JP2010208124A - 油圧式射出成形機の制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 速度制御が不安定になる不具合を解消し、成形品質を高めるとともに、成形サイクルの高速化の要請や成形品の多様化などに対しても柔軟かつ的確に応える。
【解決手段】 油圧駆動源2から供給される作動油をサーボ弁Vsを介して油圧シリンダ4の一方の油室4rに供給し、当該油圧シリンダ4に内蔵するピストン5に結合した可動体6を速度制御により移動させるに際し、速度制御を開始する前に、油圧シリンダ4における一方の油室4rに対する反対側の油室4fに作動油を供給し、可動体6の移動方向に対する逆方向に、予め設定した逆予圧Prを付与するとともに、速度制御の開始時まで、少なくとも逆予圧Prを保持する制御を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、油圧シリンダのピストンに結合した可動体を速度制御により移動させる際に用いて好適な油圧式射出成形機の制御方法に関する。
一般に、射出シリンダや型締シリンダ等の各種油圧アクチュエータを、油圧ポンプ及び油圧回路を備える油圧駆動回路により駆動制御する油圧式射出成形機は知られており、この種の射出成形機では、油圧源として油圧ポンプに接続したアキュムレータを用いたり、作動油の流量や圧力の制御にサーボ弁を用いる場合も少なくない。
従来、このようなアキュムレータやサーボ弁を用いた油圧回路を備える射出成形機としては、特許文献1で開示される射出成形機が知られており、同文献1には、射出時に射出シリンダの前油室から排出される排出油の全部をオイルタンクに戻す通常モードと当該排出油の全部又は一部を射出シリンダの後油室に供給する差動モードを選択可能な油圧回路を備える射出成形機であって、射出シリンダを駆動制御する四ポートサーボ弁を備え、このサーボ弁のAポート及びBポートを、射出シリンダの前油室及び後油室にそれぞれ接続するとともに、サーボ弁のPポートをアキュムレータを含む油圧駆動源に接続し、かつサーボ弁のTポートを、通常モード又は差動モードに切換える開閉弁を介してオイルタンクに接続するとともに、当該Tポートを、ロジック弁を介して射出シリンダの後油室に接続した油圧回路を備える射出成形機が開示されている。
特許第3502284号公報
しかし、上述した従来の射出成形機(油圧式射出成形機)は、次のような解決すべき課題が存在した。
第一に、近時、成形サイクルの高速化の要請や成形品の多様化等により射出速度を高速に設定する場合も少なくない。例えば、精密小型部品等では射出速度の高速化及び射出立ち上がり時の高応答性が要求されるとともに、計量値が小さいため、短ストロークでの射出速度の安定化も要求される。しかし、射出速度が高速に設定される場合、停止しているスクリュが高速の速度指令により駆動制御されるため、スクリュが射出開始と同時に前方へ飛び出し、この現象が射出工程の速度制御全体に悪影響を及ぼす問題を生じる。図6は、速度指令値Dvsを300〔mm/s〕の高速に設定した場合における実際の射出速度Dvrを示している。同図中、tsは速度制御の開始点となるが、制御開始後、オーバーシュートEoの発生、この後のハンチングEhの発生、更には、成形工程中のゲート通過時におけるEpのような大きな挙動変化が発生するなど、速度制御全体が不安定となり、成形品質の低下要因となる。なお、図6中、Csはサーボ弁指令値、Cmはサーボ弁のスプルモニタ値を示す。
第二に、通常、このような不安定現象に対しては、PID制御回路(補償回路)におけるPID定数を設定したり或いは微調整を行うことにより、速度制御の安定化を図っているが、このような手法のみでは十分な対応を図れないとともに、より改善効果を高めるには、制御回路の煩雑化を招いたり設定(調整)が面倒になるなど、コストアップ要因も無視できない。
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した油圧式射出成形機の制御方法の提供を目的とするものである。
