JP2010206746A - 超音波探触子の製造方法、超音波探触子、超音波診断装置 - Google Patents

超音波探触子の製造方法、超音波探触子、超音波診断装置 Download PDF

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Abstract

【課題】各圧電素子と音響制動部材との電気的接続を確実に確保することのできる超音波探触子の製造方法、超音波探触子、超音波診断装置を提供する。
【解決手段】バッキング材100の接合予定面104に複数の貫通孔101を形成し、各貫通孔101に導電性ペーストを充填して柱状導電部102を形成し、該柱状導電部102の端部に電極基部103を形成して研磨し、スクリーン印刷で電極基部103上に微小な凸部106を形成する。一方、圧電基材110の接合予定面112に銀焼付け工法で電極層114を形成し、該圧電基材110を格子状に切断して複数の圧電素子115を形成し、各圧電素子115間の間隙116に充填材を充填して隔壁部117を形成する。そして、前記接合予定面104と接着剤を塗布した接合予定面112とを対向させ、凸部106が電極層114に突き刺さる態様で音響制動部材21と圧電部22とを圧着する。
【選択図】図4

Description

本発明は、超音波を送受信可能な超音波探触子の製造方法に関し、特に、超音波探触子に備えられる音響制動部材と圧電体との接合技術に関する。
超音波は、通常、16000Hz以上の音波をいい、非破壊、無害および略リアルタイムでその内部を調べることが可能であることから、欠陥の検査や疾患の診断等の様々な分野に応用されている。その一つに、被検体内を超音波で走査し、被検体内から来た超音波の反射波(エコー)から生成した受信信号に基づいて当該被検体内の内部状態を画像化する超音波診断装置がある。
この超音波診断装置は、医療用では、他の医療用画像装置に較べて小型で安価であり、そして、X線等の放射線被爆が無く安全性が高いこと、また、ドップラ効果を応用した血流表示が可能であること等の様々な特長を有している。このため、超音波診断装置は、循環器系(例えば心臓の冠動脈等)、消化器系(例えば胃腸等)、内科系(例えば肝臓、膵臓および脾臓等)、泌尿器系(例えば腎臓および膀胱等)および産婦人科系等で広く利用されている。
この超音波診断装置には、被検体に対して超音波(超音波信号)を送受信する超音波探触子が用いられている。この超音波探触子は、圧電現象を利用することによって、送信の電気信号に基づいて機械振動して超音波を発生し、被検体内部で音響インピーダンスの不整合によって生じる超音波の反射波を受けて受信の電気信号を生成する複数の圧電素子を備え、これら複数の圧電素子が例えばアレイ状に2次元配列されて構成されている。
そして、これら複数の圧電素子における一方面(背面)には、超音波を吸収する音響制動部材(音響負荷部材、バッキング層、ダンパ層、音響吸収部材)と呼ばれる部材が設けられており、また、これら複数の圧電素子のそれぞれに、電気信号を送受信するための配線が接続されている。
この種の超音波探触子に関する技術文献として下記特許文献1〜4がある。
下記特許文献1には、バッキング材に複数の貫通孔を形成して、該貫通孔に信号線をその両端が突出する状態で引き出し、その状態で圧電体とバッキング材とを導電性接着剤により接着した後、圧電体の表面側からバッキング層に到達するまでの深さで溝を形成することにより、複数の振動子片を形成する技術が開示されている。
特許文献2には、複数の圧電振動子と、圧電振動子の信号電極と電気的に接続される複数の信号ラインが一定方向に並べて形成された複数のプリント基板と、複数のバッキング材とを備え、前記各プリント基板における前記各信号ラインの一端側に前記各圧電振動子を一列に実装するとともに、前記各プリント基板上において前記圧電振動子の列に隣接させてバッキング材を設置し、これらのプリント基板を同方向に積層することにより複数の圧電振動子がマトリックス状に配列されてなる2次元アレイ超音波プローブを製造する技術が提案されている。
特許文献3には、音響整合層に積層された共通電極の電極面上に複数の振動子を一定の空隙を設けた状態でマトリックス状に配列する工程と、各振動子に積層された基板側電極より基板側(前記音響整合層と反対側)に突き出る態様で前記空隙に高分子材料からなる壁を形成する工程と、各圧電素子に対応して前記壁の適所に切欠部を形成する工程と、基板側電極に接続するバンプを切欠部に形成する工程と、基板上のマトリックス状に形成された信号線の上にバンプを形成する工程と、前記両バンプが一体化するように各振動子と前記基板とを接合することにより基板に電気的に接続された信号線と基板側電極とが電気的に接続する工程とを経て2次元アレイ超音波プローブを製造する技術が開示されている。
特許文献4には、「基板上に、請求項2記載の圧電振動子の、個々の微小振動体に1対1で対応する複数のスイッチング素子を配列した実装基板を備えるとともに、この実装基板を、上記圧電振動子の、(I)の電極層を形成した側の面に、当該電極層を挟んで、個々の微小振動体とスイッチング素子とが圧電振動子の面方向に重なるように位置合わせしつつ重ね合わせ、かつ実装基板と圧電振動子とを圧着させることによって、面方向に重なった個々の微小振動体とスイッチング素子とを電極層を介して電気的に接続したことを特徴とする実装デバイス。([請求項6])」と記載されている。
また、下記特許文献4には、「圧電振動部材1の表面の、微細電極をパターン形成する領域を覆うエッチングレジスト層R2を形成する。次に金属薄膜Mの、エッチングレジスト層R2で覆われていない領域を選択的にエッチング除去したのち、エッチングレジスト層R2を除去すると、圧電振動部材1の表面の、エッチングレジスト層R2を形成した領域に選択的に、微細電極22がパターン形成されて、電極アレイ2が形成される。」と記載されている。
特開平7−131895号公報 特開2001−309493号公報 特開平5−123317号公報 特開2004−88056号公報
