JP2010209195A - 断熱性能に優れた押出発泡成形体 - Google Patents

断熱性能に優れた押出発泡成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】 発泡剤としてフロン類を使用することなく、顕著な断熱性能の改善効果を有する断熱材用押出発泡積層体を提供することを課題とする。
【解決手段】 発泡剤を含有する溶融樹脂と発泡剤を含まない溶融樹脂を高圧下で厚み方向に合流させた後、大気圧下に開放することによって得られる押出発泡積層体であって、該押出発泡積層体が、厚み方向に発泡層が非発泡層を介して積層された構造を有すると共に、該非発泡層中に少なくとも1種の熱線輻射抑制材を含む、押出発泡積層体を使用する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、建築用、自動車用、土木用などの断熱材として好適に使用される押出発泡積層体に関する。
建材分野、自動車内装材分野等において、断熱材としてフェノール系樹脂発泡ボード、ポリウレタン系樹脂発泡ボード、ポリスチレン系樹脂発泡ボードが広く使用されている。
近年、居住空間の快適性、省エネルギーの要求が高まるなか、従来から使用されている断熱材の断熱性能の向上が求められており、発泡ボードの断熱性能改善のため、発泡ボードを構成する樹脂の検討、発泡剤種の検討、添加剤の検討、セル構造の検討等、様々な検討がなされてきた(例えば、特許文献1〜6参照)。
これらの検討の結果、発泡ボードの断熱性能は飛躍的に向上し、前記従来技術の延長線上では、断熱性能の更なる向上は容易に見込めない領域に達した観がある。
一方、発泡ボードに良好な断熱性能を付与する発泡剤の1種であるフロン類は、オゾン層を破壊する原因物質とされており、その使用、排出は制約を受け、更に地球環境的側面から、全廃が叫ばれて久しい。
このような状況下において、発泡ボードの更なる断熱性能改善を図るには、前記従来から行われてきた検討の視点とは異なるアプローチが必要である。
発泡ボードの断熱性能改善に関する新たな試みとして、特許文献7に開示の技術がある。これは、2枚のポリプロピレン系樹脂発泡体の間にアルミ箔を挟みこむ内容の発明であり、アルミ箔を挟み込むことにより断熱性能が顕著に改善されるものである。但し、特許文献7に開示の技術は、発泡体を製造した後に、後加工によってアルミ箔を挟み込む技術であるため、発泡体製造直後、発泡体のセル内圧が減圧下にあるため外気に触れることによって、熱伝導率が発泡剤に比べ高い空気のセル内への流入が発生し、断熱性能が低下する。このため、発泡体セル内への空気流入の抑制によって、更なる断熱性能の改善が期待されている。
更に、特許文献7に開示の技術は、発泡層に挟み込む材料として発泡層を構成する樹脂と非相溶性、難接着性の材料であるアルミ箔のみに限定しているため、発泡層とアルミ箔を積層する際に粘着剤の介在が必須となる。その結果、特許文献7に開示の技術は、工程が煩雑となる、コスト的に不利になるなど工業化レベルに到達するには、改善が必要である。
特開2008−13659号公報 特開2007−154006号公報 特開2001−114922号公報 特開2002−309030号公報 特開平8−231667号公報 特開2007−332203号公報 特開2001−179866号公報
本発明は、前記課題を解決するものであり、発泡剤としてフロン類を使用することなく、顕著な断熱性能の改善効果を有する断熱材用押出発泡積層体を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記の事項等を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)発泡積層体の製造方法として共押出法を用いることにより、製造直後に発生する発泡層セル内への空気の侵入を非発泡層が抑止すること。
(2)樹脂への練り込みが可能なアルミペースト、カーボングラファイト等の添加剤を非発泡層の構成樹脂へ配合することにより、容易に熱線輻射抑制効果を非発泡層に付与することが可能となり、従来のアルミ箔を積層する際に必要とされていた煩雑な工程を経ずに、工業的に有利な共押出法にて、発泡層/非発泡層(熱線輻射抑制材を含有)/発泡層からなる構造を有する発泡積層体が得られること。
(3)発泡積層体の厚み方向に、両面が発泡層に被覆された熱線輻射抑制材を含む非発泡層を複数層有する発泡積層体が、1層のみ有する発泡積層体よりも断熱性能がより改善されること。
すなわち、本発明は、
[1] 発泡剤を含有する溶融樹脂と発泡剤を含まない溶融樹脂を高圧下で厚み方向に合流させた後、大気圧下に開放することによって得られる押出発泡積層体であって、該押出発泡積層体が、厚み方向に発泡層が非発泡層を介して積層されてなる構造を有すると共に、該非発泡層中に少なくとも1種の熱線輻射抑制材を含むことを特徴とする、押出発泡積層体、
[2] 前記熱線輻射抑制材が、熱線反射材および/または熱線吸収材であることを特徴とする、[1]記載の押出発泡積層体、
[3] 前記熱線反射材が、アルミニウム系化合物、マグネシウム系化合物、銀系化合物およびチタン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、[2]記載の押出発泡積層体、
[4] 前記熱線反射材がアルミニウムペーストであることを特徴とする、[2]または[3]に記載の押出発泡積層体、
[5] 前記熱線反射材が酸化チタンであることを特徴とする、[2]または[3]に記載の押出発泡積層体、
[6] 前記熱線吸収材が、カーボングラファイト、カーボンブラック、硫酸金属塩およびアンチモン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、[2]記載の押出発泡積層体、
[7] 前記熱線吸収材がカーボングラファイトであることを特徴とする、[2]または[6]に記載の押出発泡積層体、
[8] 前記熱線吸収材がカーボンブラックであることを特徴とする、[2]または[6]に記載の押出発泡積層体、
[9] 前記熱線吸収材が酸化アンチモンであることを特徴とする、[2]または[6]に記載の押出発泡積層体、
[10] 前記熱線吸収材が硫酸バリウムであることを特徴とする、[2]または[6]に記載の押出発泡積層体、
[11] 前記押出発泡積層体の厚み方向に非発泡層が1〜5層存在すること特徴とする、[1]〜[10]のいずれかに記載の押出発泡積層体、
[12] 前記発泡層を構成する樹脂が、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、または、変性ポリフェニレン系樹脂であることを特徴とする、[1]〜[11]のいずれか1項に記載の押出発泡積層体、
[13] 前記発泡層を構成する樹脂がポリスチレン系樹脂であることを特徴とする、[12]に記載の押出発泡積層体、および
[14] 20℃における熱伝導率が0.034W/mK以下であることを特徴とする、[1]〜[13]のいずれか1項に記載の押出発泡積層体
に関する。
本発明の発泡積層構造による効果は、以下のとおりである。
・厚み方向に発泡層が熱線輻射抑制材を含む非発泡層を介して積層された発泡積層体構造をとることによって、発泡積層体の断熱性能を改善することができる。
・発泡積層体中の熱線輻射抑制材を含む非発泡層の層数を増やすことにより、発泡積層体の断熱性能をより改善することができる。