本発明に係る油圧式射出成形機Mの制御方法は、上述した課題を解決するため、油圧駆動源2から供給される作動油をサーボ弁Vsを介して油圧シリンダ4の一方の油室4rに供給し、当該油圧シリンダ4に内蔵するピストン5に結合した可動体6を速度制御により移動させるに際し、速度制御を開始する前に、油圧シリンダ4における一方の油室4rに対する反対側の油室4fに作動油を供給し、可動体6の移動方向に対する逆方向に、予め設定した逆予圧Prを付与するとともに、速度制御の開始時まで、少なくとも逆予圧Prを保持する制御を行うようにしたことを特徴とする。
このような手法による本発明に係る油圧式射出成形機Mの制御方法によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) 速度制御の対象となる可動体6の移動速度が高速であっても、制御系におけるオーバーシュートやハンチング等の不安定現象を有効に抑制することができる。これにより、速度制御の安定化が図られ、成形品質をより高めることができる。特に、速度指令値300〔mm/s〕の高速制御にも適応可能となるため、成形サイクルの高速化の要請や成形品の多様化などに対して柔軟かつ的確に応えることができる。
(2) 油圧回路に対する制御方法の変更により実現できるため、制御回路の煩雑化を招いたり設定(調整)が面倒になるなどの不具合を回避できる。したがって、低コストかつ容易に実施できるとともに、PID制御回路(補償回路)等と組合わせることにより、速度制御に対する高度の安定化を実現できる。
(3) 発明の好適な態様により、油圧シリンダ4として、スクリュ6sの後端にピストン5を結合する射出シリンダ4sを適用すれば、油圧式射出成形機Mにおいて最も大きな問題となる射出工程の改善を図ることができる。
(4) 発明の好適な態様により、片ロッドタイプのピストン5を内蔵する油圧シリンダ4を用いれば、一方の油室4rと反対側の油室4fにおける異なるピストン面積に対して、二系統の油圧源により個別の油圧(逆予圧)を確実に設定できる。
(5) 発明の好適な態様により、油圧ポンプ7に接続したアキュムレータ8を備える油圧駆動源2を用いれば、特に、蓄圧を行うアキュムレータ8を利用した際に発生しやすい速度制御が不安定になる不具合を有効に解決できる。
(6) 発明の好適な態様により、速度制御を開始する前に、サーボ弁Vsに付与する作動油の流量を段階的に大きくする流量設定制御を行うようにすれば、速度制御の開始前におけるピストン5の位置制御(保持制御)を確実に行うことができるとともに、射出動作開始時におけるショックの低減やサーボ弁Vsの長寿命化を図ることができる。しかも、この流量設定制御の期間を利用して、逆予圧Prを付与する制御を行うことができるため、例えば、当該流量設定制御の開始と同時に逆予圧Prを付与する制御を開始し、当該流量設定制御の途中から逆予圧Prを保持する制御も行うことができる。
(7) 発明の好適な態様により、逆予圧Prを付与するに際し、射出シリンダ4に接続したパージ処理用油圧回路9を利用すれば、部品の追加を伴うことなく低コストに実施できるとともに、既存の油圧回路9を利用して容易に実施できる。
本発明の好適実施形態に係る制御方法の処理手順を説明するためのフローチャート、 同制御方法を実施した際の各部の動作状態を示すタイミングチャート、 同制御方法を実施した際の時間に対する射出速度とサーボ弁(指令値及びスプルモニタ値)の変化特性図、 同制御方法を実施する油圧式射出成形機に備える油圧回路図、 同油圧式射出成形機の概要図、 背景技術に係る制御方法を実施した際の時間に対する射出速度とサーボ弁(指令値及びスプルモニタ値)の変化特性図、
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る制御方法を実施できる油圧式射出成形機Mについて、図4及び図5を参照して説明する。
