JP2010213827A - 心臓外科手術時における縫合部位のパッチ用不織布 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来の組織代用人工繊維布、不織布は、緻密(強力)さや柔軟性、平滑な表面、毛抜けが少ないという特性を充分に満足していない。本発明は、心臓外科手術時において、縫合部の補強、パッチ、切除後の心室心筋層欠陥部の補綴等に好適に用いることができる不織布を提供することを目的とする。
【解決手段】 ポリテトラフルオロエチレン繊維を水流交絡法により交絡したことを特徴とする心臓外科手術時における縫合部位の補強・パッチ用不織布であり、前記繊維の平均繊径が、14μm、目付が600〜1000g/m2、厚さが1.2〜2.5mmであることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 ポリテトラフルオロエチレン繊維を水流交絡法により交絡したことを特徴とする心臓外科手術時における縫合部位の補強・パッチ用不織布であり、前記繊維の平均繊径が、14μm、目付が600〜1000g/m2、厚さが1.2〜2.5mmであることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、心臓外科手術時において、縫合部の補強、切除後の心室心筋層欠陥部の補綴等に用いる不織布に関するものである。
人工血管、人工弁、人工心臓の移植など心臓血管の手術を必要とする患者の患部、およびその近傍の組織は非常に脆くなっている。そのため、心臓血管の手術の縫合時に組織が壊れることがあり、また、突刺部位からの出血等が見られる。これを防止するために、心臓血管の手術に際しては、縫合部位および突刺部位に、ポリエステル布やテトラフルオロエチレン(以下PTFEという)製の布、不織布をあてがって縫合することが行われている。
通常、上記の目的に使用される組織代用人工繊維布、組織代用人工繊維不織布はパッチと称され、各種の編物、織物、不織布が用いられ、また、この組織代用人工繊維布、組織代用人工繊維不織布は、その状況に応じて厚さ、あるいは硬さなどを種々変化させたものが、手術時に使用されている。組織代用人工繊維布、組織代用人工繊維不織布は、人体内部で使用されるため、緻密で繊維の絡みが強く、血液を保持しない、表面、断面の毛羽立ちがないのも大切な要素である。
現在市販されているものは、緻密で繊維の絡みが強く、血液を保持しない、表面、断面の毛羽立ちがない特性を充分に満足していない。そこで、本発明者らは種々研究を重ねた結果、本発明の完成に至ったもので、心臓外科手術時における縫合部位のパッチ用に好適な不織布を提供することを目的とする。
本発明の心臓外科手術時における縫合部位のパッチ用不織布は、繊維の平均繊径が14μmであるPTFE繊維を水流交絡法のみにより絡合したものである。また、目付が600〜1000g/m2であり、厚さが1.2〜2.5mmであることを特徴としている。
パッチ用不織布として一般的に使用されている繊維材料は、ポリエステルまたはPTFEの繊維の一方のみか、または混合して構成することができる。しかし、本発明では、緻密で繊維の絡みが強く、血液を保持しない、表面、断面の毛羽立ちがない特性を持たせるために、PTFEフィルムを摩過解繊した平均繊維径14μmの極細繊維を使用している。
繊維径が細いと、同一目付下では繊維本数が多く且つ、高圧水流でのみで交絡しているので、これらの相乗効果により緻密で繊維の絡みが強く、血液を保持しない、表面、断面の毛羽立ちがないという特性を持たせることができる。
本発明の心臓外科手術時における縫合部位のパッチ用不織布は、PTFE繊維で平均繊径が14μmのものを水流交絡法のみにより交絡したものである。繊維径が細いため同一目付下では繊維本数が多くなり且つ、高圧水流のみで交絡しているので、これらの相乗効果により緻密で繊維の絡みが強く、血液を保持しない、表面、断面の毛羽立ちがない特性を持たせることができる。
本発明に係る心臓外科手術時における縫合部位のパッチ用不織布は、PTFE繊維のみからなるものであり、PTFEフィルムを擦過解繊したものを用いている。従来、溶融紡糸法で得られるPTFE繊維は、繊維径が30μm程度であるが、本発明ではPTFEフィルムを擦過解繊したもので平均繊維径が14μmである。繊維径を細くすると、同一目付下では繊維本数が多くなり、また、高圧水流での水流交絡法はニードルパンチ法より繊維を傷めずに絡ませるため、これら両方の相互効果で緻密で繊維の絡みが強く、血液を保持しない、表面、断面の毛羽立ちがない不織布が得られる。