・発泡積層体の製造方法として共押出法を用いることにより、製造直後に発生する発泡層セル内への空気の侵入を非発泡層が抑止することができ、特に厚み方向に発泡層の両面が発泡層によって被覆された構造をとることにより、外気からの発泡層セル内への空気の浸入が抑制され、得られる発泡積層体の断熱性能をさらに改善することができる。
上記発泡積層構造による効果は、発泡ボードの断熱性改善を目的とする他の従来技術との組み合わせが可能であるため、従来にない優れた断熱性能を有する発泡ボードの提供を期待できる。
図1は、本発明に係る押出発泡積層体の厚みの測定位置を示す模式図である。 図2は、本発明に係る押出発泡積層体の幅の測定位置を示す模式図である。 図3は、本発明に係る押出発泡積層体の密度測定位置を示す模式図である。 図4は、本発明に係る押出発泡積層体の気泡内の空気の分圧測定試験片の切り出し位置を示す模式図である。 図5は、本発明に係る押出発泡積層体の幅方向断面の模式図である。 図6は、本発明に係る押出発泡積層体の幅方向断面の模式図である。
本発明の押出発泡積層体としては、発泡剤を含有する溶融樹脂と発泡剤を含まない溶融樹脂を高圧下で厚み方向に合流させた後、大気圧下に開放する共押出法によって得られること、厚み方向に発泡層が非発泡層を介して積層された構造を有し、且つ、非発泡層中に熱線輻射抑制材を含むことが好ましい。
本発明の押出発泡積層体を構成する発泡層とは、密度が500kg/m以下の層をいい、複数のハニカム状のセル(以降、「気泡」と称する場合もある)構造を有するものをいう。その形状としては、特に限定されず、フィルム形状、シート形状、ボード形状が挙げられ、これらの中でも、断熱性能を発現しやすいこと、押出発泡積層体に軽量性を付与できることより、シート形状、ボード形状が好ましい。
本発明の押出発泡積層体を構成する非発泡層とは、密度が500kg/m超の層をいい、その形状としては、押出発泡積層体に軽量性を付与できることより、フィルム形状、シート形状が好ましく、その構成としては、樹脂中に少なくとも1種類の熱線輻射抑制材を含むものである。
本発明の押出発泡積層体を構成する非発泡層中に含まれる熱線輻射抑制材とは、近赤外または赤外領域(例えば、800〜3000nm程度の波長域)の光を反射・散乱・吸収する特性を有する物質をいい、黒体放射率が発泡層および非発泡層を構成する樹脂よりも小さいものをいう。
熱線輻射抑制材としては、以下に述べる熱線反射材、熱線吸収材が挙げられる。
熱線反射材としては、近赤外または赤外領域(例えば、800〜3000nm程度の波長域)の光を反射・散乱する物質であれば、特に限定されず、具体的には、アルミニウム、酸化アルミニウム等のアルミニウム系化合物、アルミン酸亜鉛等の亜鉛系化合物;ハイドロタルサイト等のマグネシウム系化合物;銀等の銀系化合物:チタン、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム等のチタン系化合物;ステンレス、ニッケル、錫、銀、銅、ブロンズ、シラスバルーン、セラミックバルーン、マイクロバルーン、パールマイカ等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上併用してもよい。
熱線反射材としては、熱伝導率低減効果が大きいこと、コスト的に有利なこと、環境適合面、安全面を含めたハンドリング性が良好なこと等の点から、アルミニウム系化合物、マグネシウム系化合物、銀系化合物またはチタン系化合物が好ましく、このなかでも、アルミニウムペースト、酸化チタンが、熱伝導率低減効果とコストのバランスが優れるため、より好ましい。
非発泡層構成樹脂への熱線反射材の添加量は、熱線反射材の種類、非発泡層の厚みによって適宜設定されるが、その指標としては、非発泡構成樹脂に熱線反射材を所定量添加し溶融混練した後、非発泡層と同じ厚みのフィルムを作製し、そのフィルムの赤外線分光光度計(IR)測定により得られたスペクトルにおいて800〜3000nmの吸光度が添加量を増やしても殆ど変化の無いような領域に達する最小量を添加量として設定することが、押出発泡積層体の熱伝導率の低減効果とコストのバランスが優れるため、好ましい。
前記熱線吸収材とは、近赤外又は赤外領域(例えば、800〜3000nm程度の波長域)の光を吸収する特性を有する物質をいう。
前記熱線吸収材としては、近赤外または赤外領域(例えば、800〜3000nm程度の波長域)の光を吸収する物質であれば、特に限定されず、具体的には、カーボンブラック、炭素粉末;硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、メルカライト、ハロトリ石、ミョウバン石、鉄ミョウバン石等の硫酸金属塩;三酸化アンチモン、酸化アンチモン、無水アンチモン酸亜鉛等のアンチモン系化合物;酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジニウム錫、等の金属酸化物;アンモニウム系、尿素系、イモニウム系、アミニウム系、シアニン系、ポリメチン系、アントラキノン系、ジチオール系、銅イオン系、フェニレンジアミン系、フタロシアニン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シュウ酸アニリド系、シアノアクリレート系、ベンゾトリアゾール系等の有機染顔料;等を挙げることができる。
熱線吸収材としては、熱伝導率低減効果が大きいこと、コスト的に有利なこと、環境適合面、安全面を含めたハンドリング性が良好なこと等の点から、カーボングラファイト、カーボンブラック、硫酸金属塩またはアンチモン系化合物が好ましく、このなかでも、カーボングラファイト、カーボンブラック、酸化アンチモンまたは硫酸バリウムが、熱伝導率低減効果とコストのバランスが優れより好ましい。
非発泡層構成樹脂への熱線吸収材の添加量は、熱線吸収材の種類、非発泡層の厚みによって適宜設定されるが、その指標としては、非発泡構成樹脂に熱線吸収材を所定量添加し溶融混練した後、非発泡層と同じ厚みのフィルムを作製し、そのフィルムの赤外線分光光度計(IR)測定により得られたスペクトルにおいて800〜3000nmの吸光度が添加量を増やしても殆ど変化の無いような領域に達する最小量を添加量として設定することが、押出発泡積層体の熱伝導率の低減効果とコストのバランスが優れるため、好ましい。
本発明の押出発泡積層体を構成する発泡層の構成樹脂としては、押出発泡成形が可能なため、熱可塑性樹脂が好適に使用される。
前記熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレンランダム共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニル酢酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリレート、熱可塑性フェノール系樹脂などが挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
これらの中でも、断熱性能に優れ、成形性が容易なことから、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂の混合樹脂である変性ポリフェニレンエーテル系樹脂が好ましく、スチレン系樹脂がより好ましい。
スチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン単量体のみから得られるスチレンホモポリマー、スチレン単量体とスチレンと共重合可能な単量体またはその誘導体から得られるランダム、ブロックまたはグラフト共重合体、後臭素化ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレンなどの変性ポリスチレン、ABS樹脂などが挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
スチレンと共重合可能な単量体としては、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのスチレン誘導体、ジビニルベンゼンなどの多官能性ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系化合物、ブダジエンなどのジエン系化合物またはその誘導体、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和カルボン酸無水物、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−4−ジフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−4−ブロモフェニルマレイミド、N−1−ナフチルマレイミド等のN−アルキル置換マレイミド化合物;などがあげられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
特に、本発明の押出発泡積層体を構成する発泡層としてスチレン系樹脂を用いる場合には、発泡体の加工性の面から、スチレンホモポリマー、スチレン−アクリロニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸共重合ポリスチレン、無水マレイン酸変性ポリスチレン、スチレン−不飽和ジカルボン酸無水物−N−アルキル置換マレイミド系共重合体、耐衝撃性ポリスチレンを用いることがさらに好ましく、最も好ましくはスチレンホモポリマーである。
本発明の押出発泡積層体の発泡層は、溶融した発泡層構成樹脂に高圧下で発泡剤を圧入し、大気開放することにより得られるが、圧入する発泡剤としては、特に限定されず、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタンなどの炭素数3〜5の飽和炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケトン、エチルn−ブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類;蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどのエステル類;塩化メチル、塩化エチルなどのハロゲン化アルキル類;水、二酸化炭素などの無機発泡剤、さらには、アゾ化合物、テトラゾールなどの化学発泡剤等が挙げられる。これら発泡剤は単独または2種以上混合して使用することができる。
前記発泡剤の中でも、発泡性、発泡体成形性などの点からは、n−ブタン、i−ブタン、プロパン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、塩化メチル、塩化エチルなどが好ましく、発泡剤の燃焼性、発泡体の難燃性または断熱性等の点からは、水、二酸化炭素が好ましい。環境適合性に優れることより、n−ブタン、i−ブタン、プロパン、ジメチルエーテル、水、二酸化炭素が、さらに好ましい。
溶融した発泡層構成樹脂(熱可塑性樹脂)中に圧入される発泡剤の量としては、発泡倍率の設定値などに応じて適宜選定されるが、通常、発泡剤の合計量を、熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜20重量部とすることが好ましく、3〜8重量部とすることがより好ましい。発泡剤の合計圧入量が1〜20重量部の場合、発泡体中にボイドが無く、難燃性が制御可能な、適度な発泡倍率を有する発泡層が得られ、押出発泡積層体として軽量、断熱などの特性が発現される。
発泡剤を圧入する際の圧力としては、特に限定されず、押出機などの内圧力よりも高い圧力であればよい。
本発明の押出発泡積層体を構成する熱可塑性樹脂からなる発泡層における平均気泡径は、0.05〜1mmが好ましく、さらに好ましくは0.06〜0.6mm、特に好ましくは0.08〜0.4mmである。
また、発泡剤として水を併用する場合、発泡体中に、気泡径が概ね0.25mm以下の比較的気泡径の小さい気泡(小気泡)と、気泡径が概ね0.3mm〜1mm程度の比較的気泡径の大きな気泡(大気泡)が海島状に混在する特徴的な気泡構造を有する発泡層が得られ、この気泡構造は。得られる押出発泡積層体の断熱性能向上に寄与するため、発泡剤として水を併用することが好ましい。
さらに、気泡径0.25mm以下の小気泡および気泡径0.3〜1mmの大気泡が混在してなる特定の気泡構造の発泡層においては、発泡体断面積あたりに占める小気泡の面積の割合(単位断面積あたりの占有面積率)(以下、小気泡面積率という)は、5〜98%が好ましく、さらに好ましくは10〜90%、特に好ましくは20〜80%、最も好ましくは25〜70%である。小気泡面積率が5〜98%の範囲では、断熱性能に優れ、且つ、発泡体厚みの調整が可能な成形性に優れた発泡層が得られる。
発泡剤として水を用いる場合、小気泡および大気泡の生成しやすさや加工性の面から、発泡剤全量に対する水の含有率は、好ましくは1〜80重量%、より好ましくは2〜70重量%、特に好ましくは3〜60重量%である。
発泡剤として水を用いる場合は、スメクタイト、膨潤性フッ素雲母などの吸水性または水膨潤性の層状珪酸塩類またはこれらの有機化処理品、吸水性高分子、日本アエロジル(株)製AEROSILなどのシラノール基を有する無水シリカなど(本明細書においては、これらの物質を「吸水性物質」と総称する)の1種または2種以上を添加することにより、発泡体中に、前記小気泡および大気泡の発生する作用をさらに向上することができ、得られる発泡体の成形性、生産性および断熱性能をさらに向上させることができる。
ここで、使用する吸水性物質は、熱可塑性樹脂に対して相溶性のない水を吸水してゲルを形成し、ゲルの状態で熱可塑性樹脂中に均一に分散させることができると考えられることから、使用される。
本発明の押出発泡積層体を構成する発泡層を製造する際に用いられる吸水性物質の添加量は、水の添加量などによって、適宜調整されるものであるが、一般に、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.2〜10重量部が好ましく、0.3〜8重量部がさらに好ましく、0.5〜7重量部が特に好ましい。吸水性物質の添加量が0.2〜10重量部の場合、押出機内で水が良好に分散され、気泡ムラ、ボイドの発生の無い良好なセル構造を有する発泡層が得られ、バラツキのない良好な断熱性能を有する押出発泡積層体を得ることができる。
本発明の押出発泡積層体を構成する発泡層を製造する際に用いられる層状珪酸塩とは、酸化ケイ素を主成分とする四面体シートと、金属水酸化物を主成分とする八面体シートからなり、前記四面体シートと前記八面体シートが単位層を形成し、単位層単独構造の、または複数の単位層が層間に陽イオンなどを介して積層された構造の一次粒子、および、一次粒子の凝集体(二次粒子)として存在するものである。層状珪酸塩の具体例としては、例えば、スメクタイト族粘土および膨潤性雲母などがあげられる。
前記のスメクタイト族粘土は下記一般式(I)
0.2〜0.62〜310(OH)・nHO・・・・・・一般式(I)
