JP2010213528A - スイッチング電源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成で主トランジスタのZVS動作を実現することができ、回路全体としても低損失なアクティブクランプ方式のスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】整流側トランジスタ24と、主トランジスタ16がオフの期間中にオンして電流を流す転流側ダイオード26を備える。双方向にオン電流が通過可能な補助トランジスタ40と補助コンデンサ42の直列回路を有し、トランス18の巻線の両端に接続され、主トランジスタ16がオフの期間中に補助トランジスタ40がオンして、トランス18の各巻線に発生する電圧を制限するクランプ回路44を備える。パルス幅変調された駆動パルスを出力し、主トランジスタ16及び補助トランジスタ40をオン・オフ制御する制御回路52を備える。制御回路52は、主トランジスタ16がオフからオンに反転する前に補助トランジスタ40をオンからオフに反転し、その前に整流側トランジスタ24をオフからオンに反転させる駆動パルスを各々生成する。
【選択図】図1

Description

この発明は、トランスの巻線に補助コンデンサと補助トランジスタで構成したクランプ回路が設けられたアクティブクランプ方式のスイッチング電源装置に関する。
従来から、主トランジスタがオフの期間にトランスの巻線に発生する共振電圧のピーク値を制限し、主トランジスタに加わる電圧ストレスを緩和することが可能なアクティブクランプ方式が用いられたスイッチング電源装置がある。
この種のスイッチング電源装置として、例えば、図14に示すスイッチング電源装置10がある。スイッチング電源装置10は、直流入力電源12が接続される入力端13に入力コンデンサ14が設けられ、さらに、主トランジスタ16とトランス18の一次巻線18aで直列回路が構成されたインバータ回路20が接続されている。
主トランジスタ16は、N−chのMOS型電界効果トランジスタ(以下、MOSFETと称す)であり、ドレインが入力コンデンサ14側に、ソースが一次巻線18a側に各々接続され、ゲートに後述する制御回路22から駆動パルスVgaが印加されてオン・オフする。また、主トランジスタ16は、ソースからドレインの向きに形成された寄生ダイオード16aと、ドレイン・ソース間の出力容量である寄生コンデンサ16bを内部に備えている。
トランス18には、一次巻線18aと磁気結合した二次巻線18bが設けられ、主トランジスタ16がオンのときに二次巻線18bから出力電力が取り出されるよう構成されている。なお、トランス18のドットは、一次巻線18aと二次巻線18bの極性を示している。
二次巻線18bのドット側の一端には整流側トランジスタ24の一端が接続され、二次巻線18bの他の一端には転流側ダイオード26のアノードが接続され、整流側トランジスタ24の他の一端と転流側ダイオード26のカソードが互いに接続されている。そして、整流側トランジスタ24と転流側ダイオード26は、二次巻線18bに発生した交流電圧を整流して転流側ダイオード26の両端に整流電圧を出力する整流回路28を構成する。
整流側トランジスタ24はN−chのMOSFETであり、ドレインが転流側ダイオード26のカソード側、ソースが二次巻線18bのドット側に各々接続され、ゲートに後述する制御回路22から駆動パルスVgbが印加されてオン・オフする。また、整流側トランジスタ24は、ソースからドレインの向きに形成された寄生ダイオード24aを内部に備えている。
転流側ダイオード26の両端には平滑チョーク30と平滑コンデンサ32の直列回路で構成された平滑回路34が接続され、平滑コンデンサ32の両端が出力端36に接続されている。平滑回路34は、前記整流電圧を平滑した直流の出力電圧Voを平滑コンデンサ32両端に発生させ、出力端36から負荷38に電力を供給する。
一次巻線18aの両端には、補助トランジスタ40と補助コンデンサ42の直列回路で構成されたクランプ回路44が接続されている。補助トランジスタ40はN−chのMOSFETであり、ドレインが補助コンデンサ42側に、ソースが一次巻線18aのドットのない側に各々接続され、ゲートに後述する制御回路22から駆動パルスVgcが印加されてオン・オフする。また、補助トランジスタ40は、ソースからドレインの向きに形成された寄生ダイオード40aを内部に備えている。
制御回路22は、出力電圧Voを検出して所定のスイッチング周波数でパルス幅変調を行い、主トランジスタ16、整流側トランジスタ24、補助トランジシスタ40の各ゲートソース間に駆動パルスVga,Vgb,Vgcを出力する。駆動パルスVga,Vgb,Vgcは、ハイレベルのときに各トランジスタ16,24,40をオンさせ、ローレベルのときにオフさせることができる。駆動パルスVga,Vgb,Vgcのハイレベル・ローレベルの時間的な変化については、動作説明の中で述べる。
以上のように、従来のスイッチング電源装置10は、シングルフォワード方式のインバータ回路に能動的に動作するクランプ回路が付加され、さらに整流側スイッチング素子を同期整流方式にした構成を備えている。
次に、従来のスイッチング電源装置10の理想的な動作を説明する。スイッチング電源装置10は、周知のように、図15のタイムチャートに示す期間t1〜t8を1周期としたスイッチング動作を繰り返す。ここでは、特に、主トランジスタ16がオフからオンに反転するときのゼロボルトスイッチング動作(以下、ZVS動作と称す)に関わる期間t6,t7,t8,t1の動作を、図16〜19に基づいて説明する。なお、図16〜19はスイッチング電源装置10の動作を説明する等価回路であり、3つのトランジスタ16,24,40は各々スイッチの記号で現し、トランス18は漏れインダクタンスLeと励磁インダクタンスLmとで構成した周知のT型トランス18pの形態で現している。そして、二次巻線18aから負荷38までの間に接続された平滑チョーク30、平滑コンデンサ32、負荷38、出力電圧Vo及び出力電流Ioは、一次巻線18aと二次巻線18bの巻数比でインピーダンス変換された平滑チョーク30p、平滑コンデンサ32p、負荷38p、出力電圧Vop、出力電流Iopで現している。
期間t6では、駆動パルスVga,Vgb,Vgcは、ローレベル、ローレベル、ハイレベルを示しており、図16に示すように、主トランジスタ16はオフ、整流側トランジスタ24はオフ、補助トランジスタ40はオンしている。このとき、平滑チョーク30pは、後述する期間t1に蓄積した励磁エネルギーを放出する電流源として動作し、平滑コンデンサ32pと負荷38pの並列回路、転流側ダイオード26の経路に電流を流し、負荷38pに出力電流Iopを供給する。
