JP2010212125A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】3層構造セパレータを具備する燃料電池セルから構成された燃料電池に関し、冷却媒体流通路が存在しない周縁領域をも効果的にクーリングすることができ、もって電極面積の利用率を効果的に向上させ、もって、発電面積利用率の可及的に高い燃料電池を提供する。
【解決手段】膜電極接合体3とその両側のガス透過層と、第1のプレート71、中間層73、第2のプレート72が積層されてなる3層構造のセパレータ7と、マニホールドMを具備するガスケット8と、からなる燃料電池セル10を有する燃料電池であり、中間層73は中央領域とその周縁の周縁領域を有し、中央領域には冷却媒体流通用の冷却用流路73cが形成され、周縁領域には、燃料ガス、酸化剤ガス、冷却媒体用の導入路や排出路が形成され、該導入路および/または排出路内に冷却機構9Aが具備されている。
【選択図】図1
【解決手段】膜電極接合体3とその両側のガス透過層と、第1のプレート71、中間層73、第2のプレート72が積層されてなる3層構造のセパレータ7と、マニホールドMを具備するガスケット8と、からなる燃料電池セル10を有する燃料電池であり、中間層73は中央領域とその周縁の周縁領域を有し、中央領域には冷却媒体流通用の冷却用流路73cが形成され、周縁領域には、燃料ガス、酸化剤ガス、冷却媒体用の導入路や排出路が形成され、該導入路および/または排出路内に冷却機構9Aが具備されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、3層構造のセパレータを備えた燃料電池に関するものである。
固体高分子型燃料電池の燃料電池セルは、イオン透過性の電解質膜と、該電解質膜を挟持するアノード側およびカソード側の触媒層とから膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)が形成され、このMEAとこれを挟持するアノード側およびカソード側のガス拡散層(GDL)とから電極体(MEGA:Membrane Electrode & Gas Diffusion Layer Assembly)が形成され、電極体に燃料ガスもしくは酸化剤ガスを提供するとともに電気化学反応によって生じた電気を集電するための金属多孔体からなるガス流路層とセパレータが電極体の両側に配されて構成されている。なお、セパレータにガス流路溝が形成された燃料電池セルも従来一般のものであり、この形態の場合にはガス流路層となる金属多孔体は不要である。実際の燃料電池スタックは、所要電力に応じた基数の燃料電池セルが積層され、スタッキングされることによって形成されている。
上記する燃料電池では、アノード電極に燃料ガスとして水素ガス等が提供され、カソード電極には酸化剤ガスとして酸素や空気が提供され、各電極では固有のガス流路層(またはセパレータに形成されたガス流路溝)にて面内方向にガスが流れ、次いでガス拡散層にて拡散されたガスが電極触媒層に導かれて電気化学反応がおこなわれるものである。
上記する燃料電池セルにおいては、膜電極接合体に供給される燃料ガスや酸化剤ガス、さらにはセルの昇温を抑止するための冷却水などの冷却媒体をシールするためのガスケットが電極体や金属多孔体の周縁に形成されている。このガスケット成形は一般に射出成形や圧縮成形にておこなわれている。たとえばガス流路となる金属多孔体を具備する燃料電池セルにおいては、成形型のキャビティ内にアノード側もしくはカソード側の一方の金属多孔体を収容し、次いで電極体を収容し、次いでアノード側もしくはカソード側の他方の金属多孔体を収容した姿勢で、電極体および金属多孔体の周縁のガスケット形成用キャビティに樹脂を注入してガスケット成形がおこなわれている。なお、キャビティ内にアノード側もしくはカソード側いずれか一方のセパレータを最初に収容し、次いで上記する構成部材を収容して射出成形をおこなう方法もある。
