することができ、部品点数を少なく抑えて回路構成を単純化させることができる。
<4>第4実施形態
第4実施形態のヒートポンプシステム401は、図6に示すように、インジェクション路70側への分岐がエコノマイザ熱交換器7の下流側に配置されたシステムである。すなわち、第4実施形態のヒートポンプシステム401は、第1実施形態のヒートポンプシステム1において、第3高圧ポイントHの代わりに第43高圧ポイント4Hを、第7高圧管27gの代わりに第47高圧管427gを、第8高圧管27hの代わりに第48高圧管427hを、第9高圧管27iの代わりに第49高圧管427iを、第10高圧管27jの代わりに第410高圧管427jを、それぞれ設けたシステムである。第43高圧ポイント4Hは、ヒートポンプ回路10における一次冷媒の流れ方向において、エコノマイザ熱交換器7の下流側であって第4高圧ポイントIの上流側に設けられており、インジェクション路70が分岐している。第47高圧管427gは、第3高圧水熱交換器53内の第6高圧管27fと、エコノマイザ熱交換器7内の第48高圧管427hと、を接続している。第49高圧管427iは、エコノマイザ熱交換器7内の第48高圧管427hと、第43高圧ポイント4Hと、を接続している。第410高圧管427jは、第43高圧ポイント4Hと、第4高圧ポイントIと、を接続している。他の構成は上記第1実施形態における構成と同様であるため説明を省略する。
このヒートポンプシステム401では、第1実施形態のヒートポンプシステム1のインジェクション路70を流れる一次冷媒と比較して、インジェクション路70を流れる一次冷媒の温度をより低温にすることができるため、インジェクション合流ポイントDでの冷却効果を向上させることができる。
<5>第5実施形態
<5−1>
第5実施形態のヒートポンプシステム501は、図7に示すように、第1実施形態のヒートポンプシステム1において第3高圧水熱交換器53を取り除いたシステムである。すなわち、第5実施形態のヒートポンプシステム501は、第1実施形態のヒートポンプシステム1において、第2給湯ヒートポンプ管95b、第3給湯ヒートポンプ管95c、第4給湯ヒートポンプ管95dの代わりに第52給湯ヒートポンプ管595bを、第5高圧管27e、第6高圧管27f、第7高圧管27gの代わりに第55高圧管527eを、それぞれ設けたシステムである。ここでは、第1実施形態のヒートポンプシステム1において用いられている給湯中間温度センサ95Tが不要になっている。なお、第52給湯ヒートポンプ管595bは、給湯ポンプ92と、第1高圧水熱交換器51内の第5給湯ヒートポンプ管95eの給湯用の水の流れにおける上流側端部と、を接続している。第55高圧管527eは、第2高圧水熱交換器52内の第4高圧管27dの一次冷媒の流れ方向における下流側端部と、第3高圧ポイントHと、を接続している。他の構成は上記第1実施形態における構成と同様であるため説明を省略する。
このヒートポンプシステム501では、例えば、貯湯タンク91内に蓄えられている給湯用の水の温度が上昇しており、給湯入水温度センサ94Tが検知する給湯用の水の温度が、第2高圧水熱交換器52内の第4高圧管27dの出口を通過する一次冷媒の温度よりも高い場合であっても、第3高圧ポイントHに向かう一次冷媒を暖めてしまうことがなく、給湯用の水を冷やしてしまうことがない。このため、給湯負荷が小さい状況においても、効率の良い運転が可能となっている。
<5―2>第5実施形態の変形例
(A)
図8に示すように、上記第5実施形態のヒートポンプシステム501において、第4実施形態で説明したインジェクション路470を適用しつつ、第47高圧管427gの代わりに上述の第55高圧管527eを用いたヒートポンプシステム501Aとしてもよい。
この場合には、さらに第4実施形態のヒートポンプシステム401に類似した効果を得ることができる。
(B)
図9に示すように、上記第5実施形態のヒートポンプシステム501において、第3実施形態で説明したようにインジェクション路70を削除しつつ、上述の第55高圧管527eの接続先を第4高圧ポイントIとしたヒートポンプシステム501Bとしてもよい。
この場合には、さらに第3実施形態のヒートポンプシステム301に類似した効果を得ることができる。
(C)
図10に示すように、上記第5実施形態の変形例(B)のヒートポンプシステム501Bにおいて、第2実施形態で説明したように一次バイパス80を削除したヒートポンプシステム501Cとしてもよい。
この場合には、さらに第2実施形態のヒートポンプシステム201に類似した効果を得ることができる。
<6>第6実施形態
<6−1>
第6実施形態のヒートポンプシステム601は、図11に示すように、インジェクション路70を有していない第3実施形態のヒートポンプシステム301において、気液分離インジェクション路630を設けたシステムである。気液分離インジェクション路630は、分離前気液管631、気液分離器632、分離後液管633、分離後気管634、分離後気管開閉弁635、および、気液分離膨張弁605を有している。分離前気液管631は、第3低圧ポイントMから気液分離器632の上方の気相空間まで伸びている。気液分離器632は、分離前気液管631から流れ込んでくる一次冷媒を上方空間における気相領域と、下方空間における液相領域と、に分離する。分離後液管633は、気液分離器632の液相領域に存在している一次冷媒を気液分離膨張弁605まで導く。気液分離膨張弁605では、通過する一次冷媒の圧力をさらに下げる。分離後気管634は、気液分離器632の気相領域に存在している一次冷媒をインジェクション合流ポイントDまで導く。分離後気管開閉弁635は、分離後気管634における一次冷媒の通過を許可する状態もしくは許可しない状態とを切り換えることができる。他の構成は上記第1実施形態における構成と同様であるため説明を省略する。