最初に、油圧式射出成形機Mの概要について、図5を参照して説明する。同図は、型締装置を省略した射出装置Miを示す。この射出装置Miは、射出シリンダ4s(油圧シリンダ4)を備え、この射出シリンダ4sの前端に加熱筒11の後端を結合するとともに、射出シリンダ4の後端にはスクリュ回転用のオイルモータ12を備える。加熱筒11の前端には射出ノズル13を有するとともに、加熱筒11の後部にはホッパー14を備える。加熱筒11にはスクリュ6s(可動体6)を内蔵し、このスクリュ6sの後端は、射出シリンダ4sに内蔵する片ロッドタイプのピストン5のロッド部5rの前端に結合する。また、射出シリンダ4sの内部は、ピストン5によって、一方の油室である後油室4rと反対側の油室である前油室4fに仕切られる。このような片ロッドタイプのピストン5を内蔵する油圧シリンダ4を用いれば、一方の油室4rと反対側の油室4fにおける異なるピストン面積に対して、二系統の油圧源により個別の油圧(逆予圧)を確実に設定できる。さらに、オイルモータ12の駆動シャフト12sは、ピストン5の後端にスプライン結合する。これにより、スクリュ6sは、射出シリンダ4sによって前進後退するとともに、オイルモータ12によって回転する。
一方、射出シリンダ4sには、油圧駆動回路20を接続するとともに、この油圧駆動回路20には成形機コントローラ40を接続する。この成形機コントローラ40には各種設定を行うことができる設定部41が付属する。この設定部41により、後述する射出前プルバック開度や逆予圧Pr等の本実施形態に係る制御方法に必要な各種設定を行うことができる。なお、例示の接続系統において、本発明に直接関係しない接続系統は図示を省略した。成形機コントローラ40は、各種制御処理及び演算処理等を実行するCPU及び各種データを記憶可能なメモリ等を内蔵するコンピュータ機能を有し、射出成形機Mにおける全体の制御を司るとともに、後述する本実施形態に係る制御方法を実行するための制御プログラムを格納する。したがって、この制御プログラムに従って油圧駆動回路20に備える後述する油圧ポンプ7及び各種バルブ類(Va,Vb,Vc…)の制御を行うことができる。その他、図5中、仮想線は不図示の型締装置に取付けられる金型15を示し、この金型15に対して、射出ノズル13の前端がノズルタッチするとともに、スクリュ6sの前進により加熱筒11内における計量した溶融樹脂を金型キャビティ内に射出充填することができる。
次に、油圧駆動回路20の具体化した構成について、図4を参照して説明する。なお、図4中、4sは上述した射出シリンダを示す。7は油圧ポンプであり、ポンプモータ7mにより駆動される一対のポンプ本体、即ち、第一ポンプ本体7aと第二ポンプ本体7bを備え、各ポンプ本体7a,7bの吸入側はストレーナ21を介してオイルタンク22に接続する。また、第二ポンプ本体7bの吐出側は、逆止弁23を介してアキュムレータ8に接続するとともに、同吐出側は、チャージ用リリーフ弁24を介してオイルタンク22に接続する。これにより、油圧ポンプ7(第二ポンプ本体7b)に接続したアキュムレータ8を備える油圧駆動源2が構成される。本実施形態に係る制御方法は、特に、このような油圧駆動源2を備える射出成形機Mに用いて最適であり、蓄圧を行うアキュムレータ8を利用した際に発生しやすい速度制御が不安定になる不具合を有効に解決できる。
さらに、第一ポンプ本体7aの吐出側は、逆止弁25を介して四ポートの切換弁VaのPポートに接続する。また、切換弁VaのTポートはオイルタンク22に接続するとともに、切換弁VaのAポートは射出シリンダ4sの前油室4fに接続し、切換弁VaのBポートは射出シリンダ4sの後油室4rに接続する。この場合、切換弁Vaを含む回路はパージ処理用油圧回路9を構成する。パージ処理用油圧回路9は、通常、パージ処理工程で使用されるものであり、射出工程では使用されないが、本実施形態に係る制御方法では、このパージ処理用油圧回路9を利用して行う。したがって、このパージ処理用油圧回路9はパージ処理工程と射出工程の双方に兼用する。このようなパージ処理用油圧回路9を利用すれば、部品の追加を伴うことなく低コストに実施できるとともに、既存の油圧回路9を利用して容易に実施できる利点がある。