従来では、各圧電素子(振動子)と音響制動部材とを単純に接合する手法を採用していた。この手法の場合、圧電体と音響制動部材とがどの部位でも完全に一定間隔を介して平行に対向するときには、各圧電素子と音響制動部材との電気的な導通を確保することができる。
ところが、現実的には、各圧電素子が音響制動部材と接合する際に傾いたり部分的に浮き上がったりして、各圧電素子と音響制動部材との間のギャップにバラツキが生じ、全ての圧電素子を音響制動部材側の電極と接続することが困難であった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、各圧電素子と音響制動部材との電気的接続を確実に確保することのできる超音波探触子の製造方法、超音波探触子及び超音波診断装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号とを相互に変換する複数の圧電素子が2次元的に配列されてなる圧電部と、超音波吸収材を用いて構成され、前記圧電部から放射される超音波を吸収する音響制動部材とが積層されてなる超音波探触子の製造方法であって、前記音響制動部材及び前記各圧電素子に電極面をそれぞれ形成するとともに、前記音響制動部材の電極面及び前記圧電素子の電極面のうち少なくとも一方を微小な凸部を複数備えた電極面として形成する第1の工程と、前記音響制動部材と前記各圧電素子とを前記各電極面同士で接合する第2の工程とを有するものである。
この発明によれば、前記音響制動部材及び前記各圧電素子に電極面をそれぞれ形成するとともに、前記音響制動部材の電極面及び前記圧電素子の電極面のうち少なくとも一方を微小な凸部を複数備えた電極面として形成し、前記音響制動部材と前記各圧電素子とを前記各電極面同士で接合するようにしたので、各圧電素子と音響制動部材との間のギャップにバラツキがあっても、各圧電素子の電極面と音響制動部材の電極面との電気的な接続を確実に確保することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波探触子の製造方法において、前記第2の工程は、前記音響制動部材の電極面と前記各圧電素子の電極面とを対向させ、前記各凸部及び前記各凸部との対向部位のうち少なくとも一方が変形する態様で、前記音響制動部材と前記各圧電素子とを前記各電極面同士で接合する工程である。
この発明によれば、前記各電極面同士を対向させて、前記各凸部及び前記各凸部との対向部位のうち少なくとも一方が変形する態様で、前記音響制動部材と前記各圧電素子とを前記各電極面同士で接合するようにしたので、各圧電素子と音響制動部材との間のギャップにバラツキがあっても、各圧電素子の電極面と音響制動部材の電極面との電気的な接続を確実に確保することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の超音波探触子の製造方法において、前記第1の工程は、前記音響制動部材に導電性樹脂を用いて前記凸部を複数備えた電極面を形成する工程と、銀焼付け工法により前記圧電素子に前記電極面を形成する工程とを含み、前記第2の工程は、前記音響制動部材に形成された前記各凸部が前記圧電素子に形成された電極面に突き刺さる態様で、前記音響制動部材と前記各圧電素子とを前記電極面同士で接合する工程である。
この発明によれば、前記音響制動部材に導電性樹脂を用いて形成された複数の凸部を、銀焼付け工法により前記圧電素子に形成された電極面に突き刺す態様で、前記音響制動部材と前記各圧電素子とを前記電極面同士で接合するようにしたので、各圧電素子と音響制動部材との間のギャップにバラツキがあっても、各圧電素子の電極面と音響制動部材の電極面との電気的な接続を確実に確保することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の超音波探触子の製造方法において、前記音響制動部材に導電性樹脂を用いて前記凸部を複数備えた電極面を形成する工程は、前記各圧電素子の配列態様に対応して前記音響制動部材に貫通孔をそれぞれ形成する工程と、前記各貫通孔に前記導電性樹脂を充填する工程と、前記各貫通孔に形成された各充填体の端部に導電性樹脂を用いて板状の電極基部を形成する工程と、スクリーン印刷工法により前記電極基部に導電性樹脂を用いて前記凸部を複数形成することにより前記凸部を複数備えた電極面を形成する工程とを含むものである。
この発明によれば、微小な凸部を複数備えた電極面を音響制動部材に形成することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の超音波探触子の製造方法において、前記第1の工程は、前記圧電素子の表面に対して粗面化処理を施して凸部を複数形成する工程と、前記粗面化処理が施された前記表面に金属膜を形成することにより前記凸部を複数備えた電極面を形成する工程と、前記音響制動部材に導電性樹脂又は金属材料を用いて前記電極面を形成する工程とを含み、前記第2の工程は、前記各凸部が圧縮される態様で、前記音響制動部材と前記各圧電素子とを前記電極面同士で接合する工程である。
この発明によれば、圧電素子に形成された複数の凸部を、音響制動部材に導電性樹脂又は金属材料を用いて形成された電極面に押し付けて前記各凸部が圧縮される態様で、前記音響制動部材と前記各圧電素子とを前記電極面同士で接合するようにしたので、各圧電素子と音響制動部材との間のギャップにバラツキがあっても、各圧電素子の電極面と音響制動部材の電極面との電気的な接続を確実に確保することができる。
請求項6に記載の発明は、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号とを相互に変換する複数の圧電素子が2次元的に配列されてなる圧電部と、超音波吸収材を用いて構成され、前記圧電部から放射される超音波を吸収する音響制動部材とが積層されてなる超音波探触子であって、請求項1乃至5の何れかに記載の製造方法により製造されたものである。
