JP2010209298A - 舶用シリンダー潤滑油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】飽和分が多く芳香族分の少ない基油を使用した場合に、クロスヘッド型ディーゼル機関用シリンダー潤滑油として、従来の性能に加え、より耐熱性が改善されたクロスヘッド型ディーゼル機関用シリンダー潤滑油を提供する。
【解決方法】粘度指数90以上、硫黄分0.03質量%以下で、飽和分90質量%以上を含有する潤滑油基油に、(A)アルキルフェノール構造を同一分子内に5個以上含むアルキルフェノールサルファイド金属塩を含有するフェネート系金属清浄剤を組成物全量基準で3〜15質量%、および(C)無灰分散剤を組成物全量基準で1〜8質量%含有することを特徴とするクロスヘッド型ディーゼル機関用シリンダー潤滑油組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は舶用シリンダー潤滑油組成物に関し、特にクロスヘッド型ディーゼル機関用シリンダー潤滑油組成物に関する。
クロスヘッド型ディーゼル機関にはシリンダーとピストン間を潤滑するシリンダー油と、その他の部位の潤滑と冷却を司るシステム油が使用されている。シリンダー油はシリンダーとピストン(ピストンリング)間の潤滑のために必要な適正な粘度と、ピストン、ピストンリングの運動が適正に行われるために必要な清浄性を保つ機能が求められる。さらにこの機関は、その経済性から高硫黄燃料が通常使用されるため、燃焼により生成した硫酸等の酸性成分によるシリンダー腐食の問題を抱えている。この問題を防ぐため、シリンダー油には生成する硫酸等の酸性成分を中和し、腐食を防止する機能も必要である。
一方、近年のクロスヘッド型ディーゼル機関は更なる性能の向上のため、シリンダー径の大型化(例えばボアサイズ70cm以上)、ピストンストロークの増大(例えば、平均ピストン速度で8m/s以上となるような超ロングストローク化)、燃焼圧力の増大(例えば、正味有効圧力(BMEP)1.8MPa以上)が進められる傾向にあり、ピストンやシリンダー壁温の上昇につながっている。燃焼圧力の増大は硫酸の滴点上昇を招くため、シリンダーの硫酸腐食が発生しやすい状況になってきた。さらに、この硫酸腐食防止のための方策として、シリンダー壁温を上昇させる傾向(例えば、シリンダー壁温250℃以上)にあり、しかも経済性の観点からシリンダーに注油される潤滑油量をも削減されつつあるため、シリンダーの潤滑環境は一段と厳しさを増してきた。このような環境変化に伴い、従来より高い耐熱性を有するシリンダー油が求められるようになった。
従来の舶用ディーゼルエンジン油は、基油に通常の過塩基性金属系清浄剤を主成分として含有させて摩耗防止性を維持する低コストのものが多かったが、最近になって、サリチレート系、スルホネート系、フェネート系あるいは複合系清浄剤等の様々なタイプの金属系清浄剤を主成分とし、極圧剤や分散剤を含有する船用ディーゼルエンジン油が開発されている(特許文献1〜5)が、上記のような近年のクロスヘッド型ディーゼル機関に対しては、より低コストでさらに摩耗防止性、耐焼付き性を一段と発揮させることが求められている。
さらに近年省燃費性を潤滑油に求める傾向が強まり、潤滑油の製造プロセスも粘度指数を向上させた基油を製造するプラントに変更されつつある。このため従来の基油より粘度指数が高い、すなわち飽和分が多く芳香族分の少ない基油の割合が増加しつつある。これにより舶用潤滑油にもこのプロセスで製造された基油が使用される傾向にある。しかし、飽和分が多く芳香族分の少ない基油を使用した場合、従来の添加剤処方では耐熱性が改善されるどころか、むしろ低下する現象が認められるようになった。
特開2002−275491号公報 特表2002−515933号公報 特表2002−501974号公報 特表2002−500262号公報 特開2002−241780号公報
本発明は、従来の性能に加え、飽和分が多く、芳香族分の少ない基油を使用した場合においても耐熱性が低下しない、耐熱性が改善された、クロスヘッド型ディーゼル機関用シリンダー潤滑油組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、飽和分が多く、芳香族分の少ない基油を使用した場合において、特定のフェネート系金属清浄剤および無灰分散剤を特定割合で配合した潤滑油組成物が、クロスヘッド型ディーゼル機関用シリンダー潤滑油組成物として有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、粘度指数90以上、硫黄分0.03質量%以下で、飽和分90質量%以上を含有する潤滑油基油に、(A)アルキルフェノール構造を同一分子内に5個以上含むアルキルフェノールサルファイド金属塩を含有するフェネート系金属清浄剤を組成物全量基準で3〜15質量%、および(C)無灰分散剤を組成物全量基準で1〜8質量%含有することを特徴とするクロスヘッド型ディーゼル機関用シリンダー潤滑油組成物に関する。
本発明の潤滑油組成物は、更に(B)アルキルフェノール構造を同一分子内に5個以上含むアルキルフェノールサルファイド金属塩を実質的に含有しないフェネート系金属清浄剤を組成物全量基準で1〜20質量%含有することが好ましい。
