JP2010214030A - 清拭シート - Google Patents

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Abstract

【課題】薬液が皮膚(肌)に移行後も、皮膚(肌)のpHを弱酸性に保つことができる清拭シートを提供する。
【解決手段】有機酸と有機酸塩と保湿成分とを含み、pHが5.0〜6.0である薬液をティッシュペーパー等の基紙に担持させ、清拭シートとする。薬液中の前記有機酸及び有機酸塩の酸解離定数は3.0〜6.0であることが好ましい。更に、薬液中の前記有機酸及び有機酸塩の総量は0.005〜0.15モル/kgであることが好ましい。
【選択図】なし

Description

この発明は、薬液を含んだティシュペーパー等の清拭シートに関する。
皮膚(肌)の表面は、NMF(天然保湿)成分であるアミノ酸や乳酸のような酸や、皮脂由来の脂肪酸等により、pHが約4.5〜6.5の弱酸性に保たれている。この弱酸性の皮膜は細菌の発育を抑制し、アルカリ中和能により皮膚の保護作用を発揮している。
ところが、入浴や、洗浄料又は化粧品の付着といった外的な要因により皮膚のpHが上昇すると、細菌が繁殖し易くなるとともに、セラミド等の細胞間脂質やNMF成分の溶出が助長されることとなる。
このようなことから、保湿剤を含む家庭用薄葉紙において、保湿薬液のpHを5.0〜6.0とすることで、薬液で肌を拭き取った後の肌荒れを防止する技術が開示されている(特許文献1,2)。
特開2003-164385号公報 特開2005-113368号公報
しかしながら、本発明者らが検討したところ、保湿剤(薬液)のpHを5.0〜6.0に調整しても、保湿剤が肌に移行した後、肌のpHが弱酸性に保たれないことが判明した。この理由は不明であるが、肌表面の成分や細菌等により、保湿剤のpHが5.0〜6.0から変化してしまうことが考えられる。
従って、本発明は、薬液が皮膚(肌)に移行後も皮膚(肌)のpHを弱酸性に保つことができる清拭シートの提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の清拭シートは、有機酸と有機酸塩と保湿成分とを含み、pHが5.0〜6.0である薬液を基紙に担持してなる。
用いる前記有機酸の酸解離定数は3.0〜6.0であることが好ましい。
前記薬液中の前記有機酸及び有機酸塩の総量が0.005〜0.15モル/kgであることが好ましい。
この発明によれば、薬液が皮膚(肌)に移行後も、皮膚(肌)のpHを弱酸性に保つことができる清拭シートが得られる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の実施形態に係る清拭シートは、有機酸と有機酸塩と保湿成分とを含み、pHが5.0〜6.0である薬液を基紙に担持してなる。
基紙としては、ティシュペーパー、トイレットペーパー、紙タオル等が例示されるが特にこれらに限定されず、コットン不織布等も含む。基紙を構成する繊維としては、木材パルプ、コットン、ケナフ等の非木材パルプ、ビスコースレーヨン等のセルロース系化学繊維が良好に使用できる。また、風合いや強度を改善する目的で、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVA等の合成繊維を配合しても良い。
基紙は1プライの単層紙でもよく、吸水性等の点から2〜4プライ程度の重ね紙としてもよい。基紙の坪量は例えば10〜50g/m2程度とすることができる。又、基紙の製造方法は、抄紙、湿式不織布製造方法、乾式不織布製造方法等の各種の方法を採用することができる。
そして、上記基紙に、以下の薬液を塗布、含浸、又はスプレー等することにより、これらの成分が担持された清拭シートが得られる。なお、薬液は、基紙の両面に担持されていることが好ましい。
薬液は、有機酸と有機酸塩とを含むため、薬液の緩衝能が強くなっている。本発明による清拭シートにクレンジング剤等の化粧料を含ませてメイクケア等の用途で使用する場合、化粧料による濃度変化に抵抗してpHを弱酸性領域に維持することができる。また、洗顔後の清拭に使用した際も水分による濃度変化に起因したpH変化を抑制することができる。 更に、鼻かみ等にそのまま使用し、肌に転写する薬液量が少ない場合であっても肌pHの調整能力を発揮することができる。
一方、有機酸を単独で使用し、その塩を含まない薬液を使用した場合、上述したような使用条件では濃度変化によるpH変化量が大きく、効果的に肌pHをコントロールする事は困難となる。
有機酸のpKa(酸解離定数)が3.0〜6.0であることが好ましい。この範囲の有機酸を用いることで、肌のpHを4.5〜5.5にすることが可能となる。又、緩衝溶液のpHを所定範囲とするためには有機酸と有機酸塩の混合割合を適宜調整すればよい。