請求項7に記載の発明は、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号とを相互に変換する複数の圧電素子が2次元的に配列されてなる圧電部と、超音波吸収材を用いて構成され、前記圧電部から放射される超音波を吸収する音響制動部材とが積層されてなる超音波探触子であって、前記音響制動部材に形成された電極面と、前記各圧電素子に形成された電極面とを備え、前記音響制動部材の電極面及び前記圧電素子の電極面のうち少なくとも一方の電極面に形成された複数の微小な凸部を介して前記音響制動部材と前記各圧電素子とが前記各電極面同士で接合されているものである。
これらの発明によれば、圧電部に2次元的に配列された各圧電素子と音響制動部材との電気的な接続が確実に確保された超音波探触子を実現することができる。
請求項8に記載の発明は、被検体に超音波信号を出力し、該被検体により反射された超音波信号を電気信号に変換して出力する請求項6又は7に記載の超音波探触子と、前記超音波探触子から出力される電気信号を受信し、該電気信号に基づき前記被検体の内部状態の画像を生成する画像処理部とを備える超音波診断装置である。
この発明によれば、圧電部に備えられる各圧電素子と音響制動部材との電気的な接続が確実に確保された超音波探触子を有する超音波診断装置を実現することができる。
本発明によれば、各圧電素子と音響制動部材との電気的接続を確実に確保することができる。
本発明に係る超音波診断装置の外観構成の一例を示す図である。 超音波診断装置の電気的な構成を示すブロック図である。 超音波診断装置における超音波探触子の構成を示す図である。 音響制動部材と圧電部との接合工程に係る第1の実施形態を説明するための図である。 電極基部及び凸部の構成を示す拡大図である。 音響制動部材の接合予定面と圧電部の接合予定面とを接合したときの、或る圧電素子と音響制動部材とのギャップΔd1と、別の圧電素子と音響制動部材とのギャップΔd2(Δd1<Δd2)とが異なる場合を表した図である。 音響制動部材と圧電部との接合工程に係る第2の実施形態を説明するための図である。 音響制動部材の接合予定面と圧電部の接合予定面とを接合したときの、或る圧電素子と音響制動部材とのギャップΔd11と、別の圧電素子と音響制動部材とのギャップΔd12(Δd11<Δd12)が異なる場合を表した図である。
以下、本発明に係る実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。また、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
図1は、超音波診断装置の外観構成を示す図である。図2は、超音波診断装置の電気的な構成を示すブロック図である。図3は、超音波診断装置における超音波探触子の構成を示す図である。
超音波診断装置Sは、図1及び図2に示すように、図略の生体等の被検体に対して超音波(第1超音波信号)を送信すると共に、この被検体で反射した超音波の反射波(エコー、第2超音波信号)を受信する超音波探触子2と、超音波探触子2とケーブル3を介して接続され、超音波探触子2へケーブル3を介して電気信号の送信信号(送信電気信号)を送信することによって超音波探触子2に被検体に対して第1超音波信号を送信させると共に、超音波探触子2で受信された被検体内から来た第2超音波信号に応じて超音波探触子2で生成された電気信号の受信信号(受信電気信号)に基づいて被検体内の内部状態を超音波画像として画像化する超音波診断装置本体1とを備えて構成される。
超音波診断装置本体1は、例えば、図2に示すように、操作入力部11と、送信部12と、受信部13と、画像処理部14と、表示部15と、制御部16とを備えて構成されている。
操作入力部11は、診断開始を指示するコマンドや被検体の個人情報のデータ等を入力するものであり、例えば、複数の入力スイッチを備えた操作パネルやキーボード等である。
送信部12は、制御部16の制御に従って、超音波探触子2へケーブル3を介して電気信号の送信信号を供給して超音波探触子2に第1超音波信号を発生させる回路である。送信部12は、例えば、高電圧のパルスを生成する高圧パルス発生器等を備えて構成される。受信部13は、制御部16の制御に従って、超音波探触子2からケーブル3を介して電気信号の受信信号を受信する回路であり、この受信信号を画像処理部14へ出力する。受信部13は、例えば、ケーブル3の伝送損失(伝送ロス)を補償すべく、受信信号を予め設定された所定の増幅率で増幅する増幅器、および、この増幅器で増幅された受信信号をアナログ信号からディジタル信号へ変換するアナログ−ディジタル変換器等を備えて構成される。
画像処理部14は、制御部16の制御に従って、受信部13で受信した受信信号に基づいて被検体内の内部状態を表す画像(超音波画像)を生成する回路である。
画像処理部14は、第1超音波信号の周波数帯と略同一の周波数帯の超音波信号を第2超音波信号して受信部13で受信し、この受信した受信信号に基づいて被検体の超音波画像を生成するように構成されてもよいが、より高精度の超音波画像を得る観点から、画像処理部14は、上述のハーモニックイメージング技術によって、受信部13で受信した受信信号に基づいて被検体の超音波画像を生成するように構成されてもよい。
このハーモニックイメージング技術には、例えば、特開2001−286472号公報等に開示されているように、大別すると、フィルタ法と位相反転法(パルスインバージョン法)との2つの方法がある。このフィルタ法は、高調波検出フィルタによって基本波成分と高調波成分とを分離し、高調波成分だけを抽出し、この高調波成分から超音波画像を生成する方法である。また、この位相反転法は、同一方向に続けて互いに位相が反転している第1および第2送信信号を送信し、これら第1および第2送信信号に対応する第1および第2受信信号を加算することによって高調波成分を抽出し、この高調波成分から超音波画像を生成する方法である。第1および第2受信信号における基本波成分は位相が反転しているが、高調波の例えば第2次高調波成分は同相となるため、第1および第2受信信号を加算することによってこの第2次高調波成分が抽出される。
この画像処理部14では、例えば、フィルタ法によって受信信号から高調波成分が抽出され、この抽出された高調波成分に基づいてハーモニックイメージング技術を用いて被検体の超音波画像が生成される。また、例えば、画像処理部14では位相反転法によって受信信号から高調波成分が抽出され、この抽出された高調波成分に基づいてハーモニックイメージング技術を用いて被検体の超音波画像が生成される。