また本発明の潤滑油組成物における(C)無灰分散剤は、ホウ素含有無灰分散剤であることが好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、耐熱性に優れ、クロスヘッド型ディーゼル機関用シリンダー潤滑油組成物として好適であり、特に、ボアサイズが70cm以上に大型化され、平均ピストン速度で8m/s以上、さらには8.5m/s以上となるような超ロングストローク、燃焼圧力が正味有効圧力(BMEP)で1.8MPa以上、さらには1.9MPa以上、シリンダー壁温250℃以上、さらには260℃以上、特に270℃以上となるような条件のいずれかあるいは全てを満たす条件で運転される2ストロークサイクルディーゼル機関用シリンダー潤滑油組成物として特に優れた効果を発揮する。また本発明の潤滑油組成物は、クロスヘッド型ディーゼル機関用シリンダー油以外の各種舶用ディーゼルエンジン油、コジェネレーション用ディーゼルエンジン油としても使用することができる。
以下、本発明について詳述する。
本発明のクロスヘッド型ディーゼル機関用シリンダー潤滑油組成物(以下、単に潤滑油組成物という。)において用いる潤滑油基油は、粘度指数90以上、硫黄分0.03質量%以下で、飽和分を90質量%以上含有する基油(以下、本発明に係る潤滑油基油ともいう。)である。
本発明に係る潤滑油基油としては、具体的には、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製等の処理を1つ以上行って精製したもの、あるいはワックス異性化鉱油、フィッシャートロプシュプロセス等により製造されるGTL WAX(ガストゥリキッドワックス)を異性化する手法で製造される潤滑油基油等が例示できる。これらは1種単独で、もしくは2種以上の混合物として使用することができる。
本発明に係る潤滑油基油の粘度指数は90以上であることが必要であり、好ましくは100以上、より好ましくは110以上、さらに好ましくは120以上である。粘度指数の上限については特に制限はなく、ノルマルパラフィン、スラックワックスやGTLワックス等、あるいはこれらを異性化したイソパラフィン系鉱油も使用することができる。
なお、本発明でいう粘度指数とは、JIS K 2283−1993に準拠して測定された粘度指数を意味する。
本発明に係る潤滑油基油中の硫黄分は0.03質量%以下であることが必要であり、好ましくは0.02質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、さらに好ましくは0.005質量%以下である。
また、本発明に係る潤滑油基油における飽和分の含有量は、潤滑油基油全量を基準として、90質量%以上であることが必要であり、好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上である。
なお、本発明でいう飽和分とは、ASTM D 2007−93に記載された方法により測定される。
また、本発明に係る潤滑油基油における芳香族分は本発明の対象である溶解性の観点から、潤滑油基油全量を基準として、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。
なお、本発明でいう芳香族分とは、ASTM D 2007−93に準拠して測定された値を意味する。芳香族分には、通常、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンの他、アントラセン、フェナントレンおよびこれらのアルキル化物、更にはベンゼン環が四環以上縮合した化合物、ピリジン類、キノリン類、フェノール類、ナフトール類等のヘテロ原子を有する芳香族化合物などが含まれる。
本発明に係る潤滑油基油の100℃における動粘度は特に制限されないが、好ましくは30mm/s以下、より好ましくは27mm/s以下、さらに好ましくは25mm/s以下である。一方、当該100℃動粘度は、好ましくは7mm/s以上、より好ましくは10mm/s以上、さらに好ましくは12mm/s以上である。ここでいう100℃における動粘度とは、ASTM D−445に規定される100℃での動粘度を示す。潤滑油基油の100℃動粘度が30mm/sを超える場合には、低温粘度特性が悪化し、また十分な省燃費性が得られないおそれがあり、7mm/s未満の場合は潤滑箇所での油膜形成が不十分であるため潤滑性に劣り、また潤滑油組成物の蒸発損失が大きくなるおそれがある。
また、本発明に係る潤滑油基油の40℃における動粘度は特に制限されないが、好ましくは200mm/s以下、より好ましくは170mm/s以下、さらに好ましくは150mm/s以下である。一方、当該40℃動粘度は、好ましくは50mm/s以上、より好ましくは80mm/s以上、さらに好ましくは100mm/s以上である。潤滑油基油の40℃動粘度が200mm/sを超える場合には、低温粘度特性が悪化し、また十分な省燃費性が得られないおそれがあり、50mm/s未満の場合は潤滑箇所での油膜形成が不十分であるため潤滑性に劣り、また潤滑油組成物の蒸発損失が大きくなるおそれがある。
本発明の潤滑油組成物においては、上記本発明に係る潤滑油基油のみを用いることが好ましいが、本発明の対象となる基油組成を構成する範囲において、本発明に係る潤滑油基油と他の基油の1種または2種以上とを併用することができる。なお、本発明に係る潤滑油基油と他の基油とを併用する場合、それらの混合基油中に占める本発明に係る潤滑油基油の割合が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。本発明に係る潤滑油基油の割合が80質量%未満の場合には、本発明の効果が発揮されないおそれがある。