上記するセパレータには、たとえばチタンやステンレスからなる2枚のプレート(カソード側プレートとアノード側プレート)の間に流路が形成されたプレート(中間層、中間プレート)が介層された3層構造のものや、中間層を樹脂製の枠材とし、2枚のプレートの一方から多数のディンプルや流路を画成するリブを突出させて冷却水流路を形成するものなどがあり、この3層構造のセパレータを具備する燃料電池が特許文献1に開示されている。この構造のセパレータは、当該セル自体のアノード側もしくはカソード側のいずれか一方のセパレータであると同時に、積層姿勢において隣接するセルのアノード側もしくはカソード側の他方のセパレータとなるものである。すなわち、この3層構造セパレータを有する燃料電池セルのセル構成部材は、一つの3層構造セパレータと、アノード側およびカソード側のガス透過層(エキスパンドメタルや金属発泡焼結体などの金属多孔体からなるガス流路層)と、電極体(膜電極接合体およびガス拡散層)と、からなり、複数の燃料電池セルが積層された姿勢において、任意の燃料電池セルは、その両端にアノード側およびカソード側のセパレータを有することとなる。
ここで、3層構造セパレータの理解を容易とするべく、図4に3層構造セパレータを具備する燃料電池セルの縦断面図を示している。
同図において、燃料電池セルは、電解質膜aとこれを挟持するカソード側およびアノード側の触媒層b1、b2とから膜電極接合体cが形成され、この膜電極接合体cをカソード側およびアノード側のガス拡散層d1、d2が挟持して電極体eが形成され、電極体eをカソード側およびアノード側のガス流路層f1、f2が挟持し、アノード側のガス流路層f2の下方に、3層構造のセパレータhが配され、電極体eの側方に流体流通用のマニホールドMを具備するガスケットgが射出成形等されてその全体が構成されている。この3層構造のセパレータhは、2枚のステンレス製もしくはチタン製の第1のプレートh1(アノード側プレート)と第2のプレートh2(カソード側プレート)と、このプレートh1、h2間に介在してガスや冷却水などの流体用の流路を画成する中間層h3(中間プレート)と、から構成されている。なお、燃料電池スタックは、図示する燃料電池セルが複数積層され、スタッキングされることによって形成されるものであり、不図示の燃料電池セルが図示する燃料電池セルの上下に積層される。
中間層h3には、酸化剤ガスを不図示の燃料電池セル(図示する燃料電池セルの下方に位置することとなる燃料電池セル)のカソード側ガス流路層に提供するための酸化剤ガス導入路h3aと、図示する燃料電池セル自身のアノード側ガス流路層f2に燃料ガスを提供するための燃料ガス導入路h3b、さらには、発電経過における電極体eの昇温を抑止するための冷却媒体が流通する冷却用流路h3cが形成されている。なお、図3は、酸化剤ガスが流通するマニホールドMを通る断面で切断した縦断面図である。
ところで、燃料電池セルにおいては、その触媒層が形成された領域が一般に発電領域となっており、セパレータの全面積に対する該発電領域の割合は発電面積利用率と称され、この発電面積利用率を可及的に高くすることが求められている。
一方で、図4からも明らかなように、3層構造セパレータでは、その構造上の制約(ガスの導入路を設けたり、酸化剤ガスと燃料ガスそれぞれに固有のマニホールドを同じ側面領域に設けるなど)から、冷却媒体の流通路を発電領域の全面に対応するように設けることができない。そのため、電極体eの中央領域は冷却用流路を流れる冷却媒体によって効果的に昇温抑制が図られている一方で、その周縁に位置して、冷却用流路が存在しない周縁領域は、発電経過で電極体eに生じる昇温をクーリングすることができておらず、該周縁領域のガス流路層等において高密度電流通電時等の際に異常過熱が生じ、電解質膜にガスのクロスリーク路となり得る孔が開いたり、あるいは、異常過熱によってドライアップが助長され、燃料電池の局所的な発電落ち(発電性能低下、発電不可)が生じ得るという課題が危惧されている。
さらに、この周縁領域は、マニホールドから導入されるガスリッチな酸化剤ガスや燃料ガスが流れる領域でもあるため、発電経過において、電極体の中央領域よりも高温になり易く、上記する課題の発生が一層懸念される。
