JP2010208018A - 電動圧着工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】工具ヘッドが被圧着部材を圧潰している間に電動機の回転速度を減速して伝動することにより、油圧ポンプ内で大量の気泡が発生して圧着作業が不完全になるという問題を解決する。
【解決手段】電動機1から変速機構2を介して伝えた回転力により直動式の油圧ポンプ3を駆動し、この油圧ポンプ3は、ポンプシリンダ内でのプランジャの往復運動によってオイルタンク13のオイルを逆止弁を介して工具シリンダ14に送り出されるように構成され、この油圧ポンプ3の油圧によって前記工具シリンダを介して工具ヘッド4を作動させて被圧着部材6を圧潰することにより圧着作業を行う電動圧着工具であって、工具ヘッド4による被圧着部材6を圧潰している間に、変速機構によって回転速度を減速させる変速機構制御手段9が設けられる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電線を接続するための圧着端子やスリーブ等の圧着作業を行う電動圧着工具に関するものである。
電設工事では、圧着端子やスリーブ等の圧着作業に、バッテリを電源とするコードレスの電動圧着工具を用いる場合がある。このコードレスの電動圧着工具は、バッテリを電源とするDCモータから減速機構を介して伝えた回転力により油圧ポンプを駆動し、この油圧ポンプが発生した油圧によって工具ヘッドを作動させて圧着端子やスリーブ等の被圧着部材を圧潰することにより圧着作業を行うものである。
ただし、上記電動圧着工具の減速機構によるDCモータの回転速度の減速比が固定されている場合には、軽負荷と重負荷の圧着作業の双方に対応することができないという欠点がある。つまり、大きな出力トルクを得るために減速比を大きくすると、工具ヘッドの作動速度が遅くなるので、軽負荷の圧着作業を行う場合にも、1回の圧着作業に要する時間が長くなり、一定時間内に圧着できる作業回数が減少する。また、工具ヘッドの作動速度を速くするために減速比を小さくすると、出力トルクが小さくなるので、重負荷の圧着作業を行う場合に、工具ヘッドの作動力が不足して圧着が不完全なものになる。そこで、従来の電動圧着工具には、減速機構に変速機構を設けて、圧着作業の負荷の程度に応じて、DCモータの回転速度の減速機構による減速比を変更することができるようにしたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
ところが、図5に示すように、上記電動圧着工具に用いる油圧ポンプ3は、ポンプシリンダ3c内でのプランジャ3b(=ピストン)の上下動(往復運動)によって、オイルタンク13のオイルを逆止弁3d,3eを介して工具ヘッドを作動させる工具シリンダ14に送る際に、このオイル中に気泡が発生するおそれがあり、この気泡の発生によって油圧が十分に上昇せずに圧着が不完全になることがあるという問題が生じていた。
つまり、図5(a)に示すオイルの送り工程では、油圧ポンプ3のプランジャ3bが上昇して、ポンプシリンダ3c内のオイルが逆止弁3eを介して工具シリンダ14に送られるので、工具ヘッドが被圧着部材の押圧を開始すると、圧潰が進行するに従ってオイルの油圧が上昇する。しかし、プランジャ3bが図5(b)に示すように上死点に達して逆に下降を始めると(吸入工程の開始時)、逆止弁3d,3e間のオイルの圧力が急激に減少するので、このオイルに溶け込んでいた気体の飽和蒸気圧より減圧されて、オイル中にヘンリー・ドルトンの法則による気泡が発生する。しかも、この減圧による気泡は、送り工程での油圧と減圧時の圧力差が大きくなるほど多くなる。また、プランジャ3bがさらに下降して図5(c)に示すように吸入工程になると、オイルタンク13のオイルが逆止弁3dの狭い隙間を通ってポンプシリンダ3c内に吸引されるので、このときのオイルの流速Vに応じたキャビテーションによる気泡が発生する。即ち、キャビテーションによる気泡は、キャビテーション係数Kが小さいほど発生し易くなり、このキャビテーション係数Kは、オイルの静圧と気体の飽和蒸気圧との差をPd(定数)とし、オイルの密度をρ(定数)としたときに、下記の式1で表されるので、オイルの流速Vの2乗に比例して発生し易くなる。
K=Pd /((1/2)・ρ・V2 )…(式1)
そして、この減圧による気泡とキャビテーションによる気泡が総量で一定量(臨界点)以上発生すると、図5(d)に示すように、これらが互いに合体して大きな気泡Bへと成長するので、ポンプシリンダ3c内の気泡がベーパーロック状態によりプランジャ3bによるオイルの送りや吸入動作を阻害することになる。