他方、Vsはサーボ弁であり、このサーボ弁VsのPポートは第一開閉弁Vcと絞り26の直列回路を介してアキュムレータ8に接続するとともに、サーボ弁VsのPポートは第二開閉弁Vdを介してアキュムレータ8に接続する。また、サーボ弁VsのTポートはオイルタンク22に接続する。さらに、サーボ弁VsのAポートは射出シリンダ4sの後油室4rに接続するとともに、サーボ弁VsのBポートはメータアウト回路を構成する四ポートの切換弁VbにおけるPポートに接続する。切換弁VbのTポートはオイルタンク22に接続するとともに、切換弁VbのBポートは射出シリンダ4sの前油室4fに接続する。なお、切換弁VbのAポートは未接続として閉塞状態にする。
次に、このような射出成形機Mを用いた本実施形態に係る制御方法について、各図を参照しつつ図1に示すフローチャートに従って説明する。
今、射出成形機Mは計量工程を終了した状態にあるものとする。したがって、スクリュ6sは射出開始位置にあり、射出工程の開始タイミングまで待機している状態となる。射出工程を開始するに際しては、最初に射出前工程が、設定した時間T1(0.1〜0.5〔s〕程度)にわたって行われる(ステップS1,S2)。射出前工程では、射出工程開始前における無用な残圧が除去される。射出前工程では、図2及び図4に示すように、第一開閉弁Vc及び第二開閉弁Vdは共に閉側に、切換弁Vaは中立ポジションに、切換弁Vbはシンボルb側に、それぞれ切換わっている。また、サーボ弁Vsには、射出前プルバック開度にするための指令値PBが付与されるとともに、第一ポンプ本体7aには、バイアス運転(無負荷運転)のための指令値Bが付与される。この際、指令値PBが付与されることにより、サーボ弁Vsはシンボルb側に切換わるとともに、オイルタンク22への戻り量が5〔%〕前後となるように設定される。この指令値PBに基づく制御は、オープンループ制御となる。
次いで、射出前工程が終了したなら、中流量先出工程が設定した時間T2(0.02〜0.2〔s〕程度)にわたって行われる(ステップS3,S4)。中流量先出工程では、射出前工程の状態に対して、第一開閉弁Vcが開側に切換わる。また、本実施形態に係る制御方法に従って、サーボ弁Vsが指令値PBにより制御されながら切換弁Vaがシンボルa側に切換わるとともに、第一ポンプ本体7aには、予め設定した逆予圧指令値Yが付与される。ところで、従来における中流量先出工程では、第一開閉弁Vcが開側に切換わるのみとなるが、本実施形態に係る制御方法では、切換弁Vaの切換制御と第一ポンプ本体7aの運転制御により、第一ポンプ本体7aからの油圧が、逆止弁25,切換弁Vaを介して射出シリンダ4sの前油室4fに付与される。そして、この油圧とサーボ弁Vsのプルバック開度により、スクリュ6sの移動方向に対する逆方向に、予め設定した逆予圧Prが付与される。この場合、逆予圧Prの大きさは、射出工程の速度制御を開始する際に発生するピストン5(スクリュ6s)の飛び出し現象、即ち、制御系において発生するオーバシュート等を有効に抑制できる大きさを設定する。逆予圧Prの大きさは、実験等により設定することができるが、第一ポンプ本体7aに付与する逆予圧指令値Yを60〔%〕前後に設定して得られる大きさが望ましい。
また、この際、ピストン5の位置を保持する必要があるため、射出シリンダ4sの後油室4rの油圧はサーボ弁Vsに対する指令値PBの大きさにより設定する。したがって、前述したサーボ弁Vsに対する指令値PBは、このときのバランス、即ち、射出シリンダ4sの前油室4fに付与される逆予圧Prの大きさに対して後油室4rの油圧がバランスする5〔%〕前後の大きさを設定することが望ましい。このように、指令値PBの大きさは、従来のように射出シリンダ4sの前油室4fに逆予圧を付与しないときの指令値PBに比べ、自ずと異なる大きさとなる。
次いで、中流量先出工程が終了したなら、大流量先出工程が設定した時間T3(0.02〜0.2〔s〕程度)にわたって行われる(ステップS5,S6)。大流量先出工程では、中流量先出工程の状態に対して、第二開閉弁Vdが開側に切換わる。また、第一ポンプ本体7aは指令値Bが付与されることによりバイアス運転に戻される。この場合、サーボ弁Vsには、アキュムレータ8の油圧が第二開閉弁Vdと第一開閉弁Vcの双方を介して付与される。この際、サーボ弁Vsは引続き指令値PBによりプルバック開度に制御されるとともに、第一ポンプ本体7aには有る程度の応答時間があるため、第一ポンプ本体7aがバイアス運転に切換わった場合であっても射出シリンダ4sの前油室4fにおける逆予圧Prは保持される。