また、励磁インダクタンスLmも、後述する期間t1に蓄積した励磁エネルギーを放出する電流源として動作し、漏れインダクタンスLe、補助コンデンサ42、補助トランジスタ40の経路で電流を流す。トランス18の二次巻線18bの両端電圧に相当する電圧Vtは、補助コンデンサ42によってクランプされ、ドットを付した側とは反対側が+の向きに、ほぼ入力電圧Viと等しい電圧Vtが発生している。従って、励磁インダクタンスLmが放出する電流は、補助コンデンサ42の電流I2に示すように、直線的に増加する波形となる。また、主トランジスタ16両端の寄生コンデンサ16bの充電電圧は、電圧Vds1に示すように、入力電圧Viと電圧Vtを加算した値、すなわち入力電圧Viの約2倍の電圧となる。なお、ここでは、クランプされた電圧Vtのピーク電圧がほぼ入力電圧Viと等しくなっているが、主トランジスタ16のオン・オフの時比率が変化すれば、このピーク値は変化する。
期間t7になると、駆動パルスVga,Vgb,Vgcは、ローレベル、ローレベル、ローレベルを示し、図17に示すように、主トランジスタ16はオフ、整流側トランジスタ24はオフを継続し、補助トランジスタ40がオフに反転する。このとき、平滑チョーク30pは継続して電流源として動作し、平滑コンデンサ32pと負荷38pの並列回路、転流側ダイオード26の経路に電流を流し、負荷38pに出力電流Iopを供給する。
一方、励磁インダクタンスLmも継続して電流源として動作するが、電流の経路は、漏れインダクタンスLe、寄生コンデンサ16b、入力コンデンサ14と直流入力電源12の並列回路の経路に切り替わる。この電流によって寄生コンデンサ16bの電圧Vds1が徐々に低下し、ほぼ入力電圧Viに達する。この電圧低下の傾きは、励磁インダクタンスLmと寄生コンデンサ16bの共振特性に強く依存している。また、電圧Vds1が入力Viまで低下すると同時に、トランス18の電圧Vtもほぼゼロボルトに達する。
期間t8になると、駆動パルスVga,Vgb,Vgcは、期間t7と同じく、ローレベル、ローレベル、ローレベルのままで、図18に示すように、主トランジスタ16はオフ、整流側トランジスタ24はオフ、補助トランジスタ40はオフを継続する。このとき、平滑チョーク30pは継続して電流源として動作し、平滑コンデンサ32pと負荷38pの並列回路、転流側ダイオード26の経路に電流を流し、負荷38pに出力電流Iopを供給する。
一方、電圧Vtがゼロボルトに達すると、励磁インダクタンスLmはドットを付した側が+の向きに電圧を発生させようとするが、整流側トランジスタの寄生ダイオード24aがオンすることによって励磁インダクタンスLmの両端が寄生ダイオード24aと転流側ダイオード26によってほぼ短絡された状態となり、電圧Vtはほぼゼロボルト一定となる。そして、漏れインダクタンスLeが期間t7に蓄積された励磁エネルギーを放出する電流源として動作を開始する。漏れインダクタンスLeが流す電流の経路は、寄生コンデンサ16b、入力コンデンサ14と直流入力電源12の並列回路、転流ダイオード26、寄生ダイオード24aの経路である。この電流によって寄生コンデンサ16bの電圧Vds1が徐々に低下し、ほぼゼロボルトに達する。この電圧低下の傾きは、漏れインダクタンスLeと寄生コンデンサ16bの共振特性に強く依存している。また、漏れインダクタンスLeは、Vds1がゼロボルトに達することができるように、十分大きな値に設定されている。
期間t1になると、駆動パルスVga,Vgb,Vgcは、ハイレベル、ハイレベル、ローレベルとなり、図19に示すように、主トランジスタ16と整流側トランジスタ24がオンに反転し、補助トランジスタ40はオフを継続する。主トランジスタ16のターンオンは、Vds1がほぼゼロボルトのタイミングで行われ、いわゆるZVS動作を実現している。また、期間t1は、直流入力電源12がエネルギー源となって、主トランジスタ16、漏れインダクタンスLe、整流側トランジスタ24、平滑チョーク30p、平滑コンデンサ32pと負荷38pの並列回路の経路に電流を流し、負荷38pに出力電流Iopを供給する。同時に、平滑チョーク30pに励磁エネルギーが蓄積される。
一方、励磁インダクタンスLmは、転流側ダイオード26がオフすることによって両端の短絡状態が解け、直流入力電源12から主トランジスタ16、漏れインダクタンスLeを介して入力電圧Viがドットの向きに印加され、電圧Vtが電圧Viまで上昇し、励磁インダクタンスLmへの励磁エネルギーの蓄積が開始する。
以上説明したように、スイッチング電源装置10は、主トランジスタ16のターンオンが理想的なZVS動作によって行われ、主トランジスタ16のクロス損失や寄生コンデンサ16bの蓄積電荷の放電損失の発生を抑制する。
また、特許文献1に開示されているように、シングルフォワード方式のインバータ回路にアクティブクランプ回路が付加され、さらに整流側及び転流側スイッチング素子を同期整流化した構成のスイッチング電源がある。このスイッチング電源は、主トランジスタ(Q1)のターンオンはZVS動作ではなく、タイムチャートに示されているように、主トランジスタは、電圧Vds1が入力電圧Viで安定になったところでターンオンする動作を行っている。
また、特許文献2に開示されているように、カスケードフォワード方式のインバータ回路を備えたスイッチング電源装置であって、トランスに蓄積された励磁エネルギーを放出するためのリセット電流の経路を、トランスの一次巻線の一端からプラス側入力端子に接続されたダイオードと、一次巻線の他の一端とマイナス側入力端子に接続されたアクティブクランプ回路とで構成したスイッチング電源装置がある。このスイッチング電源は、2つ主スイッチング素子のターンオンがZVS動作に基づいて行う旨が説明されている。
特開平8−336282号公報 特開2006−325325号公報
しかし、従来のスイッチング電源装置10の場合、主スイッチング素子のターンオン時のZVS動作を実現するためには、トランス18pの励磁インダクタンスLmを通常よりも小さくし、さらに、漏れインダクタンスLeを通常よりも大きくする必要がある。従って、その弊害として、ZVS動作で低減した損失に代えて新たな損失が増加し、回路全体の効率が悪化するという問題があった。
例えば、期間t7において、電圧Vds1を入力電圧Viの約2倍の電圧から入力電圧Viまで短時間のうちに低下させるために、主トランジスタ16の寄生コンデンサ16bと励磁インダクタンスLmとの共振周波数を高くしなければならず、一般的には、励磁インダクタンスLmは通常の2分の1〜5分の1程度に設定される。その結果、スイッチング周期の1周期当りのトランス18の励磁電流の振幅が大きくなり、主トランジスタ16の導通損失、トランス18の銅損、補助トランジスタ42の導通損失等が増加してしまう。また、励磁インダクタンスLmは、一次巻線18aのインダクタンス値とほぼ等しいが、これを小さく設定するためにはトランス18を構成する磁芯にギャップ加工を施したり、磁芯にギャップ材を挟み込むといった面倒が生じ、コストアップの要因にもなっていた。