短繊維の長さは1〜10cm程度とする。これより短いと交絡が不十分となるとともに、リントが発生しやすくなる。また、これより長くても交絡がうまくゆかず、絡みの弱いい不織布となる。なお、更に好ましくは2〜5cm程度とする。
本発明において、水流交絡で短繊維を不織布とするためのウェブシートは、次のようにして作製する。PTFEファィンパウダーを原料として、ペースト押出し・カレンダー圧延成型により得られた未焼成テープに半焼成処理を行い、これを高倍率の一軸延伸加工し、機械擦過解繊を行うことで分枝を持ち、且つ柔軟な極細PTFE繊維を得る。その繊維を積層、仮圧縮することで一定の目付のウェブシートが得られる。
上記で得られたウェブシートを所定の目付に仕上げるため、数枚を積層したフリース(繊維の集積層)を得る。そして、そのフリースに高圧の柱状の水流を噴射して、繊維の交絡を行なう。
(実施例1)
ダイキン工業株式会社製のポリフロンウェブ(商品名)を使用して、水流交絡法により不織布を作製した。作製数は2種類であり、試料Noを1、2とした。
ダイキン工業株式会社製のポリフロンウェブ(商品名)を使用して、水流交絡法により不織布を作製した。作製数は2種類であり、試料Noを1、2とした。
(比較例1)
本発明と比較するために、溶融紡糸法PTFE繊維を使用して、ニードルパンチ法で作成された他社品を使用した。試料Noを3とした。
本発明と比較するために、溶融紡糸法PTFE繊維を使用して、ニードルパンチ法で作成された他社品を使用した。試料Noを3とした。
(シート厚さと目付)
試料1、2と試料3の不織布について、アブライト測定器で、無荷重と150g荷重でシートの10点(n=10)を測定した平均値の結果を表1に示す。測定器精度は0.001mmである。なお、目付は、試料1では750g/m2、試料2では900g/m2であり、試料3では950g/m2である。試料3と比較して試料1は同等密度であるが、試料2は若干密度が低くなっている。
試料1、2と試料3の不織布について、アブライト測定器で、無荷重と150g荷重でシートの10点(n=10)を測定した平均値の結果を表1に示す。測定器精度は0.001mmである。なお、目付は、試料1では750g/m2、試料2では900g/m2であり、試料3では950g/m2である。試料3と比較して試料1は同等密度であるが、試料2は若干密度が低くなっている。
(引張り強力)
試料1、2と試料3を10mm幅×100mm長の短冊状にカット後、試験試料n=3を作成し、引張り切断強度(以下強度と表示した。)と、切断伸度を測定した。表2に最小強度、最大強度、平均強度、平均切断伸度を示す。なお、強度の単位はN/mm2で切断伸度の単位は%である。試料1は試料3と同等、試料2は試料3以上の強力が得られ、他社品の二−ドルパンチ法より水流交絡法の方がPTFE繊維の絡みは強い。
設定条件 機種:RTC−1250A(株式会社エー・アンド・デイ製)
スピード:300mm/min
チャック間距離:50mm
試料1、2と試料3を10mm幅×100mm長の短冊状にカット後、試験試料n=3を作成し、引張り切断強度(以下強度と表示した。)と、切断伸度を測定した。表2に最小強度、最大強度、平均強度、平均切断伸度を示す。なお、強度の単位はN/mm2で切断伸度の単位は%である。試料1は試料3と同等、試料2は試料3以上の強力が得られ、他社品の二−ドルパンチ法より水流交絡法の方がPTFE繊維の絡みは強い。
設定条件 機種:RTC−1250A(株式会社エー・アンド・デイ製)
スピード:300mm/min
チャック間距離:50mm
(引裂き強度試験)
試料サイズ:8mm幅×5mm長にレーザでカットする。このカット片(プレジット)の両端から2mmの位置にΦ0.9mmの直針を突刺し、Φ0.43mmの針金を通す。針金を上記の引張り試験機のチャックに固定し速度300mm/minでカット片の引裂き強度を測定した。なお、強度の単位はN/mm2である。その結果を表3に示す。試料1、2共試料3より引裂き強度は高く、他社品の二−ドルパンチ法より水流交絡法の方がPTFE繊維の絡みは強い。
試料サイズ:8mm幅×5mm長にレーザでカットする。このカット片(プレジット)の両端から2mmの位置にΦ0.9mmの直針を突刺し、Φ0.43mmの針金を通す。針金を上記の引張り試験機のチャックに固定し速度300mm/minでカット片の引裂き強度を測定した。なお、強度の単位はN/mm2である。その結果を表3に示す。試料1、2共試料3より引裂き強度は高く、他社品の二−ドルパンチ法より水流交絡法の方がPTFE繊維の絡みは強い。
(吸血性試験)