このヒートポンプシステム601では、膨張弁5aおよび/または一次バイパス膨張弁5bにおける一次冷媒の減圧は、中間圧管23を流れる一次冷媒と同等の臨界圧力より低い圧力まで下げられることで、気液二相状態となる。このうち液状態の一次冷媒は、気液分離膨張弁605において低圧管20を流れる一次冷媒の圧力まで下げられる。そして、分離後気管634は気液分離器632の気相領域から伸びているため、分離後気管634には、液状態の一次冷媒が混ざり込みにくく、気体状態の一次冷媒が流れることになる。これにより、インジェクション合流ポイントDで中間圧管23を流れる一次冷媒と合流した後において、高段側圧縮機25が吸入する一次冷媒が湿り状態になりにくい。これにより、高段側圧縮機25が吸入する冷媒密度を高めて効率を上げつつ、高段側圧縮機25での液圧縮を防止することが可能になっている。なお、膨張弁5aにおける一次冷媒の減圧では、低圧管20を流れている一次冷媒の圧力まで下げられることなく、中間圧管23を流れている一次冷媒の圧力の程度までしか下げられないため、分離後気管634を流れる一次冷媒の温度が下がり過ぎることによって生じうる高段側圧縮機25の液圧縮の発生、を抑制することができるようになっている。
<6―2>第6実施形態の変形例
(A)
図12に示すように、上記第6実施形態のヒートポンプシステム601において、第5実施形態で説明したように第3高圧水熱交換器53を有していないヒートポンプシステム601Aとしてもよい。他の構成は上記第1実施形態における構成と同様であるため説明を省略する。
<7>第7実施形態
第7実施形態のヒートポンプシステム701は、図13に示すように、第1実施形態のヒートポンプシステム1においてインジェクション合流ポイントDの位置を、第1中間圧管23aの途中であるインジェクション合流ポイント7Dとしたシステムである。他の構成は上記第1実施形態における構成と同様であるため説明を省略する。
このヒートポンプシステム701では、例えば、高段側圧縮機25の吐出冷媒温度として目標温度が得られるように高段側圧縮機25の圧縮比が上げられつつこの高段側圧縮機25の圧縮比と同等の圧縮比で低段側圧縮機21を運転させて駆動効率を上げようとする場合に、低段側圧縮機21の吐出冷媒温度が、中間圧水熱交換器40において加熱される暖房用の二次冷媒にとって高すぎるようになる場合がある。このような場合であっても、インジェクション合流ポイント7Dを第1中間圧管23aの途中に設けることで、暖房用二次冷媒の温度の上がり過ぎを抑制することが可能になる。
<8>第8実施形態
第8実施形態のヒートポンプシステム801は、図14に示すように、第1実施形態のヒートポンプシステム1におけるエコノマイザ熱交換器7と一次冷媒間熱交換器8との順序を逆にしたシステムである。すなわち、第8実施形態のヒートポンプシステム801は、第1実施形態のヒートポンプシステム1における第3高圧ポイントHの代わりに第3低圧ポイントMの下流側における第83中間圧ポイント8Hを設け、この第83中間圧ポイント8Hからインジェクション路870を分岐させたシステムである。第810高圧管827jは、第3高圧水熱交換器53内の第6高圧管27fの下流側端部と、第4高圧ポイントIと、を接続している。第87高圧管827gは、第3低圧ポイントMと、第83中間圧ポイント8Hと、を接続している。第88高圧管827hは、第83中間圧ポイント8Hと、エコノマイザ熱交換器7内の第89高圧管827iの上流側端部と、を接続している。他の構成は上記第1実施形態における構成と同様であるため説明を省略する。
このヒートポンプシステム801では、一次冷媒間熱交換器8では、エコノマイザ熱交換器7で冷やされる前の比較的暖かい一次冷媒によって、低段側圧縮機21が吸入する一次冷媒を暖めることができる。これにより、低段側圧縮機21が吸入する一次冷媒の過熱度をより大きく上げることができるようになっている。
<9>第9実施形態
第9実施形態のヒートポンプシステム901は、図15に示すように、第1実施形態のヒートポンプシステム1における第2高圧水熱交換器52においても、給湯用の水を温めるようにしたシステムである。すなわち、第9実施形態のヒートポンプシステム901は、第1実施形態のヒートポンプシステム1における第4給湯ヒートポンプ管95dの代わりに、第95上流接続管995x、第95給湯ヒートポンプ管995d、および、第95下流接続管995yを、それぞれ設け、第95上流接続管995xを通過する給湯用の水の温度を検知する上流接続温度センサ95Txおよび第95下流接続管995yを通過する給湯用の水の温度を検知する下流接続温度センサ95Tyを設けたシステムである。他の構成は上記第1実施形態における構成と同様であるため説明を省略する。
このヒートポンプシステム901では、例えば、第2高圧水熱交換器52において、第4高圧管27dから放出される熱のうち第2高圧側分岐路68bを流れる暖房用の二次冷媒が吸収しきれない熱を、第95給湯ヒートポンプ管995dを流れる給湯用の水が吸収することができるため、第4高圧管27dから放出される熱のロスを小さく抑えて有効利用することができる。また、一次冷媒の有する熱を暖房用の二次冷媒と給湯用の水との両方が同時に受け取る部分が設けられることになるため、給湯用の水を要求される水温まで加熱するのに必要な熱交換器の大きさをコンパクトにすることができる。