また、期間t8において、電圧Vds1を入力電圧Viからゼロボルト付近まで低下させるためには、漏れインダクタンスLeが励磁エネルギーを放出するとき、その両端に電圧Viという高い電圧を発生できるように、漏れインダクタンスLeのインダクタンス値を大きな値にしなければならない。漏れインダクタンスLeを大きくするためには、トランス18の一次巻線18aと二次巻線18bの磁気結合度を悪くする方法や、相当のインダクタ部品を付加する方法が考えられるが、いずれの方法においても、漏れインダクタンスLeに起因する大きな振動電流が発生し、振動電流の経路に存在する部品の損失が増加してしまうという問題があった。
一方、特許文献1のスイッチング電源は、上記スイッチング電源10とは異なり、トランスの一次巻線と二次巻線の磁気結合が良く、漏れインダクタンスLeが十分小さく設定されている。従って、スイッチング電源装置10の期間t8の動作のようにVds1がゼロボルトまで低下することができず、主トランジスタのターンオン時にZVS動作が行われない。その結果、漏れインダクタンスLeに起因する損失は比較的小さくなる反面、主トランジスタのターンオン時のクロス損失や寄生コンデンサの蓄積電荷の放電損失が生じてしまうものである。
また、特許文献2のスイッチング電源装置は、インバータ回路はカスケードフォワード方式、トランス二次側の整流側及び転流側のスイッチング素子がダイオードである等の点で上記スイッチング電源装置10と構成が異なるが、回路全体の動作としてスイッチング電源装置10と類似する部分が多い。従って、当該スイッチング電源装置において主スイッチング素子のターンオン時のZVS動作が実現されているとすれば、スイッチング電源装置10と同様に、トランスの励磁インダクタンスLmを通常よりも小さくし、さらに、漏れインダクタンスLeを通常よりも大きく設定されなければならない。従って、スイッチング電源装置10で説明した問題と同様の問題が生じる。
なお、シングルフォワード方式やカスケードフォワード方式のインバータ回路を備えアクティブクランプ方式が適用されていないスイッチング電源装置においても、スイッチング電源装置10、特許文献1,2のスイッチング電源装置と同様の問題が生じることは明らかである。すなわち、この問題は、従来のアクティブクランプ回路の有り無しによって解決されるものではない。
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたもので、簡単な構成で主トランジスタのZVS動作を実現することができ、回路全体としても低損失なアクティブクランプ方式のスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
この発明は、直流入力電源と直列接続されオン・オフ動作によって入力電圧を断続し交流電圧を発生させる主トランジスタと、少なくとも前記交流電圧が印加される一次巻線及びそれに磁気結合した二次巻線を有するトランスとが設けられたインバータ回路と、一端が前記二次巻線の一端に接続され、前記主トランジスタがオンの期間中に前記二次巻線に発生した電圧を整流する整流側スイッチング素子と、前記二次巻線の他の一端と前記整流側スイッチング素子の他の一端に両端が接続され、前記主トランジスタがオフの期間中にオンして電流を流す転流側スイッチング素子と、前記転流側スイッチング素子の両端に接続された平滑チョーク及び平滑コンデンサの直列回路で構成され、前記平滑コンデンサ両端に出力電圧を生成して負荷に電力を供給する平滑回路と、双方向にオン電流が通過可能な補助トランジスタ及び補助コンデンサの直列回路で構成され、前記トランスに設けられた何れかの巻線の両端に接続され、前記主トランジスタがオフの期間中に前記補助トランジスタがオンして前記トランスの各巻線に発生する電圧を制限するクランプ回路と、所定のスイッチング周波数でパルス幅変調された駆動パルスを出力し、前記主トランジスタ及び前記補助トランジスタをオン・オフ制御する制御回路とを備えたスイッチング電源装置において、前記整流側スイッチング素子は、整流側ダイオードと、前記制御回路で生成された駆動パルスによってオン・オフされる整流側トランジスタとの並列回路で構成され、前記制御回路は、前記主トランジスタがオフからオンに反転する前に前記補助トランジスタがオンからオフに反転し、さらにその前に前記整流側トランジスタがオフからオンに反転する駆動パルスを各々生成するスイッチング電源装置である。
また、前記主トランジスタは、両端に寄生ダイオードが形成された電界効果トランジスタであり、前記寄生ダイオードは前記直流入力電源のプラス端子側に向けて設けられていることが好ましい。
また、前記整流側トランジスタは、両端に寄生ダイオードが形成された電界効果トランジスタであり、前記整流側ダイオードは、前記整流側トランジスタの前記寄生ダイオードであってもよい。
また、前記制御回路は、前記主トランジスタがオフからオンに反転するタイミングと前記補助トランジスタがオンからオフに反転するタイミングとの時間差目標値、及び、前記整流側トランジスタがオフからオンに反転するタイミングとの時間差目標値があらかじめ設定され、各トランジスタが当該時間差目標値に従って反転動作を行う駆動パルスを生成するものでもよい。
また、前記制御回路は、前記主トランジスタがオフからオンに反転するタイミングと前記整流側トランジスタがオフからオンに反転するタイミングとの時間差目標値があらかじめ設定され、前記主トランジスタおよび前記整流側トランジスタが当該時間差目標値に従って反転動作を行う駆動パルスを生成し、さらに前記制御回路は、前記補助コンデンサに流れる電流を検出し、前記整流側トランジスタがオフからオンに反転した後、当該電流が所定の基準値を超えると、前記補助トランジスタをオンからオフに反転させる駆動パルスを生成するものでもよい。
また、前記制御回路は、前記補助トランジスタがオンからオフに反転するタイミングと前記整流側トランジスタがオフからオンに反転するタイミングとの時間差目標値があらかじめ設定され、前記補助トランジスタおよび前記整流側トランジスタが当該時間差目標値に従って反転動作を行う駆動パルスを生成し、さらに前記制御回路は、前記主トランジスタの両端電圧を検出し、前記補助トランジスタがオンからオフに反転した後、当該電圧が所定の基準値以下に低下すると、前記主トランジスタをオフからオンに反転させる駆動パルスを生成するものでもよい。
また、前記インバータ回路は、前記直流入力電源の両端に接続され、1つの前記主トランジスタと前記一次巻線との直列回路の構成を備えたものでもよい。
さらに、前記インバータ回路は、前記直流入力電源の両端に接続され、互いに同位相でオン・オフする2つの主トランジスタとその間に接続された前記一次巻線との直列回路の構成を備えたものでもよい。
この発明のスイッチング電源装置によれば、励磁インダクタンスが大きく、且つ漏れインダクタンスの小さいトランスを用いて主トランジスタをZVS動作させることができるので、励磁電流が流れる経路の導通損失や、漏れインダクタンスに起因するサージ電流が流れる経路の部品の損失を増加させることなく、主トランジスタのターンオン時のZVS動作を実現することができる。