また、このような課題が危惧される周縁領域を発電領域としてカウントしないとの設計的立場に立脚した場合には、発電面積利用率を可及的に高くしたいという当該分野における目的を達することができないことにもなる。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、3層構造セパレータを具備する燃料電池セルから構成された燃料電池に関し、冷却媒体が流れる冷却用流路が存在しない周縁領域をも効果的にクーリングすることができ、もって発電経過における昇温抑制が十分におこなわれ得る発電面積を可及的に広げることができ、発電面積利用率の可及的に高い燃料電池を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による燃料電池は、電解質膜と、これよりも狭小な平面積で該電解質膜の両側で当接する触媒層と、から膜電極接合体が形成され、該膜電極接合体の両側にガス透過層が配され、いずれか一方のガス透過層側には、第1のプレート、中間層、第2のプレートが積層された3層構造のセパレータが配され、該膜電極接合体およびガス透過層の周縁にガスや冷却媒体を含む流体を流通させるマニホールドを具備するガスケットが形成されて燃料電池セルを成し、該燃料電池セルが積層されてなる燃料電池であって、前記中間層は中央領域とその周縁の周縁領域を有し、前記中央領域には、導入された冷却媒体が流通してガス透過層および膜電極接合体を冷却する冷却用流路が形成されており、前記周縁領域には、前記マニホールドに通じるとともに、燃料ガス、酸化剤ガス、冷却媒体のそれぞれに固有の導入路および排出路が形成され、該導入路および/または排出路内において、中間層の前記周縁領域に対応するガス透過層および膜電極接合体の周縁領域を冷却するための冷却機構が具備されているものである。
3層構造のセパレータは、第1のプレート(たとえばアノード側プレート)、中間層(もしくは中間プレート)、第2のプレート(たとえばカソード側プレート)が積層しており、3つのプレートともにステンレスやチタンなどから形成することができ、その軽量化を図るべく、中間層のみを熱可塑性樹脂から成形することもできる。また、3つのプレートが金属素材からなる場合には、それぞれのプレートをろう付けすることで一体化でき、中間層が樹脂製の場合には、第1のプレートと中間層、第2のプレートと中間層をそれぞれ耐熱性の接着剤等で一体化することができる。
この3層構造のセパレータは、中央領域とその周縁の周縁領域とから構成されており、中央領域においては、冷却水やエア等の冷却媒体が面内に流通する直線状もしくは蛇行状の冷却用流路が形成されており、該流路を流れる冷却媒体によって発電経過における電極体等の昇温を所望温度に抑制できるようになっている。
一方、周縁領域には、ガスケットに成形されたマニホールドを介して供給される、あるいは、セル内から排出される酸化剤ガスや燃料ガスの導入路および排出路、冷却用流路に導入され、あるいは冷却用流路から排出される冷却媒体の導入路および排出路が形成されていることなどにより、中央領域のように冷却用流路を形成することができない。そこで、本発明の燃料電池を構成する燃料電池セルのセパレータにおいては、中間層の周縁領域に形成された上記導入路、および/または排出路に適宜の冷却機構を設け、この冷却機構によって、中間層の周縁領域に対応する電極体やガス透過層の周縁領域の昇温を効果的に抑制するものである。
ここで、冷却機構の具体的な形態として、たとえば以下の2つの形態を挙げることができる。
その一つは、前記冷却機構が、中間層の前記周縁領域内に形成された前記導入路および/または排出路内に突出する冷却フィンからなる形態である。この冷却フィンは、熱伝導率の高い金属材料から成形されるのが好ましく、たとえば導入路に複数の冷却フィンが設けられていることにより、導入路を流通する燃料ガスや酸化剤ガスによって冷却フィンがクーリングされ、その際の冷熱が冷却フィンを介してたとえば中間層、第1のプレートを介して、ガス透過層や電極体の周縁領域に伝達され、当該領域の昇温抑止を図ることが可能となる。
一方、冷却機構の他の形態は、前記冷却機構が、第1のプレートおよび/または第2のプレートを変形加工して形成された、中間層の前記周縁領域内に形成された前記導入路および/または排出路内に突出する突起からなる形態である。
導入路内に、第1もしくは第2のプレートの一部が突出することにより、この突起が導入路を流通する燃料ガスや酸化剤ガスによってクーリングされ、上記冷却フィンと同様に電極体等の周縁領域の昇温抑止に繋がる。
また、前記中間層の一部が前記マニホールド内に張り出している形態であってもよい。中間層のうち、導入路や排出路が形成されていない領域は、たとえば金属素材で無垢なプレートとなっているため、このプレートの一部を、燃料ガスや酸化剤ガス、冷却媒体が流通するマニホールドに突出させておくことにより、このプレートの一部をクーリングすることができ、クーリングされたプレートを介して電極体等の周縁領域の昇温抑制を図ることができる。なお、上記する導入路内等に設けられた冷却機構と、中間層の一部をマニホールド内に突出させる形態と、が組み合わされた燃料電池セルの構造であってもよいことは勿論のことである。