表示部15は、制御部16の制御に従って、画像処理部14で生成された被検体の超音波画像を表示する装置である。表示部15は、例えば、CRTディスプレイ、LCD(液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイおよびプラズマディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
制御部16は、例えば、マイクロプロセッサ、記憶素子およびその周辺回路等を備えて構成され、これら超音波探触子2、操作入力部11、送信部12、受信部13、画像処理部14および表示部15を当該機能に応じてそれぞれ制御することによって超音波診断装置Sの全体制御を行う回路である。
超音波探触子(超音波プローブ)2は、被検体内に第1超音波信号を送信しこの第1超音波信号に基づく被検体内から来た第2超音波信号を受信する装置である。超音波探触子2は、例えば、図3(A)に示すように、平板状の音響制動部材21(21A、21B、21C)と、この音響制動部材21の一方主面上に積層された圧電部22と、この圧電部22上に積層された音響整合層23と、この音響整合層23上に積層された音響レンズ24とを備えて構成される。
音響制動部材21は、超音波を吸収する材料(超音波吸収材)から構成され、主に、圧電部22から音響制動部材21方向へ放射される超音波を吸収するものである。音響制動部材21は、超音波を充分に減衰することによって圧電部22の音響的特性を良好に保つべく、使用される超音波の波長に対して充分な厚みを有していることが好ましい。
また、音響制動部材21は、圧電部22を機械的に支持するものであり、また、第1超音波信号のパルス波形を短くすべく音響的に制動をかけるものである。音響制動部材21は、一般に、音響負荷部材、バッキング層、ダンパ層あるいは音響吸収部材とも呼ばれる。音響制動部材21の材料として、例えばエポキシ樹脂等の樹脂に音響散乱粉体を混ぜた材料が挙げられる。このような材料では音響散乱体によって超音波の減衰率を大きくすることができる。
前記音響散乱粉体は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銀(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、インジウム(In)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)およびタンタル(Ta)等を挙げることができるが、コストや入手の容易性から、本実施形態では、タングステンが用いられる。そして、音響制動部材21には、電気的な導体である複数の柱状導電部102(図4参照)が超音波吸収材に埋設されている。音響制動部材21については、後述でさらに詳述される。
圧電部22は、音響制動部材21における複数の柱状導電部102と電気的にそれぞれ接続され、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号とを相互に変換する複数の圧電素子を備えて構成される。
圧電部22は、これら複数の圧電素子が、互いに所定の間隔を空けて平面視にて線形独立な2方向にm行×n列でアレイ状に2次元配列して構成されている。m、nは、正の整数であり、例えば、m=n=128である。この場合、圧電素子の個数は、128×128=16384であり、これに応じて音響制動部材21の柱状導電部102も16384本となる。前記所定の間隔を空けることによって生じる隙間には、複数の圧電素子間のクロストークを低減する観点から、超音波吸収材が充填されていることが好ましい。
各圧電素子は、圧電材料から成る圧電体における互いに対向する両面にそれぞれ電極を備えて構成されている。各圧電素子における電極の一方は接地され、電極の他方は音響制動部材21の柱状導電部102に電気的に接続される。この圧電体の厚さは、例えば、送受信すべき超音波の周波数や圧電材料の種類等によって適宜に設定される。
これら複数の圧電素子のそれぞれには、送信部12からケーブル3を介して超音波探触子2に入力された電気信号の送信信号が、前記複数の柱状導電部102のそれぞれを介して入力される。各圧電素子は、この電気信号を圧電現象を利用することにより超音波信号に変換して該超音波信号を送信する。
そして、超音波探触子2が被検体に当てられることにより、圧電部22の各圧電素子で生成された超音波信号が第1超音波信号として被検体内へ送信される。一方、圧電部22の各圧電素子は、第1超音波信号に基づく被検体内から来た第2超音波信号を受信し、この受信した第2超音波信号を圧電現象を利用することにより電気信号に変換して該電気信号を出力する。この電気信号は、各圧電素子の電極から前記複数の柱状導電部102のそれぞれを介して出力される。この電気信号は、超音波探触子2からケーブル3を介して超音波診断装置本体1の受信部13へ出力される。
ここで、圧電部22は、図3(B)に示すように、音響制動部材21の一方主面上に積層された送信用圧電部221と、この送信用圧電部221上に積層された中間層222と、この中間層222上に積層された受信用圧電部223とを備えて構成されてもよい。
送信用圧電部221は、無機圧電材料を備えて成り、圧電現象を利用することによって送信電気信号を第1超音波信号に変換するものである。無機圧電材料は、例えば、所謂PZT、水晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、ニオブ酸タンタル酸カリウム(K(Ta,Nb)O3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)およびチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)等である。
中間層(バッファ層)222は、送信用圧電部221と受信用圧電部223とを積層するための部材である。本実施形態では、中間層222は、送信用圧電部221と受信用圧電部223との音響インピーダンスを整合させる部材である。