本発明に係る潤滑油基油と併用される他の基油としては特に制限されないが、鉱油系基油および合成系基油を挙げることができる。
鉱油系基油としては、例えば100℃における動粘度が1〜100mm/sであって、粘度指数、硫黄分あるいは飽和分のいずれかが上記条件を満たしていない、溶剤精製鉱油、水素化分解鉱油、水素化精製鉱油、溶剤脱ろう基油などが挙げられる。
合成系基油としては、具体的には、ポリブテン又はその水素化物;1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリα−オレフィン又はその水素化物;ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のジエステル;トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のポリオールエステル;マレイン酸ジブチル等のジカルボン酸類と炭素数2〜30のα−オレフィンとの共重合体;アルキルナフタレン、アルキルベンゼン、芳香族エステル等の芳香族系合成油又はこれらの混合物等が例示できる。
本発明に係る潤滑油基油の蒸発損失量としては、NOACK蒸発量で20質量%以下であることが好ましく、16質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。潤滑油基油のNOACK蒸発量が20質量%を超える場合、潤滑油の蒸発損失が大きく、粘度増加等の原因となるため好ましくない。なお、ここでいうNOACK蒸発量とは、ASTM D 5800に準拠して測定される潤滑油の蒸発量を測定したものである。
本発明において(A)成分として用いるアルキルフェノール構造を同一分子内に5個以上含むアルキルフェノールサルファイド金属塩を含有するフェネート系金属清浄剤(以下、フェネート系金属清浄剤(A)という。)は、例えば、下記一般式(1)で示される構造のアルキルフェノールサルファイドのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はその(過)塩基性塩を含有するフェネート系金属清浄剤であって、アルキルフェノール構造を同一分子内に5個以上含むアルキルフェノールサルファイド金属塩を必須成分として含有するものである。
上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウム、カルシウム等が挙げられ、マグネシウム又はカルシウムが好ましく、カルシウムが特に好ましい。
Figure 2010209298
式(1)中、Rはそれぞれ独立に、炭素数6〜21の直鎖又は分枝、飽和又は不飽和のアルキル基を示す。該アルキル基の炭素数は、好ましくは9〜18、より好ましくは9〜15である。炭素数が6より短いと潤滑油基油に対する溶解性に劣るおそれがあり、炭素数が21より長いと製造が難しく、また耐熱性に劣るおそれがある。重合度mは4〜10であり、Sは硫黄元素、xは1〜3、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、アルカリ金属の場合は、炭酸基はつかない。y、z、nはそれぞれ独立した整数であり、カルシウムに基づく塩基価が400以下となる数である。
フェネート系金属清浄剤(A)としては、式(1)で示される重合度mが4〜5の成分を含有することが好ましい。さらにmが4〜5の成分を5モル%以上含有することが好ましく、10モル%以上含有することがより好ましく、20モル%以上含有することがより好ましくい。
フェネート系金属清浄剤(A)の塩基価は50〜400mgKOH/gの範囲が好ましく、100〜350mgKOH/gの範囲がより好ましく、120〜300mgKOH/gの範囲が更に好ましい。該塩基価が50mgKOH/g未満の場合は、腐食摩耗が増大するおそれがあり、400mgKOH/gを超える場合は溶解性に問題を生ずるおそれがある。
なお、ここでいう塩基価とは、JIS K2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験法」の7.に準拠して測定される過塩素酸法による塩基価を意味する。
フェネート系金属清浄剤(A)の金属比は特に制限はないが、下限は1以上、好ましくは2以上、特に好ましくは2.5以上、上限は好ましくは20以下、より好ましくは15以下、特に好ましくは10以下のものを使用することが望ましい。なお、ここでいう金属比とは、フェネート系金属清浄剤(A)における金属元素の価数×金属元素含有量(モル%)/せっけん基含有量(モル%)で表され、金属元素とは、カルシウム、マグネシウム等、せっけん基とはフェノール基を意味する。
本発明の潤滑油組成物において、上記(A)成分の含有割合は、組成物全量基準で、3〜15質量%であり、好ましくは4〜12質量%、特に好ましくは5〜11質量%である。含有割合が3質量%未満の場合は必要とする耐熱性が得られないおそれがあり、15質量%を超える場合は流動性に問題を生ずるおそれがある。
本発明の潤滑油組成物においては、前記フェネート系金属清浄剤(A)に加えて、(B)成分として、アルキルフェノール構造を同一分子内に5個以上含むアルキルフェノールサルファイド金属塩を実質的に含有しないフェネート系金属清浄剤(以下、フェネート系金属清浄剤(B)という。)を更に含むことが好ましい。ここで言う実質的に含有しないとは、式(1)に示される重合度mが4以上のアルキルフェノールサルファイド金属塩の含有割合が5モル%未満であること、すなわち重合度mが3以下のものの含有割合が95モル%以上であることをいう。