なお、上記する燃料電池セルの構造は、膜電極接合体(MEA)のアノード側とカソード側の双方に拡散層基材と集電層からなるガス拡散層を具備する形態、アノード側とカソード側のいずれか一方は集電層のみを具備する(拡散層基材が廃された)形態の双方を含んでいる。また、本明細書では、これらのいずれの形態も電極体(MEGA)と称呼している。また、電極体の両側にガス流路溝が形成されたセパレータが直接配された形態は勿論のこと、いわゆるフラットタイプのセパレータと電極体の間に、ガス流路層(エキスパンドメタル等の金属多孔体)が配された形態を含むものである。さらに、「ガス透過層」とは、ガス拡散層とガス流路層の双方を含む意味である。したがって、ガス流路層を具備しないセル形態においては「ガス透過層」は「ガス拡散層」を意味するものであり、ガス拡散層とガス流路層の双方を具備するセル形態においては「ガス透過層」は「ガス拡散層」と「ガス流路層」の双方もしくはいずれか一方を意味するものである。
上記する本発明の燃料電池によれば、3層構造のセパレータを構成する中間層(中間プレート)に形成された流体用の導入路もしくは排出路に適宜の冷却機構を設けたり、あるいは、中間層の一部をマニホールド内に突出させるといった簡易な構造変更により、本来的には発電領域として見込むことができる電極体の周縁領域の発電経過における昇温を、冷却媒体にて昇温抑止が図られている中央領域と同程度にクーリングすることが可能となり、発電面積を可及的に広くすることができる。また、電極体の周縁領域が所望にクーリングされることで、上記する従来技術が掲げる課題、すなわち、高密度電流通電時等の際に周縁領域のガス流路層等に異常過熱が生じ、電解質膜にガスのクロスリーク路となり得る孔が開いたり、あるいは、異常過熱によってドライアップが助長され、燃料電池の局所的な発電落ち(発電性能低下、発電不可)が生じ得るという課題は効果的に解消される。
以上の説明から理解できるように、本発明の燃料電池によれば、3層構造のセパレータを構成する中間層に簡易な構造変更を加えるだけで、冷却用流路内を流通する冷却媒体にて直接的にクーリングされない電極体の周縁領域をも効果的にクーリングすることが可能となり、発電領域を可及的に広範囲とすることができ、発電面積利用率の可及的に高い燃料電池を提供することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、図示例は燃料電池セルの左側領域のみを取り出して拡大した図であり、実際の燃料電池セルはこれと同構造の右側領域をも有してことは言うまでもないことである。
図1,2は、本発明の燃料電池を構成する燃料電池セルの一実施の形態の一部を拡大した縦断面図である。まず、図1で示す燃料電池セル10は、電解質膜1と、カソード側およびアノード側の触媒層2,2’と、から膜電極接合体3が形成され、これをカソード側およびアノード側のガス拡散層4,4’(ガス透過層)が挟持して電極体5が形成され、これをカソード側およびアノード側のガス流路層6,6’(ガス透過層、金属多孔体)が挟持し、さらに、アノード側のガス流路層6’側に3層構造のセパレータ7が配されて構成される。
触媒層2,2’は電解質膜1に比してそれらの面積が狭小であり、したがって、電解質膜1の両側の触媒層2,2’の周縁には該触媒層2,2’が存在しない露出領域1aが形成され、この露出領域1aには、カソード側およびアノード側の不図示の保護フィルムが配されて、ガス拡散層4,4’から突出する毛羽が電解質膜1の露出領域に突き刺さるのを防護している。
ここで、膜電極接合体3を構成する電解質膜1は、たとえば、スルホン酸基やカルボニル基を持つフッ素系イオン交換膜、置換フェニレンオキサイドやスルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリアリールエーテルスルホン、スルホン化フェニレンスルファイドなどの非フッ素系のポリマーなどから形成される。