なお、電動圧着工具における被圧着部材の圧着作業では、減速機構の減速比の設定に応じて、工具ヘッドの作動開始から圧着の完了までの間のオイルの流速V(吸入工程での流速V)はほぼ一定であるため(実際は負荷の増大に伴ってDCモータの回転速度は若干低下するが、減速比の変更に伴う回転速度の変化に比べれば僅かであるため、ほぼ一定であると考える。)、図6に示すように、この間のキャビテーションによる気泡の発生量もほぼ一定であると考えられる。さらに、このオイルの流速Vは、減速機構の減速比が小さくなるほど速くなるので、キャビテーションによる気泡の発生も、減速比が小さいほど多くなる。また、オイルの油圧は、工具ヘッドが作動を開始しても空送りの間は僅かに上昇するだけであるが、被圧着部材の押圧を開始する仮押さえ時より以降の圧潰中に急激に上昇を始めて、ダイスタッチにより圧着が完了したときに最大圧力となるので、減圧による気泡は、この被圧着部材の仮押さえ時からダイスタッチまでの間に発生量が急激に増加する。従って、軽負荷の圧着作業を行うと、図6(a)に示すように、高速の流速V1によりキャビテーションによる気泡の発生量が多くなるために、圧着の完了が近付いて減圧による気泡が増加するに伴って、これらの気泡の総量が臨界点を超えるようになる。
しかも、重負荷の圧着作業を行う場合にも、図6(b)に示すように、低速の流速V2によりキャビテーションによる気泡の発生量は少なくなるが、ダイスタッチ時の油圧が高圧となるために、減圧による気泡の発生は極めて多くなり、これらの気泡の総量が臨界点を超えるようなこともある。
特開平4−210386号公報
本発明は、工具ヘッドが被圧着部材を圧潰している間に電動機の回転速度を減速して伝動することにより、油圧ポンプ内で大量の気泡が発生して圧着作業が不完全になるという問題を解決しようとするものである。
請求項1の発明は、電動圧着工具が、電動機から変速機構を介して伝えた回転力により直動式の油圧ポンプを駆動し、この油圧ポンプは、ポンプシリンダ内でのプランジャの往復運動によってオイルタンクのオイルを逆止弁を介して工具シリンダに送り出されるように構成され、この油あ質ポンプの油圧によって前記工具シリンダを介して工具ヘッドを作動させて被圧着部材を圧潰することにより圧着作業を行う電動圧着工具において、工具ヘッドによる被圧着部材を圧潰している間に、変速機構によって回転速度を減速させる変速機構制御手段が設けられたことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、工具ヘッドが被圧着部材の押圧を開始してから圧着が完了するまでの間に、変速機構によって回転速度を減速させ、この工具ヘッドの作動速度を遅くするので、キャビテーションによる気泡の発生量を、上述の式1に基づき、V2 に比例する分だけ減少させることができる。このため、工具ヘッドが被圧着部材の押圧を開始してから圧着が完了するまでの間に、油圧が上昇することにより減圧による気泡の発生量が増大しても、キャビテーションによる気泡を加えた総量の増加を抑制できるので、これらの気泡が臨界点を超えて大きな気泡に成長するようなことがなくなり、圧着作業を確実に行うことができるようになる。また、工具ヘッドが被圧着部材の押圧を開始する前から速度を遅くするのではないので、圧着作業に要する時間が必要以上に長くなることもない。
本発明の一実施形態を示すものであって、電動圧着工具の構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態を示すものであって、電動圧着工具の油圧ポンプ付近の構造を示す部分縦断面図である。 本発明の一実施形態を示すものであって、電動圧着工具に用いるDCモータのトルクと駆動電流と効率の特性を示すグラフである。 本発明の一実施形態を示すものであって、圧着作業時に電動圧着工具の油圧ポンプで発生する気泡の発生量を示すグラフである。 電動圧着工具の油圧ポンプの各工程の動作を示す部分拡大縦断面図である。 従来例を示すものであって、圧着作業時に電動圧着工具の油圧ポンプで発生する気泡の発生量を示すグラフである。
以下、本発明の最良の実施形態について図1〜図4を参照して説明する。なお、図1〜図2においても、図5に示したものと同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記する。