(ただし、XはK、Na、1/2Ca、および1/2Mgからなる群より選ばれる1種以上であり、YはMg、Fe、Mn、Ni、Zn、Li、Al、およびCrからなる群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、およびAlからなる群より選ばれる1種以上である。なお、HOは層間イオンと結合している水分子を表わすが、nは層間イオンおよび相対湿度に応じて著しく変動する)で表される、天然または合成されたものである。
前記スメクタイト族粘土の具体例としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトおよびベントナイト等、またはこれらの置換体、誘導体、またはこれらの混合物が挙げられる。
また、前記の膨潤性雲母は下記一般式(II)
0.5〜1.02〜3(Z10)(F、OH)・・・・・・一般式(II)
(ただし、XはLi、Na、K、Rb、Ca、Ba、およびSrからなる群より選ばれる1種以上であり、YはMg、Fe、Ni、Mn、Al、およびLiからなる群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、Ge、Al、Fe、およびBからなる群より選ばれる1種以上である)で表される、天然または合成されたものである。
これらは、水、水と任意の割合で相溶する極性のある有機化合物、および水と該極性のある有機化合物の混合溶媒中で膨潤する性質を有する物であり、例えば、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、およびナトリウム型四ケイ素雲母等、またはこれらの置換体、誘導体、またはこれらの混合物が挙げられる。
前記膨潤性雲母の中にはバーミキュライト類と似通った構造を有するものもあり、この様なバーミキュライト類相当品等も使用し得る。該バーミキュライト類相当品には3八面体型と2八面体型があり、下記一般式(III)
(Mg,Fe,Al)2〜3(Si4−xAl)O10(OH)・(M,M2+1/2)・nHO・・・・・・一般式(III)
(ただし、MはNaおよびMg等のアルカリまたはアルカリ土類金属の交換性陽イオン、x=0.6〜0.9、n=3.5〜5である)で表されるものがあげられる。
膨潤性層状珪酸塩は、単独で用いても良く、2種以上組み合わせて用いても良い。これらの内では、得られる発泡体中の分散性の点などから、スメクタイト族粘土、膨潤性雲母が好ましく、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、合成スメクタイトおよび膨潤性フッ素雲母などの層間にナトリウムイオンを有する膨潤性雲母が、さらに好ましい。
ベントナイトの代表例としては、天然ベントナイト、精製ベントナイトなどがあげられる。また、有機化ベントナイトなども使用できる。本発明におけるスメクタイトには、アニオン系ポリマー変性モンモリロナイト、シラン処理モンモリロナイト、高極性有機溶剤複合モンモリロナイトなどのモンモリロナイト変性処理生成物もその範疇に含まれる。
ベントナイトなどのスメクタイトの含有量は、水の添加量などによって、適宜調整されるものであるが、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.2〜10重量部が好ましくは0.3〜8重量部がさらに好ましく、0.5〜7重量部が特に好ましく、1〜5重量部が最も好ましい。
スメクタイトの含有量が0.2重量部未満では、水の圧入量に対してスメクタイトによる水の吸着量が不足し、押出機内で水の分散不良による気孔が発生し成形体不良になる傾向がある。
一方、スメクタイトの含有量が10重量部を超える場合には、熱可塑性樹脂中に存在する無機物粉体の量が過剰になるため、熱可塑性樹脂中への均一分散が困難になり、気泡ムラが発生する、さらには、独立気泡を保持することが困難となる傾向にある。したがって、発泡体の断熱性能の悪化とバラツキを生じ易くなる。
水/スメクタイト(ベントナイト)の混合比率は、重量比で、0.02〜20が好ましく、0.1〜10がさらに好ましく、0.15〜5が特に好ましく、0.25〜2の範囲が最も好ましい。
本発明の押出発泡積層体を構成する熱可塑性樹脂からなる発泡層の密度は、前記したように500Kg/m以下であるが、より軽量でかつ優れた断熱性を付与するため20〜50Kg/mであることが好ましく、25〜35Kg/mであることがより好ましい。密度が20〜50kg/mの範囲では、軽量性と断熱性を備えた押出発泡積層体を得ることができる。
本発明の押出発泡積層体を構成する発泡層の製造時において、必要に応じて、難燃剤、難燃助剤、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を添加させることが好ましい。
また、より安定的に押出発泡するためには、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスフェート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイトなどのヒンダードフェノール系抗酸化剤、トリフェニルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビスステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイトなどのリン系安定剤、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなどのアミン系安定剤、3,3−チオビスプロピオン酸ジオデシルエステル、3,3’−チオビスプロピオン酸ジオクタデシルエステルなどのイオウ系安定剤を添加するのが好ましい。
本発明の押出発泡積層体を構成する熱可塑性樹脂からなる発泡層は、共押出法による押出発泡成形により製造される。
押出発泡成形の成形方法としては、例えば、
(i)熱可塑性樹脂に、必要に応じて前記添加剤を混合した後、加熱溶融する、
(ii)熱可塑性樹脂に、必要に応じて前記添加剤から選ばれる1種以上を混合した後、加熱溶融し、これに残りの前記添加剤をそのまま、または必要により液体化または溶融させて添加し加熱混合する、
(iii)予め熱可塑性樹脂に、必要に応じて前記添加剤から選ばれる1種以上の添加剤を混合した後、加熱溶融した組成物を準備し、次いで、該組成物と残りの前記添加剤、必要に応じて熱可塑性樹脂を改めて混合し、押出機に供給して加熱溶融する、
など、熱可塑性樹脂、必要に応じて、前記添加剤を加熱溶融押出機に供給し、その後、任意の段階において高圧条件下で発泡剤を熱可塑性樹脂に添加し、流動ゲルとなし、押出発泡に適する温度に冷却し、該流動ゲルをフィードブロックなどの多層積層装置に供給し、発泡剤を含まない溶融樹脂と合流した後、ダイを通して低圧領域に押出発泡して、発泡層を形成することにより製造することができる。
熱可塑性樹脂と発泡剤などの添加剤を加熱溶融混練する際の加熱温度、溶融混練時間および溶融混練手段については、特に制限するものではない。加熱温度は、使用する熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよいが、難燃剤などの影響による樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度、例えば150〜280℃程度が好ましい。溶融混練時間は、単位時間あたりの押出量、溶融混練手段などによって異なるので一概には決定することができないが、熱可塑性樹脂と発泡剤が均一に分散混合するのに要する時間が適宜選ばれる。また、溶融混練手段としては、例えばスクリュー型の押出機などがあげられるが、通常の押出発泡に用いられているものであれば特に限定はない。ただし、樹脂の分子劣化をできる限り抑えるため、スクリュー形状については、低剪断タイプのスクリュー形状を用いる方が好ましい。