本発明において用いることのできるフェネート系金属清浄剤(B)としては、下記一般式(2)に示す構造を有するアルキルフェノールサルファイドのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、及び/又はその(過)塩基性塩が挙げられる。
Figure 2010209298
式(2)中、Rはそれぞれ個別に、炭素数6〜21を有する直鎖または分枝、飽和または不飽和のアルキル基を示し、重合度mは1〜3であり、Sは硫黄元素、xは1〜3、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、アルカリ金属の場合は、炭酸基はつかない。なおy、z、nはそれぞれ独立した整数であり、カルシウムに基づく塩基価が400以下となる数である。
本発明においてはフェネート系金属清浄剤(B)として、式(2)に示す重合度mが1〜3のアルキルフェノールサルファイド金属塩の1種又は2種以上の混合物を使用することができる。
式(2)におけるアルキル基の炭素数は6〜21であり、好ましくは炭素数9〜18、より好ましくは炭素数9〜15である。炭素数が6より短いと基油に対する溶解性に劣るおそれがあり、炭素数が21より長いと製造が難しくまた耐熱性に劣るおそれがある。
式(2)で示すアルキルフェノールサルファイド金属塩を構成する、アルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウム、カルシウム等が挙げられ、マグネシウム及び/又はカルシウムが好ましく、カルシウムが特に好ましく用いられる。
本発明において用いることのできるフェネート系金属清浄剤(B)の塩基価は50〜400mgKOH/gの範囲であることが好ましく、100〜350mgKOH/gの範囲であることがより好ましく、120〜300mgKOH/gの範囲であることが更に好ましい。金属系清浄剤の塩基価が50mgKOH/g未満の場合には、腐食摩耗が増大するおそれがあり、400mgKOH/gを超える場合には溶解性に問題を生ずるおそれがある。
フェネート系金属清浄剤(B)の金属比に特に制限はないが、下限は1以上、好ましくは2以上、特に好ましくは2.5以上、上限は好ましくは20以下、より好ましくは15以下、特に好ましくは10以下のものを使用することが望ましい。
フェネート系金属清浄剤(B)の組成物全量中における含有量は1〜20質量%が好ましく、より好ましくは2〜18質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。含有量が20質量%を超える場合には流動性に問題を生ずるおそれがあり、含有量が1質量%未満の場合には必要とする耐熱性が得られないおそれがある。
(B)成分と(A)成分の比((B)/(A))に関しては、モル比で0.1〜3.0が好ましく、0.2〜2.7であることがより好ましく、0.3〜2.3であることが更に好ましい。(B)/(A)比が0.1未満の場合は流動性に問題を生ずるおそれがあり、3.0を超える場合は必要とする耐熱性が得られないおそれがある。
本発明の潤滑油組成物においては、塩基価を調整するために更に前記フェネート系金属清浄剤(A)およびフェネート系金属清浄剤(B)以外の金属系清浄剤を含有することができる。具体的には、スルホネート系清浄剤、サリチレート系清浄剤、カルボキシレート系清浄剤およびホスホネート系清浄剤から選ばれる1種以上の金属系清浄剤を使用することができる。
スルホネート系清浄剤としては、分子量300〜1500、好ましくは400〜700のアルキル芳香族化合物をスルフォン化することによって得られるアルキル芳香族スルフォン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、及び/又はその(過)塩基性塩を用いることができる。また、アルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウム、カルシウム等が挙げられ、マグネシウム及び/又はカルシウムが好ましく、カルシウムが特に好ましく用いられる。
上記アルキル芳香族スルフォン酸としては、具体的にはいわゆる石油スルフォン酸や合成スルフォン酸等が挙げられる。ここでいう石油スルフォン酸としては、一般に鉱油の潤滑油留分のアルキル芳香族化合物をスルフォン化したものやホワイトオイル製造時に副生する、いわゆるマホガニー酸等が用いられる。また合成スルフォン酸としては、例えば洗剤の原料となるアルキルベンゼン製造プラントから副生したり、ポリオレフィンをベンゼンにアルキル化することにより得られる、直鎖状や分枝状のアルキル基を有するアルキルベンゼンをスルフォン化したもの、あるいはジノニルナフタレン等のアルキルナフタレンをスルフォン化したもの等が用いられる。またこれらアルキル芳香族化合物をスルフォン化する際のスルフォン化剤としては特に制限はないが、通常、発煙硫酸や無水硫酸が用いられる。