有機酸の具体例としては、アクリル酸、アジピン酸、アスコルビン酸、安息香酸、クエン酸、グルタミン酸、グルタル酸、コハク酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、リンゴ酸、p-ヒドロキシ安息香酸が挙げられる。特に、有機酸として、安価で安全性が高く、製品とした場合に実質的に無臭であるクエン酸が好ましい。
有機酸塩としては、薬液に用いるのと同一種の有機酸の塩を用いることが好ましい。
薬液中の有機酸及び有機酸塩の総量が0.005〜0.15モル/kgであることが好ましい。これらの総量が0.005モル/kg未満であると、皮膚(肌)に移行後に肌のpHを弱酸性に調整する能力が不十分であり、0.15モル/kgを超えると逆に肌を傷めてしまうおそれがある。
特に、薬液中の有機酸及び有機酸塩の総量を0.01〜0.15モル/kgとすると好ましい。
薬液中の保湿成分としては、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール;ソルビトール等の糖類;及びグリコール類から選ばれる1種以上を使用することができるが、これらに限られるものではない。
通常、保湿成分が薬液の主剤となり、薬液中の保湿成分の割合が例えば80質量%以上を占めるようにするとよい。
薬液中に、風合いを向上する柔軟成分として、シリコーン類、界面活性剤、パラフィン類等を添加しても良い。
以上の成分の他、水を配合して薬液を調製することができる。通常、水は保湿成分を除いた薬液中の主成分である。
以上のようにして調製された薬液の粘度は、25℃で70〜250mPa・sであることが望ましい。薬液の粘度が25℃で70mPa・s以上であると、薬液が基紙表面に留まる割合が高くなり、肌へ薬液を移行(転写)し易くなる。薬液の粘度が25℃で250mPa・sを超えると、薬液を基紙に塗工し加工する各工程において、生産が困難になる場合がある。
薬液の塗工量(塗工比率)は、基紙に対して5〜30質量%とすることが好ましい。薬液の塗工量が5質量%未満であると、清拭シート中の薬液量が少なく、肌への薬液の移行量が少なくなり、肌のpHを弱酸性に調整する能力が不十分となる場合がある。薬液の塗工量が30質量%を超えると、べたつき感が強くなり、清拭シートを用いて清拭する作業がし難くなる傾向にある。
本発明の清拭シートは、鼻かみや化粧直し(化粧拭き)等、ヒトの皮膚(肌)に直接触れる拭き取り(清拭)用途に好適に使用できる。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は勿論これらの例に限定されるものではない。又、特に断らない限り、以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
表1に示す繊維から、表1に示す製造方法によって基紙を製造した。次に、表1に示す成分の薬液を基紙に担持させ、清拭シートを作製した。薬液の各種特性を表1に示す。
得られた清拭シートを用い、15人のモニターの肌を清拭し、清拭前後のモニターの肌のpHを以下のように測定した。pH値は15人のモニターの平均値とした。
肌のpHの測定
ガラス電極と比較電極を同一平面状に形成したフラットセンサーを使用し、ガラス電極法により肌のpHを測定した。まず、アルカリ石鹸を用い、各モニターの肌面をよく洗浄後、直ちにpHを測定し、清拭前の肌のpHとした。次に、アルカリ石鹸を用いて各モニターの肌面をよく洗浄後、清拭シートで5回肌を清拭し、直ちにpHを測定し、清拭後の肌のpHとした。
得られた結果を表1に示す。
Figure 2010214030
表1から明らかなように、薬液に有機酸と有機酸塩とを共に含む実施例1〜3の場合、清拭後も肌のpHが弱酸性(pH4.5〜6.5)に保たれた。
一方、薬液中の有機酸と有機酸塩の総量が0.005モル/kg未満である比較例1の場合、清拭後の肌のpHが高くなった。これは、有機酸と有機酸塩の量が少ないために、肌のpHを弱酸性にする機能が低下したためと考えられる。
又、基紙への薬液の塗工量が10質量%未満である比較例2の場合、清拭後の肌のpHが高くなった。これは、清拭シート中の薬液量が少なく、肌への薬液の移行量が少なくなり、肌のpHを弱酸性に調整する機能が低下したためと考えられる。
薬液中に有機酸塩を含まなかった比較例3の場合も、清拭後の肌のpHが高くなった。これは、肌へ有機酸のみ移行し有機酸塩が存在しないため、薬液の緩衝能が弱いため、肌のpHが弱酸性側より上昇したためと考えられる。

Claims (3)

  1. 有機酸と有機酸塩と保湿成分とを含み、pHが5.0〜6.0である薬液を基紙に担持してなる清拭シート。
  2. 前記有機酸及び有機酸塩の酸解離定数が3.0〜6.0である請求項1記載の清拭シート。
  3. 前記薬液中の前記有機酸及び有機酸塩の総量が0.005〜0.15モル/kgである請求項1又は2記載の清拭シート。
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