また、発泡成形方法も特に制限されないが、例えば、スリットダイより圧力開放して得られた発泡体をスリットダイと密着または接して設置した成形金型および成形ロールなどを用いて、断面積の大きい板状発泡体を成形する一般的な方法を用いることができる。
本発明の押出発泡積層体を構成する発泡層の厚みは、押出発泡積層体の厚みおよび押出発泡積層体中の発泡層の数(発泡層/非発泡層/発泡層からなるユニットの数)に応じて適宜選択される。
本発明における非発泡層を構成する樹脂(以降、「非発泡層構成樹脂」と称する場合がある)としては、発泡層との良好な接着性を確保するため、発泡層構成樹脂と相溶性を有する熱可塑性樹脂を選定することが好ましい。なお、発泡層構成樹脂と相溶性を有さなくても、発泡層との間でアンカー効果が発現するような粘着性・接着性を有する樹脂を選定することも可能である。
前記発泡層を構成する樹脂と相溶性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレンランダム共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニル酢酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリレート、熱可塑性フェノール系樹脂などが挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも、前記発泡層を構成する樹脂との相溶性に優れること、成形性が容易なことから、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂が好ましく、スチレン系樹脂がより好ましい。
スチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン単量体のみから得られるスチレンホモポリマー、スチレン単量体とスチレンと共重合可能な単量体またはその誘導体から得られるランダム、ブロックまたはグラフト共重合体、後臭素化ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレンなどの変性ポリスチレン、ABS樹脂などが挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
スチレンと共重合可能な単量体としては、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのスチレン誘導体、ジビニルベンゼンなどの多官能性ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系化合物、ブダジエンなどのジエン系化合物またはその誘導体、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和カルボン酸無水物、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−4−ジフェニルマレイミド、N−2−クロロフェニルマレイミド、N−4−ブロモフェニルマレイミド、N−1−ナフチルマレイミド等のN−アルキル置換マレイミド化合物;などがあげられる。これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
特に、本発明の押出発泡積層体を構成する非発泡層としてスチレン系樹脂を用いる場合には、発泡層との相溶性の面から、スチレンホモポリマー、スチレンアクリロニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸共重合ポリスチレン、無水マレイン酸変性ポリスチレン、スチレン−不飽和ジカルボン酸無水物−N−アルキル置換マレイミド系共重合体、耐衝撃性ポリスチレンを用いることがさらに好ましく、最も好ましくはスチレンホモポリマーである。
粘着性・接着性を有する樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系共重合樹脂、天然ゴム系樹脂、クロロプレン系樹脂および、上記樹脂にロジン類、ロジン誘導体、石油系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂、ケトン樹脂等の粘着付与剤樹脂を配合してなる樹脂組成物等が挙げられる。
本発明の押出発泡積層体を構成する非発泡層の構造は、非発泡層中に輻射抑制材を含む限りにおいて、特に限定されず、単層、複層のいずれの構造も採りうる。また、非発泡層の厚みは、押出発泡積層体の厚みおよび押出発泡積層体中の発泡層の数(発泡層/非発泡層/発泡層からなるユニットの数)に応じて適宜選択されるが、10〜500μmが好ましく、20〜300μmがより好ましく、30〜200μmが特に好ましく、40〜100μmが最も好ましい。非発泡層の厚みが10〜500μmの範囲では、軽量性および断熱性を備えた押出発泡積層体を得ることができる。
本発明の押出発泡積層体を構成する非発泡層の製造時において、前記熱線輻射抑制材を添加することは必須であるが、必要に応じて、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機化合物、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などの加工助剤、フェノール系抗酸化剤、リン系安定剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類などの耐光性安定剤、帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を添加させることが好ましい。
これらの添加剤のなかでも、可塑剤は、本発明の押出発泡積層体製造の際、樹脂合流界面の流れを乱さないようにするため、また、非発泡層構成樹脂の溶融粘度を発泡剤含有樹脂の溶融粘度に近づける調整を行う際に有効に働くため、添加することが好ましい。
非発泡層構成樹脂に添加する可塑剤としては、特に限定されず、一般に可塑剤として使用されているいずれの化合物の使用も可能であり、例えば、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジノルマルオクチル(DNOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジノニル(DNP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸混基エステル(C〜C11)等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジアルキル(C6,8,10)(610A)、アジピン酸ジアルキル(C,C)(79A)アゼライン酸ジオクチル(DOZ)セバシン酸ジブチル(DBS)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、リン酸トリクレシル(TCP)、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、エポキシ化大豆油(ESBO)、トリメリット酸トリオクチル(TOTM)、塩素化パラフィン等の非フタル酸エステル類、等が挙げられる。