サリチレート系清浄剤としては、炭素数1〜19の炭化水素基を1つ有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属サリチレート及び/又はその(過)塩基性塩、炭素数20〜40の炭化水素基を1つ有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属サリチレート及び/又はその(過)塩基性塩、炭素数1〜40の炭化水素基を2つ又はそれ以上有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属サリチレート及び/又はその(過)塩基性塩(これら炭化水素基は同一でも異なっていても良い)等が挙げられる。これらの中では、低温流動性に優れる点で、炭素数8〜19の炭化水素基を1つ有するアルカリ金属又はアルカリ土類金属サリチレート及び/又はその(過)塩基性塩を用いることが望ましい。また、アルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウム、カルシウム等が挙げられ、マグネシウム及び/又はカルシウムが好ましく、カルシウムが特に好ましく用いられる。
本発明において用いる前記フェネート系金属清浄剤(A)および(B)以外の金属系清浄剤の塩基価は、100〜500mgKOH/gの範囲であることが好ましく、120〜450mgKOH/gの範囲であることがより好ましく、150〜400mgKOH/gの範囲であることが更に好ましい。金属系清浄剤の塩基価が100mgKOH/g未満の場合には、腐食摩耗が増大するおそれがあり、500mgKOH/gを超える場合には溶解性に問題を生ずるおそれがある。
金属比に特に制限はないが、下限は好ましくは1以上、より好ましくは2以上、特に好ましくは2.5以上、上限は好ましくは20以下、より好ましくは15以下、特に好ましくは10以下のものを使用することが望ましい。
本発明の潤滑油組成物において、フェネート系金属清浄剤(A)および(B)以外の金属系清浄剤の含有量は、組成物全量基準で、潤滑油基油等の希釈剤を含む形で、0〜30質量%、好ましくは0〜20質量%、特に好ましくは0〜15質量%である。
本発明の潤滑油組成物は必須成分として(C)無灰分散剤を含有する。(C)無灰分散剤としては、潤滑油に用いられる任意の無灰分散剤が使用でき、例えば、炭素数40〜400、好ましくは60〜350の直鎖若しくは分枝状のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物又はその誘導体、マンニッヒ系分散剤、あるいはアルケニルコハク酸イミドの変性品等が挙げられる。使用に際してはこれらの中から任意に選ばれる1種あるいは2種以上を配合することができる。
前記含窒素化合物又はその誘導体のアルキル基又はアルケニル基の炭素数が40未満の場合は、潤滑油基油に対する溶解性が低下し、一方、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が400を超える場合は、潤滑油組成物の低温流動性が悪化するためそれぞれ好ましくない。このアルキル基又はアルケニル基は、直鎖状でも分枝状でもよいが、好ましいものとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマーやエチレンとプロピレンとのコオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基や分枝状アルケニル基等が挙げられる。
(C)成分としては、例えば、以下の(C−1)成分〜(C−3)成分から選択される1種又は2種以上の化合物を用いることができる。
(C−1)炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するコハク酸イミド、あるいはその誘導体
(C−2)炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するベンジルアミン、あるいはその誘導体
(C−3)炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するポリアミン、あるいはその誘導体
上記(C−1)成分としては、下記一般式(3)又は(4)で示される化合物等が例示できる。
Figure 2010209298
式(3)中、Rは炭素数40〜400、好ましくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、hは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示す。一方、式(4)中、R及びRは、それぞれ個別に炭素数40〜400、好ましくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、特に好ましくはポリブテニル基である。またiは0〜4、好ましくは1〜3の整数を示す。
(C−1)成分には、ポリアミンの一端に無水コハク酸が付加した式(3)で表される、いわゆるモノタイプのコハク酸イミドと、ポリアミンの両端に無水コハク酸が付加した式(4)で表される、いわゆるビスタイプのコハク酸イミドとが含まれるが、本発明の潤滑油組成物には、それらのいずれも、あるいはこれらの混合物が含まれていても良い。
これら(C−1)成分であるコハク酸イミドの製法は特に制限はなく、例えば、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を有する化合物を、無水マレイン酸と100〜200℃で反応させて得たアルキルコハク酸又はアルケニルコハク酸をポリアミンと反応させることにより得られる。