また、触媒層2,2’は、触媒が担持された導電性担体(粒子状のカーボン担体など)と、電解質と、分散溶媒(有機溶媒)と、を混合して触媒溶液(触媒インク)を生成し、これを電解質膜1やガス拡散層4,4’等の基材にたとえば塗工ブレードにて層状に引き伸ばして塗膜を形成し、温風乾燥炉等で乾燥することで触媒層が形成される。ここで、触媒溶液を形成する電解質は、プロトン伝導性ポリマーである、有機系の含フッ素高分子を骨格とするイオン交換樹脂、例えばパーフルオロカーボンスルフォン酸樹脂、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等のスルホン化プラスチック系電解質、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン、スルホアルキル化ポリエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリスルホン、スルホアルキル化ポリスルフィド、スルホアルキル化ポリフェニレンなどのスルホアルキル化プラスチック系電解質などを挙げることができる。なお、市販素材としては、ナフィオン(Nafion)(登録商標、デュポン社製)やフレミオン(Flemion)(登録商標、旭硝子株式会社製)などを挙げることができる。また、分散溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル類、芳香族系あるいはハロゲン系の種々の溶媒を挙げることができ、さらには、これらを単独で、もしくは混合液として使用することができる。さらに、触媒が担持された導電性担体に関し、この導電性担体としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどの炭素材料のほか、炭化ケイ素などに代表される炭素化合物などを挙げることができ、この触媒(金属触媒)としては、たとえば、白金や白金合金、パラジウム、ロジウム、金、銀、オスミウム、イリジウムなどのうちのいずれか一種を使用することができ、好ましくは白金または白金合金を使用するのがよい。さらに、この白金合金としては、たとえば、白金と、アルミニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ガリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、バナジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、チタンおよび鉛のうちの少なくとも一種との合金を挙げることができる。
また、ガス拡散層4,4’は、拡散層基材と集電層(MPL)からなるものであり、拡散層基材としては、電気抵抗が低く、集電を行えるものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、導電性無機物質を主とするものを挙げることができ、この導電性無機物質としては、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛及び膨張黒鉛等の炭素材やこれらのナノカーボン材料、ステンレススチール、モリブデン、チタン等を挙げることができる。また、拡散層基材の導電性無機物質の形態は特に限定されるものではなく、たとえば繊維状あるいは粒子状で用いられるが、ガス透過性の点から無機導電性繊維であって、特に炭素繊維が好ましい。無機導電性繊維を用いた拡散層基材としては、織布あるいは不織布いずれの構造のものも使用することができ、カーボンペーパーやカーボンクロスなどを挙げることができる。織布としては、紋織、平織など、特に限定されるものではなく、不織布としては、抄紙法、ウォータージェットパンチ法によるものなどが挙げられる。さらに、この炭素繊維としては、フェノール系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などを挙げることができる。さらに、集電層はアノード側、カソード側の触媒層2,2’から電子を集める電極の役割を果たすものであり、導電性材料である、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、金、銀、銅及びこれらの化合物または合金、導電性炭素材料などから形成できる。
また、金属多孔体6,6’は、エキスパンドメタルや金属発泡焼結体などから形成でき、たとえば、チタンやステンレス、銅、ニッケル等の耐食性に優れた金属素材の発泡焼結体からガス流路層が形成されるものである。