非発泡層構成樹脂に対する可塑剤の添加量は、狙いとする溶融粘度によって適宜選択されるが、非発泡層構成樹脂100重量部に対して1〜20重量部が好ましく、2〜15重量部が更に好ましく、3〜12重量部が特に好ましく、4〜10重量部が好ましい。可塑剤の添加量が非発泡層構成樹脂100重量部に対して、1〜20重量部の範囲では、押出の際に吐出変動が無く、押出後の表面ブリードアウトの無い非発泡層が得られる。
本発明の押出発泡積層体を構成する熱可塑性樹脂からなる非発泡層は、共押出法による押出発泡成形により製造される。
非発泡層の共押出法による押出発泡成形の成形方法としては、例えば、
(i)熱可塑性樹脂に、熱線輻射抑制材、必要に応じて前記添加剤を混合した後、加熱溶融する、
(ii)熱可塑性樹脂に、熱線輻射抑制材、必要に応じて前記添加剤から選ばれる1種以上を混合した後、加熱溶融し、これに残りの前記添加剤をそのまま、または必要により液体化または溶融させて添加し加熱混合する、
(iii)予め熱可塑性樹脂に、熱線輻射抑制材、必要に応じて前記添加剤から選ばれる1種以上の添加剤を混合した後、加熱溶融した組成物を準備し、次いで、該組成物と残りの前記添加剤、必要に応じて熱可塑性樹脂を改めて混合し、押出機に供給して加熱溶融する、
など、熱可塑性樹脂、熱線輻射抑制材、必要に応じて前記添加剤を押出機に供給し、加熱溶融混練を行い、フィードブロックなどの多層積層装置に供給され、前記発泡剤含有樹脂と合流した後、ダイを通して低圧領域に押出発泡して、発泡層を形成することにより製造することができる。
熱可塑性樹脂と熱線輻射抑制材、その他の添加剤を加熱溶融混練する際の加熱温度、溶融混練時間および溶融混練手段については特に制限するものではない。加熱温度は、使用する熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよいが、溶融樹脂が供給される多層積層装置の設定温度と等しいか、異なっていても温度差が±10℃以内であることが好ましい。温度差が±10℃以下の場合、発泡層と非発泡層の界面部分に破泡がなく接着不良のない良好な押出多層積層体を得ることができる。溶融混練時間は、単位時間あたりの押出量、溶融混練手段などによって異なるので、一概には決定することができないが、熱可塑性樹脂と熱線輻射抑制材、添加剤が均一に分散混合するのに要する時間が適宜選ばれる。また、溶融混練手段としては、例えばスクリュー型の押出機などがあげられるが、通常の樹脂押出に用いられているものであれば特に限定はない。ただし、樹脂の分子劣化をできる限り抑えるため、スクリュー形状については、低剪断タイプのスクリュー形状を用いる方が好ましい。
本発明の押出発泡積層体は、非発泡層と発泡層の構成樹脂を各々異なる押出機を用いて溶融混練を行い、各々の溶融樹脂を多層状に合流させ積層した後に、発泡成形する方法により製造される。
非発泡層と発泡層の構成樹脂を各々異なる押出機を用いて溶融混練を行い、各々の溶融樹脂を多層積層装置にて多層状に合流させ積層する方法としては、特に限定されず、例えば、共押出フィルムで一般に使用されているフィードブロック法、マルチマニホールド法、特開平4−278323号公報等に記載の複数の層からなる積層流を作った後、分割・積層を繰り返す方法、特表2005−523831号公報、特開2004−249520号公報、等に記載の複数の分割流を作った後、逐次積層する方法が挙げられる。
押出発泡積層体を製造する際の多層積層装置の温度は、多層積層装置に供給される発泡剤含有溶融樹脂の樹脂温度に等しいか、異なっていても±10℃以下が好ましい。温度差が±10℃以下の場合、発泡適正温度でダイによる成形加工が可能となり、高倍率で低独立気泡率の良好な発泡層を有する押出多層積層体を得ることができる。
押出発泡積層体を製造する際の多層積層装置内の圧力は、多層積層装置に供給される発泡剤含有溶融樹脂が多層積層設備内で発泡を起こさない圧力に設定される。但し、多層積層装置内で発泡を起こさない圧力は、発泡剤種、発泡剤量、発泡剤含有溶融樹脂の温度に依存するため、一概には設定できない。
本発明の押出発泡積層体の構造としては、発泡層/非発泡層/発泡層の如く、押出発泡積層体の厚み方向に発泡層が非発泡層を介して積層されてなる構造を有することが好ましい。これは、非発泡層の両面に発泡層が積層された構造において、非発泡層中に含まれる熱線輻射抑制剤による熱伝導率低減効果が有効に作用することによる。なお、非発泡層/発泡層/非発泡層の如く非発泡層の片面のみに発泡層が積層された構造では、非発泡層中に含まれる熱線輻射抑制剤による熱伝導率低減効果が十分発現しない傾向がある。
また、発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層の如く、非発泡層が複数層存在することがさらに好ましい。これは、押出発泡積層体の厚み方向に熱線輻射抑制材を含む非発泡層を複数層設けることにより、1層の非発泡層(輻射抑制材)では得られない、優れた熱伝導率の低減効果が発現することによる。
本発明の押出発泡積層体の厚みは、特に限定されず、用途に応じて適宜選択される。例えば、建材などに使用される断熱材用途の場合、好ましい断熱性、曲げ強度および圧縮強度を付与するためには、シートのような薄いものよりも、通常の板状物のような厚さのあるものが好ましく、通常10〜150mm、好ましくは20〜100mmである。
本発明の押出発泡積層体の20℃での等価熱伝導率は、0.034W/m・K(0.0292kcal/m・hr・℃)以下が好ましく、0.032W/m・K(0.0275kcal/m・hr・℃)以下がより好ましく、0.030W/m・K(0.0258kcal/m・hr・℃)以下が特に好ましい。
等価熱伝導率が0.034W/m・K以下の発泡積層体は、建築用部材用途として好適に使用され、快適な居住空間の提供に貢献する。
本発明の押出発泡積層体は、その優れた軽量性、断熱性の点から、種々の用途、例えば、床材、壁材、屋根材などの建築用部材、保冷車用断熱材、車両バンパー、自動車天井材などの自動車用部材、地盤の凍上防止剤などの土木用部材などに好適に使用できる。
次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断らない限り、「%」は重量%を表わす。
実施例および比較例に対する評価方法は、以下のとおりである。
(1)押出発泡積層体寸法(単位:mm)
厚み:異なる時間にサンプルングした3つの発泡積層体について、図1に示すように、幅方向(押出方向と直交する水平方向)における中央部(幅方向の中点)での厚みを測定し、平均値を算出した。
幅:異なる時間にサンプルングした3つの発泡積層体について、図2に示すように、厚み方向における中央部(厚み方向の中点)での幅を測定し、平均値を算出した。
(2)押出発泡積層体の密度(単位:Kg/m
樹脂発泡積層体の密度:
異なる時間にサンプリングした3つの押出発泡積層体に対して、図3に示すように、厚み方向での上下2mm部分を削除した後、幅方向は、得られた積層体のままの長さとして、押出方向の長さを、試験片の体積が50cm以上となるように選択して、直方体形状に切り出して試験片とした。
得られた試験片について、JIS K7222−1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」に記載の方法に則り、発泡体密度を測定してその平均値を算出した。
(3)熱伝導率(単位:W/m・K)