本実施形態では、特許文献1で示した従来例と同様のコードレスの電動圧着工具について説明する。この電動圧着工具は、図1に示すように、DCモータ1により遊星歯車減速機構2を介して油圧ポンプ3を駆動するようになっていて、この油圧ポンプ3の油圧によって工具ヘッド4を矢印方向に進出させることにより、ダイス5にセットした被圧着部材6を圧着することになる。
DCモータ1は、バッテリ7からモータスイッチ8を介してDC電源の供給を受けることにより駆動軸を回転させる直流電動機であり、モータスイッチ8のON/OFFは制御回路9によって制御されるようになっている。遊星歯車減速機構2は、遊星歯車機構を複数段にわたって組み合わせることにより、DCモータ1の駆動軸の回転を減速して油圧ポンプ3の偏心カム3aに伝える伝動機構であり、変速用ソレノイド10によって変速用歯車をスライドさせることにより遊星歯車機構の段数を変更し減速比を大小2段階に変えることができるようにした変速機構が設けられている。変速用ソレノイド10は、バッテリ7から変速スイッチ11を介して電源の供給を受けて、可動鉄心を直線移動させるソレノイドであり、変速スイッチ11がOFFの場合には、変速用歯車がばねによって既定位置にあるために遊星歯車減速機構2の減速比は小さくなって、油圧ポンプ3の偏心カム3aを高速/低トルクで回転させるが、変速スイッチ11がONになると、変速用歯車をスライドさせて遊星歯車減速機構2の減速比を大きくし、油圧ポンプ3の偏心カム3aを低速/高トルクで回転させるようになっている。そして、この変速スイッチ11のON/OFFも制御回路9によって制御されるようになっている。制御回路9は、マイクロコンピュータ等からなり、電動圧着工具の使用者による操作入力に応じて、モータスイッチ8や変速スイッチ11のON/OFFを制御するようになっている。また、本実施形態の制御回路9では、DCモータ1の駆動電流を駆動電流検出回路12で検出してA/D変換して入力することにより、この駆動電流に応じて変速スイッチ11のON/OFFも制御するようになっている。なお、ここで示す遊星歯車減速機構2の変速機構は、特許文献1と同じ構成のものである。
油圧ポンプ3は、図2に示すように、偏心カム3aの回転によりプランジャ3b(=ピストン)をポンプシリンダ3c内で上下に往復移動させるようになっていて、吸入工程でこのプランジャ3bが下降すると、オイルタンク13のオイルが逆止弁3dを介してポンプシリンダ3c内に吸入されると共に、送り工程でこのプランジャ3bが上昇すると、ポンプシリンダ3c内のオイルが逆止弁3eを介して工具シリンダ14に送り出されることになる。そして、この油圧ポンプ3の駆動により工具シリンダ14内に発生した油圧によって工具ヘッド4が左側に進出し圧着作業が行われる。
なお、上記工具シリンダ14内の油圧は、図示しない安全弁(圧力制御弁)によって所定圧力以上に上昇しないようになっている。また、圧着作業の完了後には、図示しない解除弁を操作することにより、工具シリンダ14内のオイルをオイルタンク13に戻すことにより油圧を解放するようになっている。そして、このように油圧が解放されると、工具ヘッド4も、ばねによって右端の位置に復帰する。
上記電動圧着工具は、使用者が図示しないトリガスイッチを押したことを検出すると、制御回路9がモータスイッチ8をONにして、バッテリ7からの駆動電流をDCモータ1に供給することにより圧着作業を行う。この際、軽負荷の圧着作業を行う場合には、使用者が図示しない負荷選択スイッチを軽負荷側にしておく。すると、制御回路9は、これを検出して変速スイッチ11をOFFのままにするので、遊星歯車減速機構2の減速比が小さくなって、油圧ポンプ3の偏心カム3aが高速/低トルクで回転し、工具ヘッド4が高速で進出する。そして、工具ヘッド4がこの高速のままダイス5にセットされた被圧着部材6を圧潰してダイスタッチに至れば従来と同じ動作となる。しかしながら、本実施形態の電動圧着工具は、工具ヘッド4が被圧着部材6に当接して押圧を開始してからダイスタッチに至るまでの間に、制御回路9が変速スイッチ11をONに切り替えて、遊星歯車減速機構2の減速比を大きくし、偏心カム3aの回転を低速/高トルクに変更するようになっている。制御回路9は、上記のようにDCモータ1の駆動電流を駆動電流検出回路12で検出し、この駆動電流が所定値を超えると、このように変速スイッチ11をONに切り替えるようにしている。