受信用圧電部223は、有機圧電材料を備えて成り、圧電現象を利用することによって、第1超音波信号に基づく被検体内から来た第2超音波信号を受信電気信号に変換するものである。前記有機圧電材料としては、例えば、フッ化ビニリデンの重合体、或いは、フッ化ビニリデン(VDF)系コポリマを用いることができる。フッ化ビニリデン系コポリマは、フッ化ビニリデンと他の単量体との共重合体(コポリマ)であり、他の単量体としては、3フッ化エチレン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、パーフルオロアルコキシエチレン(PAE)およびパーフルオロヘキサエチレン等を用いることができる。フッ化ビニリデン系コポリマは、その共重合比によって厚み方向の電気機械結合定数(圧電効果)が変化するので、例えば、超音波探触子2の仕様等に応じて適宜な共重合比が採用される。
このような構成では、圧電部22が送信用圧電部221と受信用圧電部223とに機能分離されており、送信用圧電部221が無機圧電材料を備えて構成されている。したがって、送信パワーを比較的簡単な構造で大きくすることが可能である。このため、この圧電部22を備える超音波探触子2は、比較的大きなパワーで基本波の第1超音波信号を送信することができ、より大きな第2超音波信号の高調波成分を得ることができる。
そして、受信用圧電部223が有機圧電材料を備えて構成されている。したがって、この圧電部22を備える超音波探触子2は、周波数帯域を比較的簡単な構造で広帯域にすることが可能であるため、第2超音波信号に含まれる高調波成分を受信することが可能となる。このため、この超音波探触子2は、第2超音波信号の高周波成分を好適に受信することができる。特に、このような構成の圧電部22を備える超音波探触子2は、第2超音波信号の高調波成分を好適に受信することができるので、上述のハーモニックイメージング技術によって超音波画像を形成する超音波診断装置Sに好適である。
また、図3(B)に示すように、送信用圧電部221と受信用圧電部223とが積層されているので、圧電部22および超音波探触子2を小型化することが可能となる。また、図3(B)に示すように、第1および第2超音波信号の送受信面(音響レンズ24の表面)と送信用圧電部221との間に受信用圧電部223が配置されているので、受信ノイズを低減してSN比を向上させることが可能となる。
図3(A)に戻って、音響整合層23は、圧電部22の音響インピーダンスと被検体の音響インピーダンスとの整合をとる部材である。音響整合層23は、単層で構成されてもよく、あるいは、複数層で構成されてもよい。例えば、受信周波数帯域を広帯域化する場合では、音響整合層23は、複数層で構成されることが好ましい。音響レンズ24は、被検体に向けて送信される超音波を収束する部材であり、例えば、図3に示すように、円弧状に膨出した形状とされている。なお、音響整合層23と音響レンズ24とは、一体に構成されてよい。
このような構成の超音波診断装置Sでは、例えば、操作入力部11から診断開始の指示が入力されると、制御部16の制御によって送信部12で電気信号の送信信号が生成される。この生成された電気信号の送信信号は、ケーブル3を介して超音波探触子2へ供給される。この電気信号の送信信号は、例えば、所定の周期で繰り返される電圧パルスである。圧電部22では、この電気信号の送信信号が供給されることによってその複数の圧電素子のそれぞれがその厚み方向に伸縮し、この電気信号の送信信号に応じて超音波振動する。この超音波振動によって、圧電部22は、音響整合層23および音響レンズ24を介して超音波(第1超音波信号)を放射する。超音波探触子2が被検体に例えば当接されていると、これによって超音波探触子2から被検体に対して第1超音波信号が送信される。
なお、超音波探触子2は、被検体の表面上に当接して用いられてもよいし、被検体の内部に挿入して、例えば、生体の体腔内に挿入して用いられてもよい。
この被検体に対して送信された第1超音波信号は、被検体内部における音響インピーダンスが異なる1または複数の境界面で反射され、超音波の反射波(第2超音波信号)となる。この第2超音波信号には、送信された第1超音波信号の周波数(基本波の基本周波数)成分だけでなく、基本周波数の整数倍の高調波の周波数成分も含まれる。
例えば、基本周波数の2倍、3倍および4倍などの第2次高調波成分、第3次高調波成分および第4次高調波成分等も含まれる。この第2超音波信号は、超音波探触子2で受信される。より具体的には、この第2超音波信号は、音響レンズ24および音響整合層23を介して圧電部22で受信され、圧電部22で機械的な振動が電気信号に変換されて受信信号として取り出される。この取り出された電気信号の受信信号は、超音波探触子2からケーブル3を介して超音波診断装置本体1の受信部13で受信される。受信部13は、この入力された受信信号を受信処理し、より具体的には、例えば増幅した後にアナログ信号からディジタル信号へ変換して画像処理部14へ出力する。
ここで、上述において、圧電部22の各圧電素子から順次に第1超音波信号が被検体に向けて送信され、被検体で反射した第2超音波信号が圧電部22で受信される。
そして、画像処理部14は、制御部16の制御によって、受信部13で受信した受信信号に基づいて、送信から受信までの時間や受信強度等から被検体の超音波画像を生成し、表示部15は、制御部16の制御によって、画像処理部14で生成された被検体の超音波画像を表示する。なお、画像処理部14は、上述のハーモニックイメージング技術によって被検体の超音波画像を生成しても良い。
ところで、本件においては、前記超音波探触子2の製造過程で行われる音響制動部材21と圧電部22との接合工程において、次のような工法が採用されている点が従来技術と相違する。以下、この点について説明する。図4は、音響制動部材21と圧電部22との接合工程に係る第1の実施形態を説明するための図である。
(第1の実施形態)
図4(a)に示すように、まず、音響制動部材21の素材となる基材100(以下、バッキング材100という)の接合予定面104(図4(a)では上面)に対し、後述する別の工程で生成する圧電素子115の配列状態に対応する態様(マトリックス状)で貫通孔101を形成し、図4(b)に示すように、前記各貫通孔101に導電性ペーストを充填して柱状導電部102をそれぞれ形成する。