ポリアミンとしては、具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等が例示できる。
上記(C−2)成分としては、具体的には下記一般式(5)で表される化合物等が例示できる。
Figure 2010209298
式(5)中、Rは炭素数40〜400、好ましくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、jは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示す。
この(C−2)成分であるベンジルアミンの製法は特に制限はなく、例えば、プロピレンオリゴマー、ポリブテン、又はエチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンを、フェノールと反応させてアルキルフェノールとした後、これにホルムアルデヒドと、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、又はペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンとをマンニッヒ反応により反応させることにより得られる。
(C−3)成分としては、具体的には、下記一般式(6)で表される化合物等が例示できる。
−NH−(CHCHNH)−H (6)
式(6)中、Rは炭素数40〜400、好ましくは60〜350のアルキル基又はアルケニル基を示し、kは1〜5、好ましくは2〜4の整数を示す。
この(C−3)成分であるポリアミンの製法は特に制限はなく、例えば、プロピレンオリゴマー、ポリブテン、及びエチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンを塩素化した後、これにアンモニアやエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、又はペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンを反応させることにより得られる。
前記(C)成分の1例として挙げた含窒素化合物の誘導体としては、例えば、前述の含窒素化合物にホウ酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆるホウ素変性化合物;前述の含窒素化合物に炭素数1〜30のモノカルボン酸(脂肪酸等)やシュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸若しくはこれらの無水物、又はエステル化合物、炭素数2〜6のアルキレンオキサイド、ヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレンカーボネート等を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆる含酸素有機化合物による変性化合物;前述の含窒素化合物にリン酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆるリン酸変性化合物;前述の含窒素化合物に硫黄化合物を作用させた硫黄変性化合物;及び前述の含窒素化合物にホウ素変性、含酸素有機化合物による変性、リン酸変性、硫黄変性から選ばれた2種以上の変性を組み合わせた変性化合物等が挙げられる。
(C)成分として、ホウ素含有無灰分散剤を用いる場合には、ホウ素含有無灰分散剤中のホウ素含有量は1.2質量%以上であることが好ましく、1.8質量%以上であることがより好ましい。
本発明で用いる(C)無灰分散剤としては、特にホウ素含有無灰分散剤が好ましく、アルケニルコハク酸イミドのホウ酸変性化合物が更に好ましく、ビスタイプのアルケニルコハク酸イミドのホウ酸変性化合物が最も好ましい。ホウ素含有無灰分散剤を(A)成分と併用することで、耐熱性を更に向上させることができる。またホウ素変性無灰分散剤に加えて、ホウ素を含有しない無灰分散剤を併用することも清浄性を更に上げる上で好ましい。
本発明の潤滑油組成物において、(C)成分の含有量は、組成物全量基準で、1.0質量%以上であることが必要であり、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは2.5質量%以上である。(C)成分の含有量が1.0質量%未満の場合には、十分な耐熱性が得られないおそれがある。また(C)成分の含有量は、組成物全量基準で、8質量%以下であり、好ましくは5質量%以下である。
また、(C)成分の含有量は、組成物全量基準で、窒素量として0.005〜0.4質量%であり、好ましくは0.01〜0.2質量%、さらに好ましくは0.01〜0.1質量%、特に好ましくは0.02〜0.05質量%である。また、ホウ素含有無灰分散剤を使用する場合、その含有量に特に制限はないが、組成物全量基準で、ホウ素量として、好ましくは0.001〜0.1質量%、より好ましくは0.005〜0.05質量%、特に好ましくは0.01〜0.04質量%である。潤滑油組成物としてのホウ素含有量と窒素含有量との質量比(B/N比)は特に制限はないが、好ましくは0.5〜1、より好ましくは0.7〜0.9である。B/N比が高いほど摩耗防止性、耐焼付き性を向上しやすく、1を超える場合は、安定性に懸念があるため望ましくない。