また、主トランジスタの両端に回生ダイオード(主トランジスタがMOSFETの場合は寄生ダイオード)が設けられているので、主トランジスタがオフの状態で、主トランジスタ両端の寄生コンデンサの充電電圧がほぼゼロボルトまで低下した後、一定時間その状態を維持することができる。従って、主トランジスタをオンに反転させるタイミングを厳密に制御しなくとも、主トランジスタのターンオン時のZVS動作を容易に実現することができる。
また、整流側スイッチング素子を同期整流用の大型MOSFET等で構成した場合は、従来の同期整流動作に比べてターンオンのタイミングのみを変更した動作をさせればよく、特に大型の部品を追加することなく、制御回路の簡単な変更で対応可能である。また、整流側スイッチング素子として整流側ダイオードを用いて高効率化を図った場合であっても、その両端に整流側トランジスタとして小型MOSFET等を並列接続し、従来のスイッチング電源装置の同期整流動作に比べてターンオンのタイミングとターンオフのタイミングを変更した動作をさせればよく、特に大型の部品を追加することなく、制御回路の簡単な変更だけで対応可能である。従って、いずれも場合も、スイッチング電源装置の小型化を妨げない。
この発明のスイッチング電源装置の第一の実施形態を示す回路図である。 第一の実施形態の回路の動作を示すタイムチャートである。 第一の実施形態の回路の期間T1の動作を説明する等価回路図である。 第一の実施形態の回路の期間T2の動作を説明する等価回路図である。 第一の実施形態の回路の期間T3の動作を説明する等価回路図である。 第一の実施形態の回路の期間T4の動作を説明する等価回路図である。 第一の実施形態の回路の期間T5の動作を説明する等価回路図である。 第一の実施形態の回路の期間T6の動作を説明する等価回路図である。 第一の実施形態の回路の期間T7の動作を説明する等価回路図である。 第一の実施形態の回路の期間T8の動作を説明する等価回路図である。 第一の実施形態の回路の期間T1から期間T2に移行する動作を示すタイムチャートである。 この発明のスイッチング電源装置の第二の実施形態を示す回路図である。 この発明のスイッチング電源装置の第三の実施形態を示す回路図である。 従来のスイッチング電源装置を示す回路図である。 従来のスイッチング電源装置の動作を示すタイムチャートである。 従来のスイッチング電源装置の回路の期間t6の動作を説明する等価回路図である。 従来のスイッチング電源装置の回路の期間t7の動作を説明する等価回路図である。 従来のスイッチング電源装置の回路の期間t8の動作を説明する等価回路図である。 従来のスイッチング電源装置の回路の期間t1の動作を説明する等価回路図である。
以下、この発明のスイッチング電源装置の第一の実施形態について、図1〜図11に基づいて説明する。ここで、従来のスイッチング電源装置10と同様の構成は、同一の符号を付して説明する。第一の実施形態のスイッチング電源装置50は、シングルフォワード方式のインバータ回路を備え、主トランジスタ16がオフの期間にトランス18の巻線に発生する共振電圧のピーク値を制限し、主トランジスタ16に加わる電圧ストレスを緩和することが可能なアクティブクランプ方式が用いられている。
スイッチング電源装置50は、図1に示すように、直流入力電源12が接続される入力端13に設けられ、直流の入力電圧Viの印加を受けて高周波ノイズを吸収する入力コンデンサ14を備えている。入力コンデンサ14には、オン・オフ動作によって入力電圧Viを断続する主トランジスタ16と、入力電圧Viの断続によって発生した交流電圧が印加されるトランス18の一次巻線18aの直列回路が構成されたインバータ回路20が接続されている。
主トランジスタ16は、N−chのMOSFETであり、ドレインが入力コンデンサ14側に、ソースが一次巻線18a側に各々接続され、ゲートに後述する制御回路52から駆動パルスVg1が印加されてオン・オフする。また、主トランジスタ16は、ソースからドレインの向きに形成された寄生ダイオード16aと、ドレイン・ソース間の出力容量である寄生コンデンサ16bを内部に備えている。
トランス18には、例えばフェライト磁芯を介して一次巻線18aと磁気結合した二次巻線18bが設けられ、主トランジスタ16がオンのときに二次巻線18bから出力電力が取り出されるよう構成されている。なお、トランス18のドットは、一次巻線18aと二次巻線18bの極性を示している。例えば、主トランジスタ16がオンすると、一次巻線18aはドット側が高電位となる電圧が印加され、二次巻線18bにドットの側が高電位となる電圧が発生する。
二次巻線18bのドット側の一端には整流側スイッチング素子である整流側トランジスタ24の一端が接続され、二次巻線18bの他の一端には転流側スイッチング素子である転流側ダイオード26のアノードが接続され、整流側トランジスタ24の他の一端と転流側ダイオード26のカソードが互いに接続されている。そして、整流側トランジスタ24と転流側ダイオード26は、二次巻線18bに発生した交流電圧を整流し、転流側ダイオード26の両端に整流電圧を出力する整流回路28を構成する。
整流側トランジスタ24は導通抵抗が小さく、比較的大型外形の電力用MOSFETであり、ドレインが転流側ダイオード26のカソード側、ソースが二次巻線18bのドット側に各々接続され、ゲートに後述する制御回路52から駆動パルスVg2が印加されてオン・オフする。また、整流側トランジスタ24は、ソースからドレインの向きに形成された寄生ダイオード24aを内部に備えている。また、転流側ダイオード26は、比較的大型外形の電力用ショットキバリアダイオードや電力用ファストリカバリダイオード等であって、順方向電圧の小さなものが選択されている。
転流側ダイオード26の両端には平滑チョーク30と平滑コンデンサ32の直列回路で構成された平滑回路34が接続され、平滑コンデンサ32の両端が出力端36に接続されている。平滑回路34は、前記整流電圧を平滑した直流の出力電圧Voを平滑コンデンサ32両端に発生させ、出力端36から負荷38に電力を供給する。なお、本実施形態では、転流側スイッチング素子はダイオードを用いたダイオード整流方式であるが、MOSFETを用いた同期整流方式であってもよい。
一次巻線18aの両端には、補助トランジスタ40と補助コンデンサ42の直列回路で構成されたクランプ回路44が接続されている。補助トランジスタ40はN−chのMOSFETであり、ドレインが補助コンデンサ42側に、ソースが一次巻線18aのドットのない側に各々接続され、ゲートに後述する制御回路52から駆動パルスVg3が印加されてオン・オフする。また、補助トランジスタ40は、ソースからドレインの向きに形成された寄生ダイオード40aを内部に備えている。なお、クランプ回路44は、トランス18に第三の巻線を設け、第三の巻線の両端に接続した構成としてもよいが、ここではトランス18構造を簡単化するため、一次巻線18aの両端に設けられている。