また、3層構造のセパレータ7は、ステンレスやチタンからなる金属製の第1、第2のプレート71,72と、その間に介在する中間層73(中間プレート)と、がろう付け等で一体化されたものである。
図示するセパレータ7を構成する中間層73には、自身が構成要素となる燃料電池セルのアノード側の多孔体6'に燃料ガスを供給するための燃料ガスの導入路73bと、セルの積層姿勢において隣接する不図示の燃料電池セルのカソード側の金属多孔体6に酸化剤ガスを供給するための導入路73aが形成されており、さらには、冷却水等の冷却媒体が流通する冷却用流路73cが形成されている。より具体的には、中間層73を、冷却用流路73cが存在する中央領域と、冷却用流路が存在しない、中央領域とマニホールド8の間の周縁領域と、に区分することができ、この周縁領域において、中間層73に形成された燃料ガス用の導入路73b、およびこれに連通する第1のプレート71に形成された燃料ガス用の導入路71a(コモンレールとも称される)、中間層73に形成された酸化剤ガス用の導入路73a、およびこれに連通する第2のプレート72に形成された酸化剤ガス用の導入路72aを有するものである。なお、図示しない燃料ガスや酸化剤ガスの排出路も、不図示の燃料電池セルの右側領域において、その中間層の周縁領域内に形成されている。
図1で示す燃料電池セル10では、導入路73b、73a内に熱伝導性に優れた複数の金属素材の冷却フィン9Aが、該導入路の内壁に接着剤、ろう付け、もしくは嵌合等によって配されている。
導入路73b、73a内を燃料ガスや酸化剤ガスが流通する際に(Z2方向、Z1方向)、これらのガスの冷熱によって冷却フィン9Aがクーリングされ、この冷熱により、その上方もしくは下方のガス流路層6’、6や電極体5の周縁領域が所望に冷却される。したがって、燃料電池の発電経過において、冷却用流路73cが存在する電極体の中央領域のみならず、その外周の周縁領域も効果的にクーリングされることとなり、本来的には触媒層2,2’が存在して発電領域として見込むことのできる電極体の周縁領域の発電性能を担保することができ、セル内の発電領域は可及的に広範囲となる。
一方、図2で示す燃料電池セル10Aは、第1のプレート71の周縁領域の一部を変形加工して、導入路73a,73b内に突出する突起9Bを有するものであり、図1で示す冷却フィン9Aと同様に、導入路内を流通するガスの冷熱によって該突起9Bがクーリングされ、この冷熱により、その上方もしくは下方のガス流路層6’、6や電極体5の周縁領域が所望に冷却される。
また、図3は、図1の縦断面図とは異なる部位で切断した際の縦断面図である。中間層73のうち、導入路73a,73bが形成されていない領域は、たとえば金属素材で無垢なプレートとなっているため、このプレートの一部を、マニホールドMに突出させておくことにより(突出部73’)、この突出部73’をマニホールドM内を流通する燃料ガスや酸化剤ガス、冷却媒体にてクーリングすることができ、図1で示す冷却フィン9Aに加えて、電極体5等の周縁領域の昇温抑制を図ることができる。
なお、図示を省略しているが、触媒層の周縁であって電解質膜が該触媒層と密着していない露出領域には、ガス拡散層から突出する毛羽が電解質膜に突き刺さるのを防止し、さらには、射出成形されるガスケットに対して電解質膜を補強する効果を奏する保護ポリマーフィルムが接着されている。この保護ポリマーフィルムは、ポリテトラフルオロエチレン、PVDF(二フッ化ポリビニル)、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、コポリアミド、ポリアミドエラストマ、ポリイミド、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマ、シリコーン、シリコンゴム、シリコンベースのエラストマなどから形成されるものである。
ガスケット8は、その端部のマニホールドMの周縁に該マニホールドMを囲繞する無端リブ8aを有するものである。その成形方法の概要は、不図示の成形型内にアノード側の金属多孔体6’、電極体5、カソード側の金属多孔体6の順に収容して型閉めし、膜電極接合体4の側方のガスケット用キャビティ内に樹脂を注入する(射出成形)等の方法でおこなわれる。ここで、このガスケットの材料としては、耐メタノール性を有するエポキシ系樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ウレタンRTVゴムやブチルゴム系樹脂、シリコーンRTVゴム、EPDM系樹脂等が使用できる。