本発明の潤滑油組成物は極圧剤を含有することができる。用いることができる極圧剤としては、潤滑油に用いられる任意の極圧剤・摩耗防止剤が使用できる。例えば、硫黄系、リン系、硫黄−リン系の極圧剤等が使用でき、具体的には、亜リン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、ジチオリン酸エステル類、トリチオリン酸エステル類、これらのアミン塩、これらの金属塩、これらの誘導体、ジチオカーバメート、亜鉛ジチオカーバメート、モリブデンジチオカーバメート、ジサルファイド類、ポリサルファイド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等が挙げられる。
本発明において、極圧剤・摩耗防止剤としては、ジチオリン酸亜鉛及び/又はポリサルファイド類を使用することが好ましい。
本発明の潤滑油組成物において、極圧剤を使用する場合、その含有量には特に制限はないが、組成物全量基準で、0.05〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2質量%、特に好ましくは0.2〜1質量%である。本発明の潤滑油組成物において極圧剤を含有させる場合、0.05質量%未満では摩耗防止性、耐焼付き性をさらに向上させる効果が少なく、5質量%を超える場合は組成物の高温清浄性が大幅に悪化するためそれぞれ好ましくない。
本発明の潤滑油組成物は、上記構成に加え、その性能を更に向上させるため又は他に要求される性能を付加するために、その目的に応じて潤滑油に一般的に使用されている任意の添加剤をさらに添加することができる。このような添加剤としては、例えば、酸化防止剤、摩擦調整剤、粘度指数向上剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤、及び着色剤等の添加剤を挙げることができる。
酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系等の無灰酸化防止剤、銅系、モリブデン系等の金属系酸化防止剤が挙げられる。これらの含有量は、組成物全量基準で、通常0.1〜5質量%である。
摩擦調整剤としては、脂肪酸エステル系、脂肪族アミン系、脂肪酸アミド系等の無灰摩擦調整剤、モリブデンジチオカーバメート、モリブデンジチオホスフェート等の金属系摩擦調整剤等が挙げられる。これらの含有量は、組成物全量基準で、通常0.1〜5質量%である。
粘度指数向上剤としては、ポリメタクリレート系粘度指数向上剤、オレフィン共重合体系粘度指数向上剤、スチレン−ジエン共重合体系粘度指数向上剤、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体系粘度指数向上剤又はポリアルキルスチレン系粘度指数向上剤等が挙げられる。これら粘度指数向上剤の質量平均分子量は、通常800〜1,000,000、好ましくは100,000〜900,000である。また、粘度指数向上剤の含有量は、組成物全量基準で通常0.1〜20質量%である。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、又はイミダゾール系化合物等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、又は多価アルコールエステル等が挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、又はポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、又はβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度が0.1〜100mm/sのシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリチレートとo−ヒドロキシベンジルアルコール、アルミニウムステアレート、オレイン酸カリウム、N−ジアルキル−アリルアミンニトロアミノアルカノール、イソアミルオクチルホスフェートの芳香族アミン塩、アルキルアルキレンジホスフェート、チオエーテルの金属誘導体、ジスルフィドの金属誘導体、脂肪族炭化水素のフッ素化合物、トリエチルシラン、ジクロロシラン、アルキルフェニルポリエチレングリコールエーテルスルフィド、フルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
これらの添加剤を本発明の潤滑油組成物に含有させる場合には、その含有量は組成物全量基準で、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤ではそれぞれ通常0.005〜5質量%、金属不活性化剤では通常0.005〜1質量%、消泡剤では通常0.0005〜1質量%の範囲から選ばれる。
なお、本発明の潤滑油組成物の100℃における動粘度については特に制限はないが、好ましくは6〜50mm/s、より好ましくは9.3〜30mm/s、特に好ましくは12.5〜21.9mm/sである。
また、本発明の潤滑油組成物の塩基価については特に制限はないが、アスファルテンを含有する高硫黄燃料を使用する場合に対しても優れた高温清浄性と酸中和性能を付加するためには、好ましくは5〜100mgKOH/gであり、下限はより好ましくは10mgKOH/g以上、さらに好ましくは20mgKOH/g以上であり、上限はより好ましくは90mgKOH/g以下、さらに好ましくは80mgKOH/g以下である。