異なる時間にサンプリングして作製後5日経過した、3つの押出発泡積層体の熱伝導率を、熱伝導率測定装置(栄弘精機製、HC−074−300)を用い、JIS A9511(1995)に則り、20℃にて測定してその平均値を算出した。
(4)押出発泡積層体気泡内の空気の分圧
異なる時間にサンプリングして作製後5日経過した、3つの押出発泡積層体を、図4に示すように、切り出し面から10mmの部分を削除した後、巾方向における中央部より巾方向25mm、長さ方向25mm、厚み方向は積層体のままの厚さで切り出し、押出発泡積層体中の空気量を、ガスクロマトグラフ(島津製作所製 GC−14A)を用いて分析測定し、平均値を算出することにより、押出発泡積層体気泡内の空気の分圧を求めた。
(実施例1)
[発泡剤を含有する溶融樹脂の製造方法]
ポリスチレン(PSジャパン株式会社製、商品名:G9401、MFR=2.2g/10分)100重量部に対して、タルク(林化成株式会社製、商品名:TALCAN PAWDER PK−Z)1.0重量部、ステアリン酸カルシウム(堺化学工業株式会社製、商品名:ステアリン酸カルシウム)0.3重量部、流動パラフィン(新日本石油株式会社製、商品名:ポリブテンLV−50)0.2重量部からなる混合物をドライブレンドしてスチレン系樹脂組成物とした。該スチレン系樹脂組成物を、口径65mmの第1押出機と口径90mmの第2押出機とを直列に連結した二段式押出機に対して、32kg/時間で供給した。
第1押出機に供給したスチレン系樹脂組成物を、200℃に加熱して混練を行い、第1押出機の先端付近(第2押出機に接続される側)において、発泡剤として、スチレン系樹脂組成物100重量%に対して、i−ブタン(三井化学株式会社製)4.0重量%およびジメチルエーテル(大洋液化ガス株式会社製)2.0重量%を、溶融されたスチレン系樹脂組成物に圧入した。この際、第1押出機の先端における樹脂圧は8〜15MPaであり、これに対して、発泡剤の圧入圧力は+0.5〜3MPaに設定した。
第1押出機に連結された第2押出機において、樹脂温度を130℃に冷却した後、2つに分流し、発泡剤を含有する溶融樹脂を第2押出機の先端に設けられた2種3層多層積層用フィードブロック(株式会社プラ技研製)に供給した。
[発泡剤を含まない溶融樹脂の製造方法]
ポリスチレン(PSジャパン株式会社製、商品名:679、MFR=18g/10分)100重量部に対して、熱線輻射抑制材としてアルミペースト(昭和アルミパウダー株式会社製、商品名:SAP CS420)5.0重量部、可塑剤としてジメチルフタレート(大八化学工業株式会社製、商品名:DMP)4.0重量部を添加して予めマスターバッチ化した。
得られた樹脂を、口径50mmの押出機へ4Kg/時間で供給した。供給した樹脂を140℃に加熱して溶融混練を行い、分流することなく、前記2種3層多層積層用フィードブロックに供給した。
[発泡剤を含有する溶融樹脂と発泡剤を含まない溶融樹脂を厚み方向に合流させ、押出発泡積層体を製造する方法]
135℃に温調された前記2種3層多層積層用フィードブロック内で、3.0MPaの圧力下にて、厚み方向に、発泡剤を含まない溶融樹脂(1層)を、2つに分流された発泡剤を含有する溶融樹脂で挟み込むようにして、それぞれ、11mm/3mm/11mmの厚みで合流させた。
その後、厚さ方向2.8mm、幅方向50mmの長方形断面の空隙を有し、80℃に温調されたダイリップより、合流された多層流を大気中へ押し出し、厚み25mm、幅220mmの直方体状で発泡層/非発泡層/発泡層の3層構造(図5参照;各々の厚みは、12.4mm/0.2mm/12.4mm)からなる押出発泡積層体を得た。
得られた押出発泡積層体の密度は39Kg/mであり、製造5日後に測定した熱伝導率は0.0313W/m・Kで、積層体気泡内の空気の分圧は0.89atmであった。
(比較例1)
発泡剤を含まない溶融樹脂の製造において、ポリスチレンにアルミペーストを添加しないこと以外は、実施例1と同様の操作により、厚み25mm、幅240mmの直方体状で発泡層/非発泡層/発泡層からなる3層構造(図5参照;各々の厚みは、12.4mm/0.2mm/12.4mm)の押出発泡積層体を得た。
得られた押出発泡積層体の密度は、40Kg/mであり、製造5日後に測定した熱伝導率は0.0316W/m・Kで、積層体気泡内の空気の分圧は0.97atmであった。
実施例1と比較例1との比較により、非発泡層中にアルミペーストを5重量部含有することにより、0.0003W/m・Kの熱伝導率低減効果が確認された。
(比較例2)
発泡剤を含まない溶融樹脂(B)を2種3層多層積層用フィードブロック内に供給しなかった以外は、実施例1と同様の操作により、厚み25mm、幅250mmの直方体状で発泡層のみからなる押出発泡ボードを得た。
得られた押出発泡ボードの密度は、41Kg/mであり、製造5日後に測定した熱伝導率は0.0321W/m・Kで、発泡体気泡内の空気の分圧は0.97atmであった。
(実施例2)
[発泡剤を含有する溶融樹脂の製造方法]
ポリスチレン(PSジャパン株式会社製、商品名:680、MFR=7.0g/10分)100重量部に対して、タルク(林化成株式会社製、商品名:TALCAN PAWDER PK−Z)0.2重量部、ステアリン酸カルシウム(堺化学工業株式会社製、商品名:ステアリン酸カルシウム)0.3重量部および流動パラフィン(新日本石油株式会社製、商品名:ポリブテンLV−50)0.2重量部からなる混合物をドライブレンドしてスチレン系樹脂組成物とした。
該スチレン系樹脂組成物を、口径65mmの第1押出機と口径90mmの第2押出機とを直列に連結した二段式押出機へ37kg/時間で供給した。第1押出機に供給したスチレン系樹脂組成物を、200℃に加熱して溶融混練を行い、第1押出機の先端付近(第2押出機に接続される側)において、発泡剤として、ポリスチレン系樹脂組成物100重量%に対して、i−ブタン(三井化学株式会社製)4.0重量%、ジメチルエーテル(大洋液化ガス株式会社)4.0重量%を溶融されたスチレン系樹脂組成物に圧入した。この際、第1押出機の先端における樹脂圧は8〜15MPaであり、これに対して発泡剤の圧入圧力は+0.5〜3MPaに設定した。第1押出機に連結された第2押出機において、樹脂温度を120℃に冷却したのち2つに分流し、発泡剤を含有する溶融樹脂を第2押出機の先端に設けられた2種3層多層積層用フィードブロック(株式会社プラ技研製)に供給した。
[発泡剤を含まない溶融樹脂の製造方法]
ポリスチレン(PSジャパン株式会社製、商品名:679、MFR=18g/10分)100重量部に対して、熱線輻射抑制材としてアルミペースト(昭和アルミパウダー株式会社、商品名:SAP CS420)5.0重量部、可塑剤としてジメチルフタレート(大八化学工業株式会社製、商品名:DMP)4.0重量部、を添加して予めマスターバッチ化した。
得られた樹脂を、口径50mmの押出機へ2Kg/時間で供給した。供給した樹脂を130℃に加熱して溶融混練を行い、分流することなく前記2種3層多層積層用フィードブロック内に供給した。
[発泡剤を含有する溶融樹脂と発泡剤を含まない溶融樹脂を厚み方向に合流させ、押出発泡積層体を製造する方法]
130℃に温調された前記2種3層多層積層用フィードブロック内で、3.6MPaの圧力下にて、厚み方向において、発泡剤を含まない溶融樹脂(1層)を、2つに分流された発泡剤を含有する溶融樹脂で挟み込むようにして、それぞれ、12mm/1mm/12mmの厚みで合流させた。