<10>第10実施形態
第10実施形態のヒートポンプシステム1xは、図16に示すように、第1実施形態のヒートポンプシステム1において暖房回路60の暖房用二次冷媒の流れ方を中間圧水熱交換器40と第2高圧水熱交換器52とで直列にしたシステムである。すなわち、第10実施形態のヒートポンプシステム1xは、第1実施形態のヒートポンプシステム1において、第3中間圧側分岐路67cおよび第1高圧側分岐路68aの代わりに中高圧連絡路678を設けたシステムである。中高圧連絡路678は、中間圧水熱交換器40内の第2中間圧管23bの下流側端部と、第2高圧水熱交換器52内の第2高圧側分岐路68bの下流側端部と、を接続している。他の構成は上記第1実施形態における構成と同様であるため説明を省略する。このヒートポンプシステム1xでは、上記第1実施形態の暖房合流ポイントYで合流に設けられていた暖房混合弁64、および、上流往き管65aを無くすることができている。
このヒートポンプシステム1xでは、例えば、制御部11が、中間圧水熱交換器40を通過する一次冷媒の温度よりも第2高圧水熱交換器52を通過する一次冷媒の方が高温になるようにヒートポンプ回路10を運転制御している場合には、暖房用の二次冷媒を、中間圧水熱交換器40から第2高圧水熱交換器52の順に徐々に暖めていくことができる。これにより、加熱効率を向上させつつ、中間圧水熱交換器40および第2高圧水熱交換器52において一次冷媒からの熱を効率的に得ることができる。
この場合には、制御部11は、中間圧側分岐温度センサ67Tが検知する暖房用の二次冷媒の温度が、第2高圧水熱交換器52内の第4高圧管27dを通過する一次冷媒の温度よりも低くなるように暖房ポンプ63の流量を制御するようにしてもよい。これにより、第2高圧水熱交換器52内の第4高圧管27dを通過する一次冷媒を、暖房用の二次冷媒の熱で加熱してしまうことを抑制することができ、効率を上げることができる。
<11>第11実施形態
<11−1>
第11実施形態のヒートポンプシステム2xは、図17に示すように、第1実施形態のヒートポンプシステム1において給湯回路90を流れる給湯用の水についても、暖房用の二次冷媒と同様に、高圧水熱交換器50側だけでなく中間圧水熱交換器40においても一次冷媒との間で熱交換を行うようにしたシステムである。すなわち、第11実施形態のヒートポンプシステム2xは、中間圧水熱交換器40を通過した一次冷媒と給湯用の水との間で熱交換を行わせる第2中間圧水熱交換器153を備えている。第2分岐給湯ヒートポンプ管195bは、第2給湯ヒートポンプ管95bの途中で分岐した後に、第2中間圧水熱交換器153の下流側端部まで伸びている。第2中間圧水熱交換器153では、第2分岐給湯ヒートポンプ管195bを介して第3分岐給湯ヒートポンプ管195cに流入する給湯用の水と、中間圧水熱交換器40を通過した後に第3中間圧管23cの一部である第11中間圧管123cに流入する一次冷媒と、の間で熱交換を行わせる。第2中間圧水熱交換器153内の第3分岐給湯ヒートポンプ管195cを通過した給湯用の水は、第4分岐給湯ヒートポンプ管195dを通じて、分岐給湯混合弁193まで流れ、第4給湯ヒートポンプ管95dを通過してきた給湯用の水と合流する。分岐給湯混合弁193において合流した給湯用の水は、合流給湯連絡管196を通じて、第1高圧水熱交換器51内の第5給湯ヒートポンプ管95eに流入する。他の構成は上記第1実施形態における構成と同様であるため説明を省略する。
このヒートポンプシステム2xでは、例えば、貯湯タンク91からヒートポンプ回路10側に流れ出る給湯用の水の温度が、市水の温度である常温に近い状態である場合には、中間圧水熱交換器40内の第2中間圧管23bを通過しながら冷却された後の一次冷媒であっても、高段側圧縮機25で液圧縮が生じない範囲で、さらに冷却したほうが効率が上がる場合がある。このような場合には、第11実施形態のヒートポンプシステム2xでは、給湯用の冷たい水を、高圧水熱交換器50側だけでなく、中間圧水熱交換器40の下流側と高段側圧縮機25の吸入側との間を流れる一次冷媒の熱を利用して加熱することができる。
また、このヒートポンプシステム2xであっても、例えば、暖房負荷が低減して暖房タンク9内における暖房用の二次冷媒の温度も十分に上昇している状況では、中間圧水熱交換器40を流れる一次冷媒を、暖房用の二次冷媒だけでは効果的に冷却することができない場合がある。これに対して、このヒートポンプシステム2xでは、インジェクション回路70を介して合流される一次冷媒によって高段側圧縮機25が吸入する一次冷媒を冷却させることができるだけでなく、第2中間圧水熱交換器153において給湯用の水によって一次冷媒を冷却させることもできる。これにより、暖房負荷が減少して暖房タンク9内における暖房用の二次冷媒の温度も十分に上昇している状況になった場合であっても、ヒートポンプ回路10のサイクル効率を向上させることができる。
<11―2>第11実施形態の変形例
(A)
上記第11実施形態のヒートポンプシステム2xでは、低段側圧縮機21から高段側圧縮機25に向けて一次冷媒が流れている中間圧管23において、暖房用の二次冷媒との間での熱交換(中間圧水熱交換器40)だけでなく、給湯用の水との間での熱交換(第2中間圧水熱交換器153)を行う場合について、例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で、以下のような熱交換が可能なヒートポンプシステムであってもよい。