ここで、DCモータ1は、図3に示すように、負荷即ちトルクTが大きくなるほど回転速度Nが減少して駆動電流Iが増大する特性を有する。そして、本実施形態では、工具ヘッド4が空送りされる無負荷の状態のときの駆動電流Iが10A、最大定格の駆動電流Iが30Aであり、制御回路9は、この駆動電流Iが20Aを超えたことを検出することにより、遊星歯車減速機構2の減速比が大きくなるように制御している。この場合、工具ヘッド4が空送りされている間は駆動電流Iが10Aのままであるが、この工具ヘッド4が被圧着部材6の押圧を開始してトルクTが増大すると、回転速度Nが減少すると共に駆動電流Iも大きくなる。しかし、被圧着部材6の圧潰が進行してトルクTがさらに増大することにより駆動電流Iが20Aを超えると、遊星歯車減速機構2の減速比が大きくなるので、DCモータ1のトルクTが一旦急激に減少し、これに伴って駆動電流Iも減少する。ただし、これによって駆動電流Iが再び20A未満に戻っても、制御回路9は、遊星歯車減速機構2の大きな減速比を維持する。そして、被圧着部材6の圧潰がさらに進行すると、トルクTが再び増大すると共に駆動電流Iも大きくなるが、減速比を変更していなかったとした場合に、ダイスタッチ時の最大の駆動電流Iが30Aを超えることになっていたとしても、減速比をこのように大きくすることにより、ダイスタッチ時の最大の駆動電流Iを30A以下にすることができる。また、図3に示すように、DCモータ1の効率ηは、駆動電流Iが30Aを超える前後付近から急激に低下するので、減速比を変更しない場合には、このDCモータ1を効率ηの極めて低い領域でも使用することになり、バッテリ7の電力を無駄に消費していたのに対して、減速比を変更することにより、このDCモータ1を効率ηが高い領域だけで使用することができるというメリットもある。
重負荷の圧着作業を行う場合には、使用者が図示しない負荷選択スイッチを重負荷側にすることにより、制御回路9がこれを検出して、モータスイッチ8をONにする間、変速スイッチ11もONにする。このため、遊星歯車減速機構2は、圧着作業の開始時から減速比が大きくなっているので、制御回路9がこの減速比を変更することはない。なお、この場合も、工具ヘッド4が空送りされている間は駆動電流Iが10Aのままであり、DCモータ1は最大回転速度に近い回転速度Nで回転するが、減速比が大きいので、この工具ヘッド4の空送り速度は、軽負荷の場合よりも遅くなる。このため、制御回路9は、工具ヘッド4の空送りの間を駆動電流I等によって検出し、この間は圧着作業の負荷の大きさにかかわらず変速スイッチ11をOFFにして減速比が小さくなるように制御することもできる。この空送りが終わって、工具ヘッド4が被圧着部材6の押圧を開始してトルクTが増大すると、回転速度Nが減少すると共に駆動電流Iも大きくなる。しかし、この場合には、減速比が十分に大きく、油圧ポンプ3の偏心カム3aが低速/高トルクで回転するので、DCモータ1のトルクTが大きくなりすぎることがなく、ダイスタッチ時の最大の駆動電流Iも30Aを超えるようなことがない。
上記構成により、本実施形態の電動圧着工具は、軽負荷の圧着作業を行う場合には、工具ヘッド4が被圧着部材6を圧潰している間に遊星歯車減速機構2の減速比を大きくして偏心カム3aの回転を低速/高トルクに変更するので、図4に示すように、油圧ポンプ3内のオイルの流速Vが高速の流速V1 から低速の流速V2 に変化し、キャビテーションによる気泡の発生量も以降は減少する。従って、油圧の上昇に基づく減圧による気泡の発生量は、被圧着部材6の圧潰の進行に伴って増加するが、この減圧による気泡とキャビテーションによる気泡の総量が臨界点を超えるようなことがなくなる。
しかも、近年の電動圧着工具では、DCモータ1に用いる永久磁石をフェライト系からネオジウム等の希土類磁石に変更すること等により回転速度を高速化し、工具ヘッド4の移動速度を向上させて作業時間の短縮を図るようにする場合が多い。そして、この場合には、従来の電動圧着工具の場合よりも油圧ポンプ3内のオイルの流速Vが速くなるので、キャビテーションによる気泡の発生量が増大する。このため、従来のDCモータ1の回転速度Nでは障害とはならなかったが、このDCモータ1を高速化することにより気泡の発生による問題が新たに生じたような場合にも、本実施形態を実施することにより解決を図ることができるようになる。
また、上記のような高速のDCモータ1は、高負荷時の駆動電流Iが極めて大きくなることが多く、定格電流を大きく超えるような駆動電流Iが流れることによりDCモータ1だけでなく、他の素子やバッテリ7にも負担を掛けるおそれがあったが、本実施形態によれば、減速比の切り替えにより駆動電流Iの上昇を抑制できるので、このような過度の負担をなくすこともできるようになる。