このように、速度制御を開始する前に、サーボ弁Vsに付与する作動油の流量を段階的に大きくする流量設定制御、即ち、中流量先出工程と大流量先出工程を行うようにすれば、速度制御の開始前におけるピストン5の位置制御(保持制御)を確実に行うことができるとともに、射出動作開始時におけるショックの低減やサーボ弁Vsの長寿命化を図ることができる。しかも、この流量設定制御の期間を利用して、逆予圧Prを付与する制御を行うことができ、例えば、当該流量設定制御の開始と同時に逆予圧Prを付与する制御を開始し、当該流量設定制御の途中から逆予圧Prを保持する制御を行うことができる。
そして、大流量先出工程が終了したなら、スクリュ6sを前進移動させる実質的な射出充填工程のための射出速度に対する速度制御が開始する(ステップS7)。この場合、サーボ弁Vsに対しては射出速度に対応する指令値Csが付与され、射出速度に対するフィードバック制御(クローズドループ制御)が行われる。この際、速度制御の開始と同時に切換弁Vaは中立ポジション(図4中、中央シンボル)に切換えられる。これにより、射出速度が高速となる速度指令値Dvsが付与されることにより、ピストン5に飛び出し現象が生じる環境下であっても射出シリンダ4sの前油室4fに存在する逆予圧Prがピストン5の飛び出し現象を抑制する方向に作用する。したがって、速度制御開始時におけるピストン5の飛び出し現象は逆予圧Prにより抑制され、制御系におけるオーバシュート等が抑制される。
図3は、速度指令値Dvsを300〔mm/s〕の高速に設定した場合の実際の射出速度Dviを示す。また、対比のため、図6に示した従来の制御方法により実施した場合の射出速度Dvrを仮想線により重ね描きした。同図中、tsが速度制御の開始点となるが、本実施形態に係る制御方法によれば、従来の制御方法に比べ、制御開始後、オーバーシュートが1/2程度に抑制されるとともに、この後のハンチングも大幅に低減する。さらに、成形工程中のゲート通過時における挙動変化も1/2程度に抑制されるとともに、その後の変動も抑制されているなど、大幅に改善され、速度制御全体に対する安定性がより高められていることを確認できる。なお、図3中、Csはサーボ弁指令値、Cmはサーボ弁のスプルモニタ値を示す。また、図3には、射出シリンダ4の前油室4fにおける圧力をDpi〔MPa(又は%)〕により実線で示すとともに、従来の制御方法により実施した場合の前油室4fにおける圧力をDpr〔MPa(又は%)〕により仮想線で示すが、射出開始初期には、逆予圧Prの作用によりDpiがDprに対して僅かに大きくなっていることを確認できる。
よって、このような本実施形態に係る油圧式射出成形機Mの制御方法によれば、速度制御を開始する前に、油圧シリンダ4における一方の油室4rに対する反対側の油室4fに作動油を供給し、可動体6の移動方向に対する逆方向に、予め設定した逆予圧Prを付与するとともに、速度制御の開始時まで、少なくとも逆予圧Prを保持する制御を行うようにしたため、速度制御の対象となる可動体6の移動速度が高速であっても、制御系におけるオーバーシュートやハンチング等の不安定現象を有効に抑制することができる。これにより、速度制御の安定化が図られ、成形品質をより高めることができる。特に、速度指令値300〔mm/s〕の高速制御にも適応可能となるため、成形サイクルの高速化の要請や成形品の多様化などに対して柔軟かつ的確に応えることができる。また、油圧回路に対する制御方法の変更により実現できるため、制御回路の煩雑化を招いたり設定(調整)が面倒になるなどの不具合を回避できる。したがって、低コストかつ容易に実施できるとともに、PID制御回路(補償回路)等と組合わせることにより、速度制御に対する高度の安定化を実現できる。