例えば、低段側圧縮機21から高段側圧縮機25に向けて一次冷媒が流れている中間圧管23において、第1実施形態の高圧水熱交換器50における一次冷媒と暖房用の二次冷媒と給湯用の水との間での熱交換のように、3カ所で熱交換を行うことができるようにしてもよい。この場合においても、高圧水熱交換器50と同様に、給湯用の水と中間圧管23を流れる一次冷媒との熱交換は、暖房用の二次冷媒と一次冷媒との熱交換が行われている上流側と下流側との2カ所に別れて行われるようにすることが好ましい。
(B)
また、給湯用の水については、高圧水熱交換器50における一次冷媒との熱交換を行わせることなく、低段側圧縮機21から高段側圧縮機25に向けて一次冷媒が流れている中間圧管23において熱交換を行うようにしてもよい。
<12>第12実施形態
第12実施形態のヒートポンプシステム3xは、図18に示すように、第1実施形態のヒートポンプシステム1において、エコノマイザ熱交換器7および第3高圧ポイントHが、第3低圧ポイントと、一次冷媒間熱交換器8に向かう流れと一次バイパス80に向かう流れとで分岐する部分と、によって挟まれるように構成されたシステムである。すなわち、第12実施形態のヒートポンプシステム3xは、第1実施形態のヒートポンプシステム1における第4高圧ポイントIが変更され、第3高圧ポイントHの上流側であって第3高圧水熱交換器53よりも下流側の第12高圧ポイント12Iとなっている、第12一次バイパス80xおよび第12インジェクション路70xを備えたシステムである。第7高圧管127gは、第3高圧水熱交換器53内の第6高圧管27fの下流側端部と、第12高圧ポイント12Iと、を接続している。バイパス上流エコノマイザ高圧管127nは、第12高圧ポイント12Iと、第3高圧ポイントHと、を接続している。バイパス下流エコノマイザ高圧管127jは、エコノマイザ熱交換器7内の第9高圧管27iの下流側端部と、一次バイパス膨張弁5bと、の間を接続している。他の構成は上記第1実施形態における構成と同様であるため説明を省略する。
このヒートポンプシステム3xでは、例えば、膨張弁5aに向かう一次冷媒を、エコノマイザ熱交換器7によって冷却させる流路と、一次冷媒間熱交換器8によって冷却させる流路と、に別れているため、どちらでどれだけ一次冷媒を冷却させるかを調節することができるようになる。また、一次冷媒間熱交換器8内の第4低圧管20dを通過する一次冷媒の加熱を、エコノマイザ熱交換器7において未だ冷却されていないことで高温状態を維持している一次冷媒によって加熱することができるため、除霜運転制御を行う際における低段側圧縮機21での液圧縮の発生をより確実に防止することができるようになる。
<13>第13実施形態
第13実施形態のヒートポンプシステム4xは、図19に示すように、第1実施形態のヒートポンプシステム1において、暖房回路60における往きバイパスポイントTが、暖房合流ポイントYと重なる位置に設けられ、この重なった暖房合流ポイントYの位置に三方混合弁164が設けられ、三方混合弁164と暖房ポンプ63とが三方往き管165によって接続されるように構成されたシステムである。他の構成は上記第1実施形態における構成と同様であるため説明を省略する。なお、このヒートポンプシステム4xでは、暖房バイパス弁6および暖房往き管65が不要になっている。
このように、第13実施形態のヒートポンプシステム4xでは、部品点数を削減させつつ、第1実施形態のヒートポンプシステム1と同様の効果を得ることができている。
<14>第14実施形態
第14実施形態のヒートポンプシステム5xは、図20に示すように、第1実施形態のヒートポンプシステム1において、中間圧側分岐路67および中間圧水熱交換器40を削除するようにして構成されたシステムである。
このヒートポンプシステム5xであっても、通常運転制御において、インジェクション回路70を介して流れてくる一次冷媒によって、高段側圧縮機25が吸入する一次冷媒を冷却させることで効率を上げつつ、暖房タンク9において蓄熱処理を行うことが可能になる。
<15>第15実施形態
第15実施形態のヒートポンプシステム6xは、図21に示すように、第1実施形態のヒートポンプシステム1において、給湯回路90を取り除くようにして構成されたシステムである。すなわち、第15実施形態のヒートポンプシステム6xは、第1実施形態のヒートポンプシステム1における第1高圧水熱交換器51と第3高圧水熱交換器53と給湯回路90とを取り除き、第1高圧管27aと第2高圧管27bと第3高圧管27cの代わりに第15上流高圧管127aを設け、第5高圧管27eと第6高圧管27fと第7高圧管27gの代わりに第15下流高圧管127eを設けシステムである。第15上流高圧管127aは、高段側圧縮機25の吐出側と、第2高圧水熱交換器52内の第4高圧管27dの上流側端部と、を接続している。第15下流高圧管127eは、第2高圧水熱交換器52内の第4高圧管27dの下流側端部と、第3高圧ポイントHと、を接続している。他の構成は上記第1実施形態における構成と同様であるため説明を省略する。
このヒートポンプシステム6xでは、給湯回路90が設けられていない場合であっても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<16>上記各実施形態について適用可能な変形例の例
上記第1実施形態から第15実施形態において各ヒートポンプシステムを具体的に説明した。しかし、本発明は、これに限られるものではく、発明の要旨を変更しない範囲で、各実施形態のヒートポンプシステムを以下に述べるような形態としたものも、本発明に含まれる。
<16−1>
上記各実施形態では、一次冷媒として二酸化炭素を用いた場合について例に挙げて説明した。