補助コンデンサ42は、トランス18の一次巻線18aのインダクタンスL18aとの間で定まる共振周波数がスイッチング周波数よりも低くなる程度に大きな容量値であることが望ましい。そして、主トランジスタ16の寄生コンデンサ16bよりも十分大きな値に設定されている。
制御回路52は、従来の制御回路22と同様に、出力電圧Voを検出して所定のスイッチング周波数でパルス幅変調を行う。そして、主トランジスタ16、整流側トランジスタ24及び補助トランジシスタ40の各ゲートソース間に駆動パルスVg1,Vg2,Vg3を出力する。駆動パルスVg1,Vg2,Vg3は、ハイレベルのときに各トランジスタ16,24,40をオンさせ、ローレベルのときにオフさせることができる。しかし、制御回路52は、駆動パルスVg1,Vg2,Vg3のハイレベル・ローレベルの反転のタイミングが制御回路22の駆動パルスVga,Vgb,Vgcと異なっている。詳細は、後の動作説明の中で述べる。
以上のように、スイッチング電源装置50は、シングルフォワード方式のインバータ回路を備え、アクティブクランプ方式が適用され、さらに整流側スイッチ素子を同期整流化した構成を備えている。
次に、スイッチング電源装置50の動作を説明する。スイッチング電源装置50は、図2のタイムチャートに示すように、期間T1〜T8を1周期としたスイッチング動作を繰り返す。以下、期間T1〜T9毎に、図3〜図10に基づいて詳しく説明する。なお、図3〜10はスイッチング電源装置50の動作を説明する等価回路である。
期間T1では、駆動パルスVg1,Vg3,Vg3は、ハイレベル、ハイレベル、ローレベルを示しており、図3に示すように、主トランジスタ16はオン、整流側トランジスタ24はオン、補助トランジスタ40はオフしている。この期間は、直流入力電源12がエネルギー源となって、主トランジスタ16、漏れインダクタンスLe、整流側トランジスタ24、平滑チョーク30p、平滑コンデンサ32pと負荷38pの並列回路の経路に電流を流し、負荷38pに出力電流Iopを供給する。同時に、平滑チョーク30pに励磁エネルギーが蓄積される。
また、励磁インダクタンスLmには、直流入力電源12から主トランジスタ16、漏れインダクタンスLeを介して入力電圧Viがドットの向きに印加され、電圧Vtが電圧Viまで上昇し励磁エネルギーが蓄積される。このときのトランス18の励磁電流は、電流I1における右上がりに傾斜した部分に相当するが(矩形状の部分は整流側トランジスタ24に流れる)、スイッチング電源装置50はトランス18の励磁インダクタンスLmが十分大きいため、従来のスイッチング電源装置10よりも励磁電流の振幅が小さい。
期間T2になると、駆動パルスVg1,Vg2,Vg3は、ローレベル、ハイレベル、ローレベルを示し、僅かに遅れてVgs2がローレベルに変化する。すなわち、図3に示すように、主トランジスタ16と整流側トランジスタ24はオフに反転し、補助トランジスタ40はオフを継続する。この期間は、直流入力電源12から寄生コンデンサ16b、漏れインダクタンスLe、整流側トランジスタ24又は寄生コンデンサ24a、平滑チョーク30p、平滑コンデンサ32pと負荷38pの並列回路の経路に電流を流し、負荷38pに出力電流Iopを供給する。
一方、励磁インダクタンスLmは、期間T1に蓄積した励磁エネルギーを放出する電流源として動作し、直流入力電源12と入力コンデンサ14の並列回路、寄生コンデンサ16b、漏れインダクタンスLeの経路に電流を流して寄生コンデンサ16bを充電し、その両端の電圧Vds1が入力電圧Viを超えて上昇する。それに伴い、トランス18の二次巻線18bの両端電圧に相当する電圧Vtも、入力電圧Viからゼロボルト以下まで下降する。そして、寄生コンデンサ16bの電圧Vds1が補助コンデンサ42の電圧と入力電圧Viの合計値に達すると、期間3に移る。
期間T3になると、駆動パルスVg1,Vg2,Vg3は、期間T2と同じく、ローレベル、ローレベル、ローレベルを示しており、図5に示すように、主トランジスタ16、整流側トランジスタ24及び補助トランジスタ40は、全てオフを継続する。このとき、トランス18pの電圧Vtはドットと反対の向きに電圧が発生しているので、寄生ダイオード24aはオフしている。従って、平滑チョーク30pは、期間T1で蓄積した励磁エネルギーを放出する電流源として動作し、平滑コンデンサ32pと負荷38pの並列回路、転流側ダイオード26の経路に電流を流し、負荷38pに出力電流Iopを供給する。
一方、励磁インダクタンスLmも継続して電流源として動作するが、その電流の経路は、補助トランジスタ40の寄生ダイオード42a、補助コンデンサ42、漏れインダクタンスLeの経路に切り替わる。
期間T4になると、駆動パルスVg1,Vg2,Vg3は、ローレベル、ローレベル、ハイレベルを示し、図6に示すように、主トランジスタ16と整流側トランジスタ24はオフを継続し、補助トランジスタ40がオンする。このとき、平滑チョーク30pは、継続して電流源として動作し、平滑コンデンサ32pと負荷38pの並列回路、転流側ダイオード26の経路に電流を流し、負荷38pに出力電流Iopを供給する。
一方、励磁インダクタンスLmも継続して電流源として動作するが、その電流の経路は、補助トランジスタ40と寄生ダイオード42aの並列回路、補助コンデンサ42、漏れインダクタンスLeの経路となり、補助トランジスタ40の電流I40の分だけ寄生ダイオード42aの電流Ia2が減少し、やがて流れなくなる。なお、期間T4は、補助トランジスタ40がターンオンすることによって始まるが、このタイミングを厳密に制御して期間T3を可及的に短くすれば、寄生ダイオード42aの電気ストレスを低減することができる。
期間T5になっても、駆動パルスVg1,Vg2,Vg3は、期間T4と同じく、ローレベル、ローレベル、ハイレベルを示し、図7に示すように、主トランジスタ16と整流側トランジスタ24はオフ、補助トランジスタ40はオンを継続する。そして、平滑チョーク30pも継続して電流源として動作し、平滑コンデンサ32pと負荷38pの並列回路、転流側ダイオード26の経路に電流を流し、負荷38pに出力電流Iopを供給する。
一方、励磁インダクタンスLmは継続して電流源として動作するが、電流の経路は、漏れインダクタンスLe、補助コンデンサ42、補助トランジスタ40となり、電流の向きが逆になる。
このように、期間T3,T4,T5の間、励磁インダクタンスLmは、期間T1に蓄積した励磁エネルギーを放出する電流源として動作し、励磁電流を補助コンデンサ42に流す。トランス18pの電圧Vtは、補助コンデンサ42によってピーク値がクランプされ、ドットと反対の向きに、ほぼ入力電圧Viと等しい電圧が発生している。従って、励磁インダクタンスLmが放出する電流は、補助コンデンサ42の電流I2波形に示すように、直線的に増加する。また、主トランジスタ16両端の寄生コンデンサ16bの充電電圧は、電圧Vds1の波形に示すように、ほぼ入力電圧Viと電圧Vtを加算した値、すなわち入力電圧Viの約2倍の電圧となる。なお、ここでは、クランプされた電圧Vtのピーク電圧がほぼ入力電圧Viと等しくなっているが、主トランジスタ16のオン・オフの時比率が変化すれば、このピーク値は変化する。