本発明の潤滑油組成物の金属量については特に制限はないが、下限は好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、さらに好ましくは0.7質量%以上であり、上限は好ましくは3.6質量%以下、より好ましくは3.2質量%以下、さらに好ましくは2.9質量%以下である。金属含有量が0.2質量%未満の場合は、燃焼で生じる酸性物質の中和力が十分でなく、高温清浄性も十分発揮されない。一方、3.6質量%を超える場合は、ピストンに付着し燃焼した後の灰分がピストンに付着し、シリンダーの摩耗を増加させるので好ましくない。
また、本発明の潤滑油組成物の硫酸灰分量については特に制限はないが、下限は好ましくは1.2質量%以上、より好ましくは2質量%以上、特に好ましくは3質量%以上であり、上限は好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。なお、ここでいう硫酸灰分とは、JIS K2272の5.「硫酸灰分の試験方法」に規定される方法により測定される値を示し、主として金属含有添加剤に起因するものである。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
(実施例1〜4、比較例1〜4)
表1に示す基油を用いて、表2に示す本発明の潤滑油組成物(実施例1〜4)、比較用の潤滑油組成物(比較例1〜4)をそれぞれ調製した。得られた組成物について、ホットチューブ試験(HTT)により高温清浄性を評価し、その結果を表2に併記した。なお、添加剤を加えた状態での組成物の100℃における動粘度が20mm/sとなるよう2種の基油の配合割合を調整した。また組成物の塩基価が70mgKOH/gになるよう金属系清浄剤を添加した。
(添加剤)
カルシウムフェネート(A):アルキルフェノール構造を同一分子内に5個以上含むアルキルフェノールサルファイド金属塩の割合が21モル%のフェネート、カルシウム含量5.1質量%、塩基価150mgKOH/g
カルシウムフェネート(B):アルキルフェノール構造を同一分子内に5個以上含むアルキルフェノールサルファイド金属塩を含有しないフェネート、カルシウム含量9.1質量%、塩基価250mgKOH/g
コハク酸イミド(C1):ビスタイプ、窒素含有量2.2質量%、ホウ素含有量1.7質量%
コハク酸イミド(C2):ビスタイプ、窒素含有量1.0質量%、ホウ素含有量0質量%
カルシウムスルホネート(D):カルシウム含量15.4質量%、塩基価400mgKOH/g
ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)(E):亜鉛含量8.8質量%、リン含量8.0質量%
(耐熱性試験方法)
エンジン油の高温堆積物防止性評価のための、JPI−5S−55−99(ホットチューブ試験、HTT)に準拠して、耐熱性の評価を行なった。ホットチューブ試験において、320℃以上の試験温度で、試験時間16h後の評点7.0以上を合格と判定した。
Figure 2010209298
Figure 2010209298
表2の結果から明らかなように、本発明の潤滑油組成物はいずれもHTT試験において良好な成績を示す。これに対し、アルキルフェノール構造を同一分子内に5個以上含むアルキルフェノールサルファイド金属塩を含有しないフェネートのみを用いた組成物の場合、および無灰分散剤含有量が少ない組成物の場合はHTT試験の成績が劣る。
本発明の潤滑油組成物は、耐熱性に優れ、クロスヘッド型ディーゼル機関用シリンダー潤滑油組成物として好適であり、特に、最新型の、ボアサイズが70cm以上に大型化され、平均ピストン速度で8m/s以上、さらには8.5m/s以上となるような超ロングストローク、燃焼圧力が正味有効圧力(BMEP)で1.8MPa以上、さらには1.9MPa以上、シリンダー壁温250℃以上、さらには260℃以上、特に270℃以上となるような条件のいずれかあるいは全てを満たす条件で運転される2ストロークサイクルディーゼル機関用シリンダー潤滑油組成物として特に優れた効果を発揮する。

Claims (3)

  1. 粘度指数90以上、硫黄分0.03質量%以下で、飽和分90質量%以上を含有する潤滑油基油に、(A)アルキルフェノール構造を同一分子内に5個以上含むアルキルフェノールサルファイド金属塩を含有するフェネート系金属清浄剤を組成物全量基準で3〜15質量%、および(C)無灰分散剤を組成物全量基準で1〜8質量%含有することを特徴とするクロスヘッド型ディーゼル機関用シリンダー潤滑油組成物。
  2. (B)アルキルフェノール構造を同一分子内に5個以上含むアルキルフェノールサルファイド金属塩を実質的に含有しないフェネート系金属清浄剤を組成物全量基準で1〜20質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のクロスヘッド型ディーゼル機関用シリンダー潤滑油組成物。
  3. (C)無灰分散剤がホウ素含有無灰分散剤であることを特徴とする請求項1または2に記載のクロスヘッド型ディーゼル機関用シリンダー潤滑油組成物。
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