しかし、上記いずれの実施形態においても、一次冷媒として、二酸化炭素以外の冷媒であるエチレン、エタンや酸化窒素等を採用してもよい。この場合、採用された冷媒としては、高段側圧縮機25の吐出冷媒圧力が超臨圧力を超えて用いられ、かつ、各圧縮機の駆動力を小さく抑えることができる冷媒が好ましい。
<16−2>
上記各実施形態では、暖房回路60においては、二次冷媒としての水が循環する場合について例に挙げて説明した。
しかし、上記いずれの実施形態においても、二次冷媒としては、水に限られず、他の熱媒体としてブライン等を用いてもよい。
<16−3>
上記各実施形態では、低段側圧縮機21と高段側圧縮機25とがそれぞれ設けられている場合について例に挙げて説明した。
しかし、上記いずれの実施形態においても、低段側圧縮機21と高段側圧縮機25とにおいて共通の駆動軸が採用されている、いわゆる一軸二段、もしくは、一軸多段タイプの圧縮機構が設けられていてもよい。この場合には、各圧縮機構において180度の位相差を設けることで、駆動効率を上げることが可能になる。
<16−4>
上記各実施形態では、低段側圧縮機21と高段側圧縮機25とが直列に接続された場合について例に挙げて説明した。
しかし、上記いずれの実施形態においても、3つ以上の圧縮機構が直列に接続された形態を用いてもよい。その場合には、各圧縮機構の間を流れる一次冷媒の熱を用いて熱負荷処理を行うようにしてもよい。
また、圧縮機構は、2つ以上の直列接続回路が設けられていれば、さらに他の圧縮機構を並列もしくは直列に設けてもよい。
<16−5>
上記各実施形態では、暖房回路60について除霜運転制御を行う際には、中間圧側分岐路67および高圧側分岐路68に暖房用の二次冷媒を流さない場合について例に挙げて説明した。
しかし、中間圧側分岐路67および高圧側分岐路68の少なくともいずれか一方において、通常運転制御時の流量よりも少ない流量で、暖房用の二次冷媒を流すように、制御部11が暖房バイパス弁6や暖房ポンプ63を制御するようにしてもよい。
また、同様に、給湯ヒートポンプ管95についても、通常運転制御時の流量よりも少ない流量で、給湯用の水を流すように、制御部11が給湯ポンプ92を制御するようにしてもよい。
これにより、除霜運転制御時における室外熱交換器4に到達した時点での一次冷媒の温度は、中間圧水熱交換器40や第2高圧水熱交換器52における暖房用の二次冷媒との熱交換によって一次冷媒との熱交換によって、多少低下するため、除霜効果についても多少低下する。しかし、除霜運転制御時において、中間圧側分岐路67と高圧側分岐路68とにおける二次冷媒の流れ、および、給湯ヒートポンプ管95内における給湯用の水の流れを作ることによって、高温の一次冷媒が一カ所に滞留し続けている暖房用の二次冷媒や給湯用の水を加熱し続けることを抑制することができる。これにより、暖房用の二次冷媒や給湯用の水が沸騰してしまうことを抑制することができ、ヒートポンプシステムとしての信頼性を向上させることができる。
なお、本変形例において、高圧側分岐路68や給湯ヒートポンプ管95を通過する流体の流量よりも、中間圧側分岐路67を通過する流体の流量の方が大きくなるように制御部11が暖房混合弁64や給湯ポンプ92の制御を行ってもよい。これにより、除霜運転制御時においても、中間圧側分岐路67を流れる暖房用の二次冷媒は、中間圧水熱交換器40を流れる一次冷媒から積極的に熱を得ることができて暖房負荷に対応しやすくなるだけでなく、ヒートポンプ回路10においても高段側圧縮機25が吸入する冷媒密度を上げることができるため効率が向上する。
<16−6>
上記各実施形態では、暖房バイパス弁6については、制御部11が暖房バイパス路69に二次冷媒を流す場合と流さない場合との2つを切り換える場合について例に挙げて説明した。
しかし、上記いずれの実施形態においても、制御部11は、暖房バイパス弁6において、暖房バイパス路69側を流れてくるラジエータ61で放熱した後の冷たい暖房用の二次冷媒と、上流往き管65aを流れてくる中間圧側分岐路67および高圧側分岐路68で暖められた暖房用の二次冷媒と、の混合比率を調節するようにしてもよい。なお、制御部11は、この暖房バイパス弁6における混合比率の調整によって、ラジエータ61側に送る暖房用の二次冷媒の温度や、暖房タンク9に溜める暖房用の二次冷媒の温度を調節するようにしてもよい。
<16−7>
上記各実施形態では、通常運転制御においては一次バイパス膨張弁5bの弁開度を調節して一次冷媒間熱交換器8における熱交換量を調節し、除霜運転制御時においては膨張弁5aの開度を全開にして一次バイパス膨張弁5bを全閉させる場合について例に挙げて説明した。
しかし、上記いずれの実施形態においても、通常運転制御における制御は上記実施形態と同様にしつつ、除霜運転制御時においては一次バイパス膨張弁5bを、全開まで上げることなく、通常運転制御時における弁開度よりは広げるという程度に制御してもよい。また、一次バイパス膨張弁5bの弁開度については、除霜運転制御時において低段側圧縮機21が吸入する一次冷媒の過熱度が十分に高ければ、一次バイパス膨張弁5bの弁開度を上げるように制御部11が制御することで、一次冷媒間熱交換器8内の第12高圧管27lを通過する際の一次冷媒の放熱を抑えて、一次バイパス80を通過させることで、除霜効率を上げるようにしてもよい。
<16−8>
上記各実施形態では、暖房回路60の中間圧側分岐路67および高圧側分岐路68から流れてきて合流した後の二次冷媒の温度や、暖房バイパス弁6で合流された後の二次冷媒の温度によって、ラジエータ61における放熱処理を行う場合について例に挙げて説明した。