なお、前記バッキング材100の厚みは、1.5〜2.5mmの範囲の厚みが好ましく、また、前記各貫通孔101の直径は、100〜150μmの範囲の長さが好ましい。さらに、前記貫通孔101に充填される導電性ペーストとしては、溶剤を含まず且つ分散された金属が比較的小さな導電性ペースト(例えばタツタシステム・エレクトロニクス株式会社製のAE1650など)が好ましいが、樹脂に金属を分散して混合したものであれば使用可能である。
次に、図4(c)に示すように、無電界メッキ及び/又は電界メッキによって、前記柱状導電部102の端部に銅又は銅の表面に金を被覆した平板状の電極基部103を形成する。この時点におけるバッキング材100の接合予定面104には、金属で形成された電極基部103が各圧電素子の配列状態に対応する態様で配列する。なお、図4(c)に示す下面105側に形成された電極基部103は図略の基板と接続される電極である。
さらに、図4(d)に示すように、スクリーン印刷技術によって接合予定面104に形成された電極基部103上に微小な凸部106を形成する。これにより、音響制動部材21の接合予定面104に、微小な凸部106を有する電極面が形成される。なお、スクリーン印刷処理で用いるマスクはフォトマスクにより予め製造する。なお、微小な凸部106は、電極基部103上にのみ形成する必要はなく、接合予定面104全面に形成しても性能上特に問題は生じない。
図5は、電極基部103及び凸部106の構成を示す拡大図である。図5に示すように、前記凸部106は、底面の直径Rが例えば10μm、高さHが例えば15μmの円錐形状に形成される。ただし、底面の直径Rや高さHは、2〜200μmを好適な設定範囲として、該範囲内で電極基部103の数や密度等に応じて適宜設定するとよい。
一方、圧電部22側においては、図4(e)に示すように、圧電部22の素材となる圧電基材110の上下面111,112に、図4(f)に示すように、銀焼付け工法により電極層113,114を形成する。銀焼付け工法においては、金属銀(Ag)の粉末に硼珪酸鉛ガラスのフリットを少量混合したものを有機溶剤でペースト状に溶解し、それをハケやスクリーンによってセラミック表面に塗布し、それを500〜800(℃)に加熱して有機物を分解し、ガラスフリットを溶融して銀粒子をセラミック表面に密着させることが行われる。
次に、図4(g)に示すように、電極層113,114が形成された圧電基材110をその下面112側からみて格子状(マトリックス状)に切断する。これにより、複数の圧電素子115が、隣接する圧電素子115との間に一定の間隙116を有する形態で形成される。
そして、図4(h)に示すように、前記間隙116に例えば高分子材料等の絶縁材料からなる充填材を充填し、隔壁部117を形成する。なお、図4(g)では、下面112が音響制動部材21との接合予定面である。
以上のように音響制動部材21と圧電部22とをそれぞれ製造すると、音響制動部材21の接合予定面104と圧電部22の接合予定面112とのうち少なくとも一方の面に(ここでは、圧電部22の接合予定面112にのみ)、例えばエポキシ系接着剤などの接着剤を塗布した後、図4(i)に示すように、音響制動部材21の接合予定面104と圧電部22の接合予定面112とを対向させて、音響制動部材21と圧電部22とを圧着する。
このとき、導電性ペーストで形成された、音響制動部材21の凸部106は、圧電部22に形成された電極層114より硬度が大きいため、該電極層114に突き刺さる(前記変形の一態様)。これにより、音響制動部材21と圧電部22とが電気的に導通する構成となる。
以上のように、本実施形態によれば、音響制動部材21の接合予定面104に、微小な凸部106を有する電極面を形成し、この音響制動部材21の接合予定面104と圧電部22の接合予定面112とを接合するようにしたので、各圧電素子115を音響制動部材21に対して確実に電気的に導通(結合)させることができる。
すなわち、図6に示すように、音響制動部材21の接合予定面104と圧電部22の接合予定面112とを接合したときの、或る圧電素子115と音響制動部材21とのギャップΔd1と、別の圧電素子115と音響制動部材21とのギャップΔd2(図6ではΔd1<Δd2)とが異なる場合を想定する。
このとき、本実施形態のように凸部106を形成しないものとすると、音響制動部材21とのギャップがΔd1となる圧電素子115(図6では左側の圧電素子115)については、圧電部22に塗布された接着剤層107が音響制動部材21に付着して、該接着剤層107を介して音響制動部材21と電気的に導通させることができたとしても、音響制動部材21とのギャップがΔd2となる圧電素子115(図6では右側の圧電素子115)については、前記接着剤層107が音響制動部材21には付着せず(届かず)、音響制動部材21と電気的に導通させることができない場合がある。
これに対し、本実施形態においては、音響制動部材21の接合予定面104に前記凸部106を有する電極を形成し、音響制動部材21と圧電部22との接合時に前記凸部106が圧電部22の電極に突き刺さる構成としたので、音響制動部材21とのギャップが比較的大きい圧電素子115であっても、前記凸部106を介して音響制動部材21と電気的に導通させることができる。
すなわち、前記凸部106によって、音響制動部材21と圧電素子115とのギャップのバラツキが吸収されることとなる。これにより、圧電部22と音響制動部材21との間のギャップにバラツキが生じている場合であっても、各圧電素子115を音響制動部材21と確実に電気的に導通させることができる。
(第2の実施形態)
次に、音響制動部材21と圧電部22との接合工程に係る第2の実施形態について説明する。図7は、音響制動部材21と圧電部22との接合工程に係る第2の実施形態を説明するための図である。