他方、切換弁Vaが中立ポジションに切換わることにより、通常の射出工程における制御系となるため、以後は、サーボ弁Vsに付与される指令値Csによりスクリュ6sが前進移動し、射出速度Dviに対するフィードバック制御による射出充填工程が行われるとともに、更に、射出充填工程の終了により圧力制御による保圧工程が行われるという一連の射出工程が実行される(ステップS8)。そして、射出工程が終了したなら射出工程以外の工程を実行する(ステップS9,S10)。これにより、一成形サイクルが終了するため、同様の動作(処理)を成形(生産)が終了するまで行う(ステップS11,S12)。なお、チャージ用リリーフ弁24には予めアキュムレータ8に蓄積する所定の油圧が設定されており、アキュムレータ8の油圧が当該所定の油圧よりも低下したなら第二ポンプ本体部7bから油圧のチャージを行うとともに、アキュムレータ8の油圧が当該所定の油圧に満たされたならリリーフ弁24によりオイルタンク22に余分な作動油をリリーフさせる。
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、油圧シリンダ4として、スクリュ6sの後端にピストン5を結合する射出シリンダ4sを適用した場合を示したが、このような射出シリンダ4sに限定されるものではない。射出シリンダ4sに適用することにより、油圧式射出成形機Mにおいて最も大きな問題となる射出工程の改善を図ることができるが、必要により、型締シリンダやエジェクトシリンダ等の他の油圧シリンダに適用することも可能である。また、油圧ポンプ7に接続したアキュムレータ8を備える油圧駆動源2を用いた場合を示したが、アキュムレータ8を使用せず、油圧ポンプ7のみを用いる場合であっても実施可能である。さらに、速度制御を開始する前に、サーボ弁Vsに付与する作動油の流量を段階的に大きくする流量設定制御の期間を利用して、逆予圧Prを付与する制御を行う場合を示したが、流量設定制御を行わない場合であっても実施可能である。一方、逆予圧Prを付与するに際し、射出シリンダ4に接続したパージ処理用油圧回路9を利用した場合を示したが、パージ処理用油圧回路9を搭載しない場合など、必要に応じて逆予圧Prを付与するための別途の回路を追加してもよい。
本発明に係る油圧式射出成形機Mの制御方法は、油圧シリンダ4のピストン5に結合した可動体6を速度制御により移動させる構成を含む各種射出成形機に利用できる。
2:油圧駆動源,4:油圧シリンダ,4s:射出シリンダ,4r:一方の油室(後油室),4f:反対側の油室(前油室),5:ピストン,6:可動体,6s:スクリュ,7:油圧ポンプ,8:アキュムレータ,9:パージ処理用油圧回路,M:油圧式射出成形機,Vs:サーボ弁

Claims (7)

  1. 油圧駆動源から供給される作動油をサーボ弁を介して油圧シリンダの一方の油室に供給し、当該油圧シリンダに内蔵するピストンに結合した可動体を速度制御により移動させる油圧式射出成形機の制御方法において、前記速度制御を開始する前に、前記油圧シリンダにおける前記一方の油室に対する反対側の油室に作動油を供給し、前記可動体の移動方向に対する逆方向に、予め設定した逆予圧を付与するとともに、前記速度制御の開始時まで、少なくとも前記逆予圧を保持する制御を行うことを特徴とする油圧式射出成形機の制御方法。
  2. 前記油圧シリンダは、スクリュの後端にピストンを結合する射出シリンダであることを特徴とする請求項1記載の油圧式射出成形機の制御方法。
  3. 前記油圧シリンダは、片ロッドタイプのピストンを内蔵することを特徴とする請求項1又は2記載の油圧式射出成形機の制御方法。
  4. 前記油圧駆動源には、油圧ポンプに接続したアキュムレータを備えることを特徴とする請求項1記載の油圧式射出成形機の制御方法。
  5. 前記速度制御を開始する前に、前記サーボ弁に付与する作動油の流量を段階的に大きくする流量設定制御を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の油圧式射出成形機の制御方法。
  6. 前記流量設定制御の開始と同時に前記逆予圧を付与する制御を開始するとともに、当該流量設定制御の途中から前記逆予圧を保持する制御を行うことを特徴とする請求項5記載の油圧式射出成形機の制御方法。
  7. 前記逆予圧の付与には、前記射出シリンダに接続したパージ処理用油圧回路を利用することを特徴とする請求項2記載の油圧式射出成形機の制御方法。
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