合流させた多層流を、特開平4−278323号公報記載の多層流を分割・積層する機能と同様な機能を有し、130℃に温調されたダイス(株式会社プラ技研製)に供給した後、厚さ方向0.8mm、幅方向50mmの長方形断面の空隙を有し、80℃に温調されたダイリップより、合流された多層流を大気中へ押し出し、厚み25mm、幅225mmの直方体状の発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層からなる5層構造(図6参照、それぞれの厚みは、6.0mm/0.05mm/12.9mm/0.05mm/6.0mm)からなる押出発泡積層体を得た。
得られた押出発泡積層体の密度は37Kg/mであり、製造5日後に測定した熱伝導率は0.0302W/m・Kで、積層体気泡内の空気の分圧は0.31atmであった。
(実施例3)
発泡剤を含まない溶融樹脂の製造において、アルミペースト5重量部の代わりに酸化チタン(石原産業株式会社製 商品名:タイペーク R−780−2)5重量部を添加したこと以外は、実施例2と同様の操作により、厚み25mm、幅230mmの直方体状で発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層からなる5層構造(図6参照、それぞれの厚みは、6.0mm/0.05mm/12.9mm/0.05mm/6.0mm)の押出発泡積層体を得た。
得られた押出発泡積層体の密度は、38Kg/mであり、製造5日後に測定した熱伝導率は0.0307W/m・Kで、積層体気泡内の空気の分圧は0.29atmであった。
(実施例4)
発泡剤を含まない溶融樹脂の製造において、アルミペースト5重量部の代わりにカーボングラファイト(伊藤黒鉛製、商品名:X−10、鱗片状、粒径10μm)5重量部を添加したこと以外は、実施例2と同様の操作により、厚み25mm、幅240mmの直方体状で発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層からなる5層構造(図6参照、それぞれの厚みは、6.0mm/0.05mm/12.9mm/0.05mm/6.0mm)の押出発泡積層体を得た。
得られた押出発泡積層体の密度は、36Kg/mであり、製造5日後に測定した熱伝導率は0.0300W/m・Kで、積層体気泡内の空気の分圧は0.28atmであった。
(比較例3)
発泡剤を含まない溶融樹脂の製造において、アルミペーストを添加しないこと以外は、実施例2と同様の操作により、厚み25mm、幅220mmの直方体状で発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層からなる5層構造(図6参照;それぞれの厚みは、6.0mm/0.05mm/12.9mm/0.05mm/6.0mm)の押出発泡積層体を得た。
得られた押出発泡積層体の密度は、37Kg/mであり、製造5日後に測定した熱伝導率は0.0308W/m・Kで、積層体気泡内の空気の分圧は0.29atmであった。
また、実施例2と比較例2との比較により、発泡層/非発泡層/発泡層の構造を2個持つ5層構造の押出発泡積層体では、アルミペーストを5重量部含有することにより、0.0006W/m・Kの熱伝導率低減効果が確認された。これは、実施例1の発泡層/非発泡層(アルミペースト5重量部含有)/発泡層の構造を1個持つ3層構造(図5)の押出発泡積層体での低減効果に比べ大きいものであった。
更に、実施例3、4と比較例2との比較により、非発泡層中に酸化チタンを5重量部含有することにより、0.0001W/m・K、カーボングラファイトを5重量部含有することにより0.0008W/m・Kの熱伝導率低減効果が確認された。
(比較例4)
発泡剤を含まない溶融樹脂(B)を2種3層多層積層用フィードブロック内に供給しなかった以外は、実施例2と同様の操作により、厚み31mm、幅240mmの直方体状で発泡層のみからなる押出発泡ボードを得た。得られた押出発泡ボードの密度は、34Kg/mであり、製造5日後に測定した熱伝導率は0.0315W/m・Kで、発泡体気泡内の空気の分圧は0.53atmであった。
発泡層/非発泡層/発泡層/非発泡層/発泡層の5層(図6)からなる多層構造を有する実施例2、3および4は、発泡層のみからなる単層構造の比較例3に比べて気泡内の空気の分圧が小さくなっていることがわかる。
本発明の押出発泡積層体は、その優れた軽量性、断熱性の点から、種々の用途、例えば、床材、壁材、屋根材などの建築用部材、保冷車用断熱材、車両バンパー、自動車天井材などの自動車用部材、地盤の凍上防止剤などの土木用部材などに好適に使用できる。
1.押出発泡積層体の厚さ測定位置
2.押出発泡積層体の幅測定位置
3.押出発泡積層体の密度測定部位
4.発泡層
5.非発泡層

Claims (14)

  1. 発泡剤を含有する溶融樹脂と発泡剤を含まない溶融樹脂を高圧下で厚み方向に合流させた後、大気圧下に開放することによって得られる押出発泡積層体であって、
    該押出発泡積層体が、厚み方向に発泡層が非発泡層を介して積層されてなる構造を有すると共に、該非発泡層中に少なくとも1種の熱線輻射抑制材を含むことを特徴とする、押出発泡積層体。
  2. 前記熱線輻射抑制材が、熱線反射材および/または熱線吸収材であることを特徴とする、請求項1記載の押出発泡積層体。
  3. 前記熱線反射材が、アルミニウム系化合物、マグネシウム系化合物、銀系化合物およびチタン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項2記載の押出発泡積層体。
  4. 前記熱線反射材がアルミニウムペーストであることを特徴とする、請求項2または3に記載の押出発泡積層体。
  5. 前記熱線反射材が酸化チタンであることを特徴とする、請求項2または3に記載の押出発泡積層体。
  6. 前記熱線吸収材が、カーボングラファイト、カーボンブラック、硫酸金属塩およびアンチモン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項2記載の押出発泡積層体。
  7. 前記熱線吸収材がカーボングラファイトであることを特徴とする、請求項2または6に記載の押出発泡積層体。
  8. 前記熱線吸収材がカーボンブラックであることを特徴とする、請求項2または6に記載の押出発泡積層体。
  9. 前記熱線吸収材が酸化アンチモンであることを特徴とする、請求項2または6に記載の押出発泡積層体。
  10. 前記熱線吸収材が硫酸バリウムであることを特徴とする、請求項2または6に記載の押出発泡積層体。
  11. 前記押出発泡積層体の厚み方向に非発泡層が1〜5層存在すること特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の押出発泡積層体。
  12. 前記発泡層を構成する樹脂が、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、または、変性ポリフェニレン系樹脂であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の押出発泡積層体。
  13. 前記発泡層を構成する樹脂がポリスチレン系樹脂であることを特徴とする、請求項12に記載の押出発泡積層体。
  14. 20℃における熱伝導率が0.034W/mK以下であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の押出発泡積層体。
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