実際の燃料電池は、所望する発電量に応じて図示する燃料電池セル10,10Aが所定段積層されて燃料電池スタックが形成される。さらに、この燃料電池スタックは、最外側にターミナルプレート、絶縁プレート、およびエンドプレートが配され、セル積層方向に延設するテンションプレートを介して圧縮力が加えられて燃料電池が形成される。電気自動車等に車載される燃料電池システムは、この燃料電池と、水素ガスや空気を収容する各種タンク、これらのガスを燃料電池に提供するためのブロア、燃料電池を冷却するためのラジエータ、燃料電池で生成された電力を蓄電するバッテリ、この電力で駆動する駆動モータ等から大略構成されるものである。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…電解質膜、1a…張り出している箇所、2…カソード側の触媒層、2’…アノード側の触媒層、3…膜電極接合体、4…カソード側のガス拡散層(ガス透過層)、4’…アノード側のガス拡散層(ガス透過層)、5…電極体、6…カソード側の金属多孔体(ガス透過層、ガス流路層)、6’…アノード側の金属多孔体(ガス透過層、ガス流路層)、7…セパレータ、71…第1のプレート(アノード側プレート)、72…第2のプレート(カソード側プレート)、73…中間層(中間プレート)、73a…酸化剤ガスの導入路、73b…燃料ガスの導入路、73c…冷却用流路、73’…突出部、8…ガスケット、9A…冷却フィン(冷却機構)、9B…突起(冷却機構)、10,10A…燃料電池セル、M…マニホールド
Claims (5)
- 電解質膜と、これよりも狭小な平面積で該電解質膜の両側で当接する触媒層と、から膜電極接合体が形成され、該膜電極接合体の両側にガス透過層が配され、いずれか一方のガス透過層側には、第1のプレート、中間層、第2のプレートが積層された3層構造のセパレータが配され、該膜電極接合体およびガス透過層の周縁にガスや冷却媒体を含む流体を流通させるマニホールドを具備するガスケットが形成されて燃料電池セルを成し、該燃料電池セルが積層されてなる燃料電池であって、
前記中間層は中央領域とその周縁の周縁領域を有し、
前記中央領域には、導入された冷却媒体が流通してガス透過層および膜電極接合体を冷却する冷却用流路が形成されており、
前記周縁領域には、前記マニホールドに通じるとともに、燃料ガス、酸化剤ガス、冷却媒体のそれぞれに固有の導入路および排出路が形成され、該導入路および/または排出路内において、中間層の前記周縁領域に対応するガス透過層および膜電極接合体の周縁領域を冷却するための冷却機構が具備されている、燃料電池。 - 前記冷却機構が、中間層の前記周縁領域内に形成された前記導入路および/または排出路内に突出する冷却フィンからなる、請求項1に記載の燃料電池。
- 前記冷却機構が、第1のプレートおよび/または第2のプレートを変形加工して形成された、中間層の前記周縁領域内に形成された前記導入路および/または排出路内に突出する突起からなる、請求項1に記載の燃料電池。
- 前記中間層の一部が前記マニホールド内に張り出している、請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池。
- 前記ガス透過層は、ガス拡散層、金属多孔体からなるガス流路層、該ガス拡散層と該ガス流路層の組み合わせ、のいずれかの形態からなり、
アノード側とカソード側双方のガス透過層が、複数の前記形態中の同一の形態、もしくは異なる形態のいずれかからなる、請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池。
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JP2009057740A JP2010212125A (ja) | 2009-03-11 | 2009-03-11 | 燃料電池 |
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2009
- 2009-03-11 JP JP2009057740A patent/JP2010212125A/ja not_active Withdrawn
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