期間T6になると、駆動パルスVg1,Vg2,Vg3は、ローレベル、ハイレベル、ハイレベルを示し、図8に示すように、主トランジスタ16はオフを継続し、整流側トランジスタ24はオンに反転し、補助トランジスタ40はオンを継続する。このとき、平滑チョーク30pは継続して電流源として動作し、平滑コンデンサ32pと負荷38pの並列回路、転流側ダイオード26の経路に電流を流し、負荷38pに出力電流Iopを供給する。
一方、励磁インダクタンスLmは、整流側トランジスタ24がオンすることによって励磁インダクタンスLmの両端が整流側トランジスタ24と転流側ダイオード26によってほぼ短絡される状態となり、電圧Vtは急速に低下し、ほぼゼロボルト一定となる。そして、補助コンデンサ42から、補助トランジスタ40、転流側ダイオード26、整流側トランジスタ24、漏れインダクタンスLeの経路に比較的急峻な放電電流が流れる。この放電電流の傾きは、漏れインダクタンスLeと補助コンデンサ42の電圧(ここでは、ほぼ入力電圧Vi)によって決定される。すなわち、電流I2波形に示すように、期間5では大きなインダクタンス値の励磁インダクタンスLmに強く依存するので傾きが緩やかで振幅も小さいが、期間6では、小さなインダクタンス値の漏れインダクタンスLeによって傾きが急峻で比較的大きな電流になる。そして、この放電電流によって、漏れインダクタンスLeに励磁エネルギーが蓄積される。なお、補助コンデンサ42は比較的大きな容量に設定されているので、放電電流を流しても両端電圧はほとんど低下しない。従って、電圧Vds1は、入力電圧Viと補助コンデンサ42の電圧を加算した値、すなわち入力電圧Viの約2倍の電圧が維持される。
期間T7になると、駆動パルスVg1,Vg2,Vg3は、ローレベル、ハイレベル、ローレベルを示し、図9に示すように、主トランジスタ16と整流側トランジスタ24はオフを継続し、補助トランジスタ40はオフに反転する。このとき、平滑チョーク30pは継続して電流源として動作し、平滑コンデンサ32pと負荷38pの並列回路、転流側ダイオード26の経路に電流を流し、負荷38pに出力電流Iopを供給する。
一方、励磁インダクタンスLmも継続して両端がほぼ短絡される状態のまま、電圧Vtはほぼゼロボルトを維持する。そして、漏れインダクタンスLeが期間T6に蓄積された励磁エネルギーを放出する電流源として動作を開始する。漏れインダクタンスLeが流す電流の経路は、寄生コンデンサ16b、入力コンデンサ14と直流入力電源12の並列回路、転流ダイオード26の経路である。この電流によって寄生コンデンサ16bの電圧Vds1が急峻に低下してゼロボルトに達する。この電圧低下の傾きは、漏れインダクタンスLeと寄生コンデンサ16bの共振特性に強く依存する。また、漏れインダクタンスLeには、大きな励磁エネルギーが蓄えられているので、電圧Viを超える逆起電力を発生する能力を有している。
期間T8になっても、駆動パルスVg1,Vg2,Vg3は、期間T7と同じく、ローレベル、ハイレベル、ローレベルを示し、図10に示すように、主トランジスタ16はオフ、整流側トランジスタ24はオン、補助トランジスタ40はオフを継続する。そして、平滑チョーク30pも継続して電流源として動作し、平滑コンデンサ32pと負荷38pの並列回路、転流側ダイオード26の経路に電流を流し、負荷38pに出力電流Iopを供給する。
一方、漏れインダクタンスLeは継続して電流源として動作するが、電流の経路が変化する。期間T7で電圧Vds1がゼロボルトに達した後、期間T8でさらにマイナス方向の電圧を発生させようとするが、寄生ダイオード16aがオンするので寄生コンデンサ16bには電流が流れなくなり、電流の経路は、寄生ダイオード16a、入力コンデンサ14と直流入力電源12の並列回路、転流ダイオード26となる。従って、電圧Vds1は寄生ダイオード16aの順方向電圧に固定され、ほぼゼロボルト一定となる。電圧Vds1がゼロボルトを維持するのは、漏れインダクタンスLeが励磁エネルギーの放出が終わり、さらに寄生ダイオード16aの逆回復時間が経過するまでの期間Tzvsである。
そして、再び期間T1になると、駆動パルスVg1,Vg2,Vg3は、ハイレベル、ハイレベル、ローレベルとなり、図3に示すように、主トランジスタ16はオンに反転し、整流側トランジスタ24がオンを継続し、補助トランジスタ40はオフを継続する。主トランジスタ16のターンオンは、上述した電圧Vds1がゼロボルトを維持されている期間Tzvs中に行われ、いわゆるZVS動作を実現する。
なお、制御回路52は、あらかじめ期間T6,T7,T8の時間幅の目標値が設定され、その目標値に従って駆動パルスVg1,Vg2,Vg3を生成している。この目標値は、スイッチング周波数、寄生コンデンサ16bの値、トランス18の励磁インダクタンスLm及び漏れインダクタンスLeの値などの各電子部品の定数や、入力電圧Viや負荷38などのスイッチング電源装置の使用条件に鑑みて計算によって算出可能である。また、計算で算出した目標値を実験によって微調整し、計算誤差を排除してもよい。
また、制御回路52は、期間T6,T7,T8を合計した時間幅の目標値があらかじめ設定され、その目標値に従って駆動パルスVg1,Vg2を生成し、且つ、期間T6に補助コンデンサ42に流れる電流(例えば、電流I2)を検知し、当該電流のピーク値が所定の基準値を超えた瞬間に期間T7に移行するように駆動パルスVg3を生成する構成としてもよい。この構成とすれば、トランス18の漏れインダクタンスLe等の個体差を吸収することができ、ZVS動作を安定に行うことが可能である。
また、制御回路52は、期間T6の時間幅の目標値があらかじめ設定され、その目標値に従って駆動パルスVg2,Vg3を生成し、且つ、期間T7に主トランジスタ16の両端電圧に相当する電圧(例えば、電圧Vds1や電圧Vds3)を検知し、期間T7に主トランジスタ16の両端電圧が所定の基準値以下に低下した瞬間に期間T8に移行するように駆動パルスVg1を生成する構成としてもよい。この構成とすれば、確実にZVS動作を行うことが可能である。
以上説明したように、スイッチング電源装置50によれば、励磁インダクタンスLmが大きく、且つ漏れインダクタンスLeの小さいトランス18を用いて主トランジスタ16をZVS動作させることができるので、励磁電流が流れる経路の導通損失や、漏れインダクタンスLeに起因するサージ電流が流れる経路の部品の損失を増加させることなく、主トランジスタ16のターンオン時のZVS動作を実現することができる。