さらに、近年のコードレスの電動圧着工具では、バッテリ7に従来から用いられて来たニッケル・カドミウム電池に代えて、ニッケル水素電池や非水電解質電池等の最近開発された二次電池を採用することも多くなって来ている。しかしながら、これら最近の二次電池は、過大な放電電流を流すと内部極板が劣化するおそれがあるので、本実施形態によってDCモータ1の駆動電流Iの上昇を抑制することにより、バッテリ7の寿命を長くするという効果も得られる。
なお、上記実施形態では、DCモータ1の駆動電流Iが所定値を超えた場合に減速比を大きくするように制御していたが、工具ヘッド4が被圧着部材6の押圧を開始してからダイスタッチ等により工具ヘッド4が停止して圧潰が完了するまでの間において、気泡の発生が臨界点を超える前に減速比を大きくすればよいので、必ずしも駆動電流Iを検出して制御を行う必要はない。即ち、例えばDCモータ1の回転速度NやトルクTを検出したり、工具ヘッド4の移動位置を検出して減速比を大きくすることもできる。また、DCモータ1や偏心カム3aの回転回数をカウントしたり、工具シリンダ14内の圧力を検出することもできる。さらに、被圧着部材6の押圧の開始から所定時間経過後に減速比を大きくするようにプログラムすることもできる。
また、上記実施形態では、遊星歯車減速機構2の変速機構が減速比を2段階に切り替える場合を示したが、この減速比を3段階以上に切り替えるようにしてもよく、無段階で連続的に切り替えるようにすることもでき、被圧着部材6の押圧の開始から圧潰の完了までの間に2回以上減速比を切り替えたり連続的に切り替えるようにすることもできる。しかも、このように減速比を3段階以上又は無段階で切り替えることができる場合には、重負荷の圧着作業を行うときにも、被圧着部材6の押圧の開始から圧潰の完了までの間に減速比をさらに大きくするように制御を行うことができる。
また、上記実施形態では、バッテリ7を電源とするDCモータ1を用いた電動圧着工具を示したが、この電動機の種類は限定されない。例えばAC電源の電動圧着工具の場合には、誘導機等のACモータを用いることもできる。さらに、バッテリ7を電源とする場合にも、インバータ等を利用してACモータを用いることができ、ブラシレスモータやセンサレスモータを用いることもできる。
また、上記実施形態では、電動機の回転を遊星歯車減速機構2で減速すると共に変速を行う場合を示したが、この減速機構や変速機構の構成も限定されない。即ち、例えば遊星歯車以外の歯車機構を用いたり、ベルト等や流体等の他の伝動機構を用いることもできる。しかも、電動機の駆動軸で直接油圧ポンプ3を駆動できる場合には、減速機構を使用しないようにすることも可能であり、変速機構が電動機の回転速度を高めて油圧ポンプ3に伝動するようにしてもよい。さらに、上記実施形態では、変速用ソレノイド10を用いて変速を行う場合を示したが、この変速の切り替え機構も任意であり、変速機構自身の出力トルクに応じて変速を行う自動変速機構を用いることもできる。
また、上記実施形態では、偏心カム3aの回転によりプランジャ3bを往復移動させて油圧を発生させる油圧ポンプ3を用いる場合を示したが、電動機からの回転力により駆動される油圧ポンプであれば、その構成は任意である。即ち、回転をプランジャ3bの往復移動に変換するのは、偏心カム3aに限らずクランク機構等の他の機構を用いてもよい
また、上記実施形態では、被圧着部材6をセットしたダイス5に向けて工具ヘッド4を直線的に進出させることにより圧着を行う電動圧着工具について説明したが、この工具ヘッド4が例えば被圧着部材6を挟み込むように作動して圧着を行うような電動圧着工具であってもよい。
1 DCモータ
2 遊星歯車減速機構
3 油圧ポンプ
4 工具ヘッド
6 被圧着部材
9 制御回路
10 変速用ソレノイド
11 変速スイッチ
12 駆動電流検出回路
13 オイルタンク

Claims (1)

  1. 電動機から変速機構を介して伝えた回転力により直動式の油圧ポンプを駆動し、この油圧ポンプは、ポンプシリンダ内でのプランジャの往復運動によってオイルタンクのオイルを逆止弁を介して工具シリンダに送り出されるように構成され、この油圧ポンプの油圧によって前記工具シリンダを介して工具ヘッドを作動させて被圧着部材を圧潰することにより圧着作業を行う電動圧着工具において、
    工具ヘッドによる被圧着部材を圧潰している間に、変速機構によって回転速度を減速させる変速機構制御手段が設けられたことを特徴とする電動圧着工具。
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