音響制動部材21における電極の製造については、図7(a)〜(c)に示すように、図4(a)〜(c)と同様の処理を行う。すなわち、図7(a)に示すように、まず、音響制動部材21の素材となる基材200(以下、バッキング材200という)の接合予定面204(図7(a)では上面)に対し、後述する別の工程で生成する圧電素子215の配列状態に対応する態様(マトリックス状)で貫通孔201を形成し、図7(b)に示すように、前記各貫通孔201に導電性ペーストを充填し、柱状導電部202をそれぞれ形成する。
次に、図7(c)に示すように、前記スクリーン印刷等の印刷技術によって、前記柱状導電部202の端部に前記導電性ペーストを用いて平板状の対向電極203を形成する。本実施形態においては、バッキング材200に対する加工はここまでであり、音響制動部材21に前記第1の実施形態のような凸部106を形成する工程(図4(d)で示す工程)については実施しない。
一方、圧電部22における電極の製造については、図7(d)に示すように、該圧電部22の素材である圧電基材210の接合予定面(図7(d)では下面)211に対し、図7(e)に示すように粗面化処理を施して、接合予定面211に2次元に配列する複数の凸部212を形成する。なお、前記粗面化処理としては、例えば、自動研磨装置で適切な研磨紙や研磨パフを使用すればよい。また、小さな粒状の研磨材あるいは類似のものを物体の表面に激しく打ちつけて表面を粗面加工するブラストも採用可能である。
次に、図7(f)に示すように、前記凸部212が形成された接合予定面211に対し、スパッタリング加工によって金を材質とする電極膜213を成膜する。なお、電極膜213を形成した状態で、圧電基材210の接合予定面の表面粗さRmaxが2〜10μmとなるように粗面化処理がなされていることが望ましい。そして、図7(g),(h)に示すように、図4(f),(g)と同様の切断加工処理及び充填材の充填処理を実施する。これにより、微小な凸部212を有する電極面が形成される。
以上のように音響制動部材21と圧電部22とをそれぞれ製造すると、前記音響制動部材21の接合予定面204と前記圧電部22の接合予定面211とのうち少なくとも一方の面(ここでは、圧電部22の接合予定面211にのみ)、例えばエポキシ系接着剤などの接着剤を塗布した後、図4(i)に示すように、音響制動部材21の接合予定面204と圧電部22の接合予定面211とを対向させて、音響制動部材21と圧電部22とを圧着する。
このとき、圧電部22の凸部212は、音響制動部材21に形成された前記対向電極203より硬度が小さい。したがって、音響制動部材21と圧電部22とを各接合予定面204,211同士で接合させて圧着すると、前記凸部212は圧縮されて一部が潰れる(前記変形の一態様)。これにより、音響制動部材21と圧電部22とが電気的に導通することとなる。
以上のように、本実施形態によれば、圧電部22の接合予定面211に、微小な凸部212を有する電極面を形成し、音響制動部材21と圧電部22とを接合予定面204,211同士で接合するようにしたので、音響制動部材21と圧電部22との電気的な導通を確実に確保することができる。
すなわち、図8に示すように、音響制動部材21の接合予定面204と圧電部22の接合予定面211とを接合したときの、或る圧電素子215と音響制動部材21とのギャップΔd11と、別の圧電素子215と音響制動部材21とのギャップΔd12(図8ではΔd11<Δd12)が異なる場合を想定する。
このとき、本実施形態のように凸部212を形成しないものとすると、音響制動部材21とのギャップがΔd11となる圧電素子215(図8では左側の圧電素子215)については、圧電部22に塗布された接着剤層207が音響制動部材21に付着して、該接着剤層207を介して音響制動部材21と電気的に導通させることができたとしても、音響制動部材21とのギャップがΔd12となる圧電素子215(図8では右側の圧電素子215)については、圧電部22に塗布された接着剤層が音響制動部材21には付着せず(届かず)、音響制動部材21と電気的に導通することができない場合がある。
これに対し、本実施形態においては、圧電部22の接合予定面211に前記凸部212を有する電極面を形成し、音響制動部材21と圧電部22との接合時に前記凸部212が圧縮されて潰れる構成としたので、音響制動部材21とのギャップが比較的大きい圧電素子215であっても、前記凸部212を介して音響制動部材21と電気的に導通させることができる。
すなわち、前記凸部212によって、音響制動部材21と圧電素子215とのギャップのバラツキが吸収されることとなる。これにより、圧電部22と音響制動部材21との間のギャップにバラツキが生じている場合であっても、各圧電素子215を音響制動部材21と確実に電気的に導通させることができる。
なお、本件は、前記各実施形態に代えて、又は前記実施形態に加えて次のような変形形態も採用可能である。
[1]前記第2の実施形態においては、音響制動部材21と圧電部22とを各接合予定面204,211同士で接合させたときに、圧電部22側に形成した凸部212の一部が圧縮されて潰れるように形成したが、前記凸部212の材質や形状或いは音響制動部材21に形成する対向電極203の材質等を適宜変更・調整して、前記凸部212が前記対向電極203に突き刺さるようにしてもよい。
この場合、前記第2の実施形態の図7(f)に示す工程、すなわち、金を材質とする電極膜213をスパッタリング加工によって成膜する工程に代えて、圧電基材210の前記粗面化処理が施された接合予定面211に導電性ペーストを材質とする電極膜を形成して凸部212を圧電部22に形成する工程が一例として採用可能である。
なお、このときに用いる導電性ペーストは、図7(b)に示す工程で用いる、柱状導電部202を構成するための導電性ペーストと同一のものを採用してもよいが、前記凸部212を前記対向電極203に刺さり易くするために、該対向電極203を構成するための導電性ペーストの硬度が、前記凸部212を構成するための導電性ペーストの硬度に対して相対的に小さくなるようにするとよい。また、圧電部22の接合予定面211に形成する導電性ペーストの電極膜の膜厚は、2〜20μmの範囲の膜厚が好ましく、ここでは7μmに設定されている。