しかし、上記いずれの実施形態においても、ヒートポンプ回路10におけるサイクル効率の好適化を、ラジエータ61において要求される熱量の供給よりも、絶対的に優先するようにしてもよい。この場合において、ヒートポンプ回路10のサイクル効率を良好に維持するためにラジエータ61への熱量の供給が不足する場合が生じうる。この場合には、図22に示すように、暖房回路60の第3高圧側分岐路68cを含む下流側もしくは第3中間圧側分岐路67cを含む下流側からラジエータ61までの間において、暖房タンク9に溜まっている暖房用の二次冷媒を加熱するための外部熱源部60Aを備えたヒートポンプシステム7xとしてもよい。この場合には、室外熱交換器4の設置されている環境の変化や暖房負荷の変化もしくは給湯負荷の変化が生じることでヒートポンプ回路10のサイクル効率を良好に維持するために暖房負荷に対応できなくなる状況が生じた場合であっても、ヒートポンプ回路10のサイクル効率を良好に維持したままで、暖房負荷に対応することができるようになる。このような外部熱源部60Aを、暖房負荷に対する補助熱源として利用することで、除霜運転制御時における暖房負荷に対しても、通常運転制御時において暖房タンク9で蓄熱された熱量と外部熱源部60Aから得られる熱量とを用いて、容易に対応することができるようになる。また、この外部熱源部60Aと同様の熱供給部を、給湯回路90にのみ設けてもよいし、暖房回路60および給湯回路90の両方に設けてもよい。
また、ヒートポンプ回路10のサイクル効率を良好に維持するためにラジエータ61への熱量の供給が過剰となる場合が生じうる。この場合には、図23に示すように、暖房回路60の第3高圧側分岐路68cを含む下流側もしくは第3中間圧側分岐路67cを含む下流側からラジエータ61までの間において、通過する暖房用の二次冷媒を冷却するための外部冷却源部60Bを備えたヒートポンプシステム8xとしてもよい。この外部冷却源部60Bとしては、例えば、外部の常温の市水が流れている給水管94の一部を給水分岐弁94Bおよび給水分岐路194によってバイパスさせて、常温の市水と、暖房タンク9に蓄えられている暖房用の二次冷媒と、の間で熱交換を行わせることによって暖房タンク9内に溜められている暖房用の二次冷媒の冷却を行うようにしてもよい。
この場合には、室外熱交換器4の設置されている環境の変化や暖房負荷の変化もしくは給湯負荷の変化が生じることでヒートポンプ回路10のサイクル効率を良好に維持するために暖房負荷に対応できなくなる状況が生じた場合であっても、ヒートポンプ回路10のサイクル効率を良好に維持したままで、暖房負荷に対応することができるようになる。
なお、給水分岐弁94Bを用いた場合には、暖房回路60の二次冷媒に対してヒートポンプ回路10が与えすぎた熱を、給水用の熱として回収することで、ヒートポンプシステムとしての効率を上げることもできる。このような外部冷却源部60Bを、通常運転制御においては暖房負荷に対する補助冷却熱源として利用しつつ、除霜運転制御時においては外部冷却源部60Bに供給される給湯用の水の流れを停止させて通常運転制御時において暖房タンク9で蓄熱された熱量によって暖房負荷を処理するようにしてもよい。また、この外部冷却源部60Bと同様の熱供給部を、給湯回路90にのみ設けてもよいし、暖房回路60および給湯回路90の両方に設けてもよい。
本発明の冷凍装置は、一次冷媒が循環する回路から二次冷媒が循環する回路への熱の供給が低下することがあっても、二次冷媒が循環する回路による熱負荷処理を継続的に行うことが可能になるため、ヒートポンプ回路を用いて熱負荷を処理するにヒートポンプシステムに適用した場合に特に有用である。
1 ヒートポンプシステム
4 室外熱交換器
4f ファン
5a 膨張弁
5b 一次バイパス膨張弁
6 暖房バイパス弁(第1流体バイパス流量調節機構)
7 エコノマイザ熱交換器
8 一次冷媒間熱交換器
9 暖房タンク(第1流体タンク)
11 制御部
10 ヒートポンプ回路
20 低圧管
20a〜f 第1〜6低圧管
20P 低圧圧力センサ
20T 低圧温度センサ
21 低段側圧縮機
23 中間圧管
23a〜d 第1〜4中間圧管
23P 中間圧圧力センサ
23T 中間圧温度センサ
24T 高段吸入温度センサ
25 高段側圧縮機
27 高圧管
27a〜n 第1〜14高圧管
27P 高圧圧力センサ
27T 高圧温度センサ
40 中間圧水熱交換器(冷媒流体間熱交換器、第1熱交換器)
50 高圧水熱交換器(冷媒流体間熱交換器、第2熱交換器)
51 第1高圧水熱交換器(第3熱交換器)
52 第2高圧水熱交換器(第2熱交換器)
53 第3高圧水熱交換器
60 暖房回路(第1熱負荷回路)
61 ラジエータ(第1熱負荷処理部)
61T ラジエータ温度センサ
62 分流機構(第1流体バイパス流量調節機構)
63 暖房ポンプ(第1流体バイパス流量調節機構)
64 暖房混合弁(第1流体バイパス流量調節機構)
65 暖房往き管
66 暖房戻り管
67 中間圧側分岐路
65T 暖房往き温度センサ
66T 暖房戻り温度センサ
67T 中間圧側分岐路温度センサ
67a〜c 第1〜3中間圧側分岐路
68 高圧側分岐路
68T 高圧側分岐路温度センサ
69 暖房バイパス路(第1流体バイパス路)
70 インジェクション路
72〜76 第1〜第4インジェクション管
73 インジェクション膨張弁
80 一次バイパス
90 給湯回路(第2熱負荷回路)
91 貯湯タンク(第2熱負荷処理部)
92 給湯ポンプ(第2流体流量調節機構)
93 給湯混合弁
94 給水管
94T 給湯入水温度センサ