また、主トランジスタ16は両端に寄生ダイオードが形成されたMOSFETであるため、主トランジスタ16がオフの状態でVds1がほぼゼロボルトまで低下した後、一定の期間(期間Tzvs)だけその状態を維持することができるので、主トランジスタ16をオンに反転させるタイミングを厳密に制御しなくとも、主トランジスタ16のターンオン時のZVS動作を容易に実現することができる。また、例えば、大容量のスイッチング電源装置において、主トランジスタの電流ストレスを分散させる目的で複数個のMOSFETを並列接続して使用する場合、各MOSFETのゲート閾値電圧Vthに個体差によってターンオンのタイミングのずれが生じることが考えられるが、ZVS動作可能な期間Tzvsの中で全てのMOSFETがターンオンすることは十分可能であるため、特定のMOSFETにスイッチング電流が集中して故障等が発生する危険を容易に回避することができる。
また、整流側スイッチング素子を大型MOSFET等で構成した従来の同期整流方式の回路構成から、当該MOSFETのターンオンのタイミングのみを変更した動作をさせればよく、制御回路の簡単な変更で対応可能であり、スイッチング電源装置の小型化を妨げない。
また、期間T7において、漏れインダクタンスLeの励磁エネルギーを放出する電流によって寄生コンデンサ16bの電荷を放電し電圧Vds1を低下させるが、この漏れインダクタンスLeの能力は十分に強いため、寄生コンデンサ16bの大きなMOSFETを選択したり、別途コンデンサ部品を付加することによって、主トランジスタ16の両端のコンデンサ容量を大きくしても、上記ZVS動作は容易に行うことができる。従って、上記ZVS動作が可能な範囲内で主トランジスタ16の両端のコンデンサ容量を大きくすれば、図11(b)に示すように期間T1から期間T2に移るときのVds1の上昇を緩やかにすることができ、主トランジスタ16のターンオフ時のクロス損失を大幅に低減する効果を得ることも可能である。
次に、この発明の第二の実施形態のスイッチング電源装置60について、図12に基づいて説明する。ここで、スイッチング電源装置50と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。スイッチング電源装置60は、比較的高い出力電圧Voを負荷38に供給する場合に用いられ、整流回路28には高耐圧の半導体素子が選択される。一般的に、高耐圧のMOSFETは高耐圧のダイオードに比較して導通抵抗が大きいので、MOSFETを用いた同期整流方式よりもダイオード整流方式の方が損失を小さくすることができる場合が多い。そこで、スイッチング電源装置60は、整流側スイッチング素子もダイオード整流方式を採用している。
スイッチング電源60は、二次巻線18bのドット側の一端に整流側スイッチング素子である整流側ダイオード62のアノードが接続され、カソードが転流側ダイオード26のカソード接続されている。また、整流側ダイオード62の両端に、これも整流側スイッチング素子である整流側トランジスタ64が接続されている。また、第一の実施形態のスイッチング電源50の制御回路52に代えて、制御回路66が設けられている。その他の構成は、スイッチング電源装置50と同様である。
スイッチング電源装置60の整流側ダイオード62は、比較的大型外形の電力用ファストリカバリダイオード等であり、順方向電圧の小さなものが選択されている。整流側トランジスタ64は、比較的小型外形のMOSFETであり、ドレインが転流側ダイオード26のカソード側、ソースが二次巻線18bのドット側に各々接続され、ゲートに後述する制御回路66から駆動パルスVg4が印加されてオン・オフする。また、整流側トランジスタ64は、ソースからドレインの向きに形成された寄生ダイオード64aを内部に備えている。
制御回路66は、制御回路52と同様に、主トランジスタ16と補助トランジスタ40に駆動パルスVg1,Vg3を出力するが、整流側トランジスタ64のゲートには、制御回路52の駆動パルスVg2に代えて駆動パルスVg4を出力する。駆動パルスVg4は、ローレベルからハイレベルの反転するタイミングは駆動パルスVg2と同じであるが、ハイレベルからローレベルに反転するタイミングが異なる。駆動パルスVg4は、Vg1がローレベルからハイレベルに反転したタイミング(図2における期間T1が開始するタイミング)の後、可及的に短時間のうちにハイレベルからローレベルに反転するよう設定されている。従って、期間T1においては、整流側トランジスタ64には負荷38に供給する電流がほとんど流れず、寄生ダイオード64aも整流側ダイオード62よりも順方向電圧が大きいのでほとんど電流が流れない。すなわち、負荷38に供給する電流は、整流ダイオード62に流れることになる。しかし、スイッチング電源装置60の動作は、駆動パルスVg2を除いて、スイッチング電源装置50の動作を示す図2のタイムチャートとほぼ同じである。
整流側トランジスタ64及び寄生ダイオード64aは、期間T6,T7,T8のごく短期間だけ動作し、電力ストレスや発熱も小さいため、小型外形のMOSFETで構成することができる。一方、期間T1に負荷38に供給する電流を流す整流側ダイオード62は、所定の電力用ダイオードが用いられているので、同期整流方式よりも低損失に整流動作を行うことができる。
以上説明したように、スイッチング電源装置60のように、整流側スイッチング素子を低順方向電圧の整流側ダイオード62を選択して高効率化を図った場合でも、その両端に整流側トランジスタ62として小型外形のMOSFET等を並列接続し、従来のスイッチング電源装置の同期整流動作に比べてターンオンのタイミングとターンオフのタイミングを変更した動作をさせれば主トランジスタ16のZVS動作を実現することができる。そして、小型の部品の追加と制御回路の簡単な変更だけで対応可能であるので、スイッチング電源装置の小型化に寄与することができる。
次に、この発明の第三の実施形態のスイッチング電源装置70について、図13に基づいて説明する。ここで、スイッチング電源装置50と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。スイッチング電源装置70は、駆動パルスVg1によって互いに同位相でオン・オフする2つの主トランジスタ16と、その中間に接続されたトランス18の一次巻線18aとの直列回路を構成したインバータ回路72を備えている。その他の構成は、スイッチング電源装置50と同じである。
スイッチング電源装置70の動作は、1つ当たりの主トランジスタ16の両端電圧Vds1が、スイッチング電源装置50の動作を示す図2のタイムチャートにおける電圧Vds1のほぼ2分の1になることを除いて、作用・効果は同じである。
2つの主トランジスタの電圧Vds1のピーク値は、互いの寄生コンデンサ16bが等しいときは均等に2分の1となるが、トランジスタ素子の個体差によって、互いの電圧Vds1にアンバランスが生じ、一方の主トランジスタ16に過剰な電圧ストレスが生じるおそれがある。