試料サイズ:37.5mm幅×75mm長にレーザでカットする。このカット片(プレジット)をJIS L1907 2004の吸水性試験方法に準じて、径70mmのシャーレイに入れた血液に近い馬の脱繊血中に20分間浸漬した後測定した。その結果を表4に示す。試料1、2共試料3より吸血率は低く、他社品の二−ドルパンチ法より水流交絡法の方が緻密で、且つPTFE繊維が強く絡まっているため、脱繊血の付着、吸血率が低くなったといえる。
試料サイズ:37.5mm幅×75mm長にレーザでカットする。このカット片(プレジット)をJIS L1907 2004の吸水性試験方法に準じて、径70mmのシャーレイに入れた血液に近い馬の脱繊血中に20分間浸漬した後測定した。その結果を表4に示す。試料1、2共試料3より吸血率は低く、他社品の二−ドルパンチ法より水流交絡法の方が緻密で、且つPTFE繊維が強く絡まっているため、脱繊血の付着、吸血率が低くなったといえる。
(表面毛羽立ち試験)
一般短繊維不織布試験方法:JIS L1913 1997の6−6−1Aテーバに準じて実施し、その外観評価はテーバ形法の外観変化判定用限度写真と比較して判定を実施した。その結果を表5に示す。試料2は試料3に比べ図1に示すように、試験後表面上のPTFE繊維の毛羽立ち状況は少なく、優れているといえる。
磨耗輪:H−22 荷重:250gr 回転数:100rpm
一般短繊維不織布試験方法:JIS L1913 1997の6−6−1Aテーバに準じて実施し、その外観評価はテーバ形法の外観変化判定用限度写真と比較して判定を実施した。その結果を表5に示す。試料2は試料3に比べ図1に示すように、試験後表面上のPTFE繊維の毛羽立ち状況は少なく、優れているといえる。
磨耗輪:H−22 荷重:250gr 回転数:100rpm
上記各品質評価結果より、本発明の心臓外科手術時における縫合部位のパッチ用不織布は試料3のニードルパンチ法より薄く、且つ安価で高品質な商品を市場に提供できる。
本発明の不織布は、心臓外科手術中のパッチ、縫合部位の補強、切除後の心室心筋層欠陥部の補綴、縫合により脆弱化した組織の補強、血管閉鎖補綴、中隔欠損の閉鎖補綴、心筋層閉鎖補綴、肝切除部位の補綴、弁縫合等の様々な外科手術に使用することができる。
Claims (4)
- ポリテトラフルオロエチレン繊維を水流交絡法により交絡したことを特徴とする心臓外科手術時における縫合部位のパッチ用不織布
- 前記繊維の平均繊径が、14μmであることを特徴とする請求項1に記載の、心臓外科手術時における縫合部位のパッチ用不織布。
- 目付が600〜1000g/m2であることを特徴とする請求項1または2に記載の、心臓外科手術時における縫合部位のパッチ用不織布。
- 厚さが1.2〜2.5mmであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の、心臓外科手術時における縫合部位のパッチ用不織布。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009062528A JP2010213827A (ja) | 2009-03-16 | 2009-03-16 | 心臓外科手術時における縫合部位のパッチ用不織布 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009062528A JP2010213827A (ja) | 2009-03-16 | 2009-03-16 | 心臓外科手術時における縫合部位のパッチ用不織布 |
Publications (1)
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JP2010213827A true JP2010213827A (ja) | 2010-09-30 |
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ID=42973328
Family Applications (1)
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JP2009062528A Pending JP2010213827A (ja) | 2009-03-16 | 2009-03-16 | 心臓外科手術時における縫合部位のパッチ用不織布 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2010213827A (ja) |
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2009
- 2009-03-16 JP JP2009062528A patent/JP2010213827A/ja active Pending
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