95 給湯ヒートポンプ管
95a〜f 第1〜6給湯ヒートポンプ管
95T 給湯中間温度センサ
98 給湯管
98T 給湯出湯温度センサ
99 給湯バイパス管
A 吸入ポイント
B 低段吐出ポイント
C 中間圧水熱交換器通過ポイント
D インジェクション合流ポイント
E 高段吐出ポイント
F 第1高圧ポイント
G 第2高圧ポイント
H 第3高圧ポイント
I 第4高圧ポイント
J 第5高圧ポイント
K 第1低圧ポイント
L 第2低圧ポイント
M 第3低圧ポイント
N 第4低圧ポイント
Q インジェクション中間圧ポイント
R エコノマイザ熱交後ポイント
S 戻りバイパスポイント(第1部分)
T 往きバイパスポイント(第2部分)
X 暖房分岐ポイント
Y 暖房合流ポイント
W 給水分岐ポイント
Z 給湯合流ポイント
特開2007−163071号公報

Claims (19)

  1. 少なくとも圧縮機構(21、25)、膨張機構(5a、5b)、および、室外熱交換器(4)を有しており、一次冷媒が循環するヒートポンプ回路(10)と、
    第1熱負荷処理部(61)を有しており、第1流体が循環する第1熱負荷回路(60)と、
    前記圧縮機構(21、25)から吐出される前記一次冷媒と、前記第1流体と、の間で熱交換を行わせる冷媒流体間熱交換器(40、50)と、
    前記第1熱負荷回路(60)のうち前記第1熱負荷処理部(61)から前記冷媒流体間熱交換器(40、50)に向けて前記第1流体が流れている部分である第1部分(S)と、前記第1熱負荷回路(60)のうち前記冷媒流体間熱交換器(40、50)から前記第1熱負荷処理部(61)に向けて前記第1流体が流れている部分である第2部分(T)と、を接続する第1流体バイパス路(69)と、
    前記第1流体バイパス路(69)を通過する前記第1流体の流量を調節可能な第1流体バイパス流量調節機構(62、63、64、6)と、
    前記第2部分(T)から前記第1熱負荷処理部(61)に向かう前記第1流体の少なくとも一部を溜めることが可能な第1流体タンク(9)と、
    前記第1流体バイパス流量調節機構(62、63、64、6)を用いて、前記第1流体バイパス路(69)を通過する前記第1流体の流量が所定条件を満たしている低バイパス状態にすることと、前記第1流体バイパス路(69)を通過する前記第1流体の流量が前記低バイパス状態における流量よりも多い高バイパス状態にすることが可能な制御部(11)と、
    を備えたヒートポンプシステム(1)。
  2. 前記制御部(11)は、前記膨張機構(5a、5b)の弁開度を上げる際に、前記低バイパス状態から前記高バイパス状態に切り換える、除霜運転制御を行う、
    請求項1に記載のヒートポンプシステム(1)。
  3. 前記第1熱負荷処理部(61)は、配置されている対象空間の空気を暖める暖房用熱交換器(61)であり、
    前記第1流体は、二次冷媒である、
    請求項2に記載のヒートポンプシステム(1)。
  4. 前記制御部(11)は、前記除霜運転制御では、前記膨張機構(5a、5b)の弁開度を所定最大開度まで上げる、
    請求項2または3に記載のヒートポンプシステム(1)。
  5. 前記ヒートポンプ回路(10)は、前記膨張機構(5a、5b)に向かう前記一次冷媒と、前記室外熱交換器(4)を通過して前記圧縮機構(21)の吸入側に向かう前記一次冷媒と、の間で熱交換を行わせる一次冷媒間熱交換器(8)をさらに有している、
    請求項2から4のいずれか1項に記載のヒートポンプシステム(1)。
  6. 前記ヒートポンプ回路(10)は、前記一次冷媒間熱交換器(8)をバイパスするバイパス路(80、27n、20f)をさらに有している、
    請求項5に記載のヒートポンプシステム(1)。
  7. 前記ヒートポンプ回路(10)は、前記バイパス路(80、27n、20f)は、通過する前記一次冷媒の量を調節可能なバイパス流量調節弁(5b)をさらに有している、
    請求項6に記載のヒートポンプシステム(1)。
  8. 前記制御部(11)は、前記除霜運転制御を開始する時に、前記バイパス流量調整弁(5b)の弁開度を狭める制御を行う、
    請求項7に記載のヒートポンプシステム(1)。
  9. 前記制御部(11)は、前記高バイパス状態であっても、前記冷媒流体間熱交換器(40、50)を通過する前記第1流体の流量が0にならないように前記第1流体バイパス流量調節機構(62、63、64、6)を制御する、
    請求項1から8のいずれか1項に記載のヒートポンプシステム(1)。
  10. 前記圧縮機構(21、25)は、低段側圧縮機構(21)および高段側圧縮機構(25)を有しており、
    前記第1熱負荷回路(60)は、第1分岐部分(X)、第2分岐部分(Y)、前記第1分岐部分(X)と前記第2分岐部分(Y)とを接続する第1分岐路(67)、前記第1分岐路(67)と合流することなく前記第1分岐部分(X)と前記第2分岐部分(Y)とを接続する第2分岐路(68)を有しており、
    前記第1部分(S)は、前記第1分岐部分(X)を含む前記第1分岐部分(X)と前記第1熱負荷処理部(61)との間に設けられており、
    前記第2部分(T)は、前記第2分岐部分(Y)を含む前記第2分岐部分(Y)と前記第1熱負荷処理部(61)との間に設けられており、
    前記冷媒流体間熱交換器(40、50)は、少なくとも前記低段側圧縮機構(21)の吐出側から前記高段側圧縮機構(25)の吸入側に向けて流れる前記一次冷媒と前記第1分岐路(67)を流れる前記第1流体との間で熱交換を行わせる第1熱交換器(40)、および、少なくとも前記高段側圧縮機構(25)から前記膨張機構(5a、5b)に向けて流れる前記一次冷媒と前記第2分岐路(68)を流れる前記第1流体との間で熱交換を行わせる第2熱交換器(50)を有しており、