しかしながら、スイッチング電源装置70は、上述したように主トランジスタ16の両端のコンデンサ容量を大きくしてもZVS動作は容易に行うことができるので、主トランジスタ16の両端に、所定の精度を有するコンデンサ部品を各々接続することによって寄生コンデンサ16bの個体差を吸収することが可能である。従って、一方の主トランジスタ16に過剰な電圧ストレスが生じることを容易に防ぐことができる。
特許文献1の中で従来技術として開示されたカスケードフォワード方式のインバータ回路は、1つの主トランジスタの電圧Vds1のアンバランスを回避する等の目的で、図13に示すような2本のダイオード74が設けられている。そのため、最大デューティーが50%に制限されるという課題がある。それに対して、この実施形態のスイッチング電源装置70は、ダイオード74を2本とも削除した構成であるが、主トランジスタの電圧Vds1のアンバランスを容易に回避することができる。従って、このダイオード74を削除することによって、最大デューティーの制限も緩和され、出力電圧Voの保持時間を長く伸ばすことも可能となる。
10,50,60 スイッチング電源装置
12 直流入力電源
16 主トランジスタ
16a 寄生ダイオード
16b 寄生コンデンサ
18 トランス
18a 一次巻線
18b 二次巻線
20 インバータ回路
22,52 制御回路
24,64 整流側トランジスタ
24a,64a 寄生ダイオード
26 転流側ダイオード
28 整流回路
30 平滑チョーク
32 平滑コンデンサ
34 平滑回路
38 負荷
40 補助コンデンサ
42 補助トランジスタ
42a 寄生ダイオード
62 整流側ダイオード
Vg1,Vg2,Vg3,Vg4 駆動パルス

Claims (8)

  1. 直流入力電源と直列接続されオン・オフ動作によって入力電圧を断続し交流電圧を発生させる主トランジスタと、少なくとも前記交流電圧が印加される一次巻線及びそれに磁気結合した二次巻線を有するトランスとが設けられたインバータ回路と、
    一端が前記二次巻線の一端に接続され、前記主トランジスタがオンの期間中に前記二次巻線に発生した電圧を整流する整流側スイッチング素子と、
    前記二次巻線の他の一端と前記整流側スイッチング素子の他の一端に両端が接続され、前記主トランジスタがオフの期間中にオンして電流を流す転流側スイッチング素子と、
    前記転流側スイッチング素子の両端に接続された平滑チョーク及び平滑コンデンサの直列回路で構成され、前記平滑コンデンサ両端に出力電圧を生成して負荷に電力を供給する平滑回路と、
    双方向にオン電流が通過可能な補助トランジスタ及び補助コンデンサの直列回路で構成され、前記トランスに設けられた何れかの巻線の両端に接続され、前記主トランジスタがオフの期間中に前記補助トランジスタがオンして前記トランスの各巻線に発生する電圧を制限するクランプ回路と、
    所定のスイッチング周波数でパルス幅変調された駆動パルスを出力し、前記主トランジスタ及び前記補助トランジスタをオン・オフ制御する制御回路とを備えたスイッチング電源装置において、
    前記整流側スイッチング素子は、整流側ダイオードと、前記制御回路で生成された駆動パルスによってオン・オフされる整流側トランジスタとの並列回路で構成され、
    前記制御回路は、前記主トランジスタがオフからオンに反転する前に前記補助トランジスタがオンからオフに反転し、さらにその前に前記整流側トランジスタがオフからオンに反転する駆動パルスを各々生成することを特徴とするスイッチング電源装置。
  2. 前記主トランジスタは、両端に寄生ダイオードが形成された電界効果トランジスタであり、前記寄生ダイオードは前記直流入力電源のプラス端子側に向けて設けられていることを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
  3. 前記整流側トランジスタは、両端に寄生ダイオードが形成された電界効果トランジスタであり、前記整流側ダイオードは、前記整流側トランジスタの前記寄生ダイオードであることを特徴とする請求項1又は2記載のスイッチング電源装置。
  4. 前記制御回路は、前記主トランジスタがオフからオンに反転するタイミングと前記補助トランジスタがオンからオフに反転するタイミングとの時間差目標値、及び、前記整流側トランジスタがオフからオンに反転するタイミングとの時間差目標値があらかじめ設定され、各トランジスタが当該時間差目標値に従って反転動作を行う駆動パルスを生成することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のスイッチング電源装置。
  5. 前記制御回路は、前記主トランジスタがオフからオンに反転するタイミングと前記整流側トランジスタがオフからオンに反転するタイミングとの時間差目標値があらかじめ設定され、前記主トランジスタおよび前記整流側トランジスタが当該時間差目標値に従って反転動作を行う駆動パルスを生成し、
    さらに前記制御回路は、前記補助コンデンサに流れる電流を検出し、前記整流側トランジスタがオフからオンに反転した後、当該電流が所定の基準値を超えると、前記補助トランジスタをオンからオフに反転させる駆動パルスを生成することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のスイッチング電源装置。
  6. 前記制御回路は、前記補助トランジスタがオンからオフに反転するタイミングと前記整流側トランジスタがオフからオンに反転するタイミングとの時間差目標値があらかじめ設定され、前記補助トランジスタおよび前記整流側トランジスタが当該時間差目標値に従って反転動作を行う駆動パルスを生成し、
    さらに前記制御回路は、前記主トランジスタの両端電圧を検出し、前記補助トランジスタがオンからオフに反転した後、当該電圧が所定の基準値以下に低下すると、前記主トランジスタをオフからオンに反転させる駆動パルスを生成することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のスイッチング電源装置。
  7. 前記インバータ回路は、前記直流入力電源の両端に接続され、1つの前記主トランジスタと前記一次巻線との直列回路の構成を備えたことを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載のスイッチング電源装置。
  8. 前記インバータ回路は、前記直流入力電源の両端に接続され、互いに同位相でオン・オフする2つの主トランジスタとその間に接続された前記一次巻線との直列回路の構成を備えたことを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載のスイッチング電源装置。
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