本実施形態においても、前記第1、第2の実施形態と同様、音響制動部材21と圧電部22の各圧電素子215との電気的な導通を確実に確保することができるという効果が得られる。
[2]前記第1の実施形態では、音響制動部材21に形成された凸部106が、圧電部22に形成された電極層114に突き刺さる態様で、音響制動部材21と各圧電素子115との電気的導通を図るようにしたが、前記凸部106の材質や形状或いは圧電部22に形成する電極層114の材質等を変更・調整して、前記凸部106の一部が圧縮されて潰れるようにしてもよい。
この場合、凸部106の潰れ易さを考慮すると、より先鋭的な形状(直径Rに対して高さHが相対的に大きい円錐形状)の方が好ましいが、凸部106がなす円錐形状を大きくし過ぎる(体積を大きくし過ぎる)と、音響制動部材21と圧電部22との間に形成される接着層が厚くなり、超音波の特性上好ましくない。
なお、凸部106がなす円錐形状をより先鋭的なものにするためには、例えばスクリーンの開口の大きさ、導電性ペーストの粘弾性、スキージの速さや材質(硬度)或いは押圧力などを適宜設定することで実現できる。
本実施形態においても、前記第1、第2の実施形態と同様、音響制動部材21と圧電部22の各圧電素子115との電気的な導通を確実に確保することができるという効果が得られる。
S 超音波診断装置
1 超音波診断装置本体
2 超音波探触子
16 制御部
21 音響制動部材
22 圧電部
100,200 バッキング材
101,201 貫通孔
102,202 柱状導電部
103 電極基部
104,112,204,211 接合予定面
107 接着剤層
203 対向電極
106,212 凸部
110,210 圧電基材
113,114 電極層
115,215 圧電素子
116 間隙
117 隔壁部
213 電極膜

Claims (8)

  1. 圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号とを相互に変換する複数の圧電素子が2次元的に配列されてなる圧電部と、超音波吸収材を用いて構成され、前記圧電部から放射される超音波を吸収する音響制動部材とが積層されてなる超音波探触子の製造方法であって、
    前記音響制動部材及び前記各圧電素子に電極面をそれぞれ形成するとともに、前記音響制動部材の電極面及び前記圧電素子の電極面のうち少なくとも一方を微小な凸部を複数備えた電極面として形成する第1の工程と、
    前記音響制動部材と前記各圧電素子とを前記各電極面同士で接合する第2の工程と
    を有する超音波探触子の製造方法。
  2. 前記第2の工程は、前記音響制動部材の電極面と前記各圧電素子の電極面とを対向させ、前記各凸部及び前記各凸部との対向部位のうち少なくとも一方が変形する態様で、前記音響制動部材と前記各圧電素子とを前記各電極面同士で接合する工程である請求項1に記載の超音波探触子の製造方法。
  3. 前記第1の工程は、
    前記音響制動部材に導電性樹脂を用いて前記凸部を複数備えた電極面を形成する工程と、
    銀焼付け工法により前記圧電素子に前記電極面を形成する工程と
    を含み、
    前記第2の工程は、
    前記音響制動部材に形成された前記各凸部が前記圧電素子に形成された電極面に突き刺さる態様で、前記音響制動部材と前記各圧電素子とを前記電極面同士で接合する工程である
    請求項2に記載の超音波探触子の製造方法。
  4. 前記音響制動部材に導電性樹脂を用いて前記凸部を複数備えた電極面を形成する工程は、
    前記各圧電素子の配列態様に対応して前記音響制動部材に貫通孔をそれぞれ形成する工程と、
    前記各貫通孔に前記導電性樹脂を充填する工程と、
    前記各貫通孔に形成された各充填体の端部に導電性樹脂を用いて板状の電極基部を形成する工程と、
    スクリーン印刷工法により前記電極基部に導電性樹脂を用いて前記凸部を複数形成することにより前記凸部を複数備えた電極面を形成する工程と
    を含む請求項3に記載の超音波探触子の製造方法。
  5. 前記第1の工程は、
    前記圧電素子の表面に対して粗面化処理を施して凸部を複数形成する工程と、
    前記粗面化処理が施された前記表面に金属膜を形成することにより前記凸部を複数備えた電極面を形成する工程と、
    前記音響制動部材に導電性樹脂又は金属材料を用いて前記電極面を形成する工程と
    を含み、
    前記第2の工程は、
    前記各凸部が圧縮される態様で、前記音響制動部材と前記各圧電素子とを前記電極面同士で接合する工程である
    請求項2に記載の超音波探触子の製造方法。
  6. 圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号とを相互に変換する複数の圧電素子が2次元的に配列されてなる圧電部と、超音波吸収材を用いて構成され、前記圧電部から放射される超音波を吸収する音響制動部材とが積層されてなる超音波探触子であって、
    請求項1乃至5の何れかに記載の製造方法により製造された超音波探触子。
  7. 圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号とを相互に変換する複数の圧電素子が2次元的に配列されてなる圧電部と、超音波吸収材を用いて構成され、前記圧電部から放射される超音波を吸収する音響制動部材とが積層されてなる超音波探触子であって、
    前記音響制動部材に形成された電極面と、
    前記各圧電素子に形成された電極面とを備え、
    前記音響制動部材の電極面及び前記圧電素子の電極面のうち少なくとも一方の電極面に形成された複数の微小な凸部を介して前記音響制動部材と前記各圧電素子とが前記各電極面同士で接合されている超音波探触子。
  8. 被検体に超音波信号を出力し、該被検体により反射された超音波信号を電気信号に変換して出力する請求項6又は7に記載の超音波探触子と、
    前記超音波探触子から出力される電気信号を受信し、該電気信号に基づき前記被検体の内部状態の画像を生成する画像処理部と
    を備える超音波診断装置。
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