    前記制御部(11)は、
    前記低バイパス状態では、前記第1分岐路(67)および前記第2分岐路(68)のいずれにも前記第1流体を流すように前記第1流体バイパス流量調節機構(62、63、64、6)を制御し、
    前記高バイパス状態では、前記第2分岐路(68)を流れる前記第1流体の流量を、前記低バイパス状態における前記第2分岐路(68)を流れる前記第1流体の流量よりも下げるように、若しくは、前記第2分岐路(68)を流れる前記第1流体の流量が0になるように、前記第1流体バイパス流量調節機構(62、63、64、6)を制御する、
    請求項1から9のいずれか1項に記載のヒートポンプシステム(1)。
  11. 前記制御部(11)は、前記高バイパス状態において前記第1分岐路(67)を流れている前記第1流体の流量を、前記低バイパス状態において前記第1分岐路(67)を流れている前記第1流体の流量以上の流量となるように、前記第1流体バイパス流量調節機構(62、63、64、6)を制御する、
    請求項10に記載のヒートポンプシステム(1)。
  12. 前記第2部分(T)は、前記第2分岐部分(Y)であり、
    前記第1流体バイパス路(69)は、前記第1分岐部分(X)と前記第2分岐部分(Y)とを接続しており、
    前記第1流体バイパス流量調節機構(164)は、前記第1流体バイパス路(69)、前記第1分岐路(67)および前記第2分岐路(68)を通過する前記第1流体の流量比率を調節可能である、
    請求項10または11に記載のヒートポンプシステム(4x)。
  13. 前記第2熱負荷処理部(91)を有しており、第2流体が循環する第2熱負荷回路(90)と、
    前記第2流体と、前記高段側圧縮機構(25)から前記第2熱交換器(52)に向かう途中の前記一次冷媒と、の間で熱交換を行わせる第3熱交換器(51)と、
    をさらに備えた、
    請求項10から12のいずれか1項に記載のヒートポンプシステム(1)。
  14. 前記第2流体は、水であり、
    前記第2熱負荷処理部(91)は、給湯用のタンクである、
    請求項13に記載のヒートポンプシステム(1)。
  15. 前記第2熱負荷回路(90)は、循環する前記第2流体の流量を調節可能な第2流体流量調節機構(92)を有しており、
    前記制御部(11)は、前記高バイパス状態において前記第2熱負荷回路(90)を流れている前記第2流体の流量を、前記低バイパス状態において前記第2熱負荷回路(90)を流れている前記第2流体の流量より少ない流量となるように、前記第2流体バイパス流量調節機構(92)を制御する、
    請求項13または14に記載のヒートポンプシステム(1)。
  16. 前記圧縮機構(21、25)は、低段側圧縮機構(21)および高段側圧縮機構(25)を有しており、
    前記ヒートポンプ回路(10)は、前記膨張機構(5)に向かう前記一次冷媒の一部を分岐させるインジェクション分岐部分(H)と、前記インジェクション分岐部分(H)を前記低段側圧縮機構(21)と前記高段側圧縮機構(25)との間に接続するインジェクション路(70)と、前記インジェクション分岐部分(H)から前記膨張機構(5)側に向けて流れる前記一次冷媒と前記インジェクション路(70)を流れる前記一次冷媒との間で熱交換を行わせるインジェクション熱交換器(7)と、前記インジェクション路(70)における前記インジェクション熱交換器(7)への入口と前記インジェクション分岐部分(H)との間に設けられた減圧機構(74)とをさらに有している、
    請求項1から9のいずれか1項に記載のヒートポンプシステム(1)。
  17. 前記冷媒流体間熱交換器(40、50)は、少なくとも前記低段側圧縮機構(21)の吐出側から前記高段側圧縮機構(25)の吸入側に向けて流れる前記一次冷媒と前記第1流体との間で熱交換を行わせる第1熱交換器(40)を有しており、
    前記インジェクション路(70)は、前記インジェクション分岐部分(H)を前記低段側圧縮機構(21)と前記第1熱交換器(40)との間に接続している、
    請求項16に記載のヒートポンプシステム(701)。
  18. 前記冷媒流体間熱交換器(40、50)は、少なくとも前記低段側圧縮機構(21)の吐出側から前記高段側圧縮機構(25)の吸入側に向けて流れる前記一次冷媒と前記第1流体との間で熱交換を行わせる第1熱交換器(40)を有しており、
    前記インジェクション路(70)は、前記インジェクション分岐部分(H)を前記第1熱交換器(40)と前記高段側圧縮機構(25)との間に接続している、
    請求項16に記載のヒートポンプシステム(1)。
  19. 前記一次冷媒は、二酸化炭素である、
    請求項1から18のいずれか1項に記載のヒートポンプシステム(1)。
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CN103314265A (zh) * 2011-04-28 2013-09-18 三菱电机株式会社 热泵装置、热泵系统和逆变器的控制方法
JP2018028405A (ja) * 2016-08-18 2018-02-22 富士電機株式会社 